空と虹と恋と

 大好きな写真のこと、そしてゲームやコミックスの話から歴史&時事問題まで、思いつくまま雑多に語ってみたいと思っております。さらに筆者の度重なるイタい失恋話についても、どうぞ憫笑しつつお読み下さいまし。

バランタイン12年

 諸事情があって、東京にはたまにしか行けないのだが。
 その数年前に東京に行った時、帰る直前に妙にウイスキーが飲みたくなった。
 で、乗る高速バスの時間も迫っていたので、東京駅の売店でウイスキーの小瓶を買った。
 50ml入りのミニチュアボトルなのに、とても高かった。
 何年も前の事だから正確な値段は覚えていないが、一本(繰り返すが50ml)で千円近くした。
 それが、バランタイン12年ことブルーラベルとの初めての出逢いだった。

 何しろ疲れていたし、乗り心地も良いとは言えない高速バスに揺られながらだから、ゆっくり、じっくり味わうゆとりも無かったが。
 それでもとても美味しく飲みやすくて、50mlの小瓶などすぐに飲み干してしまった。

 で、そのバランタイン12年を、700ml入りの通常の瓶を買ってじっくり飲み直してみた。

バランタイン12年P1110138

 キャップを開けると、甘く豊かな、そして僅かにスモーキーな香りが漂う。
 口に含むと、滑らかで優しい味わい。
 甘くクリーミーで、舌の上で転がすと花の蜜を吸っているような上品な甘さを感じる。
 そしてそのハニーな甘さは、次第に清涼感のある心地良いスパイシーさに変わる。
 飲み下した後の余韻は、それなりに長く続く。アフターフレーバーは品の良い甘さと、そして僅かなスモーキーさだ。
 飲んでいる間はスモーキーさを感じないのだが、飲み干した後の息にスモーキー香が絶妙な残り香として残る。

 男性で、香水の匂いをプンプンさせた女性が好きな人はそう多くないだろう。
 実は筆者も、化粧の濃い香水臭い女性は好まない。
 しかし近付いても全く化粧臭くなく、なのに通り過ぎた瞬間に良い香りがほのかに残る女性にはドキッとして、思わず振り向いてしまう。
 このバランタイン12年のスモーキー香は、ちょうどそんな感じの魅惑的なスモーキーさだ。

 このバランタイン12年は、トワイスアップでもそれなりに飲める。甘さがより引き立つし、アルコールの刺激も全くなくなり、まろやかでとても飲みやすくなる。
 が、トワイスアップにすると同時にビターさも出てくる感じだ。そして味も香りも薄くなり、アフターフレーバーも長く続かなくなる。
 個人的には、ストレートで飲むのが一番ではないかと思う。その方が、味も香りもずっとギュッと凝縮された感じで魅力的だ。

 シーバスリーガル12年ジョニーウォーカーの黒とも飲み比べてみたが、このバランタイン12年が味も香りも最も繊細な感じだ。
 シーバスリーガルの方がよりフルーティーで香りが華やかだが、「匂いがキツ過ぎ」と言う人もいる。
 確かにシーバスリーガルは「色っぽい大人の女性」と言う感じで、筆者も含めて好きな人は好きになるのだが、清楚で控え目な女性が好みの方には、少々色気過剰で派手過ぎに思えるだろう。

 そう、バランタイン12年は清楚で控え目な美人そのものなのだ。
 例えばジョニ黒も良い味と香りだが、ピート香がはっきりしていて、いかにも「スコッチです!」という自己主張がある。
 好きな人は大好きになるのだが、スモーキーさが苦手な人はあまり好きになれないかも知れない。
 甘さもバランタイン12年はハニーで上品なのだが、ジョニ黒はしっかりとした甘さを感じる。

 バランタイン12年は、バランスが本当に良く取れている優しいスコッチだ。
 初めは柔らかに甘く、そしてビターさやスパイシーさも続いて適度に出てくる。そして最後のアフターフレーバーにほのかにスモーキー香が残る。
 スコッチのいろいろな味わいが、最良のバランスの上にすべて備えられているという感じだ。

 筆者は10年以上貯蔵したシングルモルトと12年以上貯蔵したブレンデッドに不味いものはほぼ無いと思っている。
 そこにあるのは、まあ大体は個人的な好き嫌いであろう。
 で、シーバスリーガル12年とジョニ黒については、「好き嫌いが、それなりに分かれるだろうな」と思った。
 事実、筆者の知人にもシーバスリーガルの長く続く濃い香りを「しつこい、好きじゃない」と言った人がいた。
 そしてジョニ黒についても、その骨太で男性的な味わいをキツいと感じる人もいるだろう。
 その点で、このバランタイン12年については「嫌いとか苦手だとか言う人は、まずいないだろうな」と感じた。

 筆者自身は、シーバスリーガル12年もジョニ黒も大好きだし、喜んで飲むが。
 しかしもし他人に12年モノのブレンデッド・ウイスキーを贈るとしたら、筆者なら間違いなくこのバランタイン12年を選ぶ。

 氷で冷やすと香りが弱くなるし、バランタイン12年は繊細だからロックで飲む気にはなれず、またトワイスアップですら薄く感じたので、ハイボールも試してみることなく、筆者はひたすらストレートでこれを飲んでいる。
 滑らかで優しい味のウイスキーなので、チェイサーも少ししか要らず、ストレートで気持ち良く飲めてしまう。
 しかし強いクセも無くバランスも良く取れているので、日本人が大好きなハイボールにしたらグイグイ飲め過ぎてしまうのではないだろうか。

