空と虹と恋と

 大好きな写真のこと、そしてゲームやコミックスの話から歴史&時事問題まで、思いつくまま雑多に語ってみたいと思っております。さらに筆者の度重なるイタい失恋話についても、どうぞ憫笑しつつお読み下さいまし。

ヘリオス酒造 青い空と海のビール

 前回に続いて、今度もまた沖縄のヘリオス酒造のビール、青い空と海のビールを紹介したい。

ヘリオス・青い空と海のビールP1110437

 プルタブを開けた途端に、甘く心地良いフルーティーな香りが広がる。
 グラスに注ぐと明るい黄金色で、飲むと新ジャンル種のように薄いのではなく、良い意味で軽やかな味わいだ。
 喉越しも良くスッと飲めるのに、味わい深さやコクもしっかりある。
 苦味は少なく、良質なホップの味と香りをほのかに感じる。
 そしてそのほのかな苦味と、上品な甘味と酸味のバランスがとても良い。
「ビールは苦いから」と敬遠している人達に、是非とも飲んでみてほしい逸品だ。

 味わいはとても上品で繊細で、キレが良く後味もスッキリしている。
 飲んだ後に口に残るのはまず品の良いフルーティーな甘さと、僅かなホップの味わい。
 これはヴァイツェン・ビールだが、その中でも際立って繊細な、上品な甘さとホップの味わいが魅力的なビールだ。

 ビールは、南の暑い地方のものほど軽めに造られるというが。
 先週紹介した同じヘリオス酒造の星空のポーターも、黒ビールにしてはよくバランスが取れていて重くなかった。
 そしてこの青い空と海のビールもまた、味のバランスがよくバランスが取れていて、薄いのではなく繊細な味わいの、上品な軽やかさが魅力のビールだった。
 このヘリオス酒造のビール部門は、薄いのではなく品良く軽やかなビールを造る、優秀なブルワリーという印象を受けた。

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星空のポーター(ヘリオス酒造)

 沖縄のヘリオス酒造と言うと、蒸留酒が好きな筆者などつい泡盛を連想してしまうが。
 そのヘリオス酒造がビールも造っていることに、最近になって気付いた。
 それも安物ではなく、洒落たデザインの缶のちょっと良いビールばかりだ。
 で、何種類か出されているヘリオス酒造のビールのうち、まず星空のポーターという、麦芽100%でエールタイプの黒ビールを飲んでみた。

ヘリオス・星空のポーターP1110443

 黒ビールというと、苦いものを連想する人が多いだろう。
 しかしこの星空のポーターは、苦味については程々だ。
 黒ビールだが決して苦すぎることはなく、ローストされた麦芽の心地良い苦味が楽しめる。
 そしてただ苦いだけでなく、麦の甘さもあり、そして適度な酸味もある。
 まずほろ苦くて甘く、最後に酸味が後味を引き締める。
 この苦味と甘味と酸味のどれも突出せず、それぞれの味のバランスが絶妙だ!

 正真正銘の黒ビールで、グラスに注ぐと色は真っ黒に近い。そして泡の色もコーヒー色だ。
 しかしその見た目と違い、苦さは心地良い程度で、決して苦すぎることはない。
 そして麦芽100%のエールタイプだが、ゴクゴク飲んでも重くなく、ゆっくり味わって飲めばもっと美味しい。
 日本人には、ビールと言うと喉越しでゴクゴク飲むものと信じている人が多く、筆者が好きな味わい深いビールは「重い」と敬遠する人が少なくない。
 しかしこの星空のポーターは、喉越しでゴクゴク飲んでも、ゆっくり味わって飲んでも美味しい。

 このヘリオス酒造の星空のポーター、とても良いビールだ!
 黒ビールだが苦さはほろ苦い程度で心地良く、酸味や甘味とのバランスもとても良く取れている。
 そして喉越しで飲んでも重くなく、ゆっくりじっくり飲めば味わい深い。
 好き嫌いが分かれるタイプではなく、多くの人に好かれる美味しいビールだ。

 筆者は沖縄のビールと言えば、本土では毎年春に発売される、オリオンいちばん桜が大好きだが。
 他にも沖縄にこんな良いビールがあったのかと、心から感動した。

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純米酒(奥飛騨)と特別本醸造酒(立山)を飲み比べてみた

 近年、日本酒は若い人や女性にも飲まれるようになってきた。
 だが日本酒には、種別がいろいろある。
 本醸造に純米、それに吟醸など、そのどちらがクラスが上なのか、迷う人も少なくなかろう。
 実は筆者も、時々迷う。

 行きつけの近所のスーパーのお酒コーナーに、ほぼ同じ価格の日本酒があった。
 一方は純米酒だが、精米歩合は70%で。
 そしてもう一方は醸造用アルコールを加えている特別本醸造酒だが、精米歩合は麹米が57%で掛米が59%だ。
 どちらが良い酒なのか、本当にわからない。
 それで試しに、両方買って飲み比べてみた。

