空と虹と恋と

 大好きな写真のこと、そしてゲームやコミックスの話から歴史&時事問題まで、思いつくまま雑多に語ってみたいと思っております。さらに筆者の度重なるイタい失恋話についても、どうぞ憫笑しつつお読み下さいまし。

アサヒ The Dream

 まだアサヒのスーパードライも、サントリーのモルツも無かった昔、日本のビールについてはこう言われていた。
 キリン、サッポロ、水、アサヒ。

 まあ、平たく言えばアサヒのビールは水より不味く、サントリーのビールなど問題外、ということだ。
 で、スーパードライが出て、さらにモルツに加えてプレミアム・モルツも出て、日本人の各メーカーに対する評価も激変するわけだが。
 常に業界第四位だったサントリーが、サッポロを抜いて業界第三位に躍進し。
 そして今や、アサヒのスーパードライは日本で一番売れているビールである。

 しかし筆者は、サントリーのビールはともかくとして、アサヒのビールはどうしても好きになれない。
 何しろアサヒのビールには、ドイツのビール純粋令に適合する、麦芽とホップだけで造られた本物のビールが無かった。
 例のスーパードライも含めて、アサヒのビールと言えば麦芽の使用率が低く、米やコーンやスターチなどの糖質副原料を限界いっぱいまで入れた、味も香りも薄く喉越し最優先のビールばかりだったからだ。

 ビールと言えば、日本人は「暑い時期に、暑さと喉の渇きを癒すために、キンキンに冷やしたものを喉越しでゴクゴク飲むもの」と信じている人が殆どだから。
 それゆえ、スーパードライのように薄く軽いビールが日本人にはウケるのだろう。

 そういうビールの飲み方も、筆者は否定はしないが。
 しかし筆者は、ビールは味わい深く香り高いものを、じっくり、ゆっくり飲みたいのである。
「一杯目には美味いが、二杯目以降はどうも……」というビールなど、ビールとして失格だと筆者は思っている。
 だから筆者は、スーパードライを含めてアサヒのビールは嫌いだ。
 とにかく喉越し最優先の造りで、暑く喉が渇いている時に一気に飲む最初の一杯は良いのだが、飲めば飲むほど不味くなるものばかりだからだ。
 ビールはゆっくりじっくり味わって飲んでこそ美味く、そして杯を重ねる毎に美味くなるものだと、筆者は思っている。

 そのスーパードライを売り物にしているアサヒが、麦芽とホップだけで造られた、ビール純粋令にも適合する本物のビールを出した。
 アサヒ The Dreamである。
 で、早速買って飲んでみた。

アサヒ・ザドリームP1110491

 プルタブを開けてグラスに注いでみると、香りは穏やかである。ヴァイツェン・ビールやエールビールのような華やかな香りは無い。
 香りで言えば、サントリーのモルツの方がより華やかなくらいだ。
 味も素直で嫌みが無く、スーパードライに感じるような金属的な嫌な味は全く無い。
 程良く苦く、そしてほのかな甘さもあり、良くバランスが取れている。
 そして少しぬるくなると苦味が減って、甘さが増す。

 しかし筆者は、このビールはゆっくり、じっくり味わって飲む種類のビールではなく、よく冷えているうちに喉越しで飲むのに向いたビールだと思う。
 確かにこのビール、スーパードライなどの糖質副原料を多く使ったビールと違って、味に嫌みは全く無い。
 しかし特に香りが良いわけでもないし、エール系のビールなどと違って、ゆっくり、じっくり味わって飲んでも、何も美味しくならないからだ。
 個人的には、同価格帯で同じように麦芽とホップだけで造られたキリンの一番搾りやサントリーのモルツの方が美味しいと思う。
 筆者ならば、同じ金を出すなら間違いなくそちらの方を買う。

 が、このアサヒ The Dream、同社のスーパードライが好きな、「ビールは暑い時に喉越しで飲むもの」と信じている日本の昔からのビール好きは、きっと喜んで飲むと思う。
 それは麦芽100%になったからと言って従来のアサヒの喉越し系のビールと味が大きく変わったわけではなく、想定内のグレードアップだったからだ。
 筆者の私見ではこのアサヒ The Dream、同社のスーパードライの金属的な嫌みを無くし、そしてコクを少し増してやや濃い味にした……という感じだ。
 良くも悪くも、「アサヒのビール」だ。

 だからスーパードライなどの、これまでのアサヒのビールを愛飲してきた人もガッカリさせず、抵抗無く美味しく飲めるだろう。
 同時に、筆者のようにスーパードライが嫌いな者が飲んでみて、「これがあのアサヒのビール? 美味しいね!」と喜ぶようなものでもない。

 繰り返すが、このアサヒ The Dreamは従来のアサヒの路線の延長線上に造られていて、筆者は「同じ値段なら、モルツや一番搾りの方が美味い」と思う。
 しかし「嫌みを無くしコクを増したスーパードライ」とも言え、従来のアサヒのビールのファンには好意的に迎えられるだろうと思う。
 ただコクが増しただけに、スーパードライのファンの中には「重い」と感じる人もいるかも知れない。

 結論だが、アサヒのビールらしく喉越し最優先の姿勢が窺えるものの、香りも地味でフルーティーさも無くじっくり飲みたい旨さがあるわけでもないものの、味に嫌みが無く後味も良いこのビール、「決して悪くはない」といったところだ。

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麦とホップ 魅惑のホップセッション

 日本人の殆どは、ビール類と言うと「キンキンに冷やして、喉越しででゴクゴク飲むもの」と信じて疑わないが。
 しかしドイツ人など欧州の人は、ビールはキンキンには冷やさず、時間をかけてゆっくり、じっくり飲むという。
 そして筆者も、ヴァイツェンビールやペールエールビールなどを、ゆっくり、じっくり飲むのが好きだ。
 筆者はビールは喉越しで一気に飲むのではなく、鼻と舌で味と香りをしっかり堪能したいのだ。

 とは言うものの、暑い夏には、特に喉が渇いている時や風呂上がりには、やはり日本流によく冷やしたものをゴクゴク飲みたくなる。
 が、酒税のせいで日本のビールは高い。
 その割高なビールを、暑さや喉の渇きを癒す為にろくに味わうことなく一気飲みするのは、貧乏性の筆者にはもったいなく思えてならない。

 だから筆者は、ビール類は「じっくり味わって飲む用」と「ゴクゴク飲み干してしまう用」に飲み分けている。
 で、前者にはエールビールやヴァイツェンビールなどの本物の良質なビールを、後者には新ジャンル酒でまだマシな味のものを選んでいる。

 新ジャル酒もただ安いだけでなく、嫌みの少ないビールに近い味のそう悪くないものもある。
 無論、味の深みやコクは、本物のビールには及ばない。しかしただ新ジャンル酒だからと言って、頭から馬鹿にしてはいけない。
 筆者も新ジャンル酒をいろいろ飲んでみたが、新ジャンル酒の味は副原料に何を使うかで、かなり違ってくるように思える。
 コーンやスターチや米や糖類などを使ったものは、たいてい不味い。
 そして副原料にもスピリッツにも麦のみを使ったものは、意外にマシな味に仕上がっているように感じた。
 筆者の個人的な好みでは、サッポロ麦とホップが新ジャンル酒の中では最も出来が良いように思える。

