空と虹と恋と

 大好きな写真のこと、そしてゲームやコミックスの話から歴史&時事問題まで、思いつくまま雑多に語ってみたいと思っております。さらに筆者の度重なるイタい失恋話についても、どうぞ憫笑しつつお読み下さいまし。

【長文】南京大虐殺と朝鮮人従軍慰安婦の問題について考えてみた

 何か議論をしたり、新聞や雑誌等の記事を読んだりする時、筆者は「……と思いたい」と言ったり書いたりする人の意見は全く信用しないことにしている。
 何故なら「……と思いたい」と言ったり書いたりする人は、事実をもとに物事を判断するのではなく、自分の願望を優先して物事を見ているからだ。

 しかし残念ながら、事実から目をそむけて自分の願望のみに従って物事を判断する人が非常に多い。
 と言うより、その種の自分の感情最優先の人が増えているのが現実だ。
 そして今、ポスト・トゥルースと呼ばれる、物事が感情や個人的な信念で判断され、事実は無視される状態に世界が陥っている。

 例えば隣同士である日中韓の三国も、このポスト・トゥルースの、事実より感情を優先する思考によっていがみ合っている。
 例えば中国人も含めた観光客を迎えるのが仕事である筈の、ホテルを経営するアパグループが、自社のホテルの全客室に、グループの代表者が書いた南京大虐殺を否定する書籍を置いた。
 その全ての中国人に喧嘩を売るような行為も、現在の「事実より感情や個人的な信念が優先される」状況の一例だろう。

 ホテルの全客室に南京大虐殺を否定する書籍を置く行為の意味がわからなければ、「アメリカのホテルチェーンの全客室に、『広島と長崎への原爆投下は正しく、戦争を早く終わらせ多くのアメリカ人と日本人の命を救った』という趣旨の書籍が置かれている状況」を想像してみればいい。
 日本人ならば当然腹が立つし、「そんなホテルになど、絶対に泊まるものか!」と思うのではないか。
 広島と長崎への原爆投下は間違った行為だと、少なくとも日本では殆どの者が思っている。原爆を投下した責任者が、戦争犯罪人として裁かれない事に不満を持つ者も少なくないのではないか。
 しかしアメリカでは、「原爆投下は正当で、戦争を早く終わらせ、多くのアメリカ人だけでなく日本人の命をも救った」と信じている者が多くいるのが現実だ。

 同様に、南京大虐殺もある種の思想信条を持った日本人達にとっては「中国によるデッチ上げ」だが、被害に遭った中国人にとっては「日本軍の残虐行為の象徴」なのだ。
 南京大虐殺については、日本人の間でも意見がわかれていて、「無かった」と信じる者だけでなく、「あった」と思っている者も多数いる。
 にもかかわらず、日本人の学者でも意見がいろいろある南京大虐殺について、「無かった」という立場の書籍のみを全客室に置くアパグループの行為は、極右で自称愛国者の日本人を間違いなく喜ばせるだろう。しかし同時に、その行為はただ中国人を怒らせるだけでなく、感情や信念より事実に基づいて物事を判断する理性的な日本人をはじめとする、多くの人を不快にさせた。

 と書くと、必ず「オマエは日本人のくせに、日本を悪く言うのか!」と怒り出す人が出て来るだろう。
 そこなのだ。
 日本が好きなあまり、日本は素晴らしい国で間違った事などしていないと思いたいあまり、日本の非を認めるのは絶対に許さない。そして黒を白と言い張るような、傍から見れば見苦しく愚かしい言動に走る。
 これぞ、事実を二の次にして感情や信念で判断する、ポスト・トゥルースの今の時代の日本の現状であろう。

 北九州の第124連隊の一兵士で、中国、ガダルカナル島、そしてインパールと転戦した高崎伝氏の『最悪の戦場に奇跡はなかった』という戦記が、光人社NF文庫から出版されている。
 極右の人達が英雄視する“皇軍”が戦場でいかに戦ったか、その現実がリアルに書かれているので、戦争を知らない世代、特に百田尚樹氏の小説などを読んで「日本軍、カッコいい!」などと思っている方は、特にご一読願いたい。

