空と虹と恋と

 大好きな写真のこと、そしてゲームやコミックスの話から歴史&時事問題まで、思いつくまま雑多に語ってみたいと思っております。さらに筆者の度重なるイタい失恋話についても、どうぞ憫笑しつつお読み下さいまし。

大晦日です

20131231PENTAX K-x 195 

 新参者の拙いブログにお付き合い、ありがとうございました。
 皆様が良いお年を迎えられるよう、お祈りしております。

 このチラ裏そのままの黒沢の独り言は来年も続きますので、今後ともよろしくお願いします!

 

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姉系はビミョー④・“イイ人達”は敵

 ただ黒沢が中高校生の頃は、今みたいに引きこもりとか当たり前じゃなかったからね。不登校なんてただのズル休みとしか思われなくて、そんな事したら校内で大問題になっちゃう。
 だから黒沢の少年時代には不登校って選択肢も無く、周囲から孤立してどれだけ白い目で見られても、毎日登校し続けて、周りの皆と闘い続けなきゃならなかった

 闘うって、「ナニ大袈裟なこと言ってんだよ」って思う人もいるだろうね。
 でもそれは決して大袈裟ではなくて、事実黒沢は小中学生の頃には、イジメの対象になってた時期もあったよ。だって周囲から浮いてる変わり者で、物言いはエラソーだし、しかも小柄で童顔ときてるしね。

 よくさ、「イジメには当然報復すべき!」とか「イジメは、イジメられる方にも原因がある」とか、2chなんかでも激論になってるよね。
 黒沢は実際イジメに遭った方だから、立場としては「報復無罪」って方に近いかな。
 でもそれとは反対に、周りと合わせない変わり者はイジメられて当然って言い出すヤツ、絶対出て来ると思う。
 そーゆー集団行動万歳で“自分”ってモノが無い人にも解りやすく言うと、「殴る蹴るは暴行で、モノを壊したり隠したりも窃盗なり器物破損という立派な犯罪です」というコト。
 実際に手を出さなくても、脅迫とか恐喝って犯罪にもなりうるしね。そこまで行かなくとも、名誉毀損とか侮辱罪って罪もあるし。さらに付け加えると、言葉で相手を追い詰めた結果、精神を病ませてしまった場合にも、傷害罪が適用されるんだよ。

 でも周りと変わっていようが、周りの空気に合わせなかろうが、日本の法律のドコを見ても何の罪にもならないよね。
 だからイジメをする人は犯罪者で、変わっていようが空気を読めなかろうが、それは全然罪じゃない……ってこと。それを考えれば「イジメられる方が悪い」という屁理屈が通用するかどうかくらい、いくら脳に皺の少ない集団行動至上主義者たちでも解るよね?
周りと合わせないし変わってるから、みんなでイジメちゃおう」なんてのはね、ただのリンチで犯罪行為でしかないの。

 でも現実にはイジメは学校から無くならないし、イジメに遭ってても誰も助けてなんかくれない場合が多いからね。
 だから黒沢はイジメられた時は「目には目を」で、暴力には暴力で応じたよ。正当防衛って言うより、下手をすれば過剰防衛かも知れない。

 繰り返すけど黒沢は小柄で、顔も童顔系で全然凄みとか無かったからね。当然ナメられやすいし、そして学校での人間関係って、「コイツならイジメても大丈夫」って一度認識されたらもうオワリと言うか、卒業するまで奴隷も同然の運命が待ってるよね?
 だからそうされないように、黒沢は暴力をふるわれた時には、体格も腕力も度外視してとことん反撃したよ。相手の方が圧倒的に強かろうが、何発殴られようが、ブッ倒れても起き上がって狂ったように反撃するの。
 いや、それでも体力差が歴然とあるから、勝つとかは出来ないんだよ。けど「コイツに手を出すと、キ○ガイみたいに反撃して来やがるから、ブッ殺すくらいの覚悟でかからなきゃダメ」みたいに思わせちゃえば、相手の方が腰が引けて来るんだよね。
 だっていくらイジメっ子でも、人殺しにまでなる覚悟のある奴なんて、殆どいないからね。いくら気に入らないイジメてやりたい奴がいても、それより自分の将来の方が大切だもの。

 おかげさまで、中学時代の黒沢のあだ名のうちの一つには、差別用語になっちゃうけど“テ○カン”ってのもあってさ。だってチビがHP無視で学校のDQN達と喧嘩するんだもの、「キ○ガイがキレて“発作”を起こしやがった」くらいの勢いでキレてかかんなきゃ立ち向かえないよ。
 でも中には、後先のことなど考えないDQNもいるからね。だからマジで命の危険を感じて、護身用のナイフ持参で登校していた時もあったくらいでさ。
 何しろあの頃は校内暴力全盛の時代だったから、学校もかなり物騒だったんだよ。
 ……この時の黒沢って、殆どもうナントカに刃物、ってヤツだったかも。

 イジメはもちろん、する方が悪いに決まってる。
 でも学校みたいに狭くて小さな世界でも、先生は頼りにならないし同級生も誰も助けてなどくれなくて、自分の身は自分で守るしかないのが現実なんだよね。
 だから取るべき道は、平たく言えばまあ「暴力には暴力で」ってコトなんだけど。

 戦争の問題でも犯罪の問題でも、「暴力は絶対イケナイ、話し合えば解り合える」なんて言う人が絶対いるけどさ。そしてそーゆー人達って、ホントみんなウンザリするほど“イイ人達”なんだよねえ。
 でもそのテのキレイ事をスラッと正気で言えちゃうイイ人達って、黒沢は生理的に好きになれないんだ。だってそういうイイ人達の“善意”と“人を信じるキモチ”が、この世の中を被害者の苦しみより加害者の人権を尊重しちゃうような、ワルと犯罪者に優しい社会にしちゃってるからね。

 黒沢も含めて、人間の心には“悪”の部分も絶対あるんだよ。だからキミが「どう思いたいか」っていう理想や願望はどうあれ、現実問題として“悪いヤツ”は間違いなくいるし、それは仕方ないと言うか当然のことなんだよね。
 確か二十人に一人だったかな、“良心のない人間”って一定の確率で間違いなく存在するんだ。
 良心のない人間って、まあ悪人って言っちゃっても良いと思う。
 だから現実問題として、自分だけでなく家族や友人を、そうした悪人から守らなきゃならないワケで。
 と言うか、周囲に危害を加える良心のない人間が存在するとしたら、まず排除して隔離するしかないじゃん。現に今被害に遭っている、弱い立場の人を守る為にね。
 ハイ、綺麗事がキライな黒沢は、“排除の論理”を否定シマセン。

 って言うと必ず「ジンケンがどうのこうの……」って言い立てる輩が湧いて来るけどさ、「加害者の人権」と「何の罪もない被害者の安全と人権」とでどちらが優先されるべきか、そこに議論の余地など無いと思うけど?
 なのにそれでも、本当にワルい人なんて、世の中に誰もいないんだ。彼らは悪い家庭環境や社会によるギセイ者なんだ」なーんて寝ボケたことを言う“イイ人達”がいるから、結果的に悪がのさばっちゃうんだよねぇ……。

 女子高生コンクリート詰め殺人事件。
 光市母子殺人事件。 
 市川市一家四人殺人事件。
 名古屋アベック殺人事件。
 北九州監禁殺人事件。
 本当に悪い人なんて誰もいない、悪いのは社会や環境であって、気持ちを理解して温かく見守れば必ず立ち直れる。本気でそう信じてる人は、上に挙げた事件をググってみるとイイよ。

 極論だとわかってるけど、「世の中から戦争や犯罪やイジメが絶えないのは、そういう“イイ人達”がいるせいじゃないか」って黒沢は思ってる。だってそういう悪に甘く罪を簡単に許しちゃう“イイ人達”が、結果的に社会を悪人に有利にして、悪をより大きく育ててるんだもの。
 例えばもしヒトラーや北の将軍サマの“善意”を信じて、彼らの言い分を聞き入れていたらどうなるか。それを想像してみれば、悪いヤツに甘い受容的な態度で接したらどうなるかも、簡単に解るよね。
 ヒトラーも女子高生コンクリ殺人のクソガキも、化け物でも悪魔でもないからね。キミや黒沢と同じ“人間”なんだよ。
 そして人間には良心のないヤツが、少数だけど間違いなく「いる」のだよ。この同じ社会の、キミの隣にもね。

