空と虹と恋と

 大好きな写真のこと、そしてゲームやコミックスの話から歴史&時事問題まで、思いつくまま雑多に語ってみたいと思っております。さらに筆者の度重なるイタい失恋話についても、どうぞ憫笑しつつお読み下さいまし。

姉系はビミョー⑦・人を見る目などアテにできません

 ……とは言うものの、いくら心の中に「オレはダメなんかじゃねーゾ」って確信があっても、親戚や教師やクラスの皆に「出来損ないの弟」って言われ続けて育つのって、精神的にかなりキツいよ。子供の頃のことを思い出す度に、「よくグレて非行に走ったりしなかったもんだ」って、自分でもよく思うもの。
 白状しマス、非行に走りはしなかったけれど、性格はかなり曲がって育ちマシタ人の善意とか世間の良識とか、そんなモン今でも全然信じてないしね。

 性善説と性悪説ってあるけど、黒沢の人間観は性悪説に近いデス。だからNHKの連続テレビ小説みたいな、「みんな良い人ばかりでホントに悪い人なんて誰もいなくて、主人公の善意に動かされて周囲も含めて何もかも良い方向に転がって行く」って感じの話は、チラ見するだけで胸くそが悪くなってくる
 って言うか、ドラマでもマンガでも、いわゆるハートウォーミングと言われるストーリー、黒沢はまともに見ていられないんだよ。綺麗ごとで塗り固めた、甘っちょろい与太話にしか思えなくってね。
 こんな曲がった性格の黒沢は、ブラック系のシニカルな笑いが持ち味の新井理恵さんって漫画家さんが大好きでさ。その新井理恵さんの『ろまんが』に、だいたいこんな感じの台詞があるんだよ。
「いろいろあって苦労した末に結果として良い人間になった人は、良い環境で良い人たちに囲まれて真っ直ぐ良い人になった人に、生理的な嫌悪感を抱く」
 ……わかる。この感じ、黒沢は本当によくわかるよ。

ろまんが (1)ろまんが (1)
(2004/06/25)
新井 理恵

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 こんな黒沢でも、二年ほど役所勤めをした事があって。その時の上司に、M月って上司が居てさ。
 そのM月を一言で表現すると、体育会系のイヤな部分を寄せ集めたような男だったよ。部下の面倒は何一つ見ず仕事も教えず、それでいて些細なミスを見つけ出しては、嫁をイビる姑のようにネチネチと苛め抜く……という感じでね。

 けどこのM月という男、役所のエラい人達には「すごく良い人」で通ってるんだ。それは体育会系らしく先輩には絶対服従で、エラい人には犬コロみたいに(犬を愛する皆さん、喩えが悪くてスミマセン)尻尾を振って媚び媚びだから。
 さらに酒が好きで、飲むことでも上司に取り入っていて、だからアルコールが苦手で飲みたがらない部下も嫌いで、後で仕事で苛めるんだよね。
 あと、商業高校が最終学歴っていうのがコンプレックスなのか、大学出の部下も目の敵にするんだよ。仕事上の事で何かお伺いを立てても、「オレは知らん」と突き放し、それでいてその仕事の結果については難癖つけて、「大学出てるのに使えないヤツ」って馬鹿にするのも好きなんだ。
 いやー、こんな人間を「犬コロみたい」だなどと言ってしまって、ホント犬に対して失礼過ぎだよね。世の中のお犬サマ達、ゴメンナサイ。

 ほら、子供を虐待する親の場合も、怒鳴ったり叩いたりすれば周囲にもすぐわかるけれど、ネグレクトや言葉での精神的な暴力だと、なかなか発覚しにくいでしょ?
 M月の場合もそれと同じで、部下を苛めてるのは事実なのだけれど、決して怒鳴らず暴力も振るわず、無視して突き放した上で、仕事の結果にネチネチと難癖をつけてくるものだから、その部下イジメ(パワハラ&アルハラ)が外からは見えにくいんだよね。
 で、酒の付き合いは仕事より大切にする上、先輩や上司には媚び媚びだから、「M月はとても良いヤツ」って、役所の上役連中は皆心から信じていたよ。
 イイ年をした、それも肩書きのある立派なお役人さま達の“人を見る目”でさえ、まあそんなものなんだよね。

 だから黒沢が中高校生の頃に出逢った大人達や、ましてやまだ十代半ばのコムスメだった女の子達に、「ホントの自分を判ってほしい」なんて期待する方が、土台無理な話だったんだよね。今になって、よく考えてみれば。
 会社では優しく頼れる人当たりの良い上司が、実は家ではとんでもないDV亭主だった……みたいな話も、世の中にはホントにザラにあるわけだし。
 ただ顔だけでなく、上辺の振る舞いや喋り方や雰囲気なども含めれば、「人は見かけが九割」ってのは、ホントに事実だろうと思う。
 だから周囲の皆に、姉の二面性が見抜けなかったのも、ごく当たり前の事だったんだよ。

「心を開いて話せば、人はみな解り合える」なんて、綺麗事の大嘘に過ぎなくてさ。相手の本当の姿など、実は誰もわかってないものなんだ。
 最も身近な存在で最も心を許せる筈の女の子でさえ、姉の外面を本当の姿と信じ込んで、黒沢のことは「立派な姉にコンプレックスを持つ弟」としか思ってくれなかった。悲しいし寂しいけれど、これが現実ってものなんだよね。

 だから中高校生時代の黒沢は、地元を離れたくて離れたくて仕方がなかった。
 姉は高校を卒業後、地元の国立大学(旧帝大ではないけれど、けっこうレベルは高い)に進学してさ。しかも法学部だよ?
 で、親は出来れば黒沢にも地元の大学に行って欲しかったようだけれど、黒沢は「東京の大学に行く」って頑として言い張り続けたよ。

 当時の黒沢には、「写真家になりたい!」って夢があったから。だからその為にも、「高校を出たら東京に出たい」って思ったのだけど。
 でもそれと同じくらい、「姉が居ない所に行きたい!」って気持ちが強かったんだ。
 姉のことを知る人が誰も居ない土地に行けば、もう誰も姉と比べたりしないで本当の黒沢を見てくれる。そう思って頼れる人など誰一人いない東京に、それはもう期待で胸を膨らませて張り切って行ったんだよね。
 で、今度こそ“本当の自分”をわかって貰えるに違いないと、いろいろ張り切り過ぎた挙げ句に、イタい失敗を散々繰り返してしまうのだけれど、まあその話はまた別の折に……ってコトで。

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