空と虹と恋と

 大好きな写真のこと、そしてゲームやコミックスの話から歴史&時事問題まで、思いつくまま雑多に語ってみたいと思っております。さらに筆者の度重なるイタい失恋話についても、どうぞ憫笑しつつお読み下さいまし。

幼なじみ⑥・女性がオタクを嫌うホントの理由

 黒沢は「女の顔色をいちいち窺うな」って言ったよね。けど「顔色を窺う」のと「気を使う」のは、似ているようでも全然違うものだから。
 例えばお店や病院のドアとかで女の人と鉢合わせした時、黒沢は基本的にドアを押さえて相手が通るのを待ってるよ? それも可愛いお姉さん限定、ってわけじなくて、相手が喪女だろうがオバチャンだろうが変わんないの。
 黒沢はチビだし体も弱い方で、病気もいっぱいして来たよ。けど「重い物があれば男が持つ」ってのも、当たり前に実践しているよ。
 そのドアを開けるのも重い物を持つのも、モテたい相手のコにそうしてるんじゃなくて、自分のモットーとしてどの女の人にもやってるワケ。
 相手の顔色を窺うのはカッコ悪いよ、けど相手への気配りは、人として当然すべきものだからね。

 そうそう、『花とみつばち』の山田は途中で整形して、もっとモテるようになるんだよね。だから読んだことのある人は、「中身に自信を持てとか言ったって、やっぱり結局は外見じゃん?」って言いたくなるかも知れないね。
 でも山田が整形したのは、実は作者の安野モヨコさんの作画上の(精神衛生上の?)都合なんだ。
 モテを目指して試行錯誤する主人公の友人で、「キモメンなのにナゼかモテる」っていう設定上、山田は頻繁に出てくるわけ。で、当然作者の安野モヨコさんは、そのキモい山田を何度も何度も描かなきゃならなくなるよね。

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(2003/11/06)
安野 モヨコ、ヤングマガジン編集部 他

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 で、「山田を描くと、もうつらくて」と、ファンブックの『花とみつばち Memorial モテバイブル』で、安野モヨコさん自身がそう告白していマス。
 そのあたりの事情を、ファンブックから安野モヨコさんの言葉をもう少し抜粋してみるね。

 やっぱ、かっこいい男の子を描いた方が楽しいじゃないですかぁ、かわいい女の子とか。それがもう「また山田だ~」とか「このページ、山田の顔が三つもあるんだけど」みたいのが、だんだんイヤんなってきちゃって。「思いっきりハンサムにしたら、描くの楽しいかな」と思って、整形したんです!


 自分に自信があってブサでもモテていたハズの山田が唐突に整形した理由は、必然でも何でもなく、ただ作者の作画上の都合なんだよね。
 現実に自分に自信がある人は、整形しようなんて全然思わないんだよ。って言うか、する必要なんて一ミリも感じてないし。
 失礼を承知であえて実名を挙げちゃうけど、元ヤンキースの松井さんも松坂選手も、顔の造作から言えばイケメンとは程遠いよね。けど、整形なんか全然してないでしょ?

 でも『花とみつばち』を読んで、黒沢は「いろいろ鋭いし恋愛経験も豊富なんだろうし、男のことだってよくわかってはいるけれど、この作者はやはり女性だなー」って思ったよ。
 って言うのは、安野モヨコさんは基本的に恋愛至上主義と言うかさ、「女にモテる為に頑張る男の方が、人としても成長してより魅力的になる」みたいな思想が、『花とみつばち』の中にかなりあからさまに見えてるもの。
 でも黒沢は、モテたいとか思う前にまず自分の為に頑張る方が人としても成長しするし、「その結果として」モテるようになる……って思うんだけどな。だから安野モヨコさんの言葉に何度も頷かされはしたけれど、根本的な考え方は真逆なのさ。
 松井さんだってイチローだって石川凌くんだって、別にモテを目指してスポーツやってたワケじゃないよね。って言うかさ、仕事でも趣味でも勉強でも、男が何かに打ち込んで一生懸命頑張ってる時って、オンナの事なんか頭の片隅にもナイもんだと思うけど、違うかな?

 結局さ、男の“モテ”と女の“モテ”では、その意味も中身もかなり違うんだよね。
 女の子の場合、外面さえ飾っておけばいろんなオトコに優しく大事にされて、貢ぎ物も山積みに……って面があるからね。だから「ファッションや化粧品や整形に投資して、見かけを磨いてモテることが、そのまま人生を豊かにすることにつながる」って、素直に思っちゃえるんだろうね。
 だからこそ男が肉食系で「モテたい!」って頑張ってくれなきゃ、女の子としては困るし損をしちゃうんだよ。だって男の目が女の子に釘付けで頭の中もモテることで一杯だからこそ、女子の機嫌もとるし優しくしてプレゼントとかもするワケでさ。

 男が草食化して、モテより自分の趣味に努力や時間とカネを注いでごらん。デートのお誘いやプレゼントも、間違いなく激減するから。
 花と蜜蜂で例えれば、男がみな草食化したら女子は「せっかく咲いたのに蜜蜂の来ない花」状態でさ。
 だから女の人は、男には「いつもモテを意識して、女にカネや気を使うのを惜しまない」でいてほしいワケさ。
 つまり女子にとっては「モテる為に頑張る肉食系の男=女にとって物心両面でメリットがある、魅力的なイイ男」で、その逆の草食男子とオタクはキライなのさ。
 世の女子たちが、何でオタクをゴ○ブリ並みに毛ギライするかわかる? それはね、現実にモテることを最初から放棄して、側に居る自分たちを見ようともしないからだよ。そして本来自分たちに貢ぐべきw金品を、手の届かないアキバ系のアイドルや、実在すらしない二次の美少女などに費やしてるからだよ。

 冷静に考えてみて。世の中の男女は、まあほぼ同数だよね。そこである一定数の男がモテを目指すのを諦めて、二次のオタクのセカイに逃げたとシマス。そしたら当然、女子はその分だけ間違いなくアブれる事になるよね?
 デートのお誘いや女子に流れるプレゼントの数も、そのオタク化した男子の人数分だけ減ることも、言うまでもアリマセン。

 ハーレム状態って言うか、一人の男(しかも平凡であまり冴えない)が何人もの美少女にモテモテ……みたいな話、ギャルゲーや萌え系のマンガなどでは多いよね。
 まっ、実際あり得ない夢物語だし、女子たちに「バカみたい、キモッ」って思われても仕方ないかも知れない。
 でもその女子たちが好んで読む少女マンガや恋愛小説だって、「タイプの違う複数のイケメンの間で揺れ動くアタシ」みたいなストーリーが王道じゃん。しかもそのヒロインも、たいてい「特に美少女ってワケでもない、普通の女の子」でさwww。
 結局さ、複数の異性にモテてチヤホヤされたいのは、男女とも同じなんだよね。

 ところがデスよ、オタクたちは現実の恋愛を最初から降りてしまってるから、恋愛市場は“オンナ余り”になってしまうワケ。
 当然、オタクが増えるだけ女子をチヤホヤする男の数は相対的に減り、モテない女子の数も間違いなく増加するのでアリマスよ。
 その男子が草食系の場合はね、女子としても「元々女にキョーミが無いんだから仕方ないよ」と諦められるよ。けどオタクの場合はむしろ「女のコは大好き」で、その自分が好きなアイドルや二次のキャラには、多大な愛情と金品を注いでいるワケで……。
 平たく言えば、「おめーらオタクのせいで、アタシらに流れてくる筈の金品&オトコが減ってんだよ!」というコト。そう考えてみれば、女子が「オタク=女の敵」と敵視する心情もわかるよね。
 その感情が論理的に正しいかどうかは、また別の問題としてだけど。

 女の子って、エロい肉食男子が意外に好きだよね。だって「好きだ、付き合おうぜ!」とかガッツンガッツン攻めて来るし、彼らのセーヨク(と言うかオスとしての本能)をうまく操れば、いろいろ翻弄して尽くさせたりできるからね。
 それだけに「アタシらに尽くさないしお金も遣わないオタクは敵」って、本能的にわかってるんじゃないかな。
 人間も含めて動物の“繁殖”は、「オスが頑張って求愛して、その中で最も条件の良さそうなのをメスが選ぶ」って感じだよね。だから人間だって、「選択権は女子にある」って感じでさ。
 けど草食化あるいはオタク化した男子は、例の「メスを巡っての争い」から降りることになるよね。すると恋愛市場では、当然のように“オンナ余り”ということになる。
 だからパートナーを選ぶ権利は、実は今や女子から失われつつあるんだよね。容姿に恵まれた一部の女の子は別として、並かそれ以下のスペックの女子は、妥協して自分から相手を探すしかなくなっちゃてるのが現実でさ。
 それが理解できていない女の人は、「分厚い財布を持って白馬に乗った、家事もしてくれる下僕兼用の王子さま」が現れるのを、アラフォーになっても待ち続ける事になるワケで。

