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空と虹と恋と

 大好きな写真のこと、そしてゲームやコミックスの話から歴史&時事問題まで、思いつくまま雑多に語ってみたいと思っております。さらに筆者の度重なるイタい失恋話についても、どうぞ憫笑しつつお読み下さいまし。

ビール類に少量のウイスキーを!

 筆者などのブログに目を留めて時々コメントを下さる、“ブロガー(志望)”というネット上の名と反して知性があふれた文を書く方から、とても面白いことを教わった。
 ビールに少量のウイスキーを垂らして飲むと、味はビールなのにウイスキーの風味が感じられて良いのだとのこと。
 それで早速、ビールにウイスキーを垂らして飲んでみた。

ダルグナー・ゴールドラガーP1190921

 ウイスキーを垂らしてみるビールには、無名だが正真正銘のドイツ産のビールである、ダルグナー・ゴールドラガーを選んだ。
 当然、ドイツのビール純粋令に従い、原材料は麦芽とホップだけである。
 アルコール度数は5.5%以上6.5%未満と少し高めだが、香りは香ばしく豊かでとても良く、クリアで澄んだ味で喉越しも良いが、決して重くないのに味わいとコクがしっかりあるという良いビールである。

 さてそのビール、ダルグナー・ゴールドラガーにウイスキーを垂らしてみる。
 麦芽とホップで造るビールと、麦芽から造るモルトウイスキーを原酒にするウイスキーだから、相性は良いだろうと飲む前から想定できる。
 そのウイスキーには、安いが本物のスコッチであるティーチャーズを使った。
 だが筆者はおバカなので、一缶のビール(330ml)にウイスキーをいきなりワンショット、30mlも混ぜてしまった。
 外国映画で見る、ただのビールでは物足りない荒くれ者が、ビールのジョッキの中にウイスキーを注いだショットグラスを落としてそのままグイと飲んで、周囲の紳士たちの眉をひそめさせるという、あのシーンと同じになってしまった。
 アルコール度数から言えば、計算上は約8%で、ストロング系の缶チューハイより軽いはずである。
 なのに飲むと、アルコールがキツいというのではなく、飲み応えがあり過ぎる濃い酒という印象だ。
 美味しいのだ。
 だがビールの苦さに加えて、冷えたウイスキーのビターさも強く感じられる。
 コクもあり過ぎるほどだ。
 とてもビールや缶チューハイのようにはゴクゴク飲めず、嫌でもゆっくり味わって飲むしかない。
 それにしても、旨いが強い!
 ストロング系の缶チューハイはもちろん、割った本格焼酎より強く感じる。
 日本酒の方が、まだ軽く飲めるくらいかも知れない。
 缶ビール一本に、ウイスキーをワンショット。
 これは効く!
 香り高く、味わいもとても深くコクもあり過ぎるほどで、飲む者に強いインパクトを与える。
 計算上のアルコール度数より、ずっと強烈な酒に化けるのが不思議だ。

 それで次に、同じダルグナー・ゴールドラガーに、ティーチャーズを計量スプーンに大匙一杯、15mlほど垂らしてみた。
 美味しいが、これでもまだウイスキーの味とアルコールが強く感じる。
 僅か15mlなのに、ウイスキーの味と香りの方が勝ってしまう印象なのだ。
 かと言って、ビールにウイスキーをワンショット垂らしたほど強烈な酒には化けない。
 強烈なインパクトは無いが、ウイスキーの要素がまだ強く出てビール本来の味が押され気味になってしまうという、何とも中途半端な印象だ。

 それでさらに、ダルグナー・ゴールドラガーに、ティーチャーズを計量スプーンに小匙一杯、5mlほど垂らしてみた。
 これは良い!
 ビールに、本来の味と香りのバランスを壊さぬ程度にほんのりとウイスキーの風味が加わり、やや香り高く、少し濃い味になって、ビールに高級感が出てきた。
 この飲み方を教えて下さったブロガー(志望)様は「ビールに少量のウイスキーを垂らして」とおっしゃったが、ビールに加えるウイスキーは本当に少量を、垂らす程度で良いのだ。
 それだけで、ビールの味がひとつグレードアップする。
 良い飲み方を教わったと、本当に感謝したい。

 ただ、垂らすウイスキーの入れ過ぎには要注意だ。
 筆者がしでかしたように、いきなりワンショット入れたりすると、ビールともウイスキーともつかない強烈な酒に化けるから要注意だ。
 こいつは計算上のアルコール度数以上に、かなり酔う。
 しかも味も香りもコクもものすごく強烈になり、飲み応えはあり過ぎるのだが、決して不味くなく、それどころが案外イケるから要注意だ。
 ウイスキーのビール割り、これは恐ろしく強烈でかなり効く。

金の稔りP1190358

 続けて筆者は、新ジャンル酒にウイスキーを垂らして遊んでもみた。
 まずは、ホームセンターで87円で売っていた、金の稔りという格安の新ジャンル酒に、ウイスキー(ティーチャーズ)を計量スプーンで大匙一杯、15ml加えてみた。
 凄い!
 格安新ジャンル酒が、本物のビールに化けた。
 香り、味、コク、すべてが明らかに濃く豊かになる。
 本物のビールにウイスキー30mlや15mlと違い、ビール感覚でスイスイ飲め、しかも充分な味と香りも堪能できるのだ。
 ただ、調子に乗ってグイグイ飲むと、早く良いが回る。
 本物のビールには、ウイスキーは本当に小匙一杯垂らすだけで充分だ。
 しかし元々の味と香りが薄い新ジャンル酒には、10~15ml程度加えた方が良い。
 そうすると、新ジャンル酒の味と香りが格段に向上して本物のビールに近くなる。
 本物のビールにウイスキーを加える場合は、量を控え目にしないと「旨いが飲み応えのあり過ぎる、味も香りも濃すぎる酒」に化けさせてしまう。
 しかし新ジャンル酒に大匙一杯のウイスキーを加えると、新ジャンル酒を味と香りの豊かな“ビール”に変身させる。

バーリアル三種P1160028

 筆者はイオン系列の店で税込み85円で売っている新ジャンル酒、トップバリュバーリアル・リッチテイストにもティーチャーズを15ml加えてみた。
 まず香りが一段と良くなる。
 味も濃く深くなり、コクもしっかり感じてよりビールに近くなる。
 アルコールのキツさを感じさせずに、新ジャンル酒を飲み応えある濃いビールに変えてくれた。
 ただ調子に乗ってグイグイ飲むと、酔いが早く回るから、その点だけは要注意だ。

 結論だが、少量のウイスキーは、確かにビール類を美味しくする。
 ただ本物のビールには、この飲み方をブロガー初心者様が教えて下さった通り、「少量を」、「垂らす程度に」入れるのがコツだ。
 入れ過ぎると強烈な別種の酒に化けるので、気をつけて(これはこれで美味しいのだが)。
 そして新ジャンル酒には、ビールより少し多めの15ml程が良い。
 これで新ジャンル酒が、ビールに化ける。
 15mlのウイスキーは、それくらい新ジャンル酒の味と香りを良くしてくれる。

 ビールに少量(小匙一杯程度)のウイスキーを垂らすと、ビールを一段と豊かな味と香りにしてくれるが、本物のビールは何も加えずにそのまま飲んでも美味しい。
 それよりも、新ジャンル酒に千円程度のスコッチを大匙一杯ほど混ぜた時の味と香りの激変の方が、より衝撃だった。
 ビールにウイスキーも合う。
 しかしウイスキーは、新ジャンル酒をもっと化けさせる。
 一本千円くらいのお手頃価格のウイスキーで良いから、ビールや新ジャンル酒に少し垂らして味の変化を是非試してみてほしい。

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トリス・クラシック

 先週はブラックニッカ・クリアについて書いたが、今回はそれに対応する、サントリートリス・クラシックについて書く。

サントリー・トリスP1120725

 まずストレートで飲んでみたが、飲む前からとにかくアルコールの刺激臭がキツい。
 飲んでみても、原酒が若すぎるゆえのアルコールのツンツンした刺激がまず気になる。
 この自称“ウイスキー”は、ただ使われているモルトウイスキーの割合が少ないだけでなく、多く使われているグレーンが若すぎると言うより、「ちゃんと樽で熟成したグレーン・ウイスキーではなく、ただ穀物を連続蒸留しただけの、樽熟成ナシのグレーン・アルコールではないか?」と疑いたくなるレベルだ。
 アルコールの刺激がキツ過ぎて、ストレートではとても飲むに耐えないシロモノである。

 サントリーは、「良いウイスキーと悪いウイスキーの違いは何ですか?」という消費者の質問に、「悪いウイスキーはありません、若いウイスキーがあるだけです」と回答していたが。
 このトリス・クラシック、原酒が若すぎるにしても酷すぎる。
 ストレートでは飲むに耐えないのだから、筆者としては“ウイスキー”と呼びたくない。
“ウイスキーもどき”だ。

 アルコールがキツく苦く渋く、とにかくストレートでは信じられないほど不味い!
 筆者はアルコール度数46%のタリスカーや51.4%のフロム・ザ・バレル、それに50%の富士山麓などのウイスキーもストレートで飲んでいるが。
 このアルコール度数が僅か37%のトリス・クラシックは、それらのアルコール度数が高めのウイスキーよりアルコールの刺激が遙かにキツくて、飲んでいてとても不快だ。

 で、トワイスアップにしてみる。
 香りからアルコールの刺激臭が抜けて、ウイスキーらしいチョコに似た甘い香りになる。
 飲むと若すぎるアルコールのピリピリした刺激は大幅に減るが、味も薄くなり過ぎ、コクも無く物足りないし、美味しくない。
 穀物の甘さを味に感じない。

 竹鶴政孝氏が好んだという、1:2の水割りにしてみる。
 香りはトワイスアップよりかなり薄いし、飲んでも水に近い薄味だ。
 ただほのかに甘く飲みやすい。
 普通の日本酒や、お湯や水で割った本格焼酎より明らかに下だが、醸造用アルコールだけでなく糖類や酸味料まで加えた粗悪な日本酒よりはマシという程度の飲み物だ。
 味は薄いし美味しくないが、1:2に割るとほのな甘さが出てきて、イヤ味も無い。

 先々週にハイボールについて書いた時に触れたが、トリス・クラシックのハイボールはとにかくゴクゴク飲むのに向いている。
 ほのかにウイスキーの香りがするだけで、香りはあまり立たない。
 味も甘さは僅かでビターさが際立つ。
 良く言えばスッキリ飲みやすく、はっきり言えば薄味でコクもあまりない。
 ただ癖が無く「ほんのりウイスキーっぽい」ので、喉の渇きを癒すとか、料理を流し込むとかの用途でゴクゴク飲むのに向いている。
 ビールのように苦くないし、缶チューハイのように甘ったるくもない。
 だから需要はそれなりにあるだろうと思う。

