空と虹と恋と

 大好きな写真のこと、そしてゲームやコミックスの話から歴史&時事問題まで、思いつくまま雑多に語ってみたいと思っております。さらに筆者の度重なるイタい失恋話についても、どうぞ憫笑しつつお読み下さいまし。

ロード・パーキンス

 今回紹介するロード・パーキンスというスコッチは、価格帯で言えば安価なスタンダード・スコッチの部類に属するが、日本で見ることはそう多くないと聞く。

ロード・パーキンスP1080646

 さて、キャップを開けてグラスに注いでみると、甘い花のような香りと、アルコールのツンと来る刺激臭が同時に漂う。
 色は、淡い黄金色。
 味わいとしてはライトな部類で、コクや深みはあまり感じない。
 原酒の貯蔵にバーボン樽を使用しているのか、それとも作り方によるものか、スコッチなのにバーボンにも似たキャラメルの甘さを感じる。
 しかし後味は辛く、余韻もあまり長くない上に、痛いくらいのアルコールの刺激だけが残る。

 開封して一週間ほど置き空気と馴染ませて再び飲んでみると、甘い花の香りが増してアルコールの刺激的な匂いはやや減った。
 しかし飲んでみると若いアルコールのキツい刺激は相変わらずで、キャラメルの甘さ以外の味やコクは薄い印象は変わらない。
 余韻も続かず、アルコールの刺激が残るだけという印象。
 鋭いアルコールの刺激とキャラメルの甘さが特徴で、コレをストレートで飲むには頻繁にチェイサーも飲まねばならない。
 心して、本当に少しずつゆっくり舐めるように飲まねば、とてもストレートでは飲めない。

 で、トワイスアップにしてみたが、これが意外に良く合った。
 水で割ると、ただトワイスアップにするだけで水っぽく物足りなくなってしまうウイスキーが少なくないが、このロード・パーキンスは意外に腰が強く、水で割ってもキャラメルの甘い味がしっかり残る。
 ストレートではコクや深みが足りない印象があったのに、トワイスアップにしても薄い印象にはならなかった。
 そしてストレートではキツ過ぎたアルコールの刺激が殆ど減り、とても飲みやすくなる。

 試しに、ニッカの創業者の竹鶴政孝氏が晩酌時に飲んでいたという、1:2の水割りも試してみたが、これは流石に少し水っぽかった。
 それでもウイスキーらしい味わいはちゃんと残り、そしてとても飲みやすかった。

 筆者はウイスキーも含め、お酒は基本的にゆっくり味わって飲みたい種類の人間だ。
 だからウイスキーも、ハイボールにしてゴクゴク飲むのはあまり好まない。
 が、そのハイボール嫌いの筆者が断言するが、このロード・パーキンスはハイボールに合う。
 氷を入れ3~4倍のソーダを入れても、花の香りとキャラメルの適度な甘い味がしっかり残る。

 このロード・パーキンス、ウイスキーをストレートで味わって飲みたい人にはお勧めしない。
 しかし不思議なことに、ストレートではただキャラメルの甘さがあるだけで、コクも深みも余韻も無くアルコールの刺激がひどくキツいのに、水や炭酸で割っても決して薄味にならず、アルコールの刺激だけ消えてウイスキーらしい味わいはしっかり残る。
 ストレートで飲むととにかく強いアルコールの刺激に閉口させられるが、ハイボールなどにして割って飲むにはとても適した、飲み方を選べばそれなりに良いスコッチだ。

スポンサーサイト

PageTop

竹鶴ピュアモルト

 数あるウイスキーの中で、筆者は竹鶴12年ピュアモルトが大好きだった。
 価格に対してとても出来の良い、コストパフォーマンスに優れた銘酒だと、今も思っている。
 だからそれが終売になってノンエイジの竹鶴になってしまった時には、大変がっかりしたものである。
 で、そのノンエイジの竹鶴ピュアモルトはずっと飲まずにいたのだが、思い立って飲んでみることにした。

ニッカ竹鶴ピュアモルトP1120088

 キャップを開けるとまず豊かな甘い香りが漂い、続いてほのかなスモーキー香を感じる。
 度数は43%だが、ツンとするアルコール臭は感じない。

 飲むとさすがに、度数の強さを感じる。
 しかし千円ちょっとのスタンダード・スコッチや、千五百円以下のジャパニーズ・ウイスキーのような熟成の足りない若い原酒のツンとするアルコールのキツい刺激はなく、味に丸さを感じる。
 バニラのしっかりとした甘さをまず感じ、飲みごたえのあるコクと深みのある味わいを堪能させてくれた後に、僅かなスモーキー香が残る。
 スモーキー香もある、しかし香りの主体は芳醇な甘さだ。
 筆者はシングルモルトの余市も宮城峡も飲んでいるが、竹鶴はその両方の良い部分を併せ、より華やかで奥行きのある味と香りに仕上げているように思った。
 ただ、余市の力強さよりも宮城峡の繊細さの方が、より多く出ているようにも思えた。
 そして以前に飲んだ竹鶴12年より僅かに軽めで、力強さと重厚さに少しだけ欠けているように思えた。
 しかしこの竹鶴ピュアモルトを飲んですぐ「あ、ノンエイジだけに若いな、アルコールの刺激がキツい」と感じたわけではなかった。
 かつての竹鶴12年と比べて「やや軽めだな」と思いはしたものの、若さやアルコールのキツさを感じることは無く、ニッカのブレンド技術の確かさを誉めたいと思った。

 これをトワイスアップにしてみたが、ストレートのようにチビチビ飲むと「薄いな、水っぽい」と思ってしまう。
 しかしピッチを上げてスイスイ飲むと、好ましい甘さと良い香りを楽しめて「美味しい」と思った。
 無論、ストレートの方がずっとコクもあり味わい深く、余韻も長く続く。
 ただストレートの濃さに慣れていない多くの日本人には、甘くまろやかで飲みやすいトワイスアップが合っているかも知れない。

 ウイスキーというと、日本人はまずロックをイメージするが。
 ただウイスキーに限らす酒というものは、冷やし過ぎると香りが沈んで薄れてしまう。
 だから竹鶴のせっかくの素晴らしい香りを、氷で冷やして薄くしてしまうのは、筆者には勿体ないように思えてならない。
 もしもストレートではアルコールがキツいと思うのなら、氷で薄めるより常温でトワイスアップにした方が良いと、筆者は個人的に思う。
 まあ、筆者ならばこの竹鶴も含め良いウイスキーはストレートで味わうが。

 栓を開けて一週間ほど経つと、甘い香りが咲き誇る花のように華やかになる。
 しかしその代わり、スモーキーさが甘い香りの陰に殆ど隠れてしまう。
 度数43%だけに、アルコールの強さはそれなりに感じる。
 しかし竹鶴のアルコールの強さには、尖った角が無いのだ。
 国産の度数37%の安ウイスキーよりずっとまろやかで、割ることなくストレートで美味しく飲める。
 度数40%のスタンダード・スコッチより段違いに味も香りも良い。
 飲んだ後でゆっくり呼吸すると、口の中に甘くスモーキーな味と香りが蘇り、その余韻が長く続く。

 同じ度数43%の、ブラックニッカ・クロスオーバーと飲み比べてみると、ブラックニッカ・クロスオーバーのヨード香を伴うピート香とシェリー樽由来の香りが際立つ。
 それに対し、竹鶴は甘さが前面に出ている印象。
 しかしブラックニッカ・クロスオーバーにも、スモーキーな中に確かな甘さが芯にある。
 個人的には、甘くスモーキーで力強く、かつシェリー樽の華やかな香りもあるブラックニッカ・クロスオーバーの方が好きだ。その僅かな苦味も、味に深みを与えている。
 だが竹鶴の方が甘く優しい味わいで、香りも竹鶴の方がやや華やかか。

