空と虹と恋と

 大好きな写真のこと、そしてゲームやコミックスの話から歴史&時事問題まで、思いつくまま雑多に語ってみたいと思っております。さらに筆者の度重なるイタい失恋話についても、どうぞ憫笑しつつお読み下さいまし。

「政府は国民を騙すもの」と知るべきだ

 あの愚かで避けるべきであった先の大戦が終わった時、多くの大人たちは「騙された」と言った。
 それに対し、映画監督の伊丹十三氏は「騙されたと言って平気でいる人は、また騙されるだろう」と言った。
 また、終戦後に「国民を騙さない政府を作ろう」と口々に言った大人たちを、当時まだ少年であった数学者の森毅氏はシビアな目でこう眺めた。
「アホ言うな、と思いましたよ。政府は騙すもんよ。騙さへん政府なんか不可能よ。騙すもんやと思って、騙されへんように考える方が大事でしょ。国民はねえ、騙されへん用意をせなあかん

 政府は騙すもの。
 全くその通りである。
 例えばオリンピックを招致した際に、安倍首相が世界に公言したあの台詞、「福島原発は完全にアンダーコントロール云々」というアレが全く嘘であることは、殆どの日本人がわかっているだろう。
 あのように白々しい嘘を平気でつけるのが、政府と政治家というものである。
 明白な侵略戦争を「自衛の戦争」や「民族解放の為の戦い」と称したりするのもまた、政府の常套手段なのである。

 にもかかわらずその事を全く理解出来ずに、日本が起こした先の戦争を、当時の大日本帝国の軍事政権のプロパガンダそのままに、「自衛の戦争」だの、「アジアを白人支配から解放する為の戦い」だのと正気で公言している人達が、一部のネトウヨどころか、学者やジャーナリストの中にすら増えている。
 雑誌では右翼系のオピニオン誌ばかりが勢いを増し、新聞やテレビ局の中にすら報道の精神を自ら捨て去り、安倍政権の広報同然の存在に成り下がっているものが幾つもある始末だ。
 森毅氏の言う「政府に騙されない用意」をするどころか、自ら進んで政府に騙されたい人々が増えつつある今の日本の現実に、筆者は絶望に近い気持ちを抱いている。

 安倍首相と言えば、例の「福島原発は完全にアンダーコントロール云々」に匹敵する嘘をついて今も国民を騙している。
「アメリカ様について行き、その戦争に協力いたしましょう」というあの安全保障関連法を、「平和安全法制」と称しているアレである。

 政府は「平和の為にアメリカとより密接な関係を結ぶのだ」と言う。
 そしてそれを素直に信じて安全保障関連法に賛成している国民が、少なからず存在するのが現実だ。
 安全保障関連法に賛成する人達は、決まって中国の脅威を口にする。
 で、「中国から守って貰う為には、日本もアメリカの戦争にも協力しないと」と。

 そう考える人達は、日米安保条約というものをまるでわかっていないのだ。そして「日本はアメリカのお情けで、一方的に守っていただいている」と誤解している。
 そしてその挙げ句に、アメリカに見捨てられたくない恐怖感から、「もっと尽くしますから、どうか捨てないでクダサイ!」と袖に縋って哀訴している。
 その情けない姿こそが、政府の言う平和安全法制の実態なのだ。

 中国の脅威を口にして安保関連法に賛成する人達は、安倍首相が敬愛するお祖父サマの岸信介氏が首相在任時に改定した日米安保条約で、「日本施政権下の領域におけるいずれか一方への武力攻撃に対しては共通に対処・行動する」と定められている事実をご存知だろうか。
 もし日本が攻められたらアメリカも共通に対処・行動すると、ちゃんと決められているのだ。
 そしてアメリカの現政権は、尖閣諸島も日本の施政権日にあると明言している。
 だから何もわざわざ新たに安保関連法などを成立させ、自衛隊を差し出してアメリカの戦争に協力する約束などしなくても、もし中国が尖閣諸島などに武力で攻め込んだら、共に対処し行動する約束になっているのだ。