 マスコミ、中でもテレビは女性に弱いからね。だってテレビの視聴率を支えてるのも、CMを見てモノを買うのも女性だから、テレビは女性の気に障ることは殆ど報道しないよ。
 だから今の晩婚化も、「結婚できない男たち」みたいな視点で、主に男に責任がある……みたいな視点でばかり報道してるよね。さも「男たちよ、結婚したくば高望みはやめ、もっと女の人に気に入られるように尽くして頑張れ」って言いたげに。
 って言うか、テレビや雑誌などマスコミの報道の仕方って、未婚のアラフォー男子は「結婚できない哀れな存在」で、未婚のアラフォー女子は「仕事に人生にいろいろ頑張っていて、選択してまだ結婚しないでいる」って決めつけてるのが腹が立つんだよ。
 現実には「結婚する気のない男」も「したくても結婚できないでいる女」も、どっちも大勢いると思うんだけど。
 でもソレは「王様はハダカだよ!」と同じで、薄々気付いていても口に出しちゃあイケナイ禁忌の言葉なんだよね。
 そうだよね、男は“強い”から傷ついたりしないし、女子に何か言われたくらいで怒るのは「器がちっちゃくてみっともない」んだよね。けど女性はデリケートで傷つきやすいwから、いくら事実でもキツいことを言ったりしてはイケナイ……と。

 そのタブーを破って、男女関係の現実をズバリ言ってしまえば。
 実際に結婚したくて焦ってるくせに高望みしてるのは、むしろ女の人の方じゃないかと思うんだけど。だって男は五十になっても還暦を過ぎても子作りはできるから、「良い縁があれば」ってじっと待ってられるけど、女性はそうは行かないからね。
 そして巣を確保して子育てをする生き物である女性は、男にはどうしても女を守って自分と子供に尽くして欲しいんだよね。無意識の本能的なものにせよ、計算して考えているにせよ。
 現実の恋愛経験が乏しくて、女というイキモノに過大な夢を抱いてる甘い男は、愚かにも「女の子って、男に尽くしてくれるものだろう」って信じてしまいがちだけど。でも現実の女の子の本質は、「自分が尽くす以上に、尽くされたい」生き物なんだよ。

 だから女性は「モテる為=女の為」に頑張る肉食男子が本能的に好きで、その“モテ”を生きる第一の目的にしない草食男子やオタクを敵視するんだよ。
「自分の趣味とかに遣うお金があるなら、アタシをデートに連れてったりプレゼントとかしろよ! その方がずっと有意義だろー!!」ってのが、オタクを毛ギライする女子たちの本音なのでアリマス。
 って言うか、男の趣味に理解のない女子が多いのは、ズバリそういうワケなんだよ。男が何か趣味を持てば、その分だけ自分たち女に費やすカネも時間も減るからね。
 だから『花とみつばち』の安野モヨコさんのような経験豊富で鋭い視点を持つ女性でさえ、「モテる為に頑張る男=魅力的」と、何の疑問もなく思ってしまうんだよね。

 って言うか『花とみつばち』を読んでいると、安野モヨコさんは人としての“男”ではなく、オスとしての“オトコ”を求めているような気がする。
 でも黒沢は、オスである以前にヒトとして生きたいと思ってるから。「カノジョ欲しいよー、どこかにイイ女はいねーか!?」って、女とつがうコトしか頭に無いような“オス”にはなりたくないよ。
仕事に精出して詩を作ったりしていれば、女なんか空から降るように集まってくる
 そう言ったフランスの車の名設計者のように、モテることよりまず仕事や学問や芸術のことを考えられるヒトでありたい……って、ホントにそう思うよ。

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幼なじみ⑤・モテたければ、モテる為に頑張っちゃダメ!

 女のヒトって、よく「恋で自分を磨く」とか言うけど、黒沢に言わせれば「……バカ?」って感じだよ。人間も他の動物たちと同じように発情して交尾して、それが何で「自分を磨いてる」ってコトになんの?
 まあね、体の局部的な問題で言えば、事実「磨かれて」はいるんだろうけどさ。でも使用し過ぎると磨くどころか、磨耗してユルくなったり黒ずんだりするる可能性も大だと思うけどね。

 いやマジで一部の女の子達の言う「恋で女を磨く」って理屈で言えば、惚れっぽくて相手を取っ替え引っ替えして、ナンパにフタマタにフリンだのと、さんざんヤリまくってるビッチほど「女として磨かれてる」って話になるよね?
 いろんな女を取っ替え引っ替えしてるモテ男もすくなくないけど、「オレは恋で男を磨いてるんだ」みたいな寝言で、いちいち自分を言い繕ったりなんかしないじゃん? もう「俺はオンナが好きだし、ただヤリたいからヤってる」くらいのもんでさ。
 なのに「恋で女を磨く」とか、女子って何でいちいち気取ったコトを言いたがるんだろうねえ。

 まーね、ぶっちゃけ言えば自分のセーヨクを美化したいからだろうけどさ。でも素直に「あたしオトコ好きだしぃ、気持ちイイからエッチも好きだしぃ」とか言っちゃうようなコの方が、逆にまだ清々しいね。
「いろんな恋をして女を磨いて、人として成長して行くの」
 このテのセリフを聞くとね、黒沢はマジでケツが痒くなるワ。

 うん、確かに恋も人間関係の一つだから、恋をして人として磨かれる事も多々あるよ。でもそれは人として尊敬できる相手と、精神も伴う質の高い恋をした場合限定だから。ケモノがまぐあうような肉欲優先の関係や、ナンパだのフリンだのフタマタだのミマタだのといった“恋”など、すればするほど「人として汚れて堕ちて行くだけだろーが」と思うぞ、黒沢は。
 まあね、「不倫は文化だ」とかいうご高説もあるけれど、黒沢は同意しかねるよ。寝取り寝取られ、穴兄弟や棒姉妹に水子も増やして、それがどう人が成長して女(男)が磨かれて行くコトになるのか、黒沢にはどーにもワカランのでね。

 と言うと必ず、「ドーテー乙!」とか「オマエは人を本当に好きになった事がないんだ」とか言うヤツが出て来るんだよな。
 悪いけど黒沢は非童貞だし、付き合った女の子の数も十人を超えてるから。さらに言えば黒沢は本気でプロの写真家を目指していた時期もあって、過去には何人もの女の子を口説いてヌードを撮ってもいたぞ。
 それでもあえて言わせてもらうけれど、恋愛は絶対に量(数)より質だと思う。実はヤるのが目的なのに「すればするほど女(男)が磨かれる」なんてわけじゃ、絶対ナイから。

 それなりに長く生きてきてつくづく思うのだけれど、恋愛を重ねてヤった相手の数が増えてゆく毎に「人としても女(男)としても薄汚れて行くヤツ」って、間違いなく居るよ。それもかなり大勢ね?
 そもそも人は恋愛がすべてじゃないし、人として大切なことは恋愛以外にもいろいろあるんだよ。友人関係でも仕事でも趣味でも学術研究でも、人は恋愛以外でもいっぱい磨かれるんだよ。

 って言うかむしろ、恋と異性の事しか頭にないヤツの方が、人として欠落しているものが多いような気がするゾ。
 だから黒沢はまだ彼女のいないドーテー君達に、「モテたければ、モテる為に頑張っちゃ駄目」って言いたいんだよ。
 モテようとするんじゃなく、モテに関係なく自分の為に頑張って、キミ自身の中身(感性とか特技とか)をグレードアップさせれば、結果としてモテるようになるものなの。

 だって「モテる為の頑張り」なんてさ、人としての中身に殆ど関係ない、上っ面だけのものじゃん? どんな服を着てどんな髪型にして、どんな会話を振ってどんなプレゼントをして……みたいな。
 でも悪いけど、生まれつきのイケメンって大勢いるからね。だからフツメン以下がいくら頑張ってオシャレして女子に尽くそうが、せいぜい生きた歩くATMかベンリ君と思われるくらいで、所詮生まれついてのイケメン達には勝てないの。
 だから黒沢は言いたいんだよ、「頑張りも時間もお金も、自分自身の為に使おうよ」って。女の子にモテる為でなくね。

