空と虹と恋と

 大好きな写真のこと、そしてゲームやコミックスの話から歴史&時事問題まで、思いつくまま雑多に語ってみたいと思っております。さらに筆者の度重なるイタい失恋話についても、どうぞ憫笑しつつお読み下さいまし。

愛国心の“毒”

 毎日新聞にこの6月から、『いま靖国から』という記事が連載されていた。その6月12日の記事で、日本精神をゴスペルで発信する、石井希尚氏という和製ゴスペル歌手のことが紹介されていた。
 石井氏はゴスペル歌手である他、牧師でもあり、カフェも経営し、セミナー講師として八紘一宇や敗戦国の大和魂などについて語ってもいるのだという。
 石井氏がいろいろ手がける中で最も成功しているのが結婚相談で、氏が見るところ今の若い男女には、「自信を持てない人がおどろくほど多い」のだそうだ。そして石井氏によれば、「健全な自尊心があってこそ結婚も恋愛もうまくいく。その土台は日本人の誇りにある」のだそうである
 ……どうにもワカラン。大和魂とか八紘一宇の精神とかの古臭い皇国史観的な「日本は素晴らしい国だ、バンザイ!」みたいな国に対する誇りを持てば、それがどうして自分自身の誇りと自信に繋がるのか、黒沢にはよくわからないのだ。

 今の日本の若い男女に「自信を持てない人がおどろくほど多い」という事自体は、まあ確かなことかも知れない。
 たださ、そもそも“自信”ってのは、国とか民族とか愛国心とかの大きな何かに「持たせて貰う」のでなくてさ。個人と言うか自分自身の頑張りとその成果によって、自力で勝ち取るものだと黒沢は思うのだ。
 例えばサッカーがすごく巧いとか。
 あるいは勉強が出来て、トップクラスの成績で東大を卒業したとか。
 ノーベル賞を取るみたいな大きなことにしろ、学校で賞状を貰うレベルの小さなことにしろ。自信ってのはさ、その人が何か得意な事で頑張って成果を挙げて、それで周囲の人からも認められることによって得られるのが普通なんじゃないかな。

 でも“愛国心”ってのは便利なものでね。
 まず「日本人は優れた民族で、日本は素晴らしい国だ」って信じれば、自分が何も頑張ってなくて、何の成果も挙げてなくても、自分に根拠のない自信を持てちゃうんだよね。
日本人は優秀な民族で、日本は素晴らしい国=その一員であるオレ様も立派」って、傍から見れば我田引水に近いトンデモな理屈で。
 平たく言うとさ、何の取り柄もない底辺層のバカやクズや犯罪者に、そのバカでクズで犯罪者のまま自信を持たせてしまうのが“愛国心”なんだよ。

 アメリカは“自由の国”とは言うけれど、実際には人種差別は今も残っていてさ。
 で、その人種差別を一番する人達ってのは、どんな人達だと思うかな?
 それは“レッド・ネック”とか“ホワイト・トラッシュ”とか呼ばれる、ズバリ白人の底辺層のDQN達なんだよね。
 では何故その底辺層の白人が、最も人種差別に走るか。理由は簡単、彼らには誇れるものが「俺は白人である」という人種しか無いからだ。
 同じ白人でも、自分に地位や金や手に優れた技術があれば、何も人種の優越性などいった根拠の無い愚かな理論にしがみつかなくても自分に自信を持てる。しかしそうした誇れるものが自分に何も無い者は、「オレは白人サマだ!」と威張り、有色人種を見下すことにしか自身の存在価値を見いだせないのだ。

 そして愛国心も、まさにそれと同じなんだ。
 日本は素晴らしい国と信じ、自分もその一員だと思えばそれだけで“自信”を持てるでしょ? 石井希尚氏が愛国心や日本人の誇りを説いて「自信と自尊心を持て」と言うのは、そういう事なんだよ。
 愛国心と自分の民族への誇りを理屈抜きに持てば、何も頑張らなくて何の取り柄もない自分のままで、何かエラくなったような気になれるからね。そして同時に周辺の中国や韓国を、「どーしよーもない、駄目な奴らだ」と見下してさ。