 ただ同じハイボールなら、ほぼ同価格のブラックニッカ・クリアの方がずっとウイスキーらしくて良い味だ。
 ゆえにブラックニッカ・クリアがほぼ同価格であるのに、あえてトリス・クラシックを選んで買う人の気持ちが筆者には理解できない。
 ブラックニッカ・クリアの方が、ハイボールにしてトリス・クラシックより美味しいだけでなく、トワイスアップや1:2の水割りでもずっと良い味だし、チェイサーがあればストレートでも飲める。
 トリス・クラシックとブラックニッカ・クリアは、価格はほぼ同じだが、質はかなり異なる。
 ブラックニッカ・クリアは少なくとも“ウイスキー”だが、トリス・クラシックは“ウイスキーもどき”に過ぎない。
 ただブラックニッカ・クリアの方が明らかに「ウイスキーらしさ」がある分だけ、「ウイスキーではなくハイボールという飲み物が好き」という人には、ブラックニッカ・クリアよりトリス・クラシックのハイボールの方が好みに合うかも知れない。

 後日、トリス・クラシックのハイボールを作るのに使った強炭酸水の残りを、長く歩いて家に帰り着き、喉も渇き体も熱い時に一気に飲んだ。
 美味かった。
 スッキリ爽やかで激ウマだ!
 トリス・クラシックのハイボールより、ただの強炭酸水の方が美味しく感じたのだから笑える。
 トリス・クラシックのハイボールとは、正直、そんなレベルである。
 だがトリス・クラシックを何とか飲むには、ハイボールかコークハイしか無いのだ。

 筆者が最も勧めたいトリス・クラシックの飲み方は、コークハイ(ウイスキー・コーク)だ。
 矢沢永吉の名曲『ウイスキー・コーク』の、「俺たちの出逢いを見つめていたのは、甘く苦い、ウイスキー・コーク……」という歌詞の通りに甘く苦くて飲みやすいし、よくあるコーラ味の缶チューハイと違ってほんのりウイスキーの風味も感じる。
 そして何より、他のまともなウイスキーと違って、コーラで割ってコーラ味にしてしまっても惜しいと思わずに済む。
 コーラ味の缶チューハイとトリス・クラシックを使ったコークハイ、是非飲み比べてみて貰いたい。
 コーラ味の缶チューハイとコークハイの違いが、はっきりとわかる筈だ。
 ただ料理に合わせて飲むなら、コークハイでなくハイボールにするべきだろう。

 日本消費者連盟が書いた『ほんものの酒を!』
によれば、かつてのトリスは「アルコール度数59.3%のモルト原酒が7%、度数95.6%の原料アルコールが34.7%で、後はカラメルと水」という酷いシロモノであった。
 度数95.6%の原料アルコールという意味が、おわかりになるだろうか。
 かつてサントリーは、僅か7%のモルト原酒を、原材料が何かもわからぬ、樽貯蔵もしていない得体の知れないアルコールで希釈し水を加え、さらにカラメルで色を付けたものを、自社の“ウイスキー”として庶民に売っていたのだ。
 その20世紀末の、トリス・エクストラという粗悪な“ウイスキーもどき”の復刻版という意味で、サントリーはこの酒にトリス・クラシックと名付けたのだろうか。
 ズバリ、ハイボールやコークハイの割り材としてしか飲めないゲテモノである。

 サントリーとニッカの違いを知りたければ、トリス・クラシックとブラックニッカ・クリアを飲み比べてみればわかる。
 少なくともブラックニッカ・クリアは、ウイスキーとしてちゃんと飲める。
「最も安い製品で、そのメーカーの本質がわかる」というのが筆者の持論だが、ブラックニッカ・クリアは少なくとも「ウイスキー」であり、トリス・クラシックは「ハイボールにウイスキーの風味を付ける為の原液」に過ぎない。
 いくら山崎が美味しくても、ブラックニッカ・クリアとトリス・クラシックを飲み比べると、ウイスキーの造り手としてのサントリーに敬意を全く持てなくなる。

 繰り返すが、トリス・クラシックはハイボール用の原液であって、ウイスキーではないし、そう呼びたくもない。
 筆者個人としては、同じカネを出して、ブラックニッカ・クリアでなくあえてトリス・クラシックを買う人が少なからず存在する現実が理解出来ない。
 こんなに罵倒したら、またRERA様に叱られるだろうか?

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ブラックニッカ・クリアを改めてじっくり飲み直してみた

 筆者はウイスキーが好きだが、中でもピート香のあるスコッチを特に愛している。
 だからアイラ島のスコッチやスカイ島のタリスカーなど、本当に心から好きである。

 だがピート香は、日本人にはあまり好まれない。
 特にスコットランドでウイスキー(スコッチ)造りを学んだ竹鶴政孝が、帰国して日本初のスコッチ風のウイスキーを造った頃には、サントリーから出されたそのピート香あるウイスキーは「煙くさい」と日本人にはとても不評だった。
 だからそのピート香あるスコッチ風のウイスキー造りを貫く為に、竹鶴政孝はサントリーと袂を分かってニッカを創業した。
 故にジャパニーズ・ウイスキーを標榜するサントリーの製品と違い、ニッカのウイスキーには、ピート香あるスコッチ風のものが多い。
 筆者がサントリーのウイスキーを好まずニッカのウイスキーを愛飲するのも、それ故でもある。

 だからこそ筆者は、ブラックニッカ・クリアは「ニッカのウイスキーとしては邪道」と思っている。
 何しろブラックニッカ・クリアは、ビート香を「苦さやきつさにつながる」と言い切り、あえてピートを使わず、ノンピートモルトで造っているのを売りにしているからだ。
 これはピート香を愛する筆者ばかりでなく、ウイスキーのピート香にこだわった創業者竹鶴政孝氏への裏切りと侮辱ではないか。
 少なくとも筆者はそう受け取った。
 だから筆者はブラックニッカ・クリアを嫌い、このブログでも「ウイスキー風の麦焼酎」と酷評した。

 で、複数の方からお叱りをいただき、その中にはウイスキーに詳しいブロガーで、筆者も敬意を持ってそのブログを読ませて戴いていたRERA様もいた。
 そのRERA様のお叱りは、面の皮も厚ければ心臓には毛も生えている筆者の心にグサリと来た。
 ゆえにそれ以来、何度かブラックニッカ・クリアを飲み直している。
 今回も、先週ウイスキーのハイボールを比較するついでに、ブラックニッカ・クリアをまた飲み直してみた。

ブラックニッカ・クリアP1100907

 キャップを開けた直後は、ウイスキーらしい良い香りと共に、若いアルコールの刺激ある匂いをツンと感じる。
 まずストレートで飲むと、味は期待以上に「ウイスキー」で、まず麦の甘味、そしてウイスキーらしいコクと味わいを感じる。
 ただ原酒の若さによるアルコールの刺激も、しっかりと感じる。
 それでも酒の量販店で税込み745円とは思えない出来の良さではある。
 同価格帯の国産の“自称ウイスキー”とは違う、ひとクラス上の出来で、ウイスキー造りに賭けるニッカの良心が飲んでいて伝わって来る。
 なるほど“グレーン”も有名他社のような樽貯蔵ナシの「グレーン・アルコール」ではなく、メーカーの言う通り2年は樽貯蔵した「グレーン・ウイスキー」であるようだ。

 ところで、皆さんはご存知だろうか。
 ウイスキーの原材料に、よく「モルト、グレーン」と書いてあるが。
 そして少しウイスキーを知っている人は、つい「モルト・ウイスキーと、グレーン・ウイスキーのことだろう」と思ってしまうが、それは大間違いだ。
 少なくとも日本洋酒酒造組合の規定では、モルトとは麦芽、グレーンとは穀物を意味するのだそうである。
 だからサントリーなど、穀物(おそらくコーン)から造った樽貯蔵ナシのアルコールを“グレーン・アルコール”として、「グレーン」の表記でウイスキーの原酒の希釈に使っていたのだ。
 少しものを知っている人は、原材料に「モルト、グレーン、スピリッツ」と書かれた国産ウイスキーをつい馬鹿にして、表記がただ「モルト、グレーン」だけの製品を本物と思い安心してしまうが。
 国産ウイスキーの「グレーン」と「スピリッツ」の違いは、ただ原材料が穀物か廃糖蜜(サトウキビの絞り滓)であって、実はどちらも樽貯蔵ナシのただのアルコールであったりするから、要注意である。
 原材料に表記してある「グレーン」が、例の樽貯蔵ナシのサントリー流の“グレーン・アルコール”か、それともちゃんと樽貯蔵した“グレーン・ウイスキー”かは、それぞれ自らストレートで飲んで舌で確認してみるしか無いのだから、日本という国はウイスキーについてはまだまだ発展途上の後進国である。

 さて、ブラックニッカ・クリアをトワイスアップにすると、香りからアルコールの匂いが消え、甘さだけになる。
 飲んでもアルコールの刺激が消えて、穀物の甘さが前面に出てくる。
 ストレートと同じように飲むと、少し薄いし水っぽい。
 しかし「なめるように」でなく、ストレートで飲む時より意識して多めに口に含めば、水っぽくないしコクも味わいも感じる。
 トワイスアップでも、飲んだ後に余韻が心地良く残る。
 これは濃いめの水割りで飲むべきウイスキーかも。

 筆者は「高くて良いものを造れるのは当たり前で、安くて良いものを造ることこそ難しい」と考えている。
 高価なものが不味ければ、それはもはや詐欺である。
 それに対し、安価な製品にはまず価格やコストという制約がある。
 そのキツい縛りの中で、いかにして少しでも良いものを造るか。
 その方が、高くて良いものを造るより余程も難しいのだ。
 だから筆者は「そのメーカーの最も安い製品に、そのメーカーの本質が現れる」と考え、あえてそのメーカーの安いものも飲むようにしている。
 高くて良いものを造ってそれで賞を取りブランドイメージを上げる一方で、普通の人が普通に買うお手頃価格の製品は「安かろう、まずかろう」でしかないメーカーがウイスキー業界にもあるが、それはもはや詐欺師と同じ商法と商魂である。
 その意味で、ブラックニッカ・クリアを飲めばウイスキー造りに賭けるニッカの意地と良心がよくわかる。

 ブラックニッカ・クリアを飲んだ直後に、まだ大事に残してあったブラックニッカ・アロマティックを飲んでみた。
 アロマティックと比べてしまえば、味も香りも段違いである。
 もちろんアロマティックの方が素晴らしく良い!
 ストレートでじっくり飲むべきものと、割って気軽に飲むべきものの差を実感させられてしまう。
 しかしそれでも、価格差を考えれば「ブラックニッカ・クリアは立派」とも思えてしまう。

 さて、開封して一週間ほど空気に触れさせ、改めてストレートから飲んでみる。
 時間をおいたせいか、アルコールのツンとした匂いがかなり減り、穀物の甘い香りがはっきりしてきた。
 味は若いアルコールの刺激もあるが、甘くビターでコクもあり、チェイサーがあればストレートでも飲める。
 ウイスキーとしての最低条件は“クリア”しているが、チェイサー無しでのストレートはキツい。

 トワイスアップは香りもそこそこ残り、そして飲むと水っぽくならずに、甘さもコクも味わいもしっかりある。
 しかもアルコールのピリピリした刺激も無くなって、ちょうど良くなる。
 味と真剣に向き合って飲むには物足りないが、本を読んだりテレビを見たり談笑したり、何かしながら気軽に飲むのに良いウイスキーだ。

 竹鶴政孝氏が好んだという1:2の水割りにすると、香りは殆ど無くなる。
 ただ味は薄いものの、ウイスキーらしい甘さとコクは残る。
 とても飲みやすく、日本酒や割った本格焼酎のようにスイスイ飲める。