 例えばさー、マンガが好きでノートの端に絵を描いてるくらいでは、周囲の同級生たちからはただオタ扱いされるだけじゃん。でもとことん描きまくってプロの漫画家デビューしちゃえば、もう誰もバカになんかしないぞ?
 卒業して数年後の同窓会で、名刺の肩書きにイラストレーターとかあったら、フツーに会社員になった元イケメン君たちよりカッコ良くないかい?
 わかるかい? フツメンかそれ以下のアニメやマンガ好きはただ「キモオタ」って言われるけど、その道をとことん突き詰めて作る側に回って、アニメの監督や漫画家にでもなっちゃえば、それが「カッコいい」に変わるんだよ

 だから昔の黒沢は、ファッションとかにカネは殆ど使わなかったなー。その代わり良いカメラや本を買う為には惜しみなく投資して、美術館巡りとかもかなりしたよ。
 だって着るモノや髪にお金を使って見かけをカッコ良くするより、自分の感性を磨いた方がよりカッコ良い自分になれると信じてたもの。
 いろいろあって結局は写真家になれなかったけど、プロを目指して頑張っていた時の黒沢の周りにはいつも誰か女の子がいたよ。そして「一樹くんの為なら……脱いでもいいよ」って言ってくれる子だって、複数いたくらいだし。
 その実体験があるだけに、前に紹介したフランスの車の名設計者の「仕事に精出して詩を作ったりしていれば、女なんか空から降るように集まってくるもんだよ」って言葉は、ホントにホントだと思う。
 モテようと女の子を追いかけるんじゃなくて、生きる目的とか自分だけの夢みたいなものを持って頑張ってると、女の子の方から自然に寄って来るの。

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 嘘だと思うかい? ならば女の人の視点もちょっと紹介しようか。
 ヤンマガに連載された安野モヨコさんの漫画に、モテをテーマにした『花とみつばち』ってのがあってね。その主人公はモテを目指して迷走する平凡でヘタレな高校生の男子なんだけど、その友人の山田ってのがスゴいんだよね。
 モテがテーマの作品だけに、いろんなタイプのモテ男が出て来るんだけど。で、山田も(一部の女子限定ながら)かなりモテる。
 この山田の何がスゴいって、全然イケメンじゃないどころか、『超無愛想にした松井選手』ってくらいのご面相なんだよね。しかもファッションとかも全然無頓着だし、家がお金持ちというワケでもないんだ。
 にもかかわらず、この山田はかなり可愛い女子(美和ちゃん)にモテちゃうんだよね。それも山田が頑張って口説き落としたのではなく、美和ちゃんの方から惚れちゃうの。

 でさ、ブサでキモメンの山田がなぜ(一部の女子にでも)モテるのかと言うと、ズバリ「自分に自信があって、モテようと女の子の顔色を窺ったりしない」からなんだよね。
 同性の友人同士だってさー、自信がなくていつもオドオドして相手の顔色を窺ってるヤツって、軽く扱われるよね。「気を使って相手を優先する、すっごく良いヤツ」とか思われるんじゃなくて。
 で、都合よく扱われてはいつも“後回し”にされて、下手をすればパシリとかにされかねないよね。
 だから男女関係でも、相手の態度に一喜一憂して相手の顔色ばかり窺ってると、「気を使ってワタシを優先してくれる、優しいヒト」って思ってくれるどころか、下僕並みに軽く扱われてたり、更には鬱陶しがられたりしちゃうんだよね。

 だってさー、女の子は基本的に男に頼りたいんだよ。自分の顔色ばっかり窺ってオドオドしてるヘタレなんかに、誰が頼ろうって思えるのか……っての。
 例の『花とみつばち』で主人公にモテ指南をする“鬼姉妹”が、山田についてこう言うワケ、「顔だけじゃなく自分に自信があるもん、基本的に。だからあの子はモテるよーになるよ」って。
 そして鬼姉妹に紹介されたカリスマ美容師も、主人公にこう言うんだよ。「どんな髪型でも気合いで“俺カッコイイ”と思えば、女性には“カッコイイ”と思われるものです」って。
 自分に自信さえあればブサでも(一部の女子には)モテる……っての、黒沢の体験でもホントだと思うよ。だってチビで童顔の黒沢にさえ、いつも身近に誰かしら女の子が居たんだから。
 無論、根拠の無い自信は厨二病そのもので、傍から見ても滑稽だよ。だから「俺カッコイイ」って自信を根拠のあるものにする為の努力も不可欠なんだ。音楽でもスポーツでも絵でも、とにかく何かに打ち込んで頑張るの。

 ここで大事なのが、モテるために女の子の目を意識して頑張るんじゃなくて、ただ自分の成長(スキルアップ)の為に頑張ることなの。
 目指すは“モテ”で、貢ぎ物を絶やさずデートにもお金をかけて、いろいろ尽くしまくってやっと彼女になってもらうのと。キミ自身の為に頑張って、そのキミの良さを認めて応援してくれる子と付き合うのと。そのどちらがキミにとって良いお付き合いになるか、考えてみるまでもなくわかるよね?
 それに頑張りをモテでなく自分のスキルアップに向けていた場合、たとえお目当ての好きな子との仲が残念な結果に終わったとしても。それまでに頑張ってきた成果は、スペックとしてキミの中にしっかり残るよね。
 けどただモテる為に頑張った場合、フラれた後に残るのは空っぽの自分&おサイフだけだから。
 だから見てくれにもお金にも恵まれてなくてもモテたければ、「女の子のコトはひとまず脇に置いておいて、まず自分の為に頑張れ」って言いたいんだ。

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幼なじみ④・恋愛も“御恩”が無ければ“奉公”ナシ

 突然だけど、ここで黒沢が社会の授業の真似事をしちゃいマス。実は黒沢は、中学と高校の社会の教員免許を持っていたりするのだ。とりあえず免許だけだけれどね。
 さて、キミらは学校の授業で「封建社会の根本は、御恩と奉公の関係」って習った覚え、きっとあるよね?
 簡単に言えば御恩という名の褒美(主に領地)をくれるから、武士はその人を主君として敬って仕えてるワケ。だから実は武士って、恩賞が出ないと戦わないんだよ。で、ケチな主君は家来の方から遠慮なく見限って、もっと待遇の良い殿サマのところに行っちゃうのだ。

 武士道とか何とか言われて美化されているけれど、鎌倉時代から戦国の世までの武士なんて、実はそんなモノだよ。って言うか、せっかく天下統一したのに、家来に下克上されたらまた乱世になっちゃうから、江戸時代になってから徳川家の都合で武士道とか作って、「何があっても殿サマには絶対服従!」みたいに洗脳しただけのコトでさ。
 例えば鎌倉幕府が滅びたのも、結局は元冦の時に命懸けで戦った武士達にロクな恩賞を出せなかったからだし。だって攻めて来たモンゴルと言うか中国の軍は一応撃退できたものの、「追い払えた」だけで敵の領地を奪い取れたワケじゃないから、恩賞を出したくても出しようがなかったんだよ。
  今の感覚からすればさ、「お国の存亡の危機に、褒美とか言ってんじゃねーよ」ってとこだけど。でも当時の武士達の心情としては、タダ働きをして損をした気分だったんだよね。

 ちなみに、もし戦争が始まってキミらが兵隊に取られるとしたら、少なくとも武器と軍服と食料は国家が支給してくれるよね? それが今の常識だけど、昔の武士は全然違ってたんだよ。
 当時の武士の戦は、実は何もかも全部個人持ちだったんだ。命を賭けるだけでなく、弓矢や刀も鎧も全部自分のおカネで整えて、食料も自分で持って行かなきゃならなかったんだよ。そこまでして戦いに行って、それで褒美が無いとなれば、「やってらんねーよ!」って感じになっちゃうじゃん。
 男女の関係もそれと同じでさ、もしキミが女の子にご奉仕wwwして欲しいなら、まずキミ自身が相手に“御恩”を施さなきゃダメなの。早い話、メイド喫茶だって料金あってのご奉仕だからね。

 そりゃあ中には、何もしなくても女の子の方から寄って来るようなモテ男も居るよ。でもそれは、ホントにごく一部の特別な人に限られるでしょ?

