空と虹と恋と

 大好きな写真のこと、そしてゲームやコミックスの話から歴史&時事問題まで、思いつくまま雑多に語ってみたいと思っております。さらに筆者の度重なるイタい失恋話についても、どうぞ憫笑しつつお読み下さいまし。

昭和の写真少年④・キラわれても…

 黒沢の場合、高校時代は殆ど写真のコトしか考えてなくてさ。部活も迷わず写真部入って、学校にも殆ど毎日カメラを持って行っていたよ。
 カメラって、もちろん通学用の鞄の片隅に入るようなコンパクト・カメラなんかじゃなく、大きく重くてかさばる一眼レフさ。

 と言ってもキヤノンやニコンはあえて選ばす、愛用してたのはオリンパス……ってのが、ヒネクレ者の黒沢らしいところなんだけどね。
 こんな奴だから、後にカメラの電子化が進むと時代に逆行するように、クラシック・カメラの世界の泥沼に深~くハマってさ。しかも「一番好きなのはライカでもコンタックスでもなく、フォクトレンダー」という、廃人レベルの偏屈者になってしまうのでアリマス。

 で、夏休みや冬休みなどにはいつもバイトに励んでは、新しい機材を買い込んでさ。そして高校生の間に一眼レフ2台(OM-1OM-2)と交換レンズを4本(35mm・50mm・85mm・200mm)揃えちまったよ。
 学校の写真好きの先生でもここまで持ってた人は少なくて、随分羨ましがられたりもしたけれど。
 何しろ当時の黒沢は、「日大芸術学部写真学科に進んで、必ずプロの写真家になってやる!」って、本気で思ってたからね。だからこれくらい持っていて当然と言うか、「まだアレもコレも欲しい!」って感じだったよ。

 黒沢が車の免許を取ったのは大学生になってからだけど、その教習所でたまたま、同じ高校だったハナイくんと合って。
 学年は同じだけれど、同じクラスになった事は一度もナイ。
 仲が悪かったわけではないけれど、口をきいたことも殆どない。
 顔は覚えてるし名字もわかるけれど、下の名前は知らない(←忘れたのではなくて、そもそも聞いたことさえ無かった)。
 ハナイくんと黒沢ってのは、まあそんな関係で。
 けどそーゆーお互い他に知り合いの居ない場所で出合えば、「よお!」とか声をかけ合って喋ったりするよね。
 そのハナイくんに、黒沢はこう言われたんだ。「黒沢くんって言うと、いつもカメラを持ってた印象があるなあ」って。
 高校時代の黒沢って、そのくらい写真に熱中してたんだよね。
 だから校内では皆の写真係って感じで、卒業アルバムに使う写真も、先生から頼まれて撮っていたくらいだよ。

 高校1年生だった時、同じクラスだったトモミさんって美少女に、黒沢はナゼか嫌われて敵視されていてさ。
 ずっと気づかぬフリして知らん顔して過ごしたけれど、美少女、それも強気系でクラスの女子のリーダー格の子に、あからさまに無視されたり避けられたり陰口言われたり……ってのは、まー、かなりツラかったね。

 いや、「ツンデレ?」とかじゃねーよ。中二病をかなり長く引きずったイタい少年の黒沢も誤解しようもないくらい、ガチで嫌われてたんだって。
 ただ夏休み中の補習授業で、クラスは違うけれど同じ学年のマイコさんって子と知り合ってさ。そのマイコさんが仲良くしてくれていたものだから、それを心の支えに何とか耐えて生き抜いたwwwと言うか。
 それに2年生になる時のクラス替えで、例の天敵のトモミさんとも別のクラスになれたんで、すっきりサッパリ生き返って。ただ残念ながら、マイコさんとも同じクラスにはなれなかったんだけどね。

 まー、進級した黒沢の入れられたクラスってのが、素行か学力のどちらかに問題アリの生徒ばかり集めた、問題児の吹き溜まりみたいなクラスだったから、それも当然と言うか。何たって他のクラスには“極道クラス”と呼ばれて、他のクラスの皆さんからも怖がられて避けられてたし。
 一応殆どの生徒が四年制の大学に行く進学校だったんだけど、黒沢のクラスにだけはリーゼントのツッパリ(死語w)の生徒がフツーにいたりしてね。
 まっ、もし今だったら“DQNクラス”ってとこだろうね。

