空と虹と恋と

 大好きな写真のこと、そしてゲームやコミックスの話から歴史&時事問題まで、思いつくまま雑多に語ってみたいと思っております。さらに筆者の度重なるイタい失恋話についても、どうぞ憫笑しつつお読み下さいまし。

妹と『初恋』⑨・今でも残る悔い

 例の初めての“血の繋がらない妹”に別れを告げられた時、黒沢は引き留める事が出来なかった。本当にその男の事が好きなのか、そして気持ちはどうしても変わらないのか確かめはしたけれど、それ以上未練がましい真似はしなかったよ。
 でも黒沢を初めて「お兄ちゃん」と呼んでくれたそのコの事は、本当に好きだったから。だから部屋に籠もってウィスキーだけを相手に、殆ど人間の抜け殻みたいになって何日も過ごしたよ。
 そうして痛みや辛さに何とか耐えて、ユーコさんの事は記憶の奥底に深く押し込めてようやく立ち直って。

 ところが数年後、そのユーコさんから手紙が届いてさ。
もうすぐ、結婚します」って。
 いろいろあって、黒沢と別れた時の彼氏は事故死してしまったのだけれど、また新しい人と巡り合って今は幸せで、その人と明るい家庭を築くつもりです……って。
 ただ結婚の準備の為に実家の荷物を整理していたら、黒沢の手紙とかいろいろ出て来て懐かしくなって、それで……と書いてあったよ。
 ユーコさんの事は、その時にはもうとうに過去の話にして忘れたつもりでいたけどさ。でも別れを一方的に告げられた時の痛みは、古傷としてまだ心にしっかり残っていたよ。
 だから久しぶりに便りを貰って懐かしいどころか、「は? 結婚すんなら黙って勝手にすればいーだろーが。オメーが幸せだろーが不幸だろーが知ったこっちゃねーし、いちいち報告なんかしてヒトの心に波風立てるなや」みたいな感じでさ。

 まっ、彼女の気持ちもわからないではないさ。黒沢とのコトではユーコさんとしても疚しい気持みたいなモノが心のどっかに澱のように残り続けてただろうし、だからこそその黒沢にも「オメデトウ、幸せになれよ」と言って欲しかったんだろうね。
 判ってはいたけれど、黒沢はただ「ざけんなよ!」としか思えなかった
 その頃はまだ若かったし、自分を切り捨てた女の子に寛大な気持ちを持てるだけの心の余裕など、とても無くてさ。それにその頃はまだ、心の傷だけでなくそのコへの想いも、胸の奥底の何処かにまだ残ってたんだろうね。

 だからユーコさんからの突然の手紙は、黒沢にしてみれば「ようやく寝かけた子を、わざわざ起こすような真似すんな」って感じでさ。
 ただ腹は立ったけど、文句の一つも言ってやろうとまでは思わなかったよ。
 だって、いきなり別れを告げられた時にも、文句も言わずに引き下がった黒沢だから。そしてその後はユーコさんは“居なかったもの”として、存在すら忘れようと努めてきたんだ。
 だから久しぶりの手紙の返事も書かずに無視して、読んだ中身も記憶から抹消するよう努めたよ。

 ……それから更に何年か経つうち、黒沢の気持ちも次第に変わってきてね。
 その後も何人かの女の子と出逢っては別れて痛い思い出も増えて行くうちに、女の子という生き物のコトがちょっとは判るようになってさ。
 例の「恋は上書き保存」の女の子にとって、過去の男の事など黒歴史でしかなくて、元彼なんて「そーそー、あたしが昔つき合ったヤツに、すっごいバカ男が居てさー」みたいな悪口のネタにする程度の存在でしかないんだよね。
 それを考えると、「結婚前の一番幸せな時に懐かしく思い出して貰えて、手紙まで出して貰えた……ってのは、ちょっとすごい事なのかも」なんて気もしてきてね。
 それに気付いたら、「あの手紙を貰った時、結婚おめでとう、幸せに……って言ってあげればよかった」って、ようやく思えるようになったよ。

 その悔いみたいなものがあるせいで、懲りずにその後さらに作ってしまった二人の“血の繋がらない妹”には、本当にもう激甘にしてしまってさ。
 その二人も黒沢には“妹”として甘えるだけ甘えた挙げ句に、結局は他の男の所に行ってしまったのだけれど。それでも怒ったりせず、さらに「幸せにな」と言って送り出してあげられたよ。
 二番目の血の繋がらない妹とは、別れた後は音信不通のままなのだけれど。最後に出来た三人目の“妹”とは、実は今も仲は良いんだ。彼氏との関係とか家族間の悩みとか、とりあえず別れた後も“兄”として相談相手になってるよ。
 ……随分と脱線してしまったけれど、黒沢がリアルに作ってしまった三人の“血の繋がらない妹”との思い出話というと、まあこんなものかな。

 ……全くもう、折角のクリスマスにぶつけるように、二日続けてフラれた話をするなんて、黒沢も不粋なヤローだよねえ。
 けど黒沢が自分の恋愛体験を語ると、どうしたって結局はフラれた話になっちゃうのさ。
 
 で、次は何について語ろうか。
 幼なじみにしようか、逆に年上のヒトについて話そうか。それとも全然違うことを喋ろうか。それはまあ、黒沢の気分次第というコトで。 けどどっちにしろ、「最後は黒沢がフラれる」ってのには、変わりないんだけどね。

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妹と『初恋』⑧・女の子のコワさを、キミは知ってマスか?

 ユーコさんからいきなり別れを告げられて。
 そりゃあもうショックだったよ。ずっと好きでいて、兄と妹の関係から一歩踏み込むことが出来て「やっと自分のものにできた!」と思ってただけに、その彼女が他の男のモノになってしまったんだと思うだけで、気が狂うくらい辛かった
 人前では何とか自分を保っていたけれど、部屋で一人になるとみっともないくらい泣けたね。食事も殆ど喉を通らず、酒に弱いくせに、何日もただウィスキーを飲み続けてさ。

 ただ情に訴えて「何とか考え直してくれ」って頼むとか、「なら何であの時オレに抱かれたワケ?」と責めるとか、そういう恥の上塗り的な事だけはしなかったよ。だって、女の子に「好きな人が出来たから、もう終わりにしたい」って言われたら、その恋はもうバッド・エンドが確定なんだから。
 よく言うよね、「女の恋は上書き保存、男の恋は名前を付けて保存」って。コレはホントにホントの事だから
 女の子って、新しい本命の彼氏が出来ると、それ以外の男には信じられないくらい残酷になれる生き物なのだよ。その実態を知ったら年齢=彼女いない歴の童貞クンなんか、「リアルな女は超コワい、彼女なんて二次だけにしてるオレらは幸せだ」ってきっと思うんじゃないかな。

 まだ恋愛初心者だった頃の黒沢は、そのコトがわかって無くてさ。だから付き合っていた彼女から別れを告げられた後には、思い出すのも恥ずかしいようなみっともない真似をいっぱいしでかしたものだよ。
 まず突然の心変わりを責めるところから始まって、それでも通じないと「何でも言う通りにするから戻って来てくれ」と懇願したり、挙げ句に「キミが居なければ生きていけない」とまで言って縋とかね。
 けどね。
 心変わりした後の女の子ってのは、まるで別人と思った方がイイよ。あれだけ「好き好き!」って言って慕って尽くしてくれていたコが、ホントに人が変わったように雪女レベルに冷たくなるから
 例の「女の恋愛は上書き消去」ってのはホントにホントで、女の子にとって元彼なんてゴミ屑も同然の黒歴史の一つでしかないんだよ、マジで。
 だから「元カノの悪口を言う男は少ないけれど、女にとって元彼は悪口の対象か笑うネタでしかない」とも言うでしょ? コレ、本当にそうなんだよ。

