FC2ブログ

空と虹と恋と

 大好きな写真のこと、そしてゲームやコミックスの話から歴史&時事問題まで、思いつくまま雑多に語ってみたいと思っております。さらに筆者の度重なるイタい失恋話についても、どうぞ憫笑しつつお読み下さいまし。

正雪上撰(神沢川酒造)・富士武者(富士正酒造)・本醸造富士山(牧野酒造)

 ふと思い立って、県内の地酒のカップ酒を飲んでみた。
 県内の地酒で、他県の地酒ファンに知名度が高いのは、まず磯自慢だが。
 これは人気で、かつよく売れているので、県内でもなかなか手に入らない。
 そこで由比正雪の名にちなんだ知る人ぞ知る銘酒、正雪上撰を買って飲んでみた。
 値段で言えば、この蔵元で下から二番目の、少しマシな普通酒であるが、アル添ではあるものの、糖類や酸味料などの妙なものは加えられていない。

正雪上撰①P1190390正雪上撰②P1190392

 キャップを開けると、穏やかな酒らしい良い香りが漂う。
 基本はやや辛口だが甘さもあり、苦さや渋さは控え目で飲みやすい。
 スッキリしているのに、コクと味わいがある。
 とてもバランスが取れていて、辛さも甘さもあり旨口に近く、サラリとしていつつも飲み応えもあり、嫌みが全く無くてどんどんたくさん飲めてしまう。
 純米とか吟醸とかいった上等なお酒とは比べられないが、本醸造ですらない普通酒としてはとても良い出来だ。
 晩酌に飲むなら、これで充分だ。

 安いのに、何とバランスの取れた良い酒だろう。
 筆者は「酒は純米が基本だろ」と思いがちだが、これはアル添でしかも普通酒なのに「美味しい」と思ってたくさん飲んでしまう。
 香りも穏やかで、味わいはあるのにスッキリ飲みやすいので、料理にもとても合う。
 これはコスパに優れた、とても良い酒だ。
 正雪は一番安い普通酒でも充分に美味しく飲めるが、少しだけ高い上撰の方が、値段の差よりも明らかに美味しくてお買い得だ。

 静岡県に来たら、名の知られた磯自慢だけでなく、ぜひ正雪も飲んでみてほしい。
 純米や純米大吟醸などの高価な酒も造っていて、これがまたものすごく美味しい!
 それだけでなく、普通の人が気軽に飲む安価な普通酒でも充分に旨いのが正雪の良いところだ。
 純米大吟醸から最も安い普通酒まで、正雪は全てお値段以上に美味しい。

 県内では富士山とその周辺が世界遺産になっているが、富士山の麓にある白糸の滝も世界遺産に認定された。
 筆者はかなり以前から、時折その白糸の滝に行っていたが。
 以前は「ただの滝」だったのに、世界遺産の一部となった今は、滝に行く道や階段も整備され、土産物屋や小洒落たカフェなど出来て、すっかり“観光地”に様変わりして、外国人など大勢の客が来ている。
 このコロナ禍の今も、日本人や外国人の観光客が少なからず来ている。
 そこで筆者は、土産にカップ酒の地酒を買って帰った。

富士正・富士武者

 その「富士山に最も近い蔵元」という、富士宮市の富士正酒合資会社の、富士の地酒富士武者を飲んでみる。
 普通酒でアル添だが、正雪と同じで糖類や酸味料は加えていない。
 酒は見てすぐにわかる黄色みを帯びており、活性炭による濾過を極力控え、米の旨味を生かしていることが飲む前からわかる。

 話は少しそれるが、ここで多くの日本酒にされている活性炭による濾過について書いておこう。
 日本酒を造る際に使う米は、削らないと雑味が残る。
 だから高価な良い酒ほど、研く(米の外側を削る)のに適した大粒の酒造好適米を使い、かなりの部分を削る。
 しかし精米歩合を高めれば高めるほど米は削られ、酒造りに使える米は少なくなる。
 つまり精米歩合を高めて雑味を取れば取るほど、お金がかかるということだ。
 しかも酒造好適米は作るのが難しく、粒が大きく重いので台風や強風などに弱く、普通の食用米より値段も高い。
 それで高く売れる純米吟醸酒などは別として、リーズナブルな価格のお酒は食用米を使うことになる。
 そして酒造好適米より粒の小さな食用米は研きにくいし、そして研けば使用しなければならない米の量も増える。
 だから安価なお酒は、食用米を、周辺をちょっとだけ研いて造ることになる。
 当然、雑味が出る。
 それでその雑味を取り除く為に、活性炭で濾過をする。
 お手頃価格の日本酒など、酒が真っ黒のドロドロの液になるまで大量に活性炭を投入し、それを濾過して“清酒”として売り出しているそうだ。
 だが活性炭は雑味だけを取り除いてくれるような便利で都合の良いものではなく、同時に酒の旨味も取り去ってしまうのだ。
 ゆえにコスト最優先で食用米を殆ど研かずに造り、大量の活性炭による濾過で雑味を(旨味と一緒に)取り去った酒は、見ただけですぐにわかる。
 水のように無色なのだ。
 そして飲むと、雑味が無い代わりに旨味もコクも無い。
 誰もが知るワンカップ大関など、まさにそれだ。

 日本酒は、冷蔵せずに暑い場所で夏を越させると、茶色く変色する。
 それを赤酒とも言うのだが、日本酒は本来無色ではなく、薄く黄色い色が付いているものだ。
 その本来の薄い黄色と、暑さで変質した赤酒の色を混同して、日本酒本来の色の付いたお酒を避けたりしないよう、くれぐれもお願いしたい。
 もしミネラルウォーターや水道水のように無色の日本酒があるとしたら、それは安い米を殆ど研かずに造り、それを大量の活性炭で濾過し、雑味と一緒に旨味まで取り去ったコスト最優先の駄目な酒だ。

 話は戻る。
 白糸の滝で土産物として売られていた富士正酒のこの富士武者は、一目で黄色いとわかる。
 筆者は「ああ、これは活性炭による濾過を極力抑えたな」と思ったが、飲んでみてまさにその通りだとわかった。
 キャップを開けると、香りは弱い。
 しかし飲むとしっかりした味わいで、飲み応えがある。
 味は濃いのに、嫌味なし!
 辛さと甘さのバランスもとても良い。
 やや辛口だが米の甘さも充分にあり、旨口に近い。
 アル添だが、醸造用アルコールを大量に使った安酒によくあるアルコールの刺々しい辛さを感じない。
 これは美味しい!
 真面目に造った良い酒である。
 米の旨味を存分に感じられる。
 純米とか吟醸といった高級な酒ではないが、毎日、晩酌に楽しんで飲める。
「酒は純米でないと」と思いがちな筆者の固定観念を改めさせた、本当に美味しい、真面目に造られた銘酒だ。
 これは世界遺産の白糸の滝で土産物用として売られているが、是非白糸の滝を訪れた全国の人に飲んでみてほしい酒だ。
 これは良い! 正雪上撰よりも間違いなく良い!!
 これを造った富士正酒合資会社(静岡県富士宮市根原)の他の酒も、是非飲んでみたいと思った。

