空と虹と恋と

 大好きな写真のこと、そしてゲームやコミックスの話から歴史&時事問題まで、思いつくまま雑多に語ってみたいと思っております。さらに筆者の度重なるイタい失恋話についても、どうぞ憫笑しつつお読み下さいまし。

姉系はビミョー⑩・相性の不思議

 不思議なもので、“好き”と“嫌い”を分けるものってすごく微妙で紙一重、って気がするよ。

好きになるタイプのコは、嫌いなタイプと正反対」って、普通そう思っちゃうよね。
 だから黒沢は今も「姉なんて大っキライ、イラネ」って感じで、リアルの恋愛でも妹系のコばかり求めてきたけれど。
 で、実際の恋愛でも年下のコとばかり付き合ってきてさ。
 けどそのお付き合いしてくれた“年下のコ”の家族構成を聞いてみると、下に弟がいて、家の中ではお姉ちゃん」って子が多かったよ。

 ま、だからこそ彼女たちも「甘えられる優しいお兄ちゃんが欲しい」って思っていて、可愛い妹が欲しかった黒沢と需要と供給が一致した結果、うまくいっちゃったんだろうけどね。
 でもホント、家族に弟のいるコとは不思議なくらいすぐ話が合って仲良くなれてさ。
 その反対に、家族は父親以外はみな女って環境で育った、いかにもオンナノコって感じの女の子には、黒沢は笑っちゃうくらい好かれなかったよ。
 で、実際に何度も失恋して、痛い思いもイヤと言うほどした結果わかった事なんだけど。いかにも「女ばかりの家族で育ちマシタ」って感じの女度の高い子って、黒沢とは五行相剋って言うか、殆ど天敵レベルに相性が悪いようなんだよ。相手の年が上か下かにかかわらず、ね。

 女のキョーダイ(しかも年子)がいたおかげで、女の子と話すのに慣れていて。
 女のイヤな部分と言うか実態(裏表)みたいななものも、けっこうわかってて。
 そんな黒沢だからこそ、女系家族で育った女らしい子とは相性が良さそうなモノだけど、実はその真逆なんだ。

 って言うのはさ、男と女は、考え方から感じ方まで根本的に違うから。そして男も女も「無いモノねだり」と言うか、自分に無いミステリアスな部分を持ってる相手に恋しちゃうものなんだよね。
 だから意外なようだけど、女のキョーダイしか居ない、いかにも女の子らしいコって、女の気持ちなどカケラもわからなそうな体育会系のゴツいヤツを好きになっちゃう率が高いよ。

 この「いかにも女の子らしいコと、女心になど縁も無さそうなマッチョ」のカップルって、コレが案外うまく行くんだな。
 って言うのは、オトコという生き物”と“オンナという生き物”について、お互いに幻想を抱いてるから。で、男は彼女をお姫さまかコワレモノのように扱うし、女の子の方から見ても鈍感だけど何でも言う通りに従ってくれる男は、下僕兼王子サマって感じで頼ってうまく使えるものね。

 乙女っぽい女の子とマッチョ男のカップルって、ズバリ言えば「女が男に対する、男が女に対するお互いの幻想」が壊れにくいんだよ。雑誌やマンガなんかで得た「男(女)という生き物は……」って知識通りに行動しても、そう間違いなくて。
 だからその逆の黒沢みたいに、女の子同士の会話にも(何の照れも見せずに)スッと入って行けて、しかも女の子の実態も知っていそうなオトコってのは、女度の高いコからすれば自分たち女の手の内も見透かしていそうな“敵”とも言えるイヤな相手なんだよね。

 何しろ(姉や妹のおかげで)女のイヤな部分も裏の汚い部分も知ってるし。だから女の子に幻想なんてあまり抱いてないし、コワレモノだなんて思っても無いしお姫サマ扱いなんてしないしね。
 だから黒沢と同じ「女のキョーダイがいて、女に対してあまり幻想も持ってない」男には、やはり「男のキョーダイがいて、男の実態も知ってる女の子」が合う……ってのが現実なんだ。
 で、黒沢と結局うまく行くのは「あまり女度の高くない、明るくサバサバ系でフレンドリーなコ」だったんだよね。相手の年が上か下かに、かかわらず。

 ただ実際の恋愛では、なかなか自分や相手を客観的に眺められるものじゃないからね。だから「何故こういうタイプのコとは合わないだろう」って理由に気付けないんだよ、同じ失敗を繰り返し重ねても。
 けどギャルゲーをやる時は、自分の分身である主人公の言動を、一歩引いて脇から第三者的な目で見たりできるからね。
 で、本来の好みは妹系の可愛い子なのに、いざプレイしてみると、苦手な筈の“年上のお姉さん”が一番好きになってたりして
 あと、「黒系の魔術師とか魔界の人とか宇宙人とか、得体の知れない変わった人に魂を持って行かれちゃいやすい」という、自分でも思ってもいなかった弱点にも、ギャルゲーのおかげで気付かされちゃったし。

 だから「自分は、こういうタイプは苦手だし絶対合わない」みたいに決めつけちゃダメ……って、ホント思うよ。最初からそう思いこむんじゃなくて、せっかく誰かと知り合えたなら、とりあえず仲良くしてみなきゃ損だよ。
 だって、元々苦手と思ってた相手なんでしょ? ならうまく行かなくたって、少なくとも損にはならないよね。
 けどもしも案外話が合って仲良くなれれば、それこそ丸儲けじゃん。

 まーね、学校とか職場とか現実のセカイで、いきなり苦手なタイプの子と仲良くしようとするのは勇気も要るし、下手すりゃ「何の罰ゲームだよ?」って感じにもなりかねないけど。
 だからとりあえずギャルゲーで、苦手と思ってるキャラとお試しで仲良くしてみてごらんよ。姉にはトラウマに近いモノのある黒沢でさえ「姉系にも、実は好きになれる人もいたんだな」って気づいたみたいに、新しい発見があるかも知れないよ?
 それに現実の世界でなくゲームの中でなら、フラれても別に心もそう痛まないし、イヤになったら途中で他のコに乗り換えちゃえばイイんだからさ。

 黒沢って元々個性があり過ぎるし(←有り体に言えば変わりモノ)、好き嫌いもかなりある方デス。だから小学校の学級目標によくある『みんな仲良く』みたいのは「絶対ムリ!」って思うし、誰にだって「どうしても好きになれない、キライな相手」がいて当然、って思ってる。
 それでも好きなタイプが増えるのは、やっぱり良いことだと思うよ。付き合える相手が増えるってのは、大袈裟に言えば「キミのセカイが広がる」って感じかも。
 で、まずギャルゲーで「好みでないタイプの子」の意外に可愛い一面を見つけられたなら。次はリアルの世界でも、内心「苦手だな」と思ってる子にも、思い切って話しかけてみようよ。

 さて、妹に続けて今回は姉について(ダラダラ、長々と)語ってきたけれど。
 ギャルゲー的な萌え属性から考えて、次はツンデレか猫耳……って言いたいトコだけど、どっちもアキバ以外のリアルには存在しないからなー。
 で、次に恋愛に関して語る時には、そのどちらでもなく、幼なじみについて語ってみるね。
 ハイ、ギャルゲーやラブコメ系のマンガには欠かせないお馴染みさんのキャラだけど、現実には「近くて遠い」、あの幼なじみでアリマス。

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姉系はビミョー⑨・黒沢が惚れたお姉さま方

 姉、そーだよ、話が脱線しまくりで黒沢もつい忘れそうになっちゃうけど、今回のテーマはあくまでも姉キャラについてだったね。

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 ヒロインは全員強気なコ……って設定の、『つよきす!』というゲームがありまして。
 その主人公の悪友のフカヒレ君は、日頃はとってもおバカで脳天気なのだけれど、小さな頃から性悪(ドS?)な姉に虐げられ続けた結果、ただ「姉」って聞いただけで固まってしまうほどになってしまって。
 そのフカヒレくんレベルのトラウマを抱えている黒沢に「好きだぁー!」と叫ばせた、黒沢の理想の姉こそ、例の『トゥハート2』のタマ姉であります。

 タマ姉はもう「タマ姐さん」って呼びたくなるくらい強いしコワいけど、でもそんなの全然気にならなくなっちゃうほど優しくて可愛くもあるんだ。
 タマ姉の優しさってのは、何て言えばいいだろう、ヒトから良く思われる為や、弱さを隠す為の見せかけのものじゃなくて、相手の為を思っての心からの優しさなんだ。
 うーん、だから「ちょっと天然入ってて、いつもニコニコしていてホンワカして優しい」みたいな、典型的なお姉さんキャラを望む人は、多分好きにならないと思う。その分、黒沢みたいに“天然系のお姉さんキャラ”が好きでない人にこそ、自信を持っておススメできると思う。

