空と虹と恋と

 大好きな写真のこと、そしてゲームやコミックスの話から歴史&時事問題まで、思いつくまま雑多に語ってみたいと思っております。さらに筆者の度重なるイタい失恋話についても、どうぞ憫笑しつつお読み下さいまし。

良く出来たスコッチ、バランタイン・ファイネスト

 筆者は酒の中ではウイスキーが一番好きで、ウイスキーの中でもスコッチが最も好きだ。
 しかしスコッチなら何でも好き、というわけでもない。

 これは個人的な好みの問題で、良し悪しを言っているのではないが。
 カティーサークVAT69、それに100パイパーズなどのスコッチは、どうしても好きになれない。
 そしてその「好きになれなかったスコッチ」の中に、実は今回取り上げるバランタイン・ファイネストも入っていた。

 同じバランタインでも、12年モノのブルーラベルの方は間違いなく美味しかった。
 しかし最も安いファイネストの方には、何故か良い印象が無かった。

 が、お酒やウイスキーの事だけでなく、いろいろな事にお詳しくて識見のある、筆者も尊敬しているogotch氏が、ファイネストも含めてバランタインを誉めてらっしゃった。
 それで筆者も、改めてバランタインをファイネストからじっくり味わってみる事にした。

 実を言うと、バランタイン・ファイネストを飲んだ経験は、筆者は以前にたった一度しかない。
 それもかなり以前、何かの機会にその一度きり飲んだだけなのに、何故か美味くないという印象を持ってしまっていた。
 だから自分の金で700ml入りのバランタイン・ファイネストを買ったのは、今回が本当に初めてだ。

バランタインP1100672

バランタインP1100676

バランタインP1100675

 で、買ってキャップを開けてみた瞬間に、まず驚かされた。
 10年以上熟成させたシングルモルトのキャップはコルクを使用したものが多いが、リーズナブルな価格のウイスキーのキャップは殆ど薄い金属のみで出来ている。
 だから中には、飲まずに数年置いておくと、キャップの隙間から蒸発して中身が減ってしまうものもある。

ボストンクラブLUMIX FX9 109

 見ていただきたい。
 これが同じキリンのボストンクラブ・豊醇原酒である。
 右の方が最近買ったもので、その隣にあるのが数年前に買って置いておいたものだ。
 数年前に買ったものの方がただ色が濃いだけでなく、開封していないのに量も少し減っている。

 コルクなどを使用していない金属だけのキャップでも、かなり年月が経っても中身が減っていないものもある。
 しかし薄い金属のみのキャップは隙間から中身が蒸発する可能性があるのも事実である。
 つまり中にコルクを使用しているか、キャップの上にさらに封を施してあるもの以外のウイスキーは、買ったら何年も置いておかず、ほどほどの期間内に飲んでしまった方が良いという事だろう。

 が、このバランタイン・ファイネストは違う。
 金属のキャップの下に、さらにプラスチックの封が施されているのだ。
 バランタインで最も安い、量販店では税込み千円前後で売られている製品であるにもかかわらず。
 このしっかりしたキャップだけでも、バランタインの製品に対する愛と品質に対する自信が感じられた。

 で、そのキャップを開けてグラスに注ぐと、まず穏やかで優しい香りが漂ってきた。
 初めは少しおとなしめくらいに感じられた香りだが、時が経つにつれてチョコレートを思わせる豊かな甘い香り広がってくる。
 香りはただ甘いだけでなく複雑で奥深いものがあり、その底に程良いスモーキーさもある。
 安いウイスキーにありがちな、アルコールのツンとする刺激的な臭いがかなり少ないのにも感心した。

 飲んでみると、口当たりは滑らかで甘い。その甘さも単純に甘いというのではなく、豊かでいろいろな要素が絡み合っているように感じる。
 この価格帯のウイスキーには若いアルコールの刺激がキツ過ぎて、何かで割らねば飲みにくいものが多いが、これはストレートで充分に美味しく飲める数少ないスタンダード・スコッチだ。