 最後に、1:1.5で割ってみた。
 ちょっと中途半端である。
 味やコクを求めるならトワイスアップだし、飲みやすさ優先なら竹鶴流の1:2だ。
 1:1.5にすると、不思議に甘さが消えてビターさとスパイシーさが前に出て来る。
 だからお勧めは、トワイスアップか1:2の水割りだ。
 あとはハイボールにも良し。
 ブラックニッカ・クリアのハイボールについては、先週、ハイボールについての記事にまとめて書いたので、それを参照していただきたい。
 少なくとも、ほぼ同価格のトリス・クラシックのハイボールより、遙かに美味しいと保証する。

 ピート香をあえて廃したということで、ピート香が大好きな筆者が「ウイスキー風味の麦焼酎」と罵倒してきたブラックニッカ・クリアだが、実はコストの厳しい制約の中で最大限に良く造った本物のウイスキーであった。
 ニッカの良心とも言える。
 正直に言えば「美味しい」とは思えないのだが、不思議に飲み飽きせず、時々ついまた買ってしまう。
 ビート香が無いのと、原酒が今一つ若いのと、日本の酒税法の関係でアルコール度数が40%でないのが不満だが、確かに本物のウイスキーである。
 ニッカとサントリーの違いを知りたければ、このブラックニッカ・クリアとトリス・クラシックを飲み比べれば充分によくわかる。
「山崎や響を飲まずにサントリーを語るな」、とおっしゃるか?
 いや、繰り返すが「高くて良いものを造れるのは当たり前のことで、高いのに美味しくなければ詐欺」である。
 コストや価格のキツい制約がある中で、いかにして少しでもマシなものを造るか、それこそが最も難しく、そこにメーカーの良心が現れる。
「安かろう、悪かろう」では、駄目なのだ。
 ニッカやサントリーの本質は、余市や山崎よりも、ブラックニッカ・クリアやトリス・クラシックにこそ現れるのだ。

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ハイボールとは(続ティーチャーズ)

 先週、ティーチャーズのハイボールについて語ると書いた。

 ハイボール! ハイボール! ハイボール! ハイボール! ハイボール!
 ウイスキー好きの一人として、「今の日本のウイスキーの消費され方は狂っている」と思う。
 ストレート、トワイスアップ、ロック、ハーフロック、水割り、ミスト等のいろいろな飲み方のうちの一つにハイボールがあるのなら良いし構わない。
 ところが今の日本はどうだ?
 ウイスキーと言えば、10人中9人がナントカの一つ覚えのように「ハイボール!」と言う。
 飲食店でもハイボールはビールや酎ハイと同じくらい当たり前に置いてあるが、ウイスキーをストレートで飲ませてくれる店は少ない。
 バーにでも行かなければ、まず飲めない。
 今の日本のウイスキー人気について取材に出掛けた毎日新聞の記者も、一流のバーに行き、いきなり高価なウイスキーでハイボールを作るように頼み、ゴキュゴキュ飲んで喉を湿らせようとして、バーテンダーさんに「ウイスキーにはいろいろな飲み方があるんですよ」と窘められる始末だ。
 酒屋に行っても、お手頃価格のウイスキーの多くに「ハイボールで!」と書かれた宣伝が、ボトルの首にぶら下げられている。
 ティーチャーズもまた、販売元のサントリーがハイボールで飲むよう強く勧めているウイスキーの一つである。

ハイボール洗脳・ホワイトホースP1190515

ハイボール洗脳・ジョニ赤②P1190525

ハイボール洗脳・ティーチャーズP1190521

 筆者は「ウイスキーの飲み方の一つとしてのハイボール」を否定はしない。
 しかし今の日本のように「ウイスキー≒ハイボール」という空気になり、ウイスキーはハイボールにしてゴクゴク飲むのが当たり前で、高価な年代物のウイスキーも容赦なくハイボールにしてガブ飲みしているのを見ると、本当にハイボールが憎く嫌いになってくる。
 筆者はハイボールが嫌いなのではない。
 今の日本の「ウイスキー≒ハイボール」という空気と、ウイスキーをハイボール以外で飲もうとしないでウイスキー好きを自称する人達を憎悪しているのだ。


 さて、本題のティーチャーズのハイボール、販売元のサントリーが大いに勧めるハイボールについて語ろう。
 確かに他のウイスキーよりスモーキーさが際立つ。
 そして冷やされたせいで甘さが消え、ビターさをより感じる。
 だから筆者は、ウイスキーを冷たく冷やすのが嫌いなのだ。飲み物は、冷やすと香りと甘味が引っ込んで感じにくくなるという特性がある。
 スッキリ飲みやすいが、その分だけストレートやトワイスアップなど濃い目で飲むのが好きな者にはコクや味の深みを感じにくく物足りない。
 筆者はウイスキーは濃い目で飲みたいし、冷やし過ぎて味と香りを損なうのも嫌なので氷はあえて使わずに、1:3で割ったのだが、それでも筆者には薄く感じる。
 癖が無いし飲みやすいし、「喉の渇きを癒す」とか「唐揚げなど料理を流し込む」という目的でガブガブ飲むには良いのだが、ウイスキー好きとして「美味しい」とはどうしても言えない。
 ただ「不味い」とも言わない。
 不味くはないのだが、ストレートならもう一杯お代わりしたくなるのだが、同じティーチャーズのハイボールは「もう一杯飲みたい」とか「また飲んでみたい」とは思わない。

 このティーチャーズのハイボールを飲んだ直後に、ジョニ黒をストレートで飲んでみたが。
「ジョニ黒は」と言うか、「良いウイスキーのストレートは本当に美味い!」と心から思った。

トップバリュウイスキー①P1140621

トップバリュウイスキー③P1140623

 ティーチャーズのハイボールが美味しく思えなかったので、思い切って、不味すぎて飲めずに残しておいた、筆者が知る限りで最も下等で不味い“自称ウイスキー”であるところのトップバリュ・ウイスキーをハイボールにして、ティーチャーズのハイボールと飲み比べてみた。
 トップバリュ・ウイスキーと言えば、「全体の9割がスピリッツで、使用しているウイスキー原酒はモルトとグレーン併せて1割だけ」という、恐ろしいシロモノである。
 平たく言えば、「水で割ったスピリッツに、原酒をちょっぴり垂らしたヤツ」である。

 意外だった。
 大差なしであった!!
 使用した強炭酸水の炭酸の力が、風味付けに僅か1割しか使っていないモルトとグレーンの味と香りを、意外なくらいに掻き立てたのだ!
 味も香りも弱いが、ストレートはもちろんトワイスアップでも水割りでもとても飲めたものではないが、ハイボールにするとこの粗悪すぎる最低な“ウイスキー”が、とりあえず飲めてしまうのであった。
 ウイスキーの風味も、それなりに感じる。
 失礼だが「喉の渇きを癒す」とか「料理を流し込む」という用途でガブガブ飲むなら、ティーチャーズのハイボールでもトップバリュ・ウイスキーのハイボールでも大して変わらない。

 筆者は以前からずっと不思議に思っていた。
「ウイスキーの世界五大産地の一角を名乗るくせに、日本にだけ何故スピリッツも混ぜた、樽貯蔵もろくにしていない恥ずかしい粗悪品がウイスキーとして出回っているのか?」と。
 その謎が解けた。
 ハイボールだ。
 ちゃんと何年も樽貯蔵してあるかどうか怪しい“自称ウイスキー”だろうが、スピリッツに原酒を垂らした程度のまがい物の粗悪品だろうが、美味しく飲めてしまうのだ、ハイボールにしてしまえば。
 日本人はウイスキーを主にハイボールで飲む。
 だから日本から、粗悪なウイスキーが消えてなくならないのだ。
 それにしても、ほんの僅かな原酒の味と香りを掻き立てて、スピリッツに原酒を垂らしただけのまがい物ウイスキーのハイボールを、ちゃんとしたスコッチのハイボールと大差ない味にしてしまうのだから、強炭酸水の、炭酸の力は凄い。

 これも前から感じていた事だが、ハイボールは良いウイスキーほど味と香りをスポイルして、粗悪なウイスキーほど飲める「まとも」なものにする。
 筆者は敬愛するogotch様のお陰で、年代物のとても高価なウイスキーのハイボールも飲むことができた。
 その結果も今回の印象と併せて、「ハイボールは安いものほどまともな味にして飲めるものに変え、良いウイスキーのハイボールは美味しいがストレートの方がより美味しく、良いウイスキーのハイボールは勿体ないとしか言いようがない」と改めて実感した。
 ちなみに今の日本にハイボールをこれだけ流行らせた、「ウイスキー=ハイボール!」と日本人を洗脳した元凶のサントリーですら、自社の高級ウイスキー山崎については広告で「まずはストレートで」と、ハイボールでなくストレートで飲むことを勧めている。
 ハイボールを飲みたいなら、あの角瓶を買うのさえ勿体ない。
 ハイボールならトリスやトップバリュ・ウイスキーで充分ではないかと思う。

 それで、サントリーが造るハイボール缶を2本ほど買って飲んでみた。
 まずは、New角ハイボール濃いめだ。
 筆者はサントリーの角ハイボール缶は、正直に言って大嫌いだ。
 レモンスピリッツとか食物繊維とか変なモノが加えられていて、その妙な酸っぱさがどうにも気に入らなかった。
 もっとも、筆者が感じたその「妙な酸っぱさ」を、「サッパリして美味しい!」と歓迎した消費者も少なからずいたのだが。
 とにかく後から加えられたレモン味が好きでない筆者は、ただ角瓶を炭酸水で割ってアルコール度数9%にしただけの以前の角ハイボール濃いめを、「悪くない」と思っていた。
 ところがNew角ハイボール濃いめは、よく見ると原材料にレモンピールスピリッツだの食物繊維だのと妙なモノが加えられている。
 そのレモンピールスピリッツ等が加えられている分だけ、ウイスキーの味が薄くなっていないかと、飲む前から心配である。
 事実、飲んでみると以前より薄味になり、そして変に酸っぱい。
 この酸っぱさを「サッパリする」と好む人もいるようだが、筆者は嫌いだ。
 断言するが、角瓶をただ炭酸水で割っただけの以前の角ハイボール濃いめの方がずっと良い。
 筆者の個人的な感想では、味も香りも薄くなった上に変に酸っぱくなった。
 言ってみれば、通常の角ハイボール缶の度数を9%に引き上げただけのストロング・バージョンだ。
 今、酎ハイで度数9%のストロング系のものが売れているから、角ハイボール缶もそうしてみようかと考えて作ったとしか思えない。
 繰り返すが、ウイスキー好きの筆者は嫌いだ。
 味と香りが物足りない上に、レモンの酸っぱさが邪魔でしかない。
 ただ、ビールのように苦くも、酎ハイのように甘ったるくもないので、ガブ飲みして喉の渇きを癒したり、料理を流し込んだりするには薄味になった分だけ向いている。
 ウイスキー好きとしては「不味くなった」と思うし二度と飲みたくないが、一般のハイボール好きには歓迎されるだろう。