 その麦とホップに、魅惑のホップセッションという新製品が出た。
 青と緑に光る派手な缶で、売り場でもとても目立っていた。
 で、早速買って味をみてみた。

サッポロ・麦とホップ魅惑の…P1110731

 プルタブを開けてまず感じるのは、甘い香りだ。
 飲んでみると味わいそのものは軽いが、確かなホップの苦みと、そしてほのかな甘さを感じる。
 飲んで口の中に残るのは、ホップの適度な苦み。

 この製品について、メーカーはこう書いている。

 甘い香りのホップと柑橘のように爽やかに香るホップ、2つのフレーバーホップを絶妙にブレンド。ホップが奏でる、清冽な苦みと、驚くほどフルーティーな香りをお楽しみください。


 確かに香りは甘くフルーティーで、ホップの心地よい苦みも感じる。
 ただフルーティーではあるが、“驚くほど”という程ではない。
 本物のビールには、これよりフルーティーなビールはいくらでもある。
 が、「新ジャンル酒としては」という条件を付ければ、確かに「驚くほどフルーティー」と言っても良いだろう。
 このようにフルーティーさを感じさせる新ジャンル酒など、筆者は飲んだことがない。

 あと、新ジャンル酒はキンキンに冷やしてこそ旨いもので、ぬるくなると味に嫌みが出てきて不味くなるものが多いが、これは違う。
 ぬるくなっても決して不味くならないのだ、この麦とホップ魅惑のホップセッションは。
 ぬるくなると、むしろ甘さが出てきて苦みを抑える感じだ。

 飲み応えもあり、喉越しで一気に飲むと少し重く感じるくらいだ。
 新ジャンル酒と言うと、キンキンに冷やし、暑くて喉が渇いている時に喉越しで一気に飲むには良いが、いざじっくり味わいながらゆっくり飲んでみると嫌みが目立つ、不味いものが少なくない。
 しかしこの麦とホップ魅惑のホップセレクションは、ゆっくり、じっくり味わって飲んでも美味しさを感じられた、初体験の新ジャンル酒だ。

 筆者は、下手なビールよりこの麦とホップ魅惑のホップセレクションの方が好きだ。
 アサヒのスーパードライやザ・ドリームなどより、こちらの方が間違いなく好きだ。

 ただそう感じるのは、筆者がビールはゆっくり、じっくり味と香りを楽しみながら飲む派だからだ。
 日本に多い、「ビールはキンキンに冷やして、喉越しで飲むべき」と信じている人には、きっとこの製品の旨さはわからないだろうとも思う。

 とは言うものの、これはあくまでも発泡酒をスピリッツで割った新ジャンル酒だ。
 下手なビールよりマシなくらいではあるが、普通かそれ以上のビールの方が間違いなく旨い。
 ちゃんとしたビールの方が、味に深みもコクも間違いなくある。

 ただ日本のビールは、酒税の関係でとても高いから。
 まともなビールは二百円以上するが、この新ジャンル酒は百円ちょっとで買える。
 そしてその値段の差ほど、味にも差があるとは、とても思えない。
 この麦とホップ魅惑のホップセレクションは飲み応えもそれなりにあり、香りも良く、後味も良い。
 それは味の深みとコクについては本物のビールにはかなわないが、自販機の缶コーヒーや缶ジュースより安い値段で買える新ジャンル酒としては、本当に良い出来だと断言できる。

 良質な、本物のビールには遠く及ばない味と香りだが。
 価格を考えたら実に出来の良い、財布に優しく気軽に飲める実に良い製品と思った。
 この片鱗だけだが本物のビールに近いものを感じさせる新ジャンル酒、店頭で見かけたら是非一本買って、味を見てみて下され。

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ハウスオブピアーズ

 ウイスキーを飲んでいて、つくづく思うのだが。
 ウイスキーの評価は、とても難しい。

 その日の体調によって、味の感じ方が変わるだけでなく。
 開封して何日か経つと味が変わるものもある。

 何しろウイスキーの原酒は、樽で何年も寝かせてあるわけだから。
 本来の味と香りを取り戻すにも、ある程度の時間が必要になってくる。
 開封後に空気と触れ合い眠りから覚めるまでに、何日かの時間を要するものが少なからずある。
 今回紹介したいハウスオブピアーズもまた、開封直後と何日か経った後で、印象が激変するタイプのウイスキーである。

ハウス・オブ・ピアーズP1110534

 ハウスオブピアーズは、千円程度で買えたスタンダード・スコッチである。
 裏のラベルには、「柔らかなスモーキーフレーバー、スパイシーでドライな余韻が続く洗練されたスコッチウイスキーです」と書いてある。
 しかし聞いたことの無い名前だっただけに、あまり期待せずに興味本位で買ってみた。

 キャップを開けると、まず甘い花の香りを感じる。
 が、味わいはライトで、そのせいかアルコールの刺激がキツめに感じる。
 スモーキーフレーバーは、「柔らか」どころか殆ど感じない。
 ラベルには「スパイシーでドライ」とあるが、確かに甘さは少なく辛口に感じる。
 と言うより、アルコールの刺激がとても強い。
 少しでも多く口に含むと、アルコールの刺激で口の中がピリピリする。
 インパクトはハニーな甘さだが、それもすぐにアルコールの強い刺激にかき消されてしまう。
 余韻もそれほど長くは続かず、「悪くはないが、値段なりの味」というのが、開封したその日の印象だった。

 そして開封して一週間ほど経つと、口に含むとまだ少しアルコールの刺激がキツくてピリッとするが、少しずつ嘗めるように飲むと、開封直後には感じなかったコクと深みを感じる。
 スパイシーでドライという印象は変わらないものの、その中に甘い味わいも確かに感じる。
 飲む時にはアルコールを少し強く感じるが、開封直後より間違いなく口当たりが良くなり、余韻も心地よく長く続くようになる。

 トワイスアップにしてみると、その気になるアルコールの刺激が殆ど無くなり味が丸くなり、さらに甘さをより強くなり、とても飲みやすくなる。
 ただコクと余韻は残るものの、ストレートで飲む時より明らかに減る。
 だからストレートで飲むべきか、トワイスアップにするか、迷ってしまう。
 ちなみに以前に飲んだグランツ・ザ・ファミリー・リザーブよりストレートでも滑らかで飲みやすい。

 さらにハウスオブピアーズを、ハイボールにして飲んでもみたが。
 ハイボールはまず甘く、そしてビターさも少しあり、スッキリしていて気楽にどんどん飲める。
 このウイスキー、ハイボールに合っていると思う。炭酸で何倍かに割っても、通常の水割りのように水っぽくならずに、炭酸がウイスキーらしい味と香りを引き出している。
 同じスコッチのハイボールでも、グランツ・ザ・ファミリー・リザーブのハイボールより間違いなく力強くて美味しい。
 が、ハイボールにしてしまうと、ストレートで飲んだ時のような味の深みと余韻は感じられなくなってしまう。
 ハイボールは飲みやすいが、筆者ならこのハウスオブピアーズ、出来ればストレートで飲みたい。