 断言する。女の子が「別れたい」って切り出して、さらに「別に好きな人が出来た」って言った時には、思い直して貰うのはまず99.9%ムリだね。
 付け加えて言えば、そんな時にはまず間違いなく、その新しい男と既にヤってる
 世間的には、「男は浮気っぽい」って思われているけどさ。黒沢の経験では、恋愛中にフタマタをかける率は女の子の方がずっと高いね。彼氏がいても、他に気になる男が現れれば、両天秤をかける形でそのまましばらくフタマタ進行しちゃう
 そして「実は……」って別れ話を切り出してきた時には、まず間違いなく相手の男とも何度もヤっちゃってて、もう引き返せない状況になってるんだよね。
 だから女の子がこのテの報告をする時には、既にもう新しい男を確保しちゃってるんだよ。
 ヒドいって言うより、そーゆー性質の生き物なんだよね、女の子ってのはソレを責めるのは、肉食獣に「生き物を殺して食うな」って説教するようなもんでさ。

 女の子って、他に気になる男が出来ても「元彼とちゃんと別れてから、新しい相手と付き合う」という手順を踏まずに、暫くフタマタをかけて答えが出た上で「実は……」って言い出す子が多いから。
 だからその別れ話が“唐突”なのは、「気付かずに寝取られていた男にとっては」であって
 女の方にしてみれば、既によく考えてどっちを取るか心を決めた後で、その別れ話を切り出してるんだよ。だからその「捨てる」と決めた方の“要らないオトコ”に、どう縋られたって考え直す余地なんか無いワケよ。
 わかるかい? 「別れたい」って言われた時点で、女の子にとってその男はもう“過去のどーでもいい存在”になり果ててしまっているんだ。

 女の子の恋って、本当に「上書き保存」なんだから。過去の恋も「名前を付けて保存」の男と違って、新しい男がデキた途端に心はその男の事で一杯になって、それまでの男への情や思いは何もかもスッパリ消去されてしまうんだ。
 そうなった時の女の子の胸の中には、新しい男の事しか無くて、「元彼に悪い」とか「元彼を傷つける」とか、そういう思いやりなど欠片も無くなってしまっているんだよね。
 自分に何か悪い点があったからではなく、このように「他に好きな人が出来たから」って一方的に切り捨てられちゃうコトって、リアルな恋愛ではホントによくあるんだよ。

 例の“血の繋がらない妹”のユーコさんのこと、黒沢はホントにすごく好きだった。
 けど突然告げられた別れ話を、黒沢は黙って受け入れるしか無かった。女の子がそうして別れを切り出す意味を、それ以前の苦い恋でイヤと言うほど思い知らされていたからね。
 だからまだ好きでたまらない気持ちは圧し殺し、堪え切れない未練や胸を灼く嫉妬は飲めない酒に紛らわせて耐えて、ユーコさんの意志を受け入れたよ。

あのさー、ホントに好きだったら“みっともない”とか考えねーだろ? つまんねープライドにこだわってカッコつけてないで、本当の気持ちを彼女に話してみないからダメなんだよ」ってお叱りの声が聞こえてきそうだよね。
 でも迷いも躊躇いもなくそう言えちゃうヤツって、ただ「彼女を世界一好きなのはこの俺で、彼女を幸せに出来るのも俺しかいないんだあ!」って自分の気持ちに酔ってるだけの、恋の痛みも女の怖さもまだ知らないお子ちゃまなんだよ。

乳房 (文春文庫)乳房 (文春文庫)
(2008/02/08)
池波 正太郎

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鬼平犯科帳』や『剣客商売』などでおなじみの作家池波正太郎が、『乳房』って作品の中でそのあたりの女の怖さを的確に書いているよ。
女には過去も未来(ゆくすえ)も無く、ただ現在(いま)があるのみ

 女って、本当にそういう生き物だから。二次のセカイの理想化された美少女たちしか知らない童貞クンには信じられないだろうけど、女にとってはとにかく今のキモチが全てで、一旦気持ちが醒めたらまるで別人のように冷酷になれる生き物だから。
 だから女が他のオトコに心を動かしちゃったら、もう何をしても駄目なものは駄目なんだよ。プライドも何もかなぐり捨てて、過去の事を思い出させて情に訴えようが、何でもするからと哀願しようが、「みっともない、情けない男www……」とか思われて余計に見下されて、寝取られた上にただ恥を重ねるだけだから。
 その事を、黒沢は自分の痛い経験からよく知っているのだよ。

 まだ青くて熱かった頃には、黒沢だって好きだった子にはどんな酷い仕打ちをされても頑張ったよ。その子に別れられたくない一心で、何でも我慢して何でも相手の気に入るようにしてね。
 で、そうして尽くした結果、どうなったと思う?
 ハイ、余計に軽く見られて小馬鹿にされて、もっと踏みつけにされただけデシタ。特に性格の悪かった子にではなく、若い頃の黒沢が関わったどの女の子にもね。

 若くてちょっと可愛くてモテてる女のコって、ホント信じられないくらいゴーマンだから。世の中は、アタシを中心に回ってる」くらいに思ってるよ、マジで。
 誠心誠意尽くして頑張っていれば、いつかその気持ちが相手に通じて、相手も優しくなってくれる……なんてコトは、少なくとも実際の恋愛ではまず99%無ね。あったとしても、ただ“便利クン”として利用されるだけだから。

 ホストやチャラ男たちを見てごらん。外見が良い上に口も巧ければ、誠意なんて何も無くても、女の方から勝手に貢いでくれるでしょ? でも特にイケメンでもない普通の男は、見返りナシにただ要求ばかりされてばかりだよね
恋愛の掟もジャングルと同じで、弱肉強食のみ」と言えば、確かにその通りなのだけれど。
 うん、それが童貞クンたちが羨ましがってる、三次の恋愛の現実なのさ。

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妹と『初恋』⑦・超えてしまった“妹”との一線

 その黒沢の最初の“血の繋がらない妹”のユーコさんと二人で、日帰りの予定でちょっと遠目のドライブに出掛けた時のコト。製造されて既に14年も経ち、かなりレトロ化していた黒沢の車が、ドライブの途中で故障してしまってさ。
 何とか直すことは出来たのだけれど、修理に思いのほか時間を食ってしまって、その日のうちにはとても帰れなくなってしまったんだ。

 行き先は南伊豆で、季節は夏で海も青く綺麗でさ。
 修理を待つ間も、海辺でユーコさんに膝枕して貰いながらお喋りしてたりとか、その時点で既に“兄と妹”の関係から踏み出した感じの、かなり良いムードにはなってたんだよね。
 で、その晩は「帰れないんだもん、仕方ないよね」というか、当然の成り行きでそのままホテルに……というワケ。
 ホテルと言っても、その時には既に深夜になってたし、入ったのはたまたま“空き室アリ”の表示があった国道沿いのラブホテルだよ。
 でもだからって、部屋に入るなりユーコさんを押し倒しちゃったりなんかしなかったよ。だっていくら血縁はナイとは言え、ずっと兄と妹として仲良くしてきた相手に、焦ってガッつくような真似はしたくなかったし。

 男はバカだから、つい「非処女なら、もうエッチに不安とか全然ナイだろ」みたいに思いがちだけど。
 でも、コレは忘れないでちゃんと覚えておいてほしい。処女であろうがなかろうが、誰か(♂)と初めてホテルに行く時には、女の子はそれなりに緊張するものだよ。
 だって、エッチってプライベートな事の最たるものと言うか、すっごく個人的なモノじゃん。同じ男だって、ムード重視派もいれば、ガッツンガッツン攻めまくりたいヤツもいるじゃん。

