空と虹と恋と

 大好きな写真のこと、そしてゲームやコミックスの話から歴史&時事問題まで、思いつくまま雑多に語ってみたいと思っております。さらに筆者の度重なるイタい失恋話についても、どうぞ憫笑しつつお読み下さいまし。

蔵人ハイボール

 先週、立て続けにハイボールを飲んだ。
 で、今回は少し変わったハイボールを取り上げてみたいと思う。
 それは東広島市の三幸食品工業株式会社が作り、大阪府吹田市のオアシス株式会社が販売している、蔵人ハイボールだ。

蔵人ハイボールP1120730

 実はこれ、酎ハイである。
 酎ハイと言えば味も素っ気も無い、ただアルコール刺激がピリビリするだけの甲類焼酎を炭酸で割り、それに果物だけでなく、香料や糖類や酸味料などの人工物を混ぜて作った安っぽい味のものが大半だ。
 果物を多く使っているものは違うが、値段も百円ちょっとの安めのものが多い。
 しかしこの酎ハイ、蔵人ハイボールは安くない。
 筆者は近所のコンビニでたまたま見つけて買ったのだが、角ハイボール濃いめとほぼ同じで、税抜きで百八十円くらいした。
 高い理由は甲類焼酎でなく、佐多宗二商店の本格芋焼酎亀寿の明りを使っているからである。
 原材料はスピリッツと酸味料だけで、妙な人工物はその酸味料しか使っていない。

 グラスに注ぐと、良質な本格芋焼酎の甘い香りが漂う。
 芋焼酎と言っても決して臭くなく、とても好ましい甘い香りだ。
 味も、冷蔵庫から出したてのよく冷えた状態でもほのかに甘く、質の良い芋焼酎を飲んでいる実感があり、なかなか美味しい。
 そして炭酸の刺激も心地良い。

 実はこの蔵人ハイボール、夏日の晩の風呂上がりに、少し喉が渇き体も暑い状態で飲んだ。
 しかし「これを体を冷やし、喉の渇きを癒す為にガブガブ飲んでしまったら勿体ない。味わって飲まなければダメだ」と心から思った。
 それくらい、このハイボールに使っている亀寿の明りという芋焼酎は美味しかった。
 そして使っている亀寿の明りが美味しいだけに、「もっと濃い状態で飲みたい!」と心から思った。
 この蔵人ハイボールは度数9%で、缶チューハイとしてはストロング系に属するのだが、それでも筆者には味が薄く感じられた。

 本格焼酎は、たいてい度数25%のものを6:4で割り、日本酒と同じくらいの度数にして飲むことが多い。
 もちろん「喉越しでガブガブ」でなく、ゆっくり味わって飲む。
 そしてこの蔵人ハイボールに使われた亀寿の明りは、日本人がラガービールや安い酎ハイを飲むようにガブガブ飲んでしまっては勿体ない焼酎だと、筆者は思う。
 じっくり味わうことなく、ガブガブ飲み干してしまっては申し訳ないような気までしてくる。
 もし本格焼酎でハイボールを作るなら、いいちこのような、良く言えば軽い味で癖の無い、平たく言えば元から味も香りも弱くて濃いめで飲んでも特には美味しくないものを使った方がいい。
 筆者はこれを飲んで、濃いめで飲んだ方がより美味しい良いウイスキーをハイボールにして飲んだ時と似た勿体なさを感じた。

 実際、この蔵人ハイボールはぬるくなるに従って香りと甘さがより引き立ち、より美味しくなった。
 よく冷やして炭酸が勢い良く湧き上がるうちに、ゴクゴク飲んでも美味しい。
 しかし炭酸が抜けてしまっても、冷たくなくなった方が味も香りもより立ってずっと美味しい。
 このブログで、筆者は繰り返し「お酒は冷やし過ぎると、香りと甘さを感じにくくなる」と書いてきたが、この蔵人ハイボールもそれでせっかくの亀寿の明りの美味しさを、半減とは言わないまでも三割程度は損なってしまっている。

 それにしても、度数9%まで薄めた上に冷蔵庫でよく冷やしても充分に美味しいのだから、亀寿の明りという芋焼酎は本当に良い焼酎なのだろう。
 この蔵人ハイボールを飲んで、「亀寿の明り、いつか飲んでみたい!」と心から思った。
 無論ハイボールにしてではなく、常温の水かお湯で6:4に割ってゆっくり味わって飲みたい。

 ここまで、良質な本格芋焼酎を薄く割りハイボールにして冷やして飲ませる事に対して不満をいろいろ書いてきたが。
 亀寿の明りは、ハイボールでなく冷やさずもっと濃いめで飲んだ方が間違いなくより美味しいと思う。
 だが亀寿の明りをハイボールにしたこの蔵人ハイボールも、それはそれで間違いなく美味しいのだ。
 ただ「冷やさずに、濃いめで飲んだ方がもっと美味しい」という話であって。
 だから夏のとても暑い時期には、これはこれで悪くなく飲めるかも知れない。
 少なくとも焼酎のハイボールとして、原価の安い甲類焼酎に香料や糖類や酸味料等の人工物を混ぜて作った普通の酎ハイより、間違いなくこちらの方が何倍も美味い。
 味や香りの点で、「まるで別物」と言って良い。
 近年売れているドライ&ストロング系の缶チューハイとは、お値段以上に味の差がある。

 値段と言えば。
 この蔵人ハイボールは、店頭では角ハイボールとほぼ同じ価格だったが。
 個人的には、角ハイボールよりこの蔵人ハイボールの方が好きだし、美味いと思った。

 チューハイと言えば、普通は甲類焼酎を炭酸と果物やら何やらで割ったものばかりで、本格焼酎を使った酎ハイは殆ど見ない。
 特に味も香りも癖のある芋焼酎のハイボールなど、飲む前は「どうかな、美味しくないんじゃないのかな」と不安に思いもした。
 しかし実際に飲んでみて、良い芋焼酎を使った酎ハイは普通の酎ハイよりずっと美味しいと知ることが出来たのは収穫だった。

 この夏は猛暑が予想されているが。
 芋焼酎派の方は、猛暑日にはお好きな芋焼酎を冷たい炭酸水で割って飲んでみても良いかも知れない。

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ビールも種類により適温が違う

 ビールは「何でもキンキンに冷やして喉越しででゴクゴク飲むべき」というのは日本人の大きな考え違いで、少なくともエールビールは“程々に”冷やして、ゆっくり味わって飲んだ方が絶対に美味しい。
 その事はよくわかっていたのだが、今年の春はとにかく暑かった。
 5月に入り、筆者の住む県でも当たり前に昼間は25℃を越え、真夏日も複数回あった。
 テレビの天気予報でも「今日は七月の気温でした」という言葉を何度か聞いたが、とにかくこの春の暑さは異常だった。

 で、そんな5月なのに30℃を越えたある日、冷蔵庫には筆者の好きなビールの一つであるザ・プレミアムモルツ香るエールしか入っておらず、試しにそれを、冷蔵庫から出してすぐに飲んでみた。