 トワイスアップにすると元々そう強くないアルコールの刺激は全くと言って良いほど無くなり、本当に気軽にスイスイ飲める。
 そして香りにフルーティーさも出てくる。
 しかしストレートでの深い味わいを楽しんだ後でトワイスアップを飲むと、何か水っぽく感じられて物足りなくなるのも事実だ。
 アルコールの刺激に慣れていない人はトワイスアップで飲むと良いと思うが、筆者は出来ればストレートでその味と余韻を楽しみたい。

 筆者はこのバランタイン・ファイネストを、ジョニー・ウォーカーの赤リニューアルされる以前のホワイトホースとも飲み比べてみた。
 以前のホワイトホースとは甲乙つけがたい印象だったが、ホワイトホースの方がやや甘さが強いように感じた。
 そしてジョニ赤と比べると、ジョニ赤の方が甘さやスモーキーさがよりはっきりしていて、バランタイン・ファイネストの方が味も香りも複雑で繊細なように思えた。

 ついでにジョニー・ウォーカーの黒とも飲み比べてみたが、これはさすがにジョニ黒の方が明らかに豊潤でより熟成されていた。
 しかし価格を考えると、価格ほどに味と香りの差があるようには思えなかった。
 量販店では千円前後で買えるスタンダード・スコッチとしては、バランタイン・ファイネストは文句なしに美味しい、コスパに優れたウイスキーだと断言できる。

 昔、一杯だけ飲んで何故美味しくないと思ってしまったのか、その理由が筆者自身にも全くわからない。かなり昔の、まだスコッチを飲み始めた頃の事ゆえ、ウイスキーの味がわかっていなかったのだとしか思えない。
 今になって飲み直してみれば、これが量販店で千円で買えるとは信じがたいほど良いスタンダード・スコッチだった。

 最後に、バランタイン・ファイネストを日本で流行りのハイボールにもしてみたのだが。
 はっきり言って、ガッカリの味と香りだった。
 断っておくが、バランタイン・ファイネストで作ったハイボールが決して不味いというわけではない。
 ただ美味くもないのだ。

 例えばジョニ赤やホワイトホースは、ハイボールにしてもそれなりの美味さがある。炭酸で何倍かに割っても、「ああ、ジョニ赤だな」と言うような個性も保っている。
 しかしバランタイン・ファイネストの場合、ハイボールにするとそれらしい味と香りが感じられなくなり、他の安いウイスキーを炭酸で割ったのと同じようなものになってしまう。

 そういえばジョニ赤やホワイトホースには時々販促用の景品のグラスが付けられ、ハイボールにして飲むよう割り方まで細かく書いてあるが。
 しかし少なくとも筆者は、バランタイン・ファイネストにハイボール用のグラスが景品に付けられて売られているのを見た事がない。
 筆者が見たバランタイン・ファイネストに付けられていた販促用の景品は、バランタインの名前入りのハンカチだった。
 という事は、「販売業者のサントリーも、バランタイン・ファイネストはハイボールにはあまり合わないとわかっているのではないか」と勘ぐるのは、筆者の邪推であろうか。

 これは筆者の個人的な好みでもあるが。
 バランタイン・ファイネストは日本人が好きなハイボールでも普通に飲め、トワイスアップでも悪くはないが。
 しかしストレートで飲むのが一番美味しい、良く出来たスタンダード・スコッチだと思う。

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コメント


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バランタインファイネスト。

バランタインファイネスト。

口に含むと甘味。アルコールの辛味。
煙さは殆どなく、バランスが良い。

つまり「可もなく不可もなく」。

車に例えるとトヨタの「カローラ」。

普段の家呑みには必要十分の品質。
実に良く出来た「商品」だと思います。

熟成感は ほとんどないため、
ウイスキーとして、酒として
「芯」というものがない。

ハイボールにすると味がスカスカに
なってしまうのは、そのためです。

ただスコッチウイスキーとして
最低限のラインである味わいは
死守しています。

「ストレートで呑める」のは
ブレンダーのなせる技です。

私はバランタイン12年を買いますけど。(笑)

ogotch | URL | 2016-12-04(Sun)10:56 [編集]


