空と虹と恋と

 大好きな写真のこと、そしてゲームやコミックスの話から歴史&時事問題まで、思いつくまま雑多に語ってみたいと思っております。さらに筆者の度重なるイタい失恋話についても、どうぞ憫笑しつつお読み下さいまし。

カルバドスとブランデーを飲んでみた

 正月だからと言うわけでは無いが、今回は少し趣向を変えてカルバドスとブランデーを飲んでみた。

 まずその前に念のために書いておくが、カルバドスとはフランスのノルマンディー地方のカルバドス県でのみ造られるアップルブランデーである。
 多くのブランデーは白ワインを蒸留して造るが、カルバドスはシードル(リンゴ酒)を蒸留して造る。
 ただ前にも触れたが“カルバドス”と名乗れるのはカルバドス県で造られたもののみで、それ以外の場所で造られたものはただアップルブランデーと呼ばれるから要注意だ。
 シャンパンがシャンパーニュ地方、コニャックがコニャックがコニャック市周辺で造られたもののみそう名乗れるのと同じである。

カルヴァドス・ブラーP1090098

 で、飲んでみたカルバドスはBoulardで、これでブラーと読むらしい。
 栓を開けるとフルーティーな香りが漂うが、飲んでみるとアルコールの刺激を強く感じる。
 カルバドスは原産国のフランスでは食中酒として飲む中級品という扱いだそうだが、だから樽熟成の期間もそう長くないものが多いようで、筆者の買ったものも調べてみたら熟成期間は二年だった。

 筆者の買ったブラーは、ブラーの中でも最も熟成期間の短い手頃なやつで、メーカーでもただ飲む他に料理などに使うようにも推奨している。
 だから樽熟成の期間が短く、アルコールの刺激が強くても仕方ないのかも知れないが、それでも一本二千円以上するのだから、カルバドスは決して安いものではない。

 それにしても樽熟成が二年と言えば、ウイスキーならかなり若い酒で、スコットランドならばスコッチとして認めないくらいの短さだ。
 そのせいか、ストレートで飲むとアルコールの刺激はかなりキツい。筆者は10年以上樽貯蔵したウイスキーやブランデーならストレートで充分に飲めるが、これをストレートで飲むのはいささか辛い。
 欧州には蒸留酒を水で割る習慣は無いと言うが、この若い蒸留酒を飲みながら食事をするという欧州の人達は、いろんな意味でスゴいと思った。
 まあ、欧州には樽貯蔵すらしていないウォッカなどもストレートで飲む人が普通にいるのだから、二年とはいえ樽で寝かせてあるコレをそのまま飲むのも当たり前なのかも知れない。

 が、筆者は日本人で体質的にもアルコールには弱い方なので、最初の数杯だけストレートで飲んだ後は、常温の水で1:1に割りトワイスアップにさせていただいた。
 これがなかなかイケた。
 香りはストレートの時よりさらに豊かに広がり、アルコールの刺激もまだ残るものの、ストレートの時のような舌を刺す不快な刺々しさは無くなる。
 原料はリンゴだが、甘さは全くと言ってよいほど感じない。僅かな酸味があり、味わいは淡麗辛口と言ったところか。

 味にリンゴの風味は無かった一方で、ブランデーとは違う確かなリンゴの香りを感じた。
 そしてこの香りが、なかなかに素晴らしいのだ。飲む前や飲んでいる間にも感じるが、それ以上に飲んだ後に口中に残る香りが魅惑的だ。
 筆者の個人的な印象では、カルバドスは味より香りを楽しむ酒という感じだ。

 樽熟成の期間が短いせいもあり、現地のフランス人のようにストレートで、食中酒として気軽に飲むのは日本人にはキツいと思う。
 しかし独特な芳香には何とも言えない魅力があり、飲み慣れればその香りに魅了されてしまうのではないかと思う。

 とは言うものの、ブラーのカルバドスで最も安い物が、樽熟成が二年で値段は二千円以上というのは、やはり財布に優しくないと思う。
 同じカネを出せば、ウイスキーならジョニーウォーカーやシーバス・リーガルやバランタインなどの12年モノが買えてしまうのだ。
 そしてこちらの方が段違いに滑らかで口当たりが良いし、性質は全く違うが香りの良さだって負けていない。
 香りの素晴らしさはとてもよくわかる、しかしアルコールの刺激がキツ過ぎで、「同じカネを出すなら、スコッチを買って飲みたい」というのが筆者の正直な感想だ。