サントリー香るエールP1090885

 冷蔵庫から出した直後の、とても冷たい状態で飲んでみた一杯目だが。
「ん?」と思うほど、味も香りも物足りなかった。
 エールビールは、このプレモルの香るエールも含めて華やかで豊かな味と香りが特徴なのだが、よく冷やした状態では、適温(11~13℃)で飲むのと違って、悪い意味でおとなしい味と香りになってしまう。
 誤解しないでほしいが、決して「まずい」わけではない。
 日本人が大好きなスーパードライを飲むように、よく冷やした状態で喉越しで飲んでも悪くはない。
 だが味も香りも控え目で、「中の上レベルの地味なビール」という印象で、あえてこのビールを買う理由が思い当たらなかった。
 ゆっくり、じっくり、味わって飲んでみても、味も香りも「並のビールよりはちょっとマシ」という程度でしかなかった。
 断言するが、よく冷やした、冷蔵庫から出してすぐに飲むプレモル香るエールはあまり香らず、「名前に偽りあり」という印象だ。

 二杯目に、冷蔵庫から出して5分ほど経ったプレモル香るエールを飲んでみた。
 味と香りの印象は、冷蔵庫から出した直後の一杯目とあまり変わらなかった。

 が、三杯目に冷蔵庫から出して10分以上室温で放置しておいたものを飲んでみたら、印象がガラリと変わった。
 文句なしに、メチャクチャ美味しい!
 グラスからはフルーティーな香りが立ち、味も甘く豊かなエールビールらしいものになる。
 エールビールの適温はやはり11~13℃で、エールビールをキンキンに冷やして飲むのは大間違いだと、心から思った。

 だがプレモル香るエールも含めて、日本で売られているエールビールの殆どには缶や瓶に適温の記載がされていない。
 そして日本人の多くは、特にビールを好んで飲む人の大多数は、「ビールはキンキンに冷やして喉越しで飲むもの」と盲信している。
 何しろ、「ビール喉越し、味コーラ」などと正気でほざいている輩も、この日本には少なからずいるのだ。
 あの人工的で片に甘ったるいコーラを「すごく美味しい!」と信じている人達が少なからずいるのだから、人の味覚というものはいろいろだ。
 で、このプレモル香るエールも、多くは冷蔵庫から出してすぐの、香らないし味もおとなしい状態で喉越しでゴクゴク飲まれ、「こんなもんか」と思われているのだろう。

 ワインについては、白ワインと赤ワインの適温の差を多くの人が知っている。
 日本酒についても、冷やして飲むか燗をつけるかにこだわる。
 なのにビールについてだけは、多くの日本人が「キンキンに冷やして喉越しでゴクゴク飲むもの」と信じて疑わないのだから呆れる。
 確かに日本でよく飲まれている、大手のメーカーが量産しているラガービールは、よく冷やして喉越しで飲むのに向いている。
 しかしエールビールは違うのだ。
 エールビールを冷やしすぎると、せっかくの味と香りが本当に台無しになってしまう。

 一度、安いやつで良いからアイスを溶かして味をみてみてほしい。
「アイスって、こんなに甘ったるいものなのか!」と驚くだろう。
 それくらい、冷やすと味を、特に甘味を感じにくくなる
 そして冷やすと、香りも沈み込んでしまう
 だからお酒を何でもキンキンに冷やすのは大間違いなのだ。
 元々軽い味わいで喉越しで飲むべきラガービールなどをよく冷やすのは良いが、冷やし過ぎると味と香りを台無しにしてしまうお酒も間違いなくある。
 例えばブランデーに氷を入れてロックにして飲む人は、プランデーの味を知るヨーロッパ人には「せっかくのブランデーの味と香りを台無しにする無知な人」と馬鹿にされる。
 日本酒や本格焼酎だって、燗をつけ、お湯で割って温めてこそより美味しくなるものもある。

 なのに多くの日本人は、赤ワインと白ワインの適温が違うことは知っているくせに、ビールは何でもキンキンに冷やして喉越しで飲みたがる
 何故だろうか。
 日本は蒸し暑いし、だからビールと言えば薄味のラガービールをキンキンに冷やして喉越しでゴクゴク飲むのが常識になってしまっている。
 しかし日本のように蒸し暑くない欧州では、あまり冷やし込まずに、味と香りを楽しんでゆっくり、じっくり味わって飲むビールが少なくない。
 そして日本だって一年中蒸し暑いわけではないのだから、少なくとも秋から春までは、その種のビールを味わって飲んだ方が楽しい。

 多くの日本人が「ビールはどれもよく冷やして喉越しで飲むもの」と信じ込んでしまっているのは、飲む方の勉強不足もあるが。
 しかし消費者よりメーカーの責任の方が、もっと大きいと筆者は考える。
 例えばワインだ。
 ワインなら、安物でも瓶の裏面のラベルに適温が書かれている場合が多い。
 だから多くの消費者が、赤ワインと白ワインにはそれぞれ違う適温があることを、自然に知ることになっている。
 だがプレモル香るエールを含め、日本のビールメーカーの殆どは、エールビールの適温について書いていない。
 だから多くの日本人は、「エールビールなど、冷やし過ぎない方が美味しいビールもある」という事を知らずにいる。
 その事が、筆者は実に残念だ。

 メーカーも、折角造ったビールが間違った飲み方をされ、本来の美味しさを消費者に知って貰えないままでは残念ではないだろうか。
 ワインの瓶の裏のラベルに適温や、日本酒の瓶の裏のラベルに美味しい飲み方が書いてあるように。
 缶の隅や瓶の裏のラベルに適温を書くなどして、美味しいエールビールの飲み方を、メーカーが率先して周知させるべきではないかと、筆者は心から思う。
 ワインや日本酒にはそれが書いてあるのに、エールビールでは何故消費者個人の勉強に任せているのか、それが不思議でならない。

 エールビールと言えば。
 先日、毎日新聞にビールの種類と飲み方に関する記事が掲載されていた。
 それ自体は良い事だと思うのだが、記事の中のエールビールの味わい方の紹介について疑問があった。
 そこにはエールビールの適温については全く書かれておらず、ただ「温度による味の変化を楽しむビール」と書かれていた。

 え? 冷蔵庫から出してすぐの冷たい時には香りも立たず味も物足りなく、温度が上がり適温に近づくに従って味と香りが豊かになるのを「楽しめ」と?
 キンキンに冷えている時には平凡で大したことの無かったエールビールの地味な味と香りが、温度が上がるにつれて豊かになってゆくのを実体験で知ると、確かに驚く。
 しかしその温度による味と香りの変化に驚くのは、最初の一回だけだ。
 エールビールとはそもそもキンキンに冷やし込まず、11~13℃の「ひんやりする程度」の冷たさで飲むものなのだ。
 冷やし過ぎると香りも立たないし、味も不十分なままになってしまう。
 その冷やし過ぎによって殺された味と香りが適温になってまともになるのを「楽しめ」と言う意味が、少なくとも筆者にはわからない。

 例えば赤ワインを美味しく飲む適温は、軽いものなら10℃くらい、コクのあるしっかりしたボディのものなら18℃くらいと言う。
 白ワインは、日本だけでなく海外でも冷やして飲むが。
 赤ワインは夏でも蒸し暑くならない欧州ならば、地下貯蔵庫から出したそのままの温度で飲むのが最も良いと言う。
 いずれにしろ白ワインと赤ワインの飲む適温は別で、それは飲む消費者の勉強だけに任せられているのではなく、メーカーによっても周知されている。
 赤ワインを冷蔵庫でわざとよく冷やさせ、不適当に冷たい状態からぬるくなって適温になって行く過程を飲ませる者などまずいないし、そんな真似をあえてして「赤ワインは温度による味と香りの変化を楽しむもの」と言ったりなど、まず誰もしない。

