空と虹と恋と

 大好きな写真のこと、そしてゲームやコミックスの話から歴史&時事問題まで、思いつくまま雑多に語ってみたいと思っております。さらに筆者の度重なるイタい失恋話についても、どうぞ憫笑しつつお読み下さいまし。

大失恋(55)・過去になくした大事なものが、そこにある

 その『つよきす!』に比べて『_summer ##』の方は、ネットのゲーム好きの評価はかなり低くてさ。
 と言っても、別に「ココが気に食わない、ココも許せん!」みたいに、いろいろダメ出しされてるんじゃなくて。「可もなく不可もなく、ただ淡々と大した山もなく過ぎて行くだけ」と、叩かれるのではなくスルーされてる感じなんだよね。
 黒沢自身は楽しくプレイできたしかなり好印象だっただけに、「あっれー、おかしーなー」って首をひねってしまって、コレを書くにあたって改めてプレイしてみたんだよ。
 ……うん、ワカリマシタ。純粋にゲームを楽しむのではなく、採点モードの醒めた頭で再プレイしてみると、確かに「百点満点で六十点レベルの出来かナ」と思ったよ。

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(2007/10/04)
PlayStation2

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 肝心の『_summer ##』の概略を言うと、主人公は海辺の小さな町の高校二年生で父子家庭に育ち、でもその父は(こうしたギャルゲーのお約束通り)仕事の関係でなかなか帰れない……ってのが、まず前提で。
 主人公の父は、主人公がまだ幼い頃に同じバツ1子アリの女性と再婚するのだけれど、その相手(主人公から見れば継母)も数年前に亡くなってしまって。
 で、父の再婚相手の娘である義理の妹と実質二人暮らしをしているようなものなのだけど、その義妹にはなつかれている上に気の良い幼なじみ達にも囲まれ、明るく楽しく暮らしていて……。

 主人公を取り巻くキャラのうち、まず波多野小奈美は隣の家に住む幼なじみで、ズバリ「いかにもギャルゲーマ達ーが好きそうな、典型的なメインヒロイン」って感じの子。美人なのに大人しくて優しくて家庭的で、主人公の食事を毎日作りに来てくれて……ってヤツね。
 同じ幼なじみの海老塚信乃は神社の娘で、なのに小奈美とは真逆で活発で元気な子。けど祭りの時などには、巫女さん姿で家業を手伝うことも。
 幼なじみにはあと一人、船田治(通称フナムシ)っていう気の良いヤツもいるのだけれど、この男は当然攻略キャラではアリマセン。
 主人公を慕う可愛い妹の沙奈は小柄+童顔+ツルペタのある意味最強(?)コンボで、設定では一つ下なのだけれど、下手をすれば「小学生かよ!」って感じデス。かつ「メシマズで家事は“小奈美お姉ちゃん”に頼り切りな上に、朝も一人では起きられない」というポンコツさん担当でもアリマス。
 そしてその親友の天野千輪も小柄+ツルペタ+ツインテと、パッと見ると「ロリキャラ?」って思っちゃう。けど黒沢と同じクラスだったスワさんと同じで、物静かでありながらクールで芯が強くて時には毒も吐く、意外にスパイシーなコなのだ。あと、占いが好きでミステリアス担当でもアリマス。
 あと、攻略キャラとしては一つ上の純和風なお嬢さまの島津若菜と、主人公のクラスの担任でぽやんとした天然キャラ担当の七緒日向子先生の全部で六人、ってトコかな。

 で、改めて振り返ってみるとこの『_summer ##』で「すごく好き!」って思えたキャラ、意外なくらい少なかったデス。
 まずメインヒロインの波多野小奈美だけれど、黒沢から見れば「こんな男に都合の良い尽くす女の子、いるワケね~よwww」って感じでさ。
 彼女など、脳内で理想化した存在が居ればそれでOK……って人なら、こんなコにも充分惚れられるんだろうけど。現実の世界で恋愛もしていろいろ苦い思いをしてきた黒沢としては、小奈美のキャラにリアリティーを感じることが全然出来なかったよ。
 あと、イヤな事もイヤと言えずに「え……でもぉ……」とか言いながら主人公をチラッと見るみたいなトコも、「察してチャンかよ、面倒な子だな」なんて感じてしまってさ。