 日本やアメリカには“安保タダ乗り論”を口にする者たちがいる。彼らは日本が、まるでアメリカにタダで守ってもらっているように思っている。
 例の安保関連法も、そうした発想から出たものであろう。「日本がいざという時にアメリカ様に守っていただく為には、日本もアメリカ様の戦争に協力して戦っておかないと」とね。
 だがちょっと待ってほしい、日本は決してアメリカにタダで守っていただいているわけではなく、日米安保条約の為に日本が今現在もどれだけの対価を払っているか、皆さんはご存知だろうか。

 まず日本は、米軍基地の提供費(借地代)を出している。それだけでなく“思いやり予算”というやつで、今では光熱費や水道料や基地従業員の手当などの駐留経費まで、日本が国民の税金から支払っているのだ。
 その金額は、今年度で基地用地の借地料が1826億円、そして例の思いやり予算なるものが1899億円で、合わせて3725億円になる
 こうした駐留米軍の経費の負担割合は、他国と比べても日本は飛び抜けて高いのだ。
 ドイツは32.6%で韓国は40%であるのに対し、日本は74.5%にも達しているという。
 金額で言うと米軍一人につきドイツや韓国は約2万ドル負担しているのに対し、日本は何と10万ドルも出している
 駐留米軍の光熱費や水道料、さらには基地内の娯楽施設で働く従業員の給料まで国民の税金から支払っている国は、日本以外には殆ど無いという。
 そこまでして駐留経費の約四分の三も日本が負担しているのに、「タダで守っていただいている、だから日本もアメリカの為に戦わねば」と本気で思う日本人は、それこそ“自虐”が過ぎるというものだ。

 で、日本がそれだけの経費を払ってまで駐留していただいている米軍だが、彼らは果たして日本を守る為だけに居て下さっているのだろうか。
 例えば沖縄の基地がかつてベトナム戦争の遂行に役立った事は、筆者より年輩の全共闘世代の方々ならよくご存知だろう。
 日本の米軍基地はただ日本を守る為だけでなく、アメリカの為にも役立って来たのだ。
 アメリカが太平洋で制海権と制空権を維持出来ているのも、横須賀基地などに原子力空母を持つ米第7艦隊が駐留出来ているからだ。

 ついでに現在沖縄に駐留しているアメリカの海兵隊について言えば、その大半が補給や医療などの後方支援部隊で、戦闘部隊は2千人程度に過ぎないのだ。
 その装備も装甲車が21両に大砲が6門で、戦車は1両も無いのだそうである。
 話題の普天間飛行場に配備されているのも、オスプレイ24機にヘリコプター10機で、戦争などとても出来る戦力ではなく、中国を抑止する力にもなっていないという。
 つまり沖縄の米軍基地は、日本を守る為でなく「北東アジアの有事に在留米国人を救出する為」にあるという事だ。
 そしてその米軍の駐留費の四分の三を、我が国は国民の税金から支払っているのである。

 以上の事柄でもわかる通り、日本はタダでアメリカ様に守っていただいているわけでは無いのだ。
 もし日本から米軍が撤収して米軍基地が無くなれば、確かに日本も不安だ。しかし同時にアメリカも少なくとも西太平洋の制海権と制空権を中国に奪われ、同時に北東アジアの有事に在留米国人を救出する基地も失う事になる。
 多額の駐留経費を負担して米軍の世界戦略を助けているにもかかわらず、「まだアメリカへの貢献が足りない、いざという時に見捨てられると恐いからアメリカの戦争に自衛隊も差し出そう」と安保関連法に賛成した人達の頭の中身が、筆者にはまるで理解できない。

 それに自衛隊を差し出しアメリカの戦争の為に自衛隊員の命も危険にさらせば「アメリカがもっと確実に日本を守ってくれる」という保証が、今回の安保関連法案のどこにあるのだろうか
 安保関連法案は、言ってみれば「もっとアメリカ様に尽くします」という日本の一方的な期待だけで、アメリカから「では我が国はもっと日本を積極的に守りますよ、もし日中間で武力紛争が起きたら必ず日本の味方をしますよ」という確約を取ったわけでは無いのだ。「中国の脅威から日本を守る為に、安保関連法が必要なのだ」と言い立てる人達には、そこを誤解してもらっては困る。
 何の見返りの確約も無いまま「自衛隊をアメリカの戦争に差し出します」というこの安保関連法案は、どこからどう見てもアメリカにだけ都合の良い法律に過ぎない。

