空と虹と恋と

 大好きな写真のこと、そしてゲームやコミックスの話から歴史&時事問題まで、思いつくまま雑多に語ってみたいと思っております。さらに筆者の度重なるイタい失恋話についても、どうぞ憫笑しつつお読み下さいまし。

サッポロ クラシック

 断言するが。
 日本の大手ビールメーカーの中では、筆者はサッポロが断然好きだ。
 スーパードライでアサヒがビール売り上げのトップに躍り出る前には、巷で「キリン、サッポロ、水、アサヒ」などと言われていたが。
 スーパードライやそれに似たビールが大嫌いな筆者に言わせれば、個人的には今も「サッポロ、サントリー、キリン、水、アサヒ」の順である。

 で、その筆者が大好きなサッポロのビールでも、「文句ナシに、これは美味い!」と思っている製品がある。
 それがサッポロクラシックである。

サッポロクラシックP1130100

 ただ残念ながらこのサッポロクラシック、北海道限定なのである。
 そのサッポロクラシックを、運良く中部地方のスーパーのお酒売場で何故か手に入れることが出来た。
 で、早速飲んでみた。

 プルタブを開けた途端に、ホップと麦の良い香りが漂う。
 飲むとまず感じるのは麦の甘味で、コクは程良くあるが決して重くなく、気持ち良くスイスイ飲める。
 そして飲んだ後に、良質なホップのしっかりした、心地良い苦味が口の中に残る。
 甘くそして苦く、そのバランスが素晴らしい。

 ヴァイツェン・ビールに似たフルーティーな甘さと、インディア・ペールエールビールを思わせる良質でしっかりしたホップの苦味がある上に、適度なコクがありかつ喉越しも良いので、本当に気持ち良く飲める。
 このビール、冷蔵庫から出してすぐは「甘くて苦く軽やかに飲める」が、少しぬるくなると甘さを強く感じるようになり、苦さが抑えられ、味に奥行きも感じられるようになる。
 温度によって味が変わり、冷蔵庫から出してすぐに喉越しで飲んでも、少しだけぬるくして、ゆっくり、じっくり味わって飲んでも、どちらでも美味しいから嬉しい。

 個人的には、非の打ち所のない良いビールなのだが。
 これが北海道限定で、本州ではなかなか手に入らないのが、心から残念だ。
 缶に書いてある、「北海道だけのうまみと爽やかな味わい」と「ONLY HOKKAIDO」の文字を恨めしく見ながら、このビールを最後の一滴まで飲み干した。

 こんなに良いビールなのだから、サッポロには「勿体ぶらないで、全国で売れよ!」と言いたいところなのだが。
 缶に金色に描かれている北海道の絵をよく見ると、ただ北海道だけでなく周辺の島も(有人の島は)すべてきっちり書いてある。
 北海道の絵と言うと本島だけ描かれている場合が多いが、この缶の北海道は僅か3×2.5cmなのに、利尻や礼文や奥尻だけでなく、国後に択捉、歯舞に色丹、それに天売島と焼尻島まで描いてある。
 利尻や礼文や奥尻島など一mmくらいだし、天売島と焼尻島に至っては、塵や埃ほどの微細な点でしかない。
 缶の小さな北海道の絵に、そんな離島まで正確に書き込んでいる所にも、サッポロビールの北海道に対する愛とこだわりをひしひしと感じた。

サッポロクラシック②P1130099

 本州の人間としては、これが滅多に飲めないのは不満だが。
 しかしこんな極上のビールをあえて北海道限定にして、北海道民と北海道に来た人にしか飲ませないところに、サッポロビールの「自分たちは北海道のビール会社なのだ!」という強い自負を感じた。

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ダルグナー ヴァイツェン

 筆者が時々行くあるホームセンターは、意外に酒類を豊富に揃えている。
 高級品というわけではなく、あまり知られていないお値打ち品を仕入れているから嬉しい。

 そのホームセンターで、ダルグナーというドイツのビールを見つけた。
 そこで扱っているダルグナーには、ラガーとヴァイツェンの二種類があった。
 筆者は実は日本で主流のラガービールは、あまり好きではない。
 そしてエールビールが好きで、中でもヴァイツェンビールは大好きである。
 だから迷わず、ヴァイツェンの方のダルグナーを買った。

