空と虹と恋と

 大好きな写真のこと、そしてゲームやコミックスの話から歴史&時事問題まで、思いつくまま雑多に語ってみたいと思っております。さらに筆者の度重なるイタい失恋話についても、どうぞ憫笑しつつお読み下さいまし。

大失恋(51)・だから黒沢はまだ独り身デス

 卒業式までの日々は、本当に何もなく淡々と過ぎて行ったよ。あと僅かで離れ離れになる……って皆わかってたから、あえて揉め事を起こそうなんてヤツ、誰も思わなくてさ。
 それどころか、「別れ別れになる前に、ケンカした相手とも仲直りしておこう」なんて思う人達もいたくらいで。
 黒沢も例のオオタケくんとだけでなく、前は友達だったのにこの数ヶ月は険悪な関係のままだったツボタくんとも仲直りしたよ。
 とは言っても同級生全員とキレイに和解したワケでなく、アズサやマツオとは言葉一つ交わさない関係のままだったけれど。
 いくら卒業直前の仲良しムードの中でも「許そうとか絶対思えない相手」って、残念ながら現実には存在するんだよね。

 卒業の日を迎えた黒沢の気分は、何かとても複雑だったよ。
 U中やクラスに特に愛着も無かったから、式の日を迎えても胸が熱くなることも目が潤むこともなく。
 と言って、その春から始まる高校生活についても、成り行きに近い形で志望校を決めてしまっただけに、期待や希望も殆ど抱いておらず──。
 だから式の間も、クラスに戻って皆が別れを惜しみ合っている間も、明日から始まる春休みをどう過ごそうかって、そのコトばかり考えていたよ。

 実はその春休みに、リホさんとデートの約束もしていてさ。「隣の街に、映画を観に行こう」って。
 昔のことだし田舎のことだし、映画を含めて生徒だけで街に遊びに行くのは校則で禁止されていてさ。でも「卒業しちまえば、校則も何も関係ナイよね?」みたいな感じで、早速街に繰り出そう……ってわけデス。
 で、リホさんと観に行った映画が何だったかは、キレイサッパリ忘レマシタ。
 ただ隣の県庁所在地の市の一番賑やかな街を、女の子を連れて歩ける……ってのが、何かすごくオトナな気分で誇らしくてさ。

 高校は別々になってしまったけど、住む所まで変わったわけじゃないし、互いの家の距離だって徒歩で十分とかからなかったから。
 だから高校生になった後もリホさんとは電話し合って喋ってたし、時々逢ったりもしたよ。
 前にも話したように自分にとって一番大切な人は誰か、中学時代のいろんなゴタゴタを通してようやく悟ったからさ。ホントにバカ過ぎ&遅過ぎ……って感じだけど。

 黒沢が行ったS高では、文化祭は秋ではなく五月でさ。その意図は、まあ「文化祭などさっさと済ませて、三年生はすぐ受験に専念シロ」ってコトね。
 で、そのS高の文化祭に来てくれたリホさんに、思い切って告白しちゃたんだよ、「付き合ってほしい」って。
 結果デスカ?
 ハイ、あっさりフられちゃいマシタ。
 わかってるよ、「メシウマwww」って笑ってくれて構わないさ。だってアレだけ好き放題にやった挙げ句にグッドエンドになったりしちゃ、それこそ世の中間違ってるわな。

 フられた理由だけれど、ズバリ例のマツオ絡みの一件だったんだ。黒沢がオオタケくんとモメた後に、マツオの嘘を信じて酷い言葉で絶交を宣言してしまった、思い出すだけで自分を殴りつけてやりたくなるあの時の事ね。
 マツオの悪計が明らかになった後、リホさんは黒沢が誤解するに至ってしまった事情をちゃんと聞いて、「わかった」と言って和解してくれさ。だから黒沢としては、水に流して許してくれたものと思いこんでたんだ。
 けどよく思い出してみれば、リホさんはただ「わかった」と言っただけで、「許す」という言葉はまるで口にしてなかったんだよね。
 とりあえず和解は出来ても、黒沢が与えた傷はまだ消えずに心に残っていて、それに何より「私でなくマツオを信じたのが許せない」ってコト。
 ……うん、その言い分はわかる。悪いのはどう考えても黒沢なんだし、そう言われたら諦めて引き下がるしかないよ。
 それでもリホさんは、黒沢と友達でいることだけは止めないでいてくれたよ。だからその後も電話を掛け合って、時には逢ったりもしたけれど。