 結論としては、ストレートで気持ち良く飲める、バランスの取れたとても良いスコッチだ。
 ただ一つ文句を付けるとしたら、バランタイン・ファイネストとの質の差だ。
 ジョニーウォーカーの場合、赤と黒には味や香りに似通った部分がはっきりあって、ジョニ赤は「ジョニ黒の廉価版」という感じが強くある。
 しかしバランタイン・ファイネストには、12年の弟分と言えるような似通った部分があまり感じられないのだ。

 いや、バランタイン・ファイネストも、スタンダード・スコッチとしてはかなり良く出来たウイスキーだ。
 しかし一度12年をしっかり味わって飲んでしまうと、「ファイネストはもう飲まなくても良いかな、12年があれば充分だし」という気持ちになってしまうのだ。
 ジョニ赤には、ジョニ黒の血を引いた廉価版の弟分という存在価値があるのだが、バランタイン・ファイネストはその“12年の弟分としての血”が少し薄いように感じられる。

 そう言えば、ディスカウント系の大型酒店では、バランタイン・ファイネストはジョニ赤など他のスタンダード・スコッチより少し安い値段で売られていることが少なくない。
 少しでも安くする為に味を落とすより、他のスタンダード・スコッチと同じか少し高いくらいの値段にしてでも味を良くした方が、結局はバランタインの為になると思うのだが、どうだろうか。

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コメント


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ファイネストと12年。

私はバランタインにおける製品の位置付けが
「ファイネスト」と「12年」でまず違うと
想像しています。

以下は私の推論です。

どちらもバランタインというブランドの
名前を汚さない、という大前提において
「ファイネスト」は味と価格の最低線。
「12年」は熟成ウイスキーの最低線。

これらを目的として両製品は
作られたのではないか、と。

ゆえに「ファイネスト」はウイスキーで
重要な項目の一つである熟成感を捨てて
代わりに複雑味を取って、価格を下げた。
(まず値ありきという作り方。)

対して「12年」はバランタインの考える
「熟成感」を出せる最低ラインが12年の
熟成期間である、と判断して作られた。
(まず味ありきという作り方。)

実際、ファイネストには最大8年熟成の
原酒を使ってブレンデッドがされてます。

で、あればバランタイン8年、10年と言う
ブランドがレギュラーとしてリリースされて
おかしくないのに出ている物は「12年」。

「ファイネスト」で切り捨てた熟成感の魅力を
バランタインが納得する味と品質で出せるのは
「12年」が最低ラインだったのだ、と。

そう考えると全てのつじつまが通ります。

・・・・・・などと色々考えるのもウイスキーの
楽しみ方の一つ、ではないでしょうか。

どちらも良く出来たウイスキーには
違いありません。これは事実です。

素晴らしい二つのウイスキーに乾杯。(笑)

ogotch | URL | 2017-03-19(Sun)23:22 [編集]


Re: ファイネストと12年。

> 「ファイネスト」は味と価格の最低線。
> 「12年」は熟成ウイスキーの最低線。

 そう考えると、納得が行きます。
 ファイネストも同クラスのスコッチの中では、かなり出来が良いですからね。
 12年と比べてしまった私が野暮でした。

 それにしても、12年のバランスの良さには、飲む度に感心させられます。
 ジョニ黒やシーバスリーガルより、間違いなくバランスが取れた良い味と思います。

 それにしても、ogotch様の的確なコメントには、いつもいろいろ教えられます。
 私にはogotch様のような論理的な分析が出来ず、つい長い駄文を書いてしまう悪癖があり、反省しているのですが、なかなか治らずに困っています。

黒沢一樹 | URL | 2017-03-22(Wed)14:57 [編集]


バランタイン12年は、水割りを念頭に開発され2003年に販売された新しいウイスキーなのです。それに対し、ファインネストは100年の歴史があります。
強いて言えば、12年の方が弟分なのです。もしかしたら息子なのかもしれません。
ファインネストと12年は方向性が違うのです。17年がファインネストの系統だと言われています。別物として楽しまれるといいかと思います。

| URL | 2017-07-19(Wed)22:26 [編集]


上記のコメントを書いた者です。

批判とかじゃないです。笑っ
ウイスキーの好みとか個人的に似てますし、記事の内容も楽しく読んでいます!
またウイスキーのレビュー楽しみにしています。

| URL | 2017-07-19(Wed)22:31 [編集]


Re: タイトルなし

> バランタイン12年は、水割りを念頭に開発され2003年に販売された新しいウイスキーなのです。それに対し、ファインネストは100年の歴史があります。
> 強いて言えば、12年の方が弟分なのです。もしかしたら息子なのかもしれません。

 それは知りませんでした。
 教えていただき、ありがとうございます。
 バランタイン12年の水割り、早速試してみます。

黒沢一樹 | URL | 2017-07-20(Thu)03:18 [編集]


Re: タイトルなし

> 批判とかじゃないです。笑っ

 批判だなどと思っていません。
 知らなかった情報、有難くいただきました!

黒沢一樹 | URL | 2017-07-20(Thu)03:20 [編集]