奥飛騨純米P1110525

 さて、まずは下呂市の純米奥飛騨だ。
 良くも悪くも、香り(匂い)が殆ど無い。
 よく嗅ぐと、米の穏やかな香りは感じる。
 ただ吟醸酒と違って良い香りも殆ど無い代わりに、嫌な臭いも全く無い。

 味は、基本的に辛口だ。
 しかし飲んでいると甘味、そして渋味も感じる。
 精米歩合が70%でしかないだけに、酒質に僅かだがスッキリしない部分を感じる。
 筆者の好きな山梨銘醸の七賢という山梨県の日本酒は、本醸造酒ですらない、最も安い普通酒ですら精米歩合は68%だ。
 それを考えると、この精米歩合は少しいただけない。
 純米を名乗るならせめて60%、最低でも65%にしてもらいたいものだ。

 とは言うものの、色は比較的黄色味を帯びていて、大手メーカーの安価なカップ酒によくあるような、活性炭を多く使用した濾過で旨味と共に雑味を取ってごまかしているような駄目な酒とは違う。
 精米歩合は70%と控え目でも、ごまかしが無いので米の旨味がしっかり伝わってくる。
 雑味は少しあるが嫌な味では無く、大手メーカーのカップ酒よりずっと日本酒らしい味わいがある。
 これはこれで、丁寧に造られた良い酒だと思う。

 旨味がありつつ雑味の無い澄んだ味でさらにフルーティーな香りもある純米吟醸酒が好きな筆者の好みのタイプの酒ではない。
 しかし男性的で力強いしっかりした味わいで、昔ながらの日本酒という印象だ。
 こういう日本酒も好きな人もいるだろうと、間違いなく思う。

 14%という度数や70%という精米歩合は物足りないが、水っぽさは全く無く濃い味で、「酒を飲んだ」という満足感はある。
 ただ味に澄んだ感じは無く、舌に僅かな雑味を感じる。
 辛口だが、純米だけに後から加えられたアルコールのツンツンした刺激は全く無く、味は丸い。
 量販されている大手メーカーの酒と違い、安易に活性炭を多用せずに米の旨味を保った、これはこれで価格なりに良い飛騨の地酒だと思った。

立山P1110419

 続いて富山県の立山特別本醸造だが、飲んだ最初の瞬間には甘さを感じるものの、すぐに辛さが追いかけてくる。
 近年、妙にもてはやされている水のような酒ではなく、米の旨さを感じさせる旨口の酒だ。
 大手メーカーの日本酒と違い活性炭で濾過され過ぎていないのも、澄んだ淡い金に近い色を見ればわかる。

 活性炭は便利なもので、あまりコストをかけずに造った酒の雑味を取り去ってくれ、スッキリした味にしてくれる。
 で、あちこちの蔵(工場?)で造った大量の酒を同じ味にして、同じラベルを貼り同じ銘柄の酒として出荷することも出来る。
 ただ活性炭は雑味だけ選んで取り去ってくれるわけではなく、酒の旨味も同時に消してしまうのだ。
 だから大手メーカーの酒には無色透明に近い、一見スッキリしているように感じられるが旨味や味の奥行きが足りない酒が多いのだ。
 その点、この立山は活性炭で誤魔化さず、良心的に造った酒だと言える。

 ただ麹米57%・掛米59%と言えば吟醸酒と言っても良いレベルの筈だが、この立山は吟醸香を殆ど感じない。
 わかるのは、穏やかな米の香りだけだ。
 しかしだからこそ、食事と合わせ何かを食べながら飲むのに良い酒だと思った。
 今時のフルーティーでスッキリした酒ではなく、香りは穏やかでしっかりした味わいの酒だ。
 良くも悪くも、昔ながらの酒という印象。

 あと、立山特別本醸造は冷蔵庫で冷たくすると辛さを強く感じ硬い印象も受けるが、常温に近くなるにつれて甘く丸く滑らかな味になってくる。
 今は日本酒を冷やしてワイングラスで飲む人が増えているが、この酒は冷やし過ぎない方が良い。

 さて、この立山特別本醸造を、ほぼ同じ値段の精米歩合70%の純米酒(奥飛騨)と飲み比べてみた結論だが。
 どちらが良いかは、本当に微妙だ。
 あえて言えば立山特別本醸造の方が僅かに雑味が少なく澄んだ味で、奥飛騨純米の方が僅かに濃い味で腰が強いという印象か。

 一方は精米歩合70%だが純米で、もう一方は醸造用アルコールを加えてはいるものの精米歩合は60%未満で、造り方はかなり違う。
 それだけに、どちらもほぼ似通った味であったのが意外だった。
 純米とかアル添とか吟醸とか、さらに精米歩合とか、近年では製法を詳しく書いた酒が増えている。
 しかしそうして種別や数字だけではわからないものだなと、今回つくづくと思った。
 種別やデータも参考になるが、実際は「飲んでみなければわからない」というのが本当のところだった。