 ヒドいと思われるかも知れないけど、たとえ友達であれ彼女であれ、自分以外の人の気持ちなんて「わからない」のがデフォだから。
 だってDNAも同じでずっと一緒に暮らして来た親兄弟だって、何を考えているか全部わかるワケじゃないのが現実でしょ?
 うん、もちろん家族や親友や彼女の気持ちなら、言われなくても読める部分はあるよ? けどそれはあくまでも勘や推量であって、「こう思ってる」って顔に書いてあるワケじゃ無いからね。
 だから親兄弟や恋人同士でも、本当の気持ちはちゃんと言って貰わなきゃ正確には伝わらないんだ。

 ギャルゲーやラノベや萌えマンガって、その場の状況やら、それまでの流れやら、キャラの表情や仕草やらで、恋愛経験ゼロの喪男にも相手の気持ちが容易に読めるように作られてるんだよね。
 けど実際の恋愛では、相手の本当の気持ちってホントわかんないもんだよ。それでも男は単純だから、思ってることをついそのまま言ってしまいがちだけど、女の子は全然違うから。
 ずっとニコニコして「うん、ワタシもこれ大好きなの!」とか言ってて、だからそう信じ込んで安心してると、ある日何の予告もナシに「こんなの大っ嫌い! ずっとずっとガマンしてたの、何で気付かないの!!」とか般若の顔でブチ切れるみたいな事、女の子にはよくある話だから。
 ハイ、「経験者は語る」デス。このパターンを、黒沢は何度体験したかわからないよ。

 えっ、「それはオマエが鈍すぎるだけで、そうなる前にサインはちゃんと出されてた筈」って?
 いや、黒沢は決して勘が鈍い方ではなくて、複数の女の子に「女の子より気が付くよね」って言われてるくらいだから。
 ちなみにこの「女の子より気が付く」ってのは決して褒め言葉ではなくて、翻訳すると「男のくせに、女みたいに細けーヤツ」って言われてんだよ。
 そんな黒沢でも女の子の微妙なサインを読み切れなくて、この「いきなりブチ切れ」ってのを繰り返しやられてるのさ。
 それだけに、言いたいことも言えずにモジモジ……みたいなタイプ、黒沢はまず「面倒くせぇ女」って思ってしまうよ。

 だってさ、気持ちをちゃんと言わないからって、自分の意志を持ってないワケじゃないんだよ? ただ言わないだけで「これが好き」だの「こうしたい」だのといった望んでることはちゃんとあるんだ。
 で、ソレを察して叶えて貰えない分だけ胸の奥で不満が徐々に溜まっていって、「ある日ついに限界に達してドカーン!」ってなっちゃう。

 女の子に慣れてない男子ってさ、自分の気持ちや意志をハッキリ言う女の子は苦手だよね? 何か「コワいオンナ」みたいに思っちゃってさ。
 でも実際には違うんだよ。思ってる事はちゃんと言ってくれるコの方がいろいろわかりやすいし、何かあっても早いうちに対処できで楽なんだ。それに当人も心に不満を溜めにくいから、「いきなりブチ切れ」みたいな事にもなりにくいしね。
 リアルな恋愛で散々イタい思いをしてきた者として忠告しておきたいのだけれど、ギャルゲーのメインヒロインによくいる「いつもニコニコ優しくて、大人しくて女らしくて……」みたいなタイプって、実はかなり面倒な上にキレるとかなり怖いゾ。
 例えば『この青空に約束を』の羽山海巳みたいな子とか、その種の「一見おとなしそうでいて、勝手に我慢して黙って不満を溜めては、いつ爆発するかわからない地雷女」の良い(悪い?)見本にしか黒沢には見えないんだ。
『_summer ##』の小奈美はそこまで厄介なコでは無いにしろ、見ていて何かイラっときちゃう部分があるんだよねぇ。「言いたいことがあれば、ちゃんと言えや!」って。