富士山本醸造P1190393

 さて、「富士宮市の地酒、意外に良いではないか!」と思った筆者は、同じ富士宮市の地酒をもう一本買って飲んでみた。
 富士宮市の牧野酒造合資会社の、本醸造富士山である。
 アル添だが、正雪上撰や富士武者より格上の本醸造である!
 だから「正雪上撰や富士武者より旨い筈」と、期待して飲んだ。
 富士武者ほどではないが、酒に色もそこそこ付いている。
 香りは「ほんのり」だ。
 飲むとまず辛さを感じ、そして僅かな渋味も感じる。
 富士武者とは違って甘さが殆ど無く、かなりの辛口だ。
 あと、富士武者より薄味でコクも弱いのに、味にスッキリしない印象をどこか感じる。
 不味いとは言わないが、美味しくない。
 かなりの辛口と書いたが、その辛さに丸みが無く、醸造用アルコールによる辛さに似たピリピリした刺激を感じる。
 辛さが刺激的で不快な上に、コクもなく旨味が少ないのにスッキリしないと、富士武者や正雪上撰と比べ全ての面で劣る印象だ。
 普通酒より美味しくない本醸造酒があるのだから、日本酒は本当に飲んでみないとわからない。
 実際、純米酒でも美味しくないもの、吟醸を名乗っても香りがほのかでしかないのもある。
 だから純米とか吟醸とか本醸造とかいった日本酒の分類は、本当に「目安の一つ」に過ぎない。

 今回、県内の地酒のカップ酒を三つ飲んでみたが。
 ①富士武者
 ②正雪上撰
 ③本醸造富士山
 個人的な主観による判断だが、この順に美味しかった。
 純米を名乗る酒でも美味しくないものもある現実は、以前から知っていたが。
 今回、普通酒や普通酒上撰より劣る味の本醸造酒があるとわかったのは、一つの収穫だった。

スポンサーサイト



PageTop

北関酒造 生貯蔵酒米きち入魂の旨酒

 先週、北関酒造の北冠米の凛純米吟醸について書いた。
 筆者が北関酒造の名を知ったのは、コンビニなどで並んでいる紙パックの安酒の製造元としてである。
 決して安売りをしないコンビニで、一合たったの95円(本体)である。
 そして醸造用アルコールの他に糖類も加えられていて、アルコール分も13度以上14度未満である。
 それらを見ただけで恐ろしくなり、飲む気を無くすようなシロモノである。

 ところがその紙パックの安酒を造っている北関酒造が純米吟醸酒も造っていて、これもまた他の蔵元の純米吟醸酒より割安だった。
 だからその北関酒造の北冠米の凛純米吟醸を恐る恐る買って飲んでみたが、意外に良い出来だった。
 それで調子に乗って、「紙パックの安酒もお値段以上に仕上げているのではないか」と期待して、例の紙パックで一合95円也の安酒、北関酒造の生貯蔵酒米きち入魂の旨酒を買って飲んでみた。
 繰り返すが原材料には醸造用アルコールだけでなく糖類も加えられていて、アルコール分も13度以上14度未満でしかない。
 それで果たして「入魂の旨酒」の名に恥じないか、飲む前から期待と不安で半々である。

北関酒造・生貯蔵酒米きちP1200007

 生貯蔵酒であるせいか、封を開けると価格の割には意外に好ましい酒の匂いを感じる。
 色は薄めで、濾過に活性炭をそれなりに使っていると思われる。
 だとすれば、雑味と同時に旨味も除去されていることになる。

 案の定、味はまず薄い!
 基本は辛口の酒で、飲んですぐに感じるのは辛さだが、純米酒の角の無いまろやかな辛さではなく、醸造用アルコールの棘のあるツンとした刺激のある辛さだ。
 甘さがそれを和らげているが、米の自然の甘さではなくて後から添加した糖類の甘さである。
 糖類を加えなければピリピリ辛すぎるほど醸造用アルコールを使い、米から造った原酒の使用比率を減らしているのだろう。
 原酒に大量の水と醸造用アルコールを加え、更に糖類で醸造用アルコールの刺激的な辛さをごまかす、典型的な“三増酒”だ。

 とは言うものの、かつての糖類と酸味料も使った三造酒とは違い、ベチャベチャしておらずスッキリした味で飲みやすい。
 以前の安酒は大量の水と醸造用アルコールで嵩増しした分を、これまた大量の糖類でごまかし、その糖類の不自然な甘さを更に酸味料でごまかしていた。
 だからベチャベチャした変な酒に仕上がったのだが、近年の淡麗辛口ブームに乗ったのか、これは糖類の使用量を抑え、酸味料は加えずに、薄味で辛口の酒に仕上げている。
 薄味で辛口だが、酒の色から見て濾過に活性炭を多く使っているのか旨味も無いが雑味も少なく、淡麗辛口と言えないことも無い。

 筆者はブログの記事にする為に分析しながら飲むから、自然に不満や文句が次々に出て来てしまうが、この酒、旨くはないものの嫌味も殆どないことも事実だ。
 だから酒を美味しく味わって飲むのではなく「酔っ払う為に飲む」、そして「酒は安いほど良い」という人には上の部類の酒だろう。

 この酒、名前は「入魂の旨酒」だが。
 まず出来る限りコストを切り詰め、そしてその中でいかに嫌味なく雑味の少ない酒を造るかに心血を注いだ“入魂”の酒だ。
 蔵元には悪いが“旨酒”とは、とても言えない。
 北冠米の凛純米吟醸を造ったような杜氏や蔵人としては、こんな価格最優先の美味しくない安酒を造るのは不本意ではなかったかと、勝手ながら思う。

 ただ一口飲んだだけで吐き出してしまうような酷い酒が多いこのクラスの紙パックの安酒の中では、北関酒造の生貯蔵酒米きち入魂の旨酒は「まあ何とか飲めるレベルに、よく造った」と褒めても良い。
 少なくとも筆者は、「旨くないなあ」とグチりつつだが、買った一合をとにかく最後まで飲み切ることができた。
 ただ個人的に、二度と飲みたくない酒でもある。
「酒は味わう為でなく酔う為に飲み、安ければ安いほど良い」という人にのみ、お勧めする。

PageTop

北関酒造 北冠 米の凛 純米吟醸

 栃木県栃木市の北関酒造と言うと、蔵元には申し訳ないし失礼だが、紙パックの安価な普通酒を造っているメーカーというイメージがある。
 その北関酒造の北冠米の凛純米吟醸を買ってみた。
 買ったのは、ズバリ純米吟醸酒にしては割安だったからだ。
 近年、手頃な価格で純米酒や純米吟醸酒が売られていて、味は「お値段なり」という感じで物足りないものが多いのだが、さて、この北冠米の凛はどうだろうか。