 それと同じで、エールビールの適温はあくまでも日本で主流のラガービールよりぬるい11~13℃、冬に日の当たらない暖房も付けていない室内に置いておいた程度の冷たさであって。
 冷蔵庫から出してすぐのよく冷えているエールビールは、ただ単に味と香りを充分に楽しむには不適当な状態なだけなのだ。
 なのに毎日新聞は、その不適当な状態から適温になり次第に味と香りが立ってくる過程を「楽しめ」と言う。
 その主張は、「赤ワインをよく冷やしてわざとマズくして、それが次第に室温に近づいてまともな味と香りになる変化を楽しめ」と言うくらい珍妙な言い分だと、筆者は思う。
「酒の飲み方は、その人の自由だ!」と言う人もいるだろうが。
 しかしその酒の味と香りを生かす飲み方と、「それをしたら味や香りが台無しだよ」という飲み方は、間違いなくある。
 エールビールはあくまでも11~13℃のやや冷たい程度で飲むのが適温で最も美味しく、冷やし過ぎると味も香りも駄目になる。
 なのにわざと冷やし込んで折角の香りを殺し平凡な味にしてから、適温に近付いてゆく過程で味と香りが本来のまともなものになって行くのを「楽しむ」ものではないと、筆者はビールの種類と飲み方についての記事を載せた毎日新聞に、強く訴えたい。

 繰り返すが赤ワインと白ワインの適温が違うのは常識であるように、ラガービールとエールビールも美味しい適温も違えば飲み方も違う
 なのに日本ではエールとラガーの違いも知らず、「ビールは何でもキンキンに冷やして、喉越しでゴクゴク飲むもの」と思いこんでいる人が多すぎる。
 そのせいで、多くの人がエールビールの本当の美味しさを知らずにいる。
 そしてそれは、日本のメーカーが消費者に飲み方を教えることを怠ってきたせいだ。
 そしてその結果が、ビールの消費の伸び悩みを招いている。

 よく聞く話だが。
 アサヒのスーパードライは、「最初の一杯目は美味しいが、二杯目、三杯目と飲み進めるにつれてマズくなる」と言われる。
 わかる。
 夏の暑い時期の、さらに喉も渇いている状態で飲むビールは美味い。
 しかし喉の渇きも暑さも、最初の一杯でほぼ癒える。
 だから飲みやすいが薄味で、喉越しでゴクゴクやる種類のビールは、二杯目、三杯目と飲み進めるにつれてマズくなるのだ。
 それにビールはアルコール度数が低いから、筆者のような下戸ならば良いが、お酒に強い人は一本では物足りない。
 しかしだからと言って弱くない人が充分に酔うまで何杯も飲むと、お腹がタプタプになってしまう。
 それで「少しで酔えるから」と、今ではストロング系のチューハイを飲む人が増えている。
 さらに晩秋から春先までの寒い時期に、キンキンに冷やし込んだビールを、喉越しでゴクゴク飲みたい人が、どれだけいるだろうか。

 良いビールは、本当に美味しい。
 良いビールの美味しさを知ってしまうと、缶チューハイなど飲みたくでもなくなってしまう。
 筆者はチューハイより断然ビールを応援したいからこそ、お酒を飲む皆さんにビールの飲み分けをお勧めしたい。
 最初の乾杯の一杯、そして特に暑くて喉も渇いている時には、よく冷えたラガービールが美味しい。
 しかし暑さも引き喉の渇きも癒えた二杯目以降には、しっかりとした味と華やかな香りの、ひんやりした程度のエールビールなどを、味と香りを楽しみながらゆっくり、じっくり飲むともっと美味しい。
 冷やし過ぎない、芳香が豊かで味の濃いエールビールを味わいながらゆっくり飲むのは、寒い時にも向いている。
「ビールはキンキンに冷やして、喉越しでゴクゴク飲むもの」という先入観を捨て、程々の冷たさのものをゆっくり味わうべきエールビール等とも飲み分けることを、是非ビールを愛する皆さんに覚えてほしい。
 今、日本ではビールはハイボールやストロング系の缶チューハイに押され気味だが。
 この飲み分けが上手くできれば、日本のビールの消費はまだ伸びる筈だ。

 ワインは適温を、日本酒は向いた飲み方を瓶などの裏面に書いてあるのに。
 ビールの適温と飲み方については缶や瓶に何も書いていないことが、筆者は不満でならないし、メーカーの努力不足に思えてならない。

 今はクラフトビールもたくさん出ているし、「良いビールは、飲み方さえ知っていればウイスキーのハイボールや缶チューハイより間違いなく美味い」と、筆者は確信している。

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ザ・プレミアムモルツ黒

 最近、ようやくウイスキーも飲み始めている。
 だがペットロスで落ち込んだ気分がまだ癒えず、まだ強い酒がのみにくい状態の筆者ゆえ、スーパーやコンビニのお酒売り場に行っても、目はついビールなどの軽めのお酒に目が行ってしまう。
 そしてまた筆者には、「限定品の言葉に釣られてしまう」という弱点がある。
 で、先日も立ち寄ったコンビニで、つい限定醸造の文字にひかれて、サントリープレミアムモルツ黒を買ってしまった。

サントリー・プレモル黒P1100762

 プルタブを開けてもグラスに注いでも、香りはそれほど立たない。
 しかし良質なビールらしい、麦の好ましい香りが漂う。
 さすがに黒ビールらしく、グラスに注いだ後の色はコーラより濃いくらいで、殆ど黒に近い。
 だが飲んでまず感じるのは、麦の甘みだ。
 そして力強いコクを感じ、最後に苦味というよりローストされた麦芽の香ばしさを感じる。

 今は、特に若い人には「苦いから」とビールを飲みたがらない人が少なくないと聞く。
 だから黒ビールと聞くと、それだけで「苦いのではないか」と敬遠する人がいるかも知れない。
 だがこのプレモルの黒はまず甘く、そして「苦い」というより「香ばしい」のだ。
 黒ビールでも決して苦すぎることは無いから、ビール好きの人は、特にプレモルやサントリーのビールのファンは、どうか恐れずに飲んでみてほしい。

 日本人には、ビールと言うと「キンキンに冷やして、喉越しでゴクゴク飲むもの」と頭から信じ込んでいる人が少なくないが。
 このプレモルの黒、喉越しでゴクゴク飲んでも悪くない。
 しかし筆者の印象では、このプレモルの黒がサントリーのビールすべての中で最もコクがあり味わい深いのではないかと思う。
 ただコクがあるだけでなく、甘味やら香ばしさやら適度な苦味やら僅かな酸味やら、いろいろな味がバランス良く混ざり合っている。
 その複雑で繊細な味のビールをよく味わうことなく、キンキンに冷やして喉越しで一気に飲んでしまうのは、あまりにも勿体ないように思える。
 どう飲もうがその人の自由だが、筆者個人としては、このプレモルの黒はゆっくりじっくり味わって飲むべき逸品だと思う。

 このビール、筆者は黒ビールと言うより「香ばしさのある、本格派の美味しいビール」という印象を受けた。
 筆者はギネスのエクストラ・スタウトも好きだが、その種の香ばしさの強い苦い黒ビールを期待する人には、少し物足りなく感じるかも知れない。
 だが黒ビールと思わず、少し香ばしい普通のビールと思って飲めば、甘さも深みもコクもありしっかりした味わいの素晴らしいビールと言える。
 ギネスのエクストラ・スタウトの香ばしさも魅力だが、味わい深さやらコクやら、総合的に見ればビールとしてはプレモルの黒の方が美味しいかも知れない。
 ローストした麦芽の苦さや香ばしさより、麦芽の美味さや甘さや深いコクを優先した、バランスの取れた味わいの本当に良いビールだ。
 繰り返すがギネスのような苦いスタウト・ビールを期待して飲むのではなく、普通のビール好きに「少し香ばしさのある、深い味のビール」として飲んでもらいたい。

