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空と虹と恋と

 大好きな写真のこと、そしてゲームやコミックスの話から歴史&時事問題まで、思いつくまま雑多に語ってみたいと思っております。さらに筆者の度重なるイタい失恋話についても、どうぞ憫笑しつつお読み下さいまし。

ベルギーのホワイトビール白濁(しろにごり)

白濁①P1180170白濁②P1180176

 ベルギー直送のホワイトビール、白濁(しろにごり)を飲んでみた。
 ベルギーのビールと言うとついホワイト・ペールエールビールを連想してしまうが、この白濁はペールエールではないホワイトビールである。
 麦芽の使用率は25%未満に過ぎず、その大麦と小麦の麦芽とホップの他に糖質副原料として大麦と小麦を使い、さらに天然自生酵母も加えている。
 このビールが“白濁”なのは、日本の殆どのビールと違い濾過していないからだ。
 濾過をすると、せっかくの天然自生酵母も取り去られてしまう。
 が、名前に白濁と付けられていなければ、濁りに気付かないかも。
 グラスに注ぐと、濁っていると言うより「澄んでいない」という程度だ。
 少し前に飲んだヤッホーブルーイングの『僕ビール、君ビール。屋上のジョン』の方が濁っていると感じた。

 香りは甘やかでフルーティーで、花をも思わせる。
 飲んでも甘くフルーティーで、味わいは軽やか。
 味の中に柑橘を感じ、それがとても良い後味と余韻になっている。
 苦さは殆ど無く、レモンやグレープフルーツのジュース程度の僅かな苦味しか無いので、「ビールは苦いから」と嫌っている人に是非とも飲んで欲しく思った。
 コクや味わい深さが無い代わりに、喉越し良くとてもスッキリしていて飲みやすい。
 麦芽の使用率は新ジャンル酒と同程度だが、天然自然酵母のせいか製法の違いなのか、格の違いを感じる。
 味は軽いが、味も香りもとても上品で素晴らしい。
 個人的には、ベルギーのビールなら確かなコクと味わいのあるベルジャン・ホワイトエールビールの方が好きだが、これはこれで上等なビールだ!
 甘くフルーティーな上に、軽やかで喉越しが良いので、ラガービールが好きな日本人にも向いていると感じた。
 喉越しで飲むビールが大好きの日本人に、是非この白濁を知って欲しく思った。

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エチゴビール FLYNG IPA

「全国第一号地ビール」というエチゴビールの、FLYNG IPAを買ってみた。
 グラスに注ぐだけで、ハーブ感溢れるホップの清々しい香りが辺りに漂う。
 色はやや濃いめだ。

エチゴビール・フライングIPA①P1190015エチゴビール・フライングIPA②P1190014

 飲むとグッと来る強い苦味を感じるが、その苦さは爽快である。
 口の中をスッキリさせてくれるし、後味もとても良し!
 そして苦いのと同時に、フルーティーな甘さも感じる。
 コクと味の深みがしっかりと感じられ、とても美味しい!
 苦いのが苦手な人には向かないが、ビールの苦さと言うかホップの香味が好きな人は堪らない旨さを感じるだろう。

 味の主体は苦味だが、これは決してただ苦いだけのビールではない。
 甘さやハーブの香味など、複雑で深い味わいと香りがある凄いビールだ。
 さすがは、「全国第一号地ビール」を名乗るだけある。
 ビールは「キンキンに冷やして、喉越しで一気にゴクゴク飲み干すもの」と信じている人達には永遠にその良さが理解できないであろう、わかる人にのみ愛される絶品ビールだ。
 このビールを飲んで、日本人にも本当に良いビールをワインのように大切にじっくりゆっくり味わって飲む方法を是非とも知って貰いたいと心から思った。
 日本のビールメーカーはエールビールの飲み方をもっと消費者に積極的に伝え、「ビールはキンキンに冷やして、喉越しでガブ飲みするもの」という洗脳をどうか解いてほしい。

 先週はヤッホーブルーイングの“僕ビール、君ビール。屋上のジョン”を、そして今週はエチゴビールのFLYNG IPAを飲んで、ビールとはただ喉越しだけではない、味わい深く余韻豊かな何と素晴らしいお酒なのだろうと感動した。
 個人的にだが、日本で主流の喉越しで飲むラガービールより、ゆっくり味わって飲むべきエールビールの方が遙かに美味しいと思う。
 キンキンに冷やしてゴクゴク喉越しで飲むラガービールと、程々に冷やしてゆっくりじっくり味わって飲むべきエールビールは、もはや「別の酒」と言うべきだと思った。
 ラガービールとエールビールは、赤ワインと白ワイン以上に違う。
 ラガービールを“ビール”と言うなら、エールビールはもはや良質なワインに飲み方だけでなく味も香りも近い。
 その程々に冷やしてゆっくりじっくり味わって飲むべきエールビールを、ラガービールのようにキンキンに冷やして香りと甘味を台無しにした上でガブ飲みして、「オイシクナイ、喉越しが良くないし重い」とか言うのだから、日本の“ビール飲み”の無知には呆れるし、メーカーのエールビールの味わい方についての広報の不足を叱りたい。

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僕ビール、君ビール。屋上のジョン

 ヤッホーブルーイングの、買えば必ず「旨い!」と唸ってしまう『僕ビール、君ビール。』の屋上のジョンを、遅ればせながら飲んでみた。

僕ビール、君ビール。屋上のジョン(表)P1180663僕ビール、君ビール。屋上のジョン(裏)P1180664

 缶に「ハッとする味と香り」とあるが、グラスに注ぐ途中で、ハーブを思わせるホップの鮮烈な香りに感動させられる。
 濾過していないのか、グラスに注いだビールは濁っている。
 これは日本ではかなり少数派だ。
 ただ濾過していないせいか、飲むととても味わい深い。

 飲むと甘くフルーティーで、ハーブ感あるほろ苦いホップの美味しさと香ばしさが口の中に広がる。
 決して重くないが、コクがあり味わい深く、とても美味しい!

