空と虹と恋と

 大好きな写真のこと、そしてゲームやコミックスの話から歴史&時事問題まで、思いつくまま雑多に語ってみたいと思っております。さらに筆者の度重なるイタい失恋話についても、どうぞ憫笑しつつお読み下さいまし。

幼なじみ⑪・『インタールード』は誰が何と言おうと良作デス

 で、黒沢が強力にプッシュしたい作品が、これまで繰り返し名前を挙げてきた『インタールード』なんだ。

インタールード(ベスト版)インタールード(ベスト版)
(2007/03/01)
PlayStation2

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 邯鄲の夢、って言葉があるよね。ある青年が、茶店で飯が炊けるのを居眠りしながら待つ間に、自分が官吏の試験に合格して出世して死ぬまでの一生分の夢を見てしまう……という、人生の儚さについての故事なのだけれど。
 そこまで極端ではないにしても、夢の中で過ぎた時間って、実際に寝ていた時間とは同じではないよね。「寝ていたのはほんの数時間、でも夢の中では何日も過ぎていた」なんて事、キミらも経験あるのではないかな?
『インタールード』はまさにその“邯鄲の夢”のゲーム版のようなもので、「今の自分の人生は、もしかしたら別の世界の、違う誰かが見ている夢なんじゃないか?」みたいに思わせてくれる秀作だよ。
 なのにこの『インタールード』の評価が高くないのは、キャラ萌えしにくい事に尽きると思う。

 確かに『インタールード』はまず世界観がわかりにくい上に、いろいろ説明不足だよ。主人公たちの世界を蝕む影の世界のことも、パンドラ計画とやらのことも、最後までよくわからないまま話が終わってしまうしね。だからゲームレビューでも、実際そのコトでよく叩かれてマス。
 けど説明不足で解りにくいのに人気の高いアニメやゲームって、幾つもあると思うけど。例えば『エヴァンゲリオン』とか、『水月』とか。
 実際『エヴァ』の人類補完計画だの使徒だのネルフだのゼーレだのについて、「よくわかるし、キチンと説明できる人」ってどれだけいるかな? 少なくともただテレビのアニメ見ただけでは、ホントいろいろチンプンカンプンだゾ。
 黒沢がプレイした『水月』はプレステ2版の方だけど、掛け値なしにすごく面白かった。ゲームの冒頭からその世界に引き込まれてしまって、完全クリアするまで毎晩やり続けちゃったよ。
 ただ『インタールード』と同様に、「回収されないままの伏線」とか「よく解らないまま終わった謎」って、『水月』にも幾つもあるんだよね。
 重要なキーポイントとして取り上げられている筈の隠れ里やサンカの問題は、消化不良のまま中途半端に終わってしまっているし。重要な秘密が書き残された日記があるらしい、事故で入院中の父親の机の引き出しも、最後まで鍵がかかって開かないままだし。

『水月』は個人的にもかなり好きなゲームだし、詳しくはまた別の機会に語りたいと思うけど。それでも突々きたければ突々ける重箱の隅が、『水月』には幾つもあるんだよ。
 その『水月』と較べてみて、『インタールード』の出来が劣っているとは、黒沢にはどうしても思えないんだよ。黒沢としてはむしろ、『水月』より『インタールード』の方が好きなくらいだし、より大人向きの良い作品だと思ってるんだ。
 でも二次好きの人達って、「謎を謎のまま放置してわかりにくいから」と『インタールード』は叩く一方、『水月』や『エヴァ』の謎はすんなり受け入れて絶賛するんだよね。
 その扱いの差はズバリ、ヒロインにキャラ萌えしやすい子が居るかどうかの違いなんだよ。

 例えば『エヴァンゲリオン』ならアスカやレイを見ているだけでも(少なくとも男子は)楽しいし、『水月』なら雪さんを見て「メイドさんハァハァ」とかやってられるしね。
 キャラの点では『水月』はマジでスゴいって。まずメインヒロインは黒髪色白病弱のミステリアスな美少女で、それに美人で優しいメイドさんドジな眼鏡っ子元気な幼なじみ、かてて加えておそらくJCであろう双子の美少女(ツンデレ&天然系)、さらにJSと推察されるロリっ娘まで居るんだもの。
 全方位スキ無しって言うか、ゲイと熟女好きとデ○専を除く、殆どの男子が萌えられるキャラがズラリと配置されてるんだよね。特に二次好きでなくたって、「オレ、この子好き!」って娘が必ず一人は見つかると思う。
 あ、そう言えば『エヴァ』のアスカとレイも、最初から14歳のJC……って設定だったよな。あと、地味に人気のあった委員長もね。
 まっ、ミサトさんに関しては、彼女らの倍くらい生きてるアラサー女性だけど。