 でも告ってフられた(告られてフった)となると、前と同じ関係ではいられないよね。何となく気まずくて、電話して喋ったり会ったりしてもどことなく居心地ワルい、みたいな。
 それに同じ中学の同じクラスだった時は毎日会えるのが普通だったけれど、別の学校になれば顔も見られない日が当たり前に続くワケで。

 何しろ当時は、ケータイもメールも無い時代だったから。会おうにも、相手の家の固定電話(←当人でなく親が出る可能性が高い)でアポを取らなきゃならない始末だよ。
 自然に連絡を取り合う間隔が開くようになり、それより同じ高校で出来た新しい人間関係の方が優先されるようになってさ。
 夏休みの夏期補習中に、黒沢は隣のクラスのマイコさんと仲良くなって。色白小柄でいかにも華奢な感じの、絵を見るのも描くのも好きな芸術系の女の子だったよ。
 あと、引っ越してしまった幼なじみのマキちゃんとも、彼女が離れた市の女子高に進んだ後も連絡は取り続けていたし。

 けどね。
 繋ぐ糸がどれだけ細くなっても、「自分にはリホさんが一番!」って思いは変わらなかった。
 って言うか、他の女の子たちと比べれば比べるほど「やはりリホさんでなきゃ!」って気持ちになってしまうんだ。
 そしてリホさんもこんな黒沢を切り捨てたりせずにずっと“友”でいて、時々逢ってもくれてさ。
 で、高校三年の夏にデート(?)した時に、黒沢は懲りずにまた「付き合って」ってお願いしちゃったんだよ。
 答えっスか?
 今度もまたNOだったよ。
 理由も二年前に告った時と全く同じで、「だってキミは、あの時私を信じなかったでしょ?」って。

 男からすればさ、「何でそんな過ぎた昔の話で」って思っちゃうじゃん。高校の合格祝いに手縫いのプレゼントとか貰って、その後も電話し合ってデートもしたりしていれば、つい「コレって脈があるよね?」みたいに期待しちゃうよ。
 けどリホさんから見れば黒沢の反省はまだ足りなくて、リホさんの心の傷を全然癒せてなかったんだろうね。

 その時、別に「もう友達もやめよう」とか言われたワケじゃないけれど。だとしても二度も告白を断られれば、やはり近づきにくくなっちゃうよ。
 ちょうど時期的にも大学受験が迫りつつあって、それで中二の時に仲良くなってから初めて連絡を取り合わなくなっちゃってさ。
 ところが本命のB大の受験会場で、ドラマのように再会してしまったことは、以前の章で詳しく話した通りデス。

 何せ、あの頃の黒沢は若かったからね。
 宝くじに当たるのだって、冷静に考えればただの偶然に過ぎないのだけれど。
 たとえ何千分の一かの希な確率にしろ、たまたま二人の受験番号が連番で前後の席になったのを、「コレは運命に違いない、二人は赤い糸で結ばれてるんだ!」みたいに思い込んで舞い上がっちゃってさ。

「オイオイ、いつまで厨二病を引きずってんだよ!」って、今ならハリセンで頭の一つや二つ叩いてやりたいトコだけどさ。
 でも入試の後は原宿でデートして、表参道を見下ろせるカフェでお茶してとか、かなり良いムードのつもりだったんだ。
 別れ際には受かった後の再会も約束したし、黒沢の脳内は「リホさんと過ごすバラ色のキャンパスライフ」一色に染まってたんだよね。

 受かる自信はあったし、当日の手応えもそれなりにあって、脳天気にも落ちるとか殆ど考えてなかった。
 けど黒沢だけでなく、二人ともその大学に落ちてしまってさ。
 黒沢はそれでも滑り止めのC大には引っかかって、でもリホさんの方は全滅……ってやつで。
 そこでリホさんが下した決断は「全寮制の予備校に通って受験に専念するから、受かるまで誰とも連絡取らない」って。その代わり来春の再会を約束して、黒沢はちゃんと一年待ったんだけどね。

 でも約束の翌年の三月がほぼ終わりかけても、「受かったよ」って知らせはまるで来なくて。
 もしかして、今年もまたダメだった? そんな心配をしながら、ずっとずっと待ってたんだ。
 その時黒沢は大学の春休みを利用して地元に帰っていたのだけれど、また東京に戻らなきゃならない日が目前に迫ってしまってさ。それでたまりかねて、「連絡は受かってから」って約束を無視してこちらから電話してしまったんだ。
 そしたらね、リホさん、とっくに地元に戻ってたんだよ。しかも大学にも、MARCHレベルのトコにちゃんと受かってて。
 なのに約束の連絡をくれなかった理由は、「予備校で彼氏が出来たから」って。