北関・北冠米の凛純米吟醸P1170462

 精米歩合はありがちな60%でなく58%まで上げているが、アルコール度数は14度以上15未満と、ほんの少しだけ低めだ。
 冷蔵庫で冷やしてグラスに注ぐと、程々に色が付いている。
 活性炭を使い過ぎていないようで好ましい。

 純米吟醸酒と言うが、香りは穏やかでフルーティーだ。
 香り立つという感じではなく、グラスに鼻を寄せて嗅ぐと感じられるという程度だ。

 基本的には辛口で、飲んで初めに感じるのは辛さだが、鋭い辛さではなく、穏やかな心地良い辛さだ。
 そして同時に甘さや僅かな渋さも感じる。
 ただ水のようにスッキリした淡麗辛口ではなく、甘さなど複雑な味もあり、ふくよかで豊かな味わいだ。
 冷蔵庫から出して間もないうちは、名前の通り凛とした辛口の酒という印象が強い。
 しかしぬるくなり常温に近付くにつれて甘さが出てきて、よりまろやかな味わいになる。
 冷やして飲んでも良し、常温でそのまま飲んでも良しだ。
 特に凄い酒ではないし感動的に美味いわけではないが、普段飲みにするにはかなり良い、お値段以上の酒だ。
 これを普段の晩酌に飲めたら、本当に満足だ。
 このメーカー、紙パックの酔う為だけの安酒を造る蔵元ではない。
 安くてしかも良い酒を造る実力がある。

 まろやかで優しく、口当たり良く滑らかで角が無く、それでいてコクと味わいが充分にある。
 名前は北冠米の凛だが、その名に恥じない、メーカーが誇って良い銘酒だ。
 吟醸香も嗅げばちゃんと堪能できるが、穏やかで控え目なので食事の邪魔にならないのも良い。
 食事しながら飲むのも、晩酌に気軽に飲むのも、味と香りを堪能しながらゆっくりじっくり飲むのも良し。
 紙パックの安い普通酒は経営の為に造っているのであって、北関酒造は本心ではこの北冠米の凛純米吟醸のような、美味しく、かつ背伸びせずに買える良い酒を売りたいのではないか。

 今、日本酒は酔えれば良いという人が飲む紙パックの激安の普通酒と、こだわる人が飲む純米だの吟醸だのという酒にはっきり二分されているが。
 紙パックの安い普通酒を造っているメーカーにも、美味しくてしかも安くて良い酒を造れる実力のある蔵元もあるのだと実感し、日本酒業界の底力に感心させられた。

PageTop

ハイネッケンと一番搾り、そしてバドワイザー

 ハイネッケンと言うと、ビールを多少なりとも知っている人は、「ドイツのビール」と思うのではないだろうか。
 だが実は違う。
 日本で売られているハイネッケンの製造元は、実は麒麟麦酒だ。
 そのことは、小さい字でだがちゃんと缶に書いてある。

 もちろん麒麟麦酒が勝手に造っているのではなく、本家のハイネッケンの許可を得て、ハイネッケンの製法で造っているのだろう。
 だが驚くべき事に、原材料もアルコール度数も、共に麒麟麦酒の一番搾りと全く同じなのである。
 どちらも原材料は麦芽とホップのみで、アルコール度数は5%だ。
 で、同じ麒麟麦酒が同じ原材料で同じアルコール度数で造っているこのハイネッケンと一番搾り、どう味と香りが違うか、飲み比べてみた。

ハイネッケンvsP1190816

 まずは一番搾りから。
 適度に甘く苦く、喉越しも良く、美味しく飲みやすくて嫌味が全く無い。
 飛び切り美味しいわけではないが、欠点の無い間違いなく良いビールで、個人的にはアサヒのスーパードライなどより一万倍も美味しいと思う。
 コクも味わいも程々にある、優等生的な良いビールだ。
 突出した個性も無いが、不満も文句も全く無い「ビールの標準」とも「ビールの基本」とも言うべきビールである。

 さて、ハイネッケンを飲んでみる。
 筆者が購入した店では、一番搾りより10円だけ高かった。
 飲む前から、缶からグラスに注いでいる時から香りが明らかに一番搾りより華やかで好ましい。
 麦芽は甘味より旨味に働き、一番搾りより味の深みとコクを感じる。
 その分だけ、喉越しを最重視する人には少し重く感じられるかも知れない。
 ホップもこちらの方が効いていて、苦さもあるが、それよりもハーブの香味を感じる。
「ビールは喉越しで飲むもの!」と信じている人達には一番搾りの方が良い(究極的にはスーパードライが一番)だろうが、ビールもじっくり味わって飲みたい筆者は「ハイネッケンの方が好きだし美味しい!」と迷わず言える。
 ただビールを喉越しで飲み、味わって飲むことをしない多くの日本の自称“ビール飲み”には、ハイネッケンより一番搾りの方が合っているだろうし、一番搾りはそうした日本人のビールに対する思い込みに合わせた造りになっている。

バドワイザー①P1190837バドワイザー②P1190841バドワイザー③P1190840

 この機会に、ついでにバドワイザーも飲んでみた。
 この有名なアメリカのビールも、日本で売られている物は、実はハイネッケン同様に麒麟麦酒で製造されている
 ただバドワイザーは原材料が麦芽とホップだけでなく、米という糖質副原料も加えている。
 さて、その糖質副原料を加えたことが、吉と出るか凶と出るか。
 まず香りは悪くないが、飲んでみた三種(一番搾りとハイネッケンとバドワイザー)の中で最もおとなしく、特にハイネッケンとは大きな差がある。
 もちろん、ハイネッケンの方がずっと香り高い。
 グラスに注いでみると、色も淡い。
 味も悪くないし嫌味も全く無いのだが、三種の中で最も薄味で、味に深みやコクが無く、ズバリ「喉越しで飲むべき良いビール」だ。
 味そのものは良いのだが、ゆっくり味わうのでなく、喉越しでゴクゴク飲んでこそ美味しい。
 完全に“喉越し系”の、味わって飲むタイプではないビールだが、「スーパードライより1000倍は美味しい」と個人的に思う。
 あまり苦くないので、その嫌味の無さと喉越しの良さでビールが苦手な人でも美味しく飲めると思う。
 あえて難点を言えば、後味がやや酸っぱいこと。
 個人的な好みの関係で、積極的にまた買って飲もうとは思わないし、ハイネッケンの方がずっと良いと思うが、「ビールは嫌い」という人を除けば、バドワイザーを嫌う人はまずいないと思う。
 赤い缶と合わせた、赤いプルタブも可愛い。
 喉越し派のビール飲みには「スーパードライなんかでなく、バドワイザーを飲め!」と強く言いたい。
 ビールを嫌う人は、たいてい「苦いから」と言うが、バドワイザーは苦味も抑え気味で飲みやすい。