 その『最悪の戦場に奇跡はなかった』の初めの方に、「敵地では老若男女の区別なく少しでもおかしい奴と見ればバッサリ、チョン斬っていた」と書いてある。
 その高崎伝氏の部隊では、氏の知る限り、一人の捕虜もとらなかった(つまり投降した者もみな殺した)と言う。
 その著書の中では、捕らえたアメリカ軍のパイロットに酷い拷問をして、殺害した上に死体を皆で食ってしまった事も書いてある。
 今、一部の右寄りの人達が美化して考えている“皇軍”の実態が、これなのである。

 また、問題の“南京大虐殺”に至った南京攻略は、日本の政府や軍の総司令部の許可を得て行ったものではなく、現地の関東軍の独断によるものだった。
 だから予算もつかず、弾薬や食料等も今ある分だけで戦わねばならなかった。
 日本軍には元々補給を軽視し、補給を担当する輜重兵を「兵隊の内に入らない」と馬鹿にする傾向があった。何しろ作戦行動に出る時にも、最初に二十キロ程度の米を各自に持たせ、「後は現地調達せよ」というような事が多かった。

 その日本軍の関東軍が、政府や軍中央の許可のないまま、手持ちの食料のみで南京まで進撃して攻め落としたのだ。
 捕虜はとらない(殺す)。
 老若男女を問わず、少しでも怪しいと見た者も殺す。
 物資は足りなくなれば現地調達。

 それを考えたら、現地で日本軍がどんな暴虐ぶりを示したか、容易に想像できるというものだ。

「日本軍の軍紀は世界一厳しいから、虐殺とかあり得ない」と言い張る人達がいるが。
 では日中戦争でどれだけの中国兵を捕らえ、そしてその捕虜をどう扱ったのか、具体的に教えていただきたいものだ。
 少なくともアメリカ兵やイギリス兵の捕虜は、日本などにある程度の数は収容されていた。
 しかし連戦連勝を重ねていた筈の中国戦線で、日本軍は捕らえた捕虜をどう処遇していたのだろうか。
 日本軍は、投降した中国兵を殆ど殺していた。
 そう考えねば、日本軍が捕らえた中国兵の捕虜をどこにどう収容したかの記録が少なすぎる理由の説明がつかない。
 例の『地獄の戦場に奇跡はなかった』を書いた高崎伝氏は、捕虜は一人もとらなかった(すべて殺した)と述べているし、怪しい者は老若男女関係なく殺したとも言っている。
 つまり日本軍は中国で、投降した捕虜だけでなく民間人も殺したということだ。

 日本の極右の人達は、日中戦争も「中国が仕掛けたものだ」と言い張っているが。
 しかし中国の指導者の意図はどうあれ、一般の中国人にとって攻め込んで来た日本兵は、間違いなく敵国の侵略者である。

 戦争で敵国に攻め込んだ場合、問題になるのがそこの民間人にどう対処するかである。
 戦争を仕掛けたのがどちらにせよ、中国に住む中国人にとって日本兵は敵の侵略者である。
 そして民間人に、敵の侵略者に従う義務はあるのだろうか?
 憎い侵略者と戦おうと思う者は、民間人にも少なくない。
 だからドイツ軍もフランスではレジスタンスに、ロシアや旧ユーゴスラビアではパルチザンに苦慮した。ベトナム戦争でも、アメリカ軍は民間人の中に紛れて抵抗を続けるベトコンに手を焼いた。