 ベルジャン酵母とアメリカンホップで造ったベルジャンペールエールだと言うことだが、ペールエールビールの魅力を存分に感じさせてくれる、素晴らしいビールだ。
 後味もサッパリし、ホップの爽やかな香味が余韻として長く残り、とても心地良い。
 ゆっくり、じっくり味わって飲むと、至福の酔い心地を楽しめる。
 これは素晴らしい!!
 素晴らしすぎる良いビールだ。
 上質なワインのようにまず香りを堪能し、そしてゆっくり味わって飲んでほしい。
 頼むから、これをキンキンに冷やして甘みと香りを損なった上に、それをスーパードライか何かのように喉越しでガブ飲みしたりしないでほしい。


 断言するが、日本で主流の糖質副原料(米・コーン・スターチ)をたっぷり使ったラガービールと、麦芽とホップだけで造ったエールビールは、名前は同じ“ビール”でも実は別の酒と言っても良い。
 ヤッホーブルーイングが造るこの『僕ビール、君ビール。』のようなエールビールと、日本に多い糖質副原料を何種類も使ったラガービールとは、冷やす温度も飲み方も全く違うのだということを、どうかビールが好きな日本人に知ってほしいと、心から強く願う。
 日本人の自称“ビール飲み”達は、エールビールの飲み方を知らず、スーパードライのようにキンキンに冷やして喉越しでガブ飲みして「高いのに、大してオイシクナイ」とか言うのだから、呆れてしまう。
 と言うか、エールビールを造るメーカーは、適温や飲み方を缶に書くなどして、日本人が“ビール”と思い込んでいる糖質副原料たっぷりのラガービールとは違うエールビールの楽しみ方を、人々にもっと広く伝えるべきではないだろうか。
 それでないと、せっかくの良いエールビールの良さが日本人に伝わらずに勿体なさ過ぎる。

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秋の金麦&金麦琥珀の秋

 筆者は最近の新ジャンル酒の品質の向上に驚いている。
 もちろん麦芽をたっぷり使った本物のビール、クラフトビールやエールビールなどのプレミアム・ビールとは格が違うし、比べるまでもなく味も香りも満足感も劣るが。
 しかし多くの日本人が“ビール”と認識している、米やコーンやスターチなどの糖質副原料をたっぷり使ったラガー系のアレとはほぼ同等か、モノによってはそれ以上かと思っている。
 筆者は日本人が好きなスーパードライを飲むくらいなら、絶対に新ジャンル酒を飲む。
 値段の問題でなく、味の点で「新ジャンル酒よりスーパードライの方が不味い」と思っている。

 筆者の感覚では、「今の新ジャンル酒≦糖質副原料を何種類も使った日本に多いラガー系のビール<麦芽とホップだけで造ったビール<<<越えられない壁<<<クラフトビールやエールビールなどプレミアム・ビール」という印象だ。
 で、この秋に出された金麦と、限定醸造の金麦琥珀の秋を飲んでみた。

サントリー・金麦琥珀の秋P1200177

 まずは、通常の金麦から。
 金麦は季節ごとに味を変えているが、飲んでみたのは秋の金麦である。
 香りはほのかだが、悪くない。
 メーカーは「まろやかに仕立てた」と言うが、確かに軽めで料理を食べながらグイグイ飲むのに向いている。
 だが夏の金麦より少しだがコクと味わいがある。
「美味しい!」と声を上げたくなるような出来ではないが、優しい甘さと苦さのバランスが良く、飲みやすくて欠点や嫌味がまるで無い。
 後味も案外好ましい。

 さて、金麦琥珀の秋だ。
 メーカーは「ロースト麦芽の香ばしいコク」と言うが、確かにローストされた麦芽の良い香りを感じる。
 名前の通りに琥珀色で、普通のビールと黒ビールの中間のような色だ。

 まず感じるのは麦の豊かな甘さで、その中にローストされた麦芽の香ばしさをほんのりと感じる。
 香ばしくはあるが、苦くない。
 色だけでなく、味も普通のビールと黒ビールの中間のような感じだ。
 だから苦いビール黒ビールが苦手な人にも合いそうだ。
 コクはビールとして考えると「そこそこ」という程度だが、新ジャンル酒としてはコクがある方で飲み応えもある。
 飲んでいる時は「苦くない」と思ったが、飲み終えた後の余韻にホップの不快でないハーブ感ある苦さが残る。
 後味も良い感じだ。

 普通のビール好きにも、黒ビール好きにも好まれそうな、なかなか良い出来の酒だ。
 嫌味も全く無いし、黙って出されたら新ジャンル酒とわからないのではないか。
 サントリービール株式会社はプレミアム・ビールだけでなく安い新ジャンル酒まで、本当に手抜き無く良い物を造る。
 この金麦琥珀の秋は限定醸造品だが、店にあるうちに是非また飲みたく思った。
 今はもう「新ジャンル酒なんて飲めねぇよwwww」と馬鹿にしてはいけない。