 黒沢はリアルでも“血の繋がらない妹”が三人いたようなヤツなんで、ハッキリ言って妹キャラは大好物デス。
 けどね。いろんなゲームをするうち「何か違うな」って感じる“妹”が案外多くてさ。
 それで気付いたのだけれど、黒沢が好きな“妹”って元気で明るい系ばかりだったよ。反対に内気なオドオドさんや、子供みたいにべったり寄りかかってくるコは、どうもダメみたいで。
『_summer ##』で“妹”担当の沙奈もさ、ゲーム序盤では可愛いと思ったよ? けどストーリーが進むにつれて、コドモ過ぎる上にポンコツ過ぎて「何か面倒くせぇな」ってw。

 もう一人の海老塚信乃もさ、ポジションとしては明るく元気系なのだけれど、実態は強引かつ暴力系だし。
 黒沢は強気系の活発なコは好きだよ、けど基本「やられたら、忘れず覚えていてキチッとやり返す」タイプの人なんで、勝ち気で負けず嫌いな暴力オンナとはとおっっっても相性悪いデス。
 そうそう、勝ち気と強気は混同されやすいけれど実は全然違うモノなんだ……って事は、『つよきす!』の近衛素奈緒と霧夜エリカのトコロで話した通りだよ。

 あと、黒沢は実体験で「ぽやんとした天然&癒し系の女性などまず実在せず、99.9%は作ったキャラを演じてる養殖モノ」って知り尽くしてるから、日向子先生にはリアリティーを全然感じられなかった。
 それに六つも年上で、かつ何か頼りない担任教師を恋愛対象として見るとか、黒沢にはまず考えられなかったし。
 世の中にはさ、「初恋は女の先生」って男子も少なくないみたいだけれど、黒沢はどんな若くて美人の先生も、女と意識した事すら本当にナイな。
 ……ハイ、『僕らはみんな河合荘』の錦野真弓さんが言うところの“お姉さんセンサー”が、黒沢は恐ろしいほどニブいんデス。もう「メーターの針はいつもゼロに近い」って感じでね。

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宮原 るり

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 リアリティーを感じられないと言えば、一つ上のお嬢さまの島津若菜サンも「上流の暮らしに縁のない庶民が安易な想像で描いたお嬢さま像」って感じで、ドン引きしてしまいマシタ。
 大袈裟に浮き世離れさせた描き方とか、違和感はアチコチにあったのだけれど、厳しく育てられた純和風なお嬢さまが、ちょっと仲良くなっただけで「私を若菜と呼び捨てに……」とか言い出した時点でもうドン引きでね。

 ……うん、『_summer ##』のシナリオライターは例の「呼び捨て=親しみの表現」って思い込んでいて、「オンナはみな、男に呼び捨てにされたがっている」と固く信じてるんだろうね。
 けど黒沢は「呼び捨てにされたい女は性的にM系のヒトだけで、呼び捨て=人格無視のモノ扱いと感じてイヤがってる子の方がむしろ多い」って、実体験で知ってるから。それについては別の章で詳しく話してあるんで、良かったら目を通して下され。
 で、厳しく躾られていつも毅然としているお嬢さまが、年下の庶民の、しかも財産だけでなくいろんな意味で自分より低スペックの男子に「呼び捨てにされたい!」とか、マヂあり得ないデスから!
 ……それでも沙奈ルートや信乃ルートは、納得できない点は感じつつ、エンディングを見るまでとりあえずやり通したけれど。この若菜ルートは、まだ告白すらしてないのに例の呼び捨て希望の発言が出たところで、耐え切れずにそれ以上のプレイを放棄してしまったよ。
 そうそう、日向子先生についてはそれどころか、個別ルートに入る気にもなれませんデシタ。