 でも黒沢が繰り返し言う「人間の善意を信じるイイ人達」には、その現実がどうしても理解できないんだよ。「理解できない」というより、主義や理念から理解することを頭から拒絶しちゃうんだよね。
 ヒトラーやスターリンのした事や、或いは女子高生コンクリ事件や市川の家族四人殺し事件など、現実に起きた話をいくら聞かせても、「信じられない、そんな人がいるなんて!」の一言で切り捨てて、後は耳を塞いでその話を聞くことすら拒絶しちゃうんだよ。

信じられない!
 ってのは、何とも便利な魔法の言葉でね。その一言で自分が認めたくない人間の醜い部分から目を背け、自分の美しい理想に合わない悪鬼のような存在は、人間の範疇からキレイに除外してのけちゃう
 いい気なもんだよ、悪いヤツがどれだけヒドい事件を起こそうが、ただ「信じられない!」の一言で、自分の甘っちょろい人間観や「人の善意を信じたいってキモチ」を守り通しちゃうんだから。
 こんな“良い人達”がいるから、結果的に悪が社会からちっとも減らないんだよね。

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姉系はビミョー➂・みんな敵ダ! と14歳の黒沢は言いマシタ

 この駄文を読んでいてくれているキミたちは、自分の親戚のことを好きデスか? 伯父伯母や祖父母を好きだと躊躇い無く言える人を、黒沢は心から羨ましいと思うよ。

 黒沢はね、小さな頃から親戚の家に行くのがとても苦痛だったよ。だって実の祖母にさえ、「この子は可愛くない」って面と向かって言われたくらいだからさ。
 その時黒沢は、小学校の一年生か二年生くらいだったと思う。

 そんな有り様だからね、父方の親戚に行けば「この子は母方似だ」と言われ、母方の親戚に行けば「この子は父方に似た」って言われてさ。これもまだ十歳にもならない頃に、面と向かって言われた言葉だよ。
 あ、ちなみに父方の実家は商家、母方の実家は教師や公務員の一家で、本質的に肌が合わないと言うか、義理の付き合いはしていたけれど裏では嫌い合ってたね。だから「相手の家系に似た子だ」って言葉の中に込められた毒は、小学生の子供だった黒沢にもよくわかったよ。
 けど姉は、そのどちらの親戚にも可愛がられてた。

 だから黒沢は高校を卒業して地元を離れて東京の大学に行くまで、ホントに「周囲はみな敵ばかり」って思って生きてたよ。親戚の中にも教師にも同級生にも、黒沢を本当に理解して味方になってくれる人は誰もいなかったからね。
 両親もね、決して敵ではなかったけれど、味方とも思えなかった
 親戚や教師らに「お姉ちゃんに比べて、下の子はどうも……」と言われる時、両親ともいつもただ困ったように苦笑いするだけで、「この子にも良いところはあるんですよ」と庇ってくれるようなことは、ホントに一度もなかったからね。
 両親達にだけは、「お姉ちゃんを見習え」とは言われなかった。けれどその両親達でさえ、姉みたいに外面の良い生き方を良いと思ってるんだな……ってことは、子供心にもわかったよ。

 普通はさ、周りの皆にそれだけ「お前はダメだ、出来損ないだ」って大合唱され続けたら、洗脳されるみたいに自分で自分を価値のないダメな子だと思いこんじゃうよね。
 でも黒沢には、どう考えても周りの方がバカで間違ってるとしか思えなくてさ。
 うーん、黒沢って生まれつき特別にヒネクレてるんだろうね。何かを理屈抜きで強制されると、その“何か”を嫌いになって、とことん逆らいたくなる闘志が湧いてしまうんだ。

 例えばさー、黒沢は“サッカーの街”と言われる市に長く住んでいたのだけれど。それだけに、我が街ではサッカー関係者がすごく権力を握ってるんだよね。市役所にも教育委員会にも市会議員にも、サッカー関係者が大勢いて……って感じだよ。だから学校でも、サッカーを指導してる体育教師の方が、校長よりも権力握っていたりしてさ。
サッカーを応援できない人は、この市から出ていけばいい
 市会議員のセンセイがさ、そう公言するような街なんだよね、Jリーグのチームもある我が街は。だからサッカーを批判したりサッカー関係者に楯突いたりするの、この街ではマジで勇気が要るよ?
 サッカーについては、黒沢は元々あまり興味がないと言うだけで、別に嫌いでは無かったのだけれど。
 でも「市民なら皆サッカーを好きになって、一丸となってサッカーを応援しなければならない」みたいな空気に満ちている街で育ったおかけで、黒沢はサッカーが心底嫌いになってしまいマシタよ。
 サッカーの悪口? ハイ、平気で言っちゃいマスよ。と言っても、「サッカーの悪口」と言うより、主に「市のサッカー関係者」に対する悪口だけどね。

 サッカーに限らず、理屈抜きで「周りに合わせろ」って強制されるのが、黒沢は心底嫌いなんだ。だから「他の人達は皆そうしてるんだから」と何かを強制されたら、絶対そのモノをキライになれる自信があるよ。
 ……って、黒沢は何をバカなコトを威張ってんだかorz。

 でもとにかく黒沢には、周りの皆がそうしているから」というのは、何か行動を起こす理由には全然ならないんだよね。
 ハイ、黒沢は多分コミュ障でしょう。「周りが好きなものは、自分も好きになってみよう」とか「空気を読んで、皆に合わせて少なくとも好きなフリぐらいしておこう」とか、そーゆー発想が、黒沢にはまるで無いんデス。

 このコミュ障的な性格のおかげで、要らざる苦労もかなりしたのも事実だよ。けど、だからこそ親戚や教師や同級生や、とにかく周囲の皆に「お前はダメだ、出来損ないだ」って言われ続けても、自信を無くしてグレちゃったりしなかったんだと思う。
 って言うか、姉と比べられてお前はダメだと言われるほど、「人は皆バカばっか」と確信して、皆を軽蔑して「愚民どもめ、今に独裁者になって粛清してくれわ」みたいに思っちゃってさ
 ……ううっ、コレって間違いなくイタ過ぎる厨二病だよねwww。

 イタ過ぎる黒歴史を思い出してしまったついでに、中学生の頃のイタい記憶をもう一つ暴露してしまうね。
 ほら、卒業の時とかには、卒業アルバムに一言メッセージみたいなものを書くよね。その中学の卒業アルバムだか文集だかに、早生まれでまだ14歳だった黒沢めは、こう書きやがったのだ。
生きるという事はそれ自体闘いであり、人生とは戦いの連続である
 ……イタ過ぎだわ、改めて思い出してみても恥ずかしすぎるよ。

「でも」と言うべきか、「だから」と言うべきか、あの『エヴァンゲリオン』には、黒沢はそれほど心を動かされなかったよ?
 確かに面白いとは思ったけれど、ハマるまではいかなかったし、黒沢の心の中での評価はファースト・ガンダムの方がずっと上……って感じで。
 シンジ君と同じ年頃の黒沢は、厨二病のイタさをエネルギーに変えて、自分を出来損ない扱いする周りの皆と、それこそ全力で闘ってたからさ。それだけに、シンジ君の弱さやウジウジぶりには、共感するより心から苛つかされたよ。
 なのに黒沢が『エヴァ』を最後まで熱心に見続けたのは、ただアスカの存在のおかげだよ。
 あの高いプライドを守るために闘う姿勢や、「みんなバカばっか!」って感覚が、わかりすぎるほどよくわかっちゃってさ。ただ共感できるとかいうレベルではなくて、アスカの言動はイタさも含めて14の頃の黒沢そのもの……って感じだったよ。