 以前、ハイボールに批判的な記事を書いた当ブログに、「自分はウイスキーではなく、ハイボールという飲み物が好きなのだ」とコメントして下さった方がいらしたが。
 それは至言で、ウイスキーを使ってはいるものの、ストレートで飲むウイスキーとハイボールは別物のように思う。
 ストレートで味わいながら嘗めるように飲むウイスキーと、炭酸の力で爽快感を出し飲みやすくしてゴクゴク飲むハイボールは別の飲み物だと、筆者は思う。

 さて、このハウスオブピアーズだが、開封して二週間ほど経つと、甘い香りと甘い味わいがより強くなり、その反面アルコールの刺激が減ってよりまろやかになる。
 味にコクもあるし、余韻もしっかり続く。
 トワイスアップもとても飲みやすいものの、こうなると余韻が弱く物足りなく感じてしまう。
 開封して二週間空気に触れさせた後では、「ストレートで飲むのが一番!」と断言したくなる。
 とは言え、トワイスアップでもハイボールでも美味しく飲めるのは変わらない。
 開封した直後は、「アルコールの刺激が強く、割って飲むのに適した値段なりの安ウイスキー」という印象だった。
 しかし開封して二週間以上経った今では、「値段の割に良いウイスキー」と自信を持って言える。

 ただ開封して半月以上経った今でも、ラベルに書かれている「柔らかなスモーキーフレーバー」は殆ど感じられないでいる。
 飲み比べてみれば、ジョニ赤の方がずっとスモーキーだ。
 筆者はスモーキーなスコッチが好きだから、ハウスオブピアーズよりジョニ赤の方が間違いなく好きだが。
 しかしスモーキー香を好まない方には、このハウスオブピアーズは良い普段飲み用のスコッチになるのではないかと思われる。

 それにしても、ウイスキーの味見は本当に難しい。
 開封した直後から華やかに香りの立つ、美味しいウイスキーもあれば。
 このハウスオブピアーズのように、開封した後に空気と触れさせ、何日も、いや半月近くも経たなければ本来の味と香りにならないウイスキーもあって。
 しかし残念ながら、どれだけ空気に触れさせても味も香りも良くならない、どうしようもないウイスキーもある。
 さらに国産某大手洋酒メーカーの安価なウイスキーもどきのように、開封直後こそそれらしい香りがするものの、日にちが経つと香りが逆に弱く消えそうになってしまうものさえある。

 開封して数日待つと香りと味がぐっと良くなるウイスキーが、間違いなくある。
 しかし「開封して日にちが経てば、どのウイスキーも香りと味がもっと良くなる」とも言い切れないから、ウイスキーの評価は厄介だ。

 それにしても、このハウスオブピアーズを開封直後の印象で、「アルコールの刺激がキツい値段なりの安ウイスキー」と決め付けて、ハイボールとかにして割ってガブガブ飲んでしまった人は、本当の味と香りを知る事ができなくてお気の毒様と言いたい。
 もし初めて飲む新しいウイスキーのアルコールの刺激がキツくて、味と香りに物足りなさを感じたら。
 諦めて割ってハイボール等にして飲み尽くしてしまうのではなく。
 それから一週間か十日くらいそのまま放置して、改めて味を見てみてほしい。開封され空気に触れてある程度の時間が経つことで、香りが蘇り味もグッと良くなるウイスキーも、間違いなくあるから。

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琉球ハブボール

 月に一度は足を運んでいる酒屋のレジの近くで、350mlの缶入りの妙な酒が山積みにされていた。
 その名前に目を留めた筆者は、思わず足を止めて見入ってしまった。
 缶にはこう書いてある。

 琉球ハブボール

 名前の上には、トグロを巻いた蛇の絵が描いてあるし。
 そして原材料にも、ハブと間違いなく書いてある。

琉球ハブボールP1100753

 ハブですよ、ハブ!
 マムシではなく、あの人を咬み殺すハブ!
 マムシ酒やマムシドリンクくらいでは驚きはしないけれど、ハブとなれば試しに一本、買って飲んでみるしかないじゃないデスか。

琉球ハブボールP1100760

 裏面の説明には「シークワーサー果汁を加え爽やかに仕上げました」と書いてあるが、事実味の主体はシークワーサーの柑橘系のもので、意外に飲みやすい。
 チューハイには甘過ぎて、飲んでいるうちに辟易してしまうものがある。しかしこのハブボールの甘さは適度で、そこにも好感が持てた。

 ただ、柑橘系の爽やかな味の底に、何とも言えない薬臭い、漢方薬に似た味と匂いがある。
 ハブの味と言うより、加えられてある13種類のハーブの味と匂いの方が強いようだ。
 筆者は普通に飲めたが、ハーブや漢方薬の味と匂いが苦手な人にはお勧めできない。

 とても疲れている時などに、筆者はたまに陶陶酒を飲むことがあるが。
 薬臭さは、陶陶酒よりこのハブボールの方が強いようだ。

 この種のお酒としては、間違いなく飲みやすいと思う。
 しかし不味くはないのだが、「美味しいか?」と問われると答えに詰まる。
 微妙、としか言いようが無い。

「また買って飲んでみたいか?」と問われたら、個人的には答えはNOだ。
 しかし買って飲んでみた事を後悔はしていない。
 筆者としては、「話の種に一度飲んでみるには悪くない」といったところだ。
 ちなみに、この琉球ハブボールの販売者は沖縄県南城市の南都酒造所だが、製造者は広島の三幸食品だ。

 で、この泡盛にハブとハーブ13種類を加えた、販売者の言うには「疲れやストレスを吹き飛ばすエナジフル」な琉球ハブボールだが。
「元気になれたか?」と問われれば、答えは微妙だ。
 しかしチューハイやハイボールやビールを飲んだ後より、少しだけ元気になれたような気がしないでもない。
 ま、「気分の問題」といったところか。

ハブ酒P1110860

 筆者が飲んでみたのは、度数6%で350mlのハイボールだが。
 つい最近見た酒屋の広告によると、南都酒造所はその他に、度数35%の本物のハブ酒も売っていた。
 950mlで3000円の方は「ハブエキスと13種のハーブをブレンドした滋養のお酒」だそうで、今回筆者が飲んでみた琉球ハブボールを濃くしたもののようだ。
 しかし800mlで12000円の方は凄い!
 本物のハブが丸々一匹、トグロを巻いて入ってるんですよ、貴方!
 ハブの為に、わざわざ12000円プラス税金を出すほど物好きではないけれど。
 けれど応接間の棚に、本物のハブ入りのこのお酒を飾っておいたら、お客様はさぞ驚くだろう。