 筆者はこのプレモルの黒、個人的には大好きだ。
 限定醸造ではなく、ぜひレギュラー商品として通年販売してもらいたいと思った。
 個人的には、サントリーのビールの中では屈指の良いビールだと思う。
 ちなみに筆者が思う「サントリーの良いビール」は、マスターズドリーム、東京クラフト・ペールエール、そしてこのプレモル黒だ。
 黒ビールということで「苦いのでは」と思う人もいるだろうが、苦いと言うより香ばしく、そしてまず麦の甘味を感じるバランスの取れた豊かな味わいのビールなので、恐れずに是非飲んでみてほしい。
 限定醸造でもあるし、飲むなら今のうちだ。

 ただこのビール、コクがありしっかりした味わいだから、「ビールは暑さと喉の渇きを癒す為に、キンキンに冷やし喉越しでゴクゴク飲むもの」と信じている人には「重い」と感じられるだろう。
 断言するが、このプレモルの黒はビールをゆっくりじっくり味わって飲む人にはとても向くが、スーパードライのようなビールを喉越しでゴクゴク飲みたい人には、多分向かない。

 このプレモルの黒、本当に良いビールなのだが。
 ただ暑さや喉の渇きを癒す為に喉越しで一気に飲むには向かない重めのビールゆえ、「飲むなら、本格的に暑くなる前の今こそ!」と、強く言いたい。

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海童(これは美味い!)

 TOKIOの山口達也メンバーに触発されて、筆者も焼酎を一晩で一本、飲んで空けてみたゼ!

 と言っても、まごう事なき下戸の筆者である。
 飲み切ったのは鹿児島県はいちき串木野市の本格芋焼酎の海童の、それもそのまま飲めるよう16度に前割りした、200mlの小さなペットボトルである。
 もし四合とか五合とかの瓶で25度の焼酎を、一度に飲み切ったりしたら、筆者はおそらく死んでしまう。

海童P1120367

 筆者は酒と言えばまずスコッチが好きで、それからクラフト系の良いビールと純米の良い日本酒、それに常圧蒸留で30度の黒糖焼酎が好きである。
 芋焼酎については、「やや好き」と言うか、「嫌いではない」という程度である。
 飲みやすい事はよくわかっているのだが、美味いものは独特の匂いがどうも気になり、匂いが気にならないものは味の点で物足りない場合が少なくない。
 何しろピート香の効いたスコッチや、フルーティーな吟醸香がある日本酒が大好きな筆者である。
 酒は味だけでなく、香りも大事だと思っている。

 そんな筆者だから、まだ飲んだ事の無い本格芋焼酎を買うのには、少し勇気が要るのだ。
 もし臭いが気になりすぎたら、その後で飲み続けるのはつらいし、かと言って折角の本格焼酎を捨ててしまうのも勿体ない。
 それで気になる芋焼酎があっても、買うのを躊躇してしまう事が少なくない。

 そんな筆者が近所のスーパーのお酒コーナーに立ち寄った時、この海童の、前割りして16度に調整した200mlの小瓶が目に飛び込んで来た。
 海童の名前は以前から知っていて、大きな瓶の製品は買いはしなかったものの、その存在は気にはなっていた。
 そしてこの小瓶なら、匂いが気に入らなくても飲み切れる。
 だから迷わず、買い物カゴに放り込んだ。

 キャップを開けてみると、薩摩芋の甘い香りが漂う。
 芋焼酎にありがちな不快な芋臭さは全く無く、焼き芋に似た好ましい甘い香りだけを感じる。
 そして飲んでみても甘い。
 筆者が飲んできた本格芋焼酎の中でも、一番に甘いと言っても良い。
 と言っても果物系の酎ハイのように甘ったるいのではなく、スッキリしたあくまでも心地よい甘さだ。
 なめらかで、アルコールの刺々しさを感じない。
 ただ甘くなめらかで飲みやすいだけでなく、黒麹を使っているだけあってコクと飲みごたえもしっかりある。
 常温では僅かに辛さもあるからキレも良く、後味もとても良い。

 電子レンジで燗をつけてみたが、すると芋焼酎らしい匂いが出て来た。
 そしてより甘くなると言うより、常温では僅かに感じた辛さが消え、よりまろやかに、飲みやすくなる。
 これは本当に良い本格芋焼酎だ!
 酒に弱い下戸の筆者でも、ついついたくさん飲んでしまいそうだ。
 筆者が買って試し飲みしたのは200mlの、16度に前割りした小瓶だったが。
 25度の大きな瓶の海童を買って、じっくり、たっぷり飲んでみたいと、心から思った。

 昔ながらの芋焼酎にありがちな気になる臭いは全く無くて。
 甘く口当たりが良くて飲みやすいが、しっかりした力強いコクもあり、飲みごたえもある。
 芋の美味しさを堪能できる、誰にでも勧められる逸品だ。
 それでいて特に高いわけでなく、酒屋やスーパーのお酒コーナー以外にもコンビニでも置いてあり、値段もごく普通というのも嬉しい。

 例の山口達也メンバーではないが、酒に弱い筆者も「この海童ならつい調子に乗って、たくさん飲んでしまうかも」と思ってしまった。

 山口達也さんの名前を出したついでに、この機会に書いておくが。
 よく「お酒さえ飲まなければ、良い人なのに」と言われる、酒癖の悪い人がいるが。
 以前も書いたが、筆者の父も酒癖の悪い、アルコール中毒の人だった。

 筆者は断言する。
「お酒さえ飲まなければ、良い人」など、現実には存在しない!

 何故なら「酒は人を変えるのではなく、普段の抑制を無くす」からである。
 アルコールは、その人の人柄を悪くするのではない。
 酔っ払った時の言動は、その人の本音と本性そのものなのだ
 筆者は父以外にも、何人もの酔っ払いをみて来たが。
 泥酔して正体を無くしても、暴れたり絡んだりセクハラしたりする人ばかりではない。
 ひどく酔っても、だらしなくなりはするが暴言も暴力も無く、ただ陽気になるだけの人も、間違いなくいた。

 考えてみてほしい。
 酔うと暴言を吐いて絡む人がいるが。
 その人は大好きな大切な相手に、思ってもいない心にもない悪口雑言を吐くだろうか。
 酒癖が悪い人が、酔って絡む相手は「日頃不満や不平をぶつけたく思っている相手」で、酔って絡んで言う悪口の内容も「日頃腹の底に溜めている不満や怒り」の筈だ。
 酔うとセクハラを働く者も、デブスだろうがオバチャンだろうが、相手構わずにエロい事をしているだろうか。
 泥酔しつつも、まず間違いなく若くて可愛い女性に抱きついたりセクハラ行為をしている筈だ。

 筆者は、数多くの酒癖の悪い酔っ払いを見てきたが。
 彼らは日頃言えない不満や怒りを吐き出し、理性で抑えていたセクハラ行為を働いているだけである。
 断言するが、どんな酔っ払いも酒のせいで心にも無い暴言を言ったり、下心も無い相手にセクハラを働いたりは、絶対にしない!
 日頃は我慢していた心の内の不満や怒りやエロい下心が、ただ酒で抑制が取れた結果、表に出ただけなのだ。

 だから断言する。
 酔っ払いは「酒のせいで人が変わる」のではなく、酔った時の言動は本音であり、その人の本性そのものである。
 ゆえに「お酒さえ飲まなければ、良い人」など存在しない。
 酒を飲むと荒れて人に迷惑をかける人は、本性そのものが悪いのだ。