 この『_summer ##』で黒沢が心から好きになれて楽しくプレイ出来たのは、よく考えてみると千輪ちゃん一人だけだったよ。
 妹の親友であるこの千輪ちゃんって、ズバリ「変なコ」としか言いようが無いデス。占い同好会の主催者で、普段は物静かなミステリアス系でさ。
 けど「自分の欲しいモノ」はしっかりわかってて、それを手に入れる為の行動もちゃんと起こすし、時には鉄の意志で“敵”を排除しちゃうし……。
『_summer ##』で強い子と言うと、つい信乃や川上由乃(←若菜お嬢さまの付き人)と思ってしまいがちだけど、本当の意味で強いのは間違いなく一つ下でロリボディのこのコだね。

 明るく元気なサバサバ系の女の子は大好きだし、仲良くなれちゃうのも早いよ。けど黒沢が結果的に一番長く付き合えているのは、実は「変なコ」だったりするのだ。
 元気な男の子みたいなコって、細かい事にこだわらないし裏表も無くて付き合いやすいんだけど、体育会系女子の率が高いからね。
 で、黒沢はその対極の「本を読むのが好き、美術館巡りするのも好き、将来なりたいものは写真家」って人間だから。さらに猫みたいに単独で我が道を行きたいタイプで、群れを作るのも集団行動も大嫌いだし。
 当然、体育会的な価値観を当然として生きてきた子とは、長く一緒にいればいるほどいろんな面で噛み合わない部分が目立ってきちゃうワケ。
 で、黒沢のようなヒネくれた変人とずっと付き合っていける相手と言うと、結局同類の「変なコ」になっちゃうんだ。

 こんな黒沢を三年もの長きにわたって見放さずに相手し続けてくれたシズカさんなど、その典型的なタイプだったな。
 絵を描くのが好きで、決して無口ではないのだけれど物静かで、けど自分の考えはしっかり持ってて、周りの皆が「Aだ」と言っても「私はBだと思う」って躊躇わずサラッと言えちゃうコでさ。
 で、皆に「変わってる」って言われても、「そーなんだよ、変わってるんだよ私」って笑って流してまるで気にしなくて、自分のスタイルは一ミリも変えないんだよ。
 このシズカさんだけでなく、黒沢と長く付き合ってくれる女の子って、みな同じように周りから“変わってる子”認定されてる芸術系のコばかりなんだ。
 で、その種の芸術系のコと長く付き合うほど、彼女らの「周りの空気にも流されず、世間の常識にも捕らわれない心の自由さ」が心地よくなっちゃってさ。
 だからか、ギャルゲーをやってみると黒沢は面白いほど“変なコ”に引っかかっちゃってマス。

ToHeart2 DX PLUS(通常版)ToHeart2 DX PLUS(通常版)
(2011/09/22)
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 ただ『_summer ##』で一番好きになったのが、アヤしい占い師の千輪ちゃん……ってだけでなく。
To Heart』で一番好きだったのは黒魔術使いの来栖川芹香先輩で、本来好きなタイプの筈の宮内レミィ(元気でおおらか)は次点だったし。
To Heart 2』の一番は宇宙人のルーシー・マリア・ミソラで、向坂環(サバサバ姉御系)も大好きだったけれど、結局ルーシーの次で。
はぴねす!』でも黒沢の“一番”は不幸を呼ぶ占い師(?)の高峰小雪先輩だったし、かの『シスター・プリンセス』に至っては、魔界の王の娘だった千影に、見事魔界に拉致られてたしwww。
 ……こうして見てみると、黒沢って年が上か下かに関係なく、変わってるというよりヤバい系のヒトに魂を持って行かれちゃいがちだよね。 このテのミステリアス系の変わったコさえ出て来なければ、まず間違いなく明るく元気なサバサバ系のコを真っ先に選んでるんだけど……。