ダルグナー・ヴァイツェンP1120539

 プルタブを開けた途端に、ヴァイツェンビールらしい柑橘系のフルーティーな香りが辺りに漂う。
 白い泡が、とても細かい。
 飲んでみると、小麦の穏やかな甘さとホップの控え目で上質な苦さがよく調和している。
 ホップの味わいもあるが、それより甘さの方が強い印象だ。
 だから「ビールは苦いから」と避けている人に、是非とも飲んでみてほしい。
 フルーティーで甘く、軽やかで苦味も上質で弱いから、日本の一般的なビールが苦手な人にも飲みやすい筈だ。

 このビールは麦芽とホップだけで造られていて、日本の多くのビールのように糖質副原料は使われていない。
 しかし決して重くなく、喉越しでもスッと飲める。
 なのに日本のラガービールより深いコクと味わいがある。
 よく冷えている間にゴクゴク飲めば、気持ち良く飲めるだろう。
 コクはあるが重くなく、嫌味も全く無い。

 だが筆者には、日本流に喉越しでゴクゴク一気に飲み干してしまうのは、少々勿体ないように思える。
 ラガービールは、よく冷やして飲むべきものだろう。
 しかしヴァイツェンも含めたエールビールは違う。
 ビールに限らず、飲み物は冷やし過ぎると香りと味を、特に甘味を感じにくくなるからだ。
 ヴァイツェンも含めたエールビールの適温は、11~13℃くらいだ。
 具体的に言えば、冷蔵庫から出して10分くらい室温で放置しておいたあたりが飲み頃だ。
 冷蔵庫から出した直後より、そのくらい置いておいた方が豊かな香りと、甘くほろ苦い繊細な味を楽しめる。
 だから個人的には、このダルグナー・ヴァイツェン、冷蔵庫から出して少し待ってから、ゆっくり、じっくり飲むことをお勧めしたい。
 しかし味わいが軽やかなので、喉越し派の人はよく冷やしてすぐにゴクゴク飲んでも、充分に楽しめるだろう。

 このダルグナー、例のホームセンターではヴァイツェンもラガーも188円で売っていた。
 近年注目されているクラフトビールより百円も安く、モルツやキリン一番搾りやスーパードライなどの普通の日本のビールと同じ値段だ。
 それを考えれば、充分過ぎるほど良いビールと言える。

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沢の鶴純米酒米だけの酒

 先週、福島県の白河銘醸の谷の越純米吟醸を飲んだ。
 それで今回は、沢の鶴純米酒米だけの酒を飲んでみた。
 灘の大手メーカーの、しかも紙パック入りで精米歩合も掛米で75パーセントという比較的安価な酒だけに、正直に言って味に期待は殆どしていなかった。
「やはり大メーカーの“名ばかり純米酒”だった」と、最初から書くくらいのつもりでいた。

沢の鶴純米酒米だけの酒P1120860

 実際、ワイングラスに注いでみても香りは弱く、吟醸香のようなフルーティーな香りは全くと言ってよいほど無く、代わりにアルコールの匂いを感じる。
 そして谷の越純米吟醸と、酒の色が明らかに違う。
 谷の越純米吟醸は明らかに黄色味を帯びているが、この沢の鶴純米酒は殆ど無色透明に近い。
 精米歩合60パーセントの谷の越純米吟醸に比べ、麹米が65%で掛米が75%の沢の鶴純米は、精米歩合の低さによる雑味を活性炭を多く使用した濾過で補っているのだと思われる。
 で、この沢の鶴純米酒米だけの酒に対する筆者のイメージは、ますます悪くなった。
 ああ、やはり大メーカーの安酒だなあ……と。

 しかしだ、飲んでみるとこの沢の鶴純米酒米だけの酒、そう悪くないのだ。
 飲み比べてみれば沢の鶴純米酒米だけの酒には吟醸香は無いし、味もキリキリ辛くて、谷の越純米吟醸の方が香りが良くてマイルドだ。
 しかしその差は「飲み比べればわかる」というレベルのものであって、歴然とした差は感じない。