 この安保関連法を、恋愛に例えてみれば。
「彼に捨てられるかも知れない」と不安な女子が、より強く彼氏に縋って「捨てられないように、もっと彼に尽くそう」と頑張ろうとしているのと同じだ。
 そして「これだけ尽くせば、まさか浮気して捨てたりしないよね」と、勝手に期待しているようなものでしか無い。
 筆者の見るところ、アメリカにとって日本政府と安倍政権の態度は恋愛における“都合の良い女”も同然だ。

 この自衛隊を海外にも出す安保関連法案で「日本がより平和になる」と主張するならば。
 アメリカから「我が国ももっと日本を積極的に守ります、もし日中間で武力紛争が起きたら必ず日本の味方をします」という約束をしっかり取ってから、そう言ってもらいたいものだ。
 その確約も無しに、「日本がもっと尽くせば、アメリカも気持ちに応えてくれる筈」というのは、日本の一方的で勝手な期待に過ぎないのだ。
 そしてそれに気付かずに、「これで中国の脅威に対抗できる」と思っている何割かの国民の人の良さと言うか愚かさには呆れかえる。
 国際政治は義理人情ではなく、国益で動くものなのだ。
「日本がアメリカに尽くせば、アメリカも日本に尽くしてくれる」などという、甘いものではないよ。

 現在、アメリカの国際を最も多く買っている国がどこか、ご存知だろうか。
 ズバリそれは中国だ。
 言ってみれば中国は、アメリカにとって最大の債権者なのだ。
 債務者が最大の債権者と、正面切って喧嘩をしたがると貴方は思っているだろうか。
 アメリカは本音では、中国と揉めたくないのだ。
 しかも中国は、アメリカの経済にも深く食い込んでいる。
「出来るだけ、中国とは戦争したくない」というのが、アメリカの本音なのだ。

 毎日新聞の記者に、あるアメリカの高官がオフレコで「今は米日関係より、米中関係の方が大事だ」と漏らしたという。
 国益の為にアメリカが日本を犠牲にしない、という保証はどこにも無い
 だからこそ片想いのように日米関係に縋って、日本ばかりアメリカに尽くすのは危険なのだ。
 もし中国なり北朝鮮なりが日本の施政権内に武力で侵略して来たら、当然自衛隊は迎え撃つし、以前からの日米安保条約によりアメリカ軍にも共同で対処・行動して貰う。
 有事の際にはそれで良いではないか。

 安保タダ乗り論などとんでもない、日本は米軍に多額の駐留費を提供しているし、米軍は日本の基地をアメリカの世界戦略に利用している。わざわざ安保関連法案など成立させずとも、いざという時に一緒に戦ってもらうのに、何の遠慮も要らない筈だ。
 もし日本が中国などに攻められてもアメリカが戦ってくれないと言うのであれば、そんな居るだけ無駄で金食い虫の駐留アメリカ軍には、日本の基地を返してさっさとアメリカに帰っていただくべきだ。

 基地と金だけでなく、さらに自衛隊員の命まで差し出して海外で戦えるようにしようというこの法律を平和安全法制と呼ぶなど、それこそ売国の嘘つき政府だと筆者は思う。
 そしてそれに気付かずに、「中国の脅威がある以上、アメリカに守って貰うには仕方ない」と思い、安保関連法に賛成して「これで少し平和になった」と安心している国民たちには、伊丹十三氏や森毅氏の言葉をもう一度思い出していただきたい。

「政府は騙すもんよ。騙さへん政府なんか不可能よ。騙すもんやと思って、騙されへんように考える方が大事でしょ。国民はねえ、騙されへん用意をせなあかん」
「騙されたと言って平気でいる人は、また騙されるだろう」


 自衛隊を海外で戦えるようにしたあの法律が“平和安全法制”だって?
 それを信じて賛成した貴方は、間違いなく安倍首相と政府に騙されてるよ。

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