はぴねす!でらっくす Best Collectionはぴねす!でらっくす Best Collection
(2007/09/13)
PlayStation2

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 改めてプレイしてみて感じた『_summer ##』の問題点って、ただヒロイン達の魅力が今一つパッとしないだけではなくて。
 ストーリーが無駄に長過ぎて、エンディングまで見るのに飽きちゃうんだよ。
 こうしたゲームで飽きてしまいやすいのは、無くてもストーリー上何の問題もない、主人公のダラダラな日常の描写(ギャグのつもりらしいけど全然笑えない、ただ退屈なだけの悪友との会話とか)って場合が殆どなんだけど。
 ところがこの『_summer ##』で、特に退屈で冗長と感じさせてしまうのは、何と告白後の二人のラブラブ&イチャイチャなんだ。
 ゲームだけでなくマンガでもドラマでも小説でも、恋愛モノって「両想いになれたら、それでメデタシメデタシでエンディング」って場合が多いじゃん。続きがあるとしても、まあ幸せに過ごしてる後日談をチラ見せする程度で。
 けどこの『_summer ##』は、両想いになれたその後がどのルートでも長い長い!

 うん、恋人同士になった後の話がかなり長いギャルゲーも、確かに幾つかあるよ。
 例えばこれまでも度々話題に取り上げている、メモオフ・シリーズの原点『メモリーズ・オフ』など、ある意味「両想いになれた後こそ本番!」みたいな感じだしね。カップルになるまでは、まあ長いプロローグ……ってトコで。
 今坂唯笑ルートでは、当て馬扱い同然の親友稲穂信クンの貴い犠牲wの上に、ようやく両想いになれた後も。主人公は亡き元カノの影を引きずり続けて、唯笑をひどく悲しませてしまうし。
 逆に音羽かおるルートでは、仲良くなれた後で元彼(主人公よりずっと大人で、大きな夢を追いかけている人)の影が見え隠れして……。
 そして伊吹みなもルートでも、重い病気を抱えていたみなもの体調が急速に悪化しちゃうし。

 けど『_summer ##』では、そうした「ようやく両想いになれた二人に、新たな試練と別れの危機が!」みたいな波乱も殆ど無いまま、ただイチャイチャ、ベタベタの日々が延々と続くんだよ。
 それでも相手のヒロインが大好きなキャラなら、それもニヤニヤしながら見ていられるよ?
 けど「とりあえずクリアしておこうか」と言った程度の、特に好きでもないヒロインのルートを最後まで見ようとすると、もう「コレ、何の苦行か我慢会だよっ」みたいな感じになっちゃう。「エンディング、マダー?」って、各ルートをクリアするまでに何度思ったかわからないくらい。
『_summer ##』の告白後って、マジでそれくらい何も起きない日々が続くんだ。

「だったら、両想いになれたところでゲームを止めればいいじゃん」って言われるかも知れないけど。
 もしコレがコミックスや小説だったら、確かにその通りさ。飽きたらそこで、ただ本を閉じればイイだけだよ。あるいは所々飛ばし読み、とかね。
 けどゲームは、ちゃんとエンディングまで辿り着いた上でセーブしないと“クリア”した事にならないからね。でないと、ゲーム後に作品の中で出たCGや名場面を見られるなどの“特典”が付かなくなっちゃうし。
 まあね、メインヒロインの波多野小奈美の場合は、その告白からエンディングまでの部分で「なるほど、そうだったのか」とわかる部分もあったよ。けどそれですら、「二人に別れの危機が!?」ってレベルの波乱では無かったし。