 大量の活性炭で濾過をしているのは、色を見ればわかる。
 しかしそれでも辛味や甘味、それに渋味や苦味や酸味などの味わいをしっかり感じる。
 メーカーは、『おいしい理由』の一つとして「伝統的な製法、生酛造りで仕込んだお酒をブレンドしました」とパックに書いてある。
 生酛造りはコクがあるが、癖も強いし好き嫌いも分かれる。
 だから生酛造りそのものでなく、ブレンドしたことによって、適度なコクと味わいが生まれたのだろう。
 この酒、さして美味い酒とは言えないし、精米歩合の高い良い酒とは比べようもない雑味と濁りを味に感じるが、価格を考えれば良く出来ている。
 より美味い酒を飲みたい人には勧めないが、安くて飲みやすい酒を求める人には向いている。

 おいしさの理由と言えば、メーカーはもう一つ「米と磨きのこだわり 日本産米100%・麹米65%」と書いてあったが。
 その日本産米も大した米を使っていないように思えるし、掛米65%で磨きにこだわったと言われても失笑するしかない。
 純米酒を名乗るが、上手に造った本醸造酒の方が美味しいくらいだ。

 だがそれでも、価格を考えればこの酒、悪くないと思う。
 特に誉めるような酒ではないし、雑味は感じるものの、嫌味もないし決して不味くはないのだ。
 そして活性炭を多く使っているだろうに不思議に味は薄くなく、ちゃんと酒らしい味を感じる。
 安い酒をたくさん飲みたいが、不味い酒も嫌で、ちゃんと酒らしい旨味もある酒を飲みたい。
 この沢の鶴純米酒米だけの酒は、そんな人に向いた酒だ。

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谷の越 純米吟醸

 日本酒では、筆者は純米吟醸酒が好きだ。
 実は純米大吟醸酒の方がもっと好きだが、普段気楽に飲むには純米大吟醸酒は少しお高い。
 日本酒で味と価格のバランスが一番良いと思えるのは、筆者にとっては純米吟醸酒だ。

 とは言うものの、その純米吟醸酒でも四合瓶で千数百円する。
 そんな中で、紙パック入りの割安な純米吟醸酒を見つけた。
 福島県西白河郡西郷村の、白河銘醸株式会社谷の越純米吟醸だ。
 900ml、つまり五合も入って六百円台である。

谷の越純米吟醸P1120637

 買って飲んでみたが、まずグラスに注いでみると吟醸酒にしては香りはやや控え目だ。
 しかしフルーティーな吟醸香は、間違いなくある。
 スッキリ飲みやすく、するりと飲めて安い酒にありがちな嫌味は殆ど無い。
 蔵元は「やや辛口」と言うが、適度な辛さの中に米の甘味もある。
 個人的には、辛口と言うより旨口と言いたいところだ。

 ただ、日本酒は一般的に度数15~16%だが、これは13~14%だ。
 僅かだが加水している量が多いせいか、蔵元は「やや淡麗」と言うが、少し薄味にも感じられる。
 しかし米の旨味は確かに感じる。
 あと、黄色味を帯びた色と味を考えると、大メーカーのように活性炭を大量に使って味をごまかしたりせずに、米の味をちゃんと生かしているように思える。

 蔵元は「じっくり味わいたいときはそのままで サラリと味わいたいときはキリリと冷やして」と言うが、この酒、冷蔵庫から出した直後とぬるくなってからでは印象が変わる。
 冷たい時には香りはやや弱いものの、サラサラと気持ち良く飲める。
 そしてぬるくなってくるとフルーティーで華やかな吟醸香が立ってきて味わい深くなり、当初に感じた香りと味に対する物足りなさが無くなる。
 だから水のような飲みやすい酒を良しとする人は冷蔵庫でキリリと冷やし、吟醸香や酒の味をゆるりと楽しみたい人は少しぬるくなってから、あるいはそのまま冷やさずに飲むと良いだろう。

 正直に言えば、この谷の越より美味い純米吟醸酒は他に幾つもある。
 が、その種の美味い純米吟醸酒の値段は、この谷の越の倍かそれ以上だ。
 値段を考えれば、これは本当に良い酒だ。
 同じ価格帯の紙パック入りの日本酒の中では、頭一つ抜けた美味さだ。
 パックに「飲めばわかる香り豊かな本格造り」と書いてあるが、その看板に偽り無しだ。

 良い酒にはお金を惜しまないという人には、お勧めしない。
 しかし安くて気軽に飲めてしかも美味しい、コストパフォーマンスに優れた日本酒を探している人には、是非お勧めしたい逸品だ。