 タマ姉の魅力は、黒沢が拙い文であれこれ言うより、とにかくご自分でプレイしていただく方が何倍も良いと思うけれど。
 ただこのタマ姉、攻略は意外に難しい。黒沢もタマ姉に惚れていろいろ頑張って、それなりに仲良くなれた筈だったのに、何度バッド・エンドを迎えたことか……。

 せっかく「試しにやってみよう」と思ってくれた人に、黒沢みたいに時間の浪費をさせたくないし。かと言って攻略方法をそのまま教えてしまったら、プレイする楽しみを無くしてしまうよね。
 で、ネタバレにならない程度にボカして言うと、このタマ姉の攻略は「ある程度の社交辞令と人当たりの良さが身についた大人のプレーヤーには、意外に難しい」って感じかな。
『トゥハート2』は三月から始まるのだけれど、タマ姉は新しい学年が始まるのに合わせて、四月に主人公の高校に編入して来るんだよ。そしてこのタマ姉、意外に独占欲が強い面もあるようでして……。
 しかも高いプライドからか、その独占欲を心の底に押し隠してしまうのだから、プレーヤーはなかなかそれに気付かないんだよね。


 このタマ姉、リアルの恋もギャルゲーもいろいろしてきた黒沢(しかも“姉”にトラウマあり)から見ても、すっごく魅力的なキャラなんだけれど。ただギャルゲー慣れしてる一人として言わせてもらえば、タマ姉の攻略は二巡目以降にした方が良いと思う。
 初回のプレイでは、ゲームの途中から現れたタマ姉にどれだけ魂を持って行かれても我慢して、涙をのんでゲーム当初に出逢ったうちで一番気に入ったコをそのまま攻略するの。
『トゥハート2』って元々とても良くできたゲームだと思うけど、タマ姉に関してはその方が『トゥハート2』の世界をより楽しめると思うよ。


 と言いつつ、実を言うと『トゥハート2』で黒沢の一番のお気に入りのキャラは、実はタマ姉ではないのだ。全国のタマ姉ラブの人達に呪い殺されてしまいそうだけど、タマ姉は黒沢的には次点で、一番のお気に入りは自称宇宙人の“るーこ・きれいなそら”こと、ルーシー・マリア・ミソラさんなのでした。

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 前作の『トゥハート』でも、真っ先に攻略を目指したのは来栖川綾香お嬢様(オカルトや黒魔術がスキ)だったし、例の「妹ばかり十二人」で有名な『シスター・プリンセス』でも、一番好きなのは千影ガチで魔界のヒト)だったし……。
 一番スキになるのが、黒魔術使いや魔界のプリンセスで、挙げ句の果てに宇宙人……って、そーとー病んでるよね、黒沢も。
 そう言えば『はぴねす!』でも、不幸を占わせれば的中率ほぼ百パーセントの、ミステリアスな高峰小雪先輩が一番好きだったよ。

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 この小雪先輩は良い家の出で黒髪ロングで、一見おっとり系のお嬢さま風なんだけど、実は芯は強いし何が起きても動じないし、優しいんだけど主人公をからかうのが好きで、ちょっとイジワルだったりもして。
 ……この小雪先輩、表面的にはともかく、中身はある意味ちょっとタマ姉と似てる部分があるかも。

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 そう言えばドロドロの三角関係テンコ盛りの鬱ゲーの代表格『メモリーズオフ』の中でも、シリーズを通して黒沢が一番好きなのは、第四作『それから』の花祭果凛さんなんだ。お嬢さまでしかも主人公より二つも上なんだけれど、気取らず気さくで強くて、前に向かってしっかり歩いてく……って感じで。
 年下のコの「お兄ちゃん!」って甘え攻撃に黒沢が弱いコトは、以前にも話したけれど。何しろ“血の繋がらない妹”を、リアルに三人も作ってしまったくらいだし。
 で、例のメモオフ・シリーズの『それから』には、もう「お兄ちゃん命!」みたいに主人公を慕ってくれる、っていう血の繋がらない可愛い妹も出て来るんだよね。
 けど黒沢にとってのNo.1は、その妹ではなく年上の果凛さんなのでありマシタ。

 黒沢はリアルの恋愛でも、実際に付き合ったのはみな年下の女のコばかりで、年上の姉タイプなど天敵としか思ってないデスよ、今でも。
 なのにギャルゲーをやってみると、年上の姉キャラを一番好きになっちゃったりするコトも珍しくなかったするんだよねぇ……。
 ただ好きになる年上キャラは「ホワンとした天然系の優しいお姉さん」じゃなくって、いつも必ず「強くて凛とした姐御系」ばかりなんだけれどね。

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姉系はビミョー⑧・タマ姉、大好きデス

 長すぎるよね、自分語りが。
 でも話し切れていない思いがまだ山ほどあるくらい、姉のことは黒沢のトラウマになってるんだよね。
 だからギャルゲーのみならず恋愛小説でもマンガでもドラマでも、姉的な年上キャラには黒沢は殆ど萌えられないのだよ。

 特にギャルゲーの場合、年上のお姉さんキャラっていうと、「大人で優しくて女らしくて、ホワンとした感じで包容力があって、主人公が何をしても微笑みながら見守っていてくれて……」みたいな感じが多いよね。
 それこそズバリ、黒沢の姉が外で演じていた姿そのものなんデスよ。
 でもその“優しいお姉さんキャラ”を演じる為に、外では無理をし過ぎてストレスを溜め込んでしまうワケ。で、家に帰って常態に戻ると、些細なコトでヒスって家族に当たって、そのストレスを発散……と。

 おかげで黒沢は、年上だろうが同い年だろうが「大人っぽくて優しく、女らしいタイプ」って、どうにも信用出来ないんだよ。「コレはどうせよそ行き用の偽装で、家ではヒスって荒れたりして、全然別人だったりするんじゃないの?」って、疑ってかかってしまうんだ。
 ギャルゲーのヒロインで言えばね、例えば『この青空に約束を』の羽山海巳など、結婚すると豹変する猫かぶり二重人格女の見本みたいなものだと、黒沢の直感がすぐに告げてくれたよ。
 海巳サンは主人公の同級生なんだけど、絵に描いたような「優しくて大人しく、女らしい」系のキャラでさ。今回は姉キャラについて語りたいんで、海巳サンが「何故実際に付き合ったらヤバい女なのか?」については、また別の機会に話させていただきマス。
 実は『この青空に約束を』については、主人公自身のキャラについてもストーリーについても言いたいコトが多々あるんで、いずれ別項を設けて語りたいと思っておりマス。
 

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 でもこの羽山海巳嬢、ギャルゲーマーのオタ君達にはかなり人気あるんだよね。ゲームのレビューでも評価が高いし。
 この海己サンに限らず、コメントから見ておそらく「彼女いない歴=実年齢」であろうギャルゲーマー達にウケの良いキャラって、「現実には絶対に存在しない、オトコにのみ都合の良い子」か、「今の可愛さと優しさはより良いオトコを捕獲する為の擬態で、結婚したら豹変する地雷女」のどちらか……って感じで、彼らの未来の結婚生活を想像するとホント怖いよ。
 姉や妹がいる男なら、女が内と外とでどれだけ態度を変えているか、それなりに知っていると思うけど。黒沢はその落差の激しすぎる例を身近でよく見てきたんで、裏表のある女についての勘はかなり働くつもりだよ。

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 そんな黒沢が、あるギャルゲーの姉キャラを好きになってしまいまして。
 そのキャラこそ、『トゥハート2』のタマ姉こと高坂環サンなのでアリマス。
 このタマ姉は主人公の悪友の姉で、主人公の幼なじみでもあるのだけれど、もう単に男勝りとかいうレベルではない男らしさでさ。何しろ主人公達がまだ小学生だった頃には、地域の子供達のガキ大将そのものだったんだ。
 で、高校三年生になった今では、見かけはナイスバディの美人さんに育ったものの、お人柄は姐御そのものなんだ。サバサバしていて男前な性格で、強い人なんだけれど、気取らずフレンドリーで優しくて。
 だから主人公達は「タマ姉」と呼んでいるけれど、黒沢的には“タマ姐さん”って感じだよ。

 相手が年上でも年下でも、黒沢って「いつもニコニコしていて優しい、大人しくて女らしい子」は心底ダメと言うか、アレルギーがあるみたいでさ。「どーせ本性隠して、ネコ被ってるだけだろ?」って、どーしても疑っちゃう。
 いや、実際そのテの「すごく良い子」って評判の女の子って、ホントにネコ被ってる外面だけの子ばっかりなんだよ。
 だってさー、女神サマでもマザー・テレサの生まれ変わりでもない、ただの若い女の子なんだよ? イヤな事があってもニコニコして、ダメな困った奴にも優しくして、クラスや周りの皆の為に頑張って、それでストレスが溜まらないワケないじゃん
 でさ、そのストレスを、「いつ、どこで、誰に」発散していると思う?
 ……帰った後、家で、家族に対して。これが「皆に好かれる、いつもニコニコしている優しい良い子」の実態なんだよ、マジで。そして家族に当たれないとなると、或いは過食症摂食障害になったり、リスカとかして、そのストレスを自分自身にぶつけてたりもするんだ。