 敵国に侵略された場合、その国の軍人だけでなく民間人もまた抵抗勢力となり、侵略者に対しテロ活動を続ける。
 そしてまた、戦いに敗れた兵士が軍服を脱いで民間人の中に紛れてしまえば、兵士と民間人の区別はまずつかない。
 だから敵国に攻め込んだ場合、軍服を脱いで抵抗を続ける兵士や侵略者と戦いたい民間人と、戦う気の無い一般の民間人の区別がつかないのが現実だ。
 当時の中国にも、便衣隊といって、民間人の服を着て抵抗運動をするグループが多く出現した。
 で、猜疑心のあまり、罪の無い民間人まで殺してしまうことになる。
「老若男女の区別なく少しでもおかしい奴と見ればバッサリ、チョン斬っていた」と著書に書いた、元日本軍兵士の高崎伝氏のように。
 そして罪の無い民間人を殺せば殺すほど、その侵略軍は現地の人達により憎まれ、抵抗運動をより盛んにするという悪循環に陥る。

 話は少し飛ぶが、防壁に守られた都市や砦を攻略するのは大変だ。安全な物陰や銃眼から撃ってくる弾に身をさらして、防壁に突撃して行くのだから。
 当然、攻める方は多くの死傷者を出すことになる。
 だから攻める側の兵は、守っている兵を強く憎むことになる。
 例えばノルマンディー上陸作戦でも、海岸のトーチカから散々に撃たれて多数の死傷者を出した米英軍は、投降したドイツ兵をその場で射殺したりした。
 アメリカやイギリスの兵隊でさえ、そのような行為に及ぶ事もあったのだ。「捕虜になるな」と教えられ、また捕虜を殺すのも当たり前だった日本軍が南京城を攻め落とした後、敗れた敵兵や南京の市民に紳士的に振る舞ったなどと思えるだろうか。

 南京大虐殺と言われている事件について、まとめて考えてみよう。
 まず前提として、日本軍は中国兵の捕虜をとらなかった(殺した)。
 そして便衣隊という民間人の服を着て破壊工作をする中国人もいた。
 だから日本軍は、中国人の民間人も少しでも怪しいと思えば老若男女関係なく殺した。
 また南京城攻略直後は、日本軍の兵士たちも気が立っていた。
 さらにそもそも南京攻略は、政府や軍中央の許可のない現地軍の独走だから、食料等の補給も不十分であった。
 それらを考えれば、南京大虐殺は「あった」と考えるのが自然ではないだろうか。
 事実、南京に住んでいたドイツ人が、日本軍の虐殺行為を報告している。
 さらに日本人にも、「付近の川が、中国人の死体で埋まっていた」と証言している人がいる。

 南京大虐殺を否定する日本の右翼の人達は、中国があげている20万人以上という被害者数を理由に、「南京大虐殺などデッチ上げだ、無かったんだ!」と主張する。
 当時、南京市内には20万人もおらず、中国側の言う被害者の数は南京の人口を超えているそうだ。
 南京で日本軍に殺されたと言われている人の数が、当時の南京市の人口より多い。
 それは確かにおかしい。

 話はまた少しそれるが、「東京」と言った時、皆さんはどこを想像するだろうか。
 23区内だろうか、周辺の市も加えた都市圏だろうか、それとも奥多摩まで含めた東京都すべてだろうか。
 中国の南京もそれと同じで、中国では南京城内だけでなく、その周辺部のかなり広い範囲を“南京”と呼んでいるそうだ。
 つまり南京大虐殺を「無かった」と主張する日本の右翼は市内の人口だけを問題にしているのに対し、中国側は南京市の周辺を広く“南京”として、殺された者の数を最大限まで多く見積もっているわけだ。

 また、アパグループの代表などの、南京大虐殺を「無かった」と主張する日本の右翼は、南京市内の市民の人口だけを問題にしているが、中国軍の兵士はその人口のうちには入っていない
 中国戦線で、日本軍は基本的に捕虜を生かしておかなかった。
 そして南京でも市民だけでなく、日本軍は戦意を無くして投降した捕虜も殺した
 だから日本軍が進撃して南京を攻め落とした間に殺した中国兵と民間人をすべて合わせれば、中国側の死者の数は、中国の言う通りに20万人を越すかも知れない。

 つまり南京大虐殺を巡る死者の数の相違は、日本の右翼が南京市内の民間人のみに限定してものを言い、それに対し中国側が日本が南京に進撃した過程で殺された捕虜や民間人すべてを数えて言っていることによって起きている。