 次は、サントリーが出しているハイボール缶の中で最も安い、トリスハイボールよりも安い、Newジムビーム ハイボールだ。
 アルコール度数は角ハイボール濃いめよりかなり低い5%で、さらにスピリッツやレモン、糖類、酸味料、香料も加えられているので、使われているウイスキー(ジムビーム)の量はかなり少ない筈である。
 実際、香りにウイスキーらしさは僅かで、レモンその他の方が強い。
 しかし飲むとウイスキーと言うかバーボンの風味を感じる。
 少しだがコクもある。
 他のハイボール缶では嫌いだったレモン風味が気にならず、むしろ味をスッキリさせているように感じてしまうのは、筆者がバーボンをあまり好きではないということなのか。
 筆者はワイルドターキーは大好きだし、エヴァン・ウィリアムズ7年もとても飲みやすく好ましく思っていたのだが……。
 ただ筆者は、比べれば間違いなくバーボンよりスコッチの方が好きである。
 スコッチは常に飲みたいが、バーボンは「時々飲んでみたい」という感じだ。
 とにかくNewジムビーム ハイボールは、サントリーのハイボール缶の中で最も安いのだが、最もマシに思えた。
 薄く割り、さらにいろいろ加えても、ウイスキーと言うかバーボンの風味がちゃんと残っている。
 バーボン独特の癖だけ消えて、ウイスキーの風味だけ割り負けないで残っている。
 飲んでみて、「バーボンは、ハイボールを含むウイスキーを使ったカクテルのベースに最適かも」と感じた。

 Newジムビーム ハイボールが意外に良かった。
 それでジムビームを一本買って、自分でハイボールを作ってみた。
 ジムビームについても、サントリーはハイボールで飲めと勧めている。
 他社や他の製品では1:3に割ることを勧める場合が多いが、サントリーはジムビームを1:4で割るよう勧めている。
 だからジムビームを、言われた通りに1:4で割ってみた。
 ただサントリーの指示と違い、筆者はハイボールに氷を入れない。
 冷やし過ぎて、味と香りが失せるのが嫌なので。
 爽やかなフルーツの香りが広がる。
 1:4なのに薄くなく、スッキリしていながらほのかな甘さを含んだウイスキーの味と、程々のコクを感じる。
 濃からず薄からず、ウイスキーの味とコクも残されていながらスイスイ飲めて、これは良い!
 レモンの酸味を好まずウイスキーらしい風味を楽しみたい筆者は、いろいろ加えられたサントリー製造のNewジムビーム ハイボールより自分で作ったものの方がずっと好きだ。
 サントリーは自分で作るジムビームのハイボールにもレモンを搾って入れるよう勧めるが、筆者は入れたくない!
 ただバーボンの個性と言うか癖を薄めたい人には、レモンと氷が必要だろう。
 しかしバーボンらしさを楽しむには、レモンも氷も要らない。

サントリートリスC-P1080993

 調子に乗って、今度はトリスクラシックを買って、自分でハイボールを作ってみた。
 香りはあまり立たない。
 ほのかにウイスキーの匂いだけ感じる。
 味も甘さは僅かでビターさが際立つ。
 良く言えばスッキリ飲みやすく、はっきり言えば薄味でコクも無い。
 ただ癖が無く「ほんのりウイスキーっぽい」ので、喉の渇きを癒すとか、料理を流し込むとかの用途でゴクゴク飲むのに最適。
 ビールのように苦くも酎ハイのように甘ったるくもなく、ほんのりウイスキー風味だ。
 1:3で割ったのだが、より薄く1:4で割ったジムビームのハイボールの方が遙かに良い。
 薄味だから飲みやすいが、ガブガブ飲むとしっかり酔うから要注意だ。
 はっきり言う。
 トリスのハイボールはトップバリュ・ウイスキーのハイボールとほぼ同じで、ほんの少しだけウイスキーらしさを増した程度でしかない。

ブラックニッカ・クリアP1100907

 トリスのライバルとも言えるブラックニッカ・クリアでも、ハイボールを試してみた。
 メーカーが勧める1:3で、強炭酸水で割ってみる。
 トリスと違って、香りからウイスキーらしさを感じる。
 甘くビターで味も濃く、コクも感じられる。
「ウイスキー」が好きな筆者はこれで良いと思うが、レモンを加えてもウイスキーらしさは失われないだろう。
 と言うか「ウイスキーではなくハイボールが好き」な、ウイスキーを濃いめで味わって飲む習慣がなく薄く割ってガブ飲みしている人はレモンも加えるべきだろう。
 炭酸が、ブラックニッカ・クリアのウイスキーらしさを意外なくらい掻き立てる。
 ぬるくなるに従い、ビターさが甘さに変わってゆく。

 結論。
 繰り返すが「ハイボールは20点のウイスキーを40点に、80点のウイスキーを60点にするもの」である。
 良いウイスキーほどハイボールも美味しいのは確かだが、本質が「良いウイスキーの味を引き下げ、粗悪なウイスキーを飲めるものに引き上げる方法」なので、良いウイスキーほどハイボールにしてしまうのは勿体ない。
 あの“ハイボール教”の総本山サントリーでさえ、山崎については「まずはストレートで」と宣伝していることを、どうかくれぐれも忘れないでほしい。
 ハイボールにして喉の渇きを癒したり料理を流し込んだりする為にゴクゴク飲むなら、角瓶どころかトリスやトップバリュ・ウイスキーで充分なのである。
 いろいろなウイスキーをハイボールで飲み比べて、「ハイボールはストレートではとても飲めない粗悪な安ウイスキーを消費する方法で、ストレートで美味しく飲めるものをハイボールにするのは勿体ない」と、改めて確信できた。
 本物のスコッチと、国産の「ほぼスピリッツでモルトとグレーンは香り付け程度」の“自称ウイスキー”が、ハイボールにすると大差ないものになってしまうのだ。
 これがハイボールの真実である。
 もしもハイボールが飲みたければ、貴方が知る限りで最も安い、ストレートではとても飲めない“ウイスキーもどき”を使えば充分である。

 良いウイスキーを使ったハイボールは、確かに美味しい。
 その事実は知っている。
 しかしハイボールにすると、良いウイスキーをストレートで飲んだ時に感じる濃く凝縮された深い旨味や、飲んだ後に長く残る心地良い余韻が消し飛んでまるで感じられなくなってしまい、とても不満だ。
 だから筆者は良いウイスキーをハイボールで飲む度に、「美味しい」と思いつつ、それより何倍も強烈に「勿体ない」と思ってしまう。

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ティーチャーズを再評価する

 筆者の住む市に、良い酒しか置かないこだわりの酒屋がある。
 何しろ置いてあるビールは“本物のビール”のみで、いくら売れようが、どれだけ客の要望があろうが発泡酒どころか新ジャンル酒も置かないという徹底ぶりである。
 だから本格焼酎は生産量の少ない珍しいものは多々あるが、いいちこや二階堂などは置いてない。
 当然、ウイスキーもトリスやブラックニッカ・クリアは勿論、日本で一番売れているウイスキーである角瓶も売ってない。
 店主に言わせれば、「良質な本物のスコッチが千円そこそこで買えるのに、何で変な国産の偽物を買って飲む必要があるのか」だそうである。

 その店主が勧める、「良心的なスタンダード・スコッチ」が三種あった。
 過去形である。
 その説明は後でする。
 店主が勧める、安くて美味しい良心的なスタンダード・スコッチは、ホワイト&マッカイ、ベル、そしてティーチャーズであった。
 それが何故「であった」と過去形で語らねばならなくなったかと言うと、ティーチャーズの質が落ちたからである。

 スコットランドの銘酒ティーチャーズを駄目にした犯人は、あのサントリーである。
 サントリーは海外の酒造メーカーの買収に積極的で、ティーチャーズの親会社も買収した。
 で、その後サントリーの手により、ティーチャーズがリニューアルされた。
 まず安くなった。
 そして不味くなった。
 千円以下で広く売られるようになったのは良いが、同時に質も落とされ、サントリーにありがちな「安かろう、悪かろう」の商品になってしまったのだ。

 ティーチャーズと言えば、他のスタンダード・スコッチより高い割合でモルトウイスキーを使用していることで知られていた。
 それがとてもそうとは思えない、ただ安いだけのスコッチになってしまった。

 ウイスキーと言えば脊髄反射的に「ハイボール!」と連想する人達は、その事に気付きもしなかっただろう。
 そしてそれを、サントリーも計算していたのだろう。
「質を落としても、割ってハイボールで飲めばどうせ気付きもしないし、客も安けりゃ喜ぶ」と。
 しかし「ウイスキー=ハイボールで飲むもの」という人が目立つこの日本にも、まともなウイスキー(スコッチ)のファンも少なからずいた。
 サントリーが行った“リニューアル”によって不味くなったことを嘆く声が、従来のファンの間から強く上がった。

 以前のティーチャーズを愛していたファンは多くいたが、ハイボールを好む人はウイスキーの銘柄にあまりこだわらない。
 ストレートや濃いめで飲む人には、ティーチャーズを評価していた人が少なからずいた。
 しかしハイボールが好きな人は、別にティーチャーズでなくても良いのだ。
 で、サントリーがティーチャーズを“リニューアル”したことによって、多くの昔からのファンがティーチャーズから離れた。

 しかしサントリーも馬鹿ではなかった。
 筆者もリニューアルされたティーチャーズの不味さに閉口して、好きだった長い歴史をもつティーチャーズをブチ壊して粗悪品にしたサントリーに対する憎しみを、更につのらせた。
 ところがある日、たまたま立ち寄った店で、炎の絵に「スモーキー・スコッチ」と宣伝されたウイスキーを見つけた。
 ティーチャーズであった。
 筆者はスコッチが好きで、それもスモーキーなやつが大好きである。
 サントリーに対する不信感は強くあったが、「一度くらい騙されてやろう」という気になって、つい買ってしまった。
 ……良い出来だった、本当に。
 サントリーは、最初の“リニューアル”から明らかに味を変え、ただスモーキーなだけでなく良い味に仕上がっていた。
 どうやらサントリーは、消費者の悪評に耳を傾ける心を持っているようである。
 で、嫌いなサントリーの傘下であるティーチャーズだが、「また買って飲んでもいい」という気持ちになって、改めて買って飲んでみた。

ティーチャーズ新旧P1120543

 ちなみに、買った時の価格は税抜きで899円である。
 安い! 同じ店で売られていた角瓶より、300円もだ。

 封を切りグラスに注いだ直後から、花と蜜を感じる甘く良い香りが漂う。
 香りにメープルシロップも感じる。
 原酒がこのクラスにしては良く熟成しているようで、匂いにアルコールの刺激を殆ど感じない。

 飲んでみてもまろやかでコクがあり、ストレートで美味しく飲める。
 スモーキー・スコッチとは言うものの、元々スモーキーなスコッチが好きな筆者には、ただ嗅いだだけではそれほどスモーキーとは感じない。
 しかし飲んでみると、スモーキー香が口腔内から鼻へと抜けて行くのがわかる。
 フルーツの甘さと心地良いビターさのバランスが良い。
 アフターフレーバーはスモーキー香で、これがスコッチ好き、特にアイラのスコッチ好きにはたまらない。
 ついもう一杯飲みたくなる、ジョニ赤にも負けない逸品だ。
 これより300円も高く、しかもより刺々しくて不味い角瓶をあえて買う人の気が知れないと、失礼ながら思ってしまう。