 ①ジャニーズにも入れるし売れっ子ホストにもなれるくらいの、文句ナシのイケメン。
 ②ホリエモン並みのお金持ちとまでは言わないけれど、結婚相手をコマダムな専業主婦としてラクな暮らしをさせてあげられるくらいの経済力がある。
 ③そのどちらでもなくても、サッカー部で活躍していてテレビの取材も来たとか、バンドで頑張ってライブもやってるとか、何かキラッと光る一芸がある。

 ギャルゲーの主人公みたいに女の子に好かれて尽くして貰いたいなら、キミ自身がそれくらい高スペックな男でなきゃダメなんだよ。上の①~③のどれかに当てはまるような、ね?
 自分が損をしそうな時だけ「男女差別ハンタイ!」とか騒ぐ女って、黒沢は台所の隅から這い出して来るゴキちゃんよりキライだよ。けど、自分は無能で甲斐性ナシのヘタレ男のクセに、女の子には昔ながらの女らしさを求めるヤツに対しても、同じくらい「……バカ?」って思っちゃうよ。

 ただ生まれつきチ○コが付いてるからって、それだけで女の子から立てて貰えるワケねーんだよ。「オレは男だ!」って胸を張りたければ、そして女の子に惚れて尽くしてもらいたければ、まず自分がヘタレを卒業して、女の子の二人や三人に頼られても大丈夫なだけの男にならなきゃダメなんだよ。
 とにかくモテて相手に大切にされたければさ、まず自分自身が相手に何かを与えられるだけの男にならなきゃ。昔の武士だって、まず御恩がなければ奉公もナシなんだからね。
 ごくフツーの、或いはそれ以下のヘタレ男の分際で、ただ「男だから」って相手の女の子に見返りナシの愛情と奉仕を求めるなんて、まず人として絶対間違ってマスから。

 え、「見返りを求めないで尽くすのが、本当の愛ダロ」って? そう思うキミは、それだけの無私の愛を惚れた相手に注いで尽くしているのかね? 自分はしてないけれど相手にはソレを求めると言うのでは、余りにも虫が良すぎる……ってものではないかな。
 ギャルゲーやラノベの主人公とか、そのセカイのヘビーなファン達って、とにかく「女はとにかく男を立てるべき」みたいなコトを真顔で言えちゃうバカが多過ぎるよ。
 ハッキリ言うけど、「男を立ててほしい」なんて、自分が男であるコト以外に何の取り柄もない、クズ野郎の泣き言だから。立てられるだけの中身のある人間なら、黙ってても相手から自然に立てられます、って。

 ……なんて言うと、「じゃあカネも何の特技もないフツメン(またはソレ以下)のオレは、恋もしちゃいけないんだ?」とか拗ねられちゃいそうだけど。
 そーゆー中高校生から大学生くらいまでのキミに、是非聞いて貰いたい言葉があるんだ。パナールって名車を開発した、フランスのある技術者が言った言葉なんだけどね。

「仕事に精出して詩を作ったりしていれば、女なんか空から降るように集まってくるもんだよ」

 わかるかい? 今、キミらがモテないのは、見てくれだけのせいではないのだよ。ただ外見ではなく、キミ自身の中身の値打ちを上げる為に頑張ってないからダメなんだ。

 ファッション雑誌を見て、良い服を着て髪型もいじれば、キミの見かけもちょっとは良くなるだろうよ。けどオシャレだけでは、キミ自身の値打ちはちっとも上がらないワケ。例えばケーキの箱だけ良くしたとこで、肝心のケーキの味そのものは何も良くなってないのと同じだよ。
 どうせ変えるならさ、箱を変えるより中のケーキの味そのものを良くした方がマシと思わないかな? 黒沢が言う“頑張る”って意味は、女の子のウケを意識してモテる為に頑張るのではなく、自分自身を磨く為に頑張れ……ってことなの。
 何かスポーツに打ち込んでたり、「医者になって癌を治す」とか「三ツ星レストランのシェフになる」とか将来の夢がちゃんとあってそれに向かって頑張ってて、さらに音楽なり芸術なり文学なりについてもサラリと語れちゃう感性もある男……って、イケメンでなくても何かカッコ良くないかい?
 だから『いちご100%』の西野つかさみたいな学年きっての美少女だって、主人公の真中の夢を応援してあげよう……って思っちゃったんだし。

 別にさー、甲子園に出るとかミュージシャンとしてデビューが決まるとか、そこまで有名にならなくてもいいんだよ。「校内とか市内ではちょっと知られてる」ってくらいの頑張りで、充分OKなんだ。
 ま、それでもモテ度ではジャニーズ顔のイケメンには勝てないだろうし、キミの好きな女の子がキミを好きになってくれるとは限らないよ。
 けど何かで頑張ってる男は、ある程度は間違いなくモテる
 で、仲良くなれた子の中から、自分のことを一番理解してくれそうな、気の合いそうな子を彼女にすればいいんだよ。

 恋人同士も含めて、人間関係って何か自然に上下の力関係が出来ちゃうよね。同じ学年の男の友達同士だって、「おい、これから××に行こうぜ」って言い出すヤツと、黙ってそれについて行くヤツに分かれちゃうし。
 だからさー、見かけを磨いてプレゼントとか一杯して、好きな子に一生懸命尽くして付き合ってもらえたとしても。おそらくキミはその後ずっと、その彼女の下僕だよ?
 ギャルゲーやラブコメ漫画などと違って、現実の恋愛は「告ってOK貰えたらハッピーエンド」ってワケじゃないから。って言うより、告白してOKを貰うまではただのプロローグに過ぎなくて、その後に長い長い“本編”が待ってるものなんだよ。
 めでたくお付き合いできるまでに、もしキミが頑張り過ぎて下手に出ていたとしたら、キミはこの先も永遠に彼女のご機嫌を取り続けなきゃなんないんだよ。彼女のワガママは嫌な顔ひとつ見せずに喜んで聞き、毎回知恵を絞って彼女が喜びそうなデートのプランを組んで、記念日は一つも忘れずサプライズのプレゼントも欠かさずに……って感じでね。

「いーんだよそれで、だってオレは彼女がマジで好きだから」って、キミが躊躇なくそう言い切れるならまあ良いんだけどね。
 でも「初めから下手に出て、相手に尽くしてお願いして付き合っていただくの」って、商売で言えば大幅値引きで安売りした上に、サービス品と長期保証まで付けるのと同じだと思うけど。コレって、収支で言えば間違いなくキミの持ち出しで赤字だって。
 どうせ売るなら、値下げナシにお客の方から「この商品が欲しいんですけど」って指名買いしてもらえる方がイイと思うんだけどな。少なくとも黒沢は、その方が得だと思うゾ。

 恋愛だって、付き合うなら「この人の、こんなトコがステキ」って、自分の良さをちゃんと認めてくれている相手と……って思うのだよ。付き合ってもらえた理由が「いろいろ言うコト聞いてくれてベンリだから」では、結婚してもATM扱いは確実だよ?
 だから女の子に良さを認めて指名買いして貰えるだけの人間になる為に、音楽なりスポーツなり、自分のやりたい道で頑張るの。値引きやおマケの特典や、見せかけだけのモデルチェンジで売るのではなくて、本人のスペックを上げて自分自身を高値にするの。
 うん、自分を磨いて目立つくらい仕様をアップさせるのって、すっごく大変だよ。でもモテを目指して、いつも女の目を気にして女に気に入られるよう振る舞うのだって、すごく大変じゃん。
 だったら女に媚びて女の為に頑張るより、自分自身の為に頑張る方がマシだと思わないかな?