 香りは華やかで甘く豊かな味わいの竹鶴に対し、ブラックニッカ・ブレンダーズスピリットは魅惑的な香りと甘くなめらかな味わい、そして程良くスモーキーなアフターフレーバーが特徴だ。
 この三種のニッカのウイスキーのうち、スモーキーさで言えば①ブラックニッカ・クロスオーバー、②ブラックニッカ・ブレンダーズスピリット、③竹鶴ピュアモルトの順だろう。
 竹鶴の方が華やかで味も濃いが、ブラックニッカ・ブレンダーズスピリットの方がより複雑な味わいで、余韻も長く続く。
 竹鶴ピュアモルトとブラックニッカ・ブレンダーズスピリット、甲乙つけがたいが、ブラックニッカ・ブレンダーズスピリットの方が個人的にはやや上に思えた。

 バランタイン12年と飲み比べると、花のように甘くスモーキーさもあり余韻も長いバランタイン12年に比べ、竹鶴の方が甘さが強い感じ。
 バランタイン12年の方が味と香りがより複雑で余韻も長く、竹鶴は甘くまろやかで優しい印象。

 ジョニ黒と飲み比べると、ジョニ黒の方がよりまろやかで、かつ力強くスモーキーだ。
 竹鶴も良くバランスが取れているが、ジョニ黒の方が味にコクと奥深さがあるし、余韻も長い。
 竹鶴もアルコールの刺激は強くない方だが、ジョニ黒の方が味に個性がある上によりまろやかだ。

 シーバスリーガル12年と飲み比べると、シーバスリーガル12年のシェリー樽の華やかな香りが際立つ。そして味も、シーバスリーガル12年の方が重厚かつまろやか。
 そしてシーバスリーガル12年も竹鶴ピュアモルトと同じで、飲んでいる時には殆ど感じないのだが、余韻の中にほのかにスモーキーさを感じる。

 それにしても、シーバスリーガル12年の香りはすごい。
 飲み干したグラスを一時間以上放置してもまだ、シェリー樽主体の華やかな香りがしっかり残っている。
 また、ジョニ黒の角が無いのに力強い味わいも、とても魅力的だ。
 そしてバランタイン12年の、複雑かつバランスの取れた味と香りも素晴らしい。

 筆者などはつい、単純に「ブレンデッドより、ピュアモルトやシングルモルトの方が上等で美味しいだろう」と思ってしまうが。
 竹鶴ピュアモルトがバランスが取れた良いウイスキーだということは、よくわかっている。
 しかしこうして飲み比べてみると、「ピュアモルトだからブレンデッドより上」とは言い切れず、良く出来たブレンデッドはピュアモルトやシングルモルトより豊かな味と香りになりうる事が、よくわかった。

 ノンエイジになった竹鶴ピュアモルトは、筆者が想像していたより良い味と香りだった。
 しかし定評ある12年モノのブレンデッド・スコッチはそれを上回る出来で、飲み比べた結果、それら12年モノのスコッチの実力を思い知らされる結果になってしまった。
 もし終売になってしまった竹鶴12年ピュアモルトと飲み比べたらどうであっただろうと、つい考えさせられてしまった。

PageTop

エンシェント・クラン

 ジョニ赤やホワイトホースほどメジャーではないが、専門の酒屋だけでなくスーパーの洋酒売り場でも見かけるスタンダード・スコッチの、エンシェント・クランを飲んでみた。

エンシェント・クランP1110940

 キャップを開けるとまず感じるのは甘い香りで、そしてスモーキー香も感じる。
 飲んでみるとバニラのしっかりした甘い味と、スモーキーさも感じた。
 若いアルコールの刺激も少し感じたが、千円ちょっとで買えるお手頃ウイスキーとしてはかなり少ない方だ。
 コクもあるし、余韻も続き、ジョニ赤に近い味わいというのが、開封直後に飲んでみた印象だ。

 封を切り空気に触れさせて一週間ほど経つと、甘さがより際立つ代わりにスモーキーさが少し薄く感じてしまう感じだ。
 しかしそれでも、スモーキーさもあるのはちゃんとわかる。
 少し以前に飲んだハウス・オブ・ピアーズよりストレートで明らかに濃くなめらかで飲みやすく、かつスモーキーでもある。
 甘く、しかしただ甘いだけでなく僅かなビターさが味に深みを与えている。
 濃く甘くスモーキーで、スタンダード・スコッチとしてはかなり良い出来だ。

 トワイスアップにするとアルコールの刺激がさらに減り、しかし甘さは充分に残るので飲みやすい。
 が、香りも味わいも薄くなるし、余韻も長く続かなくなる。
 ストレートで充分美味しく味わえるので、個人的には氷を入れたり何かで割ったりする必要を感じない。

 飲み比べてしまうと、ほぼ同価格のジョニ赤の方がより甘く飲みやすい上にスモーキーだが、その差は少ない。
 若いアルコールの刺激がキツくなくて、割らずにストレートで美味しく飲める、この価格のウイスキーとしては数少ないウイスキーだ。
 スタンダード・スコッチとしても、上の部類の出来だと思う。

 ……ここで止めておけば、「良いスタンダード・スコッチだった」で話は終わったのだが。
 このエンシェント・クランが出来がとても良かったので、つい手元にあったバランタイン12年と飲み比べてみてしまった。
 その差は、段違いだった。
 甘さの品格もまろやかさもスモーキーさも、味も深みもバランタイン12年の方が比べる余地もなく上回っていた。
 エンシェント・クランは、「スタンダード・スコッチとしては」まろやかで余韻も長く続く。
 しかし比べてしまうと、バランタイン12年の方がずっとまろやかで味わい深く、かつ余韻もより長く続く。
 エンシェント・クランも良いスコッチなのだが、心地良さが飲んでいてまるで違う。
 良質なスタンダード・スコッチと12年モノのスコッチの差を、いやと言うほど思い知らされてしまった。

 ただ12年モノと飲み比べたからそう思うのであって、他の同じ千円程度のウイスキーと飲み比べれば、甘くスモーキーでコクがあり、かなり出来の良いウイスキーだと断言できる。

 12年モノのスコッチや700mlで二千円以上のウイスキーは、確かに美味い。
 こうしたウイスキーをいつも飲めれば、それに越した幸せは無いとは思う。
 ただ貧乏性の筆者は、そうした良いウイスキーは鼻と舌に神経を集中させてしっかり味あわないと勿体ないと思ってしまうのだ。
 そしていつも、じっくり味わって酒を飲めるわけではない。
 テレビを見たり本を読んだりしながら、あるいは談笑しながら飲むのに、本当に良いウイスキーは勿体ないような気がしてしまうのだ。
 で、畏まらずに気楽にお酒を飲みたい時に、エンシェント・クランのような安くて良質なスタンダード・スコッチは、とてもありがたい存在になる。

 筆者自身はこのエンシェント・クラン、ストレートで飲みたいが。
 しかし千円程度で買える、お手軽なスタンダード・スコッチなのだ。
 お好みに合わせて、ロックにするなりトワイスアップにするなり、あるいはハイボールにするなりして、気軽に楽しんで飲めば良いと思う。

PageTop

ハウスオブピアーズ

 ウイスキーを飲んでいて、つくづく思うのだが。
 ウイスキーの評価は、とても難しい。

 その日の体調によって、味の感じ方が変わるだけでなく。
 開封して何日か経つと味が変わるものもある。

 何しろウイスキーの原酒は、樽で何年も寝かせてあるわけだから。
 本来の味と香りを取り戻すにも、ある程度の時間が必要になってくる。
 開封後に空気と触れ合い眠りから覚めるまでに、何日かの時間を要するものが少なからずある。
 今回紹介したいハウスオブピアーズもまた、開封直後と何日か経った後で、印象が激変するタイプのウイスキーである。