 もう一つ言い添えると、いかにも女の子……って感じの、女度が高い系の可愛い子って、本質は間違いなく「リクツや道理なんて関係ない、アタシのキモチが第一」だからね。
 当然、いざモメると感情的になって話(理屈)が通じなくなる、ヒス傾向の強い子が殆どだから。これ、ガチで確かな事だから、女子に不慣れな男子諸君は気をつけて。
 ソレがわかってるから、黒沢の好きになる子はどうしても、年上だと背筋をピンと伸ばした“男前”な姐御系、同い年や年下だと元気で真っ直ぐな性格のフレンドリーな子……って感じになっちゃう。
 黒沢の好きになる相手って、年上でも年下でも「裏表が少なく、女度はそう高くないサバサバ系の明るく元気な子」って基本のトコロは同じなんだよね。

 女の子って不思議なイキモノでね、相手が年下だと妙にお姉さんぶって、一方手相手が年上だと、ゴロニャンって甘えっ子モード全開の“可愛い妹”タイプになっちゃったりするもんなんだよ。その相手に応じての変身ぶりは、マジでキミら男の想像を超えているからね。
 だから例の「いつも背筋をピンと伸ばした“男前”な姐御」と「元気で真っ直ぐで、フレンドリーで人懐っこい甘えっ子」が、実は同じ女の子だったりする場合もあったりするんだ。ただ相手の男に応じて、ギアとモードを切り替えていただけ……ってやつで。

 同い年の女の子は……うん……同い年の男女が付き合うのって、実はかなり難しいよ。長く生きてきたおかげで、この黒沢にも恋愛経験はそれなりにあるけれど、同い年の相手との恋愛って、ホントうまく行かないコトが多かったよ。
 中高校生なんかで「オレって、何で彼女ができないんだろ」って思ってる人、けっこう多いんじゃないかな。それはね、学生はどうしても同級生を恋愛の対象にする事が多いからだよ
 黒沢もね、同級生を好きになった時には痛い目に遭うことが多かったけれど、年上の人や年下のコとお付き合いするようになったら、うまく行くことが不思議なくらい多くなったよ。

 年上や年下の相手と出会うのって、学生にはそう簡単じゃないかも知れないね。でも部活の先輩や後輩とか、バイト先の仲間とか、同い年以外の異性と親しくなる機会だって、それなりにあると思うけどなー。
 同級生は、恋愛の対象としてなぜ意外に手強いか。それについても、また次の機会に話すね。

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姉系はビミョー⑦・人を見る目などアテにできません

 ……とは言うものの、いくら心の中に「オレはダメなんかじゃねーゾ」って確信があっても、親戚や教師やクラスの皆に「出来損ないの弟」って言われ続けて育つのって、精神的にかなりキツいよ。子供の頃のことを思い出す度に、「よくグレて非行に走ったりしなかったもんだ」って、自分でもよく思うもの。
 白状しマス、非行に走りはしなかったけれど、性格はかなり曲がって育ちマシタ人の善意とか世間の良識とか、そんなモン今でも全然信じてないしね。

 性善説と性悪説ってあるけど、黒沢の人間観は性悪説に近いデス。だからNHKの連続テレビ小説みたいな、「みんな良い人ばかりでホントに悪い人なんて誰もいなくて、主人公の善意に動かされて周囲も含めて何もかも良い方向に転がって行く」って感じの話は、チラ見するだけで胸くそが悪くなってくる
 って言うか、ドラマでもマンガでも、いわゆるハートウォーミングと言われるストーリー、黒沢はまともに見ていられないんだよ。綺麗ごとで塗り固めた、甘っちょろい与太話にしか思えなくってね。
 こんな曲がった性格の黒沢は、ブラック系のシニカルな笑いが持ち味の新井理恵さんって漫画家さんが大好きでさ。その新井理恵さんの『ろまんが』に、だいたいこんな感じの台詞があるんだよ。
「いろいろあって苦労した末に結果として良い人間になった人は、良い環境で良い人たちに囲まれて真っ直ぐ良い人になった人に、生理的な嫌悪感を抱く」
 ……わかる。この感じ、黒沢は本当によくわかるよ。

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 こんな黒沢でも、二年ほど役所勤めをした事があって。その時の上司に、M月って上司が居てさ。
 そのM月を一言で表現すると、体育会系のイヤな部分を寄せ集めたような男だったよ。部下の面倒は何一つ見ず仕事も教えず、それでいて些細なミスを見つけ出しては、嫁をイビる姑のようにネチネチと苛め抜く……という感じでね。

 けどこのM月という男、役所のエラい人達には「すごく良い人」で通ってるんだ。それは体育会系らしく先輩には絶対服従で、エラい人には犬コロみたいに(犬を愛する皆さん、喩えが悪くてスミマセン)尻尾を振って媚び媚びだから。
 さらに酒が好きで、飲むことでも上司に取り入っていて、だからアルコールが苦手で飲みたがらない部下も嫌いで、後で仕事で苛めるんだよね。
 あと、商業高校が最終学歴っていうのがコンプレックスなのか、大学出の部下も目の敵にするんだよ。仕事上の事で何かお伺いを立てても、「オレは知らん」と突き放し、それでいてその仕事の結果については難癖つけて、「大学出てるのに使えないヤツ」って馬鹿にするのも好きなんだ。
 いやー、こんな人間を「犬コロみたい」だなどと言ってしまって、ホント犬に対して失礼過ぎだよね。世の中のお犬サマ達、ゴメンナサイ。

 ほら、子供を虐待する親の場合も、怒鳴ったり叩いたりすれば周囲にもすぐわかるけれど、ネグレクトや言葉での精神的な暴力だと、なかなか発覚しにくいでしょ?
 M月の場合もそれと同じで、部下を苛めてるのは事実なのだけれど、決して怒鳴らず暴力も振るわず、無視して突き放した上で、仕事の結果にネチネチと難癖をつけてくるものだから、その部下イジメ(パワハラ&アルハラ)が外からは見えにくいんだよね。
 で、酒の付き合いは仕事より大切にする上、先輩や上司には媚び媚びだから、「M月はとても良いヤツ」って、役所の上役連中は皆心から信じていたよ。
 イイ年をした、それも肩書きのある立派なお役人さま達の“人を見る目”でさえ、まあそんなものなんだよね。

 だから黒沢が中高校生の頃に出逢った大人達や、ましてやまだ十代半ばのコムスメだった女の子達に、「ホントの自分を判ってほしい」なんて期待する方が、土台無理な話だったんだよね。今になって、よく考えてみれば。
 会社では優しく頼れる人当たりの良い上司が、実は家ではとんでもないDV亭主だった……みたいな話も、世の中にはホントにザラにあるわけだし。
 ただ顔だけでなく、上辺の振る舞いや喋り方や雰囲気なども含めれば、「人は見かけが九割」ってのは、ホントに事実だろうと思う。
 だから周囲の皆に、姉の二面性が見抜けなかったのも、ごく当たり前の事だったんだよ。

「心を開いて話せば、人はみな解り合える」なんて、綺麗事の大嘘に過ぎなくてさ。相手の本当の姿など、実は誰もわかってないものなんだ。
 最も身近な存在で最も心を許せる筈の女の子でさえ、姉の外面を本当の姿と信じ込んで、黒沢のことは「立派な姉にコンプレックスを持つ弟」としか思ってくれなかった。悲しいし寂しいけれど、これが現実ってものなんだよね。

 だから中高校生時代の黒沢は、地元を離れたくて離れたくて仕方がなかった。
 姉は高校を卒業後、地元の国立大学(旧帝大ではないけれど、けっこうレベルは高い)に進学してさ。しかも法学部だよ?
 で、親は出来れば黒沢にも地元の大学に行って欲しかったようだけれど、黒沢は「東京の大学に行く」って頑として言い張り続けたよ。

 当時の黒沢には、「写真家になりたい!」って夢があったから。だからその為にも、「高校を出たら東京に出たい」って思ったのだけど。
 でもそれと同じくらい、「姉が居ない所に行きたい!」って気持ちが強かったんだ。
 姉のことを知る人が誰も居ない土地に行けば、もう誰も姉と比べたりしないで本当の黒沢を見てくれる。そう思って頼れる人など誰一人いない東京に、それはもう期待で胸を膨らませて張り切って行ったんだよね。
 で、今度こそ“本当の自分”をわかって貰えるに違いないと、いろいろ張り切り過ぎた挙げ句に、イタい失敗を散々繰り返してしまうのだけれど、まあその話はまた別の折に……ってコトで。