 ただ残念ながら美少女のアスカと違って、黒沢は全然イケメンじゃ無かったから。
 顔は変ではないと思うけど童顔系で、しかも身長にかーなーり問題がありまして(←コレは男としては致命的な欠陥かも)。だからアスカと違って、黒沢にはファンになって応援してくれる人や、甘やかしてくれる人など現れる筈もなく……。

 人は見かけが九割なんだから、それはまあ仕方のないこととして。アスカは最後、人類補完計画を拒むよね。あの皆と同化するのを拒んで、不完全でも自分は自分で居続けようとする感覚も、黒沢にはよくわかるのだよ。
 皆から言われ続けたように、とにかく姉を見習えば、周囲の人達から受け入れられるのはわかってた。教科書に載っていない事になんか興味を持たないでテストの点数だけを大切にして、対外用の別人格を作り上げて外では良い子にしていれば、「さすがは、あのお姉さんの弟だ」と誉められるもはわかってた。
 でも黒沢には、どうしてもそれが出来なかった。

「何故なんだろう?」って考えもしないで、ただ暗記してテストで良い点を取ったり、家族にイヤな思いをさせてまで外面を良くして人に誉められようとするのが、正しい事だとはとても思えなかった。
 自分が「間違ってる」って確信してる事をしてまで人に良く思われたいって、黒沢にはどうしても思えなかった。ずっと「イヤだなあ」と思い続けていた姉の真似をする気になど、どうしてもなれなかったんだよ。

 だから黒沢は皆に受け入れられる生き方はせずに、あえて周りの皆を拒絶する道を選んだんだ。

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姉系はビミョー②・ヒス姉の恐怖

 傲慢な言い方だと、自分でもわかっているけれど。
 ハッキリ言って黒沢は、「学校の授業で学んだこと」など、殆ど何もなかったデス。だって「知りたい」と思う事は自分でどんどん勉強して、授業で教えられる前から、教科書よりずっと詳しく知っちゃってたから。
 だって黒沢の“テキスト”は学校の教科書じゃなく、それぞれその道の専門書だったから。
 だから国語と社会の殆ど、それに生物など理科の一部については、マジで学校の先生より詳しかった。
 逆に生物以外の理数系は、とっても苦手でさ。「興味がない」って言うより、頭が受け入れてくれないんだよね。
 あと、とにかく暗記ばかりの英語は、それこそ天敵か親の仇くらいにキライだよ。
 でも得手不得手は誰にでもあるものだし、オレは社会や国語で頑張るし、理数系は得意な人が頑張ればいーじゃん」みたいに思ってた。それに黒沢は外交官や商社マンになるつもりも、外国に移住するつもりも無かったんで、英語が出来なくてもノープロブレム、ってコトで……。

 こう言うと矛盾してるようだけど、数学や物理や化学がデキる人って黒沢は尊敬するし、英語のエキスパートも絶対必要だと思ってる
 って言うか、黒沢が社会と国語(と理科の一部)しかデキない人だからこそ、それ以外の事がデキる人が他に居ないと困っちゃうし。
 ほら、小説や映画でよくあるよね。プロのハッカーや、天才的な錠前師や、一流レーサーや、凄腕のスナイパーなど、「他の事はダメだけどその道では達人」って人たちが無敵のチームを組んで、大活躍する……みたいな。
 黒沢は、世の中ってそれで上手く動いて行くものだと思ってるし、だから一人が国社数理英、全科目デキなきゃならないなんてオカシイと思ってる。

 けど黒沢の姉は国社数理英、どの教科もムラなくガリ勉すんだよね。それどころか、家庭科の提出物や、音楽のリコーダーの練習wwwとかも必死だったなー。
 特にテストが近くなると、夜遅くまで頑張るだけでなく、朝も四時とか五時に起きて勉強してさ。
 うん、そのコト自体は別に構わないんだ、テスト勉強を頑張るのは個人の自由だし、それはその人の価値観だから、どれだけ勉強しようが全然悪くナイよ。
 ただ姉は「起きられないから」って、いちいち起こして貰ってたんだよね、母親に
 さらに姉は寝起きが悪くて、起こされても二度寝しちゃうワケ。するとその後でブチ切れて、朝っぱらから泣き喚いてヒステリーだよ。
何でちゃんと目が覚めるまで、ちゃんと起こしてくれないのよぅ!!」と、朝っぱらから泣いてヒステリーだよ。ホントにマジで金切り声をあげて泣き喚くんだ。

 けど親って、子供が勉強を頑張ってくれさえすれば嬉しい生き物だからさ。姉に逆ギレされようがヒスられようが、それで勉強してくれるならと、全然怒らないんだ。
 で、母親は翌朝もまた、姉がちゃんと起きるまで起こしに来るのだよ。
 しかも始末が悪いのが、その姉を繰り返し起こしに来る母の足音と声で、起きる必要のない黒沢の方が先に目を覚まさせられてしまうことだよ。それも朝の四時や五時に、ね。
 黒沢はただ心の中に湧いた「知りたい」って思いから、自分から好きで勉強してたから。だからとにかく良い点を取って人から「あの人はスゴい、デキるね」って誉められたくて、その為には家族にメーワクをかけても構わない……って姉の気持ちが、黒沢には全然理解できなかった。

 姉はホントに外ではとことん良い子チャンだったからね。学校でもそれはもう人望がありまして、クラス委員なり生徒会の役員なり、いつも選ばれて何かしらやっていたんだ。
 そういう活動でも、やはり姉は「さすがは○○さんだ」って誉められたいわけデスよ。それも教師にも同級生たちにも、どっちにも好かれて信頼される委員長になりたいんだよね。
 でも、そういうナントカ委員って、どうしても先生と生徒生の板挟みになるよね?

 黒沢の父親はある種の商売人だったけど、母親の方は実は中学の教師でさ。
 だから姉は学級や委員会で何か問題が起きると、すぐ母に相談するワケ。「先生はこうしろって言うんだけど、そうするとクラスのみんなにニラまれちゃう、どーすればいいのぉ~(泣)」みたいにさ。
 でもさー、委員長が先生にも同級生にも気に入られようなんて、土台ムリな話じゃん。先生か同級生か、自分が大事にしたいと思うどちらかを優先して、もう一方には「キラわれても仕方ない」って割り切るしかないじゃん。
 当然、「先生に誉められて、同級生にも好かれる」方法なんて、現役中学教師の母にだってさすがに考えつかないわけデスよ。
 すると姉は、その度にまたキレてヒスを起こして泣き喚くんだよな。
 学年でトップクラスの成績を取り、クラス委員や生徒会の役員として先生に信頼され、かつ同級生にも好かれる良い子の優等生でいる為に、姉としても限界いっぱい頑張って、ストレスも溜まり切ってたんだろうけど。でもその為に、家ではキレてヒスって泣き喚いてばかりだったよ。

 って言うか、姉のヒスっぷりってのは、今思い出してみても理不尽でさ。例えば「起きたら、髪に寝癖がついてたー!」ってだけで、朝っぱらからヒスって家族に当たり散らして、金切り声あげるんだよね。
 でも姉がどれだけヒスを起こして泣き喚こうが、両親とも全く怒らなかったよ。「それで我が子が学校で頑張れるなら」と思えば、親としては我慢できちゃうんだよね。

 ……親って、悲しい生き物だよね。ほら、スポーツ選手や芸能人の親なんかで、「この子を育てる為に、ワタシは一生を捧げてこんなに頑張ってきました」みたいなコトを、自慢タラタラで言うヒトがよくいるけどさ。
 親自身としては、それで良いし満足かも知れない。前途有望な我が子を頑張らせる為に、自分は何でも我慢できるものなんだろうね。
 でもキョーダイは、親と同じ気持ちにはなれませんカラ。

 親だったら、「この子の為だ」と我慢できるのかも知れない。でも同じように弟(妹)にも「お姉ちゃん(お兄ちゃん)が頑張れるように、ヒスも八つ当たりも我慢してあげなさい」なんて、誰が言えると思う?
 頑張っていたのは、何も姉だけじゃないんだよ。黒沢だって(出来不出来は科目によってムラがかなりあったけど)学校の成績もかなり良い方だったし、委員長とまでは言わないまでも、ナンタラ委員とかもよくやらされてたし。