 そしてまた、このハブ酒の名前がヒドい。
 だって本当に、珍々快々だし。
 チンチンカイカイ、って……。
 こんな名前を見たら、誰だってつい「強精剤か!」と思ってしまうじゃないデスか。

 ちなみに筆者自身は男として既に枯れかけているのか、琉球ハブボールを飲んでも、そっち方面の効果は感じませんデシタ。
 その方面を効果を実感するには、度数35%の濃いものを飲んでみなければ駄目なのかも知れないけれど。
 筆者は今のところその必要性を感じていないので、本物のハブ酒“珍々快々”の効果のほどを試すのは、他のお方にお任せシマス。

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ソウルマッコリ

 平たく言えば韓国の濁酒、マッコリが何年か前から日本国内でも当たり前に売られている。
 で、その代表的なJINROのマッコリを、以前飲んでみたのだが。
 飲みやすかった。
 甘酸っぱくて、酔える乳酸飲料という印象だった。
 しかも1リットルで600円程度と、値段も安かった。
 しかし糖類やら酸味料やら甘味料やらを加えているせいか、その酸味も甘味もどこか作り物っぽく思えた。
 そして更に、飲んだ後で悪酔いもした。

 が、その後に酒の専門店で、米と麦麹だけで造られた、添加物なしのマッコリを見かけた。
 300mlで500円弱と、大メーカーの添加物入りのマッコリよりかなり高かった。
 しかし物は試しにと買って飲んでみたところ、これが想像以上に美味かった。
 甘味も酸味も控えめなのだが、そのどちらの味わいも自然で、しかもコクと深い味わいがあり、ゆっくり味わって飲んで「美味い!」と心から思った。
 大メーカーの、添加物入りのマッコリも飲みやすいし、決して不味いとは言わないが。
 しかし大メーカーの大量生産品でない、添加物なしの米と麦麹だけの本物を飲んでしまうと、比べものにならない味の差を感じた。

サントリー・ソウルマッコリP1110567

 最近、チューハイやビール類の売場で、サントリー扱いソウルマッコリをよく見かけるようになった。
 製造は韓国マッコリのシェアNo.1メーカー、ソウル長寿社だという。
 その韓国で最も売れている、そして日本の代表的な酒類メーカーであるサントリーが扱うマッコリがどんなものか、試しに買って飲んでみる事にした。

 缶にも「乳酸由来の爽やかな味わい」と書かれているが、甘酸っぱくて飲みやすい。
 例えて言うならば、アルコール入りのヤクルトに、更に甘酒の風味とコクを加えた感じと言ったところか。
 以前に飲んだJINROのマッコリの方がより甘酸っぱく乳酸飲料に近い味で、このソウルマッコリの方がお酒らしい風味をやや強く感じる。
 しかしこのソウル長寿社製でサントリー販売のマッコリも、そこは糖類や酸味料や甘味料を加えたものだけあって、飲み進めて行くうちに、甘さにも酸っぱさにも自然でない合成された味を感じてしまう。
 米と麦麹だけの本物のマッコリと比べてしまうと、甘さも酸っぱさもしつこい上に、お酒としての深い味わいやコクも足りないように感じてしまう。

 結局のところ、「JINROのマッコリよりやや本物に近いが、米と麦麹だけで造った本来のマッコリの味わいには程遠いものがある」といったところか。
 個人的には、マッコリは米と米麹および麦麹のみで造るべきで、糖類や酸味料や甘味料を加えて造ったものはニセモノの味だと思う。
 が、酒としてのコクや味わいに欠ける部分があっても、添加物(糖類や酸味料や甘味料)を加えたマッコリが甘酸っぱくて飲みやすいのは事実だ。しかもその種の添加物入りマッコリの方が、値段もずっと安い。

 お酒を飲み慣れた、酒の味がわかる方には、米と麦麹のみで造ったマッコリを断然勧める。
 しかしお酒を飲み慣れていない若い人や、特に若い女性などにはこのソウルマッコリも含めた、糖類や酸味料や甘味料で味を作った大メーカーのマッコリの方が飲みやすいのではないだろうか。
 だから個人的には米と米麹と麦麹だけのマッコリの方が文句なしに良いと思うが、若い女性や、それほど味にこだわらずに質より量を飲みたい方には、大メーカーの添加物入りのマッコリでも充分ではないかと思われる。

 お酒というものは、ただ度数が強ければより酔うというものではない。
 例えば蒸留酒は酔うのも早いが醒めるのも早く、悪酔いもしにくい。
 ポリフェノールがたっぷり入っていることで知られる赤ワインが実は悪酔いしやすいように、いろいろな成分が含まれているお酒の方が、より悪酔いしやすいようだ。
 だから同じ日本酒でも、糖類や酸味料等を加えた安酒の方がより悪酔いをする。
 同様に、マッコリも米と麦麹だけで造ったものを飲んだ時には平気だったが、大メーカーの糖類や酸味料や甘味料入りのものを飲んだ時には頭痛がして悪酔いしてしまった。
 しかも大メーカーの添加物入りのマッコリは、甘酸っぱさが強くてお酒という感じが弱く飲みやすいだけに、若い女性などはつい飲み過ぎて悪酔いしてしまうおそれがあるから、要注意だ。

 近年は「ビールは苦いから好きじゃない」という若者が増えているという。
 そういう人達に、このソウルマッコリを含めたマッコリは、甘酸っぱく酔える乳酸飲料のようで歓迎されるのではないだろうか。
 しかしそれでも、筆者としては糖類や酸味料や甘味料の入っていない、米と米麹や麦麹だけの本物のマッコリを飲んでみてほしいと思う。

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グランツ・ザ・ファミリー・リザーブ

グランツP1110573

 このグランツ・ザ・ファミリー・リザーブで目立つのは、まず特徴ある三角形の瓶だろう。
 ウイスキーがお好きな方は、すぐに気付かれるだろう。
 あの有名なシングルモルト、グレンフィディックと同じ形をしている。
 そう、これはグレンフィディックを造っている会社が出している、ブレンデッドのスタンダード・スコッチである。

 キャップを開けると、まずバニラの甘い香りを感じる。
 グラスに注げば樽のウッディな香りもあるし、よく嗅げば僅かながらスモーキー香も感じる。

 飲んでまず感じるのは心地よい甘さだが、それはすぐにスパイシーさに変わる。
 また、若いアルコールの刺激もかなり強い。
 香りは豊かだし、心して少しずつ嘗めるように飲めば滑らかだしコクも深い。
 しかし少しでも多く口に含んでしまうと、アルコールのキツい刺激で口の中がヒリつくようだ。

 注意して少しずつ味わえば、甘くスパイシーで滑らかで、コクもありスモーキーな余韻も比較的長く続く、なかなか良いスコッチなのだが。
 若い原酒のアルコールの強い刺激が気になる方は、水なり炭酸なりで割って飲んでも良いと思う。

 筆者はトワイスアップにして飲んでもみたが、そうするとコクが薄れるもののアルコールの刺激が激減し、甘さが引き立ってかなり飲みやすくなった。
 しかしウイスキーのコクと深みと長く続く余韻を楽しみたい方は、ストレートで心して少しずつ飲んだ方が良いだろう。