 それにしても、キリンは多彩な味と香りのビールをよく造り分けられるものだと感心する。
 個人的に一番好きなのは、ハイネッケンだ。
 ただ日本のビール飲みには、バドワイザーを勧めたい。
 程々に加えた糖質副原料(米)が、世界でも売れた軽く飲みやすいバドワイザーの味を生んだのだろう。
 だが筆者は、やはり麦芽とホップだけで造ったハイネッケンや一番搾りの方が好きだ。

アサヒ・ザ・リッチP1190195

 さらに試しに、筆者が最近「新ジャンル酒なのに出来が良い!」と感心した、アサヒのザ・リッチとも飲み比べてみた。
 香りは大したことはないが、何と、ザ・リッチの方がバドワイザーより味が濃く、コクもあるように感じる。
 ただバドワイザーの方が、明らかに繊細で上品な味だ。
 飲み比べないとわかりにくいが、ザ・リッチにはどこか味に荒さと言うか粗野な部分を感じる。
 飲み応えのザ・リッチ、品の良さのバドワイザーといった感じか。
 新ジャンル酒であるザ・リッチと「味と香りに価格ほどの差があるか?」と問われれば、ハイネッケンなら「ある!」と即答できるが、バドワイザーだと答えに迷う。
 一番搾りとも、価格を考えると「微妙」と言うしかない。
 ザ・リッチ、意外な健闘である。

バーリアル三種P1160028

 さらに麒麟麦酒が製造しているビール類のうちで最も安価な、本体78円の新ジャンル酒であるトップバリュのバーリアル・リッチテイストとも飲み比べてみた。
 このバーリアル・リッチテイスト、麦の甘さもホップの苦さもコクも程々にあり、それなりに飲めてしまう。
 間違いなく「お値段以上」で、下手なビールに匹敵する出来だ。
 筆者など、「価格が同じでも、スーパードライよりバーリアル・リッチテイストの方を迷わず選んで買う!」と言い切れる。
 だがザ・リッチと同様に、筆者の評価では「ハイネッケン>一番搾り>バドワイザー」なのだが、そのバドワイザーと比べると明らかな“品格の違い”を感じてしまうのだ。
 本体78円のバーリアル・リッチテイストと、軽く二百円するバドワイザーに、三倍近くあるその価格差に見合うだけの味や香りの違いは「無い!」と言い切れるのだが、とにかく“ビール”と良く出来た“新ジャンル酒”では品が違う。
 差は味や香りでなく、品格や繊細さだ。

 まともな“ビール”とザ・リッチやバーリアル・リッチテイストなどの良く出来た新ジャンル酒を何度も飲み比べて、その差の原因を筆者なりにようやく突き止めた。
 新ジャンル酒に感じる「味の荒さ」のもとは、ズバリ、スピリッツだ。
 新ジャンル酒は、発泡酒をスピリッツで希釈して造る。
 つまり醸造酒に、連続蒸留して間もないスピリッツを混ぜるわけだ。
 だからいくら麦芽やホップに良いものを使って、もとになる発泡酒を濃い味に造っても、希釈に使った樽貯蔵もしておらず味も香りも殆ど無いスピリッツのアルコールの刺激による“角”を、飲む者の舌が感じてしまうのだ。
 醸造酒に、アルコール度数は抑えても連続蒸留したスピリッツをまるで寝かせずに混ぜたら、それはそのアルコールの荒っぽさを舌が感じる筈だ。
 出来の良い新ジャンル酒とバドワイザーの“品格の差”を生んだのは、ズバリそこである。
 その新ジャンル酒に加えるスピリッツの原材料に麦を使おうが、原価が最も安い廃糖蜜を使おうが、「味の差は殆ど生まれない」と両者を飲み比べた上で断言する。

 それにしても、近年の新ジャンル酒はよく頑張っていると思う。
 出来の良いものは、殆ど「ビール」と思って飲めるレベルに達している。
 ただ飲み比べてしまうと、ビールと新ジャンル酒に明らかな差を感じるが。
 と言うか、差を感じられなければ、ビールの存在価値が無くなってしまう。

PageTop

アルパカ・シラー2109

 安いのに良いと評判のワイン、アルパカのうち、シラー2019を飲んでみた。
 アルパカは赤だけで数種類もあるが、あえて「ブラックベリーやダークチェーリーの香りと、しっかりとしたタンニンに豊かな果実味を持った味わい」と裏のラベルの説明に書かれているシラーを選んだ。

アルパカ・シラーP1190650

 白状する。
 筆者はワインについては無知に近い。
 かつては白の、ただ甘くて葡萄のフレッシュな味のするものを好んで飲んでいた。
 恥ずかしながら、「果実100%で良質な酔えるグレープジュースを飲む」という感覚だ。
 だから赤で渋味もあるワインは苦手だった。

 それを叩き直して下さったのが、ogotch様だ。
 ogotch様に良質なワインを何種類も飲ませていただき、「良いワインとは何か」が片鱗だけだがわかるようになった気がする。
 おかげで今は、渋味もあるフルボディの赤が大好きになった。
 以前は葡萄のフレッシュな味わいを好んでいたが、今はそれは熟成が足りないのであり、ベリー系の味を感じるよう変化したものが良いのだとわかった。

 だからシラーである。
 ラベルの説明ではフルボディで、しっかりとしたタンニンに豊かな果実味を持った味わいと、ブラックベリーやダークチェーリーの香りがあるという。
 まさに筆者の今の好みにピッタリのワインである。
 少なくとも、ラベルの説明文では。
 しかも値段は、税抜きでは五百円もしない。
 良いこと尽くしである。
 で、早速買って飲んでみた。

 確かに心地良いチェリーの香りと、タンニンの渋味を感じる。
 だがコクと味わいはもっと深くても良いと思う。
 これでフルボディだそうだが、筆者にはせいぜいミディアムに思えて全く物足りない。

 初めはタンニンばかり際立ち、「ただ渋いだけではないか」と思った。
 しかしグラスを回してよく空気と触れさせると、チェリーの香りとフルーティーさがグラスの底から沸き上がってくる。
 安い割に良いと評判のアルパカだが、このシラーも実に良いテーブルワインだ。
 良いワインだがあくまでもテーブルワインだから、期待し過ぎてはいけない。
 料理と一緒に、あるいは何かをつまみながら談笑しつつ皆で飲むと、とても美味しい。

 これは料理を美味しくするワインだ。
 肉料理にも合うし、つまみも美味しくする。
 強めのタンニンが、料理の後味をサッパリさせてくれる。
 何千円もするようなちゃんとしたワインのように、真剣に味と香りと向き合って飲むと、味も香りも軽いし熟成感も足りずに期待はずれだ。
 しかしテーブルワインとしては、最良の部類と言っても良い。