 カルバドスでアルコールの刺激が少ない、樽熟成の期間が長いものを飲もうと思うなら、上級品のもっと高い物を買わざるを得ない。
 残念ながら筆者の自由になるお金は少なく、良い酒を飲む為には金に糸目は付けないと言えるような身分では無い。
 だからその香りには魅力を感じつつ、どうしても「さて、カルバドスにその値段だけの価値があるかな?」などと、つい考えてしまうのだ。

 続いてブランデーだが、筆者はカミュが好きだ。
 カミュのVSOPを飲んだ時には、心から素晴らしいと思った。
 ただ残念ながら、カミュVSOPはとても気軽に買って飲める値段の酒ではない。
 そして筆者は貧乏性だから、「カミュVSOPを買うカネがれば、あのウイスキーもこのウイスキーも買える」とつい考えてしまうのだ。

ブランデー・ルイバロンP1090101

 で、飲んでみたのはルイバロンナポレオンだ。
 ナポレオンとは言うものの、ルイバロンは安くて良い酒を出すのをモットーにしているメーカーなので、値段は大した事は無かった。
 例の樽貯蔵二年の最も安いブラーより、さらに安かったくらいだ。

 グラスに注ぐと、華やかでフルーティーな香りがすぐに広がる。
 ブランデーを飲む時、日本人はよく手でグラスを包んで温めるが、それは安物のブランデーの香りを立たせる為にする事だ。
 で、ルイバロンのナポレオンはそのような事をせずとも、充分に良い香りが広がった。
 そして口に含むとフルーティーな味が口の中に満ち、飲み下した後にも果実香が長く残った。
 カルバドスのブラーより間違いなく滑らかで、そして味わいも繊細だ。

 ところで、ブランデーに氷を入れてロックにするのは、せっかくの香りを台無しにする野蛮なやり方だというのが常識である。
 味もだが、酒は冷やせば冷やすほど香りを感じにくくなるものだ。
 だから何でもかんでも冷蔵庫でキンキンに冷やしたり氷をブチ込んだりするのは良い事では無いが、とりわけ香りの素晴らしさが持ち味であるブランデーに氷を入れるのは、わざわざ寿司用に用意した最上のトロを、遠慮なく細かく角切りにして醤油と砂糖で甘辛く煮付けにしてしまうのと同じくらい勿体ない事なのである。

 ただブランデーを水で割る事については、「とんでもない、ストレートで飲なまきゃダメだ!」という説と、「構わない」という説の両方がある。
 で、カミュVSOPは一本すべてストレートで飲んだが、今回のルイバロンのナポレオンについてはいろいろ考えて迷った挙げ句、ストレートだけでなく1:1で割ってトワイスアップにもしてみた。
 ブランデーは蒸留時には度数60%くらいで、それに加水して40%にして売っているのだから、「それにさらに少し水を加えても悪くはあるまい」と考えて。
 但し割る水も常温で、氷は絶対に入れなかった。

 好みやこだわりは人それぞれだろうが、ブランデーのトワイスアップは悪くなかった。
 香りがストレートの時よりさらに広がり、かつ柔らかくなる。
 そして飲んだ時にもアルコールのキツさや刺激が殆ど無くなるだけでなく、フルーティーな甘みがはっきり出て来る。
 だから個人的には、アルコールに強くない人は無理にストレートで飲まず、濃いめの水割りにすると良いと思う。

 もちろん、味と香りはカミュVSOPには及ばないが。
 しかし価格の差を考えると、ルイバロンのナポレオンはかなりコストパフォーマンスに優れていると思う。
 このルイバロンは、かつてロイヤル・ネイビー(英国王室海軍)の指定ブランデーだったと言うが、それにふさわしいだけの味と香りだった。

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コメント


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美味ければ、OKですよ。(笑)

美味ければ、OKですよ。(笑)

ハイボールでも水割りでもロックでも。

と、いうわけで。

私は大半がストレートで呑ってます。

単純にソレが美味いから、ですね。

ogotch | URL | 2016-01-11(Mon)14:32 [編集]


Re: 美味ければ、OKですよ。(笑)

> 美味ければ、OKですよ。(笑)
>
> ハイボールでも水割りでもロックでも。
>
> と、いうわけで。
>
> 私は大半がストレートで呑ってます。
>
> 単純にソレが美味いから、ですね。

 良いブランデーは、確かにストレートが美味しいですよね。
 ただ安めのものだとアルコールの刺激を強く感じてしまうので、つい割って飲んでしまいます。
 ストレートで楽しんで飲めるかどうか。
 それが本当に良いブランデーかどうかの違いかも知れませんね。

黒沢一樹 | URL | 2016-01-14(Thu)16:21 [編集]