 それにしても、言論の自由はあるにせよ、南京大虐殺を「無かった」と言う日本の右翼は馬鹿だ。
 例えばアメリカのトランプ大統領の就任式に集まった人数の問題でも。
 マスコミは証拠の写真を出して25万人と言い、トランプ大統領は「150万人はいた!」と言い張っている。
 ただどちらが主張する人数が正しいにせよ、「何十万もの人が集まった」のは事実だ。
 その主張する人数に疑問があるからと言って、「就任式に観衆が誰も来なかった」という事には、絶対にならない。

 例えばこの民主国家で報道や言論の自由のある日本でも、デモに集まった人数が、主催者発表と警察発表にかなり差がある事など、よくあるではないか。
 その双方が主張する人数に差があっても、デモがあった事実に変わりはない。
「デモの主催者が言う人数は間違いだから、デモも無かったんだ」などと言い張る者は、「馬鹿か?」と言われても仕方なかろう。

 それと同じで、「中国が言う犠牲者の人数は間違いだから、虐殺も無かったんだ」と言い張るのは、いくら日本が好きだからと言っても、贔屓の引き倒しの愚かな行為だ。
 たとえ犠牲者が20万人でなく、それより一桁少ない2万人でも、大虐殺は大虐殺だろう。

 日本が好きだ、だから中国の言うことは嘘で、日本軍は中国人を虐殺などしていないと思いたい。こうした感情が、南京大虐殺を否定する愚かなこじつけ論に飛びつかせているのだろうが。
 しかし「……と思いたい」という感情(願望)に流されて事実から目をそむけ、自国が過去に犯した過ちすら直視できずに「無かった、デマだ!」などと騒いでいると、隣国との関係は悪くなるばかりだ。

 今の中国政府には、確かに問題は多々ある。
 しかしだからと言って、日本が過去に犯した悪事も無かった事にして良い理由にはならない。

 難しいのは、かつての日本軍の兵士すべてが極悪非道だったわけではない事だ。
 南京に進軍した日本軍の中にも立派な指揮官がいて、白旗を掲げて迎えた村で、何の乱暴狼藉も働かずにそのまま去って行った部隊もあるという。
 だから困るのだ。

 中国で敵兵だけでなく民間人も殺し、戦犯として勾留されたある日本軍兵士は、取材に訪れた新聞記者に苦しげにこう言って取材を拒んだという。
「お祖父ちゃんが昔、中国で人を殺した……って、孫に言えますか」

 例の『最悪の戦場に奇跡はなかった』を書いた高崎伝氏は、その著書の中で自分や自分の部隊の行った悪い事も率直に書いている。しかしそんな人は僅かで、戦地で残虐行為をした多くの兵は、その過去を死ぬまで黙っている
 そして自らに恥じる所の無い、立派な将兵だけが声高に「日本軍は酷い事などしていない!」と言い張り、その声に「日本は良い国なんだ、悪い事なんてしていない!」と信じたい右の人達が飛びつく結果になっている。

 日本兵だけでなく、ナチスの兵士だろうが、ロシア兵だろうが、アメリカ兵だろうが、どこの国にも良い人と悪い人の両方がいる。
 だからどこの国の人間が良いとか悪いとか決め付けられない。
 ただその総体を見て、「この国は、あの国で悪い事をした」と言われる事はある。
 そして南京大虐殺で何万人が死んだかの人数はどうあれ、日本軍が中国で悪い事をした事実は誰にも否定できない。少なくとも「……と思いたい」という願望や感情や信念でなく、現実をもとに考える理性的な人であれば。

 筆者は中国共産党は嫌いだし、媚中でも反日でもないが。
 ただ両国のもめ事になりがちな南京大虐殺については、いろいろな資料をもとに「中国の主張する死者の人数には疑問はあるが、虐殺と言われる行為はあっただろう」と推定している。
 が、もう一つの隣国である韓国が何かと言えば蒸し返す従軍慰安婦の問題については、韓国の主張に全く同意できない。