 筆者はこれを白角と飲み比べてみたが、白角のようなフルーティーさこそ無いものの、白角より滑らかで深い味わいとコクがあり、甘さも同等にあった。
 さらにジョニーウォーカーの赤とも飲み比べてみたが、ジョニ赤の方がより甘く滑らかで、スモーキーさも強かった。

 このグランツ・ザ・ファミリー・リザーブ、個人的にはジョニ赤には及ばないように思った。
 しかしアルコールの刺激の強さこそ気になるものの、甘くコクがあり余韻も長く続き香りも豊かで、この価格帯のスタンダード・スコッチとしてはかなり良い方であると思う。
 さすがはあのグレンフィディックを造っている会社の、最もリーズナブルなウイスキーと思わせるだけの品質であった。

「ぜひ買って飲んでみてほしい」とまでは、お勧めしないが。
 グレンフィディックがお好きな方は、グレンフィディックを造っている会社の廉価なブレンデット・スコッチがどんなものか、一度試しに飲んでみてほしいと思う。
 若いアルコールの刺激こそ、少し気になるものの。
 ストレートでも充分に美味しく飲めるし、割って飲めばウイスキーの良さを気楽に味わえて、スタンダード・スコッチとしてはかなり良い物だという印象を受けた。

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糖質オフのビール類を飲む意味はあるか(サントリー金麦糖質75%オフ)

 このブログにも何度か書いているが、筆者は日本人のビール飲みに多い、「喉越しでゴクゴク、プハーッ!」という飲み方は好まない。
 筆者は良いビールは、ゆっくりじっくり味わって飲みたいのだ。
 麦茶でも飲み干すように一気にゴクゴクやってしまうのでは、せっかくのビールが勿体ないと思ってしまう。

 但し例外があって、夏の暑い時に限り、喉の渇きを癒す為に軽めのビール類(あえて“ビール”とは言わない)をゴクゴク一気飲みするのは「アリ」だと思っている。
 ただじっくり味わうことなく一気に飲んでしまうのだから、一缶(350ml)で200円やそれ以上する本物の良いビールでは勿体な過ぎる。
 で、安価な新ジャンル酒や発泡酒を、去年からいろいろ飲んできたのだが。
 その結果、その種のビール類を普通に作ると香りも味も薄くコクも深みも無い軽いが物足りないものになり。
 そして糖質副原料を複数使って変に手を加えると、金属的な嫌な味がしたり、コクと深みの代わりに妙な渋みや苦みが出たりする。
 同じ価格帯の安い新ジャンル酒でも、意外にビールに近い(値段を考えれば)良く出来たものもあれば、もう二度と飲みたくない不味いものまで、いろいろあることがわかった。

 個人的には、24缶まとめてケースで購入すれば1缶百円程度で買える日本の大手メーカーの新ジャンル酒の中では、サッポロの麦とホップが一番出来が良いかなと思っている。
 だが新ジャンル酒のテレビCMでは、サントリーの金麦が突出して多いような気がする。
 そして最近では、糖質オフという商品が妙に多く出回っている。
 そんな時、たまたま金麦糖質75%オフという新ジャンル酒が目に留まった。

サントリー・金麦糖質オフP1110570

 筆者は元々、糖質やプリン体やカロリー等を気にしながら飲食するのは好きではない。
 例えばラーメンで考えてみよう。
 アレは塩分もカロリーも油分も多い、健康に良いとは思いにくい食べ物だ。
 しかしだからと言って塩分やカロリーを減らしたりしたら、せっかくのラーメンが美味しくなくなるに決まっている。
 ヘルシーだからと言って背脂も使わず塩分も薄く、チャーシューに脂も無いようなラーメンなど、少なくとも筆者は食べたくない。
 食べるなら塩分もカロリーも油分も気にせずより美味しいものを、もしそれらが気になるなら最初から食べなければ良いと思っている。

 酒やビールについても同じ考えで、糖質等をカットしたものが、していないそのままのものより美味い筈が無いと思うし、「糖質が気になるなら、そもそも最初から飲まない方がずっと体に良いに決まっているだろうが」と思っている。
 だが近年、糖質オフのビール類がとても増えている。
 それで糖質オフのビール類が、そうでないビール類よりどれだけ不味いか試してみるつもりで、今回あえて糖質75%オフの金麦を買って飲んでみた。

 筆者は糖質オフでない普通の金麦も、以前買って飲んでみたことがある。
 で、金麦は「香りは悪くないがほのかで、味も薄く発泡酒をさらに薄めた感じ」という印象を受けたが。
 しかし糖質75%オフの金麦は、香りは意外に悪くなかった。
 プルタブを開けると、あまり強くはないがビールらしい甘い麦の香りが漂う。
 だが飲んでみると、味はとても薄い。
 普通の金麦も味は薄めだったが、糖質75%オフの金麦はさらに薄く軽い味わいだ。当然、コクも深みもまるでない。
 ただ薄味な分だけ、嫌な味も殆ど感じない。
 普通の金麦にはどこか金属的な嫌な味を感じたが、糖質オフの方では味に嫌味を殆ど感じなかった。

 まとめて言えば、「香りは悪くないがかなり薄味で、嫌味もないがコクも旨みも深みも無い」という感じだ。
 ついでに言えば、苦味もさして強くないから「ビールは苦いからイヤだ」という人でも安心して飲めるが、その代わり麦の甘みも無い。
 あまりに薄味なので、飲んでいて水っぽい印象を受ける。
 サントリーのビール類にはよく「天然水仕込」と缶に書いてあるが、これまではその良さを感じることが出来ず、ただ「フーン」とだけ思っていた。
 ただこの金麦糖質75%オフはあまりに薄味で水っぽいせいか、「おっ、良い水を使っているねぇ」と初めて実感してしまった。
 本当に使っている水の良さがわかる製品だ。

 この金麦の糖質75%オフ、水っぽいがその使っている水が良くて味に嫌味が無いだけに、暑くて喉が渇いている時に、日本流に喉越しでゴクゴク一気に飲むと意外に悪くない。
 喉越しで一気に飲むなら、普通の金麦よりこの糖質75%オフの方が向いているかも。

 ただこの金麦糖質75%オフだが、嫌味は無いし決して不味くはないものの、じっくり飲んで美味いものでは決してない。
 良い意味でも悪い意味でも、飲んだ後、口の中に味と香りが殆ど残らない。
 さらに少しぬるくなると僅かに麦の甘味が出てくると同時に、金属的な嫌な味も少し出てくる。
 だからこの金麦糖質75%オフは、断言するがキンキンに冷やして喉越しで一気に飲むべきものだ。
 そしてビール類をそうして飲む人達には、これで充分なのではないかと思われた。

