空と虹と恋と

 大好きな写真のこと、そしてゲームやコミックスの話から歴史&時事問題まで、思いつくまま雑多に語ってみたいと思っております。さらに筆者の度重なるイタい失恋話についても、どうぞ憫笑しつつお読み下さいまし。

グランドキリン十六夜の月

 グランドキリン十六夜の月は、希少なカリプソホップとやらを使った限定醸造のIPAビールだ。

キリン・十六夜の月P1110255

 IPAことインディア・ペール・エール・ビールと言えば、赤道を通過するインドへの過酷な長旅に耐えるよう、ホップを増しアルコール度も高めにして造られたビールだが。
 ただこの十六夜の月の度数は5.5パーセントで、アルコール度はそれほど高くない。
 とは言うものの、ホップの苦味は普通のビールより確かに強い。
 このビールを他の日本のビールのようにキンキンに冷やし喉越しで「ゴクゴク、プハーッ」とやろうとしたら、間違いなく「苦ッ!」と思うだろう。

 が、これは喉越しで飲むべきピルスナータイプの、しかも糖質副原料を入れた薄いビールとは違う、じっくり味わって飲むべきエールビールなのだ。
 まずキンキンに冷やし込むのではなく、10~13℃くらいに程々に冷やして。
 そしてワインや良質な日本酒を味わうように、ゆっくり、じっくり味わってみてほしい。
 そうすればただ苦いだけでなく、その苦味の底にほのかな甘味や、ハーブ感のある爽やかな香りが堪能できる。
 苦いが、このビールの苦味はとても爽やかで心地良く、後味もとても良い。

 同じIPAビールでも、ヤッホープルーイングの“インドの青鬼”の方がより苦いし、ホップのハーブ感も強い。
 しかしその代わり、この十六夜の月にはフルーティーな甘さや爽やかさがある。
 インドの青鬼は「いかにもIPAビール」という感じだが、十六夜の月はIPAビールであるという事を特に意識せずに、少し苦いが甘くてフルーティーな香り高く味わい深いビールとして飲める。

 この十六夜の月は、飲み方によって味と香りが激変する。
 日本流に、キンキンに冷やして喉越しで「ゴクゴク、プハーッ」とやろうとすると、ただ強烈に苦いだけになる。
 しかし程々に冷やして少しずつ味わって飲むと、ほのかな甘さやフルーティーさやハーブ感が混じり合った、豊かな味と香りを楽しむ事ができる。

 このビールを何故キンキンに冷やしてはいけないか。
 それはキンキンに冷やすと、香りが薄れ甘味も感じにくくなってしまうからだ。
 十六夜の月をキンキンに冷やしてゴクゴク飲む人には、このビールの香りや苦味の下の甘味など、永遠に感じることができないだろう。
 この十六夜の月に限らず、香り高く味わい深い上質なビールはキンキンに冷やして喉越しで飲んではいけない。味も香りも台無しになってしまうからだ。
 キンキンに冷やして喉越しで「ゴクゴク、プハーッ」と飲むべきなのは、スーパードライのような味も香りも薄い糖質副原料(米・コーン・スターチ)入りの軽いビールや、発泡酒や新ジャンル酒のようなビール類だけだ。

 さて、この十六夜の月について、メーカーは「甘く熟した果実と柑橘の爽やかな香り」と謳っているが、確かにオレンジの香りと品の良い甘さを感じる。ゆっくり味わって飲むべき、本当に美味しいビールだ。
 確かに苦いが、ただ苦いだけでなく、苦さの中に豊かな香りと深いコクと旨味があり、さらに後味も良い美味しいビールだ。飲んでいて、何と心地良いことか!
 良質なクラフトビールにも負けない出来の良さで、大量生産が中心の大メーカーにもこんなビールが造れるのかと感心させられた。
 限定醸造でなく、ずっと造り続けてほしい良いビールだった。

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