 でもって『インタールード』は、そーゆーキャラ萌えできる部分が殆どねーんだなコレが。
 まず攻略できるヒロインが、たった三人しか居ないし。
 二次のセカイに縁のない人にはピンと来ないだろうけど、ギャルゲーでは主人公であるプレイヤーと恋愛関係になれるヒロイン(←いわゆる攻略対象)が、少なくとも五人はいるものでさ。ヒロインが八人だの十二人だのと、恋愛関係になれる相手がもっと居るギャルゲーも決して珍しくないしね。
 幼なじみ、姉系、妹系、天然系、ドジっ子、ツンデレ娘と、属性ごとにヒロインの数を増やして行けば、プレイヤーのストライク・ゾーンにど真ん中のコが見つかる可能性が高くなるし。そして二次好きのファン達って、萌えられるキャラさえいれば、ストーリーその他の多少の難には目をつぶって買ってくれちゃうから。
 裏を返して言えば、「攻略できる相手が少ない」ってことは、「プレイヤーの好みのキャラが見つからない危険性も高くなる」ってコトでもあるんだよね。

 で、たった三人しかいないその『インタールード』の貴重なヒロインのうち、まず一人目は例のダメダメな幼なじみのタマだし。
 そして二人目の丸藤泉美サンも美人で巨乳なお姉さんなんだけど、コレがまたタマとは違う面でいろいろ残念なお方でさ。
 端的に言えば23歳の公務員なんだけど、まず仕事はいい加減、さらに頭も弱めで、ガードもユルいときてる。と言っても悪い人じゃないし、むしろお人好しなくらいで、ビッチというほどでもないんだけど、隙があり過ぎで危なっかしいんだよね。
 もしうっかりこのヒトを嫁になどしようものなら、「グータラな専業主婦になって、いろいろワガママも言われた上に、放っておいたら浮気もされそう」って感じだよ。いろんな女の子と付き合って、痛い目にもイヤと言うほど遭ってきた黒沢の経験と直感が、そう警告してるのでアリマス。

 だからかこのダメOLの丸藤泉美サン、ゲームの中ではタマに毛嫌いされていて、「何か薄ぎたな、って感じ」と罵られてたりするし。
 タマさんは何しろ一部では“ケモノ系”とも呼ばれてるだけに、そーゆー危機に対する動物的な直感だけは鋭いんだよね。
 そして最後のメインのヒロイン和辻綾はかなりの美形(黒髪ストレート)で、タマや丸藤サンとは違って名門の女子高に通う真面目でしっかりした子なんだけど、ただ「しっかりし過ぎ」なんだよね。
 化け物が徘徊する異世界の無人の街で、女の子なのにただ一人で化け物と戦い続けているんだよ? それだけに眼光鋭く人も寄せ付けない雰囲気で、とても萌えるどころではアリマセン。
 ゲーム後半になればね、この綾サンにも可愛い部分がいろいろ見えてくるよ。でもそれまでは、本当にもうストイック過ぎて取り付くシマもない……って感じなんだ。

 で、この『インタールード』でキミが選べる恋のお相手は、結局この三人しか居ないワケで。
 ①ダメダメな幼なじみ(貧乳)。
 ②巨乳だけれどいろいろユルいお姉さん。
 ③とっても無愛想で近寄り難い女子高生。
 さあキミ、この中の誰に萌えるかね?
 だから攻略できないサブキャラの三枝睦月(素直で可愛いJC)や木村千佳(ホワンとしていて優しいタマの友達)の方が、どのヒロインよりずっと人気がある始末だよ。