 ぶっちゃけ性癖なんてホントにもう人それぞれ、SM好きやら、ロリやら、熟女好きやら、デブ専やら、3P好きやら、大っぴらに出来ないような嗜好の持ち主なんていくらでも居るからね。
 ソレは特殊例にしても、まあ“フツー”に属するエッチだって、さっさと一発ヤったらスッキリ「オヤスミナサイ」ってのから、時間をかけてじっくりネットリ何度も……ってのまでいるし。
 女の子が誰かと初めてエッチする時って。他の男のやり方はどうあれ、キミ自身の性癖やヤリ方はまだ知らないワケでさ。
 だからいろんな相手とヤリまくってるビッチでもない限り、女の子はキミに初めてされる時には「どんなコトされるんだろ、もしかしてヘンな趣味とか持ってたらどーしよぅ」って不安に思うものだよ。

 で、ホテルの部屋に入ってもユーコさんは笑顔で普通に話してはいたけれど、微妙な緊張感が黒沢にも伝わってくるワケ。
 車の故障に加えて渋滞で、どうしてもその日のうちに帰れなくなってしまったのは、本当に偶然のことだったよ。けど黒沢はまじり気の無い異性愛者なんで、ホテルに泊まる事になった時点で期待と言うか、下心は確かにアリマシタ
 けど痩せ我慢かも知れないけれど、その下心以上に“妹”を大切に思う気持ちもあったんだよね。

 入ったのはラブホテルだから、ベッドはもちろん一つだよ。
 そのベッドに一緒に入ってすぐ、黒沢はユーコさんに言ったんだ、「中学生同士のカップルみたいにさ、今夜は手を繋いで寝ようか」って。
 そしたらユーコさんも、安心したように笑って頷いたよ。
「アホか、今時の中坊が手を繋いで寝るとかあり得ねーって、朝までヤリまくりに決まってるだろーが」なんてツッコミは無しだよ。だって携帯電話どころかポケベルさえまだ無かったような時代の話だもの、その頃の中学生は今よりずっとオクテだったんだよ。

 長いドライブの疲れもあって、その晩はホントに手を繋いですぐそのまま寝ちゃってさ。
 そのせいか、翌朝は六時過ぎにはもう目が覚めちゃって。
 でも気がつくと、眠りに落ちる前に握った手はその時もまだ繋いだままだった。
 その隣で寝ている“妹”を見ているうちに、気持ちを抑えられなくなってそっと抱き寄せたんだ。するとユーコさんもごく自然に自分からバスローブと下着を脱いで……という感じで、二人は兄と妹じゃなくなっちゃったんだ。

 お兄ちゃんと妹
 建前はそーゆーコトになってたけど、ホントは黒沢はずっとユーコさんの事が好きだったんだ。ただ告白してフラれるのが怖くて、兄と妹の関係でいる事を選んでいただけでさ。
 だからこと、後悔は全然しなかった。と言うより、こうなれば良いとずっと思っていたし、だからその後は、チェックアウトの時間ギリギリまでユーコさんと愛し合ったよ。

 その時はただエッチするだけでなく、ユーコさんといろんなコトを話したよ。
 ユーコさんは黒沢より四つ下で、でも黒沢はユーコさんにとっては三人目でさ。
前の二人に勝ちたかったな
 ついそう言ってしまったら、ユーコさんは激しく首を振ってさ。
そんな事ない、一樹さんが一番勝ったんだよ
 そう言ってくれたんだ。
 だから黒沢は、自分が彼女にとっての一番になれたと思ったよ。
「お兄ちゃん」じゃなくて「一樹さん」。その時から、ユーコさんは黒沢を名前で呼んでくれてさ

 その時のユーコさんのエッチは、すごく優しかった。
 積極的に自分から何かしよう……ってんじゃなくて、基本的には身体を黒沢に任せての受け身のセックスで。けどいつも両腕を黒沢の背に回して、優しく抱き返してくれていてさ
 そして黒沢のちょっとした動きで、黒沢が何をしたいかをすぐに察して、黒沢がやりやすいように微妙に体の向きや姿勢を変えてくれるんだよ。だからエッチしている間は、「いつも彼女に受け入れられている」って感じでね。

 処女厨って、男の中には確実にいるよね。
 そりゃあ黒沢だって、エッチした相手がたまたま処女だったら嬉しいさ。そんな時には「自分がこのコの初めてになれたんだ」って、未登峰を征服したような感慨を持っちゃうことも否定しないよ。
 けどそれに勝る「非処女の優しさと温かさ」ってのも、絶対あるから。黒沢はその事を、ユーコさんに教えられたよ。

 だからこそ、「気持ちはユーコさんも同じで、これで兄と妹から両思いになれた筈」って思っちゃうじゃん。
 けど現実には、ユーコさんとは兄と妹に戻れなくなっただけでなく、彼氏と彼女にもなれなかったんだよね。
 そのドライブから帰って間もなく、ユーコさんから「あの日のコトは、ムードと成りゆきのせいだからね」って言われてしまってさ。そして仲は良いままなんだけれど、以前とは違う何かギクシャクした関係のまま数ヶ月が過ぎて。 

 で、黒沢はある日唐突に、ユーコさんから別れを告げられてしまったんだ。
彼氏ができたから」って、本当に一方的に。

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妹と『初恋』⑥・このゲームの残念なトコ

 さて、この章のテーマに取り上げた『初恋』を、黒沢は①不思議な美少女椎名柚純、②友達感覚の西村陽子、③年下っぽい可愛い先輩の小桃サン、④リアルな妹の杏、という順に進めて行きマシタ。
 それにしてもCEROって、グラフィックとメーカーが提出する粗筋だけで、年齢別の推奨ランクを決めているのかも。実際にはシナリオも全部提出されているんだろうとは思うけれど、多分ちゃんと読んではいないね。
 でなければ、紹介してきたようなストーリー(兄と妹や、教師と生徒がデキちゃったり、タチの悪いストーカーも出てきたり、自殺もあったり)で、ただの12歳以上推奨で済むワケないものね。
 とにかくCEROの審査は、『初恋』ってタイトルや子供っぽくて可愛らしいキャラ絵に絶対ダマされてるよ。

 プレステ2版では規制に合わせて中身もグラフィックもマイルドに作り替えられてるとは言え、何しろ元は18禁のエロゲからの移植だから。黒沢から見れば、この『初恋』は間違いなく大人向けだね。
 ただこの『初恋』の最大の難点を言えば、「ヒロインによってシナリオの出来の差がかなりある」ってコト。
 黒沢個人がそのキャラを好き……というだけでなく、紹介した四人のルートは大人がプレイしても十分楽しめる出来なのだけれど。特にメインヒロインの小桃先輩のルートは、前世の関係が現在の出来事に絡んでくるだけでなく、何と来世にまで繋がって行って、テキストのボリュームも満点だよ。

 それに比べて残る二人、ココ・夏野・パルフェ高梨花梨のストーリーについては、中身の深さから話のボリュームまで、いろんな意味で「残念な出来」としか言いようがなくてさ。
 どう残念なのかは、具体的にはそれぞれ実際にプレイして確かめて貰うとして。まあ良く言えばファンタジー色満載、有り体に言えば子供騙し……って感じなのだよ。
 他の四人のストーリーは、禁断の愛やら悪質ストーカーやら自殺やら何でもアリなのに、ココと花梨のルートでは途端に幼く可愛い夢物語になってしまって、このレベルのストーリーで感情移入できるのは、せいぜい中学生男子くらい迄だと思うゾ。