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グランドキリン ひこうき雲と私

 筆者はビールは喉越しでゴクゴク流し込むのではなく、ゆっくり、じっくり味わって飲むのを好む。
 だから日本でよく売れているスーパードライのようなビールは、基本的に好まない。
 で、その筆者が心から「美味しい!」と思えたビールを、また一つ見つけた。
 グランドキリンの、ひこうき雲と私である。

グランドキリン・ひこうき雲と私P1110549

 そのひこうき雲と私は、「ベルギーやフランスの一部で冬に仕込み夏の農作業の合間に飲まれていた」セゾンビールなのだと言うが。
 栓を開けた途端に、柑橘系のフルーティーな香りが辺りに漂ってくる。
 飲むとほろ苦いが、同時に甘酸っぱさも感じる。
 苦味も甘味も酸味もどれも突出したものは無く、とても良くバランスの取れた味わいだ。

 決して重いビールではなく、気持ち良くスッと飲める。
 しかし味に深みとそれなりのコクがあり、スーパードライのように喉の渇きを癒す為に、あるいは頬張った食べ物を胃に流し込む為にゴクゴク鯨飲しては勿体な過ぎる良質なビールだ。
 食後に美味しいつまみを食べながら、良き友と語らい、あるいは好きな音楽をBGMにするなどして、リラックスして飲みたい、とても素晴らしいビール。
 グランドキリンはそれぞれどれも美味しくてハズレが無いが、これは個人的に特に良い出来と思った。

 軽やかさもあるので、日本人がよくするように喉越しでゴクゴク一気に飲み干してしまっても、かなり美味しい。
 しかしそれでは、このビールの価値と味わいはわからない。
 良質なホップを使用した上品な苦味や、麦のほのかな甘味や、柑橘を思わせるフルーティーな酸味が、喉越し一気飲みでは全く感じられなくなってしまう。
 ひこうき雲と私の複雑で奥深い本当の味は、ゆっくり、じっくり味わって飲まねばわからない。

 このひこうき雲と私だけでなく、グランドキリンはどれも安いものではない。
 税込みでは、三百円を越える値段だったりする。
 それをよく味わうことなくゴクゴク飲み干してしまうのでは、あまりにも勿体なすぎる。
 喉越しで一気飲みするなら、スーパードライや発泡酒や新ジャンル酒で充分だ。
 ところで、「スーパードライの味は、発泡酒や新ジャンル酒と似ている」と思うのは、筆者だけであろうか。

 ホップの苦味は強すぎることなく上質で、麦の甘味も心地良い。
 しかし最後に口の中に残るのは、柑橘の香りとサッパリとした酸味だ。
 軽やかでありながら味に深みもあり、後味も良いとても素晴らしいビールだ。

 確かにグランドキリンは、安いビールではない。
 しかし酔う為に安いビール類をたくさん飲むより、こうした良いビールを一本だけ飲む方がずっと楽しめるし、体の為にも良いのではないかと、泥酔し醜態をさらすまで大酒を飲みたがるバカ者が大嫌いな筆者は心から思う。

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かみなり三代(あえて最底辺の安酒を飲んでみた)

 この新年には、一ノ蔵無鑑査本醸造辛口という良い酒を飲んだ。
 で、今度は試しに安酒を飲んでみようと、馬鹿なことを思い立った。
 紙パックの一合で本体百円という、最底辺の日本酒である。
 値段で言えば、紙パックで2リットル898円という恐ろしい安酒もあるが、その種の安酒を2リットルも飲む自信も体力もとても無いので、最底辺の安酒は一合の紙パックの中から選んでみた。

 この種の最底辺の日本酒は、実は以前にも飲んだことがあるが、そのクラスの安酒というと、醸造用アルコールと称する、廃糖蜜の絞りカスから作った原価の恐ろしく安いアルコールの他に、糖類や酸味料も加えられているものが殆どだ。
 だがその中から選び出してみた、京都市伏見区の京姫酒造の、かみなり三代という酒は違う。
 糖類も酸味料も使わず、原材料は米(国産)と米麹(国産米)、それに醸造用アルコールのみである。
 また、このクラスの安酒は度数12~13%のものが多くを占めるが、これは15度以上16度未満という、一般の日本酒と同じ度数を保っている。
 普通ならば糖類や酸味料で味をごまかし、さらに度数も12~13%に抑えてやっと達成している一合で百円の酒を、アル添だけでどうやって造ったのか、そしてそれはまともに飲めるだけの味なのか、そこに興味をひかれ、半ば怖いもの見たさの気持ちで買って飲んでみた。

かみなり三代P1110285

 その京姫酒造のかみなり三代を冷蔵庫で冷やしておき、いつものようにグラスに注いでみたが。
 香りだが、これが意外に悪くない。
 安酒というと、最初から酔っ払いのゲロのような嫌な臭いのものも少なくない。
 しかしこのかみなり三代には、安酒特有の不快な臭いが全く無い。
 そして僅かにだが、日本酒らしい好ましい香りがある。