 韓国が持ち出す従軍慰安婦の問題を聞いた時、筆者がまず思ったのは「韓国には、売春婦っていなかったの?」という事だった。
 筆者がまだ子供だった頃、男の大人達は、よく韓国にキーセン観光とやらに行ってご満悦だった。
 キーセン観光の意味はよくわからなかったが、あまり感心できない種類の大人の遊びである事は、何となくわかった。

 韓国とそれに同調して、従軍慰安婦の問題で日本政府を追求する日本のジャーナリスト達の説によれば、日本軍は韓国の売春婦を利用するのではなく、韓国の何も知らない普通の少女ばかり拉致して性暴力の限りを尽くした事になっているが。
 どこの国にもいる売春婦や、筆者が幼い頃に大人達がよく利用していたキーセン達は、戦時中にはいったいどこに行ってしまったのだろうか。
 筆者には、それが不思議でならなかった。
 だから南京大虐殺は「あった」と思うが、韓国の従軍慰安婦については納得の行かない事ばかりだった。
 だいたい、同胞の何も知らない少女たちが日本軍に拉致され性奴隷にされて、おとなしく黙っているほど韓国人の男性は腰抜けなのだろうか

 で、不思議に思っていたところ、アメリカ軍の捕虜になった韓国人の日本兵が、「従軍慰安婦を日本軍が狩り集めた事はない。もしそんな事をしたら、韓国人が暴動を起こしただろう」と証言したと、毎日新聞の記事に載っていた。
 そしてまた、韓国の大学教授(女性)が従軍慰安婦には日本軍の直接の関与は無く、親などに売られた少女が韓国人の業者の斡旋により従軍慰安婦とされたと本に書いた。
 なるほど、と納得した。

 筆者の母の知人(日本人の男性)は、戦時中に韓国に住んでいた。
 その方の言うところによれば、「中国人は何も怖くなかったし、中国人街は平気で歩けた。けれど韓国人は怖くて、夜など韓国人の住む街は危なくてとても一人では歩けなかった」そうだ。
 支配者層であった日本人の男性にそう言わせるほど怖い韓国人が、同胞の少女らを日本兵に拉致され性奴隷にされて黙っているだろうか。
 当時の韓国人が日本軍の従軍慰安婦の存在を許していたのは、少女を売ったのも、日本軍の慰安所に斡旋したのも同胞の韓国人だからだ。

 そもそも韓国は、日本軍に占領された他のアジア諸国とは違う。
 武力を背景にはしたが、名目上は合併して日本に組み入れたのであり、軍が侵略して植民地にしたわけではない。
 だから現実には差別されたものの、韓国人は建前は日本国民として扱われた。
 花岡鉱山など日本国内で酷使された中国人達は、強制連行されて奴隷労働を強いられたのだが。
 しかし戦争中や戦争前に日本に来た韓国人達は違う。韓国にいるより豊かになる可能性を求めて、自分の意志で日本に来た者も少なくない。
 韓国の大統領のパク・クネ氏の父親の、パク・チョンヒ元大統領など、かつては大日本帝国陸軍の中尉だった。

 現実には強制的な合併だが、名目上は条約による合意の上での合併だ。
 現実には差別があったが、名目上は韓国人も同じ日本国民だ。
 だから同じ日本に恨みを持つ国でも、中国と韓国は一緒に考えてはならない。

 1957年に売春防止法が成立するまで、日本では人身売買が行われ、売春も公然と行われていた。
 特に凶作の時には日本の農村の多くの少女が売春宿に売られ、それを放置しておく日本政府に対する憤りが二・二六事件の一因にもなった。
 で、同じように韓国でも貧しい農民の娘が売られ、そしてただ最終的な買い手が日本軍の慰安所だったに過ぎない。
 慰安婦になったのはその韓国の少女の意志では無いだろうし、その少女は辛い思いをした事だろう。
 しかし彼女を売ったのは韓国人の親であり、日本軍に斡旋したのも韓国人の業者だ。
 日本兵が銃剣を突きつけ、韓国の少女を拉致して性奴隷にしたわけでは無いのだ。
 しかし韓国では、その事を口にしただけで恥知らずの非国民と罵られる。
 例の、従軍慰安婦は日本軍が強制的に狩り集めたのではないと本に書いた大学教授は、何と裁判にかけられる始末だ。