 さて、一週間ほど空気に触れさせておいた後で、また飲んでみる。
 花の甘さとスモーキー香が合わさった、とても良い香りだ。
 若いアルコールの匂いは、やはり殆ど感じない。
 飲むと甘くビターでコクがある。
 このクラスの価格帯のウイスキーにありがちな、原酒の若さによるアルコールの刺々しさはかなり少なく、まろやかである。
 ストレートで、しかもチェイサー無しで美味しく飲める!
 ついもう一杯飲みたい誘惑に駆られる、上等なスタンダード・スコッチである。

 筆者は最近買ったティーチャーズを、ジョニ赤と飲み比べてみた。
 意外に似ている。
 そして甲乙つけ難い出来であった。
 あえて言えばジョニ赤の方が甘さもビターさもスモーキーさも力強さも強く、個性がハッキリしている。
 端的に言えば、ジョニ赤は力強く、ティーチャーズはまろやかである。
 いずれにせよ、最近のティーチャーズはジョニ赤に負けない良い出来だ。
 店によっては本体のみならば千円しないし、これはお買い得だ。
 筆者はジョニ赤の個性と力強さを愛すが、ティーチャーズのまろやかさの方を好む人もいる筈だ。
 スモーキーで力強いジョニ赤には弱いフルーティーさが、ティーチャーズにはある。

 敬愛するogotch様からいただき、大切にとっておいてある、サントリーに買収される前の、評判が高かった頃のティーチャーズと、サントリー扱いで千円前後で買える今のティーチャーズと飲み比べてみた。
 はっきり言うが、ほぼ同レベルに戻っている!
 ただ昔のティーチャーズの方がよりなめらかでまろやか、そして今のティーチャーズの方がビターさとスモーキーさを感じる。
 しかしその差は僅かで、「殆ど同じ」と言っても良い。
 あえて言えば昔の方がよりまろやかで原酒の熟成年数も長く感じるが、今のでも充分にまろやかだし、よりピーティーな個性も感じる。
 これで昔より実勢価格が明らかに安くなっているのだから、文句などある筈もない。

 必要無いと思ったが、あえて水で割ってトワイスアップにしてみた。
 ストレートと同じように舐めるように飲むと薄い!
 だが度数の近い日本酒や本格焼酎のように意識して多めに口に含んでゴクリと飲むと、飲み応えも味も充分にあってなかなか良い。
 普段は日本酒や本格焼酎を飲んでいる人や、ストレートを飲み慣れていない人に是非勧めたい。
 ただ、ストレートで飲んだ時に感じる余韻は、かなり無くなってしまう。

 サントリーは買収でティーチャーズも傘下におさめ、一度はこの歴史あるスコッチを「安かろう、悪かろう」に堕落させたが、反省も早かった。
 少し前に「スモーキー・スコッチ」として売り出し始めた頃より、今は更に良くなっている。
 サントリーによる最初の“リニューアル”にガッカリしてティーチャーズから離れた人、そして安くて良いウイスキーを探している人に、「是非、飲んでみて!」と勧めたく思う。

 ただ、サントリーは「ピート香を抑えて日本人向きに、日本人のブレンダーが造った」というティーチャーズ・セレクトを、同時に売り出している。
 それもオリジナルのティーチャーズより少し高い値段で、少し上のグレードとして。
 言い換えれば、「日本の寿司屋をアメリカのファストフード店が買収して、アメリカ人の料理人が来日してアメリカ人向けに、一味上のSUSHIを作りました」ということか。

 買収してティーチャーズをまず“日本人好み”に変えさせて。
 それが日本人のファンにも不評で元に戻したものの、自社が信じる“日本人好み”のティーチャーズもあえて別に造った……と。
 スコットランドでスコッチ造りを修行し、ピート香ある本格的なスコッチ造りを目指した竹鶴政孝氏が退社してニッカを創業せざるを得なかったように。
 このサントリーという会社、消費者の声は聞くものの、スモーキーなウイスキーが昔からよほどお嫌い(スモーキー香は日本人に合わないという信念がある)らしい。

 サントリーというメーカーは、節操も無いが反省も出来、消費者の声も聞ける。
 それは今もリニューアルされ続け、一時は不味くなったものの今ではジョニ赤にも迫る出来になっているティーチャーズを飲めばわかる。
 と言うことは。
 ハイボールではまあ飲めるがストレートではアルコールの刺激がキツい上に不味くてとても飲めたものではない角瓶が、ティーチャーズやホワイトホースなどのまともなスコッチより300円も高く売られ続けているというのは、「日本の消費者がその程度だから」ということだ。

 例えば筆者は、トリス・クラシックの味と品質に文句を言うつもりはない。
 アレは元々ストレートで飲むものではなく、炭酸水やコーラで割って飲む為の原液であり、価格設定もそれに似合っているからだ。
 同じようにストレートではとても飲めず、ハイボールの原液にするしかない角瓶が“あの味”で“あの値段”というのは、「消費者をナメている」としか思えない。
 どうかメーカーにナメられて儲けの為に利用されないように、角瓶を同じかそれ以下の値段のスコッチやバーボン等(国産ウイスキーならブラックニッカ・スペシャル)と、是非飲み比べて賢い消費者になってほしいと願う。
 近所の酒屋ではジョニ赤が税込み1089円で、角瓶が同じく税込みだと1400円を越えるんデスよ?
 馬鹿馬鹿しいと言うより、「狂ってる」と思いませんか?
 繰り返すが、炭酸で割ってハイボールにして飲むならトリスで充分だし、その為にわざわざ角瓶を買うなどお金の無駄で損だ。

 ティーチャーズの“リニューアル”には非難の声を上げ、ティーチャーズを元の「まとも」なスコッチに戻した消費者と。
 ハイボールの“もと”として以外の用途では不味いのに、もっと美味しい他のウイスキーより高く売られている角瓶を“日本で一番売れているウイスキー”にさせたままでいる消費者と。
 消費者が賢いかどうか、筆者にはどうもワカリマセン。

 ともかく、サントリーが“リニューアル”して評判を暴落させたティーチャーズは、今はお勧めできる良いウイスキーに戻ってマス。
 筆者はこれを、チェイサー無しのストレートで楽しんでいるのだが、そこはやはりサントリーだ。
 このティーチャーズについても「ハイボールで飲め」と勧めている。
 で、試しにティーチャーズだけでなく、何種類かのウイスキーをハイボールにして味見してみた。
 その結果については、長くなるのでまた来週、報告させていただくことにする。

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西友スコッチ

 スコッチが安い。
 近所の酒屋では、毎月恒例の、月末のセールでジョニ赤を980円(税別)で売っている。
 また別の酒屋では、セールでどれも税別だが、ジョニ赤を970円、バランタイン・ファイネストを968円、ティーチャーズを898円、そしてホワイトホースを798円で売っていた。
 以上はセールでの価格だが、ホワイトホースはキリンが販売するようになってから安定して安く、近くのホームセンターのお酒コーナーでは常時890円で売っている。
「名の通ったスコッチがこんな値段で売られているのに、殆ど値段の変わらない国産の安物ウイスキーを買う意味があるか?」と、心から思う。
 中でも「日本で一番売れているウイスキー」である角瓶など、それらの本物のスコッチより不味く、割ってハイボールにでもしなければまともに飲めないシロモノなのに、それらより百円玉で幾つ分も高い千二百~千三百円台で売られている。
 それでも日本人はまともなスコッチより角瓶の方を買う人が多いのだから、実に不思議である。

 それらのまともなスコッチのうち、もっとも安いのは“西友スコッチ”だろう。
 仕入先が変わるのか、いわゆる西友スコッチは、時々ラベルの名前が変わる。
 筆者が今回開けてみたのは、GLEN FOYLEと書かれている少し前のものである。

 原材料はモルトウイスキーとグレンウイスキーで、3 YEARS OLDとラベルに書かれているが、これはウイスキーを名乗る資格のある酒の、はっきり言うが“最低条件”である。
 我が国の洋酒業界は、ウイスキーの世界四大産地(スコットランド、アイルランド、アメリカ、カナダ)に、勝手に日本を加えて「ウイスキー世界五大産地の一角」と自称しているが。
 その実態は、「原酒は最低何年樽貯蔵すべし」という規定も無く、全く樽貯蔵していないただのアルコールや香料等も入れ放題である。

 ウイスキー好きの皆さんは、世界で最も“ウイスキー”なるものを多く生産している国がどこか、ご存知だろうか?
 スコッチの産地スコットランドでもバーボンの産地アメリカでもなく、実はインドなのである。
 では何故そのインドが、ウイスキーの世界○大産地を名乗れないのか?
 それは質が粗悪だからである。
 スピリッツに少量のモルトを加えて香り付けしたものが、インドでは“ウイスキー”として広く売られている。
 だからいくら生産量が多くても、インドはウイスキーの世界的な産地として認められないのだ。

 日本もインドと似たようなものだ
 飲めばすぐ「原酒が若すぎる」とわかるものや、スピリッツを混ぜたものなど、「安かろう、悪かろう」の粗悪品を広く売る一方で、高くて良いものを少量だけ造って国際的な賞を取り、それを広告塔にして「日本はウイスキーの世界五大産地の一角!」と自画自賛している。
 ちょっとだけ造る上等だが驚くほど高いウイスキーを宣伝材料にして、利益はウイスキーと呼ぶ資格も無い粗悪な偽物で稼ぎ出す。
「日本のウイスキー業界よ、恥を知れ!」と叱りたい。

 さて、日本の安物と違いちゃんと“ウイスキー”と呼べ、かつ最も安いスコッチである西友スコッチを、久しぶりに飲んでみた。
 西友が少し前に筆者の住む市から撤退してしまった為、入手が面倒になり、飲むのは本当に何年かぶりである。

 やはり3 YEARS OLDと原酒の貯蔵年数が最低限であるだけに、アルコールの匂いは感じる。
 だがその他にまずチョコレート、そして花の香りを感じる。

 味もそう刺々しくなく、ストレートで飲めるなめらかさとまろやかさがある。
 味そのものは、おとなしい方だ。
 甘さ、ビターさ、スパイシーさ、そのどれも突出しておらず、バランスが取れている。
 コクや味の奥行きも、お値段以上にある。
 こんなまともな物があるのに、トリスやレッド、さらにはスピリッツなどを混ぜたゲテモノをあえて飲む人の気が知れない。
 ニッカで最も安価なブラックニッカ・クリアは「国産の千円しないものの中で最もマシ」と思うが、そのクリアより西友スコッチの方が明らかに上である。
 ブラックニッカ・クリアは水なり炭酸なり何かで割らねば飲みにくいが、西友スコッチはストレートでも飲める。
 何かで割らねばとても飲めないのが角瓶までの国産の安物で、この西友スコッチは安いがちゃんとストレートで飲める。

 イオンの系列店で扱うトップバリュ・ウイスキーは安い以上に酷い味で買うと損をするが、西友スコッチはそれとはまるで違う。
 イオンやマックスバリュでうっかりトップバリュ・ウイスキーを買ってしまった人は不幸だが、近くに西友があり、少なくとも本物のスコッチをいつも安く飲める人は幸せである。

