空と虹と恋と

 大好きな写真のこと、そしてゲームやコミックスの話から歴史&時事問題まで、思いつくまま雑多に語ってみたいと思っております。さらに筆者の度重なるイタい失恋話についても、どうぞ憫笑しつつお読み下さいまし。

トリス・クラシックやブラックニッカ・クリアと真逆な性質の、ホワイトオーク・レッド

 今回は以前にも取