 とは言うものの、この10月から酒税が変更され、新ジャンル酒の値段が上がるという。
 その新ジャンル酒といわゆる“ビール”の価格の差が縮まった後が、新ジャンル酒が存続できるかどうかの勝負だろう。
 麦芽と良質なホップをたっぷり使った本物のビールとは、最初から勝負にならないが。
 しかし出来の良い新ジャンル酒なら、「米もコーンもスターチもと、糖質副原料をたっぷり使って麦芽をケチった日本の自称“ビール”にならば勝ち目もあるのではないか」と筆者は思っている。
 実際、筆者は例え同じ値段だとしても、自分で買って飲むならスーパードライより、金麦やザ・リッチや麦とホップなどの新ジャンル酒を選ぶ。

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麦とホップ シングルモルト THE HOP

 ビール類と言うか新ジャンル酒なのに、シングルモルトを名乗る酒がある。
 サッポロビールの、麦とホップシングルモルトである。
 繰り返すが、ウイスキーではない。
 安い新ジャンル酒なので、面白半分で一本買ってみた。

サッポロ・麦とホップ新P1190844

 だがその麦とホップの“シングルモルト”を飲む前に、比較の為にまず通年販売品の麦とホップを飲んでみた。
 このクラス(新ジャンル酒)としては香りも良いし、飲めばほろ苦くほのかに甘く、喉越しが良い上にそれなりにコクと味わいもある。
 日本に多く、日本人が好んで飲む米もコーンもスターチも使った糖質副原料たっぷりの自称“ビール”の代用に充分になる良い出来だ。
 もちろん、ヱビスやプレモルなどの良質な本物のビールには遠く及ばないが、価格を考えれば充分すぎる出来でコスパ良し。
 ただ喉越しでイッキ飲みするだけでなく、味わって飲んでも悪くない。
 金麦にしろ、ザ・リッチにしろ、この麦とホップにしろ、最近の新ジャンル酒の品質の向上には目を見張るものがある。
 だから「土・日・祝祭日は本物のビールで、平日は新ジャンル酒」という飲み分けも、充分に考えられる。

サッポロ・麦とホップシングルモルトP1190843

 さて、いよいよビール類なのにシングルモルトを名乗る、麦とホップシングルモルトを飲んでみる。
 プルタブを開けグラスに注ぐと、甘い香りがとても魅力的だ!
 本物のビールにも、これだけ香るものはそう多くない。

 味は軽やかで、まず甘い。
 フルーツの甘さとも穀物の甘さとも言えないが、心地良い甘さをまず感じ、それをほのかなホップの香味と苦味が引き締める。
 喉越しでゴクゴク飲むと、後味がとても爽やかで心地良い。

 これはコクや味の深みがあまり無いスッキリしたタイプなので、ゆっくりじっくり味わって飲むのには向かない。
 だがただ喉越しだけのビール類ではなく、飲んで心地良い味の良さと爽やかさがある。
 甘さがおいしい、スーパードライとは対照的な喉越し系のビール類だ。
 個人的には、スーパードライよりこちらの方が千倍は好きだ。
 麦芽に、ドイツ産アバロン種の麦芽飲み使用しているから「シングルモルト」なのだそうだが、出来ることなら是非このアバロン種の麦芽とホップのみで造った本物のビールを製造して売り出して欲しいものだと思った。

サッポロ・麦とホップTHE HOP P1190842

 さらに麦とホップ THE HOPも飲んでみた。
 メーカーによれば、「最高級ファインアロマホップ一部使用」とのこと。
 プルタブを開けグラスに注ぐと、確かに香ばしい、黒ビールのそれとは全く違うハーブ感ある良い香りがする。

 飲むとハーブ感に富んだホップの心地良いほろ苦さが魅力的だ。
 新ジャンル酒にしては意外なくらいコクと味の深みがあり、ゆっくり、じっくり、味わって飲める。
 これは下手なビールよりも美味しい!
 喉越しでイッキ飲みするには飲み応えがあり過ぎるくらいで、人によって、具体的にはスーパードライやのどごし〈生〉が好きな人は「重い」と思うだろうし、ホップの苦味が苦手な人には向かないだろうが、これはビール好きには喜ばれそうな良い酒だ。
 飲んだ後も口の中にホップのハーブ感ある香りと味が余韻として残って、後味もとても良し!
 個人的には同じ麦とホップの限定醸造品のシングルモルトより好きだ。

 この両者、喉越しでゴクゴク飲みたい人にはシングルモルト、味わってじっくり飲みたい人にはTHE HOPといったところだろう。
 で、麦とホップの通年販売品にはその両者のような強い個性は無いが、喉越しで飲んでも味わって飲んでもイケる良さがある。

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サントリー東京クラフト三種(バーレイワイン・I.P.A.・ペールエール)

 これは良い悪いの問題ではなく、純粋に個々人の好みの問題だが。
 筆者はビールも大好きだが、日本のビール飲みを称する人達に多い「キンキンに冷やして、喉越しでガブガブと一気に」という飲み方が嫌いだ。
 筆者は欧州の人のように、ビールは程々に冷やして、ゆっくり、じっくり味わって飲むのが好きだ。
 だから日本のビールに多い、糖質副原料(米・コーン・スターチ)をたっぷり使った、喉越し最優先の薄味でコクも深みも無いスーパードライを代表する自称ビールは好まず、クラフト系のビールを愛して飲んでいる。
 それで今回、サントリーのT0KY0 CRAFTを三本飲んでみた。