 さて、その西友スコッチを開封してから空気に触れさせつつ一週間置いておき、改めて飲んでみる。
 残念ながら、そこはやはり貯蔵年数の最低限度3 YEARS OLDの製品である。
 空気に触れさせても香りは良くならず、アルコールの刺激を感じてしまう。
 カラメルとメープルシロップの香りも感じる。
 味の方は、香りほどアルコールがキツくない。
 甘くスパイシーでビターなのは変わらず、ストレートで飲めるがチェイサーはあった方が良い。
 甘さはチョコレート、そしてナッツのほろ苦さを感じる。
 これを飲んだ後にチョコレートを食べると、チョコがとても美味しく感じる。
 ビターさとスパイシーさがチョコに合うようだ。

 このスコッチ、人によってはトワイスアップの方が飲みやすいかも知れない。
 トワイスアップにするとアルコールの刺激が無くなり、飲みやすくなる。
 そしてトワイスアップにしても水っぽくならず、甘さとコクを感じ、そして適度にビターだ。

 さらに、ハイボールにもしてみた。
 1:3で割って作ってみたが、香りは意外に立つ。
 味もスッキリしつつコクと甘さも感じられ、「ウイスキーを飲んでいる」と実感しながらスイスイ飲める。
 安いなりに、それだけ良い原酒を使っているということだろう。
 西友スコッチのハイボールは甘さとコクが際立ち、ビターさとスパイシーさは抑えられ、スモーキーさは殆ど感じない。

 と言うより、このスコッチ、ハイボールだけでなくトワイスアップやストレートでも、スモーキーさを殆ど感じられなかった。
 スモーキーなスコッチが好きな筆者としては、そこが残念だった。
 だが安い割には出来が悪くない、ちゃんと飲めるウイスキーである事は事実だ。

 国産のトリスやレッドやブラックニッカ・クリアや角瓶、それにスピリッツを混ぜた“ウイスキーもどき”を飲むより是非こちらをと言いたい。
 ただ筆者なら、もう少しお金を出して、西友スコッチでなくジョニ赤やティーチャーズやバランタイン・ファイネストやホワイトホースなどを買ってしまうだろうな……とも思ってしまう。

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ブレンドウイスキーをさらに“ブレンド”してみた

 まず最初に謝っておかねばならない。
 こんな我が儘で勝手なブログに目を通して下さる方に、“ウイスキー初心者”を名乗る、とても初心者とは思えぬ知識の深いお人がいらして。
 その方が、「ブレンドウイスキーを“ブレンド”してみたら、どうなるだろう」とコメントを寄せて下さった。
 それでそのウイスキー初心者さまのアイディアをパクって、ブレンドウイスキーの“ブレンド”を試してみた。

 まずは、気まぐれで買ってはみたものの、やはり不味くて飲む気になれずに放置していたサントリー・レッドを、あのジョニ赤と1:1でブレンドしてみた。
 まず香りだが、ジョニ赤のそれを弱くした感じだ。
 飲むと案外悪くないが、レッドの若すぎるアルコールの刺激がツンツンして、ストレートで飲むのはキツい。
 甘い。
 サントリーのウイスキーには甘いものが少なくないが、ジョニ赤のウリも「甘くスモーキーで力強い」だ。
 その両者の甘さが合わさり、そしてジョニ赤のビターさとスモーキーさが抑えられた感じ。
 ウイスキーらしい味わいとコクはあるが、レッドの味の濁りが残る。
 そのトワイスアップは、甘さの他にジョニ赤のビターさとスモーキーさが僅かに感じられて、意外に良い感じだ。
 少し薄く感じないでもないが、若いアルコールのツンとした刺激が無くなり飲みやすい。
 ストレートはレッドの悪さが前面に出たが、トワイスアップにするとジョニ赤の良さが主体に変わる。

 次は、ジョニ赤とホワイトホースを1:1でブレンドしてみた。
 どちらもスモーキーさをウリにしているが、どうなるか。
 香りは華やかで甘い。
 濃い蜜の香りがする。
 思ったよりは控え目だが、スモーキー香も感じる。
 レッドとジョニ赤のブレンドとは比べものにならないほど良い。
 飲むと蜜の甘さにビターさが加わる。
 両者が良いように混ざり合い、角が無くストレートで美味しく飲める。
 水で割る必要を感じない。
 飲んだ後に余韻も強く残る。
 ジョニ赤の強い個性を少し抑えて、好き嫌い無く飲みやすくした感じだ。
 両者の甘さとコクとスモーキーさが生きる。

 続いて、ジョニ赤とブラックニッカ・スペシャルを1:1でブレンドしてみる。
 甘く柔らかな香りで、アルコールの匂いを殆ど感じない。
 飲むとまず甘さ、そして深いコクとビターさを感じる。
 その後に、スモーキー香が鼻に抜けて行く。
 シェリー樽を使用したブラックニッカ・スペシャルの原酒の華やかな香りも感じる。
 ジョニ赤とブラックニッカ・スペシャルの良さだけが倍になって感じられる。
 まろやかだし飲みやすく、これは良い!
 両者とも元々ストレートで美味しく飲めコクがあり甘くスモーキーで、それにブラックニッカ・スペシャルのシェリー樽で貯蔵した原酒の華やかさが加わった印象だ。

 ジョニ赤とクレイモアの1:1のブレンドは、アルコールの匂いは殆ど無く、チョコレートの濃い香りを感じる。
 飲むと甘くコクがあり、まろやかでビターだ。
 スモーキーさも感じられ、両者の良いところを取った感じだ。
 これも美味しい!
 ただジョニ赤とクレイモアの、それぞれの個性は減る。
 その代わりに厚みと深みが増す感じだ。

 クレイモアとホワイトホースの1:1のブレンドは、香りにホワイトホースの原酒の若さによるアルコールの匂いを少し感じる。
 飲むと、味にもアルコールの刺激を少し感じる。
 不味くはない、しかしクレイモアの良さより、ホワイトホースの原酒の若さのツンとした刺激を、香りにも味にも感じてしまう。
 ただコクと味の深みは増す。

 いくつか試してみたが、良いブレンドウイスキー同士のさらなるブレンドは、より複雑で厚みのある、そしてまろやかなものになる。
 さらにうま味と複雑さが増す。
 レッドのような不味いウイスキーですら、良いウイスキーを混ぜるとかなり「マシ」なものになる。
 他の定番ウイスキー同士のブレンドほどは良くなかったクレイモアとホワイトホースのブレンドですら、コクが増し味わいが深くなる印象。
 ただ「良いウイスキー同士のブレンド」は味が複雑になり過ぎるようで、元のウイスキーの個性が減るように思える。
 そのウイスキーの個性は、他のウイスキーと混ぜずに単独で飲んだ方が明確に感じられる。

 良いウイスキー同士を混ぜると、よりコクが増し深く複雑な味になり、「これは美味しい!」と思う。
 しかしその後で定番の良いウイスキーを飲むと、逆に混ぜずに単独で飲んだ方がスッキリした良い味に感じられるから不思議だ。
 良いウイスキーを不味いものに混ぜると、不味いウイスキーを「まとも」に近い味に引き上げる。
 良いウイスキー同士を混ぜると、より美味しく感じる。
 しかし良いウイスキーはプロのブレンダーが完成させた味で、単独で飲んだ方が個性をより感じられる。
「良いウイスキーは混ぜると美味しくなるが、元から定評のある良いウイスキーはそのまま飲んだ方が、本来の魅力と個性をより感じられる」というのが、筆者が幾つか試してみた結論だ。

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クレイモア

 筆者が一番好きなお酒は、やはりウイスキーだ。
 最近はビール類や日本酒等の記事ばかり書いていたが、ウイスキーもちゃんと飲んではいた。
 ただ飲むのがシーバス・リーガル、ジョニ黒にジョニ赤、それにブラックニッカ・スペシャルといった定番のウイスキーばかりだったので、記事にはなかなか出来なかった。
 だが最近、久しぶりに違うウイスキーを飲んでみたので、そのクレイモアについて書いてみる。

クレイモアP1180892

 クレイモアは千円ちょっとの、いわゆるスタンダード・スコッチだ。
 以前にも飲んで「これは良い!」と思ったのだが、惜しいことにジョニ赤やホワイトホースやティーチャーズなどのようにメジャーではなく、置いてある店はそう多くない。
 そのクレイモアを久しぶりに見つけたので、買って飲んでみた。

 キャップを開けて、いつものチューリップ型の小振りなグラスに注ぐ。
 花を思わせる、濃く甘い好ましい香りをまず感じる。
 ビターチョコを思わせる香りもある。
 この価格帯(千円台前半)のウイスキーにありがちなアルコールの匂いは、かなり少ない。
 飲んでみても若いアルコールのツンとした刺激は少なく、このクラスのウイスキーとしては屈指のまろやかさで、割らずにそのままストレートで楽しく飲める。
 コクもあり味わい深く、美味い。
 間違いなく“お値段以上”の良いスコッチだ!
 欲を言えば、骨太なスモーキーさがあればもっと良いと思う。
 筆者がスタンダード・スコッチで外せない定番と思うジョニ赤にあり、だがこのクレイモアに無いのは、はっきりと自己主張するスモーキーだ。
 ただそれは個人的な好みの問題だし、世の中にはスモーキー香が好きでない人も少なからずいる。
 だから客観的には、「ジョニ赤よりクレイモアの方がバランスが取れている」と言えるだろう。

 飲んでまず感じるのは、花の蜜や果物を思わせる甘さだが、後味はビターでサッパリしている。
 これは良い!
 味に厚みがある上にまろやかでもある。
 筆者は「そのウイスキーの本来の味と香りは、開封し時折空気に触れさせながら数日待った後でないとわからない」と思っているが、このクレイモアは開封直後から文句なく美味しい!
 甘くビターで味わい深くまろやかで、ジョニ赤にも負けない。
 はっきりとわかるスモーキーささえ求めなければ、こりを晩酌用の定番ウイスキーにしても良いと思った。

 開封して時々空気に触れさせながら、一週間ほど待つ。
 香りはより濃く甘くなり、元々少なかったアルコールの匂いは殆ど無くなる。
 香りにチョコレートの要素も感じる。
 飲むとまずハニーな甘さとコクを感じ、程良いビターさがそれに続く。
 飲み応えあり!
 アルコールの刺激は少なくまろやかで、ストレートで気持ち良く美味しく飲める。
 余韻に心地良いビターさが長く続く。
 そしてその余韻の中に、控え目ながらスモーキーさも感じるようになった。
 ブラックニッカ・スペシャルにも、どこか似ていると飲んでいて感じた。

 そこでクレイモアとブラックニッカ・スペシャルを、実際に飲み比べてみた。
 続けて飲んでみると、ブラックニッカ・スペシャルの方が軽やかで華やか、しかしクレイモアの方がコクと味に深みがある。
 しかし味や香りや余韻やまろやかさなど、評価点は総合的に見れば互角で甲乙付けがたい。

 さらにクレイモアをジョニ赤と、続けて飲み比べてみた。
 飲んだ後の満足感は同じだが、クレイモアの方が癖が無く飲みやすく、ジョニ赤の方がよりビターでスモーキーでコクを感じる。

 ジョニ赤やブラックニッカ・スペシャルと飲み比べてみて、改めて思う。
 クレイモアはとても良い、美味しいウイスキーだ!
 甘くビターでコクがある上にまろやかで飲みやすい。
 後味に、僅かだがスモーキー香もある。