 ただ黒沢は、勉強も委員会の仕事もクラス内でのトラブルも、全部自分だけで対処してたんだよね。教科書やテストや順位に関係なく、興味を持った事は自分でガンガン勉強して、委員会でもクラスでも自分の思うままにモノを言って行動して。
「人によく思われたい」って発想が、黒沢には基本的に欠けているらしくてさ。だってバカたちに誉められたって別に嬉しくもないし、自分はもっと高いところを目指して進んで行きたい……みたいな。

 ははっ、考えてみると黒沢って、昔からコミュ障でアスペのイタい人だったのかも。
 白状シマス。中高校生の頃の黒沢には、思い出すだけで壁に頭を思い切りぶつけたくなるような、脳内から抹消したい恥ずかしすぎる記憶が、本当にもういっぱいありマス。
 だから当然、周囲からの風当たりもかなり強かったし、苦しい事は姉よりずっと多かったと思うよ。
 それでも黒沢は外面を良くして褒められるより、本当の自分のままでいたかったんだよね。イタくて恥ずかしいヤツなりに、誰にも頼らず一人で頑張ってたんだよ。

 でもそんな事、誰もわかってくれなかった。
 黒沢って、物心つく頃からホントにもう姉と比べられては、出来損ない扱いされて育ってきたから。
お前はダメだ、お姉ちゃんを見習え!
 って、周囲の大人達や学校の教師らに、何度言われたかわからないや。

 は? あの姉を見習え……って? 黒沢にも家ではキレてヒスって泣き喚いて、外ではネコを被ってなさい……って?
 だから黒沢は、大人も含めて「人間って、ホント馬鹿ばっか」って思ってたよ。
 お陰様で黒沢の性格だけでなく、人間観や社会観も曲がって行く一方で、かの総統閣下の『我が闘争』を読みふけるような、イタ過ぎる中学生になってしまいまシタ。

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 ……ま、今ではナチの犯した罪悪もちゃんと理解しているし、心情的にはヒトラーの暗殺を謀ったシュタウフェンベルグ大佐にかなり共感しているんだけどね。それに「今の日本のごくフツーの人の中にも、賢い人は大勢いるんだ」ってことも、ちゃんと理解しているし。

 ただ黒沢はナチには興味を持ったけれど、日本の右翼とは昔から全然肌が合わなかったなー。
 だって日本の右翼って、昔も今も結局“宗教”じゃん? 万世一系の“現人神サマ”を崇拝して、違う価値観の人は「この非国民、売国奴め、コロす!」みたいなノリでさ。何かヤバげなカルトの狂信者たちや、イ○ラム原理主義者のテロリストと何も変わらんデスよ。
 黒沢は物事を情緒や感情でとらえるんじゃなくて、まず論理で考える人だからさ、「誰かを信じてついて行く」みたいの、とぉっっっても苦手なんだよね。精神論とか根性論とかを好きな人も、「みんな消えてくれればイイのに」なんて、つい思ってしまうし。

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姉系はビミョー①・リアルな姉が居マスから

妹萌えはあるのに、何故姉萌えはないのよぉ!
 ……ってのは、『トゥハート2』でトップクラスの人気の、タマ姉こと高坂環サンの台詞でアリマス。
 実際、萌え系のセカイでは、妹キャラはツンデレや幼なじみや猫耳やメイドさんなどと並んで、立派に一ジャンルを築いているよね。ギャルゲーや男の子向けのちょっとHなマンガなんかで、妹的な年下キャラが出て来ないことはまずナイと思う。

 でも義理の妹と逆バージョンと言うか“血の繋がらない姉”みたいなキャラは確かにあまり見ないけど、大人っぽい先輩だの美人の先生だの、お姉さん的な存在は意外に多いような気がするなー。
 と言うか、萌えのセカイに年上キャラも、ほぼ絶対と言っても良いほど出て来るよね。
 前回も語ったけれど、黒沢一樹には血の繋がらない“妹”が三人ほど居て、でも本物のキョーダイと言うと姉が一人しかいないんだ。
 よく「実の妹がホントに居るヤツは、妹キャラにはまず萌えられない」って言うよね。身近で実態をリアルに見過ぎているおかげで、幻想なんか欠片も抱きようがナイ……ってやつね。
 だから黒沢は、ギャルゲーだけでなくマンガでも小説でもドラマでも、姉的な年上キャラには殆ど萌えられないのだよ。

 ズバリ言ってしまうと、黒沢はその一つ年上の姉とは、もう何年もロクに口もきいてないんだ。
 キョーダイって不思議なもので、年の差がある程度ないと上手く行きにくいんだよね。
 年がそれなりに離れていれば、上下関係も自然にハッキリするし、弟や妹からすれば「面倒を見てもらった」って意識もあると思う。
 けど年子や双子だと体力も知力も殆ど差も無いし、弟や妹としては「世話をされ助けられた」という意識がナイわけ。なのに姉だの兄だのと言われて威張られても、素直に従う気になどなれないわけデスよ。
 兄や姉とすれば、「お兄ちゃん(お姉ちゃん)なんだから」とか言われて、我慢させられた事もいろいろあるとは思うよ? でも年子の弟や妹の場合は、それより兄や姉に威張られて、ワリを喰わされてきた面の方が多いと思うのだけれど……。

 それに黒沢と姉の場合、性格が余りにも違い過ぎてさ。
 例えば姉は「別人格か?」ってくらい外では“良い子”で、家の内と外では態度がまるっきり違っちゃうんだよ。逆に黒沢は、おバカなくらいに誰の前でもありのままの自分でいてさ。
 とにかく姉は、生きる基準が「他人からどう思われるか?」なんだよね。だから外では超良い子ちゃんに振る舞うし、学校の勉強もテストで一番を目指してすごく頑張っちゃう。
 で、黒沢はその正反対で、「他人からどう思われようと、自分のやりたいコトをやる」ってタイプだったんだ。だから親戚の家とかに行っても、家にいる時と同じようにしてたし、勉強も自分のやりたいコトをやってたよ。

 ハッキリ言って姉は努力家でよく勉強してたよ。予習も復習もしっかりやるし、公式や年号とかも必死で暗記して問題集もいっぱい解いてさ。
 けどね、それで学年でもトップクラスの成績を取ってはいたけれど、特に好きな教科とかも無いし、そもそも「何故なんだろう?」って好奇心も無いんだよ。だから皆には「すごく頭が良い」と思われていたけれど、教科書以外のことは何も知らない人だった。

 一方黒沢の方は、小学校に入る前から本がお友達だったから。もう遊びと同じような感覚で、好きで楽しくて本を読んでたよ。図鑑とかも、小学校の低学年の頃から大好きだったし。
 文学全集や歴史の本もよく読んだし、小学校の高学年の頃にはテレビはニュースやNスペみたいなのが大好きで、大人の読む新聞も普通に読んでたな。
 世の中や周りのことに興味がいろいろあって、「何故だろう、知りたい」って思うから、難しい字や言葉のいっぱいある本を読むのも、全然苦にならなかったよ。
 って言うか、黒沢にとって勉強って、ただ自分の興味を満たす為に、娯楽と同じで楽しんでやるものだったんだよね。だからテストで何点取れただの、学年で何番だのって、まるで興味も無かったね。

 例えばさー、幕末の頃に尊皇攘夷運動ってあったじゃん? それまで世間の人達には大神主ぐらいにしか思われてなかった天子サマを引っ張り出してきて、それを口実に「日本は神の国だ!、外国人を追い払え!!」って暴れちゃうやつね。
 その自分の中の“正義”の為には、違う考えを持つ人(今風に言えば抵抗勢力?)は平気で殺しちゃう、勤王の志士とか称するテロリストみたいな連中はさ。幕府をブッ倒して自分達が政権の座についた途端にコロっと態度を変えて、文明開化とか称して自分が非難してた幕府よりもっとずっと「外国大好き、異人サンいらっしゃい!」になっちゃうよね。