サントリー・東京クラフト・バーレイワイン(表)P1180665サントリー・東京クラフト・バーレイワイン(裏)P1180666

 まずは、T0KY0 CRAFT バーレイワイン2019から。
 名前はバーレイワインだが、間違いなくビールである。
 19世紀にイギリスで生まれた、「麦のワイン」を意味するビアスタイルだそうである。
 その名と由来の通り、まず香りからフルーティーで赤ワインを思わせる。

 飲むと甘く、そしてほろ苦い。
 甘さはチェリーを思わせるフルーツの甘さで、そこも赤ワインに似ている。
 そしてそのフルーティーな甘さを、ホップのハーブ感あるほろ苦さが引き締めている。
 ビールの色も赤味を帯びた濃い色で、赤ワインを思わせる。

 世の中に、良い赤ワインをキンキンに冷やして喉越しでゴクゴク飲む馬鹿はいないと思うが。
 このT0KY0 CRAFT バーレイワインというビールも、赤ワインのようにゆっくり、じっくり、味と香りを堪能しながら飲むべきだ。
 これを日本の副原料たっぷりのビールのようにキンキンに冷やした上に、喉越しでゴクゴク飲んだりしたら、本当に勿体ない。
 良い意味で、あのスーパードライと真逆のビールである。

 メーカーは「麦の濃密で豊かなコクと余韻をお楽しみ下さい」と言うが、その言葉以上の絶品ビールだ。
 麦の豊かなコクと余韻をチェリーのフルーティーさに昇華させた見事さは、褒める言葉が見つからないほど凄い!
 こんなビールを造ったサントリービールに、心から敬意を表したい。
「ビールと言えば、スーパードライ!」と言う人には到底理解できないであろう、日本人に多い「ビールは喉越し!」派の好みとは対極の、クラフトビール好きにはたまらない絶品ビールだ。
 素晴らしい!
 素晴らしすぎる!!

 ちなみにバーレイワインはアルコール度もかなり高く、このT0KY0 CRAFT バーレイワインも9%である。
 だがアルコールのきつさは全く感じず、ただ飲み応えとコクをものすごく感じ、そして飲んだ後で満足感と酔いを感じる。
 筆者がこれまでに飲んだ中で、ほぼ最高に近いビールだ!

サントリー・東京クラフトIPA2020P1190398

 次は、T0KY0 CRAFT I.P.A.2020だ。
 メーカーは「シトラスホップを一部使用した鮮烈な香り」と言うが、グラスに注いだ時の香りはさほど強くない。
 しかし香りそのものは、とても素晴らしくて心地良い。
 そして色はやや濃い。
 I.P.A.(インディア・ペールエール)もビールとしては一般的にアルコール度が高めだが、このT0KY0 CRAFT I.P.A.2020のアルコール度数は7%である。

 香りはさほど強くなかったが、飲んだ途端にホップの高いハーブ感と香味を感じる。
 ホップを強烈に感じるが、苦いというのではなく香味が強くて爽やかだ。
 コクと飲み応えがガツンとあり、ゆっくり、じっくり味わって飲みたい。
 このビールをスーパードライのように喉越しでがぶ飲みして「苦ッ! 重ッ!」などと否定的な印象を持つ人は、日本の「ビールは喉越し!」信仰に害されているのだと自覚した方が良い。
 このT0KY0 CRAFT I.P.A.2020は、スーパードライが大好きな喉越し原理主義者には到底理解できないであろう、別次元の絶品ビールだ。
 ビールをただ喉越しでイッキ飲みするのではなく、ゆっくり、じっくり味わって飲むことを知っている人にはたまらなく良いビールだ。
 日本で造られているI.P.A.の中でも、かなり出来の良い方である。

 上質なホップの心地良い苦味とハーブ感が口の中に残り、後味もとても良し!
 確かにホップをふんだんに使っているが、感じるのは「力強い苦味」でなく、ハーブ感ある香味だ。
 感動的に良いビールだ。
 このT0KY0 CRAFT I.P.A.2020、ホップの香味と美味しさを、心行くまで楽しめる。

サントリー・東京クラフトペールエール2020P1190382

 最後に、T0KY0 CRAFT PALE ALE2020だ。
 筆者はペールエールビールが好きだから、あえて三本のうち最後に飲んでみた。
 メーカーは「カスケードホップを使用した、心地良い苦味と爽やかな香りのビール」という。
 色は濃いめの黄金色で、香りは甘く豊かでホップの爽やかさもある。

 飲むと甘くフルーティーで、かつホップの苦味というより香味をしっかり感じる。
 コクや味わいも充分あり、それでいて少しも重くなく気持ち良く飲める。
 だがこれも良質なワインのようにゆっくり、じっくり味わって飲むべきビールで、キンキンに冷やして喉越しでイッキ飲みするのがビールだと信じ込んでいるスーパードライのファンには、永遠に理解できない旨さだろう。
 このT0KY0 CRAFT PALE ALE2020だけでなく、クラフトビールを好んで飲む人とスーパードライの愛好者は「人種や民族や宗教が違うのではないか?」と言いたくなるほど味覚も好みも違い、到底理解し合えるとは思えない。