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姉系はビミョー⑥・バカにバカと言うのは…

世界ノ全テ』ってゲームがあってさ。オリジナルはPCゲームらしいけど、黒沢がプレイしたのは、例によってコンシューマー用のプレステ2版の方でアリマス。
 主人公の宮本浩は高校生で、成績優秀で性格も良い大学生の兄と比べられては「自分は要らない人間だ」みたいに思って苦しんでいて。それでもようやく音楽に生き甲斐を見出しかけるのだけれど、家族も学校の教師も理解してくれなくて……というようなストーリーと思って下サイ。
 この『世界ノ全テ』を、黒沢は共感と反感の両方を抱きながらやり進めたよ。

 主人公の辛さは、黒沢にもかなりわかった。
 ただその主人公の兄ってのは、ホントに優秀で性格も良い人なんだよね。だから黒沢としては、「キミって事実ダメだし、性格もヒネクレちゃってるんだから、出来損ない扱いされても仕方ないじゃん」とも思ってしまって、主人公にどうも感情移入しきれなかったよ。

世界ノ全テ ~two of us~世界ノ全テ ~two of us~
(2006/09/28)
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 その『世界ノ全テ』に限らず、出来の良い兄や姉と比べられてはイジケてグレちゃう弟や妹の話は、ドラマや小説だけでなく実話でもよくあるよね。でもそういう「デキる兄弟へのコンプレックス」の話に出くわす度に、黒沢は「バカがバカって言われるのは、仕方ない事だろーが」って思ってたよ。

 黒沢の場合、自分が姉より劣っているとは全く思って無かったから。
 例えば黒沢は、勉強はすごくしていたと思う。それも「義務として嫌々」ではなく、教科書やテストの点数などまるで関係なしに、他の子供たちが玩具で遊ぶような感覚で好きで楽しんで勉強してたんだ。
 もちろん子供だから、経験や実体験の伴わない頭でっかちな知識ではあったけど、少なくとも得意教科に関しては、中学や高校の教師より詳しいくらいだった。

 そんな黒沢から見ると、テスト勉強はしても教科書の範囲を超えた事には興味を持とうともしない姉は、「知的好奇心の無い、モノを知らないヒトだなー」としか思えなかった。
 って言うか、テストの解答欄を埋める暗記の勉強しかしてないくせに「自分はデキる、頭がイイんだ」とか思ってる人を、黒沢は今でも軽蔑しているよ。
 それに黒沢の姉は、家の内と外で別人格のように態度を変える人だったから。しかも外でイイ子に振る舞うストレスを、家ではヒスりまくって解消していたんだよ。
 そんな姉を、黒沢はどう尊敬して見習ったら良いのかな?
 厨二病とか、イタい部分や欠点もいっぱいあり過ぎの黒沢だったけど。でも黒沢は、少なくとも自分を偽らなかった。家でも外でも、ありのままの自分を見せていたよ。
 コンプレックス? 「あんな風にはなりたくない」ってずっと思い続けている相手に、どんな劣等感を持てるんだろうね?


 でも親戚や教師や同級生達に出来損ない扱いされた上に、好きだった女の子にまで「それはデキるお姉さんへのコンプレックスでしょ、あたしはお姉さんを尊敬してるし」と言われる有り様だよ。
 だから黒沢の人間に対する絶望感と言うか、厨二病は悪化する一方で、人は皆バカばっかり」って確信はますます深まるばかりだったよ。
 その挙げ句に「この愚民どもめを、一体どうしてくれようか」と『我が闘争』を読みふけり、ヒトラーの政治手法を本気で研究してたんだから、ただイタ過ぎる中二病と言うより、今なら心療内科に通院を勧められるレベルかも。
 だから『天空の城ラピュタ』のムスカ大佐なんかを見ていると、昔の自分の姿を見ているようでちょっとイタいよ。

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 でも大人になって冷静に考えてみれば、「教師よりモノを知ってる生徒」って、先生から見れば可愛くないよね。可愛くないどころか、授業の邪魔だしズバリ小憎らしいってレベルかも。

 でさ、姉は成績はトップクラスだけれど、知識は全て教科書の範囲内だから、先生の知らない事を質問して、先生を困らせたり恥をかかせたりすることもないワケ。しかも現役中学教師の母から、どう振る舞えば先生に気に入られるかも、バッチリ教わっててさ。
 だから学校の教師達は、何かにつけて黒沢を姉と比べては、「お前はダメだ、お姉ちゃんを見習え!」と言い続けたよ。

 教師らがそんなだからさ、同級生達も「ダメな弟」ってそのまま受け取っちゃうワケ。そして教師が「お姉ちゃんと違って、お前は……」みたいに言う度に、クラスの皆も笑うワケよ。
 教科書の勉強はしなかったけど、いろんな本を読んでいたから、黒沢はテストの点数もそれなりに取れていて、順位もけっこう上の方だったよ? ナントカ委員会みたいな校内の仕事も、いつも何かしらやっていたしね。
 なのに自分よりずっと成績も下でクラスや学校の委員の仕事も何もしてないヤツに、「出来損ないの弟」って言われ続けたよ。何せ黒沢は、教師たち公認の「ダメな弟」だったからね。
 ……みんなバカばっか。そう思うな、っていう方が無理じゃないかな?


 だから黒沢は「事実デキが悪い兄弟が、もう一方の本当に優秀な兄弟にコンプレックスを持つ話」には、共感より反発しか感じにくいんだよ。だって黒沢は何でも自分の頭で考えて、自分の意志で頑張って姉より高い所を目指して、その結果「出来の悪い弟」って叩かれ続けて育ったからね。
 黒沢が「ホントに出来が悪いなら、兄弟と比べられてダメなヤツって言われても仕方ないじゃん」って思ってしまうのは、そういうワケだよ。

 ただね、『つよきす!』ってゲームの中で、主人公の親友の伊達スバル君(←同級生のすごく良いヤツ)が、主人公にこう言うのだよ。
本当のバカにバカと言っちゃダメだ。それはハゲにハゲと言っちゃならないのと同じだ、わかるな?」
 その台詞に、黒沢は考え込んでしまったよ。

 黒沢としてはさ、『世界ノ全テ』の宮本浩みたいなホントにダメな弟より、黒沢の方が世間からずっと不当に扱われてきたんだゾ……って思ってた。
 でもね、周囲の皆(←親戚一同や教師らなどの大人達も含む)から出来損ない扱いされながら、何でグレたりせずに居られたのか……って考えてみると、黒沢には自信と誇りがあったからだと思う。
このオレが、出来損ないなもんかよ!」ってね。
 姉は上っ面だけ飾った金メッキだけど、オレは見てくれは悪くても中身は本物だから。そう思ってたから、周りから何て言われても「バカはお前ら皆の方だろーが」って胸を張って居られたんだと思う。

 だから見方によっては、『世界ノ全テ』の主人公のように、ホントに出来の悪いヤツの方が、「ダメなヤツ」って言われた場合のダメージは大きいかも知れないね。
 だってホントに出来が悪いヤツの場合、悪く言われた時に反論できないし、自分のダメさを自分で認めなきゃならないもんね。

 そんなワケで『世界ノ全テ』の主人公には、共感と反感の混ざった複雑な思いを抱かされたけど、『つよきす!』のスバル兄さんには、ある意味目を開かされたよ。「バカにバカと言うのは、ハゲにハゲと言うのと同じだ」ってアレねwww。

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姉はビミョー⑤・彼女が欲しかった

 物心つく頃から、黒沢は人間の悪意や愚かさをたっぷり見せられてきたから。おかげで人の善意や良心ってものに対する不信感が、心の隅にしっかり根付いちゃってるんだよね。
 だから周りの“敵たち”に隙を見せないように、黒沢は学校ではいつも強気に振る舞っていたよ。たとえ負けて相手に殴られる方が多くたって、それでも懲りずにしつこくやり返していれば、少なくとも「手を出すと面倒なヤツ」ってコトだけはみな気付くから。

 コレはものすごーく簡単なリクツ(と言うか現実)なんだけど。
 同じクラスにA君とB君がいて、キミはイジメっ子だとしよう。
 で、A君はおとなしく、殴ろうが蹴ろうが無抵抗で決して逆らわない
 一方B君は小生意気で癪に障るヤツだけれど、殴れば必ず殴り返して来る。本気で喧嘩をすればキミの方が強いのは明らかだけれど、Bは執念深く向かって来るヤツなんで、キミも間違いなく痛い思いをする。
 さて、もしイジメるならこのA君とB君、どちらにすると思う?

