空と虹と恋と

 大好きな写真のこと、そしてゲームやコミックスの話から歴史&時事問題まで、思いつくまま雑多に語ってみたいと思っております。さらに筆者の度重なるイタい失恋話についても、どうぞ憫笑しつつお読み下さいまし。

姉はビミョー⑤・彼女が欲しかった

 物心つく頃から、黒沢は人間の悪意や愚かさをたっぷり見せられてきたから。おかげで人の善意や良心ってものに対する不信感が、心の隅にしっかり根付いちゃってるんだよね。
 だから周りの“敵たち”に隙を見せないように、黒沢は学校ではいつも強気に振る舞っていたよ。たとえ負けて相手に殴られる方が多くたって、それでも懲りずにしつこくやり返していれば、少なくとも「手を出すと面倒なヤツ」ってコトだけはみな気付くから。

 コレはものすごーく簡単なリクツ(と言うか現実)なんだけど。
 同じクラスにA君とB君がいて、キミはイジメっ子だとしよう。
 で、A君はおとなしく、殴ろうが蹴ろうが無抵抗で決して逆らわない
 一方B君は小生意気で癪に障るヤツだけれど、殴れば必ず殴り返して来る。本気で喧嘩をすればキミの方が強いのは明らかだけれど、Bは執念深く向かって来るヤツなんで、キミも間違いなく痛い思いをする。
 さて、もしイジメるならこのA君とB君、どちらにすると思う?

 普通は「面倒だからBは放っておいて、安心して殴れるAの方をイジメとこう」って話になるよね。このBの方に、よほど頭に来てない限りは。
 国と国との問題もそれと同じでさ、侵略されるのは「ろくに武装してなくて弱そうで、簡単に攻め取れそうだから」ってのが現実なんだよね。
 しっかり武装して「やられたら、必ずやり返す!」って明言してる国は、滅多に攻められないもんなんだよ。例の北の某国のように、かなりナマイキな態度を取ってもね。

「非武装中立でいれば、日本に攻めて来る国なんてどこにも無いし、日本は戦争に巻き込まれない」って正気で思ってる人たちって、ホントに“良いヒト”なんだろうと思う。
 でもその“良いヒト”たちって、「弱いヤツほど殴られやすい」って現実がわかってないんだよね。或いは薄々気付いているのかも知れないけど、自分の信じる理想論や性善説を守る為に、認めたくない現実から目を背けて気付かぬフリをしているとか。

 少なくとも黒沢の場合、「やられたら必ずやり返す狂犬」に徹底していたら、手を出して来るヤツもいつの間にかいなくなってたよ。
 それに黒沢はヒトのことをバカって言ってたけど、自分もバカになれるヤツだったから。心に暗いもの抱えてるくせに、周りの人を笑わせるのもけっこう巧くて、そのおかげで少数だけど友達もいたんだ。

 当時の学校は荒れていて、だからその分だけイジメも今ほど陰湿ではなく直接的でさ。気に入らないヤツがいれば、「クラス全員を巻き込んで、皆に一人を責めさせる」ってんじゃなくて、当人たちがガンをつけて殴りに来る……って感じだったからね。
「空気を読め」みたいな強制も、今ほど強くなかったし。
 だから孤立を恐れず「やられたら必ずやり返す!」ってノリで強く生きてれば、案外何とかなったんだよね。周囲から浮いた存在でいる事に耐えて、皆に合わせて群れてるより、一人で居る方が気楽でイイや」って思えれば

 けど本音を言えば、黒沢も寂しかったよ。本当の自分を理解してくれる誰かが、欲しくて欲しくてたまらなかった。それこそもう、ホントにたった一人で良いから。
 女優の葉月リオナさんが、以前ある雑誌のインタビューでこんな事を言っていてさ。「自分のことを判ってくれている人が一人でもいれば、十人のうち九人が敵でも構わない」って。
 それには黒沢も、心から共感したよ。

 人間なんて皆バカばっかりで、ホントのことを見抜ける人なんて殆どいない。親戚にも教師らにも同級生たちにも、その現実は嫌という思い知らされていたから、周りの人間になど殆ど何も期待して無かった。
 ただその分、恋人と言うか“彼女”って存在に対する期待と思い入れは、すごく強かったと思う。
 同級生でもただの友達でもない恋人なら、「黒沢のことをちゃんと見て、ホントのことを判ってくれるだろう」って、そう信じていたんだよ。
 世界の皆が敵でも、自分のことをちゃんと理解してくれる彼女が一人でも居れば、黒沢は胸を張って生きて行ける。黒沢はそう思っていたよ。
 でもその期待は、残念ながらメチャ甘過ぎたんだけれどね。


 いつも強気で、周囲の人には弱い所は絶対に見せないでいた黒沢だけど、好きな女の子にだけは、姉との葛藤や「出来損ないの弟」と言われ続けてきた苦しみを洗いざらい話したよ。例の“ホントの自分”を判ってほしい一心でね。
 けど本音を打ち明けたどの子にも、決まってこう言われたよ。「それって、立派なお姉さんに対するコンプレックスとしか思えないんだけど」って。
でもあたしは黒沢クンのお姉さんのこと、尊敬してるから
 話を全部聞き終わった後で、キッパリそう言い放ってくれた子も居たし。
 ま、現実なんてそんなものデスよ。

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