 この谷の越純米吟醸、嫌味の無い良い酒だが、後味に苦味と渋味が僅かに残る。
 で、和菓子と合わせて飲んでみたところ、これがなかなか相性が良かった。
「日本酒に甘いものなんて」と思う人も多いだろう。
 実は筆者もそう思っていた。
 だが尊敬するogotchさんに教わって試してみて以来、それが大好きになってしまった。
 日本酒、それも渋味や苦味の残るものには、和菓子が意外に合う。

 あと、パックに「天然水仕込み」と誇らしげに書いてあったが。
 日本酒で、「水道水仕込み」のものなどあるのだろうか。
 筆者は日本酒と言えば、その土地の名水で仕込んでいるものとばかり思っていた。
 いや、谷の越など一部のお酒の容器に、わざわざそう書いてあるという事は、あるのだろうな、「水道水仕込み」の酒が。

 純米吟醸酒としては、特に四合で千数百円する定評ある銘酒たちと比べてしまうと、特に美味しいとまでは言えないが。
 五合で六百円台という値段を考えると、「かなり良い酒」と断言できる。

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(株)アルプス 無添加信州コンコード

 最初に断っておくが、筆者はワインがあまり好きではない。
 ワインと日本酒と、同じ値段だったら間違いなく日本酒の方が美味しいと、筆者は基本的に思っている。
 白ワインならまだ飲めるが、赤ワインはどうにも好きになれない。

 その筆者が「これは美味しい!」と感心したワインがある。
 それも嫌いな筈の赤ワインなのだ。
 長野県塩尻市の株式会社アルプスの、無添加信州コンコードだ。

信州コンコードP1120033

 グラスに注ぐと、まずルビーのような美しい色にウットリさせられる。
 口に含むと、驚くほどのフルーティーさだ。
 渋味もあるものの控え目で程良く、とにかく葡萄のフルーティーさが前面に出てくる。

 メーカーの甘辛度の表示では中口だが、辛さはあまり感じなく、葡萄本来の甘さをほのかに感じる。
 甘口のワインは初めは飲みやすいものの、飲んでいるうちに甘ったるくなり味に飽きてくる。
 渋味の強いワインもまた、好きな人は好きなのだろうが、筆者などは飲んでいてツラくなる。
 しかしこのワインの甘さはほのかで上品で、決してしつこくない。
 しかも控え目な渋味も本当に適度で、後口をサッパリさせてくれてちょうど良い。
 このワイン、葡萄のフルーティーさと甘さが先に出て、そして後から追いかけてくる程良い渋味が後味を良くしてくれる。
 この甘さと渋味のバランスが本当に絶妙で、ワインは、特に赤ワインは苦手な筆者が気持ち良く何杯でもスイスイ飲めた。
 これは美味しい!
 香りもフルーティーで魅惑的。
 重さの表示は無いが、これはミディアムであろう。
 重たくなく気持ち良く杯を重ねられるが、決して軽くなく、コクと味わいもしっかり感じる。

 実はこんなブログを書きながら筆者はかなりの下戸で、日本酒なら一合、ウイスキーなら60ml、ビールなら一缶が限度である。
 しかしこの無添加信州コンコード、嫌味が全く無くフルーティーで美味しく、つい「もう一杯!」と杯を重ねるうちに、720mlの瓶の三分の二を飲んでしまった。
 限度の倍以上である。
 実は、危うく一本飲み干してしまうところだった。
 ただ「こんな良いワインを酔い潰れるまで飲んでしまっては勿体ない、充分味がわかり、美味しいと感じられるところで止めておこう」と思い、理性で我慢してそれ以上飲むのをセーブしたのだ。
 それくらい嫌味なく飲みやすく美味しい、良いワインだった。

 ラベルによれば、株式会社アルプスは信州桔梗ヶ原など長野県内約400軒の栽培農家と契約した良質な葡萄を使用して造っているという。
 この無添加信州コンコード、フルーティーで味わい深く、しかも飲みやすく嫌味なく、繊細な甘さと渋味と辛さのバランスが絶妙だ。
 無論、これより上等で美味しいワインはいろいろあるだろう。
 しかし千円で買えるワインでこれほど素晴らしい赤ワインは、多分他に無いと筆者は思う。
 ワイン、特に赤ワインは好きでない筆者を唸らせ、同様にワインを好かない知人にも「これだけは好き」と言わせた逸品だ。
 また買って飲みたいと、心から思った。

