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空と虹と恋と

 大好きな写真のこと、そしてゲームやコミックスの話から歴史&時事問題まで、思いつくまま雑多に語ってみたいと思っております。さらに筆者の度重なるイタい失恋話についても、どうぞ憫笑しつつお読み下さいまし。

オールドパー・シルバーとハイボール

 新聞を読んでいたら、新製品としてオールドパーをややお手頃にした製品、オールドパー・シルバーが紹介されていた。
 オールドパーよりは格下ではあるが、廉価版と呼べるほど安くもない。
 だが記事によると、輸入しているモエ ヘネシー ディアジオは、日本人にこれをハイボールで飲むよう勧めている。
 お手頃価格でもないこれを、薄く割りハイボールでガブ飲みしろと言うのか?
 で、納得できなかった筆者は、そのオールドパー・シルバーを買い、いろいろ試して飲んでみた。

オールドパー・シルバーP1190813

 キャップを開けると、安いスコッチと違ってアルコールの刺激臭が無い上に、品の良い穏やかな甘くフルーティーな香りを感じる。
 ほのかなスモーキー香も、良いアクセントになっている。
 スモーキー香は隠し味程度なので、スモーキーさが好きでない人にも良いと思う。
 飲むとまろやかで甘く、そしてビターだ。
 ストレートで充分に美味しく、スタンダード・スコッチとの差を開封直後にストレートで飲んで痛感する。
 コクも充分にあり、味わい深い。
 ナッツとフルーツとキャラメルの味わいに、僅かなスモークの香り。
 まず感じるのは、程良く、しかし確かな甘さだ。
 そしてそれをビターさが上手に引き締めている。
 一言で表現すれば「甘くビター」だが、それだけでは言い表せない奥深い味と香りを感じさせてくれる逸品だ。
 余韻は奥深い甘さとスモーキーさで、心地良く長く続く。
 味に甘さの他に濃さと深みがあり、不満や欠点などただの一つも無い。
 キャップを開けてすぐ、空気に充分に触れさせ長い眠りから覚めるのを待たずに飲んで、「これは美味い、これは好きだ!」と感動した。

 時折空気に触れさせながら一週間ほど待ち、改めてストレートで飲んでみた。
 穏やかに感じた香りが、とても豊かかつ甘やか、そして華やかになっていた。
 このウイスキー、数日間待って空気に触れさせるだけで、香りがグッと華やかになる。
 香りにメープルシロップも感じる。
 口に含むとまず甘く、そしてビターだ。
 バーボンのようなキャラメルの濃い甘さではなく、しっかり感じるが爽やかで心地良い花の蜜に似た品の良い甘さだ。
 そのしっかり感ある甘さはビターさによってスッと消え、余韻には程良いスモーキーさが主に残る。
 スモーキーさは香りの中や飲んでいる時には殆ど感じず、飲み下すと口の中にフワリと広がる感じだ。
 スモーキーさを求める人にもそうでない人にも向いた、絶妙のバランスだ。
 甘くビターでコクがあり、まろやかでありながら豊かな味わいで、さらにスモーキーさも残す、とても素晴らしいスコッチだ!
 ストレートで飲んで口当たり良く滑らかで、これをわざわざ何かで割る必要を少なくとも個人的には全く感じない。
 このオールドパー・シルバー、特別の日のお酒にするのではなく、普段飲むことができたらとても幸せだ。

 この豊かなコクと深い味わいを台無しにするかも知れないと思うと、ストレートでじっくり味わった後これでハイボールを作ろうと思うと、正直に言って気が引けてしまう。
 だが日本人で「ウイスキーを飲む」という人の大半は呪文のように「ハイボールで!」と言うし、輸入代理店のモエ ヘネシー ディアジオも日本人にはハイボールで飲むよう勧めるので、あえてハイボールを作って飲んでみた。
 冷たいグラスと炭酸水で冷やされたせいで、香りはほぼ「台無し」に近いほど損なわれる。
 このスコッチのハイボールの香りを良いと思えるのは、ストレートの豊かな香りを知らないお気の毒な人だけだ。
 ただ1:3に薄めた割には味わいが残り、ビターさもスモーキーさも消えて無くなるものの、ただ「甘い」だけでは言い表せない複雑かつ上品な甘さを感じさせてくれる。
 安いウイスキーで作ったハイボールとの「格の違い」を感じさせてくれる。
 確かに「ハイボールも、良いウイスキーで作った方が美味しい」ことを実感させてくれた。
 それでもハイボールにすると、ストレートで飲んだ時の華やかな香りや豊かな味わいとコク、それにスモーキーな余韻などの様々な良い点が台無しになるのも痛いほど感じた。

 オールドパー・シルバーのハイボールは、安いウイスキーのハイボールより確かに「美味しい」が、ストレートで飲んだときに感じた良さが色々と損なわれるのは、紛れもない事実だ。
「喉の渇きを癒すとか、料理を流し込むなどの為にガブガブ飲むなら、角瓶のハイボールで充分だろwwww」と心から思った。
 ハイボールは、例えばビールなら程々に冷やしてゆっくりじっくり味わって飲むことを知らず、「キンキンに冷やして喉越しでガブ飲みするもの」としてしか認識していない人の飲み物であると、改めて理解できた。
 このオールドパー・シルバーのような良いスコッチをハイボールにして飲むなど、本当に「勿体ない」としか言えない。
 ウイスキーをストレートでも飲める人は、このオールドパー・シルバー、是非ともストレートで飲んでいただきたい。

