空と虹と恋と

 大好きな写真のこと、そしてゲームやコミックスの話から歴史&時事問題まで、思いつくまま雑多に語ってみたいと思っております。さらに筆者の度重なるイタい失恋話についても、どうぞ憫笑しつつお読み下さいまし。

日本は民間の戦災死傷者にひどく冷たい

国民は戦争を望まない。しかし決めるのは指導者で、国民を戦争に引きずり込むのは簡単である。外国に攻撃されつつあると言えばいい。それでも戦争に反対する者に対しては『愛国心がない』と批判するだけでいい

 これが誰の言葉か、皆さんはご存知だろうか。
 あのナチスドイツの国家元帥で、ヒトラーの後継者にも指名されていたヘルマン・ゲーリングの言葉である。

 近年の日本でも、このナチス流の言動が横行しているように思える。
 何かと言えば北朝鮮だけでなく中国の脅威を言い立て、それに同調しない者には「非国民」だの「売国奴」だの「媚中」だのといった侮蔑的な言葉が投げつけられている。
 先の大戦での日本の戦争責任を否定し、「あれは侵略ではなくアジアを白人支配から解放する為の自衛の戦争で、悪いのは中国や米英だ」と主張する本や雑誌が書店で公然と売られているのが日本の現状だ。

 そして首相が自ら国会で音頭を取り、国境警備などにかかわる海上保安庁や警察、自衛隊に「今この場所から心からの敬意を表そうではありませんか」と言い立て、自民党議員が総立ちで拍手を送った。
 それから程なく、沖縄の東村高江で米軍の為のヘリパッド建設に反対する住民らに、警備に当たっていた大阪府から派遣された機動隊員が「土人、シナ人!」と暴言を吐いた。
 安倍首相とそれに従う者たちは、ゲーリングの言う「国民を戦争に駆り立てる道」を見事に突き進んでいるように思える。

 国や社会の為に働いているのは、何も海上保安官や警察官や自衛隊員だけではあるまい。
 しかし今の日本の指導者と与党関係者にとっては、海上保安官や警察官や自衛隊員は特別に偉い存在であるらしい。

 今年の参議院選挙でも、安倍自民党が大勝した。
 それで安倍首相は「民意を得た」と、選挙運動中にもろくに語らなかった事までごり押しに推進しようとしている。
 投票が政治の白紙委任を意味するわけではない事は、言うまでもない。
 さらに言えばこの前の参議院選挙は投票率が低く、有権者の半数近くが投票に行かなかった。
 そして自民と公明をあわせた与党の得票率は、49%である。
 つまり与党に票を入れた国民は、現実には四分の一に過ぎないという事である。

 選挙で与党が大勝したものの、安倍首相の誇る民意というのは、実は四分の一の民意なのだ。
 そして中国の脅威を懸念する者の多くが、安倍自民党に一票を投じたらしい。

 で、そうした安倍自民党を支持している人達が懸念しているように、中国軍が日本領内に攻め込んで来るような事が、本当にあるのだろうか。
 中国脅威論を言い立てる人達は、「尖閣諸島どころか、沖縄まで取られてしまう」と主張するが、まずそれは無い。
 沖縄が日本領である事は疑いない事実で、もし中国が沖縄を攻めたら、侵略行為として中国は国際的な非難を受け、経済制裁も受けるだろう。
 貿易で経済成長を遂げている中国としては、国際的な経済制裁は致命的なものになりかねない。
 中国は一つという口実もある台湾と違い、沖縄を攻め取る事は全く正当化できない。
 だから「中国が尖閣諸島どころか沖縄まで取りに来る」という可能性は、中国の武力による台湾合併よりあり得ない事なのだ。
 ただ国威昂揚と中国国内の不満のガス抜きの為に、尖閣諸島という無人島の周辺で示威行為をしているのだろう。
 日本との経済関係も冷静に考えれば、国境の小さな無人島の為に中国が日本に戦争を仕掛け、日本との貿易で得られる利益を台無しにするとは考えにくい。

 しかし、物事には“絶対”という事はあり得ない。
 日本や中国のトップの思惑はどうあれ、現場の指揮官に自国第一の凝り固まった国粋主義者がいる可能性は充分にある。そして互いが自国の領海と主張する尖閣諸島付近の海上でどちらかが他国の艦船に発砲し、それが砲撃戦に発展し、戦死者も出る騒ぎが起きる可能性も否定できない。
 問題は、その初期の紛争を、両国がどう冷静に収束させるかだ。
 紛争の責任を相手国にのみ押し付け、戦死者を英霊に祭り上げて国民を煽り、両国の全面戦争への道をひた走るような事があってはならない。
 なぜなら日本という国は、軍人および軍属以外の死者には非常に冷たいからだ。