 フルーティーさを引き立て、かつ飲み飽きさせないほのかな甘味と、それを引き締める後味をサッパリさせる程良い渋味がある、後を引く美味しさのあるワインだ。
 下戸の筆者がボトルの三分の二まで立て続けに飲んでしまい、危うく一本飲み干して潰れてしまいかけるところだった。
 飲んでいて、とても幸せになれる。
 香りと味を心行くまで楽しみながら、何杯でも飲めてしまう。
 酒に弱くなければ、一本、楽に飲めてしまうのではないか。
 甘さ、渋味、辛さのバランスが絶妙過ぎる。
「華やかな香りとコクのある風味が楽しめる口当たりの良いワインです」というメーカーのコメント通りの、安くて美味しい、出来の良すぎるワインである。

 ただ難を言えば、翌日残しておいた三分の一瓶のこのワインを飲んだところ、前日(開栓したて)には感じなかった強い酸味を感じた。
 酸化防止剤無添加のせいか、冷蔵庫で保存しておいても、開栓した翌日には酸味が強くなってしまうようだ。
 それでも充分に美味しいが、開栓したらその日のうちに飲み切った方が良いと思う。

 このワイン、良いワインだが栓はコルクでなく、スクリューキャップだ。
 そして価格も千円程度で、気取らず気楽に飲むにはとても良いワインだ。
 親しい人と語らいながら楽しく飲みたい、美味しくて懐にも優しい、信州産の素敵なワインである。

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ヘリオス酒造 肉専用ペールエール

 今回もまた、沖縄のヘリオス酒造(ヘリオスブルワリー)の製品を飲んでみた。
 今回は、肉専用ペールエールだ。

ヘリオス肉専用ペールエールP1110821

 グラスに注ぐと濃い金色で、泡もベージュに近い茶色だ。
 香りはそれほど華やかではないが、口当たりはとても滑らかで爽やか。
 重くなくスッと飲めるが、飲んだ後に意外に苦さが口の中に残る。
 と言っても決して嫌な苦さではなく、インディア・ペールエールビールの苦さにも似た良質なホップの心地良い苦さだ。
 この苦味が、名前の通りに肉料理によく合う。
 肉料理だけでなく、揚げ物などの濃い味の料理をよく引き立てそうだ。

 このビール、味わい深くコクもあるのに決して重くなく、スイスイ飲める。
 これは筆者が飲んだヘリオスのビールに共通する特徴で、喉越しでゴクゴク飲んでも重くなく、ゆっくりじっくり飲んでも味わい深くコクがある。
 どう飲んでも美味しい、とても良いビールだ。
 喉越しで飲むのに向いたビールはじっくり味わって飲むと不味くなり、じっくり味わって飲むのに向いたビールは喉越しで飲むと重たい傾向があるが、この肉専用ペールエールを含めたヘリオスのビールは違う。
 あと、ゆっくり味わって飲むと、このビールには僅かにフルーティーな味わいがある。

 星空のポーター青い海と空のビール、それに肉専用のペールエールと、どれも甲乙つけ難い優れたビールだが、あえて言えばこの肉専用のペールエールが最も食事に合いそうで、かつ日本人の好みに合いそうな気がする。
 ただ「苦いから」とビールを敬遠して甘いチューハイなどを好んで飲んでいる人には、残念ながらこのビールは向かないだろう。

 実際、この肉専用ペールエールは、黒ビールである星空のポーターより苦いくらいだ。
 と言うより、肉専用ペールエールと星空のポーターは、苦さの質が違う。
 星空のポーターの苦さはローストした麦芽の香ばしい苦味で、肉専用ペールエールの苦さは上質なホップをふんだんに使った苦味だ。
 この上質な苦味ゆえに肉などの濃い味の料理に合うし、IPAなど良質なホップの苦味が好きな人にもとても好まれそうだ。
 個人的には、ヤッホー・ブルーイングインドの青鬼に匹敵する良いビールと思った。
 苦いが、後味がとても爽やかだ。
 ただ良質なホップの苦さでも「とにかく苦いのはイヤだ!」という人だけは、敬遠した方が良さそうだ。