 コレについてはまた別の機会を設けて語るつもりだけれど、一部のギャルゲーには“攻略順”っていう厄介な制約があったりするんだよね。
「A子も攻略可能なヒロインの一人なのだけど、まずB美を攻略して一度クリアした後でないと、どうプレイしても攻略できない」みたいな感じの……。
 その種の攻略順のあるゲームって、黒沢は基本的にどうも好きじゃないんだ。事実その攻略順のせいで、ギャルゲーマーに大人気のさるゲームを、途中で嫌になって一人も攻略しないまま放り出してしまったこともアリマス。

『インタールード』には、その攻略順っていう面倒で鬱陶しい制約はないよ。ポンコツな幼なじみでもダメダメOLでも、あるいは戦う孤高の女子高生でも、お好きな順に攻略して行けるよ。
 でもその攻略順が決められて無いことが、『インタールード』に関してだけは裏目に出ているような気がする。
 と言うのは、『インタールード』の三人のヒロインには、それぞれ分担しているセカイがあってね。で、どの順に攻略して行くかで、プレイした後の印象がガラリと変わってしまうんだ。

 ざっくり言うと、幼なじみのタマがごくフツーの日常の世界で、戦う女子高生が日常を侵食されている別世界、そしてダメダメOLの丸藤さんがその中間の世界という構成になっていて。
 ネタバレ気味の別な言い方をすれば、和辻綾の世界こそ真の世界で、タマの世界はその崩壊の危機が迫る世界で主人公が見ている夢、そしてその中間が丸藤さんの世界とも言えるかな。

 でさ、それぞれのヒロインのルートで、同じゲームとは思えないほど雰囲気が違うワケ。
 和辻綾のルートでは、謎の異世界で不気味な化け物に追われるホラーとバトルの混ざった話で。それがタマのルートだと、異世界も化け物も一切顔を出さず、ごく普通の日常を描いた学園恋愛モノのままエンディングを迎えるんだよ。
 で、その中間の丸藤さんのルートは、異世界や化け物が時々顔を出すし、杉浦という怪しげな男も出て来るし、丸藤さんの勤務先の役所でパンドラ計画という謎のプロジェクトが推進されている事も知るワケ。でもこの丸藤さんとのグッドエンドを迎えても、謎は謎のまままるで解明されないで残っちゃうんだよね。

 結局この『インタールード』の世界の魅力を完全に味わい尽くすには、キャラの好き嫌いに拘わらず、「タマ→丸藤さん→和辻綾」の順で攻略して行かなきゃダメなんだ。
 そうすれば「まずタマのルートで日常の他愛もないけれど楽しい学園生活を味わい、丸藤サンのルートでその平凡で当たり前な日々の暮らしを脅かすものがあることに気づき、そして和辻綾のルートでパンドラ計画の意味と、目の前の現実がいかに危うくて脆いものかを知る」って感じに話が進んで行くんだよね。

 百歩譲って「丸藤サン→タマ」という順で進めて行っても、まあそれほど支障はないと思う。けど和辻綾ルートの攻略は、絶対に最後まで残しておかなきゃダメだから。
 なぜなら和辻綾のルートで、不気味な異世界を見てパンドラ計画の全貌(と言うより半貌?)も知ってしまった後で、タマと他愛なくかつ楽しい学園生活を送っても、ただ虚しいだけになっちゃうから。そして丸藤サンのルートで中途半端な謎をチラつかされても、「答えをもう知ってる謎を、今さら出されたってね……」って感じでさ。
 とにかくこの『インタールード』は、どのヒロインのルートからでも話を進められるシステムになっているに拘わらず、和辻綾ルートの攻略をラストに持って行かないと、後がすごくガッカリになってしまうんだよ。で、「何だよこのクソゲー、金返せコラ!」って感じになっちゃう。

 でも逆に言えば、「タマ→丸藤さん→和辻綾」って攻略順で行きさえすれば、現実が異世界に侵食されて行く恐怖、夢と現実の境界がわからなくなる恐さをたっぷり味わえて、「すっごい良作じゃん!」って思えるんだけどなー。 ストーリーに多少の無理や謎のままの部分があろうが構わないと言うか、むしろその未消化でよくわからない部分が、『エヴァンゲリオン』と同じで「雰囲気を盛り上げている」みたいなくらいでね。
 個人的には、黒沢は『エヴァ』や『水月』よりこの『インタールード』の方が好きだし、より熱中できたくらいだよ。
 今でも評価の高い『水月』は、黒沢も間違いなく熱中できる良作ゲームだと思う。ただ完全クリアした後は、また改めてやってみようという気にはあまりならなかった。
 でも『インタールード』の方は、完全クリアした後も繰り返しプレイしているよ。お気に入りの大好きな本を、何度も読み返すようにね。