 冷蔵庫から出してすぐは、タンニンを強く感じすぎるので、ラベルの説明に「軽く冷やして、または常温で」と書いてある通りに、常温でそのままか、少しぬるいくらいに軽く冷やして飲むべきだ。
 白ワインのようにしっかり冷やしてしまうと、タンニンの渋味ばかりが際立って、ベリーの香りもフルーティーな味わいもわからなくなってしまう。
 くれぐれも冷やし過ぎないように。
 冷やし過ぎるくらいなら、常温でそのまま飲んだ方がずっと良い。
 適温は14~17℃という。
 だから晩秋から春までの、涼しい時期や寒い時期には冷やさず常温でそのまま飲み、春の半ば過ぎから秋の初め頃までは冷蔵庫から出して少し待ち、ぬるくなるのを意識して待ってから飲まなければ勿体ない。

 とは言うものの、このアルパカ・シラーは良いワインだが、あくまでもテーブルワインだ。
 このクラスの赤ワインなら、いっそミディアムでフレッシュさとジューシーさを売りにしたものを選んだ方が賢明かも知れない。
 そもそもテーブルワインにしっかりしたボディとか熟成感を求める方が、無理な注文なのだ。
 で、またそのうちアルパカの赤の、軽めでフレッシュなものを試してみるつもりでいる。

 それにしても、ogotch様には恐ろしく良いワインを飲ませていただいてしまったと、改めて痛感する。
 特に、20 BARRELS カベルネ・ソーヴィニヨン2015!
 おかげで今は、どんなワインを飲んでも、それらの飲ませていただいたワインとの格の違いを痛感してしまう。
「高くて美味しいのは当たり前で、安くて良いものを造れるのが本当に良いメーカー」というのが、筆者の信ずるところであるが。
 本当に良いものを飲まなければわからないことも多々あり、安いものを飲んでいるだけでは駄目だというのもまた事実であると痛感した。

PageTop

ヱビス吟醸

 筆者は国産大手メーカーのビールなら、ヱビスが好きである。
 それから経験的に、「限定醸造品にハズレ無しで、むしろ通年販売品より美味しいものが殆ど」と思っている。
 で、ヱビスの限定醸造品、ヱビス吟醸を買って、他のヱビスと飲み比べてみた。

サッポロ・エビスP1110412

 通年販売品のヱビスは甘く苦くコクがあり、力強く味わい深く後味も良く、しかも香り高い良いビールである。
 キリンの一番搾りも、ヱビスと同様に麦芽とホップだけで造っていて良い出来だが、比べてしまうと出来の違いは明らかで、ヱビスの方が間違いなく美味しい。
 ヱビスは麦芽の甘味と旨味、ホップの心地良い苦味と香味が利いていて、とても良いビールである。
 いつも売られている通年販売品も、とても魅力的だ。

サッポロ・エビス華みやびP1130734

 ヱビスの中で筆者が最も気に入っているのは、ヱビス華みやびだ。
 まず、味も香りも実にフルーティーである!
 飲むと甘くフルーティーで、ホップは苦味ではなく爽やかな香味として利いていて、「ビールは苦い」という偏見を持っている人、特に女性に是非飲んでほしく思う。
 軽やかでスッと飲めるのに、コクと味わいが充分にある。
 これは良い、大好きだ!

サッポロ・ヱビス吟醸①P1190485サッポロ・ヱビス吟醸②P1190486

 さて、いよいよヱビス吟醸だ。
 香りは控えめだが上品である。
 色も淡く明るい金色だ。
 そして味もとても上品である。
 軽やかで、甘くほのかに苦く、後味サッパリ!
 ただ、じっくりゆっくり味わって飲むと、少し物足りなさを感じる。
 喉越しで、ゴクゴク飲み干せてしまうくらい軽い味なのだ。
 このヱビス吟醸、良いビールだし、どんな料理にも合いそうだ。
 薄いのではなく軽やかで、味がありつつ癖が無く、良い意味でも悪い意味でも自己主張をしない。
 通年販売品のヱビスとは対極と言っても良い軽やかさが特徴だ。
 軽やかと言っても、ヱビス華みやびのようにフルーティーでもないし、コクや味わいもヱビス華みやびより明らかに弱い。
 それだけに、飲み方が意外に難しい。
 上品で良いビールなのに、上質なビールなのに、品が良くおとなし過ぎて、うっかりすると喉越しでゴクゴク飲み干して「何だ、大したこと無いじゃん」と思ってしまいそうだ。
 メーカーによると「日本の繊細さを体現したヱビス」だそうだが、この種のビールを好む人には、むしろ同じヱビスの華みやびの方が良い。
 端的に言えば、上品だがおとなし過ぎる。
 通年販売品のヱビスやヱビス華みやびの方が個性がはっきりしているし、「これは良い、大好きだ!」と惚れ込む人がいると思う。
 通年販売品のヱビスとヱビス華みやびという、個性と好き嫌いがハッキリした二種類のヱビスの間に埋没してしまいそうなおとなしさだ。
 そのせいで、喉の渇きを癒す為や、料理を流し込む為に軽くゴクゴク飲み干されてしまい、「悪くないけど、他のもっと安いもので充分だし、割高だよね」と思われてしまいそうである。
 そんな残念さがある、良いビールである。
 あえて言えば、夏の暑い時期にゴクゴク飲むべきビールか。

PageTop

遅れて飲んだ限定醸造ビール二種

 何でもコレクションしたがり、かつ下戸である。
 その筆者の悪い癖で、ついお酒を飲む量以上に買い過ぎてしまうのだ。
 飲めないくせに、「目が飲みたい」とも言える。

 ウイスキーなど、賞味期限のほぼ無いお酒はまだ良い。
 お酒のストックがただ増えて行くだけであるから。
 困るのが、ビールなどの賞味期限があるお酒だ。
 期限内でもなるべく早く飲んだ方が良いのはわかっている。
 だがそれでも、飲むのが買う量に追いつかないのである。
 それでビールなど、賞味期限ギリギリになって飲むことになってしまう。

 今回それで、ようやく飲んだ今年の6月が賞味期限のビールを2種、既にほぼ店頭には無いであろうものを紹介する。
 どちらも2019年に収穫されたホップをふんだんに使用したのがウリのビールである。

キリン・一番搾り取れたてホップ2019年(表)P1180669キリン・一番搾り取れたてホップ2019年(裏)P1180670

 まずはキリンの、とれたてホップ2019年収穫一番搾りだ。
 プルタブを開けてグラスに注ぐと、確かにホップの香味を感じるしっかりとした良い香りが広がる。
 ホップをウリにしているものの、苦味はあまり強くない。
 ほのかに甘く、絹のように滑らかで上品な味だ。
 これは美味しい!
 甘さの中にフルーティーさも感じる。
 そして良質なホップの爽やかなハーブ感も豊かだ。
 こんなに良いビールを喉の渇きを癒す為や、料理を流し込む為にがぶ飲みしてしまっては、あまりにももったいなさ過ぎる。
 これは是非、ゆっくり味わって飲まなければ。
 ホップの香味の為、後味もとてもサッパリして心地良い。
 甘くフルーティーでハーブ感があり爽やかで、コクもあり味わい深く後味も良く、文句ナシの良いビールである。
 満点だ!
 ビールの美味しさを、存分に教えてくれる逸品。
 惜しいのはこれが限定品で、通年販売していないことだ。
 製造は去年の10月で、賞味期限は今年の6月だ。
 もしもどこかにまだ売れ残っていたら、是非とも買って欲しい。
 そして既に無いならば、今年の秋にもホップの収穫後に同等品を必ず造って欲しい。

