空と虹と恋と

 大好きな写真のこと、そしてゲームやコミックスの話から歴史&時事問題まで、思いつくまま雑多に語ってみたいと思っております。さらに筆者の度重なるイタい失恋話についても、どうぞ憫笑しつつお読み下さいまし。

悪くはないがまた買って飲みたいとは言い切れないブラックニッカ・ディープブレンド

 サントリーの角瓶には、昔からの黄色いラベルの角瓶(黄角)の他に、白角黒43°(黒角)の合わせて三種類がある。
 同様に、ブラックニッカにも昔ながらのブラックニッカ・スペシャルの他に、ブラックニッカ・クリアブラックニッカ・リッチブレンドブラックニッカ・ディープブレンドの四種類がある。
 角瓶もそうだが、ブラックニッカも同じブランド名でありながら味や香りはそれぞれ別物のように違うから厄介だ。

 で、今回はこの夏に終売になったブラックニッカ8年と入れ替わるように発売された、ブラックニッカ・ディープブレンドを取り上げてみたい。

ブラックニッカ・ディープブレンド

 始めに断っておくが、筆者は甘くスモーキーで力強いタイプのウイスキーが好きである。
 だからシングルモルトではラガブーリンアードベッグなどのアイラ島のものや、スカイ島のタリスカーなどを好んで飲んでいる。
 そしてブレンデッドでは、ジョニーウォーカーシーバス・リーガルなどが好きだ。
 だから「ウッディな新樽の香り、心地よく続くピートの余韻」というのをキャッチフレーズにしていたブラックニッカ・ディープブレンドには、飲む前から割と期待していたのだ。
 ブラックニッカの中で最もピーティーという話も聞けば、期待はますます盛り上がってしまう。

ブラックニッカ・ディープブレンド2

 それで早速買ってみたディープブレンドのキャップを開けてみると、すぐに甘くスモーキーな香りが漂う。
 そして口に含んでみるとまず甘く、45度というアルコール度数の割にはなめらかだ。
 飲んだ後にもスモーキーフレーバーが残るが、アフターフレーバーそのものはあまり長く残らない。

 瓶の裏面の説明に「豊かで伸びのある甘い味わい」と書いてある通り、確かに甘みは感じる。
 ただそれは繊細なハニーな甘さでも、キャラメル系の強い甘さでもなく、どこかチョコレートに似たものを感じるほのかな甘さだ。
 だからビター系の甘過ぎないチョコレートでもかじりながら、濃いめにしてゆっくり飲んだら美味しいと思う。

 このウイスキーは、間違いなく力強い味わいのウイスキーだ。
 だから何倍かに割ってハイボールにしても、薄くなり過ぎて物足りなくなることなく、しっかり元の味わいを残している。
 重厚さを売りにしたようなウイスキーだが、意外にもハイボール派にもきっと好まれる味だと思う。
 但しハイボールにすると香りはとても薄くなるし、複雑な味と香りをゆっくり楽しむなら、やはりトワイスアップやストレートで飲んだ方が良い。

 ただね、裏面のラベルには「アルコール分45%でしっかりとした飲みごたえがありながら、まろやかで飲みやすいウイスキーです」と書いてあるが、それには少し疑問がある。
 確かに「アルコール分45%にしては」まろやかだ。しかし他のアルコール分40%の同価格帯のウイスキーと比べてしまうと、やはりアルコールのキツさと言うか、舌を刺す刺激を感じてしまう。
 はっきり言ってしまえば、このディープブレンドより同じニッカでちょっとだけ安い、ブラックニッカ・スペシャルの方が明らかにまろやかでなめらかだ。

 千五百円もしないこのディープブレンドを、四千円くらいするシングルモルトのタリスカー10年と比較する方がおかしいのだが。
 タリスカー10年はアルコール分46%だが、ストレートで飲み比べてみても、その度数の強さを感じない。
 しかしディープブレンドの方は、その度数の強さを舌で感じてしまうのだ。

 だから無理に45%になどせず、一般的な40%か、せめてブラックニッカ・スペシャルと同じ42%にしておいたら、よりなめらかで飲みやすくなっただろうにと残念に思う。
 ただ「角瓶の黒43°を越えなければ」という販売戦略上の問題があって、あえて45%にしたのかも知れない。