ハウス・オブ・ピアーズP1110534

 ハウスオブピアーズは、千円程度で買えたスタンダード・スコッチである。
 裏のラベルには、「柔らかなスモーキーフレーバー、スパイシーでドライな余韻が続く洗練されたスコッチウイスキーです」と書いてある。
 しかし聞いたことの無い名前だっただけに、あまり期待せずに興味本位で買ってみた。

 キャップを開けると、まず甘い花の香りを感じる。
 が、味わいはライトで、そのせいかアルコールの刺激がキツめに感じる。
 スモーキーフレーバーは、「柔らか」どころか殆ど感じない。
 ラベルには「スパイシーでドライ」とあるが、確かに甘さは少なく辛口に感じる。
 と言うより、アルコールの刺激がとても強い。
 少しでも多く口に含むと、アルコールの刺激で口の中がピリピリする。
 インパクトはハニーな甘さだが、それもすぐにアルコールの強い刺激にかき消されてしまう。
 余韻もそれほど長くは続かず、「悪くはないが、値段なりの味」というのが、開封したその日の印象だった。

 そして開封して一週間ほど経つと、口に含むとまだ少しアルコールの刺激がキツくてピリッとするが、少しずつ嘗めるように飲むと、開封直後には感じなかったコクと深みを感じる。
 スパイシーでドライという印象は変わらないものの、その中に甘い味わいも確かに感じる。
 飲む時にはアルコールを少し強く感じるが、開封直後より間違いなく口当たりが良くなり、余韻も心地よく長く続くようになる。

 トワイスアップにしてみると、その気になるアルコールの刺激が殆ど無くなり味が丸くなり、さらに甘さをより強くなり、とても飲みやすくなる。
 ただコクと余韻は残るものの、ストレートで飲む時より明らかに減る。
 だからストレートで飲むべきか、トワイスアップにするか、迷ってしまう。
 ちなみに以前に飲んだグランツ・ザ・ファミリー・リザーブよりストレートでも滑らかで飲みやすい。

 さらにハウスオブピアーズを、ハイボールにして飲んでもみたが。
 ハイボールはまず甘く、そしてビターさも少しあり、スッキリしていて気楽にどんどん飲める。
 このウイスキー、ハイボールに合っていると思う。炭酸で何倍かに割っても、通常の水割りのように水っぽくならずに、炭酸がウイスキーらしい味と香りを引き出している。
 同じスコッチのハイボールでも、グランツ・ザ・ファミリー・リザーブのハイボールより間違いなく力強くて美味しい。
 が、ハイボールにしてしまうと、ストレートで飲んだ時のような味の深みと余韻は感じられなくなってしまう。
 ハイボールは飲みやすいが、筆者ならこのハウスオブピアーズ、出来ればストレートで飲みたい。

 以前、ハイボールに批判的な記事を書いた当ブログに、「自分はウイスキーではなく、ハイボールという飲み物が好きなのだ」とコメントして下さった方がいらしたが。
 それは至言で、ウイスキーを使ってはいるものの、ストレートで飲むウイスキーとハイボールは別物のように思う。
 ストレートで味わいながら嘗めるように飲むウイスキーと、炭酸の力で爽快感を出し飲みやすくしてゴクゴク飲むハイボールは別の飲み物だと、筆者は思う。

 さて、このハウスオブピアーズだが、開封して二週間ほど経つと、甘い香りと甘い味わいがより強くなり、その反面アルコールの刺激が減ってよりまろやかになる。
 味にコクもあるし、余韻もしっかり続く。
 トワイスアップもとても飲みやすいものの、こうなると余韻が弱く物足りなく感じてしまう。
 開封して二週間空気に触れさせた後では、「ストレートで飲むのが一番!」と断言したくなる。
 とは言え、トワイスアップでもハイボールでも美味しく飲めるのは変わらない。
 開封した直後は、「アルコールの刺激が強く、割って飲むのに適した値段なりの安ウイスキー」という印象だった。
 しかし開封して二週間以上経った今では、「値段の割に良いウイスキー」と自信を持って言える。

 ただ開封して半月以上経った今でも、ラベルに書かれている「柔らかなスモーキーフレーバー」は殆ど感じられないでいる。
 飲み比べてみれば、ジョニ赤の方がずっとスモーキーだ。
 筆者はスモーキーなスコッチが好きだから、ハウスオブピアーズよりジョニ赤の方が間違いなく好きだが。
 しかしスモーキー香を好まない方には、このハウスオブピアーズは良い普段飲み用のスコッチになるのではないかと思われる。

 それにしても、ウイスキーの味見は本当に難しい。
 開封した直後から華やかに香りの立つ、美味しいウイスキーもあれば。
 このハウスオブピアーズのように、開封した後に空気と触れさせ、何日も、いや半月近くも経たなければ本来の味と香りにならないウイスキーもあって。
 しかし残念ながら、どれだけ空気に触れさせても味も香りも良くならない、どうしようもないウイスキーもある。
 さらに国産某大手洋酒メーカーの安価なウイスキーもどきのように、開封直後こそそれらしい香りがするものの、日にちが経つと香りが逆に弱く消えそうになってしまうものさえある。

 開封して数日待つと香りと味がぐっと良くなるウイスキーが、間違いなくある。
 しかし「開封して日にちが経てば、どのウイスキーも香りと味がもっと良くなる」とも言い切れないから、ウイスキーの評価は厄介だ。

 それにしても、このハウスオブピアーズを開封直後の印象で、「アルコールの刺激がキツい値段なりの安ウイスキー」と決め付けて、ハイボールとかにして割ってガブガブ飲んでしまった人は、本当の味と香りを知る事ができなくてお気の毒様と言いたい。
 もし初めて飲む新しいウイスキーのアルコールの刺激がキツくて、味と香りに物足りなさを感じたら。
 諦めて割ってハイボール等にして飲み尽くしてしまうのではなく。
 それから一週間か十日くらいそのまま放置して、改めて味を見てみてほしい。開封され空気に触れてある程度の時間が経つことで、香りが蘇り味もグッと良くなるウイスキーも、間違いなくあるから。

PageTop

グランツ・ザ・ファミリー・リザーブ

グランツP1110573

 このグランツ・ザ・ファミリー・リザーブで目立つのは、まず特徴ある三角形の瓶だろう。
 ウイスキーがお好きな方は、すぐに気付かれるだろう。
 あの有名なシングルモルト、グレンフィディックと同じ形をしている。
 そう、これはグレンフィディックを造っている会社が出している、ブレンデッドのスタンダード・スコッチである。

 キャップを開けると、まずバニラの甘い香りを感じる。
 グラスに注げば樽のウッディな香りもあるし、よく嗅げば僅かながらスモーキー香も感じる。

 飲んでまず感じるのは心地よい甘さだが、それはすぐにスパイシーさに変わる。
 また、若いアルコールの刺激もかなり強い。
 香りは豊かだし、心して少しずつ嘗めるように飲めば滑らかだしコクも深い。
 しかし少しでも多く口に含んでしまうと、アルコールのキツい刺激で口の中がヒリつくようだ。

 注意して少しずつ味わえば、甘くスパイシーで滑らかで、コクもありスモーキーな余韻も比較的長く続く、なかなか良いスコッチなのだが。
 若い原酒のアルコールの強い刺激が気になる方は、水なり炭酸なりで割って飲んでも良いと思う。

 筆者はトワイスアップにして飲んでもみたが、そうするとコクが薄れるもののアルコールの刺激が激減し、甘さが引き立ってかなり飲みやすくなった。
 しかしウイスキーのコクと深みと長く続く余韻を楽しみたい方は、ストレートで心して少しずつ飲んだ方が良いだろう。