 先の大戦で、日本は軍人や軍属以外にも多くの死者を出した。
 軍人や軍属は、戦後も救済され恩給を受けた。
 しかし国策により送り出された先で命を落とした満蒙開拓団や、無差別爆撃で死んだ学徒動員の生徒らや多くの民間人は、まるで救済されず放置されたままである。

 民間の戦災死傷者を救済しようという運動は、日本国内でも起こった。
 しかしそれらはすべて、与党と裁判所により潰された。
 民間の戦災死傷者を援護しようという法案は、野党により計14回も提出されたが、すべて与党の反対で廃案になった
 民間人の死傷者まで補償していたら財政負担が大きいから、公務員(軍人と軍属)しか保証したくないというのが国の本音なのだそうだ。
 裁判に訴えても、「国の非常時なのだから、戦争による被害は国民みなが受忍すべき」と棄却された

 同じ戦争で負けたドイツでは、元軍人も民間人も平等に援護している
 全国戦災障害者連絡会会長だった杉山千佐子氏が、ドイツに行き日本の実状を話したところ、ドイツ政府の援護担当者は「なぜ区別する、同じ国民を?」と呆れたそうだ。

 第二次世界大戦で、日本と違いドイツは国土のほぼ全てが戦場になった。
 戦争による被害は、日本よりドイツの方が大きい。
 しかしドイツは、戦災被害者は元軍人も民間人も区別せずに援護している。
 だが日本では、何かあれば愛国心だのお国の為だの言うくせに、民間の戦災被害者は冷たく見捨てるのだ。

 はっきり言うが、日本では戦争が始まったら軍人か軍属になると良いだろう。死んだり傷ついたりしても、国が救済してくれるから。
 しかし日本の民間人は、戦争で死んだら“死に損”にしかならない

 今年の終戦の日、正確には敗戦の日に、高市早苗総務相と丸川珠代五輪担当相が靖国神社を参拝し、「自国の為に殉じた方々への慰霊は当然であり、外交問題になるべきものではない」と言った。
 あの愚かで無謀な戦争をおっ始めたA級戦犯どもも含めた軍人のみが、自国の為に殉じた慰霊されるべき対象で、民間人の死者などどうでもいい、というのが今の国家の指導者たちの本音なのであろう。

 中国の脅威を言い立て、「中国が攻めてきたらどうする」と集団的自衛権や憲法改正を押し進め、それに反対する者は媚中の売国奴扱いされかねないのが、今の安倍政権下の日本の空気だ。
 まさにナチスの大物ゲーリングの言う、「国民を戦争に引きずり込むのは簡単である。外国に攻撃されつつあると言えばいい。それでも戦争に反対する者に対しては『愛国心がない』と批判するだけでいい」という状況になりつつある。

 だが、気をつけた方がいい。
 ドイツと違って、我が日本国は民間の戦災被害者にはひどく冷たいから。
 日本の政府は、有事の際には国民すべてに「お国の為だ、戦争に協力しろ!」と強制するくせに。
 いくらお国の為に尽くしても、民間人のままでは戦争で死んでも死に損、傷ついても傷つき損なのだ。
 制服を着て兵士にならない限り、戦争で死のうが傷つこうがこの国は何もしてくれない現実を知っておくべきだ。
「中国が攻めて来るから、日本もそれに備えてアメリカ軍と共に世界で戦えるようにし、軍備を強化しなければならない」という風潮に流され、自衛隊や警察官らに総立ちの拍手で敬意を表す政治家に一票を投じるような愚か者になってはならない

 アメリカの次期大統領になるトランプ氏は、「アメリカが世界の警察官であるのをやめる」と公言している。
 つまり間もなく世界には力の空白が生まれ、秩序も混乱することになるだろう。
 そしておそらく、中国とロシアが勢力をさらに伸ばそうとし、テロリストらも活動を活発化させるだろう。

 で、先を読み賢く生きる道を模索するとしたら、貴方の行くべき道は二つだ。
 戦争を煽る空気に流されず、平和がもたらす経済的な利益を冷静かつ辛抱強く説き、あくまでも話し合いで隣国との紛争を解決する道を選ぶか。
 あるいは安倍首相を強く支持し、彼の念願である憲法改正を実現させ、国防軍となるべき自衛隊にいち早く入隊し、戦争で死んだり傷ついたりしても、少なくとも自分とその家族はお国から救済を受けられるようにしておくか。
 さあ、貴方ならどうする?

 繰り返すが、日本という国は国民みなに愛国心を求めるくせに、戦争で死んだり傷ついたりした民間人にはひどく冷たい。

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