サントリー・プレモル香るエール2019初摘み(表)P1180667サントリー・プレモル香るエール2019初摘み(裏)P1180668

 次は、サントリーザ・プレミアムモルツ〈香る〉エール初摘み2019だ。
 チェコのザーツ産ホップを空輸で取り寄せて造ったという。
 そのせいか、グラスに注いでいる間にも、ホップのハーブ感溢れる爽やかな香りが辺りに広がる。
 色は明るい金色で泡も白い。
 甘く濃く深い味でほろ苦い。
 ハーブ感溢れる後味が、ものすごく良い!
 キリンのとれたてホップ2019年収穫一番搾りは100点満点と思ったが、こちらはさらに旨味が濃くて、飲んでいて満足感がより高い。
 これは120点だ!!
 エールビールの旨味たっぷりの濃く深い味に、良質なホップの香味が加わっているのだから、もう言うことナシの素晴らしさだ。
 筆者がこれまでに飲んできた中でも屈指の、忘れられない良いビールだ。
 ただでさえ大好きな、サントリーの通年販売品のビールの中で最も好きなプレモル〈香る〉エールを、さらに魅惑的にした逸品である。
 これが限定出荷なのが、心から惜しまれる。
 少し高くても良いから、初摘みで無くて良いから、プレモル〈香る〉エールにこのザーツ産ホップを使用したものもラインナップに加えて通年販売してくれたらと、心から願う。
 これもキリンのとれたてホップ2019年収穫一番搾りと同じで、製造は去年の10月で、賞味期限は今年の6月である。
 どこかに売れ残っていたら、是非買ってほしい。
 これは素晴らしすぎる、ビールの魅力を存分に知らしめた傑作だ。
 三百円以下で買えるビールにこれを越えるものは、本当に数少ないだろう。
 もう褒めるしかない、けなすところの全く無い良いビールだ。

 ビールの発祥の地は、古代メソポタミアとも言うが。
 その古代のメソポタミア人が、こう言い残した。

 嫌なこと、戦争。
 楽しいこと、ビールを飲むこと。


 ザ・プレミアムモルツ〈香る〉エール初摘み2019は、その古代メソポタミア人の言葉に深く頷けてしまう、飲む者を心の底から幸せにしてくれるビールだ。
 筆者はサントリーのウイスキー造りには批判的だが、ビール造りの巧さには敬服するし、賞賛の言葉しか無い。
 特にこのザ・プレミアムモルツ〈香る〉エール初摘み2019については、造り手に敬意を表し讃辞を送りたくなる。
 この秋には、是非ともこの2020年バージョンを造って貰いたい。
 その時には、店に置いてある分をすべて買いたい。

 それにしても、キリンのとれたてホップ2019年収穫一番搾りもサントリーのザ・プレミアムモルツ〈香る〉エール初摘み2019も、なぜ通年販売品と同じ価格でこんなに素晴らしいものを売れるのだろうか。
 もしかしたらメーカーは、利益を度外視して良いものを安く売っているのだろうか。
 だとしたら、個人の好みや例外もあるだろうが、基本的に「限定品のビールは買わなければ損」と言えるかも知れない。
 他の限定品のビールを飲んでも、しばしばそう思う。

PageTop

サッポロの新ジャンル酒いろいろ(麦とホップ、ゴールドスター他)

 数年前は、新ジャンル酒と言えば「安かろう、悪かろう」の代名詞のような粗悪酒ばかりだった。
「ビールを飲みたいが、お金が無いから仕方なく飲んでいる」という人ばかりだったように思う。
 ところが最近、新ジャンル酒の質が案外“まとも”になってきた。
 メーカーも研究と努力を重ねたのだろう。
 もちろん麦芽とホップで造った本物のビールには遠く及ばないが、少なくとも出したお金には釣り合う、それなりに飲めるものになってきた。

 で、今回は麦芽と麦とホップだけで造った、サッポロの新ジャンル酒を各種飲み比べてみた。
 ちなみに筆者は、日本のビール大手メーカーではサッポロを最も贔屓にしている。
 筆者の中では「一番がサッポロで、サントリーとキリンが僅差で二位と三位、そしてビリがアサヒ」という評価である。

サッポロ・麦とホップ黒P1190357

 まずは、麦とホップ黒から。
 筆者はギネス・エクストラスタウトなどの黒ビールも大好きである。
 その筆者が、麦とホップ黒のプルタブを開け、いつもの三度注ぎでグラスに注いでみる。
 色は濃く、黒に近い。
 だが香りそのものは弱くて物足りない。
 それでも飲むと麦の甘味、それにローストされた麦芽のほろ苦さと香ばしさが感じられ、新ジャンル酒にしてはしっかりした味で飲み応えもある。
「長期熟成・麦100%」と謳うが、ゆっくり味わって飲むことも可能だ。
 喉越しでゴクゴクも飲めるが、黒ビールは基本的にゆっくり味わって飲んだ方が良いと筆者は思う。
 僅かな酸味と言うか、酸っぱさを少し感じるのが惜しい。
 だが値段を考えれば、そう悪くない。

サッポロ・麦とホップ(新)P1190507

 次は定番の、通常の麦とホップだ。
「本格仕込・長期熟成」を謳う。
 弱いが、香りそのものはビールらしくて悪くない。
 香りは、麦とホップ黒より良い。
 ゴクゴク飲みやすく、「喉越し重視で造ったか?」と思われる。
 だが飲み応えも、そこそこにある。
 控えめにだが甘さとほろ苦さがあり、そのバランスが良い。
 いかにもピルスナータイプのビール類で、ちょっとずつ味わって飲んでもオイシクナイ。
 ガブガブとまでは言わないが、スイスイ飲んだ方が良い。
 日本人がイメージするビールに近い味だが、アサヒの極上〈キレ味〉やスーパードライと違い、ただ喉越しだけでは無い味わいもある。
 後味が少し酸っぱいので、もう少し苦くなっても良いからホップの苦味と香味を増した方が良いように思う。

サッポロ・ゴールドスターP1190013

 今度は、最近よく売られているゴールドスターだ。
 これも原材料は麦とホップと同じ、麦芽と麦とホップである。
 香りはビールに近く、麦とホップより香る印象。
 飲むと麦の甘味もほのかにあるが、ホップの苦味と香味をまず感じる。
 いかにもビールらしいお酒だ。
「ビールは苦いから」と敬遠している人には向かないが、ビール好きには合いそうだ。
 少なくとも筆者は、麦とホップよりこのゴールドスターの方が好きだ。
 新ジャンル酒にしてはコクと飲み応えがあり、ただ喉越しでゴクゴクのむだけでなく、味わって飲むこともできる。
 これは良い、気に入った!
 アサヒが最近出した良く出来たザ・リッチの甘味を減らして、ホップの苦味と香味を増した感じ。
 後味も良く、ホップの苦味ではなく香味が残る。
 ザ・リッチと甲乙つけ難い、出来の良い新ジャンル酒だ。