 筆者はこれを白角と飲み比べてみたが、白角のようなフルーティーさこそ無いものの、白角より滑らかで深い味わいとコクがあり、甘さも同等にあった。
 さらにジョニーウォーカーの赤とも飲み比べてみたが、ジョニ赤の方がより甘く滑らかで、スモーキーさも強かった。

 このグランツ・ザ・ファミリー・リザーブ、個人的にはジョニ赤には及ばないように思った。
 しかしアルコールの刺激の強さこそ気になるものの、甘くコクがあり余韻も長く続き香りも豊かで、この価格帯のスタンダード・スコッチとしてはかなり良い方であると思う。
 さすがはあのグレンフィディックを造っている会社の、最もリーズナブルなウイスキーと思わせるだけの品質であった。

「ぜひ買って飲んでみてほしい」とまでは、お勧めしないが。
 グレンフィディックがお好きな方は、グレンフィディックを造っている会社の廉価なブレンデット・スコッチがどんなものか、一度試しに飲んでみてほしいと思う。
 若いアルコールの刺激こそ、少し気になるものの。
 ストレートでも充分に美味しく飲めるし、割って飲めばウイスキーの良さを気楽に味わえて、スタンダード・スコッチとしてはかなり良い物だという印象を受けた。

PageTop

ブラックニッカ・クロスオーバーを味わう

 昨年秋のブラックニッカ・ブレンダーズスピリットに続いてまた出ました、ニッカの限定品ウイスキー、ブラックニッカ・クロスオーバー
 限定品は「今しか買えないから、さあ急いで買いなさい!」と急かされているようであまり好きではないが、ブラックニッカは好きなウイスキーなので、あえてニッカの商売に釣られて買ってみた。
 ボトル正面に“RICH&SMOKY”とあり、裏面の説明にもヘビーピートならではのスモーキーな味わいと、シェリー樽原酒の芳醇な味わいとある。
 どちらも筆者は大好きだ。
 だから「試しに一本」ではなく、まず試しに二本買ってみた。

ブラックニッカ・クロスオーバーP1110547

 さて、キャップを開けるとまず穏やかな甘い香りが漂い、続いて強いスモーキー香が追いかけて来て、さらにしばらく経つとスモーキー香と甘さが混じり合う。
 グラスに注ぐと、甘さとスモーキー香が程良い感じに漂う。
 口に含むと、まず感じるのは甘さだ。ハニーでもフルーティーでもない、しっかりとした甘さ。
 と言ってチョコやキャラメルのような強い甘さではなく、メーカーが言う通りのバニラの甘さだ。
 その甘さに、心地良いビターさとスパイシーさも加わって来る。
 度数43%とは思えない滑らかさで、ストレートでチェイサー無しに美味しく飲める。
 それでいながら味わいは力強くコクも充分にあり、余韻も長く続く。
 余韻はスモーキーさが主体だが、その中にも甘さが残る。

 甘くスモーキーで力強いウイスキーが好きな筆者の好みからすれば、このブラックニッカ・クロスオーバーはど真ん中のストライクだ。
 試し飲みした翌日にまた酒屋に走り、更に二本追加して買い置きしておいた。
 個人的には、本当に本当に大好きだ。
 筆者は同じようにシェリー樽の原酒を使いスモーキーさもあるブラックニッカ・スペシャルを普段飲むウイスキーとしていつも傍らに置いてあるが、甘さもスモーキーさも滑らかさも味わい深さも、全ての面でブラックニッカ・クロスオーバーが明らかに上回っている。
 これで本体価格2000円は、間違いなく安いと思った。

 ただ、ブラックニッカ・クロスオーバーはシェリー樽原酒の華やかな甘さも、ヘビーピートならではのスモーキー香も、どちらも強烈だ。
 だから筆者は大好きだが、嫌いだと言う人も間違いなくいるだろうと思う。
 特に開封したその日に感じるスモーキー香はアイラ島のスコッチにも負けない程で、強いピート香だけでなくヨード香も感じる。
 筆者は好きだが、「クレオソートのような匂い」と嫌う人もいるだろう。
 筆者は去年の秋に限定発売されたブラックニッカ・ブレンダーズスピリットよりこちらの方が好きだ。
 しかしブラックニッカ・クロスオーバーは個性がかなり強く、いろんな面でバランスの取れたブラックニッカ・ブレンダーズスピリットの方を好む人も少なくないと思う。

 ウイスキーの原酒は、何年も樽の中で眠っている。そのため開封して数日経つと、空気と触れ合うことで縮こまっていた香りがより豊かに広がる事が少なくない。
 だから筆者は開封して一杯味見をし、それから一週間ほど放置してからまたじっくり飲み直すことにしている。
 で、ニッカのウイスキーには開封直後と数日後で香りと味が変わるものが少なくない。
 そしてこのブラックニッカ・クロスオーバーも、開封してから一週間置いておくことで香りと味がかなり変わった。

 開封直後のブラックニッカ・クロスオーバーは、強烈なスモーキーさと華やかな甘さが、それぞれ別個に強い個性を主張し合っているように思えた。
 しかし一週間後に再び飲んでみた時には、スモーキーさより甘さが前面に出て、よりまろやかな感じになっていた。
 口に含んだ時のインパクトは甘く、バニラの甘さからナッツの味に変わり、スパイシーさも出て来るが、アルコールの刺激は決して強くなくまろやかだ。
 そして飲み下すと、アフターフレーバーに強いスモーキーさが長く残る。
 開封直後はシェリー樽の甘さとピート香とヨード香が別個に存在を主張し合っていたが、数日経つとそれが混じり合い、華やかな甘さが次第にスモーキーな味わいに変わって行くようになる。

 だから筆者は、「ウイスキーは何日もかけ、少しずつ味わって飲むもの」と思う。
 ウイスキーのボトル一本を、一人で一日で飲み切ってしまう人は殆どいるまいが。
 飲み会などで数人で一度に一本空けてしまうような飲み方をしたら、そのウイスキーの本当の味と香りはわからないままだろう。
 ウイスキーの真価は、封を開けた数日後に本当にわかると筆者は思っている。

 不思議なのは、サントリーの安価なウイスキーだ。
 ニッカのウイスキーは、安価なものでも開封した数日後には確実に良い方に味と香りが変わる。
 しかしサントリーの安価なウイスキーはその逆なのだ。開封した直後にはウイスキーらしい甘い香りがそれなりに立つのだが、数日経つとその香りが何故か薄らいで痩せた味わいになるのだ。
 その理由が、筆者にはどうにもわからない。
 まさか香料を使っているのではあるまいが、「サントリーの安いウイスキーは、ハイボールにでもして皆でガブガブ飲むもの」ということなのだろう。

 話はブラックニッカ・クロスオーバーに戻るが、アルコール度数は昨秋に本体2500円で限定発売されたブラックニッカ・ブレンダーズスピリットと同じ43%だ。
 なのに飲み比べてみたが間違いなくブラックニッカ・クロスオーバーの方がアルコールの刺激が少なく滑らかで飲みやすい。
 ウイスキーをストレートで飲む時には、筆者はチェイサーも用意する。
 しかしブラックニッカ・クロスオーバーはチェイサーを飲む必要を感じなかった。
 そのくらい滑らかでまろやかな味わいだった。
 ストレートでチェイサー無しで飲んで、アルコールのピリピリした刺激が舌に殆ど残らない。
 なのにそのブラックニッカ・クロスオーバーが何故ブラックニッカ・ブレンダーズスピリットより五百円も安いのか、少し理解に苦しむところだ。

 筆者はまろやかで口当たりが良く、甘く力強くスモーキーなブラックニッカ・クロスオーバーを愛する。
 しかし強いスモーキー香や華やかなシェリー樽の甘さなどの自己主張が苦手な方は、よりバランスの取れたブラックニッカ・ブレンダーズスピリットの方が向いているだろうと思われる。