 かつて東ヨーロッパに、ユーゴスラビアという国があった。
 そのユーゴスラビアは第二次世界大戦でドイツ軍に占領されたが、そのドイツ軍に対する国内の対応はばらばらだった。
 セルビアはドイツに抵抗したが、セルビアと仲の悪いクロアチアやスロベニア、それにユーゴスラビアのイスラム教徒はナチスドイツに協力した。で、第二次大戦中は、その親ドイツ派と反ドイツ派で血で血を洗う内戦状態にあった。
 で、結局勝利したのは、セルビアの共産党だったが。しかしそのセルビア共産党の指導者は、クロアチア人のチトーだった。
 そしてチトーは、戦後、国内の融和に努めた。
 その為にチトーとその配下は、捕らえたドイツ兵の捕虜を虐待した。ドイツ兵の捕虜たちを酷い拷問に遭わせ、「自分は何十人もの民間人を殺しました」と嘘の自白をさせたのだ。
 つまりチトーは、戦争中の内戦による死者をすべてドイツ軍のせいにする事で、内戦の傷痕を帳消しにして国内をまとめようとしたのだ。

 従軍慰安婦に対する韓国人の態度は、そのチトーの対応に似ているように思える。
 娘を売った韓国人の親も、娘を日本軍に斡旋した韓国人の業者の存在も「無かったこと」にして。そして可哀想な少女を、日本軍が無理に連れ去って性奴隷にした事にしているのだから。

 第二次大戦後、中国も蒋介石の国民党と毛沢東の共産党の間で内戦が起きたが、どちらもそれを日本のせいにはしていない。
 しかし第二次大戦後に韓国が北朝鮮と分裂して内戦状態に陥ったのも、韓国人によると「日本が支配したせい」なのだそうだ。
 何でもかんでも、悪いのはすべて「日本のせい」なのだ。
 日本から仏像を盗み出しても、数百年前に倭寇に奪われたものだからと、やはり「日本のせい」にして返さないのだから、韓国という国には呆れ果てる。

 韓国の釜山の日本総領事館の前に設置された慰安婦像の前で騒ぐ韓国人たちを見るとたいてい若い層で、日本が支配した時代を直に知るお年寄りの姿は殆ど見ない。
 従軍慰安婦について本当に怒るとすれば、同世代の老人たちではないだろうか。
 しかし実態を知る筈の韓国の高齢者は殆ど何も言わず、慰安婦像の前で騒いだり、テレビのインタビューに答えて日本を悪く言うのは、実態を直に知っている筈のない若い世代ばかりである。
 それは何故か。
 過去のいわゆる“日帝支配”の時代を生きた高齢者は、娘を売る親が韓国にいた事を知っているから黙っている。
 そして日帝支配の時代を知らず、イ・スンマン(李承晩)政権以降の徹底した反日教育を受けた世代がその韓国人にとって不都合な真実を受け入れず、「何もかも、すべて日本が悪くて日本のせい」と騒いでいるのだ。

 従軍慰安婦と言うと、韓国人の慰安婦だけが注目され、韓国人ばかり慰安婦にされているような印象を世界に与えているが。
 実は従軍慰安婦には、日本人もフィリピン人も中国人もいたのだ。
 同じように売られてきたのに、なぜ韓国人だけ強制連行されたかのように騒ぐのか、その理由が筆者には理解できない。
 従軍慰安婦の徴募にあたった業者は、人身売買だけでなく拉致も行ったと言う。そしてその拉致を、韓国人は強制連行と言うのだろうが。
 しかしその拉致を行ったのは業者(女衒)であって、日本軍ではない。
 そしてまた、娘を業者に売った韓国人の親がいた事実も忘れてはなるまい。
 しかし韓国人は、その「同胞の少女を日本軍に売った韓国人もいる」という現実から目をそむけ、すべてを日本のせいにしたいのだ。
 例の「韓国人は悪くない、悪いのはすべて日本と思いたい」という、事実より感情や信念や願望を優先するポスト・トゥルースというやつだ。