 缶に「麦のうまみ かがやく」、「RICH MALT」と書いてあるが、ビールはゆっくりじっくり味わって飲む筆者には、金麦糖質75%オフのどこに「かがやく麦のうまみ」やモルトの豊かな味わいがあるのか、全くわからなかった。
 しかし値段を考えれば香りはそれなりに良いし、喉越しは悪くないしで、これからの暑い時期に喉が渇いている時の最初の一本として飲むものと限定して考えれば、それなりに良いのではないかと思った。
 でも筆者なら、「わざわざお金を出してコレを買って飲むくらいなら、家で麦茶を作り置きしておいた方がよいかな」と考えてしまう。

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アルパカ・シャルドネ・セミヨン

 このブログを読んで下さっている方は既にお気付きかも知れないが、筆者はウイスキーの事だけでなくビールや日本酒の事もよく記事に取り上げている。
 書いた回数は少ないが、ブランデーや本格焼酎も嫌いではないし、時々飲んでいる。
 そして夏には、ジンもよく飲む。
 しかしワインについては、殆ど記事にした事が無い。
 と言うのは、筆者は個人的にワインがあまり好きではないからだ。

 それは、良いワインは確かに美味かろう。
 良い葡萄畑の、更にその中から良い葡萄だけ選りすぐって造ったワインは、それこそ極上の味なのだろう。
 ただし良いワインは、値段もかなり高い。

 例えば、アルコール度数も近い同じ醸造酒の日本酒なら、四合瓶なら千五百円以下でかなり香り高く味の良い純米吟醸酒が買える。
 しかし千五百円以下のワインと言ったら、まず「気軽に飲むテーブルワイン」ではないか。
 良いワインを飲もうと思ったら、何千円、いや何万円も出さねばならない。
 同じ金を出せば、日本酒ならどれだけ凄い銘酒が飲めるだろうかと、筆者はいつも思う。
 日本酒と比べて高すぎるのだ、ワインは。

 筆者は以前から「高くて美味いのは当たり前で、誉めるべきなのは安くて良いものを提供できる店や企業である」と考えている。
 だから高くて美味いものを飲んだり食べたりしても、「美味いな」とは思っても別に感動はしない。
 そういう意味で、筆者は個人的に「同じ値段ならワインより日本酒の方がずっと良い」と思っている。

 それとあと、一部のワイン好きの“気取り”が気に入らない、というのもある。
 例えば他の酒については、いろいろ飲んであれこれ蘊蓄を語っても、「この酒飲みめ」としか思われないが。
 酒をたくさん飲んでその味を知っていても、ただ酒好きというだけで別に自慢にもならない。
 しかし“ワイン通”だけは違う。
 ワインが好きでワインの味をよく知っているというだけで、「自分はお洒落な文化人だ」という顔をする人達がいる。

 例えばかつて、「私の血はワインで出来ている」と語った女優がいる。
 それはワインだからこそ、何だかお洒落なつもりで自慢げに言えるのであって。
 もし「俺の血はウイスキーで出来ている」などと言ったりしたら、「アル中、乙」とあざ笑われるのがオチであろう。
 これが日本酒やビールであっても、決して自慢にはならない。
 さらに「俺の血は焼酎で出来ている」などと言った日には、廃人になる前に病院に行くべきだと本気で心配されるのではないだろうか。

 他の酒を飲む人達だけは、ただの酒飲みなのに。
 ワイン好きだけは、「お洒落で高尚で文化的」と思われるような空気や、自らそうアピールしたげなムードがあるように筆者には思える。
 だから筆者は、申し訳ないがワインが好きと公言する人達にあまり好感を持てずにいた。
 そしてワインそのものも、あまり好きになれずにいた。

 が、ある店で、『一個人』の極旨ワイングランプリの千五百円以下の部門で第1位を獲得したというワインが、何と税込みでたったの494円で売られているのを見て、つい買ってしまった。
 高いワインが美味いのは、当然の事である。
 では、安くて美味いワインとは、どんなものであろうか。
 それを味わってみるつもりで、珍しくワインを買ってみた。

アルパカP1110665

 買ったのは、チリのサンタ・ヘレナ社のアルパカ・シャルドネ・セミヨンである。
 安価なワインらしく、栓はコルクでなくスクリュー・キャップである。
 筆者はワインをあまり好きではないが、全く飲んだ事が無いわけではない。山梨県に親戚がいて時折ワインを送ってくれる事もあり、それなりに飲んではいる。
 そしていつも、コルクを抜くのに手間取る。
 中には異常と言えるほど固くて、こめかみの血管が切れるのではないかと思うほど抜くのに苦労するものもある。
 まあワインクーラーで何年も寝かせるような上等なワインにはコルクの栓は必要に違いないが、すぐ飲むべきお手頃価格の若いワインにコルクの栓は不要だと思う。
 そういう意味で、アルパカがスクリュー・キャップである事には好感が持てた。

 で、グラスに注ぐと香りはほのかだ。
 しかしグラスをクルクル回すと、五百円でお釣りが来るお酒とは思えないほどフルーティーな香りが広がる。
 辛口と言うが、飲んでみると「軽やかで酸味が強い」という感じだ。僅かに渋みもあるが、とても飲みやすい。飲みやすいが、しかし酸味が強い。
 香りは確かにフルーティーだが、味もフルーティーと言えるかどうか。
 裏のラベルには「コクのある味わい」とあるが、個人的には軽快さは感じたが、コクは感じなかった。
 しかし軽やかでイヤミが全く無く飲みやすく、味わってじっくり飲むというより、食事に合わせて気軽に飲むのに良い感じだ。
 魚料理や鶏肉などに、よく合いそうだ。

 筆者は「同じ値段なら、ワインより日本酒の方が間違いなく美味い」と、ずっと思っていたが。
 このアルパカは、750mlの瓶が店頭で税込み494円だった。
 それを一升に換算すると、同じく税込みで1200円を切る。
 一升で1200円の日本酒と言ったら、まず間違いなくアル添のただ酔っぱらう為の安酒だ。下手をすれば、糖類や酸味料まで加えられているかも知れない。
 同じ値段の日本酒より、間違いなくこのワインの方が美味い。

 ただ、『一個人』の極旨ワイングランプリで、このアルパカが1500円以下の白の部門で第1位と言われてしまうと、改めて「安いワインに良いものは少ないのだな」と思ってしまう。
 アルパカが500円以下の部門で第1位と言うならば、充分に納得がゆく。しかし1500円以下のワインの第一位がこの程度と言われると、やはり納得がいかない。
 1500円も出せば、ほぼ同じ量で純米吟醸の、このアルパカよりもっと美味くて香り高い日本酒がいくらでも買える。

 とは言うものの、サントリーがかつて売っていた赤玉ポートワインなる“まがいものの果実酒”は別として、ワインはどんな安いものでも葡萄から造られている。
 安い日本酒と違って醸造用アルコールだの、果ては糖類だの酸味料だのといった妙なものは添加されていない。
 本物のポートワインなどの強化ワインと言われるやつも、加えられているのはアルコールではなくブランデーだ。
 そういう意味で、安い日本酒より安いワインの方が「まだマシ」であろうか。