 ウイスキーの中には1:1のトワイスアップで割るだけでも「水っぽい」と感じさせるものが少なからずあるが、オールドパー・シルバーは水で割ってもかなり味を残す。
 もちろん味や香りはかなり損なわれるが、相当に薄く割っても、甘さを中心としたウイスキーの味の片鱗はそこそこ残す。
 だからトワイスアップが、案外に良かった。
 水っぽさは感じず、ストレートの味わいとコクをかなり残しているので、普段は日本酒や本格焼酎やワインを飲んでいる人なら美味しく飲めると思う。
 ただ香りとビターさと余韻が損なわれるので、「ウイスキーをストレートで飲めるなら、是非ストレートで」と勧めたい。
 ただ日本人は歴史的に「軽い酒が好きな陽気な民族」なので、アルコール度数が40%かそれを越える蒸留酒を「キツい」と感じる人が少なからずいるのは事実だ。
 その種のストレートのウイスキーやブランデーをキツく感じる方は、ハイボールでなく是非トワイスアップで飲んでいただきたい。

 筆者はこのオールドパー・シルバー、「ストレートで飲むのが最良!」と断言する。
 そして「ハイボールとは、ストレートでは80点の良いウイスキーを50点にし、原酒が若すぎてストレートではとても飲めない20点の安物ウイスキーを40点のまあ飲める状態にするもの」と、改めで実感した。
 繰り返すが、ハイボールは良いウイスキーで作った方がより良いのは事実であると同時に、「良いウイスキーの味と香りと余韻を損ない台無しにして、安いウイスキーを飲めるものにする」のも確かである。

 最も美味しいと感じたストレートで、オールドパー・シルバーをあのジョニ黒と飲み比べてみた。
 香りは似ているが、オールドパー・シルバーの方がやや華やかに感じた。
 ただアルコールの刺激はジョニ黒の方がより少なくりまろやかで、ジョニ黒の方が原酒がより熟成されていると感じる。
 だがその差は間をおかずに続けて飲み比べなければわからず、殆ど気にならない。
 オールドパー・シルバーの方が甘くフルーティーで優しく、ジョニ黒の方がよりビターでスモーキーで、まろやかでありつつ男性的で力強い。
 オールドパー・シルバーはスモーキーさを主に余韻に感じるが、ジョニ黒は飲む前の香りだけでなく、口に含んでも感じる。
 比べるとジョニ黒の方がよりスコッチらしく個性的で、オールドパー・シルバーはバランスの取れた万人向けの、ウイスキー好きになら誰にでも勧められる良品だ。
 これは普段に飲めたらとても幸せな、実に良いスコッチだ。
 ジョニ黒にこそ及ばないもののその差は本当に僅かで、「自分はオールドパー・シルバーの方が好きだ」と言う人もいる筈だ。
 それに対し、ジョニ赤やベルやホワイト&マッカイなど、どれだけ良いスタンダード・スコッチと比べても、その差は歴然としていて段違いである。
 ただ、それは「ストレートで飲んだとしたら」という前提の話で、日本人が大好きなハイボールにしてしまったら、気をつけ味わって飲まない限りその違いはわからないだろう。

 唐揚げなど料理を流し込みながらハイボールにしてガブガブ飲むなら、このオールドパー・シルバーなど良いウイスキーを使うのは全く無意味で、本当に角瓶で充分である。
 出来ればストレート、日本酒や本格焼酎やワインを飲めるならせめてトワイスアップで飲んでほしい。
 このオールドパー・シルバー、オールドパーより格下扱いだが安いものではないので、そうでなければ勿体ない。
 ウイスキーをハイボールで飲むべきは、お酒と言えば「キンキンに冷やしたビールを喉越しでガブガブ!」という人のみだ。
 ビールすらあまり冷やしすぎるのを避け11~16℃程度にして、香りを楽しみながらゆっくりじっくり飲みたい筆者に言わせれば、オールドパー・シルバーを美味しく飲むには、①に常温ストレートで、②がこれも常温のトワイスアップ、③も④も無く、⑤あたりにようやくハイボールといったところだ。

 こんなオールドパー・シルバーを、華やかな香りも豊かな味とコクも余韻も台無しにするハイボールで飲むことを日本の消費者にあえて勧めるモエ ヘネシー ディアジオの販売(宣伝?)担当者は、この国の異様とも言える「ウイスキーの」ではない「ハイボールの」ブームを熟知しているのだなとは思う。
 しかしそれと同時に、「ウイスキーを愛する者ではなく商売人なのだな」とも思った。

 輸入代理店はハイボールを勧めるが、このオールドパー・シルバー、「ビールや缶チューハイしか飲めない」というのならともかく、日本酒や本格焼酎やワインも飲めるなら、ストレートと言わぬからせめてトワイスアップで飲んでほしいと願う。
 筆者個人はこのスコッチ、ストレートが最も美味しいと確信している。

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BELL'Sとハイボール(そしてストレート)

 定評あるスタンダード・スコッチ、ベル(BELL'S)を改めてじっくり飲んでみた。
 このベル、ボトルのネックがその名にちなんで鐘のベルの形に作られているのがまず可愛い。

ベルP1160080

 グラスに注ぐと、甘いフルーツの香りと、ほのかなスモーキー香が漂う。
 スタンダード・スコッチも含めたオテゴロ価格のウイスキーにありがちなアルコールの刺激臭はかなり少なく、飲む前からまろやかで豊かな味であろうと推察できる。