 飲んでみるとスッキリしていて、安酒にしては驚くほど雑味が少ない。
 同価格帯の、糖類や酸味料を加えた安酒には、一口飲んだだけでペッと吐き出さざるを得ないほど、信じられないほど不味い酒が少なくない。
 しかしこのかみなり三代はそれとは違い、雑味と嫌味が少なく普通に飲めてしまう。
 最初は辛い印象が強く、そして渋味や苦味もある。
 しかし少しぬるくなってくると甘さや米の味を感じられるようになってくる。
 ただ、醸造用アルコールを多く使っているのだろう、飲んだ後でアルコールの刺激で口の中がピリピリする。
 飲んでいる時は(値段を考えれば)悪くないのだが、後味はあまりよろしくない。

 とは言うものの、この価格の最底辺の安酒にしては驚くほど味にも匂いにも嫌味が無い。
 安酒にしてはとても雑味が少なく、しかも水っぽすぎるわけでもなくそれなりに味や旨味もあり、百円とは思えない良い出来だ。
 同価格帯の酒は糖類や酸味料も加えているのが当たり前で、口に含んだ最初の一口ですら吐き出してしまいたくなるほどの、飲むに耐えないクズ酒が多い中、これは出色の良く出来た酒だ。
 とりあえず普通に飲めるレベルの酒を、この価格帯で、糖類や酸味料も使わず、しかも15度以上16度未満でよく造ったものだと感心する。

 もちろんこれも最底辺の安酒には違いないし、筆者が喜んでいつも晩酌に飲みたいと思うような酒ではない。
 ただお酒を飲む際に価格を最優先する人には、とてもありがたい最良の酒ではないかと思う。
 これを造った京姫酒造は、まず「紙パック一合で百円」という価格ありきで造ったのだろうが、そのコストの縛りの中で、メーカーや蔵人らはベストを尽くして良い酒を造ったと思う。
 容器に「旨し酒は15度也」、「旨し酒は代々飲み継ぐなり」と書くだけの、メーカーの心意気を感じる酒だ。

 糖類を使わずに15度以上16度未満を実現しただけに、添加された醸造用アルコールのツンツンした感じはあるが。
 しかしその他は何の問題も無い、飲みやすい酒だ。
 糖類無添加だから、飲んでいてベチャベチャ嫌な感じが残らず、スッキリしている。
 それは筆者が普段飲んでいる純米酒などに比べてしまったら、雑味もそれなりにあるし旨味も少ないし、アルコールの刺激もキツいが。
 しかしこの価格の安酒でこれほどまともに飲める酒は、個人的にはこれ以外に知らない。
 これはこれで伏見の銘酒と言えようし、筆者は少なくともワンカップ大関や菊正ピンなどの大メーカーの安い酒より、こちらの方が良く出来ていると思うし好きだ。

 筆者のように良い酒を少量だけ味わって飲むのではなく、価格を最優先してたくさん飲みたい人にはお勧めの、安酒の隠れた銘酒だ。
 一合で百円の紙パックの安酒は、飲むに耐えない酷いものばかりだが。
 少なくともこのかみなり三代は、人がちゃんと「飲める」酒だ。

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一ノ蔵無鑑査本醸造辛口

 筆者は以前から、日本酒にアルコールを添加することについて批判的である。
 確かに日本酒には、江戸時代から日本酒に焼酎を混ぜる柱焼酎という手法があった。
 だからソムリエの田崎真也氏のような著名人まで、「アル添は昔からあった伝統的な手法なのだ」と言い、アル添を擁護している

 馬鹿を言ってはいけない。
 江戸時代の柱焼酎に使われていたのは、本格焼酎である。
 今のアル添に多く使われているような、サトウキビの搾り滓の廃糖蜜から作られた、ただの安物のアルコールとは違う。
 田崎真也氏などのように、「アル添は昔からあった伝統的な手法」と言うならば、少なくともその添加するアルコールには、米から造ったアルコールを使用すべきである。
 そうでなくては、「アル添は伝統的な手法」などと胸を張れない。
 以前紹介した吉田蔵大吟醸のようなごく一部のもの以外のアル添酒は、嵩増しとコストカットの為に安い廃糖蜜から作った味も素っ気もない安物アルコールで薄めただけの、純米より格の落ちる安酒ばかりだ。

 で、本当に味の調整と香りを引き出す為にアルコールを使用した銘酒として吉田蔵大吟醸を紹介したところ、その拙文を目にしたKS34さんからアルコールに米から製造したものを使用したお酒として、一ノ蔵無鑑査本醸造辛口を紹介して頂いた。
 一ノ蔵は良い酒だという噂は聞いていたが、無鑑査本醸造についてはアル添だからと敬遠してきた。
 しかしアルコールに米から造ったものを使用していると聞き、早速買ってこの年末年始に飲んでみた。

一ノ蔵本醸造P1120535

 飲む前にラベルに書いてある細かい文字の説明文をよく読んでみると、なるほど、「味を調整する目的で、ごく少量使用する醸造用アルコールも米から製造されたアルコールのみを使用しております」と書いてある
 で、いつものように冷蔵庫で冷やしたものを、ワイングラスに注いで飲もうとしてみたのだが。
 控え目にだが、フルーティーな吟醸香をまず感じた。
 下手な純米酒よりフルーティーなくらいである。
 これも、少量加えた良質なアルコールの力によるものだろうか。