 話は戻るが、このT0KY0 CRAFT PALE ALE2020、バーレイワインやI.P.A.のような強烈な個性こそ無いが、実にバランスの取れた良いビールである。
 蛇足だが、このT0KY0 CRAFT PALE ALE2020だけでなくバーレイワインやI.P.A.も、エール系のビールは赤ワインのように程々(11~13℃)に冷やして飲むべきで、キンキンに冷やすと甘味と旨味と香りが減り苦味だけが強くなって不味くなる。
 それを知らずにエール系のビールを他の日本に多いビールのようにキンキンに冷やして喉越しでがぶ飲みし、「あんまりオイシクナイ、スーパードライの方がずっと美味しい」などと文句を言うのは、己の無知をさらけ出す愚かな行為だから、くれぐれも止めていただきたい。

 それにしてもこのT0KY0 CRAFT、バーレイワイン2019もI.P.A.2020もPALE ALE2020も、どれも素晴らしく美味しいビールであった。
 サントリービールは良いビールを造る実力があると、心から感じた。

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金麦 香り爽やかエールタイプ

 まずは、通常の金麦から飲んでみる。
 季節ごとに味を変えていると言うが、今回飲んでみたのは夏バージョン。
 新ジャンル酒にしては意外にビールらしい香りが立っている。
 飲むと麦の自然な甘味を感じ、苦味は僅かだ。
 夏バージョンということで「薄味ではないか?」と危惧していたが、やはり味は薄めで、じっくりゆっくり味わって飲むには向かず、よく冷やしてゴクゴク飲むべき酒だ。
 だが、ただ喉越しだけの酒ではなく、薄味と言うより軽やかで、このクラスとしては意外に美味しい。
 個人的には“自称ビール”のスーパードライよりずっと好きだ。
 価格差が無くとも、同じ値段でも筆者なら間違いなくスーパードライより金麦を買う。
 単に季節ごとに味を変えているだけでなく、以前の金麦より確実に味も良くなっている。「爽やかに仕立てた夏の金麦」と缶に書いてある通りだ。

サントリー・金麦香り爽やかエールタイプP1190919

 さて、本題の金麦香り爽やかエールタイプだ。
 濃くしっかりした味のエールビールと、夏向きの軽めのビール類は相性が悪いのではと、飲む前に思った。
 香りは悪くないが、良いと言ってもいいが、本物のエールビールには遠く及ばない。
 しかし飲んでみると、新ジャンル酒としては驚くほど甘くフルーティーだ。
 穀物の甘さではなく、フルーツの甘さなのだ。
 そして嫌味は全く無く、新ジャンル酒としては驚くほどコクと味わいがあり、それでいて重くなく喉越しでもゴクゴク飲める。
 しかもゆっくり味わって飲んでも美味しいのだから、驚嘆に値する。
「エールビールは重い」と思っている人にもエールビールの良さを感じてもらえる逸品だ。
 これまでに飲んだ新ジャンル酒の中で、個人的に最高と言える。
 いや、糖質副原料をたっぷり使った下手なビールより美味しいくらいだ。
 実名を上げれば、スーパードライなどより千倍も良い。

 飲んでいる間はフルーティーな甘さとビールらしいコクを感じ「苦くない」と思ったが、飲んだ後にほのかな苦味、それもハーブ感のある爽やかな苦さを僅かに感じ、それが口の中をサッパリさせる。
 後味まで良く、新ジャンル酒の傑作と言える。
 この夏の限定品だが、売れ残っていたら是非とも買い占めたく思った。
 通常の金麦も悪くないが、それより遙かに良い出来だ。
「新ジャンル酒など飲まない」と、新ジャンル酒を馬鹿にしている人にこそ是非飲んでみて欲しい製品だ。
 キンキンに冷やして喉越しでガブ飲みするのに向いた、ドライで軽いビール類を造って売りたくなる時期に、よくぞ味わいとコクのあるフルーティーな逸品を造ったと、サントリービールに敬意を表したく思った。

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キリン ブラウマイスター芳醇プレミアム

 筆者はビールは好きだが、「じっくり、ゆっくり、味わって飲む派」である。
 日本に多い「ビールは喉越し!」という人達とは違う。
 だから麦芽にホップ、それとあえて加えるならばコリアンダーシードやオレンジピールなど少量の副原料で造るビールが好きで、日本に多い糖質副原料(米・コーン・スターチ)をあれこれ加えたものは、どうも好きになれない。
 特にスーパードライのように麦芽を限界まで減らして糖質副原料をたっぷり使った、ビール純粋令のあるドイツでは通用しない自称“ビール”については、ハッキリ「嫌い」と断言できる。

 さて、そこで飲んでみたのが、キリンブラウマイスター芳醇プレミアムである。
 芳醇プレミアムを名乗る限定品ではあるが、原材料として、麦芽とホップの他に糖質副原料の米も使われている。
 プレミアムなのに麦芽とホップだけで造らず、その米もあえて加えた結果が、どう出るか。

キリン・プラウマイスター芳醇プレミアム①P1180889

 まずグラスに注ぐと、香りは軽めだが爽やかで良好だ。
 泡もきめ細かく良く立つ。
 最初の一口の印象は「軽めの味かな?」だ。
 悪い味ではないのだが、米という糖質副原料の影響で、麦芽とホップだけで造ったビール、例えばヱビスやプレミアム・モルツより確かに味が軽くなっている。
 で、最初は「味わい深さより喉越し優先で造ったか?」と疑ったのだが、グイグイ飲んでゆくとコクと味わいが意外にしっかりしていて、飲み応えがガツンと来る。
 これは喉越しと飲み応えを両立させた、なかなか良いビールだ。
 後味もホップの苦さでなくハーブ感が効いていて、とても良い。