 口に含むと花の蜜の甘さをまず感じ、程良いビターさが心地良く追いかけてくる。
 スタンダード・スコッチとしてはまろやかでストレートで美味しく飲め、そしてコクや味わいも深い。
 余韻の主体はスモーキーさで、蜜の甘さと共に長く続く。
 これは良いスタンダード・スコッチだ!
 もう一杯飲みたくなる、屈指の出来である。

 開封して空気に触れさせながら十日ほど待ち、改めてストレートで飲んでみる。
 林檎や梨などのフルーツの香りの他、スモーキー香も明確になる。
 飲むと甘くまろやかでビター、そしてコクもあり、スタンダード・スコッチとしてはかなり上等であると改めて感じた。
 フルーティーな甘さの他に花の蜜の甘さも感じ、それを適度なビターさと余韻のスモーキーさが引き立てる。
 ストレートで充分満足して美味しく飲め、何かで割る必要を全く感じない。
 開封直後から美味しく飲めたが、数日間かけて空気に触れさせ、樽の中で何年も貯蔵されていた原酒を眠りから覚ますともっと美味しくなる。
 スタンダード・スコッチとしてはかなり良い、ちゃんと樽熟成させた原酒を使っていると思われる。

 次は、ウイスキーと言えば日本で定番になってしまっているハイボールにして飲んでみた。
 香りは爽やかだが、あまり香り立つ感じではなく、ストレートの時よりも弱くなる。
 不味くはないし、何の抵抗もなくスイスイ飲めるのだが、冷えたせいでせっかくの甘さもコクも失せてしまい、感じるのはビターさとスモーキーさだけだ。
 香りもかなり失せた印象だ。
 唐揚げとか油っこい料理を流し込む、あるいは喉の渇きを癒す為にガブ飲みするには良いが、ウイスキーをちゃんと味わって味わって飲みたい人にはハイボールは全く勧められない。
 ハイボールはベルの良さを無くして、凡百のお手頃価格のスコッチや、角瓶などの国産ウイスキーと同じにしてしまう。

 お酒を味わって飲むのではなく、とにかくガブガブ飲んで酔っぱらいたい人には向いているだろうが、お酒をゆっくりじっくり楽しんで味わって飲む人には、ハイボールは勧められない。
 ハイボールにするならベルでなく、角瓶やトリスなどで充分だ。
 ハイボールは安い駄目なウイスキーを何とか飲む方法で、良いウイスキーの味と香りを台無しにしてしまうのだと改めて痛感した。
 ストレートでゆっくりじっくり味わって飲んだ時の味と香りと比べると、ベルのハイボールはただ「残念だ!」としか言いようがない。
 繰り返すが、ハイボールは決して不味くはない。
 しかし良いウイスキーの美味しさを損ない、「勿体ない」と思わせてしまうのもまた事実だ。

 トワイスアップは、香りはやや弱くなるが味は優しくもなる。
 まず甘い香りが引き立つ。
 そして飲んでみるとアルコールのキツさが消え、甘さと飲みやすさがより引き立つ。
 マイルドで優しい。
 ウイスキーをストレートで飲み慣れている人にはストレートを勧めたいが、いつも日本酒や本格焼酎やワインを飲んでいる人にはトワイスアップを勧めたい。
 ベルのトワイスアップは「薄くなった」というのではなく、「優しく飲みやすくなった」という感じだ。
 味やコクの点で、ストレートで飲み慣れている人にはストレートを勧めるが、それ以外の人はトワイスアップが良いかも知れない。
 これは良いスコッチだと、トワイスアップで飲んで改めて感じた。

 水に割り負けない。
 トワイスアップでも、ハイボールでは消えて無くなった余韻を充分に感じる。
 しかし飲み比べると、ストレートの方がコクと味わいを深く感じる。
 ただ日本人に多い、「ウイスキーやブランデーなどアルコール度数40%かそれ以上の蒸留酒をストレートで飲むのはキツいが、日本酒や本格焼酎やワインなら飲める」という人には、トワイスアップが良いだろう。

 日本人の皆さんに。
 アルコール度数40%のウイスキーをストレートで飲むのはキツいからと言って、いきなりハイボールに薄く割ってしまうのは待ってほしい。
 その前に、是非とも常温の1:1の水割り、トワイスアップも試してみてほしい。
 ハイボールで飲むなら、本当に角瓶やトリス、あるいはブラックニッカ・クリアで充分だ。
 このベルも含め、良いウイスキーをいきなりハイボールに薄く割ってガブ飲みしてしまうのは、心底「勿体ない!」と思う。

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ベルギーのホワイトビール白濁(しろにごり)

白濁①P1180170白濁②P1180176

 ベルギー直送のホワイトビール、白濁(しろにごり)を飲んでみた。
 ベルギーのビールと言うとついホワイト・ペールエールビールを連想してしまうが、この白濁はペールエールではないホワイトビールである。
 麦芽の使用率は25%未満に過ぎず、その大麦と小麦の麦芽とホップの他に糖質副原料として大麦と小麦を使い、さらに天然自生酵母も加えている。
 このビールが“白濁”なのは、日本の殆どのビールと違い濾過していないからだ。
 濾過をすると、せっかくの天然自生酵母も取り去られてしまう。
 が、名前に白濁と付けられていなければ、濁りに気付かないかも。
 グラスに注ぐと、濁っていると言うより「澄んでいない」という程度だ。
 少し前に飲んだヤッホーブルーイングの『僕ビール、君ビール。屋上のジョン』の方が濁っていると感じた。