 暑い地方のビールは、キンキンに冷やして喉越しで飲むのに向いた軽い味のものが多い。
 このヘリオスのビールはどれも良い意味での軽さがあり、かつ味に深みやコクもあり、飲みごたえもしっかりある、とても良いビールばかりだ。
 缶にSINSE 1996とあり、それほど歴史のあるブルワリーではないが。
 しかし良いビールを造る優れたブルワリーだと、心から思った。

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ヘリオス酒造 青い空と海のビール

 前回に続いて、今度もまた沖縄のヘリオス酒造のビール、青い空と海のビールを紹介したい。

ヘリオス・青い空と海のビールP1110437

 プルタブを開けた途端に、甘く心地良いフルーティーな香りが広がる。
 グラスに注ぐと明るい黄金色で、飲むと新ジャンル種のように薄いのではなく、良い意味で軽やかな味わいだ。
 喉越しも良くスッと飲めるのに、味わい深さやコクもしっかりある。
 苦味は少なく、良質なホップの味と香りをほのかに感じる。
 そしてそのほのかな苦味と、上品な甘味と酸味のバランスがとても良い。
「ビールは苦いから」と敬遠している人達に、是非とも飲んでみてほしい逸品だ。

 味わいはとても上品で繊細で、キレが良く後味もスッキリしている。
 飲んだ後に口に残るのはまず品の良いフルーティーな甘さと、僅かなホップの味わい。
 これはヴァイツェン・ビールだが、その中でも際立って繊細な、上品な甘さとホップの味わいが魅力的なビールだ。

 ビールは、南の暑い地方のものほど軽めに造られるというが。
 先週紹介した同じヘリオス酒造の星空のポーターも、黒ビールにしてはよくバランスが取れていて重くなかった。
 そしてこの青い空と海のビールもまた、味のバランスがよくバランスが取れていて、薄いのではなく繊細な味わいの、上品な軽やかさが魅力のビールだった。
 このヘリオス酒造のビール部門は、薄いのではなく品良く軽やかなビールを造る、優秀なブルワリーという印象を受けた。

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星空のポーター(ヘリオス酒造)

 沖縄のヘリオス酒造と言うと、蒸留酒が好きな筆者などつい泡盛を連想してしまうが。
 そのヘリオス酒造がビールも造っていることに、最近になって気付いた。
 それも安物ではなく、洒落たデザインの缶のちょっと良いビールばかりだ。
 で、何種類か出されているヘリオス酒造のビールのうち、まず星空のポーターという、麦芽100%でエールタイプの黒ビールを飲んでみた。

ヘリオス・星空のポーターP1110443

 黒ビールというと、苦いものを連想する人が多いだろう。
 しかしこの星空のポーターは、苦味については程々だ。
 黒ビールだが決して苦すぎることはなく、ローストされた麦芽の心地良い苦味が楽しめる。
 そしてただ苦いだけでなく、麦の甘さもあり、そして適度な酸味もある。
 まずほろ苦くて甘く、最後に酸味が後味を引き締める。
 この苦味と甘味と酸味のどれも突出せず、それぞれの味のバランスが絶妙だ!

 正真正銘の黒ビールで、グラスに注ぐと色は真っ黒に近い。そして泡の色もコーヒー色だ。
 しかしその見た目と違い、苦さは心地良い程度で、決して苦すぎることはない。
 そして麦芽100%のエールタイプだが、ゴクゴク飲んでも重くなく、ゆっくり味わって飲めばもっと美味しい。
 日本人には、ビールと言うと喉越しでゴクゴク飲むものと信じている人が多く、筆者が好きな味わい深いビールは「重い」と敬遠する人が少なくない。
 しかしこの星空のポーターは、喉越しでゴクゴク飲んでも、ゆっくり味わって飲んでも美味しい。

 このヘリオス酒造の星空のポーター、とても良いビールだ!
 黒ビールだが苦さはほろ苦い程度で心地良く、酸味や甘味とのバランスもとても良く取れている。
 そして喉越しで飲んでも重くなく、ゆっくりじっくり飲めば味わい深い。
 好き嫌いが分かれるタイプではなく、多くの人に好かれる美味しいビールだ。

 筆者は沖縄のビールと言えば、本土では毎年春に発売される、オリオンいちばん桜が大好きだが。
 他にも沖縄にこんな良いビールがあったのかと、心から感動した。

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純米酒(奥飛騨)と特別本醸造酒(立山)を飲み比べてみた

 近年、日本酒は若い人や女性にも飲まれるようになってきた。
 だが日本酒には、種別がいろいろある。
 本醸造に純米、それに吟醸など、そのどちらがクラスが上なのか、迷う人も少なくなかろう。
 実は筆者も、時々迷う。