 とは言うものの、ファンタジー色の濃い現実にはあり得ない展開が満載の甘口ゲームも、黒沢が苦手というだけで、それはそれで需要もあるワケで。
 だからヒロイン全員のストーリーが、そうしたファンタジー色満載の可愛らしいお話ならば、「それがこのゲームの世界観なんだ」と割り切る事も出来るよ。まっ、「自分の好みじゃナイけど、こーゆー話が好きなヒト達だって居るよね」って感じで、自分はプレイせずにスルーすれば良いだけの話でさ。
 知る人ぞ知るKID社の、恋愛のドロドロとか三角関係などをリアルに描いたギャルゲーは、修羅場ゲーとしてそれなりに需要があって。その一方で、ファンタジー色の強い甘口ゲームだって需要はあるし。

 で、その両極端のストーリーが同じゲームの中に混ざってしまっているのが、この『初恋』の残念な点かな。一つの作品でありながら、世界観がバラバラというか、作品の中のムードが違い過ぎるんだよね。
 ネットのゲームレビューで『初恋』の評価を下げているのも、このヒロイン毎のストーリーの出来とテイストのバラつきが一因だろうと、黒沢は勝手に推測しているのだけれど。
 実際、この『初恋』に限らず、ヒロイン毎のルートに出来の差がかなりあって、「ヒロインによって凄く感動できる話もあれば、薄っぺらでダメダメな話もある」ゲームは、不当なくらい評価が低すぎるように思えるよ。
 例えば中古ゲームショップでは何処でも五百円以下で売られている、プレステ2の『スイートレガシー』とかね。

スイートレガシー~ボクと彼女の名もないお菓子~スイートレガシー~ボクと彼女の名もないお菓子~
(2002/12/26)
PlayStation2

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 黒沢としてはかなり楽しめた『スイートレガシー』については、いつかまた別の機会に触れるとして……。
 黒沢と例の「血の繋がらない三人の妹」のうち、実は一人目の“妹”とだけは、ただの妹という関係では終わらなくてさ。
 そのコ(ユーコさん)と二人で、日帰りの予定でちょっと遠目のドライブに出掛けた時のコトを、次にちょっと語らせてもらうね。
 

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妹と『初恋』⑤・恋って不可解

 そうそう、今回紹介している『初恋』のヒロインと言うか、主人公と恋愛関係にできる相手は一応五人なのだけれど。実はもう一人、攻略対象にできる隠しキャラがいるのだ。
 それはサバサバしていて友達感覚で付き合える西村陽子で、過去の恋愛で小悪魔タイプに散々苦渋を嘗めさせられてきた黒沢が、「いい子だし、長く付き合うなら絶対このコ!」って自信を持って言えるような子だよ。
 但し女度という面では、他のヒロイン達よりちょっと低めだけどね。

 以前は自覚が無かったのだけれど、黒沢は実は妹系が案外好きらしくて、実生活でも三人のコに「お兄ちゃん」と呼ばれて痛い目を見せられてさ。
 その可愛い小悪魔ちゃん達に散々翻弄された挙げ句に、「長く付き合うには、裏表のないサバサバした子が一番と悟る至ったのだけれど。
 でもこのゲームで黒沢が一番ハマってしまったのは、妹の杏でも小桃先輩でもサバサバ系の陽子でもなく、最初は「幽霊?」って感じで出没する椎名柚純(ゆすみ)という謎の女の子だったよ。

 この柚純ちゃんは実際は幽霊などではなくて、いろいろ話すうちに病気で入院中の子だとわかるんだ。けどお互いの気持ちを確かめ合えたと思う間も無く、その柚純ちゃんは消えてしまうんだよね。
 ところが主人公がそのショックから立ち直れずに悲しんでいると、主人公のクラスに転校生の女の子が編入されるんだ。
 ハイ、大方の人の予想通り、例の椎名柚純ちゃんなのでアリマス。安手のギャルゲーや恋愛マンガなら、普通はここでハッピーエンドだよね。
 でもそんなコトでは終わらせないのが、この『初恋』なのだ。って言うか、ここからが柚純ルートのお話の本番で、それまでは長めの前フリみたいなものでさ。

 転校してきた柚純ちゃんは、どう見てもどう考えても主人公の知る柚純ちゃんと同一人物としか思えないんだ。けどその柚純ちゃんは、主人公のことを全然知らない、一度も会ったことないって言い張るんだよね。それどころか親しげに話しかける主人公を警戒心いっぱいの目で見て、主人公はストーカー扱いまでされる有り様で……。
 この転校生の柚純ちゃんは、口が重くて頑なでクラスの人達とも馴染みたがらないしで、書いてみるとあまり良い所はないんだよね。あえて分類すれば、病弱キャラってカテゴリに属するのかも知れないけれど、人を拒む上に気も強いものだから、儚げな病弱少女というイメージも無いし。
 でも黒沢は、『初恋』の中ではその柚純ちゃんがダントツに好きだったよ。どうイイのかうまく説明できないけれど、ただもう「好きなものは好きなんだから、仕方ないよ」って感じで。

 前から思っていた好きなタイプと、実際に好きになってしまった女の子って、案外違っていたりするものではないかな? 例えば好みのタイプは大人っぽくて女度の高い子だった筈なのに、何故かボーイッシュな元気っ子を好きになって付き合うことになってしまったり、とか。
 芸能人などで、インタビューで好みのタイプの異性を聞かれて、「好きになった人が、好みのタイプです」なーんてワケのわからないコトを言う人がいるけれど。でもそれは煙に巻いて誤魔化しているのではなくて、案外あり得る事だったりするんだよね。

 出会った相手の中で誰を好きになるかなんて、ホント自分でも解らないんだよねえ。本来思ってた筈の好みのタイプとは違う子を好きになっていた……ってこと、黒沢は実際に何度も経験したよ。
 好きなタイプの筈の子でも、ほんのちょっとした事で「何か違うな」って思えて気持ちが醒めてしまったり。けどそれまで殆ど興味のなかった子でも、何かのきっかけで急に好きになってしまったり。
 恋は盲目と言う通り、実際に恋しちゃってる時はホント必死だし、目の前の事だけでいっぱいいっぱいだからね。「オレは何で、このコをこんなに好きになっちゃったんだ?」なんて、冷静に分析している余裕などとても無いけれど。
 でもギャルゲーならソレが出来るんだよ。自分の分身である主人公の行動を、プレイしながら一歩引いた所から観察して、自分の隠れたクセや行動パターンみたいなものを分析する事が

 例えばもしキミが、妹タイプの年下のコが好みだとするよ。そしてギャルゲーの世界では、現実とは違ってどの“妹”もキミのことを好きになってくれたりするんだよね。
 けどいざ好かれてみると、「慕われても好きになれない妹」って、自分で思っている以上にいるものなんだ。
 黒沢自身、血の繋がらない妹を実際に三人も作ってしまうほど、妹タイプが好きなのだけど。そしてギャルゲーの世界には、どの作品にも必ずと言っても良いほど出てくるんだよね、妹的な存在の女の子が。
 でもいざプレイしてみると、何か好きになれなかった“妹”って、意外なくらい多かったよ。

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 信者サマにフルボッコにされちゃいそうでコワいけど、話の行きがかり上白状するね。例えば『ダ・カーポ』の芳野さくら(従妹)は大好きだったけれど、妹の朝倉音夢の方は苦手と言うよりキライだった。
 あと、『Wind』や『_summer ##』のも、初めのうちは「イイかも」と思っていたのだけれど、話を進めるに従って「どーでもイイかな」あるいは「ちょっと面倒クサい」って感じの存在になってしまったよ。
 ココだよ。
女の子としては同じカテゴリの筈なのに、何故このコは大好きで、でもあのコの方はダメで苦手なんだろう
 恋愛ゲームをプレイしながら、そのあたりのコトをじっくり考えてみてごらん。するとそれまで気づかなかった自分の好みみたいなものが、ホントに見えてきたりするからね。