 ただ、エールビールや麦芽とホップだけで造ったビールと同じように、ゆっくりじっくり味わって飲むと、少し薄味に感じてしまう。
 ゆっくりじっくり味わって飲んでも悪くはないが、本質的には喉越しでゴクゴク飲むべき、日本で多数派を占めるビール好き(キンキンに冷やして喉越しでゴクゴク飲みたい人)の嗜好に合わせた製品だ。
 とは言え、コクや味わいや飲み応えもちゃんとあり、スーパードライのように糖質副原料をたっぷり使って麦芽を極限まで減らした、ただ喉越しだけの薄くて不味い自称ビールとは大違いだ。

 筆者はビールに糖質副原料を使うことについては否定的だが、米など何か一種類を程々に巧く使うと、喉越しと味わいが両立した良いビールになると、このブラウマイスター芳醇プレミアムでよくわかった。
 ブラウマイスターの名に恥じない、なかなか良いビールである。

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國盛、富士冠雪、大関、それぞれの濁り酒

 日本酒の原点である濁り酒に興味を持ち、手軽に買い気楽に飲めるカップの濁り酒を三種類ほど飲んでみた。

國盛にごり酒①P1190999國盛にごり酒②P1190994

 まずは、國盛にごり酒
 醸造用アルコールの他に、糖類も使用している。
 そのアルコールでかなり嵩増ししているようで、長く置いておくと、濾過されていない酒粕がカップの底に薄く沈殿する。
 カップの中の酒は約10cmなのだが、沈殿した酒粕は2cmでしかない。
 その量は、純米の濁り酒とは大違いだ。
 純米なら、酒粕が全体の半分は占める筈だ。
 アル添で糖類等も使用した普通酒が、いかに原料米をケチり、アルコールと水で嵩増しして造っているかが、飲む前からよくわかる。
 だがこれが、国内では手に入りやすい濁り酒なのだ。

 ラベルの説明通りに、よく振ってから開けて飲んでみる。
 濁り酒とは言うが、「少し甘酒を加えた、安物の普通酒」という印象だ。
 辛い。
 それも刺激のある、アルコールによるツンとした不快な辛さで、舌が痺れるくらいだ。
 これで糖類も加えているというのだから、後から人工的な糖類を加えていなければどれだけ刺激的に辛かったかと、恐ろしく思う。
 辛くて甘いが、その辛さは醸造用アルコール(原価の安いサトウキビの絞り滓から造ったスピリッツ)、甘さは糖類と、共に後から加えた人工的なものによるものだ。
 辛く甘く酸っぱく渋く、「不味い」に近い印象だ。
 最後まで「とても辛い普通酒に甘酒風味を加えた安酒」という印象は変わらない。
 とにかく刺激的に変に辛く、その醸造用アルコールによる辛さを人工の糖類でごまかしている。
 こんなものが日本古来の濁り酒と思って欲しくないし、飲まない方が賢明な酒だ。

富士冠雪にごり酒①P1190987富士冠雪にごり酒②P1190988

 次に、県内の牧野酒造で造っている地酒の濁り酒、富士冠雪だ。
 これは世界遺産の白糸の滝で、土産物屋で買ったもので、先週記事に書いた本醸造富士山もこの酒蔵で造っている。
 これも國盛にごり酒と同じで、カップの中の9cmの酒のうち、沈殿した酒粕は2cm弱だ。
 アル添でかつ糖類も加えられており、上澄みの“清酒”となった部分を見てみるとほぼ無色で、活性炭による濾過もかなりされているように見える。
 それでも精米歩合は70%と言うのだが……。

 カップを振ってキャップを開けてみると、香りはほぼ無い。
 國盛にごり酒のような変に刺激的な辛さは無く、そこそこ辛口だがイヤミなく飲みやすい。
 甘さも國盛にごり酒より控え目で、糖類添加の割には自然な味だ。
 使っている原料米、加えている醸造用アルコールの量は國盛にごり酒と大差ないと思われるが、こちらの方が飲んでいて米の粉っぽさを感じる。
 その分だけ味も濃いように思う。
 よくあるアル添で糖類も加えた濁り酒の中では、まあ良い方だろう。
 しかし純米の濁り酒とは別物だ。
 飲み続けていると、これも醸造用アルコールの辛さによる刺激を次第に感じるようになる。

大関純米にごり酒①P1190985大関純米にごり酒②P1190986

 さて、最後に以前買って大切に取っておいた、限定販売のワンカップ大関純米にごり酒を比較の為に飲んでみる。
 一概に「純米なら美味しい」とは言えないし、「純米でなければ駄目だ!」という“純米信者”になってはいけないことは、よくわかっている。
 だがアル添で糖類等も加えた普通酒の濁り酒と、この純米の濁り酒の容器の底に沈殿した酒粕の量の差に、飲む前から驚かされる。
 これで見ると、普通酒は純米酒の約1/3しか米を使っていない事実がよくわかる。
 さらに大関純米にごり酒は、酒粕と分離した上澄みの“清酒”の部分を見てみても、色がしっかり付いていて、良い米を使い活性炭の使用を抑えていることが見て取れる。

 キャップを開けると、甘酒に似た香りが漂う。
 飲むとトロリとして、アルコールで嵩増しした普通酒の“自称濁り酒”とは大違いだ。
 まず甘く、そしてその米の自然な甘さを抑える辛さが追いかけてる。
 その辛さもアル添の尖った刺激的な辛さと違い、辛さの中に丸みと優しさがある。
 口に含むと米の自然な甘さが広がり、それをほのかな辛さが引き締め、後味をスッキリ、サッパリさせてくれる。
 あるのは旨味だけで、イヤミは全く無い。
 アルコールや糖類等を加えた普通酒の濁り酒と、米と米麹だけで造った純米の濁り酒は全くの別物であると、飲み比べればすぐにわかる。