 行きつけの近所のスーパーのお酒コーナーに、ほぼ同じ価格の日本酒があった。
 一方は純米酒だが、精米歩合は70%で。
 そしてもう一方は醸造用アルコールを加えている特別本醸造酒だが、精米歩合は麹米が57%で掛米が59%だ。
 どちらが良い酒なのか、本当にわからない。
 それで試しに、両方買って飲み比べてみた。

奥飛騨純米P1110525

 さて、まずは下呂市の純米奥飛騨だ。
 良くも悪くも、香り(匂い)が殆ど無い。
 よく嗅ぐと、米の穏やかな香りは感じる。
 ただ吟醸酒と違って良い香りも殆ど無い代わりに、嫌な臭いも全く無い。

 味は、基本的に辛口だ。
 しかし飲んでいると甘味、そして渋味も感じる。
 精米歩合が70%でしかないだけに、酒質に僅かだがスッキリしない部分を感じる。
 筆者の好きな山梨銘醸の七賢という山梨県の日本酒は、本醸造酒ですらない、最も安い普通酒ですら精米歩合は68%だ。
 それを考えると、この精米歩合は少しいただけない。
 純米を名乗るならせめて60%、最低でも65%にしてもらいたいものだ。

 とは言うものの、色は比較的黄色味を帯びていて、大手メーカーの安価なカップ酒によくあるような、活性炭を多く使用した濾過で旨味と共に雑味を取ってごまかしているような駄目な酒とは違う。
 精米歩合は70%と控え目でも、ごまかしが無いので米の旨味がしっかり伝わってくる。
 雑味は少しあるが嫌な味では無く、大手メーカーのカップ酒よりずっと日本酒らしい味わいがある。
 これはこれで、丁寧に造られた良い酒だと思う。

 旨味がありつつ雑味の無い澄んだ味でさらにフルーティーな香りもある純米吟醸酒が好きな筆者の好みのタイプの酒ではない。
 しかし男性的で力強いしっかりした味わいで、昔ながらの日本酒という印象だ。
 こういう日本酒も好きな人もいるだろうと、間違いなく思う。

 14%という度数や70%という精米歩合は物足りないが、水っぽさは全く無く濃い味で、「酒を飲んだ」という満足感はある。
 ただ味に澄んだ感じは無く、舌に僅かな雑味を感じる。
 辛口だが、純米だけに後から加えられたアルコールのツンツンした刺激は全く無く、味は丸い。
 量販されている大手メーカーの酒と違い、安易に活性炭を多用せずに米の旨味を保った、これはこれで価格なりに良い飛騨の地酒だと思った。

立山P1110419

 続いて富山県の立山特別本醸造だが、飲んだ最初の瞬間には甘さを感じるものの、すぐに辛さが追いかけてくる。
 近年、妙にもてはやされている水のような酒ではなく、米の旨さを感じさせる旨口の酒だ。
 大手メーカーの日本酒と違い活性炭で濾過され過ぎていないのも、澄んだ淡い金に近い色を見ればわかる。

 活性炭は便利なもので、あまりコストをかけずに造った酒の雑味を取り去ってくれ、スッキリした味にしてくれる。
 で、あちこちの蔵(工場?)で造った大量の酒を同じ味にして、同じラベルを貼り同じ銘柄の酒として出荷することも出来る。
 ただ活性炭は雑味だけ選んで取り去ってくれるわけではなく、酒の旨味も同時に消してしまうのだ。
 だから大手メーカーの酒には無色透明に近い、一見スッキリしているように感じられるが旨味や味の奥行きが足りない酒が多いのだ。
 その点、この立山は活性炭で誤魔化さず、良心的に造った酒だと言える。

 ただ麹米57%・掛米59%と言えば吟醸酒と言っても良いレベルの筈だが、この立山は吟醸香を殆ど感じない。
 わかるのは、穏やかな米の香りだけだ。
 しかしだからこそ、食事と合わせ何かを食べながら飲むのに良い酒だと思った。
 今時のフルーティーでスッキリした酒ではなく、香りは穏やかでしっかりした味わいの酒だ。
 良くも悪くも、昔ながらの酒という印象。