 飲んでみると基本的には辛口で、僅かに苦味と渋味も感じる。
 薄いのではなくスッキリした味で、ただ水のようになめらかというのではなく、味に深みや広がりもしっかり感じる。

 この酒は、エール系のビールと同じであまり冷やし過ぎない方が良い。
 冷蔵庫から出して間もないうちは、「スッキリ辛口」という印象が強いのだが。
 ゆっくり味わって飲んでいるうちにぬるくなるにつれ、甘さと米の旨味をしっかり感じるようになる。
 美味しく飲みやすいのでついスイスイ飲んでしまうが、冷やで飲む場合は、冷蔵庫から出したら少し待った方がより美味しく飲めるし、この一ノ蔵無鑑査本醸造の本当の味わいがよくわかる。

 で、「もしやこれは、燗酒にしてもイケるのでは?」と思い、本来ならば銚子に入れ沸かした湯につけるべきであるが、既にグラスに三杯ほど飲んで酔っぱらっていた筆者は、横着にも電子レンジで温めてしまった。
 それでも美味しかったデスよ、一ノ蔵無鑑査本醸造の燗酒は。
 筆者のやり方(電子レンジ使用)が悪かったのか、温めると香りは無くなってしまうが。
 しかし冷やで飲んだ時とは比べものにならないほど、丸く柔らかで優しい口当たりになる。
 冷やでもとても飲みやすいが、燗酒にするとものすごーく飲みやすくなりマスよ、このお酒。

 とにかくすごく良い酒だ、この一ノ蔵無鑑査本醸造は。
 下戸で、清酒なら「一合でもう充分」という筆者が、ワイングラスで三杯飲んでもまだ飲み足りず、グイ飲みで燗酒にして更にもう一杯飲んでしまったくらいだ。

 よくあるアル添の日本酒には、添加された安物のアルコールの刺激がツンツンするものが少なくない。
 そして図々しいメーカーは、そのアルコールの刺激を「辛口」と称する。
 嵩増しの為にアルコールを使用し、その結果水っぽく薄味になりアルコールの刺激だけがピリピリするのを「淡麗辛口」と強弁するメーカーが多いのだから嘆かわしい。
 日本酒離れが進むわけだと、悪い意味で納得してしまう。

 しかしこの一ノ蔵無鑑査本醸造は違う。
 アルコールのツンツンピリピリする不快な刺激は全く感じず、滑らかで飲みやすい。
 純米酒に比べて薄く水っぽいという事も無く、スッキリしている上に味に深みや奥行きがある。
 それでいて本体価格は八百円台で、税込みでも千円でお釣りが来る。
 四合で税込み千円未満でこれほど美味しく飲みやすく上質な日本酒を、筆者はこれまでに飲んだ事がない。
 これを飲んだ筆者の親戚は、「純米酒より美味しい、大好き!」と言った。
 そして純米酒びいきの筆者も、「下手な純米酒より間違いなく美味しい」と認める。

 ラベルには「伝統的な手造りによる製造法のもとに醸造される高品質の本醸造清酒です」とあるが、まさにその通りの良心的なお酒だ。
 しかもそれが税込み千円せず、肩肘張らずに普段の晩酌酒として飲めるのだから嬉しい。
 まさに株式会社一ノ蔵が「良質の清酒をお求めやすく」と言う通りの、飲み飽きしない、何杯でも飲めてしまう銘酒だ。

 誤解しないでほしいが、これより旨い酒は幾つもある。
 但しそれらは皆、大吟醸だの何だのと言う、これの何倍もの値段の高級酒だ。
 そしてそれらの酒が、その値段の差に比例するほど、この一ノ蔵無鑑査本醸造より何倍も美味しいとは思えない。
 値段と品質とのコスパで考えれば、驚くほど美味しい良酒だと断言できる。

 この一ノ蔵無鑑査本醸造のおかげで、筆者はこの年末年始、良い意味で酒浸りの良い気分の日々を過ごすことが出来た。
 一ノ蔵無鑑査本醸造、また買って飲みたいと思うし、親しい人にも飲ませてみたいと心から思った。

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吉田蔵大吟醸と薫風の金鍔(筆者、二つの固定観念を改める)

 このブログを以前からご覧下さっている方なら、「そんな事よくわかってるよ!」とおっしゃるだろうが。
 筆者は酒については、かなりタチの悪い“原理主義者”である。

 まずビールについては、麦芽とホップだけで造ったものこそ“ビール”だと思っている。
 副原料にオレンジピールやコリアンダーシードを加えたものは美味いと思うし好きだが、日本の製品に多い、米やコーンやスターチなどの糖質副原料を使った、喉越し最優先の薄くて妙な味のするやつは嫌いだ。
 焼酎についても常圧蒸留で、さらに出来れば甕貯蔵したものこそ本物の本格焼酎だと思っている。
 だからテレビのCMや雑誌の広告で派手に宣伝されている、減圧蒸留でしかもイオン樹脂濾過までした有名メーカーの製品は、本格焼酎と名乗る資格は無いと考えている。
 こんな人間だから、日本酒についても純米こそが本当の日本酒だと思っていたりする。
 この通り、筆者は本当にイヤな酒の飲み手なのである。