 例の山口達也さんも。
 Eテレの自分の番組『Rの法則』で、タレントの卵の大勢の十代の若い女の子に囲まれて、そしてその女の子たちを性的な目で見ていたのだろう。
 だから酔って呼び出し、強制猥褻に及んだのだ。
 普段は同じ番組に出ていた自分の娘と言ってもよいくらいの年頃の女の子に興味も無かったのに、酔ったせいで若い子に手を出そうとしたわけでは、決してない。

 ゆえに断言する。
 酔って暴言を吐いたり暴力に及んだり、セクハラを働いたりする酒癖の悪い人は、間違いなく「元から悪い人」である。

 海童のような良い酒は、酔って乱れる為にガブガブ飲むのでなく。
 酔っても決して人に迷惑をかけたりせず、ぜひ気持ち良く飲んでほしいものだと、心から願う。

 TOKIOのメンバー達は、会見で山口達也さんに対し「まず酒をやめること」と語っていたが。
 山口さんだけでなく、酒を飲んでは人に迷惑をかけている者は、即刻禁酒すべきだと筆者は思う。

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サントリーのストロング・ゼロ・ドライ等、甘くない缶酎ハイ飲み比べ。

 18年近く共に暮らしてきた猫が虹の橋を渡って逝ってしまって半月近く経ったが、気分はまだ沈んだままだ。
 何をする気にもなれないし、虚脱感でいっぱいだ。

 で、「自分は、本当に酒に弱いのだなあ」と、つくづくと思った。
 酒飲みならば、毎晩ガンガン飲んで悲しみを紛らすところだろうが。
 生まれつき酒に弱く、酒は酔う為でなく味わって少量だけ飲んでいる筆者は、今どうも酒を美味く思えないでいる。
 特に強い酒が駄目だ。
 ビールなら飲めるし、日本酒も(いつもより苦く感じるが)まあ飲める。
 だが大好きな筈のウイスキーが、ストレートではどうも飲めない。
 先日、試しに好きだったブラックニッカ・アロマティックを飲んでみたのだが、以前に感じた味と香りが殆ど堪能できず、ただキツく感じた。
 ウイスキーなら、安いやつをハイボールか水割りにした薄いもので充分、という感じなのだから、我ながら情けない。
 というわけで、ウイスキーについての記事は、今しばらくお待ち下さい。

 それで、今回は飲みやすそうな酎ハイを飲んでみた。
 近年、ビールは「苦いから」と敬遠される反面、酎ハイの売れ行きが伸びているようだ。
 それも料理にも合う、女子供向けでない甘くなくてアルコール度数も高めのストロング系酎ハイが売れているらしい。

タカラ焼酎ハイボールレモンP1130183

 まずは、手始めにタカラ焼酎ハイボール・レモンから。
 これはレモン果汁を使っているが、「辛口チューハイ」と書いてある。
 また、原材料には焼酎とレモン果汁の他、糖類、香料、酸味料、カラメル色素を使っているが、「プリン体ゼロ、糖質ゼロ、甘味料ゼロ」と缶に表記してある。
 甘味料ゼロはわかるが、糖類を原材料に使っているのに「糖質ゼロ」というのが、素人にはいささか不思議に見える。
 まあ、糖類と糖質は別、という事なのだろうが。

 あれこれ考えるのは後回しにして、とりあえず飲んでみる。
 ウオッカやジンなどを使った酎ハイが少なくない中、これは本当に焼酎の酎ハイである。
 何しろタカラの焼酎だから、本格焼酎ではなく廃糖蜜を使った安物の甲類焼酎であろう。
 そう思って半ばバカにした気持ちを持ちながら飲んだのだが、これが意外にサッパリして飲みやすいのだ。
「美味い」とは言わないが、とにかく「飲みやすい」。
 レモン果汁だけでなく、糖類やら香料やら酸味料やら人工的な味がいろいろ加えられている筈なのだが、普通の果物の酎ハイのように甘すぎることが全くない。
 レモンの味が利いていてサッパリした口当たりで、しかも適度な苦味もある為、揚げ物などの料理に合いそうだ。
 辛口チューハイと書いてある通りに、決して甘すぎないのが良い。
 料理にも合うし、甘いのが苦手な男の人でも充分飲める。

 飲みやすくてグイグイいけるが、アルコール度数7%なので弱い人は間違いなく酔う。
 ストロング系の酎ハイの中では物足りないかも知れないが、一般的なビールより「強いな」と、確かに感じる。

サントリー・ストロングゼロP1120641

 次はサントリーの、ストロング・ゼロ・ドライ
 こいつはストロング系缶チューハイの代表格のようなもので、アルコール度数は9%だ。
 原材料はレモン、グレープフルーツ、ライム、ウォッカ、スピリッツ、香料、酸味料で、これも「糖類ゼロ、甘味料ゼロ」である。
 タカラの焼酎ハイボールと違うのは、同じ「糖類ゼロ、甘味料ゼロ」でも、こちらは糖類も使っていないことである。

 プルタブを開けてグラスに注ぐと、柑橘の香りが漂う。
 飲むと何故か最初は「少し甘いかな?」という印象を受けたが、それはすぐに苦味に変わる。
 僅かに甘いような苦いような、不思議な味わいだ。

 思うに、初めに感じた甘味は、果汁そのものの甘さだろう。そしてそれを、主にグレープフルーツの苦味が打ち消し、後味としてサッパリさせている感じだ。
 柑橘の味と香りをはっきり感じるので、料理と合わせるのでなく、ただこれのみで飲んでも悪くない。柑橘のほのかな甘さはあるが、甘ったるさは全く無いので大人の男性でも抵抗なく飲める。
 反面、料理と合わせる場合には、唐揚げや肉料理などには合いそうだが、和食、特に伝統的な和食には今ひとつ合わなそうだ。
 缶に特に表示はしていなかったが、これは炭酸が強めだ。
 その炭酸の刺激が心地よい。

 飲みやすくグイグイ飲めてしまうが、アルコール度数は9%で、普通のビールのほぼ倍の強さだ。
 日本酒やワインより弱いが、強くない人がビールと同じ感覚でゴクゴク飲むと痛い目に遭うから、お酒を飲み慣れていない人はご注意を。

アサヒ・ウィルキンソンP1120640

 続いて、アサヒウィルキンソン・ハード
 これは最初から、炭酸強めを売りにしている。
 無糖で、原材料はジン、レモンライムスピリッツ、グレープフルーツスピリッツ、酸味料、香料と、サントリーのストロング・ゼロ・ドライと何となく似ている。

 が、飲んだ印象はストロング・ゼロ・ドライと意外に違う。
 良くも悪くも、ストロング・ゼロ・ドライより薄味なのだ。
 ストロング・ゼロ・ドライほど苦くない代わりに、柑橘の味と香りもストロング・ゼロ・ドライより弱い。
 癖が無い分だけ万人向けて、料理にもより合いそうだ。
 反面、油っこい料理を食べながら飲んだ場合のサッパリ感も少なく、柑橘の味と香りの弱さも物足りないかも。
 少し柑橘の味わいのある炭酸水、といった感じ。

 サントリーのストロング・ゼロ・ドライの方が好き嫌いがありそうだが、個性があって好きな人はより好きになりそう。
 一方、アサヒのウィルキンソン・ハードはイヤミは無いし悪くないが、「またこれを飲みたい!」と思わせる強い魅力も(個人的には)感じなかった。
 だが、誰に出しても嫌われなさそう。
 これもアルコール度数9%だから、飲みやすさにつられて調子に乗って飲むと酔う。