 筆者は諏訪の麗人酒造の濁り酒や、青森県上北地方の桃川酒造の濁り酒も、かつて飲んだことがある。
 麗人も桃川も、その地方では良い酒を造ることで知られている。
 しかしどちらの濁り酒も駄目で、「飲んではいけない」と断言する。
 両者ともアル添でかつ糖類等をしっかり使っているから不味いのだ。
 そうした経験からも、「アル添で糖類等も加えた普通酒の濁り酒を飲んではならない、お金の無駄である」と言い切れる。
 清酒はともかく、濁り酒に限っては純米であることが最低条件で、よくあるアル添で糖類も加え、さらには酸味料まで加えた濁り酒は最低で、飲む価値などまるで無い。

 濁り酒である醪を圧搾機で絞って、清酒と酒粕に分離しているのだが。
 その分離させた酒粕を分けずに一緒に飲んでいるだけに、濁り酒は使っている米の質が味を大きく左右する。
 富士冠雪は精米歩合70%なのに美味しくなく、精米歩合78%にすぎない大関純米にごり酒の方がずっと良い味だ。
 いくら精米歩合を上げても、使っている米の絶対量が少ない上に沢山のアルコールを加え、糖類の人工的な甘さでそれを誤魔化している普通酒の“自称濁り酒”は「飲んでは駄目!」と断言する。
 醸造用アルコールと称する粗悪なスピリッツで嵩増しし、糖類等でそれを誤魔化しているアル添の濁り酒は全く駄目だ。
 濁り酒はかなり甘口の濃厚な味の酒になる筈なのに、普通酒の濁り酒は嵩増しに使われた大量のアルコールのせいで変に辛く旨味も薄くて不味い。
 そしてそれを誤魔化す為に糖類もたっぷり加え、そのベチャベチャした味を酸味料で隠そうとした“濁り酒”なるものは、薄味なのに不自然に辛く甘酸っぱくて最悪だ。

 最後にもう一度言う、清酒はともかく、濁り酒だけは純米に限る。

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正雪上撰(神沢川酒造)・富士武者(富士正酒造)・本醸造富士山(牧野酒造)

 ふと思い立って、県内の地酒のカップ酒を飲んでみた。
 県内の地酒で、他県の地酒ファンに知名度が高いのは、まず磯自慢だが。
 これは人気で、かつよく売れているので、県内でもなかなか手に入らない。
 そこで由比正雪の名にちなんだ知る人ぞ知る銘酒、正雪上撰を買って飲んでみた。
 値段で言えば、この蔵元で下から二番目の、少しマシな普通酒であるが、アル添ではあるものの、糖類や酸味料などの妙なものは加えられていない。

正雪上撰①P1190390正雪上撰②P1190392

 キャップを開けると、穏やかな酒らしい良い香りが漂う。
 基本はやや辛口だが甘さもあり、苦さや渋さは控え目で飲みやすい。
 スッキリしているのに、コクと味わいがある。
 とてもバランスが取れていて、辛さも甘さもあり旨口に近く、サラリとしていつつも飲み応えもあり、嫌みが全く無くてどんどんたくさん飲めてしまう。
 純米とか吟醸とかいった上等なお酒とは比べられないが、本醸造ですらない普通酒としてはとても良い出来だ。
 晩酌に飲むなら、これで充分だ。

 安いのに、何とバランスの取れた良い酒だろう。
 筆者は「酒は純米が基本だろ」と思いがちだが、これはアル添でしかも普通酒なのに「美味しい」と思ってたくさん飲んでしまう。
 香りも穏やかで、味わいはあるのにスッキリ飲みやすいので、料理にもとても合う。
 これはコスパに優れた、とても良い酒だ。
 正雪は一番安い普通酒でも充分に美味しく飲めるが、少しだけ高い上撰の方が、値段の差よりも明らかに美味しくてお買い得だ。

 静岡県に来たら、名の知られた磯自慢だけでなく、ぜひ正雪も飲んでみてほしい。
 純米や純米大吟醸などの高価な酒も造っていて、これがまたものすごく美味しい!
 それだけでなく、普通の人が気軽に飲む安価な普通酒でも充分に旨いのが正雪の良いところだ。
 純米大吟醸から最も安い普通酒まで、正雪は全てお値段以上に美味しい。

 県内では富士山とその周辺が世界遺産になっているが、富士山の麓にある白糸の滝も世界遺産に認定された。
 筆者はかなり以前から、時折その白糸の滝に行っていたが。
 以前は「ただの滝」だったのに、世界遺産の一部となった今は、滝に行く道や階段も整備され、土産物屋や小洒落たカフェなど出来て、すっかり“観光地”に様変わりして、外国人など大勢の客が来ている。
 このコロナ禍の今も、日本人や外国人の観光客が少なからず来ている。
 そこで筆者は、土産にカップ酒の地酒を買って帰った。

富士正・富士武者

 その「富士山に最も近い蔵元」という、富士宮市の富士正酒合資会社の、富士の地酒富士武者を飲んでみる。
 普通酒でアル添だが、正雪と同じで糖類や酸味料は加えていない。
 酒は見てすぐにわかる黄色みを帯びており、活性炭による濾過を極力控え、米の旨味を生かしていることが飲む前からわかる。