 このディープブレンドは、スモーキーフレーバーが売りのニッカの中でも、かなりスモーキーで力強い味わいだと思うが。
 しかし同じスモーキーで力強いタイプのニッカG&Gと飲み比べてみると、ディープブレンドの方が明らかに口当たりが荒いのがわかる。
 値段の差以上に、ニッカG&Gの方がより熟成されたなめらかさと味わいの深さがある。

 続いて同じブラックニッカで、値段の近いリッチブレンドやスペシャルと比べてみよう。
 力強さやピート香や味の奥行きでは、ディープブレンドが明らかに勝っている。しかしディープブレンドには、リッチブレンドのシェリー樽原酒による華やかな香りが無い。
 力強さやスモーキーさでは、ディープブレンドはスペシャルにも僅かだが勝っている。しかしスペシャルも決して味やスモーキーさに物足りなさがあるわけではなく、むしろよりなめらかな味わいでシェリー樽原酒による華やかな香りもあるスペシャルの方が、優しく魅惑的に感じられるくらいだ。

 ブラックニッカおなじみの“髭のおじさん”ことローリー卿が金色にプリントされたこのディープブレンドは、決して悪いウイスキーではない。
 しかし筆者は同じブラックニッカなら、ディープブレンドより少しだけ安いスペシャルの方がずっと完成度の高い美味いウイスキーだと思うし、「同じ価格帯でウイスキーを買うとしたら、何を選ぶか?」と問われたら、間違いなくジョニ赤ベルホワイト&マッカイティーチャーズグランツ・ファミリー・リザーブ、あるいはフェイマス・グラウスなどを選ぶ。
 これはあくまでも個人的な好みの問題だが、「悪くはないが、同価格帯でもっと美味いウイスキーは他にも幾つもある」というのが、筆者のブラックニッカ・ディープブレンドに対する評価だ。

 筆者は何ヶ月か前に、このブログで「原料不足を理由に、サントリーは良質なウイスキーばかり値上げして、最も売れている角瓶の価格を据え置くのはおかしい」という趣旨の記事を書いた。
 そうしたらつい最近、サントリーは来年の4月から角瓶やオールドやスペシャル・リザーブなどの値上げをすると発表した。
 筆者の家の近くの量販店のこのチラシの写真でわかる通り、値上げ前の今でさえ角瓶は、ジョニ赤やホワイトホースやバランタインなどの定番スコッチより少し高い値段で売られているのだ。
 サントリーは角瓶を、今より二百円近く値上げする予定のようだが。
 ジョニ赤やホワイトホースなどより三百円近く高くなるであろう角瓶をあえて選ぶユーザーが、はたしてどれだけいるだろうか。

チラシP1090317

チラシP1090316

 それと同じ危惧を、筆者はニッカに対しても抱いている。
 ニッカは今年、サントリーに追従するようにブラックニッカの価格は据え置きつつ、主に値の高いウイスキーを値上げした。
 だから来年にはニッカもまたサントリーと同様に、ブラックニッカなど手頃な価格帯のウイスキーの値上げに踏み切るのではないかと心配している。
 繰り返し言うが、ジョニ赤やホワイトホースより何百円も高いブラックニッカなど、「存在価値が無い」と言っても言い過ぎではないと思う。

 確かに十年くらい前はウイスキーの消費が低迷していて、それで今のウイスキーブームで貯蔵している原酒が足りなくなっているのかも知れない。
 しかしだからと言って値上げして、良質な輸入スコッチやバーボンより高くしてしまったのでは、国産ウイスキーの存在価値が無くなってしまうのではないだろうか。
 サントリーがハイボールで消費を煽り、さらに『マッサン』の人気でウイスキーの消費が伸びるずっと前から、ブームと関係なくウイスキーを愛して飲み続けてきた者の一人として、筆者は繰り返される国産ウイスキーの値上げを苦々しく思いながら眺めている。
 まあ、これでサントリーの宣伝攻勢で「ウイスキー=角瓶」と洗脳されている多くの日本人が、他にもっとある良質なスコッチの味も知ってくれるようになれば、それはそれで良いことなのであろうが……ね。