 そんな韓国とずっと隣同士でいなければならないのは、日本としても甚だ厄介な事ではあるが。
 しかし日本人も、韓国ばかりを悪くは言えない。
 何しろ「日本は悪くないと思いたい」という一念で、「南京大虐殺など無かった、中国のデッチ上げだ!」と言い張る輩がいるのだから。
 そしてその中には安倍首相と仲の良い、高名な大学教授やジャーナリストもいる。

 さらにアジア・オリンピック評議会(OCA)主催の冬季アジア札幌大会に、選手村として利用されるアパホテル&リゾート札幌の全客室にも、アパグループの代表者が書いた南京大虐殺を否定する書籍を置き、OCAからスポーツ理念に基づく対応を求められる始末だ。
 中国の選手団も来ると当然わかりつつ、それで南京大虐殺を否定する書籍を全客室に置きつつあえて選手村として立候補するのだから、アパグループは確信犯で中国に喧嘩を売っているのだろう。

 そのアパグループの行動に、「言いたい事をはっきり言っていて良いと思う」と賛同する日本人(特に男性)が多いのには呆れる。
 美容外科医として、そして漫画家の西原理恵子氏の内縁の夫としても知られる高須克弥氏など、その報道を知り「アパホテルに泊まりに行きたくなりました」と語った。
 繰り返すが、全客室に『広島と長崎への原爆投下は正しく、戦争を早く終わらせ多くのアメリカ人と日本人の命を救った』との書籍が置かれているホテルチェーンがあったとしても、「言いたい事をはっきり言っていて良い、泊まりに行きたくなりました」と言えるだろうか。
 少なくとも筆者は、一人の日本人としてそれは出来ない。

 日本人として、日本を愛する気持ちは筆者にもある。
 しかしだからと言って、過去の日本の過ちまで「無かったこと」にしようとするのは、人として間違っていると筆者は考える。
 日本が好きだからと黒も白と言って日本を美化するのは、間違った愛国心だ。
 過去の過ちは過ちとして認め、再び間違った道に進まないよう心がけるのが真の愛国心だ。
 日本人も日本軍も立派だと信じたいあまり、日本に都合の良い数字と発言だけ取り上げて「南京大虐殺は無かった」と言い張るのは、ナチのホロコーストすら否定するネオナチにも共通する歪んだ愛国心だ。
 そう言えば、グループの全客室に南京大虐殺を否定した書籍を置くアパホテルの行動に賛同する高須克弥氏は、ホロコーストにも懐疑的で、あの『アンネの日記』もデッチ上げだと主張していた。

 とにかく筆者は右でも左でもなく(大学生の頃は右翼と呼ばれていたが)、ただ感情や信念より事実を優先して冷静に物事を判断したいだけだ。
 で、事実のみを検討した結果、南京大虐殺については「中国が主張する犠牲者の数に疑問はあるが、虐殺と言われる行為はあった」、そして従軍慰安婦については「日本軍による直接の強制連行は殆ど無かった」と判断している。
 日本の“右”の人達は「日本は悪くない」と思いたい感情から南京大虐殺も従軍慰安婦の強制連行も否定する。そして“左”と言うか“リベラル”な人達は「何もかも日本が悪かったと認めるべき」という感情から南京大虐殺も従軍慰安婦の強制連行も「あった」と言う。
 しかし感情は二の次にして事実をもとに考える筆者は、そのどちらにも属さない。

 ただ一つ、当時はオランダの植民地だったインドネシアで捕らえたオランダ人の女性に日本軍が性的暴行を加え、主に将校用の慰安婦にしたのはどの右派の論客も否定できない紛れもない事実で、この件については被害を受けた女性達に謝罪するしかないし、事実日本も謝罪している。