 国や民族でなく自分自身に自信を持つのって、はっきり言って容易な事じゃないよ。だって人よりずっと頑張って、周囲の人達を納得させるだけの目に見える成果も挙げなきゃならないからね。
 これってすごく努力が要るし、とても大変なことだよね?
 でも“愛国心”で自信を持つなら楽チンだ。
「日本人は世界一優れた民族で、日本ほど素晴らしい国は他にない!」
 貴方がただそう信じさえすれば、その世界に冠たる日本民族で日本国民である貴方は、即座に自分に自信を持てる
のだ。貴方自身は何の努力もせず、個人としては駄目な奴のままでね。
 だからヒトラーなどの独裁者も自国民を「世界に冠たる支配民族」と洗脳し、ユダヤ人を迫害して。そして戦前戦中の大日本帝国も神国を自称し、大和民族の優秀性を主張して中国人や韓国(朝鮮)人を差別して来たよね。

 愛国心とか民族に対する誇りって、「持つな」とは言わないけれどマジで「取り扱い注意の危険物」なんだ。
 だって評価ってのは、そもそも相対的なものだよね? だから仮に「日本人は世界に並ぶもの無き優秀な民族なのだ!」と信じるとしたら、同時に「他の国の連中は遅れた駄目な奴ら」って思って見下すようになるのは必然じゃん? で、「だから我が国民が支配民族として、世界をリードして当然」と。

 例えばさ、中国人や韓国人だって悪い奴もいれば良い人もいるじゃん。と言うか、世界中どこの国でも、良い人だらけの国も悪党ばかりの国も無いことは誰だってわかっている筈だと思う。
 けど現にこの日本でも、ヘイトスピーチとか問題になってるし。そして週刊誌を見れば、多くが毎号のように中国&韓国叩きばかりしているよね。で、そういう記事を好んで読んでは「やっぱり中国と韓国の奴らは駄目だ」と納得して、我が日本の正しさと素晴らしさに改めて自信を持つ……と。
 ホント凄いよ、愛国心って。ただ持つだけで何の努力もナシに偉くなったような気になれるし、下等な他の国や他の民族どもを見下すことも出来てさ
 だから危険なんだよ、国家や民族に自信を持つことは。それでサミュエル・ジョンソンは、「愛国心は、ならず者の最後のよりどころ」と言ったわけデス。

 例えば個人でもさ、威張る人は嫌われるじゃん。たとえその人がいくら努力して偉くなったのだとしても、「このオレを誰だと思ってるんだ!」みたいな態度に出て特別扱いを強要したら、白い目で見られて人望を無くすよね。
 例えば黒沢は昔から国語と社会科が得意の文系人間で、数学は大の苦手だった。
 人ってさ、自分の得意なものを好きな人を高く評価して、自分の好きな科目が出来ない人は馬鹿にする人が多いよね?
 でも黒沢は自分の得意科目に自信を持つ反面、文系が苦手で数学ができる人もすごく尊敬してる。だってみんなが黒沢と同じ文系の歴史好きで、数学が出来る人が誰もいなかったら、世の中の文明はすごくイビツなものになって遅れてたと思うから。

 そう、人はそれぞれ自分なりに熱中できるものや得意なものを見つけて頑張れば良いんだよ。
 国語が好きな人も社会が好きな人も数学が好きな人も理科が好きな人も英語が好きな人も音楽が好きな人も美術が好きな人も技術家庭が好きな人も体育が好きな人も、皆それぞれ偉いし自分に自信を持つと同時に、互いに認め合って尊敬し合えば良い……って思ってる。
 自分が何かが得意だからって、自分だけが特別な存在と思って他を見下して威張る人は、皆から嫌われるよ。
 民族や人種もそれと同じで、誰もが自分の生まれて属している民族や人種に誇りを持つのは当然のことであると同時に、「特に優れた民族や人種など無い」ってことも理解しなきゃ駄目なんだよ。

 愛国心もそれと同じ。
 自分が生まれ育った国だから黒沢は日本を好きで愛しているし、「日本を出て海外で暮らしたい」なんて思ったこと、ホントにただの一度もないよ。
 でも中国人や韓国人だって同じように自分の国を好きで愛してるとわかってる。
 自分の国を愛する気持ちは世界中の誰もが同じで、日本と日本民族だけが特別優秀だなんて思うのは、ただ愚かと言うよりナショナリズムという、民族差別と戦争につながる危険思想のもとだよ
 だから黒沢は、人に自信を持たせるのに安易に愛国心や民族の誇りを利用しようとする人を軽蔑する
 中でも「愛国心を育てる為に、日本の良い面だけ教えて過去にした悪い事は教えるな!」と主張したがる文化人や政治家には、唾をかけてやりたいくらいの気持ちでいる今日この頃デス。
 だから黒沢は安倍政権や石原慎太郎氏や維新の会の面々や渡部昇一氏らは大嫌いだし、中條高徳氏が経営に関わっていた某社のビールも絶対に飲むつもりもないデス。

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