空と虹と恋と

 大好きな写真のこと、そしてゲームやコミックスの話から歴史&時事問題まで、思いつくまま雑多に語ってみたいと思っております。さらに筆者の度重なるイタい失恋話についても、どうぞ憫笑しつつお読み下さいまし。

ハウスオブピアーズ

 ウイスキーを飲んでいて、つくづく思うのだが。
 ウイスキーの評価は、とても難しい。

 その日の体調によって、味の感じ方が変わるだけでなく。
 開封して何日か経つと味が変わるものもある。

 何しろウイスキーの原酒は、樽で何年も寝かせてあるわけだから。
 本来の味と香りを取り戻すにも、ある程度の時間が必要になってくる。
 開封後に空気と触れ合い眠りから覚めるまでに、何日かの時間を要するものが少なからずある。
 今回紹介したいハウスオブピアーズもまた、開封直後と何日か経った後で、印象が激変するタイプのウイスキーである。

ハウス・オブ・ピアーズP1110534

 ハウスオブピアーズは、千円程度で買えたスタンダード・スコッチである。
 裏のラベルには、「柔らかなスモーキーフレーバー、スパイシーでドライな余韻が続く洗練されたスコッチウイスキーです」と書いてある。
 しかし聞いたことの無い名前だっただけに、あまり期待せずに興味本位で買ってみた。

 キャップを開けると、まず甘い花の香りを感じる。
 が、味わいはライトで、そのせいかアルコールの刺激がキツめに感じる。
 スモーキーフレーバーは、「柔らか」どころか殆ど感じない。
 ラベルには「スパイシーでドライ」とあるが、確かに甘さは少なく辛口に感じる。
 と言うより、アルコールの刺激がとても強い。
 少しでも多く口に含むと、アルコールの刺激で口の中がピリピリする。
 インパクトはハニーな甘さだが、それもすぐにアルコールの強い刺激にかき消されてしまう。
 余韻もそれほど長くは続かず、「悪くはないが、値段なりの味」というのが、開封したその日の印象だった。

 そして開封して一週間ほど経つと、口に含むとまだ少しアルコールの刺激がキツくてピリッとするが、少しずつ嘗めるように飲むと、開封直後には感じなかったコクと深みを感じる。
 スパイシーでドライという印象は変わらないものの、その中に甘い味わいも確かに感じる。
 飲む時にはアルコールを少し強く感じるが、開封直後より間違いなく口当たりが良くなり、余韻も心地よく長く続くようになる。

 トワイスアップにしてみると、その気になるアルコールの刺激が殆ど無くなり味が丸くなり、さらに甘さをより強くなり、とても飲みやすくなる。
 ただコクと余韻は残るものの、ストレートで飲む時より明らかに減る。
 だからストレートで飲むべきか、トワイスアップにするか、迷ってしまう。
 ちなみに以前に飲んだグランツ・ザ・ファミリー・リザーブよりストレートでも滑らかで飲みやすい。

 さらにハウスオブピアーズを、ハイボールにして飲んでもみたが。
 ハイボールはまず甘く、そしてビターさも少しあり、スッキリしていて気楽にどんどん飲める。
 このウイスキー、ハイボールに合っていると思う。炭酸で何倍かに割っても、通常の水割りのように水っぽくならずに、炭酸がウイスキーらしい味と香りを引き出している。
 同じスコッチのハイボールでも、グランツ・ザ・ファミリー・リザーブのハイボールより間違いなく力強くて美味しい。
 が、ハイボールにしてしまうと、ストレートで飲んだ時のような味の深みと余韻は感じられなくなってしまう。
 ハイボールは飲みやすいが、筆者ならこのハウスオブピアーズ、出来ればストレートで飲みたい。

 以前、ハイボールに批判的な記事を書いた当ブログに、「自分はウイスキーではなく、ハイボールという飲み物が好きなのだ」とコメントして下さった方がいらしたが。
 それは至言で、ウイスキーを使ってはいるものの、ストレートで飲むウイスキーとハイボールは別物のように思う。
 ストレートで味わいながら嘗めるように飲むウイスキーと、炭酸の力で爽快感を出し飲みやすくしてゴクゴク飲むハイボールは別の飲み物だと、筆者は思う。

 さて、このハウスオブピアーズだが、開封して二週間ほど経つと、甘い香りと甘い味わいがより強くなり、その反面アルコールの刺激が減ってよりまろやかになる。
 味にコクもあるし、余韻もしっかり続く。
 トワイスアップもとても飲みやすいものの、こうなると余韻が弱く物足りなく感じてしまう。
 開封して二週間空気に触れさせた後では、「ストレートで飲むのが一番!」と断言したくなる。
 とは言え、トワイスアップでもハイボールでも美味しく飲めるのは変わらない。
 開封した直後は、「アルコールの刺激が強く、割って飲むのに適した値段なりの安ウイスキー」という印象だった。
 しかし開封して二週間以上経った今では、「値段の割に良いウイスキー」と自信を持って言える。

 ただ開封して半月以上経った今でも、ラベルに書かれている「柔らかなスモーキーフレーバー」は殆ど感じられないでいる。
 飲み比べてみれば、ジョニ赤の方がずっとスモーキーだ。
 筆者はスモーキーなスコッチが好きだから、ハウスオブピアーズよりジョニ赤の方が間違いなく好きだが。
 しかしスモーキー香を好まない方には、このハウスオブピアーズは良い普段飲み用のスコッチになるのではないかと思われる。

 それにしても、ウイスキーの味見は本当に難しい。
 開封した直後から華やかに香りの立つ、美味しいウイスキーもあれば。
 このハウスオブピアーズのように、開封した後に空気と触れさせ、何日も、いや半月近くも経たなければ本来の味と香りにならないウイスキーもあって。
 しかし残念ながら、どれだけ空気に触れさせても味も香りも良くならない、どうしようもないウイスキーもある。
 さらに国産某大手洋酒メーカーの安価なウイスキーもどきのように、開封直後こそそれらしい香りがするものの、日にちが経つと香りが逆に弱く消えそうになってしまうものさえある。

 開封して数日待つと香りと味がぐっと良くなるウイスキーが、間違いなくある。
 しかし「開封して日にちが経てば、どのウイスキーも香りと味がもっと良くなる」とも言い切れないから、ウイスキーの評価は厄介だ。

 それにしても、このハウスオブピアーズを開封直後の印象で、「アルコールの刺激がキツい値段なりの安ウイスキー」と決め付けて、ハイボールとかにして割ってガブガブ飲んでしまった人は、本当の味と香りを知る事ができなくてお気の毒様と言いたい。
 もし初めて飲む新しいウイスキーのアルコールの刺激がキツくて、味と香りに物足りなさを感じたら。
 諦めて割ってハイボール等にして飲み尽くしてしまうのではなく。
 それから一週間か十日くらいそのまま放置して、改めて味を見てみてほしい。開封され空気に触れてある程度の時間が経つことで、香りが蘇り味もグッと良くなるウイスキーも、間違いなくあるから。

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