 香りは甘やかでフルーティーで、花をも思わせる。
 飲んでも甘くフルーティーで、味わいは軽やか。
 味の中に柑橘を感じ、それがとても良い後味と余韻になっている。
 苦さは殆ど無く、レモンやグレープフルーツのジュース程度の僅かな苦味しか無いので、「ビールは苦いから」と嫌っている人に是非とも飲んで欲しく思った。
 コクや味わい深さが無い代わりに、喉越し良くとてもスッキリしていて飲みやすい。
 麦芽の使用率は新ジャンル酒と同程度だが、天然自然酵母のせいか製法の違いなのか、格の違いを感じる。
 味は軽いが、味も香りもとても上品で素晴らしい。
 個人的には、ベルギーのビールなら確かなコクと味わいのあるベルジャン・ホワイトエールビールの方が好きだが、これはこれで上等なビールだ!
 甘くフルーティーな上に、軽やかで喉越しが良いので、ラガービールが好きな日本人にも向いていると感じた。
 喉越しで飲むビールが大好きの日本人に、是非この白濁を知って欲しく思った。

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エチゴビール FLYNG IPA

「全国第一号地ビール」というエチゴビールの、FLYNG IPAを買ってみた。
 グラスに注ぐだけで、ハーブ感溢れるホップの清々しい香りが辺りに漂う。
 色はやや濃いめだ。

エチゴビール・フライングIPA①P1190015エチゴビール・フライングIPA②P1190014

 飲むとグッと来る強い苦味を感じるが、その苦さは爽快である。
 口の中をスッキリさせてくれるし、後味もとても良し!
 そして苦いのと同時に、フルーティーな甘さも感じる。
 コクと味の深みがしっかりと感じられ、とても美味しい!
 苦いのが苦手な人には向かないが、ビールの苦さと言うかホップの香味が好きな人は堪らない旨さを感じるだろう。

 味の主体は苦味だが、これは決してただ苦いだけのビールではない。
 甘さやハーブの香味など、複雑で深い味わいと香りがある凄いビールだ。
 さすがは、「全国第一号地ビール」を名乗るだけある。
 ビールは「キンキンに冷やして、喉越しで一気にゴクゴク飲み干すもの」と信じている人達には永遠にその良さが理解できないであろう、わかる人にのみ愛される絶品ビールだ。
 このビールを飲んで、日本人にも本当に良いビールをワインのように大切にじっくりゆっくり味わって飲む方法を是非とも知って貰いたいと心から思った。
 日本のビールメーカーはエールビールの飲み方をもっと消費者に積極的に伝え、「ビールはキンキンに冷やして、喉越しでガブ飲みするもの」という洗脳をどうか解いてほしい。

 先週はヤッホーブルーイングの“僕ビール、君ビール。屋上のジョン”を、そして今週はエチゴビールのFLYNG IPAを飲んで、ビールとはただ喉越しだけではない、味わい深く余韻豊かな何と素晴らしいお酒なのだろうと感動した。
 個人的にだが、日本で主流の喉越しで飲むラガービールより、ゆっくり味わって飲むべきエールビールの方が遙かに美味しいと思う。
 キンキンに冷やしてゴクゴク喉越しで飲むラガービールと、程々に冷やしてゆっくりじっくり味わって飲むべきエールビールは、もはや「別の酒」と言うべきだと思った。
 ラガービールとエールビールは、赤ワインと白ワイン以上に違う。
 ラガービールを“ビール”と言うなら、エールビールはもはや良質なワインに飲み方だけでなく味も香りも近い。
 その程々に冷やしてゆっくりじっくり味わって飲むべきエールビールを、ラガービールのようにキンキンに冷やして香りと甘味を台無しにした上でガブ飲みして、「オイシクナイ、喉越しが良くないし重い」とか言うのだから、日本の“ビール飲み”の無知には呆れるし、メーカーのエールビールの味わい方についての広報の不足を叱りたい。

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僕ビール、君ビール。屋上のジョン

 ヤッホーブルーイングの、買えば必ず「旨い!」と唸ってしまう『僕ビール、君ビール。』の屋上のジョンを、遅ればせながら飲んでみた。

僕ビール、君ビール。屋上のジョン(表)P1180663僕ビール、君ビール。屋上のジョン(裏)P1180664

 缶に「ハッとする味と香り」とあるが、グラスに注ぐ途中で、ハーブを思わせるホップの鮮烈な香りに感動させられる。
 濾過していないのか、グラスに注いだビールは濁っている。
 これは日本ではかなり少数派だ。
 ただ濾過していないせいか、飲むととても味わい深い。

 飲むと甘くフルーティーで、ハーブ感あるほろ苦いホップの美味しさと香ばしさが口の中に広がる。
 決して重くないが、コクがあり味わい深く、とても美味しい!