 こうして改めて振り返ってみると、『_summer ##』って「初めてプレイした時、どうしてあんなにイイと思えたんだろ?」と頭を抱えてしまったくらいだよ。惚れ込めるようなヒロインが少ないやら、シナリオもムダに長くて、特に告白後にダレるやらでね。
 で、いろいろ考えて気付いたのが、「このゲームの最大の(唯一の?)魅力は、作品のセカイに漂う“空気”なんだ」ってコト。
 片田舎の海辺の町で、幼なじみ達に囲まれながら楽しく過ごし、そして受験や進路の事もまだ本気で悩まずに遊んでいられる高二の夏に、生涯忘れられない恋をして……っての。

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(2005/08/25)
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 実は黒沢自身、保育所の頃から高校を卒業するまでの間を、似たような片田舎の海辺の町で過ごしてさ。それだけに『_summer ##』のセカイに、何とも言えない郷愁を感じてしまうんだ。
 いや、片田舎の海辺の町の夏の恋物語なら、他にもいろいろあるよ? 例えば『ラムネ』とか、『120円の春』の夏のストーリーとか。かの有名な『AIR』だって、そのカテゴリに分類出来そうなお話の一つだし。
 ただそのどれも、物語のセカイには主人公とヒロインしか存在しないような恋愛オンリーの話でさ。
 けど『_summer ##』ではただ彼女だけでなく、主人公の傍らには常に幼なじみの良い仲間達がいるんだ。
『つよきす!』ではスバル兄さんとフカヒレくんと蟹沢きぬが、幼友達の良い仲間として常に主人公の傍らにい続けて。
 そして同じように、『_summer ##』でも小奈美や信乃やフナムシ(船田治)という、幼友達の良い仲間たちがいて。

 18禁のエロゲに多い“ダメ男子高校生の主人公”について、黒沢は以前から繰り返し批判し続けているけど。ほら、例の「ネボスケでだらしなく、勉強がデキるでもスポーツが得意でもなく取り柄ナシのくせに、九州男児以上の男尊女卑で“女は男を立てるべき”と固く信じている上、周りの女の子たちを寒いギャグでからかっては悦に入ってる」ってアレね。
 もしそんなヤツが実在したらさ、リアル世界の女子たちにはまず間違いなくゴッキー同然に扱われて、フルボッコにされるってば。
 ……まあ、そんな魅力ゼロ(と言うよりむしろマイナス?)のダメ男子がモテモテ」って妄想を具現化して見せているからこそ、その種のギャルゲーは同じようなダメ男子のゲーマー達に熱烈に支持されてるんだろうけどね。
 で、その手のダメ男子高校生のダラダラな日常を描いたギャルゲーって、リアルな恋愛もして修羅場も経てきた者としては「少しも笑えないし、ただ退屈でバカバカしいだけ」でしかないんだよ。
 特にその日常の部分にギャグを「これでもか!」と詰め込もうとしたやつほど、スベってシラケてしまう結果になりがちでさ。

 けど『つよきす!』と『_summer ##』は、例外的にそのダラダラな日常が面白かった! 「さあ笑えや~!」って感じでわざとらしいドタバタ系のギャグをかましてくるのではなく、友との何気ない会話を聞いてるうちに自然に笑えて来ちゃうんだ。
 そう、力業で詰め込んだギャグで無理に笑わされるのではなくて、あくまでも自然に笑いが込み上げて来る……って感じ。同じ“笑う”のでも、この違いは大きいよ?
『つよきす!』はヒロインは個性的だしストーリーにも波乱アリと、魅力は他にもいろいろあるけれど。
 それに比べて『_summer ##』はヒロインもイマイチでストーリーは単調、なのに主人公とその仲間たちのまったりした会話だけで「いいなぁ~、この感じ」と思わされてしまったよ。

 舞台は黒沢がかつて住んでいたような、片田舎の海辺の町で。そして主人公の周りには、気心の知れた旧い友やかけがえのない女のコが居て。
黒沢が過去に無くした大事なものが、すべてそこにある
『_summer ##』を一言で表現するなら、ズバリそんな感じだったよ。
 ゲームの出来としては並レベルの凡作と、自分でもわかってる。けど黒沢の心には深く残った、忘れられない大切な作品なんだ。

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