空と虹と恋と

 大好きな写真のこと、そしてゲームやコミックスの話から歴史&時事問題まで、思いつくまま雑多に語ってみたいと思っております。さらに筆者の度重なるイタい失恋話についても、どうぞ憫笑しつつお読み下さいまし。

割っても良いけれど、ウイスキーはまずはストレートで!

 ウイスキーを飲んでいて、時々疑問に思うことがある。
 日本人は、ウイスキーと言うと何故「割って飲むもの」と思い込んでいるのだろうか。

 一昔前までは、ウイスキーと言えば日本では水割りが当たり前だった。
 筆者が大学生だった頃、サークルの飲み会で先輩にウイスキーの水割りを作らされ、そして「濃い!」と叱られた事がある。
 ウイスキーの何倍もの水で割った上に更に氷を入れて、ほんの少しだけ味と香りのするとても薄くしたものをゴクンと飲むのが、かつての日本人のウイスキーの飲み方だった。
 そして今ではサントリーの宣伝攻勢で、「ウイスキーはハイボールにして、ビールのようにゴクゴク飲むもの」というイメージが定着している。

 だから酒と肴をテーマにした、酒飲みが主人公が漫画でも、ウイスキーと言えばハイボールで飲むのが当たり前になっている。
 例えば新久千映さんの『ワカコ酒』では、主人公のワカコは日本酒など他の酒については「この料理には、コレ」といろいろこだわるのに、ウイスキーはハイボールでしか飲まない。
 後藤羽矢子さんの『うわばみ彼女』でも、主人公は日本酒なら「吟醸酒より山廃が好き」と言い、30度の泡盛も割らずにそのまま飲んでしまうほどの酒豪なのだが、ウイスキーに関してはやはりまずハイボールなのだ。

 で、その『うわばみ彼女』の主人公が、スキットル(ウイスキー等を入れる金属製の小型の容器)のカッコ良さに憧れて、3巻に収録された第33話でようやくウイスキーをストレートで飲むのだ。
 が、スキットルで飲むべきウイスキーは何故か「アメリカの!! ちょっと安めの!!」と決めつけ、その安めのバーボンを空腹な状態で「グッグッ、プハ~ッ」と飲んだ揚げ句にお腹を痛くしてしまうのだ。
 そして彼氏が買ってきてくれたツマミを食べて一息つき、さらにウイスキーを水割りにして飲んで、主人公は彼氏にこう言うのだ。
「粋とかにこだわりすぎて、あたしたち背のびしすぎてたのかも…。あたしたちの身の丈にあった呑み方がいいのかも…」

 つまり日本では、ウイスキーは“うわばみ”といわれるような酒飲みでも割って飲むもので、ウイスキーをストレートで飲むような人間は、うわばみを越えたひどい酒乱という扱いになるようだ。
 そして筆者は、良いウイスキーはストレートで飲むのが一番好きだ。

 断っておくが、筆者は酒豪どころか自他共に認める下戸である。
 酒は日本酒なら盃一杯で顔が赤くなり、限度は一合だ。それ以上飲むと、本当に頭が痛くなる。
 ビールも350mlの缶一本が適量で、それ以上飲みたいとは思わない。
 そんなひどい下戸だが、それでも良いウイスキーはストレートで飲みたい。

 と言っても、ウイスキーをハイボールや水割りで飲む事まで否定するつもりは無い。
 ハイボールや水割りには、それなりの飲み易さがある。
 ニッカの創業者である竹鶴政孝氏も、普段はハイニッカを1:2の水割りで飲んでいたという。
 そしてハイボールにすると、酒齢の比較的若い手頃な値段のウイスキーでも、香りが立って良い感じになるのも確かだ。

 だが良いウイスキーをストレートで味わうことを覚えてしまうと、水や炭酸で割るとせっかくの味が薄まり水っぽくなってしまうように思われてならないのだ。
 それはもちろん、良いウイスキーは水で割ってもハイボールにしても美味い。
 しかし良いウイスキーはストレートの方がもっと美味いと、筆者は思う。
 酒齢の若い安価なウイスキーは、アルコールの刺激がキツ過ぎるから、水割りやハイボールにしなければ飲みにくい。
 だが良いウイスキーについては、割ってしまう前にまずストレートで味わってみて欲しいと思う。
 お得意の宣伝攻勢で日本人を「ウイスキーはハイボールで飲むもの」と洗脳したサントリーでさえ、山崎のシングルモルトの良いものについては「まずはストレートで」と言っている。