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幼なじみ➂・幼なじみのリアル

 ギャルゲーをいろいろプレイしてみて初めて気づいたのだけれど、黒沢は「幼なじみキャラは、実は基本的にそれほど好きではない」ようでアリマシタ。
 そもそも『ときメモ』の藤崎詩織から好きじゃなかったし、ギャルゲーマーにはウケの良い『SHUFFLE!』の芙蓉楓や『_summer ##』の波多野小奈美も、そして『はるのあしおと』の篠宮智夏や『Wind』の鳴風みなも水月』の宮代花梨も、黒沢的にはみな好きじゃないか苦手なタイプだったよ。
 そう言えば『To Heart』のメインヒロイン神岸あかりにも全然興味が持てなくて、何かメンドくさそうな気がして攻略する気にもなれずにスルーしたままデス。
 さらにファンの人達には呪い殺されちゃいそうだけど、『この青空に約束を』の羽山海巳に至っては、はっきり言って天敵レベルに大っキライなタイプだったし。納得できない人達も多いだろうと思うけど、その理由についてはまたいずれ、別項を立ててきちんとお話しシマス。

 黒沢もいろんなゲームをやってきたけど、幼なじみキャラで「好きだ!」って思えた子って、マジで殆ど居なくてさ。
 で、この章でマキちゃんやタカハシさんのコトを話しながら、その事実に今ようやく気付いて。それで「黒沢は何故、幼なじみタイプがあまり好きじゃないんだろう?」って、改めて考えてみたんだけど。
 ギャルゲーや萌え系のマンガに出て来る“幼なじみ”って、すごく大雑把な言い方をすると、この二通りなんだよね。

 ①女度が高めで、内気でオドオド系で思ったコトもなかなか言えないタイプなんだけど、主人公を昔から一途に好き。
 ②男っぽくサバサバ系で、もう主人公の身内のような存在で、面倒見は良いんだけど主人公の事も遠慮なく叱ったりする。

 で、黒沢からすると①のタイプは、面倒くさくて鬱陶しく感じちゃうんだよ。
 心の中ではいろいろ思ってるんだけど、言い出せなくて遠くからじっと見ていたりとか、こーゆータイプを「いじらしくて、可愛い」って思う人も少なくないんだろうと思う。けど黒沢の目には、「いちいち気を回させて手を掛けさせやがる、察してチャン」にしか見えないんだよねぇ……。

 自分で言うのもアレだけど、黒沢は勘は割と良い方デス。けどエスパーじゃないから、相手が何を思ってるかはワカリマセン。
 つまり「あ、何か不満そうだなー、言いたいコトがあるんだろうなー」みたいな雰囲気はすぐ感じるんだけど、その言いたい不満の中身はさっぱりわかんないんだよ。何しろ、自他共に認めるKYだけに。
 だから余計イライラしちゃうんだよね、「何か言いたそうにしながら自分から言わないで、相手に察して相手から聞き出してほしい」みたいな態度って。
遠回しにほのめかしたり思わせぶりな態度をとるのは止めて、言いたい事があればストレートに言え!」って、黒沢はホント思うよ。
 
 かと言って②のタイプのように、無遠慮にずかずか人の内面にまで踏み込んで来て、「アンタのことなら皆わかってんだから」みたいな感じで仕切られちゃうと、それはそれでカチンと来るし煩わしくてイヤなんだよねえ……。

 ぶっちゃけ言っちゃうと、①のタイプはほぼ萌え好きのオタクの妄想の産物で、「幼い頃からずっと一途に想い続けてくれている、可愛く女度の高い幼なじみ」なんて、まず居ませんカラ。
 で、現実にいる幼なじみってのは、たいてい②のもう家族みたいな存在の、無遠慮で口うるさい相手になっちゃってるんだよね。

 もう身内も同然で、遠慮のない関係なんだよ? そこに色っぽい空気とか良いムードとか、ロマンスっぽい何かが生まれにくいのはわかるでしょ?
 少なくとも恋の初めには、互いに背伸びして自分を良く見せるものじゃん? 男なら無理してカッコつけるし、女の子なら普段は見せないような可愛く女らしい態度で振る舞ってさ。
 だからその互い実際より良く見せてる幻想の部分があるからこそ、恋が生まれるんであって。現実の幼なじみには、その部分「相手に幻想(夢?)を抱かせる部分」がスッパリ欠けてるから、相手にトキめくような感情はそうそう持てないワケだよ。

 けど「黒沢は、幼なじみキャラは全部ダメ」っていうわけでもなくて、真っ先に攻略に行きたくなっちゃった幼なじみキャラも、少数ながらあったよ。
 例えば『つよきす!』の蟹沢きぬとか、『インタールード』の玉城麻衣子とかね。
 この二人の名前を挙げただけで、ギャルゲーに詳しい人ならピンと来たんじゃないかな。同じ幼なじみでも、いかにも男ウケしそうな「女らしくて可愛い世話焼きタイプ」とは真逆の、「元気で明るいのだけが取り柄みたいな、落ちこぼれ気味のダメダメっ子」だと好きになっちゃうみたいデス。
 繰り返し話したように、黒沢は“姉”ってイキモノに関しては重度のトラウマ有りだから。そして「ホワンとした天然系の女子」についても、「九割以上が外面だけの偽装」って疑ってるし。
 だから年上ならサバサバしていて男前な姉御系、そして同い年&年下なら明るくフレンドリーな元気っ子でないとホント駄目なんだ。
 ……結局、いかにも“女のコ”って感じの女度の高い子とは合わないんだろうね、黒沢って。

 あと、黒沢は基本的に「自分のことは、できるだけ自分でやりたい」って人なんだ。大学に行って一人暮らしを始めた後も、料理その他の家事も、雑で適当ながら全部自分でやってたし。
 だから自分でやってみようともしないで、すぐ女の人に頼っちゃう男を見ると、つい「だらしのない、駄目なヤツ」なんて思っちゃう。
 それだけに「姉とか幼なじみに、叱られたり尻を叩かれながら面倒を見てもらいたい」とは、全然思わないんだ。むしろそれより、「可愛げのあるダメな妹の面倒を見てあげたい」みたいな……。
 で、黒沢の幼なじみのマキちゃんは、見かけは童顔&ロリ体型でも、中身はガチで世話焼きお姉さんタイプだったんだよね。そして子供の頃からの夢は看護師さんで、それを現実に叶えてしまうような頑張り屋さんで。
 つまりマキちゃんと黒沢は、本質的な部分で合わない部分があったんだろうと思う。連絡を取らなくなって何年も経った今になって、ようやく気がついたことだけど。

 けど、ネットでギャルゲーマーのレビューなんかを見てると、呆れちゃうくらい多いよね、「可愛い幼なじみとかに、いろいろお世話されたい」って男たちが
 朝は優し~く起こされてw、目をこすり半ば眠りながら何とか起きて行くと、食卓にはその“幼なじみ”の手作りの美味しそうな朝ご飯が湯気を立てていて……みたいなwww。
 ギャルゲーのセカイでは定番過ぎる光景だけど、「オマエら、夢は寝てる間に見ろよ」ってのwwwww。幼なじみはキミのメイドさんでも、ないんだからさ。

 うん、その夢を現実のものにしたければ、キミが年収一千万くらいになって、性質の良く、かつ家事のスキルも高い専業主婦の奥さんをゲットしなければまず無理だね。
 仮にキミが年収一千万以上を実現したとしても、キミのカネが目当てで楽なコマダム暮らしをしたいだけの、タチの悪い女もこの世の中にはウヨウヨしているから、そのハニートラップにハマらない用心と“女性を見る目”も必要不可欠だよ
 ……なんて身も蓋もないリアルな話をしてちゃ、そうしたイヤな現実から逃れて仮想のセカイで夢を見ていたいギャルゲーマー達から、もっとキラわれちゃうよね。

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 そんなギャルゲーマー達からは、黒沢がお気に入りの『インタールード』の玉城麻衣子なんか、評判は散々だよ。
 この“タマ”こと玉城麻衣子は、容姿だけはB級アイドル並なんだけど、イロイロ残念なポンコツ品なんだよねえ。悪意はないし元気な良い子なんだけど、おバカで成績は落第寸前だし、朝も主人公を起こすどころか、逆に起こして貰ってる始末でさ。
 さるネットのゲームレビューに、そんな麻衣子に激怒してるコメがあってさ。「逆だろ! 幼なじみは主人公に起こさせるんじゃなくて、主人公を起こしてくれるもんだろうが!!」って。

 ……まあね、いつも誰かに起こして貰わなければ起きられないなんて、男女問わず感心できるコトじゃないけどさ。でも「女が男を起こすもの」だなんて、いったいいつ誰が決めたよ?
 そーゆー“女の子に優しく起こして貰いたいヤツ”ってさ、家では今も朝はいつもママに起こして貰ってて、「○○クン、忘れ物はなぁい? ハンカチは持った?」みたいに世話を焼かれてるんじゃねーの? だから幼なじみや彼女にも、同じような「ママみたいに」お世話して貰いたいんだろうけどさ。

 ……ギャルゲーをいろいろやってると、ホント笑っちゃうくらい多いんだよね。主人公は高校生なのにナゼか一人暮らしをしてて、そしてその家に通って見返りナシにお世話してくれている女の子(←高確率で幼なじみの女の子)が居て……っての。
 その幼なじみ(←可愛くてクラスでもモテモテ)は、いつも早起きして身だしなみもバッチリ整えて、美味しい朝ご飯を作ってくれた上で、「ねえ○○くぅん、朝だよぅ、起きてぇ~」なんて甘ったるい可愛い声で、優しーく起こしてくれるんだよね。
 にもかかわらず主人公は「うっさいなー、もうちょっと寝かせろよー」なんて、これでもしホントに高校生だとしたら「テメーは池沼かよ!」と怒鳴りつけてやりたいくらいの寝言をホザき続けるんだ。
 なのに相手の女の子(←繰り返すけれど、モテモテの美少女)は怒りもせず、遅刻ギリギリになってもただ困り顔で、あくまでも可愛く優しく起こし続けるんだよね。
 そーいうあり得なさ過ぎる設定のギャルゲーをやるとさ、とりあえずリアルの世界でも複数の女の子と付き合ってきた黒沢としては、大きな溜息ついて「バーカ、アホ過ぎる夢見てんじゃねーよ」って呟きたくなってしまうよ。