 女の子と付き合う(ヤる)事しか頭になくて、「オンナ百人斬りを目指してる」ってようなヤツでもない限り。実際に付き合った相手の数が十人を越えれば、「恋愛経験豊富な方」って言っても良いよね。
 実際、「五人以上の相手と本気で付き合って、それでもまだ結婚に至らずに独身でいる……ってのは、その人の人間性に何か問題がある証拠」とも言われているし。
 それにそもそも出逢い自体、実人生ではそんなにあるモノじゃないじゃん?
 男子と女子が自然に仲良くなれる環境なんて、共学の学校以外は、実際にはそう無いものだからねえ。職場に女の人が居たって、社内恋愛にフリーな所ばかりとは限らないし。
 進学先が男子校の人だったり、女子の少ない職場に就職してしまったら、それこそナンパでもするか、合コンの機会に頼るしかナイのが現実だよね。

 でもギャルゲーでは、一つの作品で少なくとも五人の女の子と「出逢えて付き合える」わけで。しかもヘマを打ってフラれても、リセットすれば同じ子と違うパターンでやり直す事も出来しね。
 だから「ギャルゲーだって、決してバカにしたものじゃないよ」って、黒沢は胸を張って言いたいね。
 既にる程度恋愛経験があって、現実と「お客サマの願望に沿ったサービス」の部分が見分けられる人にとっては、ギャルゲーって案外使える“恋愛シミュレーター”になり得るんだよ。

 ただ一度も女の子と付き合ったコトのない“実年齢=彼女いない歴”の人には、ギャルゲーはむしろ毒にしかならないかも。
 現実の女の子に触れないまま、男の願望通りのヒロインばっかり出て来るギャルゲーをやり込んでしまうと、「リアルなオンナは怖いし汚くてキライだ、女の子なんて二次の“オレの嫁”で充分」って底無し沼に落ち込んで抜け出せなくなっちゃうから、マジで。
 でも「仲良くしてくれる女の子は割とすぐできるのだけど、いつも長続きしないで結局フラれてしまう」というパターンを、両手の指の数以上に繰り返してきた黒沢のドロ沼に比べたら、「魔法使い上等、嫁は二次でOK」って最初から割り切っている人達の方が、日々を心穏やかに過ごせてむしろ幸せなのかも……なんて、チラっと思ったりもして。
 って、そんなコト言っちゃ、身も蓋もナイか。

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妹と『初恋』④・コワ過ぎる“親友”

 今回取り上げてる『初恋』ってまずタイトルがタイトルだし、しかも絵も可愛いんだけれど何かロリっぽくてさ。
 それだけに予備知識なくジャケ買いした人は、プレイしてみて予想を覆す展開の連続に愕然とすると思うよ。

 例えばメインヒロインの桜井小桃は、「主人公より一つ上の3年生」って設定になっているのだけれど。
 マンガやギャルゲーなど二次のセカイでは、たった一つ上ってだけで、あり得ないほど大人の女性として描かれるのが当たり前だよね。でも『初恋』のこの小桃さんは小柄で童顔で、先輩なのにどう見ても妹キャラなのだ。しかも中身も案外ドジで天然系で頼りないし、どう見ても“先輩”ってイメージじゃないよ。
 けどその小桃サンは、主人公には何故かお姉さんとして接して来るんだ。実際、主人公にも「姉ちゃんだよ?」なーんて言ってきたりするし。

 世の中にはまだ「ゲーム=子供のモノ」というイメージでいるヒトが少なくないけど、ギャルゲーにも子供ダマシと言うかオタクダマシ的な安直なヤツも少なくないのは事実だよ。
 でも中には主要なキャラが死んだり、ドロドロの展開になってしまう、いわゆる“泣きゲー”とか“鬱ゲー”とかの大人向けとしか思えない作品もある……ってコトは、前の章も触れた通りデス。
 この『初恋』も、幼く可愛らしいキャラ絵と大違いの内容で、鬱と泣きの両方の要素が盛り込まれていたりするから要注意だよ。
 まず例の杏ルートが近親相姦っぽくて、家庭は崩壊するし、二人も遠く引き裂かれちゃうし……。
 そしてメインヒロインの小桃ルートがまた、普通のギャルゲーではあり得ないほどダークな展開だったりするのでアリマス。

 まず小桃サンを好きになって攻略にかかると、初っ端から三角関係に陥って親友に深く恨まれ、さらに死ぬ人まで出るんだよね。しかも死ぬのは一人ではなく続けて二人で、数え方によっては四人だったりするかも。
 え、「ヒロインが死ぬゲームなんて、全然珍しくないしありきたりだろ」って? ここで吐き捨てるようにそう呟いたキミは、間違いなくもう引き返せないレベルのギャルゲー好きのオタだね。
 でもこの『初恋』は、所謂“泣きゲー”で名高い某ゲームメーカーのギャルゲーとは違うから。プレーヤーを泣かせる為に、ヒロインを難病とかに設定してわざと死なせるとか、そういうベタな展開ではないのだよ、この『初恋』の小桃ルートは

 マンガや小説の世界でも「ベタな展開ほどウケるし売れる」と言われるけれど、某ゲームメーカーには特に熱心な信者サマが大勢いるからねえ。そのメーカーのゲームを批判する気かと、信者サマ達に誤解されてボコられないうちに、話を『初恋』の小桃ルートに戻すね。
 えーとですね、小桃サン自身は元気そのもので持病も何も無く、小桃ルートで待ちかまえているのは自殺と大災害と事故で、しかも事故の方は謎が残る不審死だったりするのだ。

 さらにこの『初恋』で異彩を放つのが、主人公の親友(♂)の豹変ぶりなんだ。
 主人公の親友の二木竜也は小桃先輩の事が好で、けれど告白する勇気はなくて。それで竜也は、主人公に無理に頼んでラブレターを渡しに行ってもらうワケ。でも小桃サンはそれを主人公からのラブレターと勘違いして、しかも超喜んで主人公にベタベタになってしまうのだ。
 当然、竜也からは「オレをダシにして、小桃先輩を横取りしやがって!」と恨まれ大喧嘩になってしまって……というあたりまでは、マンガやドラマなどでもありがちな展開なのだけれど。

 ただこの『初恋』でスゴいのは、その後の和解がまるでナイ……ってこと。
 陳腐でありきたりな青春ドラマだったら、主人公と友人は殴り合いの大喧嘩になった挙げ句に、友人とも和解して「お前には負けたよ、オレの代わりに小桃先輩を大切にしてやってくれ」みたいなコトになりがちだよね。けどこのゲームには、そんなベタな展開は待っていないのでありマス。

 この『初恋』に出て来る“親友”の竜也クンって、ある意味スゴいよ。主人公の悪口を言い触らしてクラスの仲間から孤立させるわ、主人公にしつこく絡んで粘着するわ、小桃先輩にはスネークするわと、超悪質なストーカーと化してしまうのだ
 で、主人公や小桃先輩だけでなく、他の友達みながいくら説得しても「問答無用、聞く耳なーし!」って感じで二人の邪魔ばかり続けて、反省などまるでしないまま、取り返しのつかないコトまでしでかしてしまうんだよね。

 ギャルゲーの男友達って、普通は主人公の引き立て役と言うか、水戸黄門のうっかり八兵衛みたいな「三枚目でちょっとお間抜けな良いヤツ」って感じのヤツが多いよね。けど『初恋』の竜也クンはマジでコワいから、それこそサイコ系のホラーが入ってるかも……っていうくらいにね。
 ハイ、それでもタイトルは『初恋』で、年齢制限も「12歳以上推奨」なのでアリマス。
 炉裏っぽく可愛らしいジャケ絵とタイトルには、くれぐれも騙されないようにね。ドロドロ展開アリの、明らかに鬱ゲーの部類だから。