 筆者はこのブラックニッカ・クロスオーバーを、シーバスリーガル12年やバランタイン12年やジョニー・ウォーカー黒とも飲み比べてみたが。
 まずシーバスリーガル12年だが、これはブラックニッカ・クロスオーバーとは全く違ったハニーな甘さと花の香りが好ましい。ただブラックニッカ・クロスオーバーの方が甘さが強く華やかなせいか、ブラックニッカ・クロスオーバーの方がより滑らかでアルコールの刺激も感じにくい。
 ブラックニッカ・クロスオーバーはスモーキー香だけでなくいろんな面で力強いウイスキーで、シーバスリーガルは優しく品の良いウイスキーという感じ。

 ブラックニッカ・クロスオーバーは、バランタイン12年より甘さもスモーキーさもアフターフレーバーも強い。この個性の強さは、好きな者には魅力的だ。
 しかし同時にバランタイン12年のバランスの良さ、甘くコクがあり後味にほのかなスモーキーさが残る端正さも、改めて「良いな」と思う。
 しかしそれにしても、ブラックニッカ・クロスオーバーの甘さとコクと滑らかさ、長く続くスモーキーフレーバーは圧倒的だ。

 甘くスモーキーという点では、ブラックニッカ・クロスオーバーはジョニ黒にも似ている。
 しかしブラックニッカ・クロスオーバーの甘さの方が、より華やかだ。
 ジョニ黒は甘さとスモーキーさとスパイシーさが同時に来る感じだが、ブラックニッカ・クロスオーバーはまず華やかな甘さが来て、それがスモーキーな余韻に変わる。

 これはあくまでも、筆者の個人的な感想だが。
 シーバスリーガル12年よりバランタイン12年よりジョニ黒より、そしてブラックニッカ・ブレンダーズスピリットより、このブラックニッカ・クロスオーバーが最も華やかで甘く滑らかでスモーキーで余韻も長いように思えた。
 このブラックニッカ・クロスオーバー、割ってハイボール等にしても悪くないようだが。
 筆者はこのブラックニッカ・クロスオーバー、ストレートでしか飲みたくない。勿体なくて、とても何かで割る気になれないでいる。

 筆者は2015年に終売になったニッカG&Gも好きで、数本買い溜めしておいたものを、大事に時折飲んでいるが。
 そのG&Gと飲み比べてみたところ、甘さやスモーキーさなど味わいの傾向は似ていた。
 しかしG&Gは甘さもスモーキーさもブラックニッカ・クロスオーバーより弱い上に、明らかにアルコールの刺激が強く荒っぽく感じた。
 ブラックニッカ・クロスオーバーはチェイサーの必要性を特に感じないが、G&Gをストレートで飲むには欠かせない。で、G&Gをストレートで飲んだ後にチェイサーを飲むと、口の中に甘さとスモーキーさがフワッと広がる。
 あと、G&Gのアフターフレーバーは甘くスモーキーで、ブラックニッカ・クロスオーバーに意外に似ている。
 ある意味、G&Gは「荒さのあるブラックニッカ・クロスオーバー」、言い換えれば「ブラックニッカ・クロスオーバーはG&Gをより甘くスモーキーに、より滑らかで上質にした」という感じだ。

 甘くスモーキーで力強いウイスキーが好きな筆者は、この個性の強いブラックニッカ・クロスオーバーに魅せられてしまった。
 このウイスキーが数量限定販売というのが、非常に残念でたまらない。
 ブラックニッカ・ブレンダーズスピリットと同じ2500円、いやサントリーのローヤルと同じ3000円前後でも良いからずっと販売し続けて貰いたいと思ってしまった。

PageTop

味もリニューアルされた白角

 このブログを何度か読んでくださっている方はご存知のことと思うが、筆者はサントリーが嫌いだ。

 と言うと、「サントリーのウイスキーは立派な賞を幾つも取っているし、今やサントリーは世界的なウイスキー・メーカーだ」とおっしゃる方もいるだろう。
 賞を取るようなサントリーの高価なウイスキーは、確かに美味い。
 しかし高価なウイスキーは美味くて当然で、高くて不味ければそれはもはや詐欺である。
 筆者が気に入らないのは、コンテストの賞を狙うような高価なウイスキーと、普通の人が普通に飲む手頃な価格のウイスキーを、サントリーが呆れるくらい見事に作り分けている事だ。

 他のメーカーには、お手頃価格のウイスキーもコストの制約の中で精一杯良い製品を造ろうと努力しているところもある。
 しかしサントリーは違う。
 高価なウイスキーで世界的な賞を取り、それを宣伝に利用してサントリーのウイスキーのイメージを上げて。
 そして一般の人に売るお手頃価格の製品は、炭酸や水で薄く割らねばとても飲めないようなシロモノばかり出しているのだから質が悪い。

 正直に言って、普通の人が普通に買えて日常的に飲むようなサントリーのウイスキーは、飲むに値しない不味いものばかりだ。
 特に「日本で一番売れているウイスキー」と言う角瓶など、本当にヒドい味だ。若いアルコールの刺激がキツ過ぎて、宣伝されているようにハイボールにでもして薄く割らねば、とても飲めたものではない。

 角瓶だけでなく、トリスもレッドもホワイトもオールドも、量販店やスーパーの洋酒コーナーなどでよく売られているサントリーのお手頃価格のウイスキーは筆者は大嫌いだ。
 ただ白角だけは違った。
 筆者の大嫌いな角瓶の姉妹品なのだが、白角だけはそれなりに飲める案外悪くないウイスキーだと思っていた。
 しかしその白角も、リニューアルされて価格も上がってしまった。

 筆者にとって、白角は特に好きと言うのではなく、「この値段のサントリーのウイスキーにしては、案外悪くない」という程度の製品だった。
 その価格帯で一番良い出来というわけでなく、同じ値段でもっと旨いウイスキーは他に幾つもあった。
 だから値上げをして名の知れたスタンダード・スコッチより高くなった白角など、「飲む意味もない」と思っていた。
 が、ある量販店で税込み1250円で売っていたのを見て、リニューアルされて変わったのは瓶の形だけかどうか興味を抑えきれなくなって、つい買ってみてしまった。

サントリー・新白角①P1110483

 で、家に買い置きしてあった以前の白角と並べてみると、瓶の形が微妙に角張っただけでなく、ラベルも細部が幾つか変わっている。
 その中で最も目立つのは、古い白角にあった“淡麗辛口”の文字が無くなった事だ。そしてそれに代わって、瓶の上部に“CLEAR&SMOOTH”の文字が入れられた。
 筆者はそれを、とても良い事だと思う。
「日本酒ではあるまいし、ウイスキーに淡麗辛口など変だ」と、以前からずっと思っていた。
 実際、以前の白角はほのかに甘い“淡麗甘口”でこそあれ、決して“辛口”では無かった。
 辛く感じるのは、若いアルコールの刺激だ。
 あと“THE FINEST OLD WHISKY”という、この価格帯のウイスキーにしては大袈裟で嘘くさい一文も無くなっていた。

サントリー・新白角③P1110489

サントリー・新白角②P1110484

 さて、新しい白角のキャップを開けると、グラスに注ぐ前から優しい甘い香りとほのかな果実香が漂ってくる。
 グラスに注いで口に含むとライトで滑らかで、通常の角瓶(黄角)はもちろん、以前の白角よりもアルコールの刺激が少ない。
 香りは控えめで、まろやかだがインパクトはやや弱いし、余韻もあまり長くない。しかしチェイサーを口に含むと、青リンゴの香りとほのかなスモーキーさを感じる。
 以前の白角の“淡麗辛口”という売り文句には違和感があったが、新しい白角の“クリア&スムース”については「まさにその通り!」という感じだ。