サンガリア・ストロングドライP1130101

 スーパーの缶酎ハイ売場で、とても安いストロング系缶酎ハイを見つけた。
 サンガリアというメーカーの、ストロング・ドライだ。
 これも度数9%で、しかも糖類も着色料もプリン体もゼロだ。
 ただ原材料はウォッカ、炭酸、酸味料、香料で、果物は全く使っていない。

 アサヒのウィルキンソン・ハードも飲んで「味も香りも薄いな」と思ったが、これはそれ以上の薄さ。
 味は水っぽく、ただ僅かに苦いだけ。
 人工的な酸味料と香料で味と香りを作った、無果汁の安っぽいサイダーから甘味を無くしてアルコールを加えたようなシロモノ。
 これは他の缶チューハイより30円くらい安いが、その値段の差以上に、本物の柑橘を使って作った缶酎ハイとの味と香りの差を感じる。
 だが甘くなく飲みやすいので、料理を流し込むように飲むなら、これでも良いかも。
 これも度数9%だから、グイグイ飲むと酔う。

タカラ焼酎ハイボールドライP1130181

 最後に、タカラ焼酎ハイボールドライを飲んでみた。
 これも「プリン体ゼロ、糖質ゼロ、甘味料ゼロ」で、原材料も同社の焼酎ハイボール・レモンからレモン果汁を抜いただけでほぼ同じ。
 焼酎、糖類、酸味料、香料、カラメル色素だ。

 飲んでみると、クセのない、とてもおとなしい味。
 サンガリアのストロング・ドライのような安っぽさも、他のドライ系の缶酎ハイにありがちな苦味も無い代わりに、柑橘の風味も殆ど無い。
 だからこれ単独で飲むには物足りないが、食事に合わせるにはこれが一番無難かも。
 糖質ゼロだが、同社の焼酎ハイボール・レモンと同じで原材料に糖類を使っている。
 なのに飲んでいて糖類の甘さを感じさせないのはさすが。
 糖類で苦味を消し、酸味料で甘さを消してサッパリ、ドライな味わいにさせているのかも。
 カラメル色素を使っているので、サントリーのストロング・ゼロ・ドライや、アサヒのウィルキンソン・ハードや、サンガリアのストロング・ドライと違って、これは僅かに薄い茶色だ。

 飲み比べてみた、個人的な感想だが。
 不味くもないが、特に美味くもなし、といったところだ。
 ただ甘ったるくないし、とても飲みやすく、しかも度数が強いから酔うのも早い。
 個人的には「これよりは、ウイスキーのハイボールの方がマシ」と思うが、今の日本の料理に合わせるには良いだろう。
 ビールのようにグイグイ飲めるが、ビールより早く酔える。
 自分で好んでこれからも飲みたいとは思わないが、これが売れている理由が、飲んでみてわかったような気がする。

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ヴァルシュタイナー

 昨日の記事にも書いたように、つい先日、18年近く共に暮らしてきた猫を亡くしてしまった。
 それで生きるのに必要最低限の事しかする気になれずにいる。
 食欲も無いし、何を食べても美味しくない。
 酒でも飲めば気持ちが少しは紛れるかと思ったのだが、これがまた飲んでも酒が不味いのだ。
 ウイスキーのような強い酒は飲む気になれないし、純米吟醸酒を飲んでみてもただ苦いだけだ。

 筆者は元々下戸で、酒は適量を味わって飲む主義なのだが、それで良かったのかも知れない。
 もし酒に強く、そしてろくに味わうことなく酔う為に飲む種類の人間だったら、今頃毎晩酒を浴びるように飲んで泥酔していただろう。
 筆者が今、家の外では曲がりなりにも普段通りに過ごせているのは、元来酒に弱くて、酔う為に飲むやけ酒を「まずい」と感じられるおかげだ。

 物事に対する意欲というものを、ほぼ無くしてしまっている筆者だが。
 このブログは何とか続けたく思い、恒例のお酒の記事も頑張って書いてみようと思った。
 が、ウイスキーのような強い酒をじっくり味わって飲むのは、まだ無理だ。
 何しろ純米吟醸酒でさえ、まだまずいとしか思えないのだから。
 で、ビールなら度数も低いし、これなら何とか飲めるかと思い、軽めでスッと飲めるような、良さそうなものを選んでみた。
 ドイツのノルトライン・ヴェストファーレン州のヴァルシュタインという町で、森の湧き水を使って造られたという、ヴァルシュタイナーというビールだ。

ヴァルシュタイナー①P1110454

ヴァルシュタイナー②P1110462

 グラスに注ぐと、真っ白な泡と澄んだ明るい金色の液体が美しい。
 ほのかにフルーティーな香りが漂うが、飲んでみると味も僅かにフルーティーだ。
 軽い味わいで口当たりもとても良く、喉越しも良い。
 ホップは良質なものを抑え気味に使っている感じで、飲んでいる時には麦の甘味を主体に感じて殆ど苦くない。そして飲んだ後に、ホップの苦味が後味を引き締めるように良い感じに残る。
 今は「ビールは苦いから嫌い」と言い、ハイボールや酎ハイを飲む若者が増えているが。
 そうした人達にも是非お勧めしたい逸品だ。
 愛猫を亡くして酒も苦く不味いものにしか感じられないでいた筆者ですら、「殆ど苦くなく、フルーティーで爽やか」と思って美味しく飲めた。

 ただ苦くないだけでなく、このビールは嫌味が全く無い。
 軽い味にする為とコスト軽減の為に、日本のビールには麦芽を減らし、糖質副原料(米・コーン・スターチなど)を使用しているビールが少なくないが。
 そうしたビール純粋令に反する“ビール”にありがちな金属的な嫌な味が、このヴァルシュタイナーには全く無い。
 とにかくただ、軽やかで爽やかだ。

 しかもただ軽いだけでなく、味わいはしっかりしていて「ビールを飲んだ!」という満足感がある。
 ビールに糖質副原料を加えるメーカーは、麦芽とホップだけのビールは重いと言い、「味を軽く飲みやすくする為に加えるのだ」と言うが。
 だがこのヴァルシュタイナーはドイツのビール純粋令に適合している、麦芽とホップだけで造られたビールだが、糖質副原料を加えたビールよりずっと美味しいし、それでいて味わいも軽やかで爽やかだ。
 一度、スーパードライとこのヴァルシュタイナーを飲み比べてみてほしい。
「麦芽とホップだけの、糖質副原料を入れないビールは重い」などと言えないことが、はっきりとわかる筈だ。
 このヴァルシュタイナー、喉越しの良さでもスーパードライに負けないし、そしてスーパードライより間違いなく味も香りも良い。
 スーパードライのような単純で金属的な味でなく、軽やかでありながら麦の美味さをたっぷり堪能させてくれる。

 正直に言うと、筆者は日本で主流のピルスナータイプのビールはあまり好きではない。
 エールビールを11~13℃くらいに程々に冷やして、ゆっくり、じっくり味わって飲むのが好きだ。
 キンキンに冷やして喉越しで、あるいは食べ物を流し込むようにビールを飲むのも好きではない。
 飲み物は冷やし込み過ぎると香りが弱まり、味(特に甘味)も感じにくくなる。
 だからブランデーに氷を入れる人は「味のわからない人」と言われるし、筆者個人はウイスキーをロックで飲むのも嫌いだ。
 ブランデーやウイスキーだけでなく、ビールも冷やし込み過ぎるのはあまり良くない。