 ……なんて言ったら、「そんなのよくわかってるわい! モテない男がせめて二次のセカイで見てる夢に、いちいちケチつけんじゃねーよ」とか怒られちゃいそうだよね。
 うん、確かにそうかも知れない。けどそんなじゃ、ホントにいつまで経っても生身の彼女なんて出来ないままだよ?
 まあね、「現実の彼女なんて要らねーし、結婚もするつもりもねーし」って言うかも知れないけど。それにしたって、実際に誰か女の子と付き合ってみた上でそう言うのと、「実年齢=彼女いない歴」の魔法使いwでそう言うのとでは、言葉の意味も重みも違ってくると思うけど……。

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幼なじみ②・リアルな幼なじみには欲情しにくいデス

 でもそんな黒沢にだって、小学校の頃ずっと仲良くしてくれていた女の子もいたんだよ。それは小三の時から同じクラスになったマキちゃんって子で、席が隣同士になった上に家もわりと近くて、それで自然に仲良くなってさ。
 マキちゃんは世話好きと言うか、だらしのないのを見てられない性格の子で。そして黒沢は、よくハカセくんと呼ばれるような子にありがちな、成績は良くても身の回りの事はいい加減なタイプでさ。
 例えば学校のプリントとかを全然持ち帰らないで、自分の机の中にそのまま突っ込んでおいちゃうとか、予定帳を書くのを面倒くさがって忘れ物をしちゃうとか。そんな黒沢を叱りながらいろいろ面倒を見ていてくれたのが、そのマキちゃんというワケ。
 だから黒沢の本当の意味での幼なじみは、このマキちゃんかも。

 そのマキちゃんはクラスの女子の中でも一番くらいにちっちゃな上に地味顔で、前回話したタカギさんやチカちゃんとは違って男子に騒がれるようなタイプではなかったよ。けど色白で、ちまちまと小作りだったけど顔立ちも整っていたと思う。
 ただこのマキちゃん、中学生になる前に引っ越して行っちゃってさー。マキちゃんの引っ越し先は県内ではあったけど、電車で何十分もかかるような遠くの市で、小学生にとっては「もう会えないんだ」ってくらいの距離に感じられたよ。
 それでもマキちゃんは、引っ越した後も黒沢に手紙を書いてくれて、連絡はその後もずっととり続けたよ。
 ん? メールじゃなくて本物の手紙だってば。だってその頃は、ケータイなんてまだ無かったからね。

 で、中学生になると二月十四日には、マキちゃんからチョコレートが届くようになってさ。
 そのマキちゃんからの初めてのチョコレートに添えられた手紙には、こう書いてありマシタ。
あげる相手もいないし、だからってお父さんにあげる……っていうのもヤだし、でもお兄ちゃんもいないから、一樹ちゃんに
 もちろん手作りとかではなく、お小遣いで気軽に買える程度の既製品で、厨二病の妄想をもってしても勘違いのしようのない義理チョコだったよ。

 女の子同士って、バレンタインデーが近くなると、誰にあげるのかでかなり話が盛り上がるよね。でさ、マキちゃんも黒沢に義理チョコを施すことで、「えっとね、あたしは前にいた学校の、仲の良かった男の子に」とか言って、ガールズトークの輪に加われる……ってワケ。
 それに新しい学校のマキちゃんの友達は、黒沢とは会ったことも無いからさ。例のタカギさんとチカちゃんじゃないけれど、「えー、マキちゃんって“あんなの”と仲良かったんだー」とか、気の毒そうに言われる心配もナイしね?
 だからマキちゃんから届いたそのチョコの味は、微妙に苦かったなー。「そっか、オレは二月十四日の見栄ハリ要員かよ」って感じでさ。
 ……と言いつつ、マキちゃんがくれたその義理チョコも、「バレンタイン・デーに貰ったチョコの数」にしっかりカウントしていたけどさ。
 そしてマキちゃんからの義理チョコ(友チョコ?)は、その後も毎年しっかり届いたよ。

 やがてお互い高校生になって、マキちゃんは引っ越した街の女子高に進学したのだけど、女子高に通う子って、真面目か遊んでるか、真っ二つに分かれるみたいだよね。
 ほら、女子高ってフツーに日々を過ごしていたら、出逢いなんて全くナイわけじゃん。だから出逢いを求めてる子達は合コンとかナンパとか友達の紹介とかで、主にチャラ男と付き合うことになりがちなんだよね。
 一方、部活とか勉強とか何か打ち込むものがある子達は、忙しくても充実した学校生活を送るうちに、気がついたら“清い”まま卒業式の日を迎えちゃう……って感じで。
 マキちゃんは高校では体操部に入って、後には部長も任されて県大会にも出て、引退後は看護師を目指して頑張って……という感じでさ。だから例の「日々充実しているけれど、出逢いはナイ」って方の典型だったかも。

 でも女子高の体操部の部長だよ? 地味系だけど整った顔立ちで色白、身長も150cmあるかないかで、もちろん細身でツルペタ、黒沢にもよく「体重が五百グラム増えるだけでね、演技の時の体のキレがすごく悪くなるんだよ」って話していてさ。
 このマキちゃん、高校の夏休みに友達と海に行った時「ヘンな人に声かけられるとイヤだしコワいから」ってマジで一人だけ学校指定のスク水で泳ぎに行っちゃうようなヒトなんだよね。
 まっ、女子高育ちで部活ばっかりやってたような子だから世間に疎いんだろうけど、「もしかして、ピンポイントのマニア受けを狙ってる?」なんて、チラッと思ってしまったのは、黒沢だけかなあ。
 マキちゃんは身長体型共に『らきすた』の泉こなたみたいな感じなんで、実際スク水でも全然違和感ないんだけれどね。でもナンパ男は避けられるにしても、ある種のガチなヘンタイさんを引き寄せてしまいそうな気も……。

 今になって考えてみれば、マキちゃんって意外に高スペックと言うか、ある種のウケる要素をフル装備、って感じだよね。さらに将来の夢はナースで、高校も普通科じゃなく衛生看護科を選んでいるあたりもポイントになりそうだし。
 ただその頃は“萌え”なんて言葉すら無かったし、スク水もブルマもエロアイテムでも何でもない、ごく当たり前のモノでね。
 今みたいに青少年ナンタラ条例みたいなのも無かったし、何しろガチでU15の少女ヌード写真集が、近所の町の書店にフツーに並んでいるような時代だったんだ。
 余計なコトを知りたい悪い子達には、プチトマト清岡純子なんかでググってみてもらうとして。当時の炉裏のヒト達は、マキちゃんみたいな童顔ツルペタの女子高生じゃなく、ホンモノのJSやJCに群がっていたわけデスよ。
 だからマキちゃんみたいな子は、その時代には特に需要があるわけでもなくて、「まあ可愛いんだけどちょっと幼い子」って感じだったかな。

 でも連絡はずっと取り合ってたし、仲は昔のまま良かったよ。
 そしてマキちゃんの高校の体操部が県大会に出る時にはね、黒沢も応援に行って弁当(←made by マキちゃん)を二人で一緒に食べたりもしてさ。
 ……コレって何か、文章にしてみるとリア充っぽいよね? けど実際には黒沢とマキちゃんは幼友達のままで、桃色な展開はさっぱり無かったよ。

 実はその時の黒沢には、同じ高校に好きな子がいたんだ。そしてマキちゃんも黒沢のことは、昔と同じで「手のかかる、放っておけない弟みたいな子」って思ってたみたいでさ。
 黒沢とマキちゃんの関係はホントに小学生の頃のままで、お互い男とか女とかいう意識は無いままだったんだよね。
 そして高校を卒業すると黒沢は地元を離れて東京に出て、マキちゃんも看護学校に進学してさ。で、それまでとは違う環境の中で、どちらも忙しい日々を過ごすようになると、連絡を取ることも自然に少なくなって。
 そんな中、マキちゃんのお母さんが不治の病に罹ってしまったんだ。で、マキちゃんは看護師の卵だけに、病状や先の見通しとかもバッチリわかっちゃうわけ。