 正直に言って味も香りも控えめな、ライトなウイスキーで、本格的なウイスキー好きには物足りないかも知れない。
 しかし果実の香りと心地よい甘さのあり、飲みやすくて決して悪いウイスキーではない。水で割れば、食事にも合いそうだ。

 事実サントリーは、この白角を水割りで飲むよう勧めている。
 実際、水を加えてトワイスアップにしてみると、アルコールのツンとした刺激が殆ど無くなり飲みやすくなるだけでなく、スッキリとしてフルーティーな甘さがより引き立つ上に、香りも損なわれない。
 ウイスキーにはストレートで飲むのが一番美味しくて、トワイスアップにするだけで水っぽく残念な味になってしまうものが少なくないが。
 この新しい白角は、水を加えてトワイスアップにするとむしろ味と香りがよく伸びて引き立つように感じる。

 ついでに言うと、この白角の甘さはあくまでもフルーティーな甘さで、ハニーな甘さとも、チョコやキャラメルの甘さとも違う。
 そしてそのしつこさの無い適度な甘さが、心地よく口の中に残る。

 筆者はさらに白角を1:2の水割りにしてみた。
 するとさすがに水っぽくなり、さらに甘さが薄くなる代わりにビターさが出てきた。
 だから個人的には、ストレートでゆっくり飲むか、トワイスアップで気楽に飲むかを勧めたい。
 ただ食事と一緒に飲むなら、1:2やもっと薄めに水で割っても良いと思う。

 そして続いて、家に買い置きしてあった以前の白角も開けて、リニューアルしてどれだけ変わったか確かめてみた。
 で、キャップを開けると古いものは、新しい白角より香りがさらに弱い感じだ。
 ただ古いものには、新しいものには無いスモーキーさを感じる。
 しかし甘さやスモーキーさより、まずアルコールの刺激的な臭いが鼻を突く。

 実際に飲んでみても、古い白角はストレートでは甘さよりアルコールの刺激がずっと強く、舌がピリピリして口も曲がりそうだ。
 この薄味でかつアルコールの刺激が強いのを“淡麗辛口”と称していたのだから、サントリーの商法はヒドい。
 しかしその以前の白角も、トワイスアップにするとアルコールの臭いと刺激がかなり引き、甘やかな味と青リンゴのフルーティーな香りが出てきて飲みやすくなる。
 古い白角はストレートで飲むのはキツいものの、少し加水してトワイスアップにするとなかなか良い感じになる。
 ただ、その古い白角のトワイスアップと、新しい白角のトワイスアップを飲み比べてみると、古い白角の方がまだアルコールの刺激が強く、新しい白角の方が明らかに滑らかで美味しい。

 古い白角も1:2の水割りにしてみたが、二倍の水を加えるととにかく薄く水っぽい。こちらの方はビターさも無く、ほのかな甘みを感じるだけ。
 まるで、いいちこなどの減圧蒸留してイオン樹脂濾過もした麦焼酎の水割りでも飲んでいるかのようだ。
 ただいいちこの水割りが別に美味くもないが飲みやすいように、古い白角の薄い水割りも食事と一緒にスイスイ飲める。

 はっきり言うが、新しい白角はただ瓶の形とラベルが少々変わっただけでなく、味も間違いなく良くなった。
 以前の白角には、いかにもサントリーの安いウイスキーにありがちな若いアルコールの強い刺激があり、ストレートで飲むのはつらかった。
 しかし新しい白角は明らかにそのアルコールの刺激が弱まり、ストレートでも楽しんで飲めるようになった。
 フルーティーな心地よい甘さと青リンゴの香り、そして僅かなスモーキー香という従来の白角の味を守りつつ、よりまろやかに飲みやすくなった。

 ただストレートでザ・フェイマス・グラウスと飲み比べてみたところ、香りも味の深みも明らかに物足りなく感じた。
 新しい白角はよりマイルドになり味に磨きがかけられ、ストレートでも飲めるようになった。
 しかし筆者の印象では、ストレートでじっくり味わうより、やはり加水してトワイスアップで気楽に飲むのが一番良いように感じた。
 もちろん、もっと加水して料理と一緒に飲むのも良いだろう。

 この新旧の白角を飲んで、改めて思ったのだが。
 白角はスコッチともアイリッシュともバーボンともカナディアンとも違う、まさしく日本のウイスキーだ。
「是非飲んでみてほしい」と勧めるほど美味いものではない。
 しかしまだ飲んだ事が無く、そしてもし安く売られていたら一度味を見てみて損はないと思う。

サントリー白角とジョニ赤P1110853

 ただ問題なのは、白角の値段だ。
 筆者はある店で、この新しい白角を税込み1250円で買ったが。
 他の酒の量販店では、たいてい1296円(税込み)で売られている。
 そして近所のスーパーでは、この白角と黄角が税込み1491円で売られていた。
 その店ではジョニ赤ですら、税込み1078円だというのに。
 ハイランド・リザーブというスコッチに至っては、税込みで千円を切っている。
 ホワイトホースやジョニ赤などのスコッチが、今では千円前後で買える。
 なのに何故、白角や黄角がそれより三百円から四百円以上も高いのか。その理由が、筆者には全くわからない。
 黄角はともかく、白角は普段に気軽に飲んで美味しい、悪くないウイスキーだと思う。
 しかしジョニ赤などの定番スコッチと比べて、明らかに高すぎる。
 だから「悪くない」と思いつつ、なかなか買って飲む気になれないでいる。
 白角も悪くないけれど、ジョニ赤より何百円も高いなど「あり得ない」と、声を大にして言いたい。

PageTop

ザ・フェイマス・グラウス

 新星出版社から出されている橋口孝司氏の『ウイスキー銘酒事典』によれば、ザ・フェイマス・グラウスは「その品質の高さから英国王室御用達の名誉を与えられています」と書かれている。
 実際、ザ・フェイマス・グラウスは他のスタンダード・スコッチより明らかに割高である。
 各種のウイスキーを取り揃えている酒店で、およそ千五百円くらいで売られている。

 スコッチと言えば、イギリスのスコットランドのみで生産されている酒だが。
 その本場のスコットランドで最も愛飲されているのが、このザ・フェイマス・グラウスだと言う。

ザ・フェイマス・グラウスP1110395

 確かにこのザ・フェイマス・グラウスは、他のスタンダード・スコッチとはモノが違う。
 キャップを開けただけで、花のような華やかな香りが辺りに漂う。
 飲んでみてもなめらかでクリーミーで、かつコクがあり、他のスタンダード・スコッチより明らかに上質だ。
 濃い甘い花の香りが魅惑的な上、コクがあり味わい深く余韻も長い。
 スモーキーさは、飲んでいる時には殆ど感じない。しかし飲んだ後に余韻の中に僅かにスモーキー香を感じる。

 スタンダード・スコッチとしては、間違いなく、飛び抜けて良いウイスキーだ。ここまで香り高く味わい深いスタンダード・スコッチは、筆者は他に知らない。
 ただジョニ黒やシーバスリーガルなどの、12年モノのスコッチと比べてしまうと、アルコールの刺激のキツさが気になってしまうし、味の奥深さや余韻の長さも少し劣るのがわかる。

 スタンダード・スコッチは安い物なら量販店では千円程度で、ジョニ黒などの12年モノのブレンデッド・スコッチは二千円程度だ。
 そしてこのザ・フェイマス・グラウスは千五百円程度だが、その価格が全てを物語っている。
 他のスタンダード・スコッチより飛び抜けて良いが、ジョニ黒など12年モノの定番のスコッチには及ばない。
 まさに市場価格相応の味と香りと言えよう。

 ザ・フェイマス・グラウスは、間違いなく良いウイスキーだと思う。
 ただ「惜しいな」と思うのが、アルコールの刺激の強さだ。
 シングルモルトや12年モノのブレンデッド・スコッチなら、ストレートで美味しく飲める。
 しかしザ・フェイマス・グラウスは、その点が少し微妙なのだ。
 体調の良い日はストレートで飲めるが、日によってはアルコールの刺激の強さが気になる時がある。