 話が違う、って思いマスやん。
 受験に専念したいって言うから、逢いたい気持ちを我慢して期間限定のCOも受け入れたのに。
 でも実際は、その受験勉強しながら別の男とちゃんと恋愛してたじゃん、って。
 で、その彼氏が居るから黒沢など「もう消えてヨシ!」ってコトだよね。

 けど、恨むつもりは全然無かったよ?
 だってそれまで黒沢は他の女の子の間をフラフラしては、困るとリホさんを頼って散々迷惑かけてばかりだったもの。
 うん、だから長いこと待たされた挙げ句にスパッと切り捨てられるのも、それ以前のリホさんの気持ちを考えれば「当然の報いかな」って。
 ただ突きつけられた「黒沢など、リホさんにとって今はもう無用の存在なんだな」って現実が、ホントに痛かった。

 でもね。
 昔の自分のコトを思えば「この痛みにも黙って耐えて、リホさんの前から消えなきゃなんない」って、ちゃんとわかっていたから。
 だからそれ以来、リホさんとはホントに全く関わってないんだ。電話も掛けなければ年賀状の交換もしてないし、ただの一言も喋ってない。
 三年後の同窓会で再会した時も、斜め向かいの席になっても目も合わせなかったし、声をかけられても聞こえなかったフリをしたよ。

 つーか、その同窓会の時にはもう黒沢にも、東京で仲良くしてた女の子が複数いたからね。
 まず、銀座の夜の蝶のレイカさん。そんな人が何で貧乏学生などをかまう気になったかと言うと、何でも離れて暮らしてる弟が黒沢と似ていて、年もちょうど同じだったのだそうで。
 実際、レイカさんには本当のお姉さんみたいに優しくして貰ったよ。

 実在する姉のおかげで、姉キャラ全般に萌えられなくなってしまっている黒沢だけれど。それが実際に出来てみると、一緒にいてとても居心地が良かったっスよ、この“血の繋がらない姉”って。
 世のロリ好きお兄さん達が夢見る“血の繋がらない妹”って、現実には見返りナシに搾取されるばかりじゃん。けどお姉さん代わりになってくれる年上のヒトはその逆で、見返りを求めずただ優しくしてくれるんだよね。
 そのレイカさんとのことを思い出すと、複数の女の子が「お兄ちゃんになって!」って黒沢を頼ってきた気持ち、何かわかるような気がするよ。

 あと、ストリート・ダンサーのカオリちゃんって子とも仲良くしていててさ。一五〇センチもないくらいちっちゃくて、でも踊り始めると凄い躍動感で一瞬も目が離せなくなっちゃうんだよね。
 このカオリちゃん、色白で目パッチリで顔も可愛い上にロリ巨乳で、けど元はレディースの頭だったという、それこそ「猫のふりをした虎の子」って感じの子でさ。
 虎繋がりで『とらドラ!』で例えれば、「見かけは巨乳化させた逢坂大河で、普段は串枝みのりみたいに明るく元気、でも一旦キレると手乗りタイガーそのもの」ってトコかも。
 コミックス版の『とらドラ!』三巻に、大河がストーカーにキレる場面があって。詳しくは、その巻の第22話『小悪魔天使』をご覧下され。
 ……カオリちゃんって、キレたらあのレベルのコト、マジでやれる子だから。

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 同じ大学の誰かでなくそんな女の子たちとお近づきになってるだけで、黒沢がどんな大学生活を送ってたか、おおよそ想像がつくんじゃないかな。選んでいた学科も史学科みたいな堅いトコだったし、そりゃーもう学内では浮きまくりだったよ。
 ただカオリちゃんって実はかなりの苦労人で、普段はホントに優しいんだよ? ハッキリ言って、「女として好き」って言うより黒沢は彼女を人としてかなり尊敬していたよ。

 そうそう、こんな黒沢を「お兄ちゃん」と呼んで仲良くしてくれた四つ年下のアヤカと知り合ったのも、確かこの頃だったな。
 でもこのアヤカって、当時はまだJKだったけどハデ顔+長身ナイスバディで、バイトながら時々モデルの仕事もしてるような子でさ。
 ……自分より背の高い“妹”に「お兄ちゃん」とか呼ばれる心境って、ナカナカ微妙なものがありマシタよ?

 そのカオリちゃんや“血の繋がらない姉&妹たち”については、機会があればいつかまた詳しく書くとして。
 ただどれだけの女の子と知り合おうと、「リホさんを越える人にはまだ出逢えてない」って気持ちは、今に至るまで変わらないままなんだよねえ……。
 で、その後もいろんな女の子と出逢いと別れを繰り返しつつ、黒沢は未だに独身っス。

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