 ベルジャン酵母とアメリカンホップで造ったベルジャンペールエールだと言うことだが、ペールエールビールの魅力を存分に感じさせてくれる、素晴らしいビールだ。
 後味もサッパリし、ホップの爽やかな香味が余韻として長く残り、とても心地良い。
 ゆっくり、じっくり味わって飲むと、至福の酔い心地を楽しめる。
 これは素晴らしい!!
 素晴らしすぎる良いビールだ。
 上質なワインのようにまず香りを堪能し、そしてゆっくり味わって飲んでほしい。
 頼むから、これをキンキンに冷やして甘みと香りを損なった上に、それをスーパードライか何かのように喉越しでガブ飲みしたりしないでほしい。


 断言するが、日本で主流の糖質副原料(米・コーン・スターチ)をたっぷり使ったラガービールと、麦芽とホップだけで造ったエールビールは、名前は同じ“ビール”でも実は別の酒と言っても良い。
 ヤッホーブルーイングが造るこの『僕ビール、君ビール。』のようなエールビールと、日本に多い糖質副原料を何種類も使ったラガービールとは、冷やす温度も飲み方も全く違うのだということを、どうかビールが好きな日本人に知ってほしいと、心から強く願う。
 日本人の自称“ビール飲み”達は、エールビールの飲み方を知らず、スーパードライのようにキンキンに冷やして喉越しでガブ飲みして「高いのに、大してオイシクナイ」とか言うのだから、呆れてしまう。
 と言うか、エールビールを造るメーカーは、適温や飲み方を缶に書くなどして、日本人が“ビール”と思い込んでいる糖質副原料たっぷりのラガービールとは違うエールビールの楽しみ方を、人々にもっと広く伝えるべきではないだろうか。
 それでないと、せっかくの良いエールビールの良さが日本人に伝わらずに勿体なさ過ぎる。

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秋の金麦&金麦琥珀の秋

 筆者は最近の新ジャンル酒の品質の向上に驚いている。
 もちろん麦芽をたっぷり使った本物のビール、クラフトビールやエールビールなどのプレミアム・ビールとは格が違うし、比べるまでもなく味も香りも満足感も劣るが。
 しかし多くの日本人が“ビール”と認識している、米やコーンやスターチなどの糖質副原料をたっぷり使ったラガー系のアレとはほぼ同等か、モノによってはそれ以上かと思っている。
 筆者は日本人が好きなスーパードライを飲むくらいなら、絶対に新ジャンル酒を飲む。
 値段の問題でなく、味の点で「新ジャンル酒よりスーパードライの方が不味い」と思っている。

 筆者の感覚では、「今の新ジャンル酒≦糖質副原料を何種類も使った日本に多いラガー系のビール<麦芽とホップだけで造ったビール<<<越えられない壁<<<クラフトビールやエールビールなどプレミアム・ビール」という印象だ。
 で、この秋に出された金麦と、限定醸造の金麦琥珀の秋を飲んでみた。

サントリー・金麦琥珀の秋P1200177

 まずは、通常の金麦から。
 金麦は季節ごとに味を変えているが、飲んでみたのは秋の金麦である。
 香りはほのかだが、悪くない。
 メーカーは「まろやかに仕立てた」と言うが、確かに軽めで料理を食べながらグイグイ飲むのに向いている。
 だが夏の金麦より少しだがコクと味わいがある。
「美味しい!」と声を上げたくなるような出来ではないが、優しい甘さと苦さのバランスが良く、飲みやすくて欠点や嫌味がまるで無い。
 後味も案外好ましい。

 さて、金麦琥珀の秋だ。
 メーカーは「ロースト麦芽の香ばしいコク」と言うが、確かにローストされた麦芽の良い香りを感じる。
 名前の通りに琥珀色で、普通のビールと黒ビールの中間のような色だ。

 まず感じるのは麦の豊かな甘さで、その中にローストされた麦芽の香ばしさをほんのりと感じる。
 香ばしくはあるが、苦くない。
 色だけでなく、味も普通のビールと黒ビールの中間のような感じだ。
 だから苦いビール黒ビールが苦手な人にも合いそうだ。
 コクはビールとして考えると「そこそこ」という程度だが、新ジャンル酒としてはコクがある方で飲み応えもある。
 飲んでいる時は「苦くない」と思ったが、飲み終えた後の余韻にホップの不快でないハーブ感ある苦さが残る。
 後味も良い感じだ。

 普通のビール好きにも、黒ビール好きにも好まれそうな、なかなか良い出来の酒だ。
 嫌味も全く無いし、黙って出されたら新ジャンル酒とわからないのではないか。
 サントリービール株式会社はプレミアム・ビールだけでなく安い新ジャンル酒まで、本当に手抜き無く良い物を造る。
 この金麦琥珀の秋は限定醸造品だが、店にあるうちに是非また飲みたく思った。
 今はもう「新ジャンル酒なんて飲めねぇよwwww」と馬鹿にしてはいけない。

 とは言うものの、この10月から酒税が変更され、新ジャンル酒の値段が上がるという。
 その新ジャンル酒といわゆる“ビール”の価格の差が縮まった後が、新ジャンル酒が存続できるかどうかの勝負だろう。
 麦芽と良質なホップをたっぷり使った本物のビールとは、最初から勝負にならないが。
 しかし出来の良い新ジャンル酒なら、「米もコーンもスターチもと、糖質副原料をたっぷり使って麦芽をケチった日本の自称“ビール”にならば勝ち目もあるのではないか」と筆者は思っている。
 実際、筆者は例え同じ値段だとしても、自分で買って飲むならスーパードライより、金麦やザ・リッチや麦とホップなどの新ジャンル酒を選ぶ。

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麦とホップ シングルモルト THE HOP

 ビール類と言うか新ジャンル酒なのに、シングルモルトを名乗る酒がある。
 サッポロビールの、麦とホップシングルモルトである。
 繰り返すが、ウイスキーではない。
 安い新ジャンル酒なので、面白半分で一本買ってみた。