 それと韓国の従軍慰安婦の問題は同一ではないし、働かされた場所が日本軍の慰安所という事で日本にも責任の一端はあるだろうが、まず責められるべきは娘を売った韓国人の親と、拉致までして少女を日本軍に周旋した業者であろう。
 もし日本政府が韓国の従軍慰安婦に謝罪して賠償せねばならないのなら、日本政府は日本人やフィリピン人や中国人の慰安婦にも謝罪して賠償せねばならない筈だ。
「なぜ韓国の従軍慰安婦にだけ?」という疑問が、筆者の胸に残る。

 娘を売った親や日本軍の為に少女を集めた韓国人の存在は「無かったもの」にして日本だけを責める今の韓国のやり方はカッコ悪いし、同様に当時の日本軍の実態をあえて無視して、南京市内の人口だけを根拠に「大虐殺は無かった」と言い張る一部の日本人もカッコ悪い。
 それ以外のどんな問題であれ、物事は感情や個人的な信念でなく、ただ事実をもとに判断すべきだと、声を大にして言いたい。

 事実に目を向けずに感情で判断し、「……と思いたい」という願望を優先した民衆が、かつてヒトラーを生み、そして今、トランプ大統領を生んだ。
 その事を忘れずに、今の日本の現政権の政策の是非も事実のみで冷静に判断して、次の選挙で一票を投じて貰いたいと心から願う。

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コメント


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どっちもどっち。

戦争ですからね。

机の上での政策だの理念とは関係なく
現場でやってるのは「殺し合い」です。

勝った方が殺した人数が多いのは
当たり前の話でしょう。

こちらも、あちらも相手国の
国民をお互いに殺してる。
(戦争とは そういうものです。)

しかも自分の意思ではなく
国家権力の指示で強制的に
殺さざるを得ない。

これは「どっちもどっち」としか
言いようがありませんよね。

そしてコレが重要なんですけど
人間は「都合の悪い事実」を
受け入れられる人はごく少数。

だから政治を営業トークでするのは
タブーになっているんですよ。

自説を曲げる人は まず居ませんから。

ーーーーーーーーーーーーーーー

お互いの国民を殺し合わせて
勝った方が負けた方に自国の
要望を無理矢理飲ませる政策。

これが戦争という「政策」の要点です。

そもそも自国の要望(利益)を
キチンと政治の業務内容として
遂行出来れば戦争という政策を
取る必要がありません。

不思議なのは皆さん、ご自身の仕事に
関しては部下が「結果」を出すのに
シビアでありながら。

政治家の仕事に関しては、
政治家の好き嫌いだけで
許しちゃうんですよね。

まず好き嫌いを現実の判断から
切り離して考えるようにする。

それが何より先ですよ。(笑)

ogotch | URL | 2017-02-04(Sat)12:38 [編集]


Re: どっちもどっち。

> 人間は「都合の悪い事実」を
> 受け入れられる人はごく少数。
> だから政治を営業トークでするのは
> タブーになっているんですよ。
> 自説を曲げる人は まず居ませんから。

 おっしゃる通りです。
 いくら反論できない事実を提示して説得しても、相手はただ「口がうまい奴に言い負かされただけ」と思うだけで、心までは変えられないんですよね。
 仕事関係の人や上の立場のある人達には、本当に上っ面の世間話しかできません。


> 不思議なのは皆さん、ご自身の仕事に
> 関しては部下が「結果」を出すのに
> シビアでありながら。
> 政治家の仕事に関しては、
> 政治家の好き嫌いだけで
> 許しちゃうんですよね。
> まず好き嫌いを現実の判断から
> 切り離して考えるようにする。
> それが何より先ですよ。

 全くその通りだと思います。
 なぜあんなに支持されるのか理解に苦しむ政治家が、日本には多すぎます。

 よく「政治の劣化」と言われますが。
 その原因を作っているのは、われわれ国民の政治に対する意識の劣化ではないかと思います。

黒沢一樹 | URL | 2017-02-08(Wed)15:31 [編集]