 ザ・フェイマス・グラウスはもちろん、他のスタンダード・スコッチよりなめらかで、アルコールの刺激は少ない方だ。
 しかし12年モノのスコッチと比べると、飲んだ時に舌を刺すアルコールの刺激が間違いなく強い。
 そしてそこに12年モノとノンエイジ、二千円の品物と千五百円の品物の差を感じてしまう。

 で、ストレートではキツく感じられた日に、ザ・フェイマス・グラウスを試しにトワイスアップにして飲んでみた。
 これがイケるのだ、なかなかに。
 水で割っても、このザ・フェイマス・グラウスは味と香りを保ち、水っぽさをあまり感じさせない。
 トワイスアップにするとアルコールの刺々しさが見事に消え、味と香りも伸びやかになる。
 トワイスアップにすると水っぽく物足りなくなるウイスキーが多くなる中、水で割っても味も香りも薄まらないのは、よほど良い原酒を巧みにブレンドしている証拠と思われる。
 それで筆者はこのザ・フェイマス・グラウス、その日の気分によってストレートかトワイスアップで飲んでいる。

 試しにこのザ・フェイマス・グラウス、ハイボールでも飲んでみたが。
 ハイボールにしても、味にコクはあるし香りも損なわれない。
 ただ味のバランスが崩れ、甘さが失われビターさが妙に突出するように感じられて、正直に言って美味くない。
 一言で表現すれば、重くて苦いハイボールになってしまう。
 例えばジョニ赤のハイボールは、本来の甘さやスモーキーさを保ったまま爽やかな味のハイボールになるが、ザ・フェイマス・グラウスは本来の味の良さが損なわれてしまうように感じられる。

 ジョニ赤は、「ジョニーウォーカーの中で唯一、割って飲む事も考慮してブレンドされている」という。
 それに対しザ・フェイマス・グラウスは、割ってハイボールなどにして飲む事を考慮されていないのではないかと思われる。
 何しろ英国のパブやバーでは、ハイボールは「頼まれれば作るが、頼む人はまずいない」といわれる。
 その英国のスコットランドで一番人気のザ・フェイマス・グラウスだけに、炭酸で割られてハイボールで飲まれる事など考慮せずにブレンドしてあるのだろう。

 ザ・フェイマス・グラウスは良いウイスキーだと思うが、同時にとても惜しく感じる。
 他のスタンダード・スコッチより華やかで香り高く、コクもあり味わい深いだけに、どうしても12年モノの定番スコッチ達と比べたくなってしまう。
 そしてジョニ黒やシーバスリーガルなどと比べてしまうと、アルコールの刺激の強さなどの粗が気になってしまうのだ。
 ここまで味も香りも良いスコッチなのだ、どうせならジョニ黒と同じくらいにまで値段を上げてでも、もう少し熟成年数の長い原酒を使ったなら本当に美味しい、文句の無いスコッチになっただろうと思われる。
 その事が、とても残念でならない。

PageTop

割っても良いけれど、ウイスキーはまずはストレートで!

 ウイスキーを飲んでいて、時々疑問に思うことがある。
 日本人は、ウイスキーと言うと何故「割って飲むもの」と思い込んでいるのだろうか。

 一昔前までは、ウイスキーと言えば日本では水割りが当たり前だった。
 筆者が大学生だった頃、サークルの飲み会で先輩にウイスキーの水割りを作らされ、そして「濃い!」と叱られた事がある。
 ウイスキーの何倍もの水で割った上に更に氷を入れて、ほんの少しだけ味と香りのするとても薄くしたものをゴクンと飲むのが、かつての日本人のウイスキーの飲み方だった。
 そして今ではサントリーの宣伝攻勢で、「ウイスキーはハイボールにして、ビールのようにゴクゴク飲むもの」というイメージが定着している。

 だから酒と肴をテーマにした、酒飲みが主人公が漫画でも、ウイスキーと言えばハイボールで飲むのが当たり前になっている。
 例えば新久千映さんの『ワカコ酒』では、主人公のワカコは日本酒など他の酒については「この料理には、コレ」といろいろこだわるのに、ウイスキーはハイボールでしか飲まない。
 後藤羽矢子さんの『うわばみ彼女』でも、主人公は日本酒なら「吟醸酒より山廃が好き」と言い、30度の泡盛も割らずにそのまま飲んでしまうほどの酒豪なのだが、ウイスキーに関してはやはりまずハイボールなのだ。

 で、その『うわばみ彼女』の主人公が、スキットル(ウイスキー等を入れる金属製の小型の容器)のカッコ良さに憧れて、3巻に収録された第33話でようやくウイスキーをストレートで飲むのだ。
 が、スキットルで飲むべきウイスキーは何故か「アメリカの!! ちょっと安めの!!」と決めつけ、その安めのバーボンを空腹な状態で「グッグッ、プハ~ッ」と飲んだ揚げ句にお腹を痛くしてしまうのだ。
 そして彼氏が買ってきてくれたツマミを食べて一息つき、さらにウイスキーを水割りにして飲んで、主人公は彼氏にこう言うのだ。
「粋とかにこだわりすぎて、あたしたち背のびしすぎてたのかも…。あたしたちの身の丈にあった呑み方がいいのかも…」

 つまり日本では、ウイスキーは“うわばみ”といわれるような酒飲みでも割って飲むもので、ウイスキーをストレートで飲むような人間は、うわばみを越えたひどい酒乱という扱いになるようだ。
 そして筆者は、良いウイスキーはストレートで飲むのが一番好きだ。

 断っておくが、筆者は酒豪どころか自他共に認める下戸である。
 酒は日本酒なら盃一杯で顔が赤くなり、限度は一合だ。それ以上飲むと、本当に頭が痛くなる。
 ビールも350mlの缶一本が適量で、それ以上飲みたいとは思わない。
 そんなひどい下戸だが、それでも良いウイスキーはストレートで飲みたい。

 と言っても、ウイスキーをハイボールや水割りで飲む事まで否定するつもりは無い。
 ハイボールや水割りには、それなりの飲み易さがある。
 ニッカの創業者である竹鶴政孝氏も、普段はハイニッカを1:2の水割りで飲んでいたという。
 そしてハイボールにすると、酒齢の比較的若い手頃な値段のウイスキーでも、香りが立って良い感じになるのも確かだ。

 だが良いウイスキーをストレートで味わうことを覚えてしまうと、水や炭酸で割るとせっかくの味が薄まり水っぽくなってしまうように思われてならないのだ。
 それはもちろん、良いウイスキーは水で割ってもハイボールにしても美味い。
 しかし良いウイスキーはストレートの方がもっと美味いと、筆者は思う。
 酒齢の若い安価なウイスキーは、アルコールの刺激がキツ過ぎるから、水割りやハイボールにしなければ飲みにくい。
 だが良いウイスキーについては、割ってしまう前にまずストレートで味わってみて欲しいと思う。
 お得意の宣伝攻勢で日本人を「ウイスキーはハイボールで飲むもの」と洗脳したサントリーでさえ、山崎のシングルモルトの良いものについては「まずはストレートで」と言っている。

 日本人は、何故ウイスキーをストレートで飲めないか。
 それはズバリ、日本人は「酒はゴクゴク飲むもの」と思い込んでいるからだ。
 日本酒はアルコール度数16%くらいで、25%の焼酎ですら割って飲むことが多い。そして日本人に最も親しまれているビールとなれば、度数5%前後だ。
 つまり日本人は軽い酒をゴクゴク飲むことに慣れ過ぎていて、強い蒸留酒を味わいながらゆっくりチビチビ飲むことができないのだ。
 例の『うわばみ彼女』ではないが、度数40%かそれ以上のウイスキーをストレートのまま「グッグッ、プハ~ッ」と飲めば、かなりの酒豪でも喉を焼き腹を痛くしてしまって当然だ。
 で、ウイスキーも水で割って日本酒以下の度数にして飲むか、ハイボールにしてビールのように飲むかのどちらかにしてしまうのだろう。