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コメント


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買う理由。

買う理由。

それが有るからこそ「商品」を買う。

当たり前のこと、ですよね。

それは全商品に共通のことであって、ウイスキーだからとかは関係ない。

国産ウイスキーを購入するにあたっては
個人的に考えられる理由が、いくつか。

1、商品の味が好きだから。
「これは品質や価格とは別に完全に商品独自の味が気に入って指名買いする、というものです。」
2、国産だから。
「国産しか買わない。そういう根強い購買層は明確に存在します。」
3、メーカー指定。
「サントリーだから、ニッカだから。メーカーのファンも存在しますよね。」
4、宣伝に乗せられて。
「ドラマ、CM、雑誌の宣伝に乗せられて試しにウイスキーを買うこともあります。」

実はコレだけで購入する人数は相当数に達するだろうことが容易に想像出来ます。

だからこそ強気の値上げをメーカーが平然と繰り返すのだと分析しています。

本質である商品の価格と品質のバランスに目を向けると貴兄のおっしゃる通り、
「わざわざ国産ウイスキーを購入する理由が全く存在しない。」のは事実です。

ただし、この事実は海外のウイスキーに目を向けない者には適用されない。

戦争時に国内ばかりに目を向けて海外を含めての客観分析が全く出来なかった国民の姿が見事に重なります。

一事が万事とは良く言ったものです。

ogotch | URL | 2015-12-27(Sun)07:21 [編集]


Re: 買う理由。

> 買う理由。
>
> それが有るからこそ「商品」を買う。
>
> 当たり前のこと、ですよね。
>
> それは全商品に共通のことであって、ウイスキーだからとかは関係ない。
>
> 国産ウイスキーを購入するにあたっては
> 個人的に考えられる理由が、いくつか。
>
> 1、商品の味が好きだから。
> 「これは品質や価格とは別に完全に商品独自の味が気に入って指名買いする、というものです。」
> 2、国産だから。
> 「国産しか買わない。そういう根強い購買層は明確に存在します。」
> 3、メーカー指定。
> 「サントリーだから、ニッカだから。メーカーのファンも存在しますよね。」
> 4、宣伝に乗せられて。
> 「ドラマ、CM、雑誌の宣伝に乗せられて試しにウイスキーを買うこともあります。」
>
> 実はコレだけで購入する人数は相当数に達するだろうことが容易に想像出来ます。
>
> だからこそ強気の値上げをメーカーが平然と繰り返すのだと分析しています。
>
> 本質である商品の価格と品質のバランスに目を向けると貴兄のおっしゃる通り、
> 「わざわざ国産ウイスキーを購入する理由が全く存在しない。」のは事実です。
>
> ただし、この事実は海外のウイスキーに目を向けない者には適用されない。
>
> 戦争時に国内ばかりに目を向けて海外を含めての客観分析が全く出来なかった国民の姿が見事に重なります。
>
> 一事が万事とは良く言ったものです。

 私の住む市に、国産のウイスキーだけでなく、アル添の日本酒や副原料入りのビール類すら一切扱わない、極端なまでの品質重視の酒店があります。
 そこの店主は「貯蔵年数の規定すらない国産のウイスキーなど、ウイスキーではない」とまで言い放ちます。
 しかしその酒店にも「国産のウイスキーは無いのか?」と問いただし、「同じ値段でもっと良いスコッチがありますよ」と言っても、「敷居の高い威張った酒屋だ」と捨て台詞を残して去って行く客が少なからずいるそうです。

 本場のスコッチやバーボンと飲み比べた上で国産ウイスキーを選ぶのならともかくとして。
 飲んでみることなく、ただテレビ等で盛んに流されるCMに流されて国産ウイスキーしか飲まない日本人が意外に多いのは残念な事です。
 ogotchさまのおっしゃる通り、確かに日本人は今も国内しか見ていませんね。

黒沢一樹 | URL | 2016-01-03(Sun)15:23 [編集]


妥協も必要

妥協も必要、偏った考えが余計にウイスキーの普及を妨げている。

| URL | 2017-05-26(Fri)15:49 [編集]