 普通は「面倒だからBは放っておいて、安心して殴れるAの方をイジメとこう」って話になるよね。このBの方に、よほど頭に来てない限りは。
 国と国との問題もそれと同じでさ、侵略されるのは「ろくに武装してなくて弱そうで、簡単に攻め取れそうだから」ってのが現実なんだよね。
 しっかり武装して「やられたら、必ずやり返す!」って明言してる国は、滅多に攻められないもんなんだよ。例の北の某国のように、かなりナマイキな態度を取ってもね。

「非武装中立でいれば、日本に攻めて来る国なんてどこにも無いし、日本は戦争に巻き込まれない」って正気で思ってる人たちって、ホントに“良いヒト”なんだろうと思う。
 でもその“良いヒト”たちって、「弱いヤツほど殴られやすい」って現実がわかってないんだよね。或いは薄々気付いているのかも知れないけど、自分の信じる理想論や性善説を守る為に、認めたくない現実から目を背けて気付かぬフリをしているとか。

 少なくとも黒沢の場合、「やられたら必ずやり返す狂犬」に徹底していたら、手を出して来るヤツもいつの間にかいなくなってたよ。
 それに黒沢はヒトのことをバカって言ってたけど、自分もバカになれるヤツだったから。心に暗いもの抱えてるくせに、周りの人を笑わせるのもけっこう巧くて、そのおかげで少数だけど友達もいたんだ。

 当時の学校は荒れていて、だからその分だけイジメも今ほど陰湿ではなく直接的でさ。気に入らないヤツがいれば、「クラス全員を巻き込んで、皆に一人を責めさせる」ってんじゃなくて、当人たちがガンをつけて殴りに来る……って感じだったからね。
「空気を読め」みたいな強制も、今ほど強くなかったし。
 だから孤立を恐れず「やられたら必ずやり返す!」ってノリで強く生きてれば、案外何とかなったんだよね。周囲から浮いた存在でいる事に耐えて、皆に合わせて群れてるより、一人で居る方が気楽でイイや」って思えれば

 けど本音を言えば、黒沢も寂しかったよ。本当の自分を理解してくれる誰かが、欲しくて欲しくてたまらなかった。それこそもう、ホントにたった一人で良いから。
 女優の葉月リオナさんが、以前ある雑誌のインタビューでこんな事を言っていてさ。「自分のことを判ってくれている人が一人でもいれば、十人のうち九人が敵でも構わない」って。
 それには黒沢も、心から共感したよ。

 人間なんて皆バカばっかりで、ホントのことを見抜ける人なんて殆どいない。親戚にも教師らにも同級生たちにも、その現実は嫌という思い知らされていたから、周りの人間になど殆ど何も期待して無かった。
 ただその分、恋人と言うか“彼女”って存在に対する期待と思い入れは、すごく強かったと思う。
 同級生でもただの友達でもない恋人なら、「黒沢のことをちゃんと見て、ホントのことを判ってくれるだろう」って、そう信じていたんだよ。
 世界の皆が敵でも、自分のことをちゃんと理解してくれる彼女が一人でも居れば、黒沢は胸を張って生きて行ける。黒沢はそう思っていたよ。
 でもその期待は、残念ながらメチャ甘過ぎたんだけれどね。


 いつも強気で、周囲の人には弱い所は絶対に見せないでいた黒沢だけど、好きな女の子にだけは、姉との葛藤や「出来損ないの弟」と言われ続けてきた苦しみを洗いざらい話したよ。例の“ホントの自分”を判ってほしい一心でね。
 けど本音を打ち明けたどの子にも、決まってこう言われたよ。「それって、立派なお姉さんに対するコンプレックスとしか思えないんだけど」って。
でもあたしは黒沢クンのお姉さんのこと、尊敬してるから
 話を全部聞き終わった後で、キッパリそう言い放ってくれた子も居たし。
 ま、現実なんてそんなものデスよ。

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姉系はビミョー④・“イイ人達”は敵

 ただ黒沢が中高校生の頃は、今みたいに引きこもりとか当たり前じゃなかったからね。不登校なんてただのズル休みとしか思われなくて、そんな事したら校内で大問題になっちゃう。
 だから黒沢の少年時代には不登校って選択肢も無く、周囲から孤立してどれだけ白い目で見られても、毎日登校し続けて、周りの皆と闘い続けなきゃならなかった

 闘うって、「ナニ大袈裟なこと言ってんだよ」って思う人もいるだろうね。
 でもそれは決して大袈裟ではなくて、事実黒沢は小中学生の頃には、イジメの対象になってた時期もあったよ。だって周囲から浮いてる変わり者で、物言いはエラソーだし、しかも小柄で童顔ときてるしね。

 よくさ、「イジメには当然報復すべき!」とか「イジメは、イジメられる方にも原因がある」とか、2chなんかでも激論になってるよね。
 黒沢は実際イジメに遭った方だから、立場としては「報復無罪」って方に近いかな。
 でもそれとは反対に、周りと合わせない変わり者はイジメられて当然って言い出すヤツ、絶対出て来ると思う。
 そーゆー集団行動万歳で“自分”ってモノが無い人にも解りやすく言うと、「殴る蹴るは暴行で、モノを壊したり隠したりも窃盗なり器物破損という立派な犯罪です」というコト。
 実際に手を出さなくても、脅迫とか恐喝って犯罪にもなりうるしね。そこまで行かなくとも、名誉毀損とか侮辱罪って罪もあるし。さらに付け加えると、言葉で相手を追い詰めた結果、精神を病ませてしまった場合にも、傷害罪が適用されるんだよ。

 でも周りと変わっていようが、周りの空気に合わせなかろうが、日本の法律のドコを見ても何の罪にもならないよね。
 だからイジメをする人は犯罪者で、変わっていようが空気を読めなかろうが、それは全然罪じゃない……ってこと。それを考えれば「イジメられる方が悪い」という屁理屈が通用するかどうかくらい、いくら脳に皺の少ない集団行動至上主義者たちでも解るよね?
周りと合わせないし変わってるから、みんなでイジメちゃおう」なんてのはね、ただのリンチで犯罪行為でしかないの。

 でも現実にはイジメは学校から無くならないし、イジメに遭ってても誰も助けてなんかくれない場合が多いからね。
 だから黒沢はイジメられた時は「目には目を」で、暴力には暴力で応じたよ。正当防衛って言うより、下手をすれば過剰防衛かも知れない。

 繰り返すけど黒沢は小柄で、顔も童顔系で全然凄みとか無かったからね。当然ナメられやすいし、そして学校での人間関係って、「コイツならイジメても大丈夫」って一度認識されたらもうオワリと言うか、卒業するまで奴隷も同然の運命が待ってるよね?
 だからそうされないように、黒沢は暴力をふるわれた時には、体格も腕力も度外視してとことん反撃したよ。相手の方が圧倒的に強かろうが、何発殴られようが、ブッ倒れても起き上がって狂ったように反撃するの。
 いや、それでも体力差が歴然とあるから、勝つとかは出来ないんだよ。けど「コイツに手を出すと、キ○ガイみたいに反撃して来やがるから、ブッ殺すくらいの覚悟でかからなきゃダメ」みたいに思わせちゃえば、相手の方が腰が引けて来るんだよね。
 だっていくらイジメっ子でも、人殺しにまでなる覚悟のある奴なんて、殆どいないからね。いくら気に入らないイジメてやりたい奴がいても、それより自分の将来の方が大切だもの。

 おかげさまで、中学時代の黒沢のあだ名のうちの一つには、差別用語になっちゃうけど“テ○カン”ってのもあってさ。だってチビがHP無視で学校のDQN達と喧嘩するんだもの、「キ○ガイがキレて“発作”を起こしやがった」くらいの勢いでキレてかかんなきゃ立ち向かえないよ。
 でも中には、後先のことなど考えないDQNもいるからね。だからマジで命の危険を感じて、護身用のナイフ持参で登校していた時もあったくらいでさ。
 何しろあの頃は校内暴力全盛の時代だったから、学校もかなり物騒だったんだよ。
 ……この時の黒沢って、殆どもうナントカに刃物、ってヤツだったかも。

 イジメはもちろん、する方が悪いに決まってる。
 でも学校みたいに狭くて小さな世界でも、先生は頼りにならないし同級生も誰も助けてなどくれなくて、自分の身は自分で守るしかないのが現実なんだよね。
 だから取るべき道は、平たく言えばまあ「暴力には暴力で」ってコトなんだけど。

 戦争の問題でも犯罪の問題でも、「暴力は絶対イケナイ、話し合えば解り合える」なんて言う人が絶対いるけどさ。そしてそーゆー人達って、ホントみんなウンザリするほど“イイ人達”なんだよねえ。
 でもそのテのキレイ事をスラッと正気で言えちゃうイイ人達って、黒沢は生理的に好きになれないんだ。だってそういうイイ人達の“善意”と“人を信じるキモチ”が、この世の中を被害者の苦しみより加害者の人権を尊重しちゃうような、ワルと犯罪者に優しい社会にしちゃってるからね。

 黒沢も含めて、人間の心には“悪”の部分も絶対あるんだよ。だからキミが「どう思いたいか」っていう理想や願望はどうあれ、現実問題として“悪いヤツ”は間違いなくいるし、それは仕方ないと言うか当然のことなんだよね。
 確か二十人に一人だったかな、“良心のない人間”って一定の確率で間違いなく存在するんだ。
 良心のない人間って、まあ悪人って言っちゃっても良いと思う。
 だから現実問題として、自分だけでなく家族や友人を、そうした悪人から守らなきゃならないワケで。
 と言うか、周囲に危害を加える良心のない人間が存在するとしたら、まず排除して隔離するしかないじゃん。現に今被害に遭っている、弱い立場の人を守る為にね。
 ハイ、綺麗事がキライな黒沢は、“排除の論理”を否定シマセン。