 最後に、アルパカ・シャルドネ・セミヨンは飲んでいる間こそ強い酸味を感じたが、後に口の中に残ったのは酸っぱさではなくフルーティーな甘さだった。
 飲んでいる間の酸味が、後でほのかな甘みに変わるということか。
 五百円でお釣りが来るお酒としては、なかなか良いワインだった。
 アルパカは「安いワインに、良いものはない」と思っていた筆者の考えを改めさせてくれた、安くて良いワインだった。

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ブラックニッカ・クロスオーバーを味わう

 昨年秋のブラックニッカ・ブレンダーズスピリットに続いてまた出ました、ニッカの限定品ウイスキー、ブラックニッカ・クロスオーバー
 限定品は「今しか買えないから、さあ急いで買いなさい!」と急かされているようであまり好きではないが、ブラックニッカは好きなウイスキーなので、あえてニッカの商売に釣られて買ってみた。
 ボトル正面に“RICH&SMOKY”とあり、裏面の説明にもヘビーピートならではのスモーキーな味わいと、シェリー樽原酒の芳醇な味わいとある。
 どちらも筆者は大好きだ。
 だから「試しに一本」ではなく、まず試しに二本買ってみた。

ブラックニッカ・クロスオーバーP1110547

 さて、キャップを開けるとまず穏やかな甘い香りが漂い、続いて強いスモーキー香が追いかけて来て、さらにしばらく経つとスモーキー香と甘さが混じり合う。
 グラスに注ぐと、甘さとスモーキー香が程良い感じに漂う。
 口に含むと、まず感じるのは甘さだ。ハニーでもフルーティーでもない、しっかりとした甘さ。
 と言ってチョコやキャラメルのような強い甘さではなく、メーカーが言う通りのバニラの甘さだ。
 その甘さに、心地良いビターさとスパイシーさも加わって来る。
 度数43%とは思えない滑らかさで、ストレートでチェイサー無しに美味しく飲める。
 それでいながら味わいは力強くコクも充分にあり、余韻も長く続く。
 余韻はスモーキーさが主体だが、その中にも甘さが残る。

 甘くスモーキーで力強いウイスキーが好きな筆者の好みからすれば、このブラックニッカ・クロスオーバーはど真ん中のストライクだ。
 試し飲みした翌日にまた酒屋に走り、更に二本追加して買い置きしておいた。
 個人的には、本当に本当に大好きだ。
 筆者は同じようにシェリー樽の原酒を使いスモーキーさもあるブラックニッカ・スペシャルを普段飲むウイスキーとしていつも傍らに置いてあるが、甘さもスモーキーさも滑らかさも味わい深さも、全ての面でブラックニッカ・クロスオーバーが明らかに上回っている。
 これで本体価格2000円は、間違いなく安いと思った。

 ただ、ブラックニッカ・クロスオーバーはシェリー樽原酒の華やかな甘さも、ヘビーピートならではのスモーキー香も、どちらも強烈だ。
 だから筆者は大好きだが、嫌いだと言う人も間違いなくいるだろうと思う。
 特に開封したその日に感じるスモーキー香はアイラ島のスコッチにも負けない程で、強いピート香だけでなくヨード香も感じる。
 筆者は好きだが、「クレオソートのような匂い」と嫌う人もいるだろう。
 筆者は去年の秋に限定発売されたブラックニッカ・ブレンダーズスピリットよりこちらの方が好きだ。
 しかしブラックニッカ・クロスオーバーは個性がかなり強く、いろんな面でバランスの取れたブラックニッカ・ブレンダーズスピリットの方を好む人も少なくないと思う。

 ウイスキーの原酒は、何年も樽の中で眠っている。そのため開封して数日経つと、空気と触れ合うことで縮こまっていた香りがより豊かに広がる事が少なくない。
 だから筆者は開封して一杯味見をし、それから一週間ほど放置してからまたじっくり飲み直すことにしている。
 で、ニッカのウイスキーには開封直後と数日後で香りと味が変わるものが少なくない。
 そしてこのブラックニッカ・クロスオーバーも、開封してから一週間置いておくことで香りと味がかなり変わった。

 開封直後のブラックニッカ・クロスオーバーは、強烈なスモーキーさと華やかな甘さが、それぞれ別個に強い個性を主張し合っているように思えた。
 しかし一週間後に再び飲んでみた時には、スモーキーさより甘さが前面に出て、よりまろやかな感じになっていた。
 口に含んだ時のインパクトは甘く、バニラの甘さからナッツの味に変わり、スパイシーさも出て来るが、アルコールの刺激は決して強くなくまろやかだ。
 そして飲み下すと、アフターフレーバーに強いスモーキーさが長く残る。
 開封直後はシェリー樽の甘さとピート香とヨード香が別個に存在を主張し合っていたが、数日経つとそれが混じり合い、華やかな甘さが次第にスモーキーな味わいに変わって行くようになる。

 だから筆者は、「ウイスキーは何日もかけ、少しずつ味わって飲むもの」と思う。
 ウイスキーのボトル一本を、一人で一日で飲み切ってしまう人は殆どいるまいが。
 飲み会などで数人で一度に一本空けてしまうような飲み方をしたら、そのウイスキーの本当の味と香りはわからないままだろう。
 ウイスキーの真価は、封を開けた数日後に本当にわかると筆者は思っている。

 不思議なのは、サントリーの安価なウイスキーだ。
 ニッカのウイスキーは、安価なものでも開封した数日後には確実に良い方に味と香りが変わる。
 しかしサントリーの安価なウイスキーはその逆なのだ。開封した直後にはウイスキーらしい甘い香りがそれなりに立つのだが、数日経つとその香りが何故か薄らいで痩せた味わいになるのだ。
 その理由が、筆者にはどうにもわからない。
 まさか香料を使っているのではあるまいが、「サントリーの安いウイスキーは、ハイボールにでもして皆でガブガブ飲むもの」ということなのだろう。

 話はブラックニッカ・クロスオーバーに戻るが、アルコール度数は昨秋に本体2500円で限定発売されたブラックニッカ・ブレンダーズスピリットと同じ43%だ。
 なのに飲み比べてみたが間違いなくブラックニッカ・クロスオーバーの方がアルコールの刺激が少なく滑らかで飲みやすい。
 ウイスキーをストレートで飲む時には、筆者はチェイサーも用意する。
 しかしブラックニッカ・クロスオーバーはチェイサーを飲む必要を感じなかった。
 そのくらい滑らかでまろやかな味わいだった。
 ストレートでチェイサー無しで飲んで、アルコールのピリピリした刺激が舌に殆ど残らない。
 なのにそのブラックニッカ・クロスオーバーが何故ブラックニッカ・ブレンダーズスピリットより五百円も安いのか、少し理解に苦しむところだ。

 筆者はまろやかで口当たりが良く、甘く力強くスモーキーなブラックニッカ・クロスオーバーを愛する。
 しかし強いスモーキー香や華やかなシェリー樽の甘さなどの自己主張が苦手な方は、よりバランスの取れたブラックニッカ・ブレンダーズスピリットの方が向いているだろうと思われる。