 そんなクラスにナゼ黒沢が放り込まてしまったのかは、今もって納得いかないトコロだけど。
 でもその極道クラス、中に入って馴染んでみると案外居心地が良くてさ。だって他のクラスの皆が受験に目の色変えて、「合格判定ランクを上げなきゃ!!」って焦ってる最中にも、「どーせ俺たちゃバカだし、見捨てられてる落ちこぼれだし」って居直って、皆で好きに遊びまくってたからね。
 そして先生たちも、ウチのクラスには何も期待して無かったし。「他の真面目な生徒たちに悪影響を与えないよう、ただ隔離しとけばイイ」みたいな扱いでさ。
 その「勉強まるでやる気ナシ」の落ちこぼれクラスで、黒沢は心行くまで写真を撮りまくって過ごしたわけデス。
 遠足とか体育祭とか何か学校行事があると、もうごく自然に皆の写真係みたいになっていて。で、仕上がった写真を皆に見せては、欲しい人には実費で焼き増ししてあげていたよ。

 黒沢の高校って、ナゼか文化祭より体育祭の方が派手でさ。それでクラスごとにユニフォームを作ったり、入場行進もかなり気合いの入れた仮装行列で練り歩いたりしてたんだ。
 その仮装行列に賭ける皆の情熱ってのが、もうハンパじゃなくてね。

 例えば男子も含めて、クラス全員がセーラー服で行進するとか(←ちなみに黒沢の高校の制服は、男女ともブレザー)。
 帽子から足元まで幼稚園児の制服(←高校生に着られるサイズなどあるワケもなく、モチロン体格に合わせて自作)で、「横断中」の黄色い旗を振りながら行進するとか。
 ……中には大きな黒枠の額に入れた担任の体育教師の似顔絵を先頭に、クラス全員で喪服姿で頭を垂れて行進したクラスもあったな(←自作の位牌や棺桶もアリ)。
 当時は秋葉原もただの電気街で、まだ“オタク”だの“コスプレ”だのって言葉すら無かったけれど。黒沢の高校の体育祭の仮装行列は、それはもうコミケのコスプレにも負けないくらいの凝りようだったよ。
 
 けどその派手な仮装を見慣れた皆も、黒沢が3年の時のあるクラスの女子たちの衣装には目を剥いちゃったよ。
 妖精さん
 いやマジだって。フワフワでヒラヒラの白い衣装に、髪に大きな花を飾って、手には魔法少女みたいなバトン(スティック?)を持って……って感じで。

 いや、その衣装そのものは、とても可愛かったんだけどね。
 ただ何しろ“妖精さん”でしょ? 例の白の衣装は薄いし下が微妙に透けてるっぽいし、裾も「股下5cm?」って際どさで、事実歩いて裾がヒラヒラした拍子にパンツがチラッと見えちゃう子もいたよ。
 だから彼女たちが入場して来た時、みんな息をのんで会場は沈黙に包まれてさ。で、暫く経った後で「おぉ……」って呻くようなどよめきが上がったよ。
 まっ、黒沢は当然、喜んでガン見したりする代わりに、愛機のシャッターを押し続けたけどね。

PM-A890 029-3

 で、その体育祭の後で撮った写真を皆に見せて、いつものように焼き増しの希望も集めたのだけど。例のクラスの、妖精さんの仮装のやつも含めてね。
 そしたら妖精さんたちwの半分くらいが、自分が写ってる写真の焼き増しを希望してきてさ。クラスも違うし、一度も喋ったことも無いような女の子たちが。
 そしてその女子の中には、あのトモミさんまでいたんだ。ほら、「一緒のクラスだった時には黒沢のことを嫌ってて、あからさまに避けたり嫌がらせとかもしていた」っていう……。
 うん、その時のトモミさんは確かに妖精さんの仮装行列をしたクラスにいて、写真を見直してみたら彼女もちゃんと写っていたよ。
 正直言って、コレはかなり嬉しかったね。

 プロのモデルとかアイドルとかならともかくさ、普通の女の子だったら、よく知らない男子や仲良くない男子に写真なんか撮られたくないのが普通、だよね。
 それどころかトモミさんは、黒沢のことをあからさまにキラってたんだよ。
 そして撮られた姿も、透け具合とか裾の長さとか、いろいろ際どい部分もある衣装でさ。
 普通だったら「キモっ!!」って思うだろうし、「勝手に撮ってんじゃないわよ、ネガをよこしなさいよ!」とかキレられかねない状況だよね。
 けどトモミさんはそうじゃなくて、黒沢が撮った写真を「欲しい」って思ってくれた。
 これって、黒沢の写真に賭けるキモチだけは本物……って認められてた証拠だよね?


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