 それでも一応は大人だから、宴会などで出された酒に文句をつけたり、「本物の酒とは……」などと要らぬ講釈をたれたりするような真似はしない。
 しかし職場などのごく当たり前の宴会で出される、大手メーカーのビールや日本酒を筆者がどんな目つきで眺めているかは、ご想像の通りだ。
 で、酒に弱い体質であることを口実に、形だけ口をつけて殆ど飲まずにいたりする。

 そんな筆者ではあるが、酒屋の主や酒に詳しい先輩などの言葉は、素直に聞いている。
 筆者は酒の専門家ではないし、酒について知らないことも沢山あるし、飲んだことの無い酒もたくさんある。
 だから自分の知識と経験の浅さもちゃんと自覚して、自分のそれまでの常識と違うことでも、先輩や専門家に勧められたものは頭から拒んだりせず、まずは自分の舌で味を確かめてみている。

 その筆者が「この人の言うことなら信用できる、まずは従ってみよう」と考えている先輩の一人が、オゴ-ログのogotchさんだ。
 ogotchさんに連れられて銀座のバーに行きバランタインの“縦飲み”をしたことについては、先週の記事に書いたが。
 実は当日、バーに行く前の昼間にも、ogotchさんに想像を超える体験をさせていただいた。

 皆さんの中で、和菓子などの甘いものを食べながら日本酒を飲む方が、どれだけいるだろうか。
 実は筆者も、「お菓子を食べながら酒を飲むなど、あり得ない」と思っていた。
 その筆者を、ogotchさんは東京都文京区千駄木の薫風という和菓子カフェに案内してくれた。
 何とその店ではお酒と和菓子マリアージュを提案していて、和菓子に日本酒を添えて出してくれるのだ。

吉田蔵IMG_0296

 店内の席に着いた筆者の目の前に、金鍔と、白山を源流とする手取川の水で醸した石川県の吉田酒造の銘酒、吉田蔵大吟醸が並ぶ。
 その時、「日本酒は純米であるべき」という純米原理主義者の筆者は、その吉田蔵が大吟醸であって、純米大吟醸では無いことを見逃さなかった。
 だから筆者は、飲んでみるのが逆に余計に楽しみになった。

 純米原理主義者の筆者でも、「良い酒に少量の醸造用アルコールを加えると、吟醸香がより華やかになる」ということは、話に聞いて知ってはいた。
 アル添はただ嵩増しの為にするのではない、という説もよく聞く。
 しかし残念ながら筆者は、純米大吟醸を越えるアル添の大吟醸酒を飲んだことが無かった。
 筆者は以前、同じ有名メーカーのアル添大吟醸と、純米吟醸酒(純米大吟醸ではなく)を飲み比べてみたが。
 確かに香りは、アル添大吟醸の方が華やかだった。しかし味の深みやコクは、純米吟醸の方が圧倒的に上回っていた。
 だから筆者は、「純米大吟醸を越えるアル添大吟醸は無い」と考えてきた。

 しかし千駄木の薫風はogotchさんお勧めの店で、お酒もオーナーのつくださちこさんが選んでくれたものだ。
 だから「今度こそコストダウンと嵩増しの為ではない、吟醸香をより引き出す為にアルコールを使った日本酒に出会えるかも」と、「いざ、勝負!」くらいの気持ちでワクワクしながら吉田蔵大吟醸を飲んでみた。

 ……凄い。
 とにかくフルーティーな吟醸香が凄い。
 青リンゴと梨のようなフルーティーな香りが、グラスを顔に近付けると鼻孔一杯に豊かに広がる。
 筆者がこれまで飲んだ日本酒の中で一番感動的だったのは、山梨銘醸の大中屋純米大吟醸だ。
 この大中屋純米大吟醸は四合で五千円を越える価格だが、味と香りは充分それに値する素晴らしい日本酒だ。
 吉田蔵大吟醸は、香りについて言えばその大中屋純米大吟醸を上回っていた。
 こんなに香りの素晴らしい日本酒を、筆者はこれまで飲んだことが無かった。
「なるほど、これが少量のアルコールで吟醸香をより引き出すということか」
 吉田蔵大吟醸を飲んで、その事を初めて体感した。

 しかし少量なりともアルコールと水を余計に加えることになるわけだから、アル添の吟醸酒や大吟醸酒は、純米の吟醸酒や大吟醸酒より薄く辛い味になりがちだ。
 だが吉田蔵の大吟醸は、「薄い」のではなく「スッキリした」という、とても良い感じに仕上がっていた。
 そして白山を源流としているという仕込み水の良さだけでなく、造りの良さがよくわかる雑味の全く無い澄んだ味で、まるで高山の源流水を飲んでいるかのような心地良さがあった。
 但し旨味はあるが辛口で、渋味も感じる。