 ここで「何でなんだよ?」って、不思議に思わないかなー。
 って言うか、黒沢は勉強ってのは、「何故? どうしてそうなるの?」って、納得出来るまでとことん考える事だと思うんだよ。尊皇攘夷や文明開化みたいな言葉や年号を覚えるとかなんて、その“物事の意味を考えること”に較べれば、ホントどうでも良いような些細な事でさ。

「何故だろう?」って不思議に思って、知りたいと思うことを調べてとことん考え抜く。勉強って、そもそもそういうモノだろ……って、黒沢は考えるのでアリマス。
 だから暗記ばっかりのテスト勉強とか、学校の勉強を見ていると「低レベルの、くだらねーコトやってるよなー」って思っちゃうんだよねえ。

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写真を撮り始めた動機は、やはり…

 今回は話題を変えて、久し振りに写真の話をしようかと思いマス。
 で、まず「黒沢がなぜ写真を撮り始めたか?」、だけど。
 ぶっちゃけ「可愛い女の子を撮りたかったから」って、ホントただそれだけだったんだよ。

 そりゃあカメラや写真に対する興味みたいなものは、確かに小学生の頃からあったよ。
 家族旅行などでも、写真はただ撮られるだけでなく、何枚か撮らせて貰ったりしてね。そしてその写真が現像出来て、「コレ、よく撮れてるじゃん」っていう写真は、たいてい黒沢が撮ったものだったりしてね。
 でもだからって、「写真を趣味にしよう」とまでは思わなかった。風景や家族の記念写真などは、「旅行のついでに、一枚か二枚撮らせて貰えれば充分」って感じで。
 それを一変させたのが、小学六年生の頃に同じ班で隣の席になった、セイコさんって女のコだったのでアリマス。

 そのセイコさんを一言で表せば、ラノベやラブコメのヒロインみたいな子だったよ。美人さんで勉強もスポーツも出来て、しかも性格も良くて優しくて、男女両方に好かれて……みたいな。
「そんな小6の女子、いるワケねーだろ!」って怒られちゃいそうだよね。でもセイコさんって、ホントにそういうタイプだったんだよ。
 セイコさんは年の割に背も高くて、体つきも同級生の女子たちより明らかに女の子らしくてさ。けどそれ以上に心も大人と言うか、精神年齢も間違いなくかなり高かったと思う。

 で、そのセイコさんと同じ班で楽しく過ごした小6の一年間もたちまち終わりに近づいて、卒業式の日も間近になってしまってさ。
 小学校を卒業する事自体は、別に悲しくも何ともなかったけれど。ただそのセイコさんと別のクラスになっちゃうかも知れない事だけは、すごーく寂しかったね。
 何しろ黒沢たちが進む事になっていた中学はマンモス校で、一学年に九クラスもあったんだ。だからまた同じクラスになれる確率は、かなり低いと思って間違いないワケで。
 はっきり言って、黒沢はそのセイコさんに恋しちゃってたと思う。

 その一年、セイコさんは黒沢とずっと仲良くしてくれていたよ。けどそれは「セイコさんが“大人”で、誰にでも優しい子だから」であって、黒沢に特別な感情など持ってないこともよくわかってた。
 何しろ相手は、マンガやラブコメのヒロインみたいな子だからね。「黒沢なんかと全然釣り合わねーよ」ってのも、自分でもよくわかってたし。
 ……だいたい身長だって、セイコさんの方が頭半分以上高かったしね。
 そーだよ、「セイコさんが背が高かった」って言うより、黒沢はクラスの男子の中でも明らかにチビだったんだよ。
 だから「告白しよう!」なんて畏れ多いコト、とても考えられなかったよ。
 ただ「離ればなれになってしまうのが、すごく寂しい」って気持ちはどうにもならなくて、それで「別れ別れになる前に、せめてセイコさんの写真だけでも撮って手元に残しておきたい」って思ったんだ。

 で、なけなしのお小遣いをはたいてフィルムを買って、卒業式の日には家のカメラを勝手に持ち出して学校に行ったんだ。
 何しろ小学生だから、マジでお金が無くって。それで買ったフィルムも、一番安い12枚撮りってヤツで。
 SDカードで何百枚でも撮れる今では、とても考えられないだろうけど。昔のフィルムには、たった12枚しか撮れないものもあったんだよ。
 もっと言えば、10枚撮りのライトパンカラーなんてのもあったけど、こちらの方は売っているカメラ屋自体が少なくてね。
 今ならさ、スマホやケータイなどに付いてるのも含めれば、カメラなんて誰でも持ってるよね。けど当時は、ケータイどころか使い切りカメラすらまだ無くってさ。
 カメラそのものが貴重品で、写真なんて何かのイベントの時にしか撮らないような時代だったんだよ。だから学校にカメラなんて持って行くと、「オレを撮れ~!」って奴らが、ご馳走にたかる蠅みたいに湧いて来るワケ。

 で、たった12枚しか撮れないうちの10枚まで、「撮れ~!」ってしつこくまとわり付いてくるコギタネー男子どもを撮らされてさ。そしてようやく2枚だけ残して、例のセイコさんに「撮らせて」ってお願いしたんだ。
 セイコさんはニッコリ笑って、即座に「いいよ」って言ってくれたよ。ただ続けて「アオヤマさんと一緒にね」って。
 そのアオヤマさんってのは、セイコさんと仲の良い同じクラスの女の子でさ。元気で明るいのが取り柄と言えば取り柄で、容姿その他は並……ってトコ。
 告られてはいないけれど、自分に気があるって丸わかりの男子に、「写真を撮らせて」って言われて厭な顔を見せたりも変に照れたりもせず、けど一対一は避けて「友達と一緒になら」って笑顔でサラッと言える小6女子のセイコさんって、やっぱりタダ者じゃナイよね。
 で、黒沢はセイコさんとアオヤマさんを連れて教室を出て、邪魔な人のいない校舎の裏で写真を撮らせてもらったのだ。

 まー、そんなマセたガキだったからね。黒沢は女の子も、女の子の写真を撮るのも大好きっス。
 でさ、中学生になってからも写真クラブに入ってみたり、修学旅行の写真係を買って出たりもしたんだけどね。ただどう頑張ってもプロが撮るような、「瞳にだけピントが合って、背景がキレイにボケた写真」が撮れなくて
 でもそんなの当たり前だよね、だって使ってたのは記念写真を撮る用のコンパクト・カメラで、レンズだってズームですら無い準広角の38mmのみだし。
 で、やがて「プロみたいに撮るには、一眼レフ&中望遠レンズで撮らなきゃダメだ」って知ってさ。

 けど一眼レフのカメラなんて、なかなか中学生の手に入るものではなくて。
 念願のその一眼レフカメラをようやく手に入れたのは、高校生になってからだったよ。
 それからはもう写真のコトしか頭に無いような日々で、つき合ってた彼女にも「キミってさあ、女の子そのものより、女の子の写真の方が好きだよね?」とまで言われてしまったよ。
 当時の黒沢って、キレイな写真を撮るコトにそれくらい一生懸命だったんだ。

「可愛い女の子を撮るのが好き」ってのは、今も変わらないけれど。それ以外にも風景や花や空など、いろんなモノも撮るようになりマシタ。
 時代はまだ昭和で、写真と言えばフィルムで撮るのが当たり前で、露出やピントを正確に合わせるのにもそれなりの知識と技術が必要だった頃に、初めてカメラを手にして。それがデジタル化して、シャッターを押すだけで誰にでもキレイな写真が撮れるようになった今に至る間に感じたいろいろを、今後も気まぐれに、思いつくままに書き綴って行きたいと思いマス。

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妹と『初恋』⑨・今でも残る悔い

 例の初めての“血の繋がらない妹”に別れを告げられた時、黒沢は引き留める事が出来なかった。本当にその男の事が好きなのか、そして気持ちはどうしても変わらないのか確かめはしたけれど、それ以上未練がましい真似はしなかったよ。
 でも黒沢を初めて「お兄ちゃん」と呼んでくれたそのコの事は、本当に好きだったから。だから部屋に籠もってウィスキーだけを相手に、殆ど人間の抜け殻みたいになって何日も過ごしたよ。
 そうして痛みや辛さに何とか耐えて、ユーコさんの事は記憶の奥底に深く押し込めてようやく立ち直って。