 日本人は度数25%の芋焼酎や麦焼酎や米焼酎でさえ、割って薄めて飲んでいる。
 そんな日本人がウイスキーをストレートで飲むには、それなりのコツがあるのだ。
 度数40%のウイスキーは、長年樽熟成した高価なものでもアルコールの刺激はかなりキツい。
 だから日本酒やビールのように、ウイスキーをストレートでゴクリと飲んだら痛い目に遭う。高価なシングルモルトや長期熟成したブレンデッドでも、だ。

 日本人がウイスキーをストレートで飲む場合、まず「飲む」という意識を捨てた方が良いと、筆者は思う。
 飲むと言うより、唇を浸すという感じて味わうのがストレートで飲むコツだ。
 まずグラスに鼻を近づけて香りを楽しみ、唇をそっと浸し、僅かに口中に入った液体を舌の上で転がし、飲み下したら息をして残り香を楽しむ。
 そのようにして、30mlのワンショットを30分くらいかけるつもりで飲むのがベストだ。
 その一杯を飲む間に、時折チェイサーの水も飲んでアルコールの刺激で痺れた舌の感覚を戻すことも忘れないと、もっと良い。

 日本酒や、特にビールをゴクゴク飲むのに慣れた人には、イライラするくらい面倒に感じてしまうかも知れないが。
 一度これを身につけ、良いウイスキーのコクと深い味わいを知ってしまうと、割ったウイスキーは薄く水っぽくて物足りなく感じるようになってしまう。
 水割りの飲みやすさも、ハイボールが若くて安価なウイスキーの香りを引き出すことも理解はしているのだが。
 しかし筆者は、良いウイスキーはやはりストレートで味わいたいと思ってしまう。

 繰り返すが、筆者はかなりの下戸だ。
 それでもウイスキーは、良いものはまずストレートで飲みたいと思う。
 日本人は酒をゴクンと飲んでしまい、ゆっくりチビチビ味わうことを知っている人がとても少ない。
 ゴクゴクと飲むのではなく、一杯を30分くらいかけてゆっくりじっくり味わう飲み方を知る人がもっと増えれば、ウイスキーの本当の味わいを理解してくれる人も増えるだろうにと、とても残念に思う。

 ウイスキーをストレートで飲もうがロックで飲もうが、水割りにしようがハイボールにしようが、それは好みの問題だし個人の自由なのだが。
 ただウイスキーが度数40~50%で出されているのは、出荷する側が「その度数で飲むのが一番美味い」と思っているからであろうし、最初から割って飲むものと決めつけてしまうのではなく、ストレートの味も一度は試してみて貰えたらと思う。

 ストレートの濃い味と長い余韻を知ってしまうと、割ったものは薄く水っぽくて余韻も残らず、飲みやすいけれど物足りなさも感じさせられてしまう。
 とは言え、安いウイスキーは味と香りが足りない上に若いアルコールの刺激が強いから、水で割るなり、ハイボールにするなりした方が良い現実は否定シマセン。
 サントリーが「ウイスキー=ハイボール」と日本人を洗脳して角瓶を売りつつ、シングルモルト山崎の良いものについては「まずはストレートで」と勧めている現実が、ウイスキーの飲み方を如実に語っているように思える。

PageTop

いつも傍らに置いておきたいジョニ黒

 ジョニ黒ことジョニーウォーカー・ブラックラベル12年は、筆者が生まれて初めて「ウイスキーって凄いな、良いな」と思った製品である。
 以来、筆者はジョニ黒をウイスキーの善し悪しを判断する一つの基準にしている。
 で、今回改めて、そのジョニ黒をじっくり味わってみた。

ジョニ黒P1110433

 他の12年モノのブレンデッド・スコッチより個性がはっきりしていて、一言で言えば甘くスモーキーで力強い。
 トップノートはチョコレートに似た甘い香りで、スモーキー香もしっかりと感じる。
 口に含むと甘さもあるが、ビターさやスパイシーさも感じる。しかし滑らかで、チェイサー無しでもストレートで飲める。
 12年間樽熟成したウイスキーらしく、余韻も長く続く。

 同じジョニーウォーカーのレッドラベルと比べると、意外にもジョニ赤の方が甘さやスモーキーさがはっきりしている。
 が、その分だけジョニ赤はシンプルで味と香り共に深みに欠ける。ジョニ黒の方がずっと滑らかで、ジョニ赤には若いウイスキーの荒っぽさがある事も言うまでもない。
 個性がはっきりしていて気軽に飲める赤と、味わい深くより複雑な黒といったところか。

 同じ12年モノのブレンデッド・スコッチと比べると、香りの点ではシーバスリーガルの方が明らかに華やかだが、ジョニ黒の方が味わいが力強く、そしてよりスモーキーだ。
 バランタイン・ゴールドラベルはジョニ黒のような力強さも、シーバスリーガルのような華やかさも無いが、とても端正で優しくバランスが最も良く取れている印象。
 最もスコッチらしい個性が強く甘くスモーキーなジョニ黒に、華やかな香りで余韻も最も長く続くシーバスリーガル、そして端正でバランスの最も良く取れたバランタイン・ゴールドラベル、といったところか。

 国産の同価格帯のウイスキーでは、ニッカのスーパーニッカがなかなか悪くないと思っているが。
 比べて飲んでしまうと、スーパーニッカよりジョニ黒の方が明らかに滑らかな上、スモーキーさでも力強さでも上回っている。
 ただ、去年の秋にブラックニッカ発売60周年を記念して限定発売されたブラックニッカ・ブレンダーズスピリットと比べると、「良い勝負だな」と思ってしまった。
 どちらも甘くスモーキーで、なかなか似ているのだ。
 あえて言うならばジョニ黒の方が個性が強く、ブラックニッカ・ブレンダーズスピリットの方がマイルドで穏やかといったところか。

 ブラックニッカ・ブレンダーズスピリットはなかなか評判が良く、わりと早いうちに店頭から無くなってしまったが。
 ところがこの4月になって、筆者の住む町のある酒屋の店頭にまとめて10本ほど出て来た。
 もし今どこかの店頭でブラックニッカ・ブレンダーズスピリットが残っているのを見つけたら、是非買ってみて、ジョニ黒と飲み比べてみていただきたい。
 優劣については個人の好みの問題もあると思うが、ジョニ黒に匹敵する同価格帯の国産のブレンデッド・ウイスキーと言ったら、ブラックニッカ・ブレンダーズスピリットしか無いと、筆者は思う。

 千円ちょっとで買えるスタンダード・スコッチは、味も出来もいろいろだ。
「意外に良いじゃないか!」と思えるものもある反面、あまり感心できないものも少なくないのもまた事実だ。
 しかし12年モノのブレンデッド・スコッチに不味いものはまず無いと、筆者は思っている。そこにあるのは、ただ個人の好みの問題だろうと、筆者は思う。

 で、もし筆者が他人に12年モノのブレンデッド・スコッチを勧めるとしたら、まずスコッチのすべての要素をバランス良く取り入れたバランタイン・ゴールドラベルを、華やかな香りを好む人にはシーバスリーガルを勧めるだろう。
 しかし筆者個人が飲むとしたら、やはり最もスモーキーで個性の強いジョニ黒を一番に選んでしまう。
 他にもっと良いウイスキーがある事もわかっているのだが、筆者にウイスキーの素晴らしさを初めて教えてくれたこの一本が常に傍らに無いと、どうも落ち着かないのだ。

PageTop