 って言うと必ず「ジンケンがどうのこうの……」って言い立てる輩が湧いて来るけどさ、「加害者の人権」と「何の罪もない被害者の安全と人権」とでどちらが優先されるべきか、そこに議論の余地など無いと思うけど?
 なのにそれでも、本当にワルい人なんて、世の中に誰もいないんだ。彼らは悪い家庭環境や社会によるギセイ者なんだ」なーんて寝ボケたことを言う“イイ人達”がいるから、結果的に悪がのさばっちゃうんだよねぇ……。

 女子高生コンクリート詰め殺人事件。
 光市母子殺人事件。 
 市川市一家四人殺人事件。
 名古屋アベック殺人事件。
 北九州監禁殺人事件。
 本当に悪い人なんて誰もいない、悪いのは社会や環境であって、気持ちを理解して温かく見守れば必ず立ち直れる。本気でそう信じてる人は、上に挙げた事件をググってみるとイイよ。

 極論だとわかってるけど、「世の中から戦争や犯罪やイジメが絶えないのは、そういう“イイ人達”がいるせいじゃないか」って黒沢は思ってる。だってそういう悪に甘く罪を簡単に許しちゃう“イイ人達”が、結果的に社会を悪人に有利にして、悪をより大きく育ててるんだもの。
 例えばもしヒトラーや北の将軍サマの“善意”を信じて、彼らの言い分を聞き入れていたらどうなるか。それを想像してみれば、悪いヤツに甘い受容的な態度で接したらどうなるかも、簡単に解るよね。
 ヒトラーも女子高生コンクリ殺人のクソガキも、化け物でも悪魔でもないからね。キミや黒沢と同じ“人間”なんだよ。
 そして人間には良心のないヤツが、少数だけど間違いなく「いる」のだよ。この同じ社会の、キミの隣にもね。

 でも黒沢が繰り返し言う「人間の善意を信じるイイ人達」には、その現実がどうしても理解できないんだよ。「理解できない」というより、主義や理念から理解することを頭から拒絶しちゃうんだよね。
 ヒトラーやスターリンのした事や、或いは女子高生コンクリ事件や市川の家族四人殺し事件など、現実に起きた話をいくら聞かせても、「信じられない、そんな人がいるなんて!」の一言で切り捨てて、後は耳を塞いでその話を聞くことすら拒絶しちゃうんだよ。

信じられない!
 ってのは、何とも便利な魔法の言葉でね。その一言で自分が認めたくない人間の醜い部分から目を背け、自分の美しい理想に合わない悪鬼のような存在は、人間の範疇からキレイに除外してのけちゃう
 いい気なもんだよ、悪いヤツがどれだけヒドい事件を起こそうが、ただ「信じられない!」の一言で、自分の甘っちょろい人間観や「人の善意を信じたいってキモチ」を守り通しちゃうんだから。
 こんな“良い人達”がいるから、結果的に悪が社会からちっとも減らないんだよね。

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姉系はビミョー➂・みんな敵ダ! と14歳の黒沢は言いマシタ

 この駄文を読んでいてくれているキミたちは、自分の親戚のことを好きデスか? 伯父伯母や祖父母を好きだと躊躇い無く言える人を、黒沢は心から羨ましいと思うよ。

 黒沢はね、小さな頃から親戚の家に行くのがとても苦痛だったよ。だって実の祖母にさえ、「この子は可愛くない」って面と向かって言われたくらいだからさ。
 その時黒沢は、小学校の一年生か二年生くらいだったと思う。

 そんな有り様だからね、父方の親戚に行けば「この子は母方似だ」と言われ、母方の親戚に行けば「この子は父方に似た」って言われてさ。これもまだ十歳にもならない頃に、面と向かって言われた言葉だよ。
 あ、ちなみに父方の実家は商家、母方の実家は教師や公務員の一家で、本質的に肌が合わないと言うか、義理の付き合いはしていたけれど裏では嫌い合ってたね。だから「相手の家系に似た子だ」って言葉の中に込められた毒は、小学生の子供だった黒沢にもよくわかったよ。
 けど姉は、そのどちらの親戚にも可愛がられてた。

 だから黒沢は高校を卒業して地元を離れて東京の大学に行くまで、ホントに「周囲はみな敵ばかり」って思って生きてたよ。親戚の中にも教師にも同級生にも、黒沢を本当に理解して味方になってくれる人は誰もいなかったからね。
 両親もね、決して敵ではなかったけれど、味方とも思えなかった
 親戚や教師らに「お姉ちゃんに比べて、下の子はどうも……」と言われる時、両親ともいつもただ困ったように苦笑いするだけで、「この子にも良いところはあるんですよ」と庇ってくれるようなことは、ホントに一度もなかったからね。
 両親達にだけは、「お姉ちゃんを見習え」とは言われなかった。けれどその両親達でさえ、姉みたいに外面の良い生き方を良いと思ってるんだな……ってことは、子供心にもわかったよ。

 普通はさ、周りの皆にそれだけ「お前はダメだ、出来損ないだ」って大合唱され続けたら、洗脳されるみたいに自分で自分を価値のないダメな子だと思いこんじゃうよね。
 でも黒沢には、どう考えても周りの方がバカで間違ってるとしか思えなくてさ。
 うーん、黒沢って生まれつき特別にヒネクレてるんだろうね。何かを理屈抜きで強制されると、その“何か”を嫌いになって、とことん逆らいたくなる闘志が湧いてしまうんだ。

 例えばさー、黒沢は“サッカーの街”と言われる市に長く住んでいたのだけれど。それだけに、我が街ではサッカー関係者がすごく権力を握ってるんだよね。市役所にも教育委員会にも市会議員にも、サッカー関係者が大勢いて……って感じだよ。だから学校でも、サッカーを指導してる体育教師の方が、校長よりも権力握っていたりしてさ。
サッカーを応援できない人は、この市から出ていけばいい
 市会議員のセンセイがさ、そう公言するような街なんだよね、Jリーグのチームもある我が街は。だからサッカーを批判したりサッカー関係者に楯突いたりするの、この街ではマジで勇気が要るよ?
 サッカーについては、黒沢は元々あまり興味がないと言うだけで、別に嫌いでは無かったのだけれど。
 でも「市民なら皆サッカーを好きになって、一丸となってサッカーを応援しなければならない」みたいな空気に満ちている街で育ったおかけで、黒沢はサッカーが心底嫌いになってしまいマシタよ。
 サッカーの悪口? ハイ、平気で言っちゃいマスよ。と言っても、「サッカーの悪口」と言うより、主に「市のサッカー関係者」に対する悪口だけどね。

 サッカーに限らず、理屈抜きで「周りに合わせろ」って強制されるのが、黒沢は心底嫌いなんだ。だから「他の人達は皆そうしてるんだから」と何かを強制されたら、絶対そのモノをキライになれる自信があるよ。
 ……って、黒沢は何をバカなコトを威張ってんだかorz。

 でもとにかく黒沢には、周りの皆がそうしているから」というのは、何か行動を起こす理由には全然ならないんだよね。
 ハイ、黒沢は多分コミュ障でしょう。「周りが好きなものは、自分も好きになってみよう」とか「空気を読んで、皆に合わせて少なくとも好きなフリぐらいしておこう」とか、そーゆー発想が、黒沢にはまるで無いんデス。

 このコミュ障的な性格のおかげで、要らざる苦労もかなりしたのも事実だよ。けど、だからこそ親戚や教師や同級生や、とにかく周囲の皆に「お前はダメだ、出来損ないだ」って言われ続けても、自信を無くしてグレちゃったりしなかったんだと思う。
 って言うか、姉と比べられてお前はダメだと言われるほど、「人は皆バカばっか」と確信して、皆を軽蔑して「愚民どもめ、今に独裁者になって粛清してくれわ」みたいに思っちゃってさ
 ……ううっ、コレって間違いなくイタ過ぎる厨二病だよねwww。

 イタ過ぎる黒歴史を思い出してしまったついでに、中学生の頃のイタい記憶をもう一つ暴露してしまうね。
 ほら、卒業の時とかには、卒業アルバムに一言メッセージみたいなものを書くよね。その中学の卒業アルバムだか文集だかに、早生まれでまだ14歳だった黒沢めは、こう書きやがったのだ。
生きるという事はそれ自体闘いであり、人生とは戦いの連続である
 ……イタ過ぎだわ、改めて思い出してみても恥ずかしすぎるよ。