 ところが数年後、そのユーコさんから手紙が届いてさ。
もうすぐ、結婚します」って。
 いろいろあって、黒沢と別れた時の彼氏は事故死してしまったのだけれど、また新しい人と巡り合って今は幸せで、その人と明るい家庭を築くつもりです……って。
 ただ結婚の準備の為に実家の荷物を整理していたら、黒沢の手紙とかいろいろ出て来て懐かしくなって、それで……と書いてあったよ。
 ユーコさんの事は、その時にはもうとうに過去の話にして忘れたつもりでいたけどさ。でも別れを一方的に告げられた時の痛みは、古傷としてまだ心にしっかり残っていたよ。
 だから久しぶりに便りを貰って懐かしいどころか、「は? 結婚すんなら黙って勝手にすればいーだろーが。オメーが幸せだろーが不幸だろーが知ったこっちゃねーし、いちいち報告なんかしてヒトの心に波風立てるなや」みたいな感じでさ。

 まっ、彼女の気持ちもわからないではないさ。黒沢とのコトではユーコさんとしても疚しい気持みたいなモノが心のどっかに澱のように残り続けてただろうし、だからこそその黒沢にも「オメデトウ、幸せになれよ」と言って欲しかったんだろうね。
 判ってはいたけれど、黒沢はただ「ざけんなよ!」としか思えなかった
 その頃はまだ若かったし、自分を切り捨てた女の子に寛大な気持ちを持てるだけの心の余裕など、とても無くてさ。それにその頃はまだ、心の傷だけでなくそのコへの想いも、胸の奥底の何処かにまだ残ってたんだろうね。

 だからユーコさんからの突然の手紙は、黒沢にしてみれば「ようやく寝かけた子を、わざわざ起こすような真似すんな」って感じでさ。
 ただ腹は立ったけど、文句の一つも言ってやろうとまでは思わなかったよ。
 だって、いきなり別れを告げられた時にも、文句も言わずに引き下がった黒沢だから。そしてその後はユーコさんは“居なかったもの”として、存在すら忘れようと努めてきたんだ。
 だから久しぶりの手紙の返事も書かずに無視して、読んだ中身も記憶から抹消するよう努めたよ。

 ……それから更に何年か経つうち、黒沢の気持ちも次第に変わってきてね。
 その後も何人かの女の子と出逢っては別れて痛い思い出も増えて行くうちに、女の子という生き物のコトがちょっとは判るようになってさ。
 例の「恋は上書き保存」の女の子にとって、過去の男の事など黒歴史でしかなくて、元彼なんて「そーそー、あたしが昔つき合ったヤツに、すっごいバカ男が居てさー」みたいな悪口のネタにする程度の存在でしかないんだよね。
 それを考えると、「結婚前の一番幸せな時に懐かしく思い出して貰えて、手紙まで出して貰えた……ってのは、ちょっとすごい事なのかも」なんて気もしてきてね。
 それに気付いたら、「あの手紙を貰った時、結婚おめでとう、幸せに……って言ってあげればよかった」って、ようやく思えるようになったよ。

 その悔いみたいなものがあるせいで、懲りずにその後さらに作ってしまった二人の“血の繋がらない妹”には、本当にもう激甘にしてしまってさ。
 その二人も黒沢には“妹”として甘えるだけ甘えた挙げ句に、結局は他の男の所に行ってしまったのだけれど。それでも怒ったりせず、さらに「幸せにな」と言って送り出してあげられたよ。
 二番目の血の繋がらない妹とは、別れた後は音信不通のままなのだけれど。最後に出来た三人目の“妹”とは、実は今も仲は良いんだ。彼氏との関係とか家族間の悩みとか、とりあえず別れた後も“兄”として相談相手になってるよ。
 ……随分と脱線してしまったけれど、黒沢がリアルに作ってしまった三人の“血の繋がらない妹”との思い出話というと、まあこんなものかな。

 ……全くもう、折角のクリスマスにぶつけるように、二日続けてフラれた話をするなんて、黒沢も不粋なヤローだよねえ。
 けど黒沢が自分の恋愛体験を語ると、どうしたって結局はフラれた話になっちゃうのさ。
 
 で、次は何について語ろうか。
 幼なじみにしようか、逆に年上のヒトについて話そうか。それとも全然違うことを喋ろうか。それはまあ、黒沢の気分次第というコトで。 けどどっちにしろ、「最後は黒沢がフラれる」ってのには、変わりないんだけどね。

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妹と『初恋』⑧・女の子のコワさを、キミは知ってマスか?

 ユーコさんからいきなり別れを告げられて。
 そりゃあもうショックだったよ。ずっと好きでいて、兄と妹の関係から一歩踏み込むことが出来て「やっと自分のものにできた!」と思ってただけに、その彼女が他の男のモノになってしまったんだと思うだけで、気が狂うくらい辛かった
 人前では何とか自分を保っていたけれど、部屋で一人になるとみっともないくらい泣けたね。食事も殆ど喉を通らず、酒に弱いくせに、何日もただウィスキーを飲み続けてさ。

 ただ情に訴えて「何とか考え直してくれ」って頼むとか、「なら何であの時オレに抱かれたワケ?」と責めるとか、そういう恥の上塗り的な事だけはしなかったよ。だって、女の子に「好きな人が出来たから、もう終わりにしたい」って言われたら、その恋はもうバッド・エンドが確定なんだから。
 よく言うよね、「女の恋は上書き保存、男の恋は名前を付けて保存」って。コレはホントにホントの事だから
 女の子って、新しい本命の彼氏が出来ると、それ以外の男には信じられないくらい残酷になれる生き物なのだよ。その実態を知ったら年齢=彼女いない歴の童貞クンなんか、「リアルな女は超コワい、彼女なんて二次だけにしてるオレらは幸せだ」ってきっと思うんじゃないかな。

 まだ恋愛初心者だった頃の黒沢は、そのコトがわかって無くてさ。だから付き合っていた彼女から別れを告げられた後には、思い出すのも恥ずかしいようなみっともない真似をいっぱいしでかしたものだよ。
 まず突然の心変わりを責めるところから始まって、それでも通じないと「何でも言う通りにするから戻って来てくれ」と懇願したり、挙げ句に「キミが居なければ生きていけない」とまで言って縋とかね。
 けどね。
 心変わりした後の女の子ってのは、まるで別人と思った方がイイよ。あれだけ「好き好き!」って言って慕って尽くしてくれていたコが、ホントに人が変わったように雪女レベルに冷たくなるから
 例の「女の恋愛は上書き消去」ってのはホントにホントで、女の子にとって元彼なんてゴミ屑も同然の黒歴史の一つでしかないんだよ、マジで。
 だから「元カノの悪口を言う男は少ないけれど、女にとって元彼は悪口の対象か笑うネタでしかない」とも言うでしょ? コレ、本当にそうなんだよ。

 断言する。女の子が「別れたい」って切り出して、さらに「別に好きな人が出来た」って言った時には、思い直して貰うのはまず99.9%ムリだね。
 付け加えて言えば、そんな時にはまず間違いなく、その新しい男と既にヤってる
 世間的には、「男は浮気っぽい」って思われているけどさ。黒沢の経験では、恋愛中にフタマタをかける率は女の子の方がずっと高いね。彼氏がいても、他に気になる男が現れれば、両天秤をかける形でそのまましばらくフタマタ進行しちゃう
 そして「実は……」って別れ話を切り出してきた時には、まず間違いなく相手の男とも何度もヤっちゃってて、もう引き返せない状況になってるんだよね。
 だから女の子がこのテの報告をする時には、既にもう新しい男を確保しちゃってるんだよ。
 ヒドいって言うより、そーゆー性質の生き物なんだよね、女の子ってのはソレを責めるのは、肉食獣に「生き物を殺して食うな」って説教するようなもんでさ。