サッポロ・麦とホップ新P1190844

 だがその麦とホップの“シングルモルト”を飲む前に、比較の為にまず通年販売品の麦とホップを飲んでみた。
 このクラス(新ジャンル酒)としては香りも良いし、飲めばほろ苦くほのかに甘く、喉越しが良い上にそれなりにコクと味わいもある。
 日本に多く、日本人が好んで飲む米もコーンもスターチも使った糖質副原料たっぷりの自称“ビール”の代用に充分になる良い出来だ。
 もちろん、ヱビスやプレモルなどの良質な本物のビールには遠く及ばないが、価格を考えれば充分すぎる出来でコスパ良し。
 ただ喉越しでイッキ飲みするだけでなく、味わって飲んでも悪くない。
 金麦にしろ、ザ・リッチにしろ、この麦とホップにしろ、最近の新ジャンル酒の品質の向上には目を見張るものがある。
 だから「土・日・祝祭日は本物のビールで、平日は新ジャンル酒」という飲み分けも、充分に考えられる。

サッポロ・麦とホップシングルモルトP1190843

 さて、いよいよビール類なのにシングルモルトを名乗る、麦とホップシングルモルトを飲んでみる。
 プルタブを開けグラスに注ぐと、甘い香りがとても魅力的だ!
 本物のビールにも、これだけ香るものはそう多くない。

 味は軽やかで、まず甘い。
 フルーツの甘さとも穀物の甘さとも言えないが、心地良い甘さをまず感じ、それをほのかなホップの香味と苦味が引き締める。
 喉越しでゴクゴク飲むと、後味がとても爽やかで心地良い。

 これはコクや味の深みがあまり無いスッキリしたタイプなので、ゆっくりじっくり味わって飲むのには向かない。
 だがただ喉越しだけのビール類ではなく、飲んで心地良い味の良さと爽やかさがある。
 甘さがおいしい、スーパードライとは対照的な喉越し系のビール類だ。
 個人的には、スーパードライよりこちらの方が千倍は好きだ。
 麦芽に、ドイツ産アバロン種の麦芽飲み使用しているから「シングルモルト」なのだそうだが、出来ることなら是非このアバロン種の麦芽とホップのみで造った本物のビールを製造して売り出して欲しいものだと思った。

サッポロ・麦とホップTHE HOP P1190842

 さらに麦とホップ THE HOPも飲んでみた。
 メーカーによれば、「最高級ファインアロマホップ一部使用」とのこと。
 プルタブを開けグラスに注ぐと、確かに香ばしい、黒ビールのそれとは全く違うハーブ感ある良い香りがする。

 飲むとハーブ感に富んだホップの心地良いほろ苦さが魅力的だ。
 新ジャンル酒にしては意外なくらいコクと味の深みがあり、ゆっくり、じっくり、味わって飲める。
 これは下手なビールよりも美味しい!
 喉越しでイッキ飲みするには飲み応えがあり過ぎるくらいで、人によって、具体的にはスーパードライやのどごし〈生〉が好きな人は「重い」と思うだろうし、ホップの苦味が苦手な人には向かないだろうが、これはビール好きには喜ばれそうな良い酒だ。
 飲んだ後も口の中にホップのハーブ感ある香りと味が余韻として残って、後味もとても良し!
 個人的には同じ麦とホップの限定醸造品のシングルモルトより好きだ。

 この両者、喉越しでゴクゴク飲みたい人にはシングルモルト、味わってじっくり飲みたい人にはTHE HOPといったところだろう。
 で、麦とホップの通年販売品にはその両者のような強い個性は無いが、喉越しで飲んでも味わって飲んでもイケる良さがある。

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サントリー東京クラフト三種(バーレイワイン・I.P.A.・ペールエール)

 これは良い悪いの問題ではなく、純粋に個々人の好みの問題だが。
 筆者はビールも大好きだが、日本のビール飲みを称する人達に多い「キンキンに冷やして、喉越しでガブガブと一気に」という飲み方が嫌いだ。
 筆者は欧州の人のように、ビールは程々に冷やして、ゆっくり、じっくり味わって飲むのが好きだ。
 だから日本のビールに多い、糖質副原料(米・コーン・スターチ)をたっぷり使った、喉越し最優先の薄味でコクも深みも無いスーパードライを代表する自称ビールは好まず、クラフト系のビールを愛して飲んでいる。
 それで今回、サントリーのT0KY0 CRAFTを三本飲んでみた。

サントリー・東京クラフト・バーレイワイン(表)P1180665サントリー・東京クラフト・バーレイワイン(裏)P1180666

 まずは、T0KY0 CRAFT バーレイワイン2019から。
 名前はバーレイワインだが、間違いなくビールである。
 19世紀にイギリスで生まれた、「麦のワイン」を意味するビアスタイルだそうである。
 その名と由来の通り、まず香りからフルーティーで赤ワインを思わせる。

 飲むと甘く、そしてほろ苦い。
 甘さはチェリーを思わせるフルーツの甘さで、そこも赤ワインに似ている。
 そしてそのフルーティーな甘さを、ホップのハーブ感あるほろ苦さが引き締めている。
 ビールの色も赤味を帯びた濃い色で、赤ワインを思わせる。