 日本人は、何故ウイスキーをストレートで飲めないか。
 それはズバリ、日本人は「酒はゴクゴク飲むもの」と思い込んでいるからだ。
 日本酒はアルコール度数16%くらいで、25%の焼酎ですら割って飲むことが多い。そして日本人に最も親しまれているビールとなれば、度数5%前後だ。
 つまり日本人は軽い酒をゴクゴク飲むことに慣れ過ぎていて、強い蒸留酒を味わいながらゆっくりチビチビ飲むことができないのだ。
 例の『うわばみ彼女』ではないが、度数40%かそれ以上のウイスキーをストレートのまま「グッグッ、プハ~ッ」と飲めば、かなりの酒豪でも喉を焼き腹を痛くしてしまって当然だ。
 で、ウイスキーも水で割って日本酒以下の度数にして飲むか、ハイボールにしてビールのように飲むかのどちらかにしてしまうのだろう。

 日本人は度数25%の芋焼酎や麦焼酎や米焼酎でさえ、割って薄めて飲んでいる。
 そんな日本人がウイスキーをストレートで飲むには、それなりのコツがあるのだ。
 度数40%のウイスキーは、長年樽熟成した高価なものでもアルコールの刺激はかなりキツい。
 だから日本酒やビールのように、ウイスキーをストレートでゴクリと飲んだら痛い目に遭う。高価なシングルモルトや長期熟成したブレンデッドでも、だ。

 日本人がウイスキーをストレートで飲む場合、まず「飲む」という意識を捨てた方が良いと、筆者は思う。
 飲むと言うより、唇を浸すという感じて味わうのがストレートで飲むコツだ。
 まずグラスに鼻を近づけて香りを楽しみ、唇をそっと浸し、僅かに口中に入った液体を舌の上で転がし、飲み下したら息をして残り香を楽しむ。
 そのようにして、30mlのワンショットを30分くらいかけるつもりで飲むのがベストだ。
 その一杯を飲む間に、時折チェイサーの水も飲んでアルコールの刺激で痺れた舌の感覚を戻すことも忘れないと、もっと良い。

 日本酒や、特にビールをゴクゴク飲むのに慣れた人には、イライラするくらい面倒に感じてしまうかも知れないが。
 一度これを身につけ、良いウイスキーのコクと深い味わいを知ってしまうと、割ったウイスキーは薄く水っぽくて物足りなく感じるようになってしまう。
 水割りの飲みやすさも、ハイボールが若くて安価なウイスキーの香りを引き出すことも理解はしているのだが。
 しかし筆者は、良いウイスキーはやはりストレートで味わいたいと思ってしまう。

 繰り返すが、筆者はかなりの下戸だ。
 それでもウイスキーは、良いものはまずストレートで飲みたいと思う。
 日本人は酒をゴクンと飲んでしまい、ゆっくりチビチビ味わうことを知っている人がとても少ない。
 ゴクゴクと飲むのではなく、一杯を30分くらいかけてゆっくりじっくり味わう飲み方を知る人がもっと増えれば、ウイスキーの本当の味わいを理解してくれる人も増えるだろうにと、とても残念に思う。

 ウイスキーをストレートで飲もうがロックで飲もうが、水割りにしようがハイボールにしようが、それは好みの問題だし個人の自由なのだが。
 ただウイスキーが度数40~50%で出されているのは、出荷する側が「その度数で飲むのが一番美味い」と思っているからであろうし、最初から割って飲むものと決めつけてしまうのではなく、ストレートの味も一度は試してみて貰えたらと思う。

 ストレートの濃い味と長い余韻を知ってしまうと、割ったものは薄く水っぽくて余韻も残らず、飲みやすいけれど物足りなさも感じさせられてしまう。
 とは言え、安いウイスキーは味と香りが足りない上に若いアルコールの刺激が強いから、水で割るなり、ハイボールにするなりした方が良い現実は否定シマセン。
 サントリーが「ウイスキー=ハイボール」と日本人を洗脳して角瓶を売りつつ、シングルモルト山崎の良いものについては「まずはストレートで」と勧めている現実が、ウイスキーの飲み方を如実に語っているように思える。

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コメント


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"NEAT"

Please drink Whiskey "NEAT".

From ogotch to Everyone.

【訳】
どうぞ「きままに」ウイスキーを
お呑みくださいね。

おごっちから皆様へ。

ogotch | URL | 2017-04-30(Sun)23:49 [編集]


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| | 2017-05-01(Mon)00:15 [編集]


Re: NEAT。

> ウイスキー自体、ストレートが
> 作り手側の想定している味です。

 日本人はお酒と言うとどうしても、日本酒やビールのように「ゴクッ!」と飲みたい、あるいは飲んでしまう人が多いですよね。

 まさに「釈迦に説法」ですが、ウイスキーはそもそも2~3回蒸留して60度ほどになったものを、加水して40~50度にして製品化しているわけで。
 と言う事は、やはりそのままストレートで飲むのが基本のように思えます。
 ただ安くて若いものだけは、割らないとアルコールの刺激がキツ過ぎますが。