 女の子って、他に気になる男が出来ても「元彼とちゃんと別れてから、新しい相手と付き合う」という手順を踏まずに、暫くフタマタをかけて答えが出た上で「実は……」って言い出す子が多いから。
 だからその別れ話が“唐突”なのは、「気付かずに寝取られていた男にとっては」であって
 女の方にしてみれば、既によく考えてどっちを取るか心を決めた後で、その別れ話を切り出してるんだよ。だからその「捨てる」と決めた方の“要らないオトコ”に、どう縋られたって考え直す余地なんか無いワケよ。
 わかるかい? 「別れたい」って言われた時点で、女の子にとってその男はもう“過去のどーでもいい存在”になり果ててしまっているんだ。

 女の子の恋って、本当に「上書き保存」なんだから。過去の恋も「名前を付けて保存」の男と違って、新しい男がデキた途端に心はその男の事で一杯になって、それまでの男への情や思いは何もかもスッパリ消去されてしまうんだ。
 そうなった時の女の子の胸の中には、新しい男の事しか無くて、「元彼に悪い」とか「元彼を傷つける」とか、そういう思いやりなど欠片も無くなってしまっているんだよね。
 自分に何か悪い点があったからではなく、このように「他に好きな人が出来たから」って一方的に切り捨てられちゃうコトって、リアルな恋愛ではホントによくあるんだよ。

 例の“血の繋がらない妹”のユーコさんのこと、黒沢はホントにすごく好きだった。
 けど突然告げられた別れ話を、黒沢は黙って受け入れるしか無かった。女の子がそうして別れを切り出す意味を、それ以前の苦い恋でイヤと言うほど思い知らされていたからね。
 だからまだ好きでたまらない気持ちは圧し殺し、堪え切れない未練や胸を灼く嫉妬は飲めない酒に紛らわせて耐えて、ユーコさんの意志を受け入れたよ。

あのさー、ホントに好きだったら“みっともない”とか考えねーだろ? つまんねープライドにこだわってカッコつけてないで、本当の気持ちを彼女に話してみないからダメなんだよ」ってお叱りの声が聞こえてきそうだよね。
 でも迷いも躊躇いもなくそう言えちゃうヤツって、ただ「彼女を世界一好きなのはこの俺で、彼女を幸せに出来るのも俺しかいないんだあ!」って自分の気持ちに酔ってるだけの、恋の痛みも女の怖さもまだ知らないお子ちゃまなんだよ。

乳房 (文春文庫)乳房 (文春文庫)
(2008/02/08)
池波 正太郎

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鬼平犯科帳』や『剣客商売』などでおなじみの作家池波正太郎が、『乳房』って作品の中でそのあたりの女の怖さを的確に書いているよ。
女には過去も未来(ゆくすえ)も無く、ただ現在(いま)があるのみ

 女って、本当にそういう生き物だから。二次のセカイの理想化された美少女たちしか知らない童貞クンには信じられないだろうけど、女にとってはとにかく今のキモチが全てで、一旦気持ちが醒めたらまるで別人のように冷酷になれる生き物だから。
 だから女が他のオトコに心を動かしちゃったら、もう何をしても駄目なものは駄目なんだよ。プライドも何もかなぐり捨てて、過去の事を思い出させて情に訴えようが、何でもするからと哀願しようが、「みっともない、情けない男www……」とか思われて余計に見下されて、寝取られた上にただ恥を重ねるだけだから。
 その事を、黒沢は自分の痛い経験からよく知っているのだよ。

 まだ青くて熱かった頃には、黒沢だって好きだった子にはどんな酷い仕打ちをされても頑張ったよ。その子に別れられたくない一心で、何でも我慢して何でも相手の気に入るようにしてね。
 で、そうして尽くした結果、どうなったと思う?
 ハイ、余計に軽く見られて小馬鹿にされて、もっと踏みつけにされただけデシタ。特に性格の悪かった子にではなく、若い頃の黒沢が関わったどの女の子にもね。

 若くてちょっと可愛くてモテてる女のコって、ホント信じられないくらいゴーマンだから。世の中は、アタシを中心に回ってる」くらいに思ってるよ、マジで。
 誠心誠意尽くして頑張っていれば、いつかその気持ちが相手に通じて、相手も優しくなってくれる……なんてコトは、少なくとも実際の恋愛ではまず99%無ね。あったとしても、ただ“便利クン”として利用されるだけだから。

 ホストやチャラ男たちを見てごらん。外見が良い上に口も巧ければ、誠意なんて何も無くても、女の方から勝手に貢いでくれるでしょ? でも特にイケメンでもない普通の男は、見返りナシにただ要求ばかりされてばかりだよね
恋愛の掟もジャングルと同じで、弱肉強食のみ」と言えば、確かにその通りなのだけれど。
 うん、それが童貞クンたちが羨ましがってる、三次の恋愛の現実なのさ。

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妹と『初恋』⑦・超えてしまった“妹”との一線

 その黒沢の最初の“血の繋がらない妹”のユーコさんと二人で、日帰りの予定でちょっと遠目のドライブに出掛けた時のコト。製造されて既に14年も経ち、かなりレトロ化していた黒沢の車が、ドライブの途中で故障してしまってさ。
 何とか直すことは出来たのだけれど、修理に思いのほか時間を食ってしまって、その日のうちにはとても帰れなくなってしまったんだ。

 行き先は南伊豆で、季節は夏で海も青く綺麗でさ。
 修理を待つ間も、海辺でユーコさんに膝枕して貰いながらお喋りしてたりとか、その時点で既に“兄と妹”の関係から踏み出した感じの、かなり良いムードにはなってたんだよね。
 で、その晩は「帰れないんだもん、仕方ないよね」というか、当然の成り行きでそのままホテルに……というワケ。
 ホテルと言っても、その時には既に深夜になってたし、入ったのはたまたま“空き室アリ”の表示があった国道沿いのラブホテルだよ。
 でもだからって、部屋に入るなりユーコさんを押し倒しちゃったりなんかしなかったよ。だっていくら血縁はナイとは言え、ずっと兄と妹として仲良くしてきた相手に、焦ってガッつくような真似はしたくなかったし。

 男はバカだから、つい「非処女なら、もうエッチに不安とか全然ナイだろ」みたいに思いがちだけど。
 でも、コレは忘れないでちゃんと覚えておいてほしい。処女であろうがなかろうが、誰か(♂)と初めてホテルに行く時には、女の子はそれなりに緊張するものだよ。
 だって、エッチってプライベートな事の最たるものと言うか、すっごく個人的なモノじゃん。同じ男だって、ムード重視派もいれば、ガッツンガッツン攻めまくりたいヤツもいるじゃん。

 ぶっちゃけ性癖なんてホントにもう人それぞれ、SM好きやら、ロリやら、熟女好きやら、デブ専やら、3P好きやら、大っぴらに出来ないような嗜好の持ち主なんていくらでも居るからね。
 ソレは特殊例にしても、まあ“フツー”に属するエッチだって、さっさと一発ヤったらスッキリ「オヤスミナサイ」ってのから、時間をかけてじっくりネットリ何度も……ってのまでいるし。
 女の子が誰かと初めてエッチする時って。他の男のやり方はどうあれ、キミ自身の性癖やヤリ方はまだ知らないワケでさ。
 だからいろんな相手とヤリまくってるビッチでもない限り、女の子はキミに初めてされる時には「どんなコトされるんだろ、もしかしてヘンな趣味とか持ってたらどーしよぅ」って不安に思うものだよ。

 で、ホテルの部屋に入ってもユーコさんは笑顔で普通に話してはいたけれど、微妙な緊張感が黒沢にも伝わってくるワケ。
 車の故障に加えて渋滞で、どうしてもその日のうちに帰れなくなってしまったのは、本当に偶然のことだったよ。けど黒沢はまじり気の無い異性愛者なんで、ホテルに泊まる事になった時点で期待と言うか、下心は確かにアリマシタ
 けど痩せ我慢かも知れないけれど、その下心以上に“妹”を大切に思う気持ちもあったんだよね。