 黒沢がそう思うのは、多分黒沢が二次キャラしか愛せない人ではなく、現実の恋愛を何度かしてきているからだと思う。
 って言うか、この『インタールード』そのものが、二次元のキャラに萌えたいオタには向いてないんだよね。
 まずヒロインの数が普通のギャルゲーの約半分で、その貴重な三人のうち“幼なじみ”担当のタマはかなりのポンコツでダメダメでさ。
 そして“お姉さん”担当の丸藤サンは、タマの言葉を借りれば「薄ぎたな……って感じ」だし。この丸藤サンの人物造形そのものは、他のギャルゲーのキャラよりずっとリアルなんだけどね。

 ジャケ絵から見てもストーリー的にも、メインヒロインは残る和辻綾だと思うけど。
 無口で無愛想な美少女の和辻綾に、ギャルゲーや萌え系のマンガやラノベに慣れた人の多くは、多分ツンデレを期待しちゃうんじゃないかと思う。
 けどね、和辻綾はいわゆるツンデレとはちょっと違うんだよ。
 まず“ツン”の部分も、テンプレ的な「好きの裏返し」でも「お嬢サマ育ちゆえの高慢」でもなく、ただ「異世界の中で、ただ一人戦っている」って置かれた状況のせいだし。本来の性格としては、むしろ良家のしっかりした女の子だよ。
 そしてラスト近くになっての“デレ”の部分も、ずっと一人で頑張ってきた子がやっと理解して受け入れてくれたパートナーにめぐり逢えた時の、心の底から自然にこみ上げてきた嬉しさで、萌えのデレとはやはり違うんだ。

 けどゲームでもマンガでもラノベでも、キャラで売ってる作品って、人物造形がマンガ的に誇張されてパターン化されてるじゃん。非オタが醒めた目で見れば「こんな女の子いるワケねーだろ、馬鹿みてぇ」みたいなね。
 だからそのテンプレ的にカリカチュアされたツンデレを求める二次好きのオタ達は、和辻綾にすら萌えられないと思う。
 で、ストーリー的にも謎のままで終わる未消化な部分もあるものだから、「何コレ、ワケのわからんクソゲーじゃん」と。
 それにキャラの絵自体がリアル系で、キレイなんだけど萌え系の絵とはちょっと違うしね。

 って言うか、この『インタールード』はまずストーリーに重きを置いた作品なんだよね。だから作品の世界に浸るよりただ萌えを極めたい人には全然向かないし、そういう人達にボコボコに叩かれているんだと思う。
 誤解して欲しくないけれど、黒沢は『エヴァンゲリオン』や『水月』を「オタ向けの萌えキャラ作品」とディスるつもりは全然ないよ。
 だって『水月』は完全クリアするまで毎晩やり続けたし、『エヴァ』もテレビ放送分は全話見て録画もバッチリしたしね。さらにアスカはただ好きという以上に個人的にかなり感情移入しちゃったし、『水月』の雪さんや双子の姉の方などもすごく好きだよ。
 ただ黒沢個人の価値観として、『インタールード』の方がそれ以上に好きだし出来も良いと思う、ってだけの話デス。

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コメント


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文章が上手でとても興味が湧いた
中古で購入してプレイしたいと思います

| URL | 2015-05-23(Sat)01:01 [編集]


Re: タイトルなし

> 文章が上手でとても興味が湧いた
> 中古で購入してプレイしたいと思います
 コメント有難うございます。
 文章が上手いなど、とんでもない。いつもだらだらと無駄に長く書き続けてしまう事に、自分でも呆れています。
 でも殆ど注目されていませんが、『インタールード』は今の中古価格なら大変お買い得ですよ!

黒沢一樹 | URL | 2015-05-29(Fri)23:18 [編集]