空と虹と恋と

 大好きな写真のこと、そしてゲームやコミックスの話から歴史&時事問題まで、思いつくまま雑多に語ってみたいと思っております。さらに筆者の度重なるイタい失恋話についても、どうぞ憫笑しつつお読み下さいまし。

安い国産ウイスキーを飲んでみた①サントリーレッド

 先日、イオン系列の大型スーパーに行ったついでに洋酒コーナーも覗いてみたところ、180ml入りのウイスキーの小瓶が幾つも並んでいた。
 サントリーレッドトリス・クラシック、それにブラックニッカ・クリアと、ウイスキー好きを自認する人達なら進んで飲もうとは思わない種類の製品だが、どれも三百円前後と手頃な値段だったので、面白半分につい一本ずつ買ってみてしまった。

 実はこの三本のうち、サントリーレッドとブラックニッカ・クリアは以前にも飲んだ事がある。しかしこの秋頃に発売されたばかりのトリス・クラシックについては、飲んでみるのは初めてだ。
 で、このサントリーとニッカの代表的な、そしてウイスキー好きには評判のあまり宜しくない廉価版の製品を、本当に“ウイスキー”と呼ぶ価値があるものかどうか、じっくり飲んで試してみようと思った。

 それでこれから三週続けて、サントリーとニッカの安いウイスキーについて書いて行くつもりだが、今回はまずサントリーレッドを取り上げてみる。

サントリーレッドP1080992

 このレッドを飲むのは、筆者としては実は三度目なのである。
 最初に飲んだのは、まだあまりウイスキーを飲み慣れていない、言わばウイスキーにハマり初めの頃だった。
 安物にしては、意外に普通に飲める。
 それがその時の印象だった。
 確かに決して「美味い」とは言えない。
 しかしただ辛くてアルコールの刺激がキツいだけだったサントリーホワイトよりマイルドで、ずっと飲みやすいと思った。

 で、もう少しいろいろなウイスキーを飲み慣れてから、「意外に飲みやすい」という以前の良いイメージを持ったまま二度目に飲んでみた時には、何かとても期待はずれと言うか、やはり(ペットボトル入りのトリス・ブラックを除けば)サントリーで一番安い製品だなあ……という感じだった。
 それ以来、レッドには全く見向きもせずに、何年も過ごしてきたわけだが。

 三度目に封を切ってみたレッドだが、キャップを開けると間もなく甘い香りが漂って来る。
 ただ甘い香りだけでその他の香りは殆ど無く、その香り自体もかなり控えめと言うか弱めで、角瓶のような華やかさも無い。
 ウイスキーの中には、開封してある程度の時間をおくと長年樽の中で眠っていた香りが豊かに広がってくるものが少なくない。しかしレッドは日にちが経っても香りが広がるどころか、より薄くなるくらいだった。

 おそらくはこのレッド、空気に触れることにより香りが広がるほどの古いモルト原酒を使っていないのだろう。ただほのかに甘い香りの他は、香りらしいものは殆ど感じない。
 ただアルコールのツンと来る刺激も比較的少ないところをみると、ブレンドしてあるグレーンもそれなりに樽熟成してあるものを使っていると思われる。

 続いて飲んでみた印象だが、香り以上に甘い。とにかく甘いとしか言いようがない。
 それも「ハニーな」とか「フルーティーな」というような種類のスッキリした甘さではなく、バーボンに似たキャラメルのような甘さだ。

 もう故人になってしまったが、世界的に有名なアメリカの報道写真家に、ユージン・スミスという人がいる。
 そのユージン・スミスがかつて、水俣病の取材の為に来日した時のことだ。
 そのユージン・スミスに撮影機材を提供したある日本のカメラメーカーの社長が、ある晩ユージン・スミスを馴染みの料亭に招待した。
 で、「お酒は何をお飲みになりますか?」と尋ねられたユージン・スミスは、こう答えたそうだ。
「サントリーレッド!」

 名のある会社の社長さん達が行くような高級な料亭で、サントリーレッドだよ。
 そこの女将さんはツンとして、「うちでは、サントリーはローヤル以下のものは置いておりません」と答え、それに対しユージン・スミスを招待したカメラメーカーの社長さんは「お客の求めるものを出しなさい」とたしなめ、わざわざレッドを買いに行かせたという。

 来日したユージン・スミスが好んだというだけあって、レッドの甘さは確かにバーボンに似ているかも知れない。
 もちろん本物のバーボンの方がずっと甘いが、レッドにはそれに近い甘さがある。だからバーボンが好きな人であれば、手頃な値段のバーボン代わりに、それなりに楽しんで飲めるかも知れない。
 だがスコッチ党の筆者は、ただ甘いだけで味に深みが無く、香りもアフターテイストも弱いこのレッド、好んで飲もうという気には全くなれなかった。

 しかしこのレッドにも、良いところはちゃんとある。
 ストレートで飲むとさすがにアルコールの刺激がキツいが、トワイスアップにすればその刺激はかなり薄まる。
 先にも触れたがこのレッド、使っているモルト原酒の量は少ないものの、グレーンはちゃんと樽熟成してあるのだろう。だから濃いめで少しずつ嘗めるようにしてじっくり飲むには味も香りも全く不満足だが、それでも口当たりは意外に悪くない。
 トリス・クラシックやブラックニッカ・クリアと比べた中でも、このレッドが一番マイルドでアルコールの刺激が少ないように思う。

 最初から「どうせサントリーの安酒だろwww」と小馬鹿にして飲むと、「意外に悪くないね」と見直すことになるが。
 しかし「あのユージン・スミスが好んで飲んだウイスキーなのか」などと思って、下手に期待してじっくり飲むと「やっぱり不味い!」とガッカリする。
 レッドとは、そういうウイスキーだ。

 そしてもう一つ、このレッドの取り柄は炭酸や水で何倍かに割っても、意外にウイスキーらしい味を保っている事だ。
 ウイスキーの中には、ストレートやトワイスアップなどの濃いめでは香りも良くて美味しいけれど、割る水の量を多くすると途端に水っぽいガッカリな薄味になってしまうものもあるが、レッドはその逆だ。
 レッドはストレートやトワイスアップでじっくり味わってしまうと、正直に言って美味くない。しかし何倍かに割ってハイボールや水割りにしても、意外なくらいウイスキーらしい味を保っている。
 だからハイボールや薄めの水割りにして食事と一緒に飲むのであれば、何も角瓶など使わず、このレッドでも充分なのではないかと筆者は思った。

 このレッドは、ニッカのハイニッカに対抗する為に、販売を中断していた赤札をリニューアルして売り出したものだと言うが。
 同じ度数39%の廉価版のウイスキーでありながら、ハイニッカの方はスモーキー香も漂う濃いめで飲んでも充分に美味しいスコッチ風で、レッドはハイボールや水割りにして飲むのに向いた甘いバーボン風のウイスキーと、何もかも正反対の性格なのが面白い。
 ただ残念ながらハイニッカはこの夏に、希望小売り価格990円から1200円に値上げされてしまったので、もう同等の商品として比べることは出来なくなってしまったが。

 さて、三度目に飲んでみたレッドだが、残念ながらやはり筆者の好みには合わないようだ。筆者はもっと香り高く力強い味わいの、濃いめで美味しいウイスキーをゆっくりじっくり楽しみたい。
 ただこのレッドのように割ってハイボールなどするのに向いた、食中酒用のウイスキーがあっても良いと思った。

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