 入ったのはラブホテルだから、ベッドはもちろん一つだよ。
 そのベッドに一緒に入ってすぐ、黒沢はユーコさんに言ったんだ、「中学生同士のカップルみたいにさ、今夜は手を繋いで寝ようか」って。
 そしたらユーコさんも、安心したように笑って頷いたよ。
「アホか、今時の中坊が手を繋いで寝るとかあり得ねーって、朝までヤリまくりに決まってるだろーが」なんてツッコミは無しだよ。だって携帯電話どころかポケベルさえまだ無かったような時代の話だもの、その頃の中学生は今よりずっとオクテだったんだよ。

 長いドライブの疲れもあって、その晩はホントに手を繋いですぐそのまま寝ちゃってさ。
 そのせいか、翌朝は六時過ぎにはもう目が覚めちゃって。
 でも気がつくと、眠りに落ちる前に握った手はその時もまだ繋いだままだった。
 その隣で寝ている“妹”を見ているうちに、気持ちを抑えられなくなってそっと抱き寄せたんだ。するとユーコさんもごく自然に自分からバスローブと下着を脱いで……という感じで、二人は兄と妹じゃなくなっちゃったんだ。

 お兄ちゃんと妹
 建前はそーゆーコトになってたけど、ホントは黒沢はずっとユーコさんの事が好きだったんだ。ただ告白してフラれるのが怖くて、兄と妹の関係でいる事を選んでいただけでさ。
 だからこと、後悔は全然しなかった。と言うより、こうなれば良いとずっと思っていたし、だからその後は、チェックアウトの時間ギリギリまでユーコさんと愛し合ったよ。

 その時はただエッチするだけでなく、ユーコさんといろんなコトを話したよ。
 ユーコさんは黒沢より四つ下で、でも黒沢はユーコさんにとっては三人目でさ。
前の二人に勝ちたかったな
 ついそう言ってしまったら、ユーコさんは激しく首を振ってさ。
そんな事ない、一樹さんが一番勝ったんだよ
 そう言ってくれたんだ。
 だから黒沢は、自分が彼女にとっての一番になれたと思ったよ。
「お兄ちゃん」じゃなくて「一樹さん」。その時から、ユーコさんは黒沢を名前で呼んでくれてさ

 その時のユーコさんのエッチは、すごく優しかった。
 積極的に自分から何かしよう……ってんじゃなくて、基本的には身体を黒沢に任せての受け身のセックスで。けどいつも両腕を黒沢の背に回して、優しく抱き返してくれていてさ
 そして黒沢のちょっとした動きで、黒沢が何をしたいかをすぐに察して、黒沢がやりやすいように微妙に体の向きや姿勢を変えてくれるんだよ。だからエッチしている間は、「いつも彼女に受け入れられている」って感じでね。

 処女厨って、男の中には確実にいるよね。
 そりゃあ黒沢だって、エッチした相手がたまたま処女だったら嬉しいさ。そんな時には「自分がこのコの初めてになれたんだ」って、未登峰を征服したような感慨を持っちゃうことも否定しないよ。
 けどそれに勝る「非処女の優しさと温かさ」ってのも、絶対あるから。黒沢はその事を、ユーコさんに教えられたよ。

 だからこそ、「気持ちはユーコさんも同じで、これで兄と妹から両思いになれた筈」って思っちゃうじゃん。
 けど現実には、ユーコさんとは兄と妹に戻れなくなっただけでなく、彼氏と彼女にもなれなかったんだよね。
 そのドライブから帰って間もなく、ユーコさんから「あの日のコトは、ムードと成りゆきのせいだからね」って言われてしまってさ。そして仲は良いままなんだけれど、以前とは違う何かギクシャクした関係のまま数ヶ月が過ぎて。 

 で、黒沢はある日唐突に、ユーコさんから別れを告げられてしまったんだ。
彼氏ができたから」って、本当に一方的に。

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妹と『初恋』⑥・このゲームの残念なトコ

 さて、この章のテーマに取り上げた『初恋』を、黒沢は①不思議な美少女椎名柚純、②友達感覚の西村陽子、③年下っぽい可愛い先輩の小桃サン、④リアルな妹の杏、という順に進めて行きマシタ。
 それにしてもCEROって、グラフィックとメーカーが提出する粗筋だけで、年齢別の推奨ランクを決めているのかも。実際にはシナリオも全部提出されているんだろうとは思うけれど、多分ちゃんと読んではいないね。
 でなければ、紹介してきたようなストーリー(兄と妹や、教師と生徒がデキちゃったり、タチの悪いストーカーも出てきたり、自殺もあったり)で、ただの12歳以上推奨で済むワケないものね。
 とにかくCEROの審査は、『初恋』ってタイトルや子供っぽくて可愛らしいキャラ絵に絶対ダマされてるよ。

 プレステ2版では規制に合わせて中身もグラフィックもマイルドに作り替えられてるとは言え、何しろ元は18禁のエロゲからの移植だから。黒沢から見れば、この『初恋』は間違いなく大人向けだね。
 ただこの『初恋』の最大の難点を言えば、「ヒロインによってシナリオの出来の差がかなりある」ってコト。
 黒沢個人がそのキャラを好き……というだけでなく、紹介した四人のルートは大人がプレイしても十分楽しめる出来なのだけれど。特にメインヒロインの小桃先輩のルートは、前世の関係が現在の出来事に絡んでくるだけでなく、何と来世にまで繋がって行って、テキストのボリュームも満点だよ。

 それに比べて残る二人、ココ・夏野・パルフェ高梨花梨のストーリーについては、中身の深さから話のボリュームまで、いろんな意味で「残念な出来」としか言いようがなくてさ。
 どう残念なのかは、具体的にはそれぞれ実際にプレイして確かめて貰うとして。まあ良く言えばファンタジー色満載、有り体に言えば子供騙し……って感じなのだよ。
 他の四人のストーリーは、禁断の愛やら悪質ストーカーやら自殺やら何でもアリなのに、ココと花梨のルートでは途端に幼く可愛い夢物語になってしまって、このレベルのストーリーで感情移入できるのは、せいぜい中学生男子くらい迄だと思うゾ。

 とは言うものの、ファンタジー色の濃い現実にはあり得ない展開が満載の甘口ゲームも、黒沢が苦手というだけで、それはそれで需要もあるワケで。
 だからヒロイン全員のストーリーが、そうしたファンタジー色満載の可愛らしいお話ならば、「それがこのゲームの世界観なんだ」と割り切る事も出来るよ。まっ、「自分の好みじゃナイけど、こーゆー話が好きなヒト達だって居るよね」って感じで、自分はプレイせずにスルーすれば良いだけの話でさ。
 知る人ぞ知るKID社の、恋愛のドロドロとか三角関係などをリアルに描いたギャルゲーは、修羅場ゲーとしてそれなりに需要があって。その一方で、ファンタジー色の強い甘口ゲームだって需要はあるし。

 で、その両極端のストーリーが同じゲームの中に混ざってしまっているのが、この『初恋』の残念な点かな。一つの作品でありながら、世界観がバラバラというか、作品の中のムードが違い過ぎるんだよね。
 ネットのゲームレビューで『初恋』の評価を下げているのも、このヒロイン毎のストーリーの出来とテイストのバラつきが一因だろうと、黒沢は勝手に推測しているのだけれど。
 実際、この『初恋』に限らず、ヒロイン毎のルートに出来の差がかなりあって、「ヒロインによって凄く感動できる話もあれば、薄っぺらでダメダメな話もある」ゲームは、不当なくらい評価が低すぎるように思えるよ。
 例えば中古ゲームショップでは何処でも五百円以下で売られている、プレステ2の『スイートレガシー』とかね。

スイートレガシー~ボクと彼女の名もないお菓子~スイートレガシー~ボクと彼女の名もないお菓子~
(2002/12/26)
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 黒沢としてはかなり楽しめた『スイートレガシー』については、いつかまた別の機会に触れるとして……。
 黒沢と例の「血の繋がらない三人の妹」のうち、実は一人目の“妹”とだけは、ただの妹という関係では終わらなくてさ。
 そのコ(ユーコさん)と二人で、日帰りの予定でちょっと遠目のドライブに出掛けた時のコトを、次にちょっと語らせてもらうね。
 

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