 飲み方は人それぞれだから、水割りにしてもハイボールにしても良いとは思いますが。
 でもやはり、まずはストレートで味と香りをみてほしいですね。

黒沢一樹 | URL | 2017-05-03(Wed)16:42 [編集]


初めまして

初めまして。
2年前ほどから拝読させて頂いています。
サントリーのさつまいもポットスティルシングルグレーンウイスキーの話は面白かったです。
まっとうに作って出していたらうん十万円のプレミアムが付いたと思います。

私はストレート、ロックかスライスアップハイボールで飲みます。
ツワイスアップはウイスキーの糖アルコールを薄めてしまって辛口感が強調されてしまうのであまり好きではありません。(香りのテストには最適とされていますが…)
ハイボールは炭酸によって香りが出るのでアイラモルトの熟成年数が低いやつやジョニーウォーカーダブルブラックをシロップとして作ればめちゃくちゃ合います。

バーザム | URL | 2017-05-03(Wed)18:43 [編集]


安いウイスキーでもストレートで美味しいウイスキーは沢山ありますよ、もちろん駄目な物も中にはありますけど、、、
私はトワイスアップ以上だと物足りなくて、一気飲みとは言いませんが、早く濃いのを飲みたくて、対して味わいもせずに愛のない飲み方をしてしまいます。

しかし飲み会の居酒屋などで安いウイスキーをストレートで頼むと、わかってねーなー、安いウイスキーなんてストレートで飲んでも不味いだけだろー、みたいな事を言われる事がある訳です。それもウイスキー好きを自任される方から!

私も酒自体は苦手で、ビールも日本酒も一杯で真っ赤っか、一時間後にはその日の内に二日酔いで今度は真っ青、という有様で。

不思議な話ですが、ウイスキーだけは何故か人並み以上に飲めるのです。

しかしトワイスアップ以上に割ると、水っぽくて物足りず、愛のない飲み方をして結果悪酔い。ロックであればお腹が冷えてさらに悪い。

私はウイスキーが好きなんだー。けしてストレートでウイスキーを飲むハードボイルドな自分に酔っているわけではないのだー。

私のようなのはあまりないケースかもしれませんが、ウイスキー好きの方から、わかってねーなー的扱いを受けるのは辛い。

トリスとかは流石に私もストレートじゃ飲みません。てか、そもそも飲まない。でも、スコッチで、これはストレートじゃ飲めない、という酒に当たった事がありません。

ウイスキー通に聞きたい!ストレートじゃ飲めない不味いスコッチを教えてくれ!

‥ごめんなさい、八つ当たり的な乱文になってしまったかもしれません!ただ、ストレートのススメ的な記事のほとんどに、安い酒は割って飲むのも仕方ないけど、高い酒はストレートで飲め!みたいな。安いウイスキーをストレートで飲むのは素人みたいに受け止められそうな風潮があるんじゃないかなーという所に一言物申させていただきました。

のろっし | URL | 2017-05-13(Sat)01:32 [編集]


Re: タイトルなし

> 私はウイスキーが好きなんだー。けしてストレートでウイスキーを飲むハードボイルドな自分に酔っているわけではないのだー。
>
> ウイスキー通に聞きたい!ストレートじゃ飲めない不味いスコッチを教えてくれ!
>
> ストレートのススメ的な記事のほとんどに、安い酒は割って飲むのも仕方ないけど、高い酒はストレートで飲め!みたいな。安いウイスキーをストレートで飲むのは素人みたいに受け止められそうな風潮があるんじゃないかなーという所に一言物申させていただきました。

 そうですね、あえて言えばニッカがスコットランドで造らせているフォートウィリアム、アレはスコッチとは言いながら少々ヒドい、「割るのが前提で造ってるんじゃないか」と思わせるような出来でした。
 でもそれ以外は、たいていはストレートでも充分に飲めますね。
 特にジョニ赤など、「ジョニー・ウォーカーの中で唯一、割って飲む事も考慮されている」とも言われますが、ストレートで飲むのが一番良いように私個人は思います。

 そのジョニ赤も含めて、量販店では多くのスコッチに販促用のハイボール・グラスがオマケに付けられて売られていたりします。
 まるで「安いウイスキーは、ハイボールにして割って飲め」と言わんばかりです。
 確かにジョニ赤やホワイトホースなど、ハイボールにして割っても美味しいものもあります。
 けれど手頃な値段のスコッチでも、割ると味のバランスが崩れて不味くなったり、水っぽく物足りないものになってしまうものも間違いなくあります。