Re: バランタインファイネスト。

> バランタインファイネスト。
>
> 普段の家呑みには必要十分の品質。
> 実に良く出来た「商品」だと思います。
>
> 熟成感は ほとんどないため、
> ウイスキーとして、酒として
> 「芯」というものがない。
>
> ハイボールにすると味がスカスカに
> なってしまうのは、そのためです。
>
> ただスコッチウイスキーとして
> 最低限のラインである味わいは
> 死守しています。
>
> 私はバランタイン12年を買いますけど。(笑)

 何故かハイボールで美味しくなかった理由が、よくわかりました。
 いつもいろいろ教えて下さって、ありがとうございます!

 それにしても、バランタイン・ファイネストは少し安すぎるような気がします。
 近所の酒屋では、本体899円だったりします。

 もちろん、バランタインは12年の方がずっと美味しいです。
 ただ899円という値札を見ると、つい誘惑にかられてしまうのです。
 情けなや……。

黒沢一樹 | URL | 2016-12-08(Thu)01:32 [編集]


味が変わりました❓

初めてコメントします
昨日、久し振りに購入したのですがキャップの大きさが変わったのと一緒に味と香りが減退していた気がします(汗)
気のせいだと良いのですが…サントリーさんの意向でしょうか…汗

シビア | URL | 2017-04-29(Sat)09:20 [編集]


Re: 味が変わりました❓

> 昨日、久し振りに購入したのですがキャップの大きさが変わったのと一緒に味と香りが減退していた気がします(汗)
> 気のせいだと良いのですが…サントリーさんの意向でしょうか…汗

 あり得るかも知れません。
 サントリー扱いのティーチャーズも、キリン扱いのホワイトホースも、ボトルが変わっただけでなく中身の味も香りも変わりましたから。
 それも良い方に変わるなら文句はないですが、近年はハイボールのブームに合わせ、割って飲むのを前提に良くない意味で癖の無い平凡な味と香りにリニューアルされているものが多いような気がします。
 これが気のせいなら、本当に良いのですが。


黒沢一樹 | URL | 2017-05-03(Wed)16:28 [編集]


>あり得るかも知れません。
> サントリー扱いのティーチャーズも、キリン扱いのホワイトホースも、ボトルが変わっただけでなく中身の味も香りも変わりましたから。
> それも良い方に変わるなら文句はないですが、近年はハイボールのブームに合わせ、割って飲むのを前提に良くない意味で癖の無い平凡な味と香りにリニューアルされているものが多いような気がします。
> これが気のせいなら、本当に良いのですが。

 お返事ありがとうございます。
 開栓から数日経ち、香りが少し立ってきた気がします。
 しかし、やはり以前の物より希薄な気が…(汗)
 
 ティーチャーズの旧ラベルの物が恋しいです。
 サントリーさんが関わっているウイスキーの採点は辛くなってしまう私です。

シビア | URL | 2017-05-04(Thu)13:48 [編集]


Re: タイトルなし

>  ティーチャーズの旧ラベルの物が恋しいです。
>  サントリーさんが関わっているウイスキーの採点は辛くなってしまう私です。

 私もサントリーの製品には、どうも辛口になってしまいます。
 良い高価なものと、普通の人が普通に買って普通に飲む製品の作り分けがヒド過ぎるように思えます。
 お手頃価格のものは、ハイボールにして薄く割らねばとても飲めないようなものばかりで……。
 特に角瓶(黄角)などその「薄く割らなきゃ飲めないウイスキー」の代表格で、なぜアレが日本で一番売れているウイスキーなのか、私にはさっぱりわかりません。

 ま、角瓶を割って飲むのは構いませんが。
 手がけて輸入している他国のウイスキーまで、ハイボール用のブレンドに変えてしまうのだけは、本当に止めてほしいです。
 昔のティーチャーズ、私も恋しいです。

黒沢一樹 | URL | 2017-05-11(Thu)00:52 [編集]