吉田蔵ときんつばIMG_0297

 それがだ、薫風で出された金鍔を食べながら飲むと、金鍔の上品な甘さが、吉田蔵大吟醸のキリッとした辛さと渋味ととても良く合うのだ。
 吉田蔵大吟醸の辛さと渋味を、薫風の金鍔の品の良い甘さが癒してくれる。
 そして吉田蔵の澄んだ辛さと僅かな渋味が、金鍔の甘さを洗い流してくれる。
 で、吉田蔵を飲んでは金鍔を食べ、金鍔を食べては吉田蔵を飲み……と繰り返し、目の前のグラスと皿はたちまち空になってしまった。
 これはいけない、と筆者は思った。
 薫風の和菓子とお店にある日本酒があれば、酔い潰れるまで飲んで食ってしまう。
 酒に弱い筆者にそう思わせるくらい、薫風の和菓子と日本酒は相性が良く美味しかった。

 同調圧力が強く、空気を読んで周りの皆に合わせて生きている人が多い。
 そんな日本だからこそ、周囲や空気に流されない自己主張も必要だとは思う。
 だからこそ、筆者は偏屈を通して生きてきているのだが。
 しかし一人の人間の知識や体験には限りがある。
 周囲に流されてばかりで己というものが無いのも、自分の主義主張を盲信して人の言葉に耳を傾けないのも、同じくらい愚かだ。
 少なくとも筆者は、専門家や尊敬できる先輩の言葉には素直に耳を傾ける。

 嵩増しの為ではない、吟醸香をより素晴らしく引き立てる為のアルコール添加は、本当にあった。
 日本酒、特に雑味の無いやや辛口で渋味もある酒は、和菓子にとても良く合う。
 それを知ることができたのも、ogotchさんという酒と人生の先輩がいてくれたおかげだ。

 薫風で吉田蔵大吟醸と金鍔を堪能した後、ほろ酔いでogotchさんと谷根千の街をそぞろ歩いた。
 休日の日の高いうちに良いお酒を飲み美味しいものを食べて東京の古い街を散策するのは、本当に良い気分だった。

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グランドキリンIPA(インディア・ペールエール)

 日本では、ビールと言えばピルスナータイプのラガーが主流だ。
 しかし世界には、それ以外にもいろいろな種類のビールがある。
 そしてその一つに、IPAインディア・ペールエールビールというものがある。

 インドはかつて、イギリスの植民地だったが。
 イギリスからインドまでの長い過酷な航海の間に、ビールが変質してしまうことが多かった。
 で、イギリス人はその熱帯を通る航海に耐えるように、ホップの使用量を増やしアルコール度数も少し上げたビールを造った。
 それがIPA、インディア・ペールエールビールというやつだ。

 筆者は「とても苦い」と聞いて、IPAは敬遠していたのだが。
 しかし試しにヤッホーブルーイングの“インドの青鬼”というIPAを飲んでみたところ、その驚愕の、しかし爽快な苦みに魅了されてしまった。
 で、以来IPAも大好きになってしまった。
 だからグランドキリンIPAも、店頭で見つけて迷わず買った。

キリン・グランドキリンIPA-P1110385

 キャップを開けると、爽やかな柑橘系のホップの香りが漂う。
 グラスに注ぐと色は濃いめで、泡の色も白ではなく淡い茶色だ。

 飲むと苦い!
 しかし決して不快な苦さではなく、上質なホップの爽やかで心地良い苦さだ。
 しかもただ苦いだけでなく、フルーティーさと、さっぱりした酸味もある。
 後味も、爽やかに苦い。
 筆者はこの苦み、とても好きだ!

 苦いが、前に述べたインドの青鬼ほど苦くなく、ヴァイツェン・ビールに似たフルーティーさも感じる。
 ビールは苦いものと了解していて、日本の苦いビールを飲み慣れている方なら、問題なく飲める苦さだと思う。
 インドの青鬼は本格的なIPAだが、このグランドキリンIPAは、IPAであることを意識せずに日本のビール好きが普通に美味しく飲めるビールだと思う。

 とは言え、「苦いから」とビールを敬遠している人達には、おそらく苦すぎる。
 メーカーは「複数の稀少ホップを使った」と言っているが、その通り香り高い上質なホップを使用していることも、ただ苦いだけでなくフルーティーでさっぱりしていることも、よくわかるのだが。
 それでも苦いのが苦手な人には、やはり強烈に苦く感じるだろう。

 また、このグランドキリンIPAはボディがかなりしっかりしていてコクもあり、悪く言えば重い。
 だから喉越しで一気に飲むには、重くキツ過ぎるだろう。
 このビール、ゆっくり、じっくり味わってこそ美味しさがわかる。

 まだ喉が乾いている時に、最初の一杯として乾杯してゴクゴク飲むべきビールではないが。
 おそらく厳選したホップをふんだんに使用しているのだろう、じっくり味わって飲むとフルーティーで香り高く、ホップの素晴らしさがよくわかる。
 飲む人をある程度選ぶがとても美味しい、素晴らしいビールだ。
 個人的には、先週紹介したグランドキリンJPLより、こちらの方が好きだ。