 私はウイスキー好きを公言していて、このブログにもウイスキーの事を度々書いていますが。
 その多くが、比較的安価なものばかりです。
 と言うのは、長期熟成した良いウイスキーは、美味いに決まっているからです。
 何年も樽熟成させた、それなりの価格のウイスキーに不味いものは無く、そこにあるのは個人の好みの問題だけです。
 その点、安いウイスキーは飲んでいて面白いです。
 国産の安いものの幾つかには話にならないほどヒドいものもありますし、スコッチも味と香りにかなり差があります。
 でも時々、安いのにとても出来の良いウイスキーに出会う事があり、その時の喜びは言葉にできません。
 例えば12年モノのスコッチなどはどれも安心して飲めますが、千円くらいのスコッチは「同じ値段で、どうしてこう違うのだろう」というほど味と香りに差があります。
 そこが、とても面白いところだと私は思います。
 少し前にリニューアルされたティーチャーズやホワイトホースの味が変わり、個性を抑えてハイボール向きにブレンドを変えてしまった事に気付けるのも、どんなウイスキーもまずはストレートで味を見てみたからだと
思っています。

「味や香りよりアルコールの刺激の方がキツいな」と思うと、ついトワイスアップ(ハイボールや薄い水割りは好きではないので…)にしてしまう私ですが。
 それでも「安いウイスキーにも、ストレートの方が美味しく飲めるものは間違いなくある!」と思っています。
 私ものろっし様のように、安いウイスキーももっとストレートで楽しんでみます。

黒沢一樹 | URL | 2017-05-17(Wed)17:02 [編集]


黒澤様
酔っ払いの絡み酒のようなコメントにご返信ありがとうございます。
フォートウィリアム、後学のために飲ませていただきますね!

インターネットは素晴らしいですね。コメントさせていただくのは前回が初めてだったのですが、これまでも、ウイスキーを飲みつつ、この酒を他の人はどう感じているのだろうと思い、銘柄で検索し。これまでも黒澤様の記事は何度も読んでいたのです。

言及されている自分が気づかなかった香りへの指摘を意識して注意深く飲んで、なるほど、と見つけることが出来たり、他の人はそう感じるのだな、なんて楽しみ方が出来ことに感謝しております。

その一方で、前回コメントさせていただいたようにその影響力に恐れを抱いてもいます。最終的には自分の判断基準を持たず、他人の感想を鵜呑みにしてしまう人が少なくないのだろうという。うまく言えませんがそういう時代なのでしょう。

黒澤様がこれまでも、まずはストレートで飲むことを提案、奨められていることも存じておりますし、それに大変感謝しております。

ただ、それを曲解と言いますが、そう言いますと今度は、最初の一口はわかるけどさあ、みたいな言い方をする、、、のもおります。

もちろん、読んだ余人の受け止め方、振る舞いまで責任持てるかよというのは当たり前だと思います。しかしその影響力というのは凄いな、と。

極論すれば、だったら私がブログを立ち上げて、水で割ったウイスキーなんて飲むのはニワカだ、邪道だと主張すれば良いのかもしれません
(笑)

いや、無理だな、私には黒澤様のように的確にウイスキーの良さを言葉にする事が出来ません。黒澤様のウイスキーの記事に感謝しています。
今後も楽しみにしております。

のろっし | URL | 2017-05-22(Mon)03:19 [編集]


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| | 2017-05-22(Mon)03:23 [編集]


Re: タイトルなし

> 黒澤様がこれまでも、まずはストレートで飲むことを提案、奨められていることも存じておりますし、それに大変感謝しております。
>
> ただ、それを曲解と言いますが、そう言いますと今度は、最初の一口はわかるけどさあ、みたいな言い方をする、、、のもおります。
>
> 私には黒澤様のように的確にウイスキーの良さを言葉にする事が出来ません。

 私などまだまだ未熟者で、本当に詳しい方々のような文学に近いような表現がどうしても出来ずにいます。

 つい最近もザ・フェイマス・グラウスをストレートで飲んで、「スコッチは安くてもストレートで美味しく味わえるものが多くて良いな」と感心したばかりです。
 ただ日本の二千円未満の安いウイスキーは、初めから割って飲む事を想定しているものばかりという気がします。
 あの角瓶など、ハイボールにして割りでもしなければ、とても飲めたものではありませんし。

 ただ、今じっくりのんでいる最中の白角が、なかなかの曲者でして。
 角瓶はストレートではアルコールの刺激がキツ過ぎますが、そのお仲間の白角はストレートでイケます。
 しかし濃い目に水で割ると、香りが伸び甘さやフルーティーさもより良くわかるようになります。
 メーカーも水割りを推奨していますが、白角はそういうウイスキーです。
 その白角について、近いうちに詳しく書きますね。

黒沢一樹 | URL | 2017-05-25(Thu)01:59 [編集]