 筆者はこのブラックニッカ・クロスオーバーを、シーバスリーガル12年やバランタイン12年やジョニー・ウォーカー黒とも飲み比べてみたが。
 まずシーバスリーガル12年だが、これはブラックニッカ・クロスオーバーとは全く違ったハニーな甘さと花の香りが好ましい。ただブラックニッカ・クロスオーバーの方が甘さが強く華やかなせいか、ブラックニッカ・クロスオーバーの方がより滑らかでアルコールの刺激も感じにくい。
 ブラックニッカ・クロスオーバーはスモーキー香だけでなくいろんな面で力強いウイスキーで、シーバスリーガルは優しく品の良いウイスキーという感じ。

 ブラックニッカ・クロスオーバーは、バランタイン12年より甘さもスモーキーさもアフターフレーバーも強い。この個性の強さは、好きな者には魅力的だ。
 しかし同時にバランタイン12年のバランスの良さ、甘くコクがあり後味にほのかなスモーキーさが残る端正さも、改めて「良いな」と思う。
 しかしそれにしても、ブラックニッカ・クロスオーバーの甘さとコクと滑らかさ、長く続くスモーキーフレーバーは圧倒的だ。

 甘くスモーキーという点では、ブラックニッカ・クロスオーバーはジョニ黒にも似ている。
 しかしブラックニッカ・クロスオーバーの甘さの方が、より華やかだ。
 ジョニ黒は甘さとスモーキーさとスパイシーさが同時に来る感じだが、ブラックニッカ・クロスオーバーはまず華やかな甘さが来て、それがスモーキーな余韻に変わる。

 これはあくまでも、筆者の個人的な感想だが。
 シーバスリーガル12年よりバランタイン12年よりジョニ黒より、そしてブラックニッカ・ブレンダーズスピリットより、このブラックニッカ・クロスオーバーが最も華やかで甘く滑らかでスモーキーで余韻も長いように思えた。
 このブラックニッカ・クロスオーバー、割ってハイボール等にしても悪くないようだが。
 筆者はこのブラックニッカ・クロスオーバー、ストレートでしか飲みたくない。勿体なくて、とても何かで割る気になれないでいる。

 筆者は2015年に終売になったニッカG&Gも好きで、数本買い溜めしておいたものを、大事に時折飲んでいるが。
 そのG&Gと飲み比べてみたところ、甘さやスモーキーさなど味わいの傾向は似ていた。
 しかしG&Gは甘さもスモーキーさもブラックニッカ・クロスオーバーより弱い上に、明らかにアルコールの刺激が強く荒っぽく感じた。
 ブラックニッカ・クロスオーバーはチェイサーの必要性を特に感じないが、G&Gをストレートで飲むには欠かせない。で、G&Gをストレートで飲んだ後にチェイサーを飲むと、口の中に甘さとスモーキーさがフワッと広がる。
 あと、G&Gのアフターフレーバーは甘くスモーキーで、ブラックニッカ・クロスオーバーに意外に似ている。
 ある意味、G&Gは「荒さのあるブラックニッカ・クロスオーバー」、言い換えれば「ブラックニッカ・クロスオーバーはG&Gをより甘くスモーキーに、より滑らかで上質にした」という感じだ。

 甘くスモーキーで力強いウイスキーが好きな筆者は、この個性の強いブラックニッカ・クロスオーバーに魅せられてしまった。
 このウイスキーが数量限定販売というのが、非常に残念でたまらない。
 ブラックニッカ・ブレンダーズスピリットと同じ2500円、いやサントリーのローヤルと同じ3000円前後でも良いからずっと販売し続けて貰いたいと思ってしまった。

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サントリー クラフトセレクト香り彩るビール PALE ALE

 サントリーはプレミアム・モルツに、香るエールという商品も出している。
 そのサントリーが、去年それとはまた別に、クラフトセレクト香り彩るビールPALE ALEという商品もラインナップに加えた。
 で、その同じサントリーのエールビールでどれほど味が違うものか、試しに飲み比べてみた。
 ちなみに、販売価格は今回取り上げる、クラフトセレクト香り彩るビールPALE ALEの方が僅かに安い。

サントリー・クラフト・ペールエールP1110047

 プルタブを開けると、フルーティーで華やかな香りが漂う。プレモル香るエールより薫り高く、「華やかに香る」と缶に書いてある言葉に偽りは無い。
 グラスに注ぐと色はやや濃く、泡も白ではなく僅かに茶色みを帯びている。
 飲んでみると、味わいはこのクラフトセレクト香り彩るビールPALE ALEの方が軽やかだ。プレモル香るエールの方が明らかに苦いし、コクもある。
 と言っても決して薄いわけでも、物足りないわけでもない。このクラフトセレクト香り彩るビールPALE ALEは良い意味で軽やかなのであって、しっかり味わえば確かなコクと味わいがある。

 缶の裏面には、味と香りについての自社評価が書かれている。
 そしてそれは以下の通りだ。
 香り  ●●●●●
 旨み  ●●●
 苦み  ●●●●
 ボディ ●●

 その香り5点の評価には、筆者も同意する。
 しかし筆者には、4点を付けるほど苦いとは思えなかった。
 確かに苦みはあるが程良いくらいで、他のビールと比べて決して苦いわけではない。むしろ、苦みの中に麦の甘みを感じるくらいだ。
 ただ飲んでいる時にはさほど苦さを感じないが、飲んだ後に口の中に残るのはホップの苦みだ。
 ただそれは決して深いな苦さではなく、むしろ心地良い苦みと言っても良い。
 軽やかな中に旨みもしっかりあるし、ボディもそれほど弱いとも思えない。
 筆者が評価するなら、「香り5、旨み4、苦み3、ボディ3」と点数を付けたいところだ。

 良い意味で軽やかで味に嫌みも無いので、喉越しで飲んだらスッと一気に飲めてしまうだろうが。
 しかしフルーティーで爽やかで、軽やかでありつつ確かなコクと旨みがあり、ゆっくり、じっくり飲んでとても美味い。
 この香り高くフルーティーで苦みの中に甘さを感じるところなど、ヴァイツェン・ビールにも似ているように思った。
 これは本当に美味いビールだ。
 プレモル香るエールも好きなビールだが、個人的にはこちらの方がより好きだ。
 これまで飲んだサントリーのビールの中で、筆者として一番好きだ。

 ただ、筆者が初めて見た時に「プレモル香るエールと、どう違うのだろう?」と疑問に思ったように、クラフトセレクト香り彩るビールPALE ALEという商品名では、プレモル香るエールとの違いをアピールしにくかったのかも知れない。
 現在はこのクラフトセレクト香り彩るビールPALE ALEは店頭から無くなっていて、代わりに類似したデザインで同じ色の缶の、東京・武蔵野ブルワリーの名前を前面に出した東京クラフトPALE ALEという商品が並んでいる。
 この東京クラフトPALE ALEが、今回飲んでみたクラフトセレクト香り彩るビールPALE ALEの缶のデザインと名称を少し変えた同一のものであるか、またいずれ飲んで確かめてみるつもりだ。

サントリー・クラフトセレクトP1110592

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