 話は少しそれるが、ここで多くの日本酒にされている活性炭による濾過について書いておこう。
 日本酒を造る際に使う米は、削らないと雑味が残る。
 だから高価な良い酒ほど、研く(米の外側を削る)のに適した大粒の酒造好適米を使い、かなりの部分を削る。
 しかし精米歩合を高めれば高めるほど米は削られ、酒造りに使える米は少なくなる。
 つまり精米歩合を高めて雑味を取れば取るほど、お金がかかるということだ。
 しかも酒造好適米は作るのが難しく、粒が大きく重いので台風や強風などに弱く、普通の食用米より値段も高い。
 それで高く売れる純米吟醸酒などは別として、リーズナブルな価格のお酒は食用米を使うことになる。
 そして酒造好適米より粒の小さな食用米は研きにくいし、そして研けば使用しなければならない米の量も増える。
 だから安価なお酒は、食用米を、周辺をちょっとだけ研いて造ることになる。
 当然、雑味が出る。
 それでその雑味を取り除く為に、活性炭で濾過をする。
 お手頃価格の日本酒など、酒が真っ黒のドロドロの液になるまで大量に活性炭を投入し、それを濾過して“清酒”として売り出しているそうだ。
 だが活性炭は雑味だけを取り除いてくれるような便利で都合の良いものではなく、同時に酒の旨味も取り去ってしまうのだ。
 ゆえにコスト最優先で食用米を殆ど研かずに造り、大量の活性炭による濾過で雑味を(旨味と一緒に)取り去った酒は、見ただけですぐにわかる。
 水のように無色なのだ。
 そして飲むと、雑味が無い代わりに旨味もコクも無い。
 誰もが知るワンカップ大関など、まさにそれだ。

 日本酒は、冷蔵せずに暑い場所で夏を越させると、茶色く変色する。
 それを赤酒とも言うのだが、日本酒は本来無色ではなく、薄く黄色い色が付いているものだ。
 その本来の薄い黄色と、暑さで変質した赤酒の色を混同して、日本酒本来の色の付いたお酒を避けたりしないよう、くれぐれもお願いしたい。
 もしミネラルウォーターや水道水のように無色の日本酒があるとしたら、それは安い米を殆ど研かずに造り、それを大量の活性炭で濾過し、雑味と一緒に旨味まで取り去ったコスト最優先の駄目な酒だ。

 話は戻る。
 白糸の滝で土産物として売られていた富士正酒のこの富士武者は、一目で黄色いとわかる。
 筆者は「ああ、これは活性炭による濾過を極力抑えたな」と思ったが、飲んでみてまさにその通りだとわかった。
 キャップを開けると、香りは弱い。
 しかし飲むとしっかりした味わいで、飲み応えがある。
 味は濃いのに、嫌味なし!
 辛さと甘さのバランスもとても良い。
 やや辛口だが米の甘さも充分にあり、旨口に近い。
 アル添だが、醸造用アルコールを大量に使った安酒によくあるアルコールの刺々しい辛さを感じない。
 これは美味しい!
 真面目に造った良い酒である。
 米の旨味を存分に感じられる。
 純米とか吟醸といった高級な酒ではないが、毎日、晩酌に楽しんで飲める。
「酒は純米でないと」と思いがちな筆者の固定観念を改めさせた、本当に美味しい、真面目に造られた銘酒だ。
 これは世界遺産の白糸の滝で土産物用として売られているが、是非白糸の滝を訪れた全国の人に飲んでみてほしい酒だ。
 これは良い! 正雪上撰よりも間違いなく良い!!
 これを造った富士正酒合資会社(静岡県富士宮市根原)の他の酒も、是非飲んでみたいと思った。

富士山本醸造P1190393

 さて、「富士宮市の地酒、意外に良いではないか!」と思った筆者は、同じ富士宮市の地酒をもう一本買って飲んでみた。
 富士宮市の牧野酒造合資会社の、本醸造富士山である。
 アル添だが、正雪上撰や富士武者より格上の本醸造である!
 だから「正雪上撰や富士武者より旨い筈」と、期待して飲んだ。
 富士武者ほどではないが、酒に色もそこそこ付いている。
 香りは「ほんのり」だ。
 飲むとまず辛さを感じ、そして僅かな渋味も感じる。
 富士武者とは違って甘さが殆ど無く、かなりの辛口だ。
 あと、富士武者より薄味でコクも弱いのに、味にスッキリしない印象をどこか感じる。
 不味いとは言わないが、美味しくない。
 かなりの辛口と書いたが、その辛さに丸みが無く、醸造用アルコールによる辛さに似たピリピリした刺激を感じる。
 辛さが刺激的で不快な上に、コクもなく旨味が少ないのにスッキリしないと、富士武者や正雪上撰と比べ全ての面で劣る印象だ。
 普通酒より美味しくない本醸造酒があるのだから、日本酒は本当に飲んでみないとわからない。
 実際、純米酒でも美味しくないもの、吟醸を名乗っても香りがほのかでしかないのもある。
 だから純米とか吟醸とか本醸造とかいった日本酒の分類は、本当に「目安の一つ」に過ぎない。

 今回、県内の地酒のカップ酒を三つ飲んでみたが。
 ①富士武者
 ②正雪上撰
 ③本醸造富士山
 個人的な主観による判断だが、この順に美味しかった。
 純米を名乗る酒でも美味しくないものもある現実は、以前から知っていたが。
 今回、普通酒や普通酒上撰より劣る味の本醸造酒があるとわかったのは、一つの収穫だった。

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