「でも」と言うべきか、「だから」と言うべきか、あの『エヴァンゲリオン』には、黒沢はそれほど心を動かされなかったよ?
 確かに面白いとは思ったけれど、ハマるまではいかなかったし、黒沢の心の中での評価はファースト・ガンダムの方がずっと上……って感じで。
 シンジ君と同じ年頃の黒沢は、厨二病のイタさをエネルギーに変えて、自分を出来損ない扱いする周りの皆と、それこそ全力で闘ってたからさ。それだけに、シンジ君の弱さやウジウジぶりには、共感するより心から苛つかされたよ。
 なのに黒沢が『エヴァ』を最後まで熱心に見続けたのは、ただアスカの存在のおかげだよ。
 あの高いプライドを守るために闘う姿勢や、「みんなバカばっか!」って感覚が、わかりすぎるほどよくわかっちゃってさ。ただ共感できるとかいうレベルではなくて、アスカの言動はイタさも含めて14の頃の黒沢そのもの……って感じだったよ。

 ただ残念ながら美少女のアスカと違って、黒沢は全然イケメンじゃ無かったから。
 顔は変ではないと思うけど童顔系で、しかも身長にかーなーり問題がありまして(←コレは男としては致命的な欠陥かも)。だからアスカと違って、黒沢にはファンになって応援してくれる人や、甘やかしてくれる人など現れる筈もなく……。

 人は見かけが九割なんだから、それはまあ仕方のないこととして。アスカは最後、人類補完計画を拒むよね。あの皆と同化するのを拒んで、不完全でも自分は自分で居続けようとする感覚も、黒沢にはよくわかるのだよ。
 皆から言われ続けたように、とにかく姉を見習えば、周囲の人達から受け入れられるのはわかってた。教科書に載っていない事になんか興味を持たないでテストの点数だけを大切にして、対外用の別人格を作り上げて外では良い子にしていれば、「さすがは、あのお姉さんの弟だ」と誉められるもはわかってた。
 でも黒沢には、どうしてもそれが出来なかった。

「何故なんだろう?」って考えもしないで、ただ暗記してテストで良い点を取ったり、家族にイヤな思いをさせてまで外面を良くして人に誉められようとするのが、正しい事だとはとても思えなかった。
 自分が「間違ってる」って確信してる事をしてまで人に良く思われたいって、黒沢にはどうしても思えなかった。ずっと「イヤだなあ」と思い続けていた姉の真似をする気になど、どうしてもなれなかったんだよ。

 だから黒沢は皆に受け入れられる生き方はせずに、あえて周りの皆を拒絶する道を選んだんだ。

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姉系はビミョー②・ヒス姉の恐怖

 傲慢な言い方だと、自分でもわかっているけれど。
 ハッキリ言って黒沢は、「学校の授業で学んだこと」など、殆ど何もなかったデス。だって「知りたい」と思う事は自分でどんどん勉強して、授業で教えられる前から、教科書よりずっと詳しく知っちゃってたから。
 だって黒沢の“テキスト”は学校の教科書じゃなく、それぞれその道の専門書だったから。
 だから国語と社会の殆ど、それに生物など理科の一部については、マジで学校の先生より詳しかった。
 逆に生物以外の理数系は、とっても苦手でさ。「興味がない」って言うより、頭が受け入れてくれないんだよね。
 あと、とにかく暗記ばかりの英語は、それこそ天敵か親の仇くらいにキライだよ。
 でも得手不得手は誰にでもあるものだし、オレは社会や国語で頑張るし、理数系は得意な人が頑張ればいーじゃん」みたいに思ってた。それに黒沢は外交官や商社マンになるつもりも、外国に移住するつもりも無かったんで、英語が出来なくてもノープロブレム、ってコトで……。

 こう言うと矛盾してるようだけど、数学や物理や化学がデキる人って黒沢は尊敬するし、英語のエキスパートも絶対必要だと思ってる
 って言うか、黒沢が社会と国語(と理科の一部)しかデキない人だからこそ、それ以外の事がデキる人が他に居ないと困っちゃうし。
 ほら、小説や映画でよくあるよね。プロのハッカーや、天才的な錠前師や、一流レーサーや、凄腕のスナイパーなど、「他の事はダメだけどその道では達人」って人たちが無敵のチームを組んで、大活躍する……みたいな。
 黒沢は、世の中ってそれで上手く動いて行くものだと思ってるし、だから一人が国社数理英、全科目デキなきゃならないなんてオカシイと思ってる。

 けど黒沢の姉は国社数理英、どの教科もムラなくガリ勉すんだよね。それどころか、家庭科の提出物や、音楽のリコーダーの練習wwwとかも必死だったなー。
 特にテストが近くなると、夜遅くまで頑張るだけでなく、朝も四時とか五時に起きて勉強してさ。
 うん、そのコト自体は別に構わないんだ、テスト勉強を頑張るのは個人の自由だし、それはその人の価値観だから、どれだけ勉強しようが全然悪くナイよ。
 ただ姉は「起きられないから」って、いちいち起こして貰ってたんだよね、母親に
 さらに姉は寝起きが悪くて、起こされても二度寝しちゃうワケ。するとその後でブチ切れて、朝っぱらから泣き喚いてヒステリーだよ。
何でちゃんと目が覚めるまで、ちゃんと起こしてくれないのよぅ!!」と、朝っぱらから泣いてヒステリーだよ。ホントにマジで金切り声をあげて泣き喚くんだ。

 けど親って、子供が勉強を頑張ってくれさえすれば嬉しい生き物だからさ。姉に逆ギレされようがヒスられようが、それで勉強してくれるならと、全然怒らないんだ。
 で、母親は翌朝もまた、姉がちゃんと起きるまで起こしに来るのだよ。
 しかも始末が悪いのが、その姉を繰り返し起こしに来る母の足音と声で、起きる必要のない黒沢の方が先に目を覚まさせられてしまうことだよ。それも朝の四時や五時に、ね。
 黒沢はただ心の中に湧いた「知りたい」って思いから、自分から好きで勉強してたから。だからとにかく良い点を取って人から「あの人はスゴい、デキるね」って誉められたくて、その為には家族にメーワクをかけても構わない……って姉の気持ちが、黒沢には全然理解できなかった。

 姉はホントに外ではとことん良い子チャンだったからね。学校でもそれはもう人望がありまして、クラス委員なり生徒会の役員なり、いつも選ばれて何かしらやっていたんだ。
 そういう活動でも、やはり姉は「さすがは○○さんだ」って誉められたいわけデスよ。それも教師にも同級生たちにも、どっちにも好かれて信頼される委員長になりたいんだよね。
 でも、そういうナントカ委員って、どうしても先生と生徒生の板挟みになるよね?

 黒沢の父親はある種の商売人だったけど、母親の方は実は中学の教師でさ。
 だから姉は学級や委員会で何か問題が起きると、すぐ母に相談するワケ。「先生はこうしろって言うんだけど、そうするとクラスのみんなにニラまれちゃう、どーすればいいのぉ~(泣)」みたいにさ。
 でもさー、委員長が先生にも同級生にも気に入られようなんて、土台ムリな話じゃん。先生か同級生か、自分が大事にしたいと思うどちらかを優先して、もう一方には「キラわれても仕方ない」って割り切るしかないじゃん。
 当然、「先生に誉められて、同級生にも好かれる」方法なんて、現役中学教師の母にだってさすがに考えつかないわけデスよ。
 すると姉は、その度にまたキレてヒスを起こして泣き喚くんだよな。
 学年でトップクラスの成績を取り、クラス委員や生徒会の役員として先生に信頼され、かつ同級生にも好かれる良い子の優等生でいる為に、姉としても限界いっぱい頑張って、ストレスも溜まり切ってたんだろうけど。でもその為に、家ではキレてヒスって泣き喚いてばかりだったよ。

 って言うか、姉のヒスっぷりってのは、今思い出してみても理不尽でさ。例えば「起きたら、髪に寝癖がついてたー!」ってだけで、朝っぱらからヒスって家族に当たり散らして、金切り声あげるんだよね。
 でも姉がどれだけヒスを起こして泣き喚こうが、両親とも全く怒らなかったよ。「それで我が子が学校で頑張れるなら」と思えば、親としては我慢できちゃうんだよね。

 ……親って、悲しい生き物だよね。ほら、スポーツ選手や芸能人の親なんかで、「この子を育てる為に、ワタシは一生を捧げてこんなに頑張ってきました」みたいなコトを、自慢タラタラで言うヒトがよくいるけどさ。
 親自身としては、それで良いし満足かも知れない。前途有望な我が子を頑張らせる為に、自分は何でも我慢できるものなんだろうね。
 でもキョーダイは、親と同じ気持ちにはなれませんカラ。

 親だったら、「この子の為だ」と我慢できるのかも知れない。でも同じように弟(妹)にも「お姉ちゃん(お兄ちゃん)が頑張れるように、ヒスも八つ当たりも我慢してあげなさい」なんて、誰が言えると思う?
 頑張っていたのは、何も姉だけじゃないんだよ。黒沢だって(出来不出来は科目によってムラがかなりあったけど)学校の成績もかなり良い方だったし、委員長とまでは言わないまでも、ナンタラ委員とかもよくやらされてたし。