 だがこのヴァルシュタイナーはピルスナータイプのビールで、ラベルには「3~5℃に冷やしてお飲みください」と書いてある。
 それで筆者も、このビールはよく冷やして飲んでみた。
 それがなかなか美味いのだ!
 飲み物は冷やし込み過ぎると味と香りが薄れるが、このヴァルシュタイナーはそうはならず、良い意味で軽やかで爽やかな味と香りになった。
 ビールは「何でもかんでもキンキンに冷やして!」というのは、あまり良くないと思うが。
 特にエールビールをキンキンに冷やして喉越しで一気に飲んでいる人を見ると、つい「もったいないな」と思ってしまう。
 しかしこのヴァルシュタイナーは、間違いなく良く冷やして飲んで美味しい種類のビールだ。

 ペットロスでやる気も食欲も無く、お酒を飲んでも不味いと思ってしまう状態で飲んで「これは美味しい!」と唸ったこのヴァルシュタイナー、間違いなくかなり良いビールだ。
 輸入代理店は小西酒造株式会社で、店頭で見かけることはあまり無いかも知れないが、もし見かけたら是非一本買って、味見をしてみて下さい。
 喉越し良く、爽やかで軽やかで味わいも繊細、抑え気味に使っている上質なホップが「飲んでいる間は苦くなく、後味を引き締める」という感じで、とても美味しい。
 ピルスナータイプのビールが好きな日本人にお勧めの逸品だ。
 個人的には、「スーパードライなどより、何百倍も美味い」と思う。

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サッポロ クラシック

 断言するが。
 日本の大手ビールメーカーの中では、筆者はサッポロが断然好きだ。
 スーパードライでアサヒがビール売り上げのトップに躍り出る前には、巷で「キリン、サッポロ、水、アサヒ」などと言われていたが。
 スーパードライやそれに似たビールが大嫌いな筆者に言わせれば、個人的には今も「サッポロ、サントリー、キリン、水、アサヒ」の順である。

 で、その筆者が大好きなサッポロのビールでも、「文句ナシに、これは美味い!」と思っている製品がある。
 それがサッポロクラシックである。

サッポロクラシックP1130100

 ただ残念ながらこのサッポロクラシック、北海道限定なのである。
 そのサッポロクラシックを、運良く中部地方のスーパーのお酒売場で何故か手に入れることが出来た。
 で、早速飲んでみた。

 プルタブを開けた途端に、ホップと麦の良い香りが漂う。
 飲むとまず感じるのは麦の甘味で、コクは程良くあるが決して重くなく、気持ち良くスイスイ飲める。
 そして飲んだ後に、良質なホップのしっかりした、心地良い苦味が口の中に残る。
 甘くそして苦く、そのバランスが素晴らしい。

 ヴァイツェン・ビールに似たフルーティーな甘さと、インディア・ペールエールビールを思わせる良質でしっかりしたホップの苦味がある上に、適度なコクがありかつ喉越しも良いので、本当に気持ち良く飲める。
 このビール、冷蔵庫から出してすぐは「甘くて苦く軽やかに飲める」が、少しぬるくなると甘さを強く感じるようになり、苦さが抑えられ、味に奥行きも感じられるようになる。
 温度によって味が変わり、冷蔵庫から出してすぐに喉越しで飲んでも、少しだけぬるくして、ゆっくり、じっくり味わって飲んでも、どちらでも美味しいから嬉しい。

 個人的には、非の打ち所のない良いビールなのだが。
 これが北海道限定で、本州ではなかなか手に入らないのが、心から残念だ。
 缶に書いてある、「北海道だけのうまみと爽やかな味わい」と「ONLY HOKKAIDO」の文字を恨めしく見ながら、このビールを最後の一滴まで飲み干した。

 こんなに良いビールなのだから、サッポロには「勿体ぶらないで、全国で売れよ!」と言いたいところなのだが。
 缶に金色に描かれている北海道の絵をよく見ると、ただ北海道だけでなく周辺の島も(有人の島は)すべてきっちり書いてある。
 北海道の絵と言うと本島だけ描かれている場合が多いが、この缶の北海道は僅か3×2.5cmなのに、利尻や礼文や奥尻だけでなく、国後に択捉、歯舞に色丹、それに天売島と焼尻島まで描いてある。
 利尻や礼文や奥尻島など一mmくらいだし、天売島と焼尻島に至っては、塵や埃ほどの微細な点でしかない。
 缶の小さな北海道の絵に、そんな離島まで正確に書き込んでいる所にも、サッポロビールの北海道に対する愛とこだわりをひしひしと感じた。

サッポロクラシック②P1130099

 本州の人間としては、これが滅多に飲めないのは不満だが。
 しかしこんな極上のビールをあえて北海道限定にして、北海道民と北海道に来た人にしか飲ませないところに、サッポロビールの「自分たちは北海道のビール会社なのだ!」という強い自負を感じた。

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ダルグナー ヴァイツェン

 筆者が時々行くあるホームセンターは、意外に酒類を豊富に揃えている。
 高級品というわけではなく、あまり知られていないお値打ち品を仕入れているから嬉しい。

 そのホームセンターで、ダルグナーというドイツのビールを見つけた。
 そこで扱っているダルグナーには、ラガーとヴァイツェンの二種類があった。
 筆者は実は日本で主流のラガービールは、あまり好きではない。
 そしてエールビールが好きで、中でもヴァイツェンビールは大好きである。
 だから迷わず、ヴァイツェンの方のダルグナーを買った。

ダルグナー・ヴァイツェンP1120539

 プルタブを開けた途端に、ヴァイツェンビールらしい柑橘系のフルーティーな香りが辺りに漂う。
 白い泡が、とても細かい。
 飲んでみると、小麦の穏やかな甘さとホップの控え目で上質な苦さがよく調和している。
 ホップの味わいもあるが、それより甘さの方が強い印象だ。
 だから「ビールは苦いから」と避けている人に、是非とも飲んでみてほしい。
 フルーティーで甘く、軽やかで苦味も上質で弱いから、日本の一般的なビールが苦手な人にも飲みやすい筈だ。

 このビールは麦芽とホップだけで造られていて、日本の多くのビールのように糖質副原料は使われていない。
 しかし決して重くなく、喉越しでもスッと飲める。
 なのに日本のラガービールより深いコクと味わいがある。
 よく冷えている間にゴクゴク飲めば、気持ち良く飲めるだろう。
 コクはあるが重くなく、嫌味も全く無い。

 だが筆者には、日本流に喉越しでゴクゴク一気に飲み干してしまうのは、少々勿体ないように思える。
 ラガービールは、よく冷やして飲むべきものだろう。
 しかしヴァイツェンも含めたエールビールは違う。
 ビールに限らず、飲み物は冷やし過ぎると香りと味を、特に甘味を感じにくくなるからだ。
 ヴァイツェンも含めたエールビールの適温は、11~13℃くらいだ。
 具体的に言えば、冷蔵庫から出して10分くらい室温で放置しておいたあたりが飲み頃だ。
 冷蔵庫から出した直後より、そのくらい置いておいた方が豊かな香りと、甘くほろ苦い繊細な味を楽しめる。
 だから個人的には、このダルグナー・ヴァイツェン、冷蔵庫から出して少し待ってから、ゆっくり、じっくり飲むことをお勧めしたい。
 しかし味わいが軽やかなので、喉越し派の人はよく冷やしてすぐにゴクゴク飲んでも、充分に楽しめるだろう。