 世の中に、良い赤ワインをキンキンに冷やして喉越しでゴクゴク飲む馬鹿はいないと思うが。
 このT0KY0 CRAFT バーレイワインというビールも、赤ワインのようにゆっくり、じっくり、味と香りを堪能しながら飲むべきだ。
 これを日本の副原料たっぷりのビールのようにキンキンに冷やした上に、喉越しでゴクゴク飲んだりしたら、本当に勿体ない。
 良い意味で、あのスーパードライと真逆のビールである。

 メーカーは「麦の濃密で豊かなコクと余韻をお楽しみ下さい」と言うが、その言葉以上の絶品ビールだ。
 麦の豊かなコクと余韻をチェリーのフルーティーさに昇華させた見事さは、褒める言葉が見つからないほど凄い!
 こんなビールを造ったサントリービールに、心から敬意を表したい。
「ビールと言えば、スーパードライ!」と言う人には到底理解できないであろう、日本人に多い「ビールは喉越し!」派の好みとは対極の、クラフトビール好きにはたまらない絶品ビールだ。
 素晴らしい!
 素晴らしすぎる!!

 ちなみにバーレイワインはアルコール度もかなり高く、このT0KY0 CRAFT バーレイワインも9%である。
 だがアルコールのきつさは全く感じず、ただ飲み応えとコクをものすごく感じ、そして飲んだ後で満足感と酔いを感じる。
 筆者がこれまでに飲んだ中で、ほぼ最高に近いビールだ!

サントリー・東京クラフトIPA2020P1190398

 次は、T0KY0 CRAFT I.P.A.2020だ。
 メーカーは「シトラスホップを一部使用した鮮烈な香り」と言うが、グラスに注いだ時の香りはさほど強くない。
 しかし香りそのものは、とても素晴らしくて心地良い。
 そして色はやや濃い。
 I.P.A.(インディア・ペールエール)もビールとしては一般的にアルコール度が高めだが、このT0KY0 CRAFT I.P.A.2020のアルコール度数は7%である。

 香りはさほど強くなかったが、飲んだ途端にホップの高いハーブ感と香味を感じる。
 ホップを強烈に感じるが、苦いというのではなく香味が強くて爽やかだ。
 コクと飲み応えがガツンとあり、ゆっくり、じっくり味わって飲みたい。
 このビールをスーパードライのように喉越しでがぶ飲みして「苦ッ! 重ッ!」などと否定的な印象を持つ人は、日本の「ビールは喉越し!」信仰に害されているのだと自覚した方が良い。
 このT0KY0 CRAFT I.P.A.2020は、スーパードライが大好きな喉越し原理主義者には到底理解できないであろう、別次元の絶品ビールだ。
 ビールをただ喉越しでイッキ飲みするのではなく、ゆっくり、じっくり味わって飲むことを知っている人にはたまらなく良いビールだ。
 日本で造られているI.P.A.の中でも、かなり出来の良い方である。

 上質なホップの心地良い苦味とハーブ感が口の中に残り、後味もとても良し!
 確かにホップをふんだんに使っているが、感じるのは「力強い苦味」でなく、ハーブ感ある香味だ。
 感動的に良いビールだ。
 このT0KY0 CRAFT I.P.A.2020、ホップの香味と美味しさを、心行くまで楽しめる。

サントリー・東京クラフトペールエール2020P1190382

 最後に、T0KY0 CRAFT PALE ALE2020だ。
 筆者はペールエールビールが好きだから、あえて三本のうち最後に飲んでみた。
 メーカーは「カスケードホップを使用した、心地良い苦味と爽やかな香りのビール」という。
 色は濃いめの黄金色で、香りは甘く豊かでホップの爽やかさもある。

 飲むと甘くフルーティーで、かつホップの苦味というより香味をしっかり感じる。
 コクや味わいも充分あり、それでいて少しも重くなく気持ち良く飲める。
 だがこれも良質なワインのようにゆっくり、じっくり味わって飲むべきビールで、キンキンに冷やして喉越しでイッキ飲みするのがビールだと信じ込んでいるスーパードライのファンには、永遠に理解できない旨さだろう。
 このT0KY0 CRAFT PALE ALE2020だけでなく、クラフトビールを好んで飲む人とスーパードライの愛好者は「人種や民族や宗教が違うのではないか?」と言いたくなるほど味覚も好みも違い、到底理解し合えるとは思えない。

 話は戻るが、このT0KY0 CRAFT PALE ALE2020、バーレイワインやI.P.A.のような強烈な個性こそ無いが、実にバランスの取れた良いビールである。
 蛇足だが、このT0KY0 CRAFT PALE ALE2020だけでなくバーレイワインやI.P.A.も、エール系のビールは赤ワインのように程々(11~13℃)に冷やして飲むべきで、キンキンに冷やすと甘味と旨味と香りが減り苦味だけが強くなって不味くなる。
 それを知らずにエール系のビールを他の日本に多いビールのようにキンキンに冷やして喉越しでがぶ飲みし、「あんまりオイシクナイ、スーパードライの方がずっと美味しい」などと文句を言うのは、己の無知をさらけ出す愚かな行為だから、くれぐれも止めていただきたい。

 それにしてもこのT0KY0 CRAFT、バーレイワイン2019もI.P.A.2020もPALE ALE2020も、どれも素晴らしく美味しいビールであった。
 サントリービールは良いビールを造る実力があると、心から感じた。