 度数40%やそれ以上のウイスキーを飲み慣れていない人もいると思うので、1対1で水で割る、トワイスアップも試してみた。
 香りは心地良く問題ない。
 香りの主体は、花を思わせる甘さだ。
 飲みやすいし、それなりに味わいもあり、水っぽくはない。
 ただストレートでも充分に飲めるウイスキーだけに、ストレートを飲み慣れた人には少し薄く感じられて物足りないかも。
 しかし優しい甘さが心地良い。
 そしてほのかなビターさとスモーキーさも感じる。
 テレビや映画を見るとか本を読むとかしながら気軽にスイスイ飲むには、トワイスアップも悪くない。
 但しスッと心地良く飲めるが、余韻は無い。
 飲みやすく不満の無いトワイスアップに、より濃い味で満足感も高いストレートといったところだ。

 千円ちょっとのウイスキーには、ストレートでは若いアルコールの刺激がキツ過ぎ、割らねばとても飲めない製品が少なからずある。
 日本でハイボールを異常なまでに流行らせたサントリーの角瓶など、その代表格だ。
 角瓶のハイボールがウケるのは、アレはストレートではまともに飲めない代物からだ。
 そんなストレートでは飲みづらいウイスキーが多い価格帯の中で、クレイモアはさほど有名ではないが実に良いスコッチである。
 ウイスキーブームと言うのであれば、このようなウイスキーこそこの国でもっと売れるべきであろう。

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ブラックニッカ・スペシャル

 筆者は昔から、ブラックニッカ・スペシャルが大好きである。
 ブラックニッカの原点とも言うべきウイスキーで、瓶の形もラベルも昔ながらでどこか懐かしい。
 ただ欠点は、これを置いている店が少ないことである。
 たまたま見つけて買ってみて、「値段の割に、何と出来の良いウイスキーだろう!」と驚嘆したものの、とにかく売っている店が筆者の住むような田舎では少なくて、なかなか飲めずにいた。
 ところが幸いなことに、近所の酒屋がこれをいつも売るようになり、久しぶりに買って飲んでみた。

ブラックニッカ・スペシャルLUMIX FX9 456

 キャップを開けた直後の香りは、穏やかで甘い。
 アルコールの匂いも少しあるが、同時に樽の好ましい香りも感じる。
 口に含むと、アルコール度数42%なのに甘くビターで滑らかでマイルドで、ストレートで美味しく飲める。
 甘さとビターさの後に、ほのかなスモーキー香が追いかけてくる。
 アルコール度数42%だけに、コクと味の深みをしっかり感じる。
 開封直後でまだ充分に空気と触れ合っていない時点で、扱っている店がPOPで「千円台のスコッチを飲んでいる方にぜひ試していただきたい」と宣伝しているのがよくわかる出来の良さだ。
 実際、このブラックニッカ・スペシャルを越えるスタンダード・スコッチは数少ない。
 筆者はウイスキーの中でもスコッチが最も好きでいろいろ飲んできたが、その筆者がそう認める。

 グラスを回して空気と馴染ませるに従い、香り高く味もまろやかになる。
 ストレートで、チェイサー無しで美味しく飲めてしまう。
 価格(税込みで千五百円せず角瓶とほぼ同額)を考えれば、信じられないほど良い出来だ。
 同じブラックニッカでも、ブラックニッカ・リッチブレンドなどより遙かに良い出来だし、このブラックニッカ・スペシャルを飲むと、ブラックニッカ・ディーププレンドが荒々しく感じてしまう。
 ウイスキーは開封して何日かかけ、充分に空気と触れ合わせてから飲む主義の筆者が、開栓直後に飲んで「もう一杯飲みたい!」と思ってしまった。
 それくらい、この価格帯では出来が良い。
 甘くビターで、スモーキーな余韻が長く残って心地良い。
 これは良い!
 日々晩酌用に飲むならこれで充分と、開栓直後に心から思った。

 さて、開栓してから一週間後に、スタンダード・スコッチの雄、ザ・フェイマス・グラウスを飲んだすぐ後に飲んでみる。
 開栓直後に感じたアルコールの匂いが殆ど消えていて、ザ・フェイマス・グラウスの方がよりアルコールの刺激を感じるくらいだった。
 香りはとても豊かで、飲むとまろやかで甘くビターで程々にスモーキー。
 コクもあるし、味わい深い。
 味も香りもザ・フェイマス・グラウスに勝るくらいで、開封直後より明らかに、さらに良くなっている。
 シェリー樽由来の甘く艶やかな味と香りも魅力!
 これは開封直後にはよくわからなかった。
 これは素晴らしい!
 税込みで千五百円しないウイスキーの中では、最高級と言える。
 あの「日本で最も売れているウイスキー」であるサントリーの角瓶とほぼ同じ価格だが、是非ともストレートで飲み比べてみてほしい。
 質と格がまるで違うのがよくわかる筈だ。

 アルコール度数42%なのに、ノーチェイサーのストレートで飲んでもアルコールのキツさが少しも無く、2%の度数の高さがそのまま味の濃さと香りの高さにつながっている。
 飲んだ後も、甘く華やかでスモーキーさの残る余韻が長く続く。
 筆者はこのブラックニッカ・スペシャルを、普段、晩酌用として日常的に飲むお気に入りのウイスキーに加えようと決めた。
 これぞブラックニッカの原点で、ニッカのウイスキーの基本とも言える。
 甘く、シェリー樽由来の豊かな味と香りがあり、ビターで少しスパイシーで適度にスモーキーで、ウイスキーの美味しさの要素すべてが凝縮されている。
 これが税込み千五百円でお釣りが来るとは、お買い得すぎる!
 今のウイスキー・ブームで、ジャパニーズ・ウイスキーの原酒不足が深刻化し、休売や終売になるウイスキーが相次いでいるが。
 もしこのブラックニッカ・スペシャルが休売や終倍になったら、筆者はニッカを深く恨む。

 難点は、こんなに良い、しかも晩酌用として気軽に飲める価格のウイスキーを置いてある店が少ないことだ。
 日本はウイスキー・ブームだと言うが、これよりも角瓶の方が遙かに売れていて、「ブラックニッカ・スペシャルは無いが、角瓶なら常にある」という店が大多数なのだから、日本のウイスキー好きを自称する者達(ブームになって飲み始めた“にわか”のウイスキー飲み)のレベルがわかるというものだ。
 所詮、日本の自称“ウイスキー好き”の大多数は、ウイスキーと言えばハイボールでしか飲まない輩なのだろう。
 そんな愚痴はともかくとして、とにかく税込みで千五百円しない価格で買える普段用のウイスキーの中では、このブラックニッカ・スペシャルは突出した出来の良いウイスキーだ。

 そのブラックニッカ・スペシャルを、ジョニ赤と飲み比べてみる。
 グラスに注いだ瞬間に、ブラックニッカ・スペシャルはシェリー樽の甘く豊かな香りを感じる。
 ブラックニッカ・スペシャルの方が、穏やかでまろやかな味わいだ。
 一方のジョニ赤はビターさやスパイシーさを強く主張し、よりスモーキーだ。
 コクや味わい深さについては、殆ど差が無い。
 ジョニ赤の個性の強さと力強さの方を好む人も間違いなくいる筈だが、ブラックニッカ・スペシャルの方がより多くの幅広い層の人達に好まれそうだ。
 ジョニ赤もスタンダード・スコッチの中ではかなり飲みやすい方だが、アルコール度数40%のジョニ赤より42%のブラックニッカ・スペシャルの方がさらにまろやかに感じた。
 ジョニ赤に一歩も引けを取らない出来で、海外にも出したい、世界に誇れる日本の日常用のウイスキーだ。

 試しにこのブラックニッカ・スペシャルを、ブラックニッカ・ブレンダーズスピリットと飲み比べてみた。
 香り高く力強くいろいろな味がギュッと凝縮されていて、ブラックニッカ・ブレンダーズスピリットは本当に良いウイスキーだ。
 比べてしまうと、ブラックニッカ・スペシャルの方が味も香りも穏やかである。
 だが、味と香りの傾向は両者とも同じだ。
 ブレンダーズスピリットの方が明らかに味が濃いが、ブラックニッカ・スペシャルはまろやかで飲みやすい。
 ブレンダーズスピリットのアルコール度数は43%で、両者の度数は1%しか違わないから、いかにブラックニッカ・スペシャルの出来が良いかがわかる。
 価格差はほぼ1/2だが、それだけの差を感じない。
 ブレンダーズスピリットもノンエイジで、味の濃さに差はあってもまろやかさ(アルコールの刺激)に差は殆ど無いから、おそらく両者の差はモルトウイスキーの使用割合ではないか。
 そしてブラックニッカ・スペシャルがいかにちゃんと造られ樽熟成もされたカフェグレーンを使っているかも、よくわかった。

 ブラックニッカ・スペシャルをブラックニッカ・クリアとも飲み比べてみたが、思うにブラックニッカ・クリアのグレーンはカフェ式ではない。
 そしてグレーンの熟成期間も(ニッカ製品の中では)かなり短い。
 ブラックニッカ・クリアもトリスやレッドに比べればずっとマシだが、同じブラックニッカでもクリアとスペシャルには、お値段の差を遙かに越えた質の差があると感じる。
 端的に言えば、スペシャルはチェイサー無しのストレートで美味しく飲めるが、基本的にクリアは何かで割らねばアルコールの若さがキツ過ぎてとても飲めない。

 さらに、ブラックニッカ・スペシャルをジョニ黒とも飲み比べてみた。
 ジョニ黒は甘く力強くビターでスパイシーでスモーキーな上に、とても滑らか、まろやかで、安定した美味さだ。
 12年物のブレンデッド・ウイスキーの中でも、頭一つ抜きん出ている印象。
 ジョニーウォーカーの赤と黒の差は、まろやかさと熟成感だ。
 そのジョニ黒を飲んだ直後に、ブラックニッカ・スペシャルを飲んでみた。
 意外なことに、まろやかさと飲みやすさに関しては、両者に目立った差は無かった。
 だが続けて飲み比べるとブラックニッカ・スペシャルは良く言えばライト、はっきり言えば味が薄く感じる。
 香りも、ジョニ黒の方が高い。
 それはおそらく、モルトの比率がジョニ黒の方が高いからだろう。
 それにしても、まろやかさや飲みやすさでは、ジョニ黒と大きな差を感じないとは。
 ブラックニッカ・ブレンダーズスピリットとの飲み比べでも感じたが、ブラックニッカ・スペシャルは良いグレーンを使っている。
 飲み比べれば、もちろんジョニ黒の方が明らかに上だ。
 しかし価格差ほど味と香りの差は感じないし、税抜きでなら千二百数十円で買えるウイスキーでこれだけの味と香りは希少である。
 ブラックニッカ・スペシャルはニッカの良心とも言える逸品だと、心から感じた。
 余市モルトの力強さとスモーキーさ、宮城峡モルトの甘さと華やかさ、そしてカフェグレーンのまろやかさのハーモニーが素晴らしい。