サッポロ・メガラガーP1180675

 限定醸造のMEGA LAGERも飲んでみた。
 原材料は、これも同じ麦芽と麦とホップだが、アルコール度数が6%と少しだけ高い。
 うまみ・苦味・刺激「うまさ全部盛り!」と、メーカーは謳う。
 ただグラスに注いでみても香りは他の製品と同じで、「弱いが悪くない」という程度。
 飲んだ最初の印象は、「あ、甘い」だった。
 しかしすぐにしっかりとした苦味が追いかけて来る。
 麦の甘味と、ホップの苦味および香味をしっかり感じる。
 コクも味わいもしっかりとある。
 これは良い!
 後味もホップの香味が心地良く残り、麦とホップで少し気になった酸っぱさが全く無い。
 麦芽を減らして糖質副原料をたっぷり使った、下手なビールになら負けない。
 アサヒのザ・リッチと互角かそれ以上の出来だ。
 このMEGA LAGERもそうだが、ビールにしても新ジャンル酒にしても、限定醸造の品は通年販売品より明らかに美味しいものが多いのが腹立たしい。

サッポロ・麦とホップ赤P1190148

 麦とホップ赤も飲んでみた。
 今回飲んだ新ジャンル酒の中で、最も香りが良い。
 色も濃く琥珀色で、泡にも色がついている。
 飲むと、まず甘くフルーティー。
 そしてコクも味わいもあり、重くはないが喉越しでゴクゴク飲むのではなく、ゆっくり味わって飲んだ方が絶対に良い。
 ゴールドスターとは良い意味で対照的に、苦くなく甘くフルーティーだ。
 通常の麦とホップで気になった酸っぱさも無いし、ホップの苦味ではなく香味(ハーブ感)が残って後味も良い。
 好みは分かれそうだが、筆者はかなり好きだ!
 本物の良いビールにはかなわないが、スーパードライなどの下手なビールより出来が良く、新ジャンル酒として上等な部類だ。
 アルコール度数も6%で、味も濃い。

アサヒ・極上〈キレ味〉P1190353

 ついでに、同様に麦芽と麦とホップを原材料としているアサヒの新ジャンル酒、極上〈キレ味〉を飲んでみた。
 少し以前に極上〈キレ味〉を飲んだ時の印象では、「スーパードライの劣化版で、薄味でとても不味い、喉越しのみの酒」という感じだった。
 で、今回は筆者がこだわる三度注ぎでも方法を変えて、甘さや旨味を生かすのではなく、爽快さを優先する注ぎ方でグラスに注いでみた。
 確かに喉越し良く爽やかに、スッキリ飲めた。
 だがやはり薄味で酸っぱくコクは無く、香りもナシで美味しくない。
 原材料は全く同じでも、ビールに近い良い出来のものから、極上〈キレ味〉のように喉越し以外は取り柄ナシの不味いものまで、これだけ味と香りに差が出たのには驚いた。

キリン・一番搾り超芳醇①P1190364

 さらに、極上〈キレ味〉を飲んだ直後に、麦芽とホップのみで造った本物のビールであるキリン一番搾りを飲んでみた。
 激ウマ!
「まるで別物!」と断言できる、味の違いが歴然とあった。
 ゴールドスターや麦とホップ赤やザ・リッチなど、糖質副原料(米・コーン・スターチ)を少なからず使った喉越し優先のビールに近い味の、かなり良い出来の新ジャンル酒もある。
 しかしそれらが「良い出来」と言えるのも「値段を考えれば」であって、本物の良いビールにはとても及ばないのが現実だ。
 最初から喉越し重視でゴクゴク飲む前提で造られた新ジャンル酒に至っては、「不味いから買うだけお金の無駄」と断言できる。

PageTop

一番搾りと一番搾り〈超芳醇〉、さらにザ・ホップ香りの余韻

 キリンが自社の一番搾りと、一番搾り〈超芳醇〉について、テレビで「うーん、どっちも美味しい!」と盛んに宣伝していた。
 だからそれが本当かどうか、半ば宣伝に乗せられて両方買ってみた。
 さらにザ・ホップ香りの余韻という製品も同じキリンから売られていたので、ついでに買ってみた。
 ちなみにこの3本、原材料は全て麦芽とホップのみで、日本のビールに多い、筆者自身は「日本のビールを不味くしている元凶」と思っている米やコーンやスターチなどの糖質副原料は、一切使われていない。
 筆者の考える、本物のビールである。

キリン・一番搾り超芳醇①P1190364キリン・一番搾り超芳醇②P1190365

 まずは、通年販売している一番搾りから飲んでみる。
 グラスに注ぐと、穏やかながら良い香りだ。
 そして飲むと、麦芽の甘味、ホップの苦味と香味、コクと深い味のバランスが良い。
 コクと味わいがありながら、喉越しも悪くなく重くない。
 だが喉越しで一気に飲むより、ゆっくりじっくり味わって飲んだ方がより美味しい。
 ホップの香味が残り、後味も爽やか!
 突出した個性は無いが、バランスの取れた安定した美味しさだ。

 続いて、限定醸造の一番搾り〈超芳醇〉だ。
 グラスに注いでいる時から、香りが通年販売品より濃く華やかである。
 味の傾向は似ているが、〈超芳醇〉の方がしっかりとした濃い味だ。
 それだけに、喉が乾いている時などに喉越しでガブガブ飲むと少し重く感じる。
 ちゃんとゆっくり味わって飲んでこそ真価がわかり、「美味しい!」と感じる。
 ただ味が濃いだけでなく、ホップの苦味と香味も〈超芳醇〉の方が利いている。
 日本の自称“ビール飲み”がやりたがる「喉越しでゴクゴク!」という飲み方に向いたビールではないが、濃く豊かな味で、ビールはじっくり味わって飲む人にはとても良し!
 サントリーが金麦を季節によって味を変えているように、5~10月は通年販売品の一番搾りを、11~4月には〈超芳醇〉を一番搾りとして売ったら良いのではないだろうか。
 だが、どちらも良いビールではある。