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金麦 香り爽やかエールタイプ

 まずは、通常の金麦から飲んでみる。
 季節ごとに味を変えていると言うが、今回飲んでみたのは夏バージョン。
 新ジャンル酒にしては意外にビールらしい香りが立っている。
 飲むと麦の自然な甘味を感じ、苦味は僅かだ。
 夏バージョンということで「薄味ではないか?」と危惧していたが、やはり味は薄めで、じっくりゆっくり味わって飲むには向かず、よく冷やしてゴクゴク飲むべき酒だ。
 だが、ただ喉越しだけの酒ではなく、薄味と言うより軽やかで、このクラスとしては意外に美味しい。
 個人的には“自称ビール”のスーパードライよりずっと好きだ。
 価格差が無くとも、同じ値段でも筆者なら間違いなくスーパードライより金麦を買う。
 単に季節ごとに味を変えているだけでなく、以前の金麦より確実に味も良くなっている。「爽やかに仕立てた夏の金麦」と缶に書いてある通りだ。

サントリー・金麦香り爽やかエールタイプP1190919

 さて、本題の金麦香り爽やかエールタイプだ。
 濃くしっかりした味のエールビールと、夏向きの軽めのビール類は相性が悪いのではと、飲む前に思った。
 香りは悪くないが、良いと言ってもいいが、本物のエールビールには遠く及ばない。
 しかし飲んでみると、新ジャンル酒としては驚くほど甘くフルーティーだ。
 穀物の甘さではなく、フルーツの甘さなのだ。
 そして嫌味は全く無く、新ジャンル酒としては驚くほどコクと味わいがあり、それでいて重くなく喉越しでもゴクゴク飲める。
 しかもゆっくり味わって飲んでも美味しいのだから、驚嘆に値する。
「エールビールは重い」と思っている人にもエールビールの良さを感じてもらえる逸品だ。
 これまでに飲んだ新ジャンル酒の中で、個人的に最高と言える。
 いや、糖質副原料をたっぷり使った下手なビールより美味しいくらいだ。
 実名を上げれば、スーパードライなどより千倍も良い。

 飲んでいる間はフルーティーな甘さとビールらしいコクを感じ「苦くない」と思ったが、飲んだ後にほのかな苦味、それもハーブ感のある爽やかな苦さを僅かに感じ、それが口の中をサッパリさせる。
 後味まで良く、新ジャンル酒の傑作と言える。
 この夏の限定品だが、売れ残っていたら是非とも買い占めたく思った。
 通常の金麦も悪くないが、それより遙かに良い出来だ。
「新ジャンル酒など飲まない」と、新ジャンル酒を馬鹿にしている人にこそ是非飲んでみて欲しい製品だ。
 キンキンに冷やして喉越しでガブ飲みするのに向いた、ドライで軽いビール類を造って売りたくなる時期に、よくぞ味わいとコクのあるフルーティーな逸品を造ったと、サントリービールに敬意を表したく思った。

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キリン ブラウマイスター芳醇プレミアム

 筆者はビールは好きだが、「じっくり、ゆっくり、味わって飲む派」である。
 日本に多い「ビールは喉越し!」という人達とは違う。
 だから麦芽にホップ、それとあえて加えるならばコリアンダーシードやオレンジピールなど少量の副原料で造るビールが好きで、日本に多い糖質副原料(米・コーン・スターチ)をあれこれ加えたものは、どうも好きになれない。
 特にスーパードライのように麦芽を限界まで減らして糖質副原料をたっぷり使った、ビール純粋令のあるドイツでは通用しない自称“ビール”については、ハッキリ「嫌い」と断言できる。

 さて、そこで飲んでみたのが、キリンブラウマイスター芳醇プレミアムである。
 芳醇プレミアムを名乗る限定品ではあるが、原材料として、麦芽とホップの他に糖質副原料の米も使われている。
 プレミアムなのに麦芽とホップだけで造らず、その米もあえて加えた結果が、どう出るか。

キリン・プラウマイスター芳醇プレミアム①P1180889

 まずグラスに注ぐと、香りは軽めだが爽やかで良好だ。
 泡もきめ細かく良く立つ。
 最初の一口の印象は「軽めの味かな?」だ。
 悪い味ではないのだが、米という糖質副原料の影響で、麦芽とホップだけで造ったビール、例えばヱビスやプレミアム・モルツより確かに味が軽くなっている。
 で、最初は「味わい深さより喉越し優先で造ったか?」と疑ったのだが、グイグイ飲んでゆくとコクと味わいが意外にしっかりしていて、飲み応えがガツンと来る。
 これは喉越しと飲み応えを両立させた、なかなか良いビールだ。
 後味もホップの苦さでなくハーブ感が効いていて、とても良い。

 ただ、エールビールや麦芽とホップだけで造ったビールと同じように、ゆっくりじっくり味わって飲むと、少し薄味に感じてしまう。
 ゆっくりじっくり味わって飲んでも悪くはないが、本質的には喉越しでゴクゴク飲むべき、日本で多数派を占めるビール好き(キンキンに冷やして喉越しでゴクゴク飲みたい人)の嗜好に合わせた製品だ。
 とは言え、コクや味わいや飲み応えもちゃんとあり、スーパードライのように糖質副原料をたっぷり使って麦芽を極限まで減らした、ただ喉越しだけの薄くて不味い自称ビールとは大違いだ。

 筆者はビールに糖質副原料を使うことについては否定的だが、米など何か一種類を程々に巧く使うと、喉越しと味わいが両立した良いビールになると、このブラウマイスター芳醇プレミアムでよくわかった。
 ブラウマイスターの名に恥じない、なかなか良いビールである。

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