 無謀にもブラックニッカ・スペシャルを、筆者お気に入りのアイラ島のシングルモルト・スコッチ、フィンラガン・オリジナル・ピーティーと飲み比べてみた。
 フィンラガン・オリジナル・ピーティーの直後にブラックニッカ・スペシャルを飲んでしまうと、さすがにアルコールの刺激が少しだけ強く、そしてピート香の弱さとヨード香の無さが物足りなく感じられてしまう。
 だがそれでも、ブラックニッカ・スペシャルはそれなりに美味しく飲める。
 ピート香が穏やかでヨード香が無い分、筆者のようなアイラの癖のあるスコッチ大好き人間は別として、一般の人にはブラックニッカ・スペシャルの方がフィンラガン・オリジナル・ピーティーより飲みやすく親しみやすいかも知れない。

 筆者は、ウイスキーがあれば何でも躊躇なくハイボールにしてしまう、今の日本のウイスキー・ブームは大嫌いだ。
 しかし今の日本人は「ウイスキーはハイボールで飲むもの」と盲信している人ばかりだから、嫌々このブラックニッカ・スペシャルもハイボールにして、他のお手頃価格の国産ウイスキーとも飲み比べてみた。
 筆者の好みで、ハイボールはいつも1:3の濃いめにして、氷は入れずに飲んでいる。

 まずは日本人の定番、角瓶のハイボールから。
 ほのかに甘いウイスキーの香りがして、そしてビターで甘く飲みやすい。
 角瓶をストレートで飲んだ時に感じる、あのイヤ~な若いアルコールの刺々しさは無いが。
 不味くはない、しかし「美味しい!」とも全く思わず、「まあ飲める」といったレベルで、「また飲みたい!」とは決して思わない。
 断言するが、筆者にとっては角瓶のハイボールなどより、同じサントリーの新ジャンル酒である金麦の方がまだマシで旨味も感じる。
 角瓶のハイボールを心から「美味しい!」と思って好んで飲む人達(残念ながら多数の日本人)とは、筆者はとても分かり合える気がしない。

 続いてブラックニッカ・スペシャルも同じようにハイボールにしてみたが、角瓶のハイボールと大差は無い。
 だがブラックニッカ・スペシャルのハイボールの方がスッキリ爽やかな上に、スモーキーさと、シェリー樽の香りと甘さを感じる。
 角瓶のハイボールには、スモーキーさもシェリー樽の香りも無い。
 ハイボールにしても、やはり角瓶よりブラックニッカ・スペシャルの方が美味しい。
 しかしそのブラックニッカ・スペシャルのハイボールを飲んだ直後に、ブラックニッカ・スペシャルをストレートで飲むと、「ストレートは何と美味しいのだろう!」と痛感する。
 角瓶ならともかく、せっかく良く出来ているブラックニッカ・スペシャルを、炭酸で何倍にも割ってハイボールにしてしまうのは、あまりにも勿体な過ぎると心から思う。

 ハイボールにしてしまうと、ブラックニッカ・スペシャルもブラックニッカ・クリアと大きな差は無い。
 ただブラックニッカ・スペシャルの方が味が少し濃く、ピート香やらシェリー樽の香りがほのかに感じられるというだけだ。
 日本に多い喉越し最優先のビールを飲むように、唐揚げなどを流し込むようにガブガブ飲むなら、むしろブラックニッカ・クリアのハイボールの方がスッキリ飲みやすいくらいだ。
 結論は、「ハイボールにして飲むならブラックニッカ・クリア、どうしてもサントリー製品というならトリスで充分」ということだ。
 筆者に言わせれば、角瓶はハイボールで飲むにしても味は“お値段以下”で割高だ。

 最後に、ストレートはどうしてもキツいという人の為に、トワイスアップも試してみた。
 ブラックニッカ・スペシャルのトワイスアップは香りこそストレートより少し弱くなるが、飲みやすくとても滑らかになるだけでなく、フルーティーな甘さが引き立つ。
 その分だけビターさとスモーキーさは薄まってしまうが……。
 さらに余韻も短くなるものの、水っぽくはならず、それなりに美味しく飲める。
 日本酒や本格焼酎を飲み慣れていて、「ウイスキーをストレートで飲むのはキツい」と思っている人には、まずこのブラックニッカ・スペシャルの、常温(氷なし)でのトワイスアップを試してみてほしい。
 ちなみにお酒を氷で冷やすと香りが台無しになる上に、甘味が引いて苦味を強く感じ味のバランスも崩れるので、筆者はウイスキー等(特にブランデーに氷入れるのは不作法で非常識!)に氷を入れることを勧めない。

 ブラックニッカ・スペシャルは、置いてある店こそ少ないが、角瓶とほぼ同じ価格でそれより遙かに美味しいジャパニーズ・ウイスキーだ。
 ハイボールでも、もちろん角瓶より美味しい。
 しかしストレートやトワイスアップなど濃いめで飲んでこそ、その真の味がわかる。
 ブラックニッカ・スペシャルはニッカの良心がわかる、まさしくお値段以上の晩酌用ウイスキーだ。

 このブラックニッカ・スペシャルを、近年になって置くようになった近所の酒屋は「千円台のスコッチを飲んでいる方にぜひ試していただきたい」と宣伝しているが、筆者なら「角瓶を美味しいと思って飲んでいる方にぜひ試していただきたい」と言いたい。
 まあ、ウイスキーと言えばハイボールしか飲まない人には、角瓶以外の何を勧めても無意味かも知れないが……。

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ジョニーウォーカーの赤と黒(価格の差ほど、味に差があるか?)

 ジョニー・ウォーカーの赤と黒は、筆者のお気に入りのスコッチである。
 平日はジョニ赤を気楽に、休日はジョニ黒をゆっくり味わって……と、いつもは飲み分けている。
 この両者を飲みながら、時々疑問に思うことがある。
 ジョニ黒は12年モノのスコッチの中でも良く出来たウイスキーだが、「果たしてジョニ赤との価格差だけ、味と香りにも差があるのだろうか?」と。
 ちなみにジョニ黒は本体のみで二千円前後だが、ジョニ赤なら高い店でも1480円、安い店なら980円で買える。

ジョニ赤LUMIX FX9 426

 まず、ジョニ赤から飲んでみる。
 もちろん、ストレートでだ。
 ジョニ赤は、このクラスのウイスキーでは抜群の味と香りだ。
「これを越えるスタンダード・スコッチは無い」
 個人的には、そう言い切ってしまっても良いように思う。
 コクがあり味わい深く、甘さとビターさとスモーキーさがハッキリしていて力強く、余韻も長い。
 ちなみにレーズンをつまみにすると、ジョニ赤がよりフルーティーに、そしてレーズンがより甘くなる。
 日々気軽に飲むなら、本当にこれで充分だと思う。

 そのジョニ赤を飲んだ直後に、続けてジョニ黒を飲んでみた。
 味も香りも明らかにジョニ黒の方がまろやかで、かつ芳醇で熟成感がある。
 両者を別々に違う日に飲むと、「ジョニ黒も良いが、ジョニ赤と価格ほどの差は無いかな?」とも思うし、ジョニ赤のハッキリした主張の強いピート香に魅力すら感じてしまう。
 だが続けて飲んでみると、その差、味と香りの豊かさとまろやかさの違いを歴然と感じてしまう。
 ジョニ赤の方がよりスモーキーに感じてしまうが、それはジョニ黒の方がずっと複雑で深い味だからで、実は両者のスモーキーさに差は殆ど無く、違いは芳醇さと熟成感にある。
 ジョニ黒は飲んでいる時にはまろやかで複雑で豊かで奥深い味を感じ、スモーキーさは余韻で強く感じる。

 逆にまずジョニ黒を飲み、その直後にジョニ赤を飲んでみると、両者が基本的に味も香りも似ていることと、しかしジョニ赤の方がシンプルで固い味だと感じてしまう。
 だがスタンダード・スコッチの中ではジョニ赤の出来の良さは飛び抜けているし、甘さとビターさとスモーキーさがジョニ黒のように充分に混じり合わずにそれぞれ別に自己主張しているのも、「それはそれで魅力だし良い」と思ってしまう。
 ジョニ黒を飲んだ直後に、より安いノンエイジのジョニ赤を飲んでも、「まずい」とか「やはり黒でなければ駄目だ」などとは、決して思わない。
 ジョニ赤を飲んだ直後にジョニ黒を飲むとその差を明らかに感じて「黒は凄い!」と思うのに、逆にジョニ黒の直後にジョニ赤を飲んでも「赤もなかなか良い!」と思わせるのが流石だ。
 また、ジョニ黒はつまみ無しでも充分に美味しく飲めるが、ジョニ赤はレーズンと合わせると、ジョニーウォーカー・ワインカスクブレンドにスモーキーさをプラスしたような魅力的な味になる。

 スコットランドで一番人気のスコッチ、ザ・フェイマス・グラウスとも飲み比べてみた。
 ちなみに価格は、ザ・フェイマス・グラウスの方がジョニ赤より少し高い。
 そのジョニ赤と飲み比べると、まろやかさは両者ほぼ同じだが、ジョニ赤の方がドライでスパイシーでスモーキーだ。
 ジョニ赤は「いかにもジョニーウォーカー!」という個性に富み、ザ・フェイマス・グラウスはよくバランスが取れていて万人向けで、「スコッチの愛飲家でこれを嫌いと言う人はまずいないだろう」という印象だ。
 両者に目指す味と香りの方向性に違いはあっても、出来に甲乙は付け難い。
 ついでに、ジョニ黒とザ・フェイマス・グラウスも飲み比べてみた。
 もちろん、ジョニ黒の方が間違いなくまろやかで味わい豊かで出来が良い。
 しかしジョニ黒vsジョニ赤と同様に、ザ・フェイマス・グラウスも意外にジョニ黒に迫る味と香りで、現地のスコットランドで人気なのがよく理解できた。

 それにしてもジョニ赤とジョニ黒、どちらも筆者の日々に欠かせない素晴らしいウイスキーだと、改めて感心させられた。
 価格の差に比例する出来の差(芳醇さや熟成感やまろやかさ)は、両者の間に確かにある。
 だがジョニ赤もそのクラスでは突出した出来の、間違いなく“お値段以上”のウイスキーである。

 筆者がいつもお酒を買っている店では、ジョニ赤より角瓶の方が間違いなく高いが。
 それでもあえて角瓶を選んで買う人が少なからずいる現状が、筆者には不思議でならない。
 角瓶は炭酸で何倍にも割ってハイボールにしてやっと飲めるシロモノで、ストレートでは不味くてとても飲めない。
 現にサントリーのブレンダーの輿水氏も、著書で「角瓶はハイボールで飲む」と言い切っている。
 だがジョニ赤はハイボールでも美味しく飲めるが、ストレートで飲めばもっとずっと味わい深く美味しい。
 それがジョニ赤と角瓶の違いの全てだ。
 それでも「角瓶が日本で一番売れているウイスキーである」という現実は、今の日本は原酒不足になるほどの空前のウイスキー・ブームだと言うものの、正確には「ウイスキー・ブームでなくハイボール・ブームでしかない」ということだろう。
 異論はあるだろうが。
「ストレートでもハイボールでも飲む」というのなら良いが、「ウイスキーを飲むならハイボールで」という、年代物の良いウイスキーでも構わずハイボールにしてしまう人を“ウイスキー好き”とは、筆者は全く思えない。
「ウイスキー好きとハイボール好きは違う」と、筆者はつくづく思う。
 そしてジョニ赤もジョニ黒も、ウイスキー好き、特にスコッチ好きにはたまらない銘酒である。

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