 ただ黒沢は、勉強も委員会の仕事もクラス内でのトラブルも、全部自分だけで対処してたんだよね。教科書やテストや順位に関係なく、興味を持った事は自分でガンガン勉強して、委員会でもクラスでも自分の思うままにモノを言って行動して。
「人によく思われたい」って発想が、黒沢には基本的に欠けているらしくてさ。だってバカたちに誉められたって別に嬉しくもないし、自分はもっと高いところを目指して進んで行きたい……みたいな。

 ははっ、考えてみると黒沢って、昔からコミュ障でアスペのイタい人だったのかも。
 白状シマス。中高校生の頃の黒沢には、思い出すだけで壁に頭を思い切りぶつけたくなるような、脳内から抹消したい恥ずかしすぎる記憶が、本当にもういっぱいありマス。
 だから当然、周囲からの風当たりもかなり強かったし、苦しい事は姉よりずっと多かったと思うよ。
 それでも黒沢は外面を良くして褒められるより、本当の自分のままでいたかったんだよね。イタくて恥ずかしいヤツなりに、誰にも頼らず一人で頑張ってたんだよ。

 でもそんな事、誰もわかってくれなかった。
 黒沢って、物心つく頃からホントにもう姉と比べられては、出来損ない扱いされて育ってきたから。
お前はダメだ、お姉ちゃんを見習え!
 って、周囲の大人達や学校の教師らに、何度言われたかわからないや。

 は? あの姉を見習え……って? 黒沢にも家ではキレてヒスって泣き喚いて、外ではネコを被ってなさい……って?
 だから黒沢は、大人も含めて「人間って、ホント馬鹿ばっか」って思ってたよ。
 お陰様で黒沢の性格だけでなく、人間観や社会観も曲がって行く一方で、かの総統閣下の『我が闘争』を読みふけるような、イタ過ぎる中学生になってしまいまシタ。

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 ……ま、今ではナチの犯した罪悪もちゃんと理解しているし、心情的にはヒトラーの暗殺を謀ったシュタウフェンベルグ大佐にかなり共感しているんだけどね。それに「今の日本のごくフツーの人の中にも、賢い人は大勢いるんだ」ってことも、ちゃんと理解しているし。

 ただ黒沢はナチには興味を持ったけれど、日本の右翼とは昔から全然肌が合わなかったなー。
 だって日本の右翼って、昔も今も結局“宗教”じゃん? 万世一系の“現人神サマ”を崇拝して、違う価値観の人は「この非国民、売国奴め、コロす!」みたいなノリでさ。何かヤバげなカルトの狂信者たちや、イ○ラム原理主義者のテロリストと何も変わらんデスよ。
 黒沢は物事を情緒や感情でとらえるんじゃなくて、まず論理で考える人だからさ、「誰かを信じてついて行く」みたいの、とぉっっっても苦手なんだよね。精神論とか根性論とかを好きな人も、「みんな消えてくれればイイのに」なんて、つい思ってしまうし。

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姉系はビミョー①・リアルな姉が居マスから

妹萌えはあるのに、何故姉萌えはないのよぉ!
 ……ってのは、『トゥハート2』でトップクラスの人気の、タマ姉こと高坂環サンの台詞でアリマス。
 実際、萌え系のセカイでは、妹キャラはツンデレや幼なじみや猫耳やメイドさんなどと並んで、立派に一ジャンルを築いているよね。ギャルゲーや男の子向けのちょっとHなマンガなんかで、妹的な年下キャラが出て来ないことはまずナイと思う。

 でも義理の妹と逆バージョンと言うか“血の繋がらない姉”みたいなキャラは確かにあまり見ないけど、大人っぽい先輩だの美人の先生だの、お姉さん的な存在は意外に多いような気がするなー。
 と言うか、萌えのセカイに年上キャラも、ほぼ絶対と言っても良いほど出て来るよね。
 前回も語ったけれど、黒沢一樹には血の繋がらない“妹”が三人ほど居て、でも本物のキョーダイと言うと姉が一人しかいないんだ。
 よく「実の妹がホントに居るヤツは、妹キャラにはまず萌えられない」って言うよね。身近で実態をリアルに見過ぎているおかげで、幻想なんか欠片も抱きようがナイ……ってやつね。
 だから黒沢は、ギャルゲーだけでなくマンガでも小説でもドラマでも、姉的な年上キャラには殆ど萌えられないのだよ。

 ズバリ言ってしまうと、黒沢はその一つ年上の姉とは、もう何年もロクに口もきいてないんだ。
 キョーダイって不思議なもので、年の差がある程度ないと上手く行きにくいんだよね。
 年がそれなりに離れていれば、上下関係も自然にハッキリするし、弟や妹からすれば「面倒を見てもらった」って意識もあると思う。
 けど年子や双子だと体力も知力も殆ど差も無いし、弟や妹としては「世話をされ助けられた」という意識がナイわけ。なのに姉だの兄だのと言われて威張られても、素直に従う気になどなれないわけデスよ。
 兄や姉とすれば、「お兄ちゃん(お姉ちゃん)なんだから」とか言われて、我慢させられた事もいろいろあるとは思うよ? でも年子の弟や妹の場合は、それより兄や姉に威張られて、ワリを喰わされてきた面の方が多いと思うのだけれど……。

 それに黒沢と姉の場合、性格が余りにも違い過ぎてさ。
 例えば姉は「別人格か?」ってくらい外では“良い子”で、家の内と外では態度がまるっきり違っちゃうんだよ。逆に黒沢は、おバカなくらいに誰の前でもありのままの自分でいてさ。
 とにかく姉は、生きる基準が「他人からどう思われるか?」なんだよね。だから外では超良い子ちゃんに振る舞うし、学校の勉強もテストで一番を目指してすごく頑張っちゃう。
 で、黒沢はその正反対で、「他人からどう思われようと、自分のやりたいコトをやる」ってタイプだったんだ。だから親戚の家とかに行っても、家にいる時と同じようにしてたし、勉強も自分のやりたいコトをやってたよ。

 ハッキリ言って姉は努力家でよく勉強してたよ。予習も復習もしっかりやるし、公式や年号とかも必死で暗記して問題集もいっぱい解いてさ。
 けどね、それで学年でもトップクラスの成績を取ってはいたけれど、特に好きな教科とかも無いし、そもそも「何故なんだろう?」って好奇心も無いんだよ。だから皆には「すごく頭が良い」と思われていたけれど、教科書以外のことは何も知らない人だった。

 一方黒沢の方は、小学校に入る前から本がお友達だったから。もう遊びと同じような感覚で、好きで楽しくて本を読んでたよ。図鑑とかも、小学校の低学年の頃から大好きだったし。
 文学全集や歴史の本もよく読んだし、小学校の高学年の頃にはテレビはニュースやNスペみたいなのが大好きで、大人の読む新聞も普通に読んでたな。
 世の中や周りのことに興味がいろいろあって、「何故だろう、知りたい」って思うから、難しい字や言葉のいっぱいある本を読むのも、全然苦にならなかったよ。
 って言うか、黒沢にとって勉強って、ただ自分の興味を満たす為に、娯楽と同じで楽しんでやるものだったんだよね。だからテストで何点取れただの、学年で何番だのって、まるで興味も無かったね。

 例えばさー、幕末の頃に尊皇攘夷運動ってあったじゃん? それまで世間の人達には大神主ぐらいにしか思われてなかった天子サマを引っ張り出してきて、それを口実に「日本は神の国だ!、外国人を追い払え!!」って暴れちゃうやつね。
 その自分の中の“正義”の為には、違う考えを持つ人(今風に言えば抵抗勢力?)は平気で殺しちゃう、勤王の志士とか称するテロリストみたいな連中はさ。幕府をブッ倒して自分達が政権の座についた途端にコロっと態度を変えて、文明開化とか称して自分が非難してた幕府よりもっとずっと「外国大好き、異人サンいらっしゃい!」になっちゃうよね。

 ここで「何でなんだよ?」って、不思議に思わないかなー。
 って言うか、黒沢は勉強ってのは、「何故? どうしてそうなるの?」って、納得出来るまでとことん考える事だと思うんだよ。尊皇攘夷や文明開化みたいな言葉や年号を覚えるとかなんて、その“物事の意味を考えること”に較べれば、ホントどうでも良いような些細な事でさ。

「何故だろう?」って不思議に思って、知りたいと思うことを調べてとことん考え抜く。勉強って、そもそもそういうモノだろ……って、黒沢は考えるのでアリマス。
 だから暗記ばっかりのテスト勉強とか、学校の勉強を見ていると「低レベルの、くだらねーコトやってるよなー」って思っちゃうんだよねえ。

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