 問題の二木竜也クンは、主人公が小桃先輩以外のコを選びさえすれば、最後まで良い親友でいてくれるのだけれど。ただプレーヤーが小桃先輩を選ぶと人格が激変する(コワれる)から、くれぐれも御注意を。
 早いうちに小桃ルートに入って竜也のこのコワ過ぎる一面を見てしまうと、下手をすると竜也の顔を見るだけで軽いトラウマになってしまうかも。「おい、今度はナニをされるんだ?!」ってね。
 黒沢も小桃ルートをやった後は、他の子とのルートをプレイしている途中で竜也の顔を見ただけで、ガクガクブルブル……って感じになってしまったよ。
 まっ、二木竜也のようなケースは極端にしても、一人の女の子を巡って友人同士で争った場合、現実には友情は修復不可能になってしまう場合が殆どだよね。そういう意味でも、初恋』はある程度恋愛経験も人生経験もある大人向けのゲームだと思うよ。

 近親相姦(?)アリ、JCの教え子を自宅にお泊まりさせちゃう“エロリ教師”アリ、スネーク&粘着アリ、そして自殺もアリと、コンシューマー用のギャルゲーの常識を覆す展開の連続なのだよ、この『初恋』wwwwって。
 だからリアルな恋愛経験が殆ど無くて、薄汚くて残酷なこの世の現実を受け入れられないギャルゲーのユーザーには評価も低かったのではないかと、黒沢は勝手に推測しているのだけれど。
 って言うか、現実の恋愛を知らない男子って、女の子をどうしても理想化し過ぎちゃうんだよねえ。で「可愛くて女らしくて性格も良くてモテモテなのに、主人公を一途に慕ってくれる」みたいな、二次か脳内のセカイにしか存在しないような“男に都合の良い女の子”しか認められなくなっちゃう。

 言いたいコトはわかるよ。
「いーんだよソレで。ギャルゲーなんて元々“年齢=彼女いない歴”の喪男の願望を満たす為のものなんだから、リアルさなんて要らネーんだよ
 そう思ってる人って、実際少なくないと思う。
 でもそれでは、ギャルゲーはいつまで経っても一般の人たちからバカにされる、キモオタの妄想レベルのままだよ?
 黒沢は「ギャルゲーだって、映画や小説と同じ立派な文化」って思ってるからさ、萌え系のオタだけのモノにしておきたくないし、そういうモノだと思われるのも厭なんだ。
 だから現実に恋愛もして、それなりに人生の痛みも知ってる人の鑑賞にも耐えるくらいの深さやリアルさが、ギャルゲーにも必要だと思うんだ。
 そういう意味でも、『初恋』の出来はかなり良いと思うよ。

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妹と『初恋』➂・杏ルートはガチな近親××?

 人の好みって、なかなかに難しいものでさ。例えば自分では「オレは妹タイプの年下のコが好き」とか思っていても、実際には「年下の可愛いコなら誰でもOK」とはならないものなんだよね

 例えば『Sister Princess』って、ギャルゲーに縁のない人でも名前ぐらいは知っているのではないかな? 何と“妹”ばかり12人も出て来るという、妹系の究極みたいなゲームなんだけどね。
「なら、妹萌えのオタはウハウハじゃん?」とか、つい思ってしまうよね。
 でもその“可愛い12人の妹たち”の中でも「○子は大好きだけど、×子は大キライで、寄って来られたら殴ってやりたいくらいだよ!」みたいなプレーヤー、レビューを見てみると意外なくらい多くてさ。
 ま、黒沢はさすがに「殴ってやりたい!」とまでは思わなかったけどさ。それでもこの『Sister Princess』の“妹たち”のうち、可愛いと思えたコより苦手なキャラの方が多かったよ。

 そーゆー意味でこの『初恋』で妹として登場する初島杏は、黒沢のツボにハマったと言うか、かなり好きなキャラだったよ。
 元気でノリが良くて、お兄ちゃんコトを好きなんだけれど、ベタつくという感じてはなくて。そしてプレーヤーであるお兄ちゃんをからかっては、「罠だよ」って笑うのさ。
 そういう明るめのノリで仲が深まって行っただけに、「きっとそのうち、実は血の繋がりは無いんだ……って判るんだろうな」と思いながらゲームを進めていたワケ。
 でも実際には、話がどれだけ進んでもホントの兄妹っぽいままで、二人の関係が親にバレると家庭は崩壊するし、主人公も妹と無理矢理引き離されて……という、何とも重い展開になってしまうんだ。

 実はこの『初恋』の杏ルートには、「二人は本当の兄妹ではない事が判明する」という、ありがちだけれど安心できるエンドもあるらしいのだけれど。でも黒沢はその結末にたどり着けなくて、「一応ハッピーエンドらしいんだけど、何だか後味が悪いなあ」という終わり方しか出来なかったよ。
 でも本物の妹に邪な感情を抱いている世の“お兄ちゃん”達にとっては、それだけでも貴重なゲームではないかな、この『初恋』って。だって非エロゲのプレステ2で、実の妹とのヤヴァい恋愛が疑似体験できちゃうんだよ?

 この初島杏について、ネットのレビューでも「血の繋がりのある実の妹説」と「本当は血縁のない義兄妹説」の両方があってさ。
 簡単に言うと、
「大方のプレーヤーは、杏を実の妹と思いながらゲームを進めていて」
「一方、杏とは本当は血の繋がりはないという疑惑は根強くあり」
「でもその確証(義兄妹だったとわかる場面)は突き止められていない」
 というのが実状なんだよね。
 実はこのブログを書くために、黒沢は『初恋』の初島杏編を改めてプレイし直してみてさ。それでその一応の結論にたどり着いてしまったのだ。
 ハイ、主人公とこの初島杏は義兄妹が正解デス

 その根拠は、二人は兄妹でありながら同じ学年だということ。物語が始まる時のその初期設定だけで、勘の良い人なら「あ、この兄妹は血縁は無いんだな」とピンと来る筈。
 一度出産した後に、女性がどれくらいの期間でまた妊娠できるかは、黒沢にはわからないけれど。ただ妊娠期間は普通十ヶ月だから、「兄が四月生まれで、妹は翌年の三月生まれ」というパターンなら、「実の兄妹で同じ学年」というケースもアリかも知れない。
 或いは妹の方がかなり早産で、予定より数ヶ月も早く生まれてしまった、とかね。
 それにもし二人が双子だったら、当然同じ学年になるし。
 ただ何気ない台詞まで注意して聞いていたら、そのどちらでもないことを示す決定的な発言があって。
 二人の仲が噂になった時、友達に「お前、杏ちゃんのことが好きなんじゃないか?」と問いつめられて、主人公はそれを否定した上で、「生まれたのも一月しか違わないしって答えてるのさ
 うん、だから初島兄妹が同じ学年なのは、早産の結果でも双子でもなく、間違いなく義兄妹……ってことなんだよ。

 でも「血の繋がりは無い」とはっきり言っている部分は、ストーリーの中で(黒沢の知る限りだけれど)全然無いんだよね。両親は子連れ同士の再婚だったとか、兄妹のどちらかが訳アリで貰われてきた子だったとか、そーゆー会話や説明もホントに無いんだよ。
 その上二人の仲がバレると、両親からメチャメチャ責められた上に、強引に引き離されちゃうんだよね。親はもうマジで離婚という騒ぎになるし、母親は妹を連れて別居して、妹も転校もさせられちゃうし、父親はその心労で倒れちゃうし。
 もし血が繋がってないんだったらさ、二人が好き合ったら、親としては普通は喜ぶんじゃないかなー。手放しで喜ぶとまでは言えないまでも、少なくともヘンな相手に引っかかるよりずっと安心できるよね?
 でも二人の仲が親バレした時の責められ方と言ったら、どう考えても実の兄妹としか考えられないくらいの理不尽さなんだよ。