 あと、立山特別本醸造は冷蔵庫で冷たくすると辛さを強く感じ硬い印象も受けるが、常温に近くなるにつれて甘く丸く滑らかな味になってくる。
 今は日本酒を冷やしてワイングラスで飲む人が増えているが、この酒は冷やし過ぎない方が良い。

 さて、この立山特別本醸造を、ほぼ同じ値段の精米歩合70%の純米酒(奥飛騨)と飲み比べてみた結論だが。
 どちらが良いかは、本当に微妙だ。
 あえて言えば立山特別本醸造の方が僅かに雑味が少なく澄んだ味で、奥飛騨純米の方が僅かに濃い味で腰が強いという印象か。

 一方は精米歩合70%だが純米で、もう一方は醸造用アルコールを加えてはいるものの精米歩合は60%未満で、造り方はかなり違う。
 それだけに、どちらもほぼ似通った味であったのが意外だった。
 純米とかアル添とか吟醸とか、さらに精米歩合とか、近年では製法を詳しく書いた酒が増えている。
 しかしそうして種別や数字だけではわからないものだなと、今回つくづくと思った。
 種別やデータも参考になるが、実際は「飲んでみなければわからない」というのが本当のところだった。

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グランドキリン ひこうき雲と私

 筆者はビールは喉越しでゴクゴク流し込むのではなく、ゆっくり、じっくり味わって飲むのを好む。
 だから日本でよく売れているスーパードライのようなビールは、基本的に好まない。
 で、その筆者が心から「美味しい!」と思えたビールを、また一つ見つけた。
 グランドキリンの、ひこうき雲と私である。

グランドキリン・ひこうき雲と私P1110549

 そのひこうき雲と私は、「ベルギーやフランスの一部で冬に仕込み夏の農作業の合間に飲まれていた」セゾンビールなのだと言うが。
 栓を開けた途端に、柑橘系のフルーティーな香りが辺りに漂ってくる。
 飲むとほろ苦いが、同時に甘酸っぱさも感じる。
 苦味も甘味も酸味もどれも突出したものは無く、とても良くバランスの取れた味わいだ。

 決して重いビールではなく、気持ち良くスッと飲める。
 しかし味に深みとそれなりのコクがあり、スーパードライのように喉の渇きを癒す為に、あるいは頬張った食べ物を胃に流し込む為にゴクゴク鯨飲しては勿体な過ぎる良質なビールだ。
 食後に美味しいつまみを食べながら、良き友と語らい、あるいは好きな音楽をBGMにするなどして、リラックスして飲みたい、とても素晴らしいビール。
 グランドキリンはそれぞれどれも美味しくてハズレが無いが、これは個人的に特に良い出来と思った。

 軽やかさもあるので、日本人がよくするように喉越しでゴクゴク一気に飲み干してしまっても、かなり美味しい。
 しかしそれでは、このビールの価値と味わいはわからない。
 良質なホップを使用した上品な苦味や、麦のほのかな甘味や、柑橘を思わせるフルーティーな酸味が、喉越し一気飲みでは全く感じられなくなってしまう。
 ひこうき雲と私の複雑で奥深い本当の味は、ゆっくり、じっくり味わって飲まねばわからない。

 このひこうき雲と私だけでなく、グランドキリンはどれも安いものではない。
 税込みでは、三百円を越える値段だったりする。
 それをよく味わうことなくゴクゴク飲み干してしまうのでは、あまりにも勿体なすぎる。
 喉越しで一気飲みするなら、スーパードライや発泡酒や新ジャンル酒で充分だ。
 ところで、「スーパードライの味は、発泡酒や新ジャンル酒と似ている」と思うのは、筆者だけであろうか。

 ホップの苦味は強すぎることなく上質で、麦の甘味も心地良い。
 しかし最後に口の中に残るのは、柑橘の香りとサッパリとした酸味だ。
 軽やかでありながら味に深みもあり、後味も良いとても素晴らしいビールだ。

 確かにグランドキリンは、安いビールではない。
 しかし酔う為に安いビール類をたくさん飲むより、こうした良いビールを一本だけ飲む方がずっと楽しめるし、体の為にも良いのではないかと、泥酔し醜態をさらすまで大酒を飲みたがるバカ者が大嫌いな筆者は心から思う。

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