キリン・ザ・ホップP1190350

 最後に、ザ・ホップ香りの余韻だ。
 これも原材料は麦芽とホップだけで造られている。
 香りそのものは、それほど華やかではない。
 だがホップのハーブ感ある香りを楽しめる。
 飲んでみると薄くはない、しかしビール、特に麦芽とホップだけで造ったビールにしては味は軽めで、コクもあまり無い。
 ただそれだけに、ホップの香味を楽しみながらスイスイ飲める。
 喉越しが良いタイプの、夏向きのビールだ。
 一番搾り〈超芳醇〉どころか、通年販売品の一番搾りより軽い、明らかに喉越しの良さに重きをおいたタイプである。
 後味にやや酸っぱさが残るが、悪いビールではない。
 だが筆者は一番搾り、特に一番搾り〈超芳醇〉の方が好きだ。
 しかし「ビールは喉越しで飲むもの」と信じて疑わない、日本の“ビール飲み”たちの好みには合うだろう。
 そして同じ喉越しを最優先に造ったビールでも、糖質副原料をたっぷり使ったスーパードライなどより百倍も千倍も良いし美味しい。
 このザ・ホップ香りの余韻、少しぬるくなるとフルーティーさと甘味が出てくることも付け加えておく。

PageTop

ザ・ダブル ファインブレンド、ザ・リッチ贅沢醸造、極上

 アサヒのビールと言えば、ピルスナータイプの、しかも糖質副原料をたっぷり使った喉越し最優先のものばかり……という印象である。
 それが日本人好みのビールなのだろうが、ゆっくり味わって飲むのに向いた麦芽とホップだけで造ったエールビールを愛する筆者は、スーパードライなどアサヒのビールは嫌いだ。
 その「ビールは喉越しが勝負、糖質副原料は絶対必要!」と言いたげなアサヒが、珍しく麦芽とホップのみで造ったビールを売った。
 ザ・ダブル ファインブレンドという、下面発酵のピルスナータイプと上面発酵のエールタイプの、性格のとても違う二種類のビールをあえてブレンドした製品である。
「他社も出している麦芽とホップだけで造ったエールビールも出してみたい気もする、けれど喉越しをウリにしているウチとしては、そこまで踏み切れないからピルスナービールも混ぜてみた」という、アサヒの少し腰が引けた姿勢が見え隠れするような、プレミアムを目指したビールである。

 グラスに注く前から、プルタブを開けただけで華やかな好ましい香りが漂う。
 甘やかで、花やフルーツを思わせる香りだ。

 飲むと甘くほろ苦くて良い感じだ。
 ただゆっくり味わって飲むエールビールとして飲むには味が軽く薄めで、ピルスナービールとして喉越しでゴクゴク飲むには少し重い。
 味も香りもフルーティーで美味しいのだが、エールビールのように味わって飲むにはもの足りず、印象としては「フルーティーで上品かつしっかりした味のピルスナー」という感じだ。
 個人的には、「喉越しで飲むでも、味わってじっくり飲むでもない、ピルスナーでもエールでもない、中途半端なビール」と感じた。

 だが喉越しで飲むピルスナータイプのものを“ビール”と思い込み、エールタイプのビールの美味しさを知らない多くの日本の自称“ビール飲み”には、エールの魅力を知る良い入門品になるかも知れない。
 後味もサッパリ心地良く、上質なビールである。
 筆者としては、同社のスーパードライなどより遙かに良い出来と思う。
 もっと良い本物のエールビールは他に幾らでもあるが、「ビールは喉越しで飲むもので、米やコーンやスターチなど糖質副原料を入れて作るのが当たり前」と信じているように見えるアサヒのビールとしては上等だ。
 エールビールとしてはもの足りないが、味も香りも良いし美味しく飲めた。

アサヒ・ザ・リッチ贅沢醸造P1190352

 ついでに、近頃テレビでやたらに「ライバルはプレミアム!」と宣伝している、同じアサヒの新ジャンル酒、ザ・リッチ贅沢醸造も飲んでみた。
 先に紹介した同社のザ・ダブルは麦芽とホップだけで造っていて、同じアサヒの新ジャンル酒である極上〈キレ味〉は麦とホップだけ(麦芽とホップと大麦)で造っている。
 それらと違い、このザ・リッチ贅沢醸造は、お得意の米・コーン・スターチといったアサヒお得意の糖質副原料をしっかり使っている。
 だから殆ど期待せず、テレビCMについても「誇大広告wwww」と嘲笑しながら飲んでみた。

 麦芽とホップだけで造った本物のビールには及ばないが、香りはビールに近い。
 新ジャンル酒としては、まず香りは良い方だ。

 飲んでみると、新ジャンル酒としては濃いめのしっかりした味でコクも感じる。
 だが麦芽とホップで造った本物のビールと比べると、薄味と思う。
「ライバルはプレミアム」というテレビCMは明らかに大袈裟で、他社の本物のプレミアム・ビールに失礼だ。
 しかし甘さとほろ苦さのバランスが良く、新ジャンル酒としてはトップと言っても良い出来で、筆者は「スーパードライより、ずっと美味しい!」と断言する。
 本物のプレミアム・ビールとは別物だが、スーパードライなどの糖質副原料を使った、ビールの本場では“ビール”と名乗れない、日本人好みwwwwの喉越し最優先のビールより間違いなく美味しくて良い出来である。
「安いから、お金が無いから我慢して飲む」のではなく、「コスパが良くて美味しい」と思って飲める、数少ない出来の良い新ジャンル酒だ。
 コスパも考えれば、飲んだ後に満足感もあり、「安い割にイケる」とお勧めできるお酒だ。
 アサヒのビール類は好きではない筆者が、珍しくアサヒを褒めたく思った。
 新ジャンル酒としては、ホップの香味(苦みではなく)も効いている。
 筆者としては、「スーパードライなどより、是非こちらを飲んでほしい」と思った。

アサヒ・極上〈キレ味〉P1190353

 ついでに、同じアサヒの新ジャンル酒の極上〈キレ味〉も飲んでみた。
 これは麦とホップだけ(麦芽とホップと大麦と大麦スピリッツ)で造られている。
 香りは悪くないが、弱い。
 味は薄く、ザ・リッチ贅沢醸造とは違ってコクも無い。
 使っている原材料は、サッポロの新ジャンル酒の麦とホップと全く同じなのに、こちらは不味い。
 売り文句は「キレ冴える麦100%」だが、喉越し最優先の「スーパードライの廉価版」といった印象の、麦の甘さや旨味もホップの香味も無くただ辛いだけの薄い酒だ。
 悪い意味で、「いかにもアサヒらしいビール類」である。
 同社の同じ新ジャンル酒であるザ・リッチ贅沢醸造ならば、また勝手飲みたく思う。
 しかしこの極上〈キレ味〉は二度と買いたくないし、タダでも決して飲みたくない。
 ザ・リッチ贅沢醸造は後味にホップの香味が残るのに、極上〈キレ味〉の方は変な酸っぱさが口に残って気持ちが悪い。
 この極上〈キレ味〉は、ビール類をちゃんと味わって飲む者には極下〈マズ味〉でしかない。
 ただスーパードライが好きな「ビールは喉越しで飲むもので、キンキンに冷やしてガブガブ飲みたい」という日本の自称ビール好きには、ザ・リッチ贅沢醸造よりこの極上〈キレ味〉の方が美味しく感じるかも知れない。

PageTop