 今の黒沢だったらね、マキちゃんにかけられる言葉もいろいろあったと思う。身内の死にも遭ったし、黒沢自身もいろんな病気をして、命にかかわるような手術も経験したしね。
 でも当時の黒沢には、お母さんの死に直面している相手にどう接したら良いか、まるで見当もつかなくてさ。しかも相手は卵だけど医療のプロだよ? ありきたりでテキトーな慰めの言葉など、余計に傷つけるだけだろうし……。
 で、当時の黒沢は重すぎる問題にかけるべき言葉も見つからず、気づいたらいつの間にか没交渉……って感じになってしまったよ。
 それでもマキちゃんのことは今でも時折思い出すし、「黒沢とマキちゃんは、なぜ幼なじみ以上の仲に進まなかったんだろう?」って考えたりもするよ。

 気の強い世話焼きタイプであれ、妹みたいな存在であれ、“可愛い幼なじみ”はギャルゲーやラブコメマンガにほぼ欠かせないキャラになってるよね。
 けど「男も女もなく遊んでた幼なじみの子を、そのまま好きになって……」ってケースは、実際にはそう多くないんじゃないかと思うよ。
「女の幼なじみがいて、しかもそれがカワイイなんてコトは、現実の世界じゃ滅多にあるもんじゃナイから」なんていう、身も蓋もないリアルな話は、この際とりあえず脇に置いておいて。
 その“可愛い幼なじみの女の子”が実際にいた黒沢に言わせて貰えば、幼なじみにはズバリ欲情しにくいんだよ。ガキの頃から男も女もなく一緒に遊んでいた相手だとね、いくらムネも出てきて女らしく育ってきても、どうも相手を女と意識しにくいんだよ。
 事実黒沢は体操部の県大会の応援に行って、レオタード姿のマキちゃんの演技を間近でガン見もしたけれど、マジでエッチな気分にはならなかったよ?

 いや、それは別にマキちゃんが童顔ツルペタ炉裏系だったから……ってワケじゃないからね。中学の体育祭とかで、水準以上に女らしく育ったタカギさんのブルマ姿(←何とコレが、当時の女子の標準仕様の体操着だったのだ!)を見ても、別に何とも思わなかったし。
 さらに付け加えておくと、黒沢は別にゲイでもEDでもナイからね? 中高校生の男子らしいリピドーや煩悩はちゃんとあったし、可愛い女の子は今も昔も大好きだから。
 ブルマがスパッツにとって替わられてしまう前に学校生活を送った人なら多分わかると思うけど、昭和の頃の中学生の女子って、スカートの下は生パンじゃなく、たいていブルマをつけてたんだよね。で、毎日の掃除の時にはパッとスカートだけ脱いで、セーラー服にブルマって格好で床を掃いたり拭いたりするワケ。
 ノンケで健全な中学生男子としては、その女子のブルマや脚や、ちょっと屈むとセーラー服の胸元からチラっと見えてしまうブラとかに目が吸い寄せられて、頭もクラクラしてしまうワケで。
 けどそーゆーエロい目で見てしまうのは、第二次成長期以後に知り合った同級生の女子であって、幼なじみの子じゃないんだよね。

 例えばキミにスタイルが良く顔だって悪くない姉や妹がいたとしたら、異性としてエロい目で見たりするかい? ずっと昔から女とも思わないで一緒に遊んでた幼なじみに対する感覚って、ホントそんなモノなんだよ。
 まあ実の姉や妹とは違って、幼なじみに欲情しちゃっても、法的にも道徳的にも問題は何もないけどさ。それでも何か、目に見えない乗り越えにくい壁みたいなものがあるんだよね、幼なじみを性的な対象として見るには。
 今はいくらムネも大きくなって女らしく育っていてもね、女とも思わずに一緒に遊んでいたガキの頃の姿が頭のどこかに残っていて、なかなか消えてくれないんだよ。

 抵抗も葛藤も殆ど無く、幼なじみを恋愛の対象にできちゃう人って、きっと最初からその子のコトを女の子として好きだったんだと思う。思春期以降の“好き”とは、少し意味が違うにしてもね。
 で、おままごとではいつもオトーサンとオカーサン役をやって、「ボクは○○ちゃんをお嫁さんにするんだぁ!」なんて大真面目で宣言して、大人達に笑われたり……みたいな感じで。
 でなければ、昔の幼女だった頃のイメージがあっても全然OKの、ロリやペドの傾向のある人とかね。
 少なくとも黒沢としては、幼なじみを恋愛の対象として見るのって、マジでそのくらい難しかったよ。
 言ってみれば、「幼なじみのパンツは、姉や妹のパンツみたいなもの」って感じかな?

 でもま、姉や妹のパンツにムラムラしちゃうヤツだって、現実には間違いなくいるんだけれどね。
 それにこの黒沢自身、前の章で話した“血の繋がらない三人の妹”のうちの一人には、実際手をつけちゃったし。男女の間なんて、ホント何かのはずみでどうなるかわからないのが現実でさ。
 黒沢とマキちゃんの場合には、ただその“何かのはずみ”が無かった……ってだけの話かも知れない。
 だから「リアルな幼なじみは、なかなか性的な目で見にくい」ってだけの話で、「幼なじみに恋はできない」って言いたいワケじゃないよ。

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幼なじみ①・現実なんてこんなモノ

 妹と姉については前に語ったから、今回のテーマは幼なじみってコトで。

 おっさな馴染みのおっもい出はぁ~、あーおいレモンのあっじがするぅ~……って、オイ黒沢一樹よ、ソレはいくら何でも古すぎるだろ。
 でも何故かわからないけれど、ギャルゲーや萌え系のマンガって、必ずと言っていいほど幼なじみ、それも可愛くて主人公をずっと慕ってくれている幼なじみが出てくるよね。
 例えば『SHUFFLE!』なら芙蓉楓、『水月』なら宮代花梨、『_summer##』なら波多野小奈美、『はるのあしおと』なら篠宮智夏……という具合に、例を挙げたらきりが無いくらいに。
 でも中高校生になってもまだ仲の良い“幼なじみ”の女の子(←しかもカワイイ)って、現実にそんなに当たり前に居るものなのかなあ? 黒沢の感覚では、仲の良い可愛い幼なじみの女の子がいる確率って、現実にはかの“血の繋がらない妹”と大差ないような気がするのだけれど。
 ……なんて最初から言っちゃ、身も蓋もナイし話の続けようもないよね。

 幼なじみの女の子って、黒沢自身については、思い当たるコが実は複数いたりするのでアリマス。
 何しろ年子の姉がいた上に、イトコたちも女ばっかりだったおかげで、「何の意識もせずに、女の子とフツーに喋る」ってスキルが、本当にごく自然に身についちゃってたんだよね。だから保育所に通ってた頃からもう、当たり前のように女の子たちと遊んでた。
 って言うか、黒沢は生まれついてのインドア系で、外で暴れるより家で本を読んでいたい子供だったからね。だから「男子と取っ組み合いや駆けっこ」をするより、「女子とお話やおママゴト」をしてる方が自然だったんだよ。
 おかげで小学校に上がる頃には、同級生の男子たちから「女子とばっか遊んでるヤツ~」ってからかわれるくらいでさ。
 だから当然、幼なじみの女の子はホントに居たよ。って言うか、黒沢の保育所の頃の友達って、まず女の子だったし。
 で、その頃いつも一緒にいた女の子と言えば、まずタカギさんチカちゃんかな。

 黒沢はその頃からチビだったけど、当時はさらに不器用でドンくさくてさ。ただ当時から本は大好きで、読んだ本のストーリーを他の人に話して聞かせるのも巧かったんだよね。
 で、年中さんの頃の担任の久保田先生(仮名)は、その黒沢の不器用でドンくさい部分ばかり見て、キツく叱ってばかりいたんだよね。おかけで黒沢は、保育所の年中さんで登校拒否を初体験だよ。
 とは言え何しろ年中さんの幼児だから、「行きたくない!」ってどれだけ泣いて暴れようが、親に軽く抱き上げられて保育所に連れて行かれちゃうんだけどね。
 でも年長さんの時の担任のシダラ先生は、黒沢の不器用な部分には目を瞑って、本好きでお話が巧い部分をすごく褒めてくれたんだ。だから黒沢はもっといっぱい本を読んでは、そのストーリーを皆にお話しするようになって。
 それで黒沢の身近には、そのお話を喜んで聞いてくれる子が、いつも何人か集まっていてさ。
 ただその年頃の男の子って、とにかく体を動かすのが大好きだからさ。だから黒沢のお話を喜んで聞いてくれる子と言うと、女の子ばかりだったワケ。そしてその中にタカギさんやチカちゃんがいて、おママゴトとか遊ぶ時もいつも一緒だったような気がする。