 このダルグナー、例のホームセンターではヴァイツェンもラガーも188円で売っていた。
 近年注目されているクラフトビールより百円も安く、モルツやキリン一番搾りやスーパードライなどの普通の日本のビールと同じ値段だ。
 それを考えれば、充分過ぎるほど良いビールと言える。

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沢の鶴純米酒米だけの酒

 先週、福島県の白河銘醸の谷の越純米吟醸を飲んだ。
 それで今回は、沢の鶴純米酒米だけの酒を飲んでみた。
 灘の大手メーカーの、しかも紙パック入りで精米歩合も掛米で75パーセントという比較的安価な酒だけに、正直に言って味に期待は殆どしていなかった。
「やはり大メーカーの“名ばかり純米酒”だった」と、最初から書くくらいのつもりでいた。

沢の鶴純米酒米だけの酒P1120860

 実際、ワイングラスに注いでみても香りは弱く、吟醸香のようなフルーティーな香りは全くと言ってよいほど無く、代わりにアルコールの匂いを感じる。
 そして谷の越純米吟醸と、酒の色が明らかに違う。
 谷の越純米吟醸は明らかに黄色味を帯びているが、この沢の鶴純米酒は殆ど無色透明に近い。
 精米歩合60パーセントの谷の越純米吟醸に比べ、麹米が65%で掛米が75%の沢の鶴純米は、精米歩合の低さによる雑味を活性炭を多く使用した濾過で補っているのだと思われる。
 で、この沢の鶴純米酒米だけの酒に対する筆者のイメージは、ますます悪くなった。
 ああ、やはり大メーカーの安酒だなあ……と。

 しかしだ、飲んでみるとこの沢の鶴純米酒米だけの酒、そう悪くないのだ。
 飲み比べてみれば沢の鶴純米酒米だけの酒には吟醸香は無いし、味もキリキリ辛くて、谷の越純米吟醸の方が香りが良くてマイルドだ。
 しかしその差は「飲み比べればわかる」というレベルのものであって、歴然とした差は感じない。

 大量の活性炭で濾過をしているのは、色を見ればわかる。
 しかしそれでも辛味や甘味、それに渋味や苦味や酸味などの味わいをしっかり感じる。
 メーカーは、『おいしい理由』の一つとして「伝統的な製法、生酛造りで仕込んだお酒をブレンドしました」とパックに書いてある。
 生酛造りはコクがあるが、癖も強いし好き嫌いも分かれる。
 だから生酛造りそのものでなく、ブレンドしたことによって、適度なコクと味わいが生まれたのだろう。
 この酒、さして美味い酒とは言えないし、精米歩合の高い良い酒とは比べようもない雑味と濁りを味に感じるが、価格を考えれば良く出来ている。
 より美味い酒を飲みたい人には勧めないが、安くて飲みやすい酒を求める人には向いている。

 おいしさの理由と言えば、メーカーはもう一つ「米と磨きのこだわり 日本産米100%・麹米65%」と書いてあったが。
 その日本産米も大した米を使っていないように思えるし、掛米65%で磨きにこだわったと言われても失笑するしかない。
 純米酒を名乗るが、上手に造った本醸造酒の方が美味しいくらいだ。

 だがそれでも、価格を考えればこの酒、悪くないと思う。
 特に誉めるような酒ではないし、雑味は感じるものの、嫌味もないし決して不味くはないのだ。
 そして活性炭を多く使っているだろうに不思議に味は薄くなく、ちゃんと酒らしい味を感じる。
 安い酒をたくさん飲みたいが、不味い酒も嫌で、ちゃんと酒らしい旨味もある酒を飲みたい。
 この沢の鶴純米酒米だけの酒は、そんな人に向いた酒だ。

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谷の越 純米吟醸

 日本酒では、筆者は純米吟醸酒が好きだ。
 実は純米大吟醸酒の方がもっと好きだが、普段気楽に飲むには純米大吟醸酒は少しお高い。
 日本酒で味と価格のバランスが一番良いと思えるのは、筆者にとっては純米吟醸酒だ。

 とは言うものの、その純米吟醸酒でも四合瓶で千数百円する。
 そんな中で、紙パック入りの割安な純米吟醸酒を見つけた。
 福島県西白河郡西郷村の、白河銘醸株式会社谷の越純米吟醸だ。
 900ml、つまり五合も入って六百円台である。

谷の越純米吟醸P1120637

 買って飲んでみたが、まずグラスに注いでみると吟醸酒にしては香りはやや控え目だ。
 しかしフルーティーな吟醸香は、間違いなくある。
 スッキリ飲みやすく、するりと飲めて安い酒にありがちな嫌味は殆ど無い。
 蔵元は「やや辛口」と言うが、適度な辛さの中に米の甘味もある。
 個人的には、辛口と言うより旨口と言いたいところだ。

 ただ、日本酒は一般的に度数15~16%だが、これは13~14%だ。
 僅かだが加水している量が多いせいか、蔵元は「やや淡麗」と言うが、少し薄味にも感じられる。
 しかし米の旨味は確かに感じる。
 あと、黄色味を帯びた色と味を考えると、大メーカーのように活性炭を大量に使って味をごまかしたりせずに、米の味をちゃんと生かしているように思える。

 蔵元は「じっくり味わいたいときはそのままで サラリと味わいたいときはキリリと冷やして」と言うが、この酒、冷蔵庫から出した直後とぬるくなってからでは印象が変わる。
 冷たい時には香りはやや弱いものの、サラサラと気持ち良く飲める。
 そしてぬるくなってくるとフルーティーで華やかな吟醸香が立ってきて味わい深くなり、当初に感じた香りと味に対する物足りなさが無くなる。
 だから水のような飲みやすい酒を良しとする人は冷蔵庫でキリリと冷やし、吟醸香や酒の味をゆるりと楽しみたい人は少しぬるくなってから、あるいはそのまま冷やさずに飲むと良いだろう。

 正直に言えば、この谷の越より美味い純米吟醸酒は他に幾つもある。
 が、その種の美味い純米吟醸酒の値段は、この谷の越の倍かそれ以上だ。
 値段を考えれば、これは本当に良い酒だ。
 同じ価格帯の紙パック入りの日本酒の中では、頭一つ抜けた美味さだ。
 パックに「飲めばわかる香り豊かな本格造り」と書いてあるが、その看板に偽り無しだ。

 良い酒にはお金を惜しまないという人には、お勧めしない。
 しかし安くて気軽に飲めてしかも美味しい、コストパフォーマンスに優れた日本酒を探している人には、是非お勧めしたい逸品だ。

 この谷の越純米吟醸、嫌味の無い良い酒だが、後味に苦味と渋味が僅かに残る。
 で、和菓子と合わせて飲んでみたところ、これがなかなか相性が良かった。
「日本酒に甘いものなんて」と思う人も多いだろう。
 実は筆者もそう思っていた。
 だが尊敬するogotchさんに教わって試してみて以来、それが大好きになってしまった。
 日本酒、それも渋味や苦味の残るものには、和菓子が意外に合う。

 あと、パックに「天然水仕込み」と誇らしげに書いてあったが。
 日本酒で、「水道水仕込み」のものなどあるのだろうか。
 筆者は日本酒と言えば、その土地の名水で仕込んでいるものとばかり思っていた。
 いや、谷の越など一部のお酒の容器に、わざわざそう書いてあるという事は、あるのだろうな、「水道水仕込み」の酒が。

 純米吟醸酒としては、特に四合で千数百円する定評ある銘酒たちと比べてしまうと、特に美味しいとまでは言えないが。
 五合で六百円台という値段を考えると、「かなり良い酒」と断言できる。

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