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グランドキリン JPL(ジャパン・ペールラガー)

キリン・グランドキリンP1110377

 キャップを開けてグラスに注ぐと、爽やかなホップの香りが漂う。
 飲んでまず感じるのは苦味だが、それは決してイヤな苦味ではなく、上質なホップの心地良い苦味だ。
 コクも深みもあるが決して重くなく、喉越しでも心地良く飲める。

 基本的な味は苦味だが、その底に僅かな麦の甘味がある。
 後味は良質なホップの苦味が長く続く。
 筆者はこのビールの苦味を心地良いと感じるが、「苦すぎる」という人も少なからずいる。そのあたりは、好みが分かれるところだ。
 特に若い人には「苦いから」とビールを敬遠する人が増えているというが、そういう人には合わないかも。

 このビール、繊細な味わいもあるし安いものではないので、喉越しで一気に飲み干してしまっては少し勿体ない気がする。
 しかしあまりゆっくり、チビチビ飲むと苦味をとても強く感じる。
 適度にスイスイ、ゴクゴク飲むのが、一番美味しく飲めるようだ。
 また、このビールは肉料理や揚げ物など、食事と一緒に飲んでも美味しそうだ。

 メーカーは裏のラベルに、「ホップ由来の豊かな香りと、ラガーならではの上質なキレを両立させたIPL(インディア・ペールラガー)。日本の感性を注ぎ込み、洗練させたJPL(ジャパン・ペールラガー)スタイルです」と書いている。
 確かにこのビールはIPLほど苦くはなく、しかし心地良い苦さと繊細な味わいを実現していて美味しく飲める。
 香り良し、味良し、キレ良し、後味良しの、本当に良いビールだ。

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網走ビールのホワイトエール

 少し前に、網走市の網走ビールの流氷DRAFTという、真っ青なビールを飲んでみた。
 ただ物珍しさから飲んでみたのだが、思いの外に美味かった。
 それで今度は、同じ網走ビールホワイトエールを飲んでみた。

網走・ホワイトエールP1110450

 缶のプルタブを開けた途端に、甘く良い香りが広がる。
 飲んでみると、まず甘くフルーティーだ。
 そして爽やかな僅かな酸味と、程良く控えめなホップの苦味が後を追いかけてくる。
 飲み心地は軽やかなのだが決して薄味ではなく、コクと深みも確かにある。
 重すぎず軽すぎず、味のバランスがとても良い。

 ボディが重たくなく飲みやすいので、喉越しでゴクゴク飲んでも美味しい。
 しかししっかり味わえば複雑な味わいがあり、それなりにコクと深みもあるので、ゆっくりじっくり味わって飲んだ方が良いと思う。
 爽やかで軽やかで気持ち良く飲めるが、ただ麦芽を減らして糖質副原料で薄味にしたような単純な味ではなく、主体となるフルーティーな甘さの他に程良い酸味や苦味などの奥深い味がある。
 酸味や苦味もあるが、飲んだ後にはフルーティーな甘さが口の中に心地良く長く残る。

 このビールは、麦芽とホップの他に網走産秋小麦「きたほなみ」とオレンジピールとコリアンダーシードを使っている。
 筆者はオレンジピールとコリアンダーシードを使ったベルギー産のホワイトエールビールを幾つか飲んだことがあるが、そのどれよりもこの網走ビールのホワイトエールの方が好きだ。
 オレンジピールとコリアンダーシードを使ったベルギー産のエールビールは、ホップの苦味もよく効いていてボディもしっかりしている傾向がある。
 しかし網走ビールのホワイトエールはホップの使用も程々にしていてボディも重くなく、苦味やコクよりフルーティーな甘さが前面に出ている印象だ。
 筆者はこれを飲んで、まず「ヴァイツェン・ビールか?」と思ってしまったくらいだ。
 それくらい、フルーティーで甘い。

 この網走ビールのホワイトエール、苦味やボディよりも麦とオレンジピールとコリアンダーシードによる甘さとフルーティーさが明らかに勝っている。
 だから食中酒として食事を流し込むようにゴクゴク飲むのには向かないと思う。
 食後に単独で、あるいは軽いおつまみと共にゆっくり味わって飲むのに適したビールだ。

 それにしても、これは本当に良いビールだ。
 筆者は網走産秋小麦「きたほなみ」がとどんなものかは知らないが、麦の甘さと、オレンジピールとコリアンダーシードのフルーティーさのハーモニーがても素敵だ。
 そして長く残る、ほのかな甘くフルーティーな後味がとても心地良い。
 マイナーな、無名なビールゆえ、なかなか手に入らないかも知れないが。
 もし見かけたら、是非とも買って飲んでみてほしい。
 筆者はIPAなどの、ホップの効いた苦いビールも大好きだが。
 これはそれとは対極の、良い意味で苦くない、女性にも好まれそうな甘くフルーティーで素敵なビールだ。

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