 そのチカちゃんって、幼児の目から見ても可愛い子だったよ? 一方タカギさんの方は、可愛いと言うより目鼻立ちの整った美人さん系と言うか……。
 と言っても、炉裏の人には悪いけど、エロ展開とかは全然ナイからね。だって黒沢が恋に目覚めると言うか、女の子を異性として意識するようになるのって、小学五年生くらいになってからだったもの。それまでは、同じクラスの女の子も男子と同じで、皆「ただの同級生の友達」って感じだったから。
 だから保育所の頃に仲良くしてた女の子たちとは、ホントにただ一緒に遊んでただけだった。ギャルゲーやラブコメ系のマンガでよくある、「アタシ、大きくなったらイツキくんのおヨメさんになるの~」みたいな可愛い約束とかも全然ナシでね。
 で、そのまま小学校に入学したのだけれど。

 年少・年中・年長と、一学年一クラスだった保育所と違って、黒沢が入学した小学校は生徒数が多くて、一学年に六クラスもあってさ。
 だから入学した小学校の新しいクラスでは、保育所の頃の顔見知りとは殆どバラバラになってしまって。そして一学年六クラスもあるような学校では、クラスが違うと顔を合わす機会も殆ど無くなっちゃうし、自然に一緒に遊んだりもしなくなっちゃうんだよね。
 学校が小規模ならクラスが別でもそう関係ないし、学校中でみんな仲良し……って感じだろうね。けど全校の生徒が千六百人も超えていて、一学年でも二百六十人以上なんて学校では、同じ学年でも顔も名前も知らないヤツがゴロゴロいたよ。

 そして小学校に上がってからは、例のタカギさんやチカちゃんとはずっと別のクラスで、滅多に口をきくこともなくなっちゃってさ。新しい友達だって同じクラスに出来たし、なのにわざわざ違うクラスのしかも女子に会いに行ったりなんかしないしね。
 でさ、黒沢は前に話した“出来の良い姉”と比べられては、人柄も主に曲がって成長して行って、校内での評判も芳しくなくなる一方で……。
 それに女の子って、恋に芽生える頃になると、男子をまず顔、そして運動能力で差別するようになるでしょ? だからたまに顔を合わせても、すくすく可愛く育ちモテモテになったタカギさんやチカちゃんは、顔面より頭の中身が取り柄だった黒沢になど、ゴミでも見るような目を向けるようになりまして。

 よくさ、女の人って「男は顔で女の子を差別する」って言うよね。
 うん、そのコト自体は否定しないよ。黒沢だって、『あまちゃん』で片桐はいりより能年玲奈を見ていた方がずっと楽しいもの。
 ただねー、容姿による異性に対する差別は、男より女の方が間違いなく露骨だし、タチもより悪いと思うゾ?
 まあバカなガキは別としてさ、男が誰か女の子に面と向かって「このブス、キモいんだよwww」とか言ったら、女子の皆さんから非難の集中砲火を浴びちゃうよね。そして犯罪者並みの扱いで、しっかり悪人認定されちゃってさ。
 ま、ブスの女子がモテないのは事実だけど、ただそれだけのコトで、直接面と向かって何かヒドい事を言われたりとかは、案外少ないと思うんだ。

 ウソだと思う? でも考えてみて、例えばキモメンって言葉はあるし当たり前に口にされてるけれど、キモオンナみたいな言葉はナイじゃん?
 ハッキリ言うけど、女子と思いたくないようなキモい女って大勢いるよ。「男ってみんなエッチで、穴があれば入れたいくらい女が好きなんでしょ」ってのは、男の本音を知らない女の幻想でさ。
 でも男は「おめーキモいんだよ、話しかけんな、こっち見んじゃねーよ」みたいな本音は、女の子になかなか言えないんだよね。そしてその男の気遣いを知らないもんだから、女は平気で男に「キモいから近くに来ないで」とか言えちゃうんだよねぇ……。

 男女は平等、でも男はオンナノコに傷つくような言葉を言っちゃいけない。けど男は強いんだから、女が何を言ってもOK……と。そして女の子の言葉に傷ついても、「そんな程度の事にこだわるなんて、器のちっちゃな情けないオトコ!」と、さらに責められて人格攻撃されるだけでさ。
 って言うか、例の“人としての器”もナゼか男にだけ求められているような気がするのは、黒沢の勘違いかな?

 今は(建前とは言え)男女平等の世の中で、むしろ女の方が強くなって、男にヒドい言葉を平気でぶつけたりしてるじゃん。で、自分達は当たり前のようにキモメンを露骨に差別してるのに、女はなぜ未だに「美人は得だ、男は女を顔で差別する」って言い続けてるかって言うと、ズバリ金品の問題なんだよね。
 ちょっと考えてみて、男で女から金品を巻き上げてるのって、まずホストくらいじゃん? 女に貢がせてる男がホスト以外に居たとしても、ヒモとかダメンズとか呼ばれて、世間様から白い目で見られてるのが現実だよね。
 だからモテ男でヤリ○ンのイケメンでも、「いろいろ奢ったりプレゼントしたりして、女の子にサービスして機嫌を取ってる」という面では、フツメンやキモメンとあまり変わらないんだよ。

 イケメンと喪男とで違うのは、ヤれる確率と相手の顔の可愛さであってさ。「女の子に奢ったり貢ぎ物を献上したりしている」って点では、男はみな同じなんだよね。
 でも顔面が良く生まれついた女の子は、ブランド品のバッグやら貴金属の装飾品やらが、誕生日やらホワイト・デーやらクリスマスの度に、イロイロ集まるからね。男はたとえイケメンだって女性と付き合えばカネは出て行く一方だけれど、女性の場合は「奢られるモノや貢がれるモノの格差」が、目に見える状態で存在するワケ。

 おわかりかな? 女がなぜ今も「男は女を顔で差別する」と言い続けるか。それは所詮カネの問題だよ、カネ。
 では多くの女の人達が「男は女を顔で差別する」って思う状態を解消するには、どうすれば良いか。
 それはズバリ男達が女性に貢ぐ習慣を見直して、ホワイト・デーだのクリスマスだの何トカ記念日とかのイベントを全廃させてしまう事だよ。
 何たって“男女平等”なんだからね、男ばかり女性に貢いでサービスする必要なんて無い筈なんだよ。
 そう、もし男女がホントに平等なら、レディー・ファーストの必要だって無いワケさ。
 でももし本気でこんな事を言い出したら、全女性に憎まれるだけでなく、まずイベント関連のプレゼント品で食ってる関連ギョーカイにフルボッコにされちゃうだろうけどね。あー、コワいコワい。

 で、話は戻って確か小六の頃のこと。ある日の下校途中に黒沢は、幼なじみのタカギさん&チカちゃんとバッタリ出くわしまして。
 その瞬間、タカギさんは黒沢と目が合うとあからさまに顔をしかめて、一緒にいたチカちゃんにこう言いましたとさ。
あたしさー、昔こんなヤツと仲良かったんだよねー、もー信じらんなーい
 ……ハイ、それはもう心底イヤそうに、過去の黒歴史でも打ち明けるように言ってくれマシタよ。
 それもチカちゃんの耳元で囁くとかではなく、聞こえよがしに大声で言ってくれてさ、そのタカギさんって。

 当時の黒沢はホントにまだガキだったから、言葉もなくただ俯くしかなくて。そして話を振られたチカちゃんの方も、ただ「あー、そー言えばねー」って感じで。
 付け加えて言えば、その時のチカちゃんの目も薄汚い負け犬でも見るような感じで、同情や優しさはまるでなかったな。
 実際、どっちのコも可愛かったけど、タカギさんの方は特にモテていてさ。学業の方はちょっと残念だけど背が高くてイケてる、DQN系な男子らの取り巻きグループもいたくらいでね。

 現実に存在する幼なじみなんて、まーこんなモノじゃないかな?
 それだけに『ときめきメモリアル』の藤崎詩織のキャラ設定って、すごく巧いと思ったよ。初期状態の「幼なじみなのだけど、今は手の届かない遠い存在になっていて、主人公と一緒に帰るのもイヤがる」ってあの感じが、黒沢としてもすごーくリアルでさ。

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