 だからこの『初恋』の杏ルートをプレイした殆どのプレーヤーは、「うわ、マジで近親相姦しちゃってるじゃん」って思った筈。事実ネットのレビューを見てみても、そう受け取ってる人が殆どだしね。
 だって、例の「生まれたのも一月しか違わない」って一言に気づかなければ、ホントにガチで兄妹の近親相姦としか思えないんだよ。この杏ルートの最初から最後まで、義理の仲だとはっきりさせる場面は一切ないし、グッドエンディングでも二人の仲は祝福はされないままだしね。強硬に反対していた親たちも、許すんじゃなくて根負けして黙認という感じで……。

 これは黒沢のゲスパーだけど、『初恋』の杏ルートはわざと実の兄妹と思わせるように作っているのではないかな。そして妹好きのプレーヤーにゾクゾクするような背徳感を味わわせて、でもCEROとかの審査用の対策に、「生まれも一月しか違わない」の一言を、そっと台詞に混ぜ込んでおいてさ。
 もし審査で「近親相姦はマズいだろ!」と責められたら、その台詞を出して「いやこの二人、血の繋がりなんか無いんですよぉ」って。

 この『初恋』はキャラ絵も幼っぽく可愛い感じで、ストーリーも序盤は絵柄に合ったほのぼのムードで進んで行くんだけれど。それが中盤から一転して、ジャケ絵やキャラ絵のイメージと全然違う、大人向けのドロ沼&鬱展開になって行っちゃうから驚くよ。
 コンシューマー用に移植されたPS2版とは言え、何せ元は18禁のPCゲームなんで、中身はしっかり大人向けだったりするから、ジャケ絵のイメージにダマされないよう要注意デス。
 
 
 

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妹と『初恋』②・意外な良作デス

 チラ裏の自分語りを延々と続けて前置きが長くなり過ぎたけれど、今回紹介したいゲームは、プレステ2版の『初恋-first kiss-』でアリマス。

初恋-first kiss-(初回限定版)初恋-first kiss-(初回限定版)
(2005/06/30)
PlayStation2

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 前回、「黒沢は『同級生2』で鳴沢唯を知って、自分が“妹系”のコを意外に好きだということに初めて気づいた」と話したけれど。
 そのことを自覚してからはもう、現実の恋愛でも年下の子にばかり目が向くようになってしまってさぁ。それまでは大人っぽい子ばかり好きになってたのに、引き返せないロ○の道への転落……ってか?
 でもゲームのセカイの中でなら、18歳未満の妹キャラを好きになっても、何も問題ないワケで。

 ギャルゲーって、例の“血の繋がりのない妹”が当たり前のように出てきちゃうけど。って言うより、その種の妹キャラが出て来ないゲームの方が少ないくらいなんじゃないかな。
 ただいくら今は離婚&子連れ再婚が増えてきたとは言え、血の繋がらない妹なんて、現実には滅多に居ないものだよね?
 それにもしキミを「お兄ちゃん」と呼んで慕ってくれる可愛い年下の子が現れたとしても、実は甘えられるだけ甘えて見返りナシの愛情だけ吸い取ろう……って魂胆の、かなり駆け引き上手で強かな小悪魔チャンばかりなのさ。この黒沢が出会ってきた“妹たち”みたいなね。

 愛情から金品まで、スマイル0円でいろんなモノを持って行っちゃうからね、血の繋がらない三次の妹ってヤツは。
 いや、スマイルすら無いままいろいろムシリ取って行っちゃう“血縁有りのリアルな妹”に較べれば、それでも少しはマシなのかも知れないけどね。

 それはともかくとして。可愛い妹って、男にとってはそれだけ魅力なんだろうね。
 だから女の子たちも、自分に気があるらしい男を巧く扱いたければ、「お兄ちゃん」って呼んで甘えるテクを身につけると良いかも。何たって“妹”なら、エッチ無しで思い切り甘えてもOKだしwww。
 血の繋がらない妹って、考えてみるとホントに美味しいポジションなんだよね。
 普段は友達以上に仲良くしながら、「兄妹なのだから」とエロい事は一切ナシで。でもお互いその気になったら、「血は繋がってないし」という事で恋愛も結婚も可なのだからね。


 血の繋がらない妹って、男の立場から見てもメリットがあって、その時の都合で妹にも彼女にもできちゃうワケで。
 普通の女友達以上に仲良くしながら彼女にはしなくても、ホントに恋人にしてエッチしちゃっても、男としても心はそう痛まないでしょ? だからギャルゲーには欠かせないキャラなんだよね、血の繋がらない妹って。

 ところが今回ご紹介する『初恋』って、何と実の妹っぽいコとガチな恋愛が出来ちゃうんだよね。なのにイロイロ規制の厳しいプレステ2からも出されてて、さらにCERO(←家庭用ゲームの映倫みたいなモノ)の審査でも、17歳でも15歳でもなくただの12歳以上推奨で通っちゃってるのだ。
 実はこの『初恋』も、他の多くのプレステ2のギャルゲーと同じように、PC用の18禁のエロゲ移植したものなんだよね。だとしても、それとなく匂わせてる程度とは言え、実の妹とデキちゃうギャルゲーがコンシューマー用で出されてるとは思わなかったデス。

 ぶっちゃけ言うとこの『初恋』は、実際にプレイした人たちがレビューを寄せるサイトでの評価は、かなり低い方なんだ。だからか中古ゲーム市場での相場も安めで、黒沢も480円という値段だけ見て、他のお目当てのゲームを買ったついでに一緒にゲットしたんだけどね。
 でも黒沢個人としてはこのゲーム、大人も楽しめるかなりの良作だと思ったよ。ただ見過ごしにくい穴やアラが幾つもありまして、傑作や神ゲーとはほど遠い存在ではあるんだけどね。
 
 で、次回はその『初恋』の良い点、気になった点について語りたいと思いマス。
 
 

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妹と『初恋』①・血の繋がらない“妹”は好きデスカ?

 まず前提として言っておくけれど、ワタクシこと黒沢一樹は、両親に姉と四人家族で育ったんだ。
 けどソレとは別に、この黒沢には“妹”が三人ほどいたりするのでありマス。それも実の妹ではなく、ギャルゲー&ちょっとHな青少年向けマンガwで定番の、血の繋がらない妹……ってやつが。

 いや、二次好きの人たちの“俺の嫁”みたいな、非実在の脳内だけにいる妹とかじゃないって。みんなリアルに実在する、三次の女の子だし。
 と言っても、別に「親が再婚して云々」とか、「姉の結婚相手の妹」というのでもなくてね。

 人間、長く生きていればイロイロなコとがるものでさ、この黒沢にも、「お兄ちゃんになって!」と言ってきた女のコが三人ほど居たのだ。
 そのうち二人はちっちゃくて可愛い系で、もう一人は身長170cm超かつバスト88cmDカップの、時々地方のミスコンに出たりバイトでモデルをしたりしてるようなコでさ。
 そんなコ達に「ワタシのお兄ちゃんに……」って言われて、「ヤだ!」とか言える筈ナイよね。

 というワケで黒沢には、血縁の無い“妹”がマジで三人いたのだよ。ただそのコらと仲良くしていた時期が被ることはなかったから、「同時に三人」って言うんじゃなくて、「黒沢を“お兄ちゃん”って呼んでくれる血の繋がらない妹が、いつも一人いた」って感じだったけどね。
「なら、その“妹”たちが実在した証拠に画像をupシロ!」とか言われても、相手のプライバシーの問題があるから、それはちょっと無理だけれど。だってその妹たちはみな結婚しちゃってるし、彼女たちの家庭に波風立てたくないし。
 だから「妄想乙」とか言いたいヒトは、お好きにそう言ってて下さいデス。

 ……とまあ、そんなワケで黒沢には、「お兄ちゃん」と呼んでくれる妹(血縁ナシ)が三人もいたのだけれど。
 マンガやゲームでおなじみの“血の繋がらない妹”に憧れているキミ、「この妹ハーレム野郎め!」とかムカついちゃいマスか?
 イヤ、でもこのリアルな血縁ナシの妹っての、現実には絶対オイシイ話ではない。だって妹はあくまでも妹であって、彼女ではないのだかね。

「男女間に友情は成立するか?」という件について触れてしまうと、結論の出ない難題になってしまうから、ここではあえて足を踏み入れないけれど。
 告白してフラれる場合、完全にダメというのとは微妙に違う、遠回しな断られ方があるよね?
 ほら、「ゴメンなさい。恋人として付き合うとか言うのはちょっとムリだけど、これからも良いお友達でいてネ」ってアレだよ。
 こういう巧いフラれ方をした人、キミの周りにも一人や二人はいるのではないかな?
 ま、これってぶっちゃけ「ワタシはアナタの気持ちに応えるつもりはナイけど、アナタはこれからもワタシを好きでいて優しくしてネ」みたいな、女の人にのみ都合の良いお話なんだよね。
 だから当然、オトモダチとは言うものの、実質は相手の子の下僕に近い状態になっちゃいがちなんだよねえ。

 ちょっと前のNHKの連続テレビ小説『おひさま』に、タケオ君っていたじゃん。気は良いのだけれど見かけは冴えない幼なじみで、ヒロインの陽子のことをずっと好きで。けど陽子はそのタケオ君に親切にされつつ、その気持ちに気づかぬフリをして他のイケメン君と結婚しちゃうんだ。それでもタケオ君は陽子が好きで、採れた野菜とかを貢ぎ続けてさ。
 例の告白されて「これからも良いオトモダチで」っていうのは、まあそんな感じで「彼氏にはしないけれど、ずっと手元に置いておいて“ベンリ君”として飼い殺し」ってコトなんだよね。

 ただ、実質は下僕も同然だとしても、建前としては“友達”だからね。甘えて利用するにも、やはり限度ってものがあるワケで。
 例の『おひさま』の陽子とタケオ君みたいなイビツな“友人関係”って、当人同士はそれで良くても、周囲の目もあるし、眉を顰める人達だっているだろうし。
 友人関係って、一応は対等なものだから。彼氏でもないただの“友達”の男に、いつも頼りっ放し、オゴられっ放し……ってワケにはいかないよね。
 でも相手が“お友達”ではなく、“お兄ちゃん”だったらどうだろう?
 これがノープロブレムなんだよな、困った事があったら何でも相談して頼りっ放しで、一緒に遊びに出掛けた先でもいつもオゴらせ続けたって

津軽通信 (新潮文庫)津軽通信 (新潮文庫)
(2004/10)
太宰 治

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 太宰治の『津軽通信』って本に収録されている『チャンス』という作品の中に、こんな一節があってね。

 いま私の傍の辞苑をひらいて見たら、「恋愛」を次の如く定義していた。
性的衝動に基づく男女間の愛情。すなわち、愛する異性と一体になろうとする特殊な性的愛。」
(中略)異性間に於いて恋愛でもなく「愛する」というのは、どんな感情だろう。(中略)よくキザな女が「恋愛抜きの愛情で行きましょうよ。あなたは、あたしのお兄さまになってね」などと言う事があるけれど、あれがつまり、そうであろうか。しかし私の経験に依れば、女があんな事を言う時には、たいてい男がふられているのだと解して間違い無いようである。

 わかるかい? この黒沢を「お兄ちゃん」と呼んでくれていた三人の女の子に、実は黒沢は実質フラれていたのだよ
 ぶっちゃけ言えば「愛情はたっぷりちょーだい、困った時はいっぱい頼りたいし、遊びに連れてってもほしいしオゴっても貰っちゃうけど、エッチとかはナシね?」ってコト。

 もーね、お友達と違って妹との関係って、ホントに一方的に“ギブ”ばかりで、“テイク”なんてまず皆無だから。ま、返って来るモノがあるとすれば、かの「スマイル0円」ってヤツくらいだね。
 で、黒沢の「愛する異性と一体になろうとする性的愛」はと言えば、行き場の無いままずっと宙ぶらりんのままだよ。
 ゲームやマンガみたいに、可愛い誰かに「お兄ちゃん」と呼んでほしいキミたち、それでも“血の繋がらない妹”が欲しいかい?

 自ら与えるだけで、見返りは何も求めない
 もしキミに「ワタシのお兄ちゃんになってネ」と言って甘えて来る女の子が現れたとして、その関係に耐えられるのは、そんな神様みたいな深い愛情の持ち主くらいだから。

 ちなみに太宰は、例の『チャンス』という作品の中でこうも書いているよ。

「愛する」もクソもありゃしない。お兄さまだなんてばからしい。誰がお前のお兄さまになんかなってやるものか

 血の繋がらない“妹”が三人もいた黒沢としては、心の古傷を密かに嘗めながらただ苦笑いするしかないdeath。

 数は少ないと思うけれど、もしこの駄文を読んでくれている女の子がいるとしたら。貴女が「彼氏にする気はないけれど、フッて手放してしまうのも惜しい」という程度の男にコクられた時には、
「これからも良いお友達でいてね」
 ではなく、
「あたしのお兄ちゃんになってね」
 と言いませう

 そうすれば代償はスマイルのみで、後は思い切り甘え、美味しい部分だけ遠慮なくシャブり尽くせるからね
 え、「それはムリ、だって私にはホンモノの兄貴がいるし」って?
 心配ないデス、そんな場合には「ウチの兄ってバカでエッチでイジワルで、もうサイテーって感じなの。だからもし○○サンみたいな優しいお兄ちゃんがいてくれたら……って、ずーっと思ってたの」って、ウルウルさせた瞳で上目遣いにじっと見詰めてあげれば、大抵の男はオチるから。

 ……考えてみれば、黒沢をお兄ちゃんと呼んでくれた“血の繋がりのない妹たち”って、顔は可愛いけど駆け引き上手というか、どの子もかなりの恋愛巧者ばかりだったような気がするよ。
 その“妹たち”は、自分がフリーの時は甘えるだけ甘えるんだけど、本命の彼氏が出来ると黒沢の手元からすぐ離れて行っちゃうんだよねえ
 ま、建前は“兄と妹”なんだから、それは当然と言えば当然の事なんだろうけどさ。けど血縁も何もない赤の他人の“お兄ちゃん”になんて、かなりの好意を持ってなきゃなる筈無いだろ、っての!

 それまでかなり仲良くしてた女の子に、「ワタシのお兄ちゃんになって?」と言われてオーケーする。そこには「兄代わりとして側にいるうちに、もっと親密な関係になれるのでは」みたいな下心が、やはりあるワケで……。
 だって“お兄ちゃん”って、彼氏ではないにしても、ただの友達よりずっと前進、って感じがするし、その後の進展とか男としてはやはり何か期待してしまうよ。
 ま、女の人には「もし好きな男の人に、お前はオレの妹だから……なんて言われたら、フられたんだってすぐ解るよバーカ」って言われちゃいそうだけど。
 でももし年下の可愛い男の子に「ボクのお姉さんになって!」なんて言われて甘えて来られたら、女の人だってやっぱり何か期待しちゃうんじゃないかい?

 それはともかく、例の“血の繋がりのない妹たち”にとって、黒沢はあくまでも彼氏としては不合格な存在でしかなかったようで……。で、「いろいろ大切にしては、他の男の許に去られて」という繰り返しだったよ。
 萌え系のマンガやギャルゲー顔負けに、血の繋がらない妹が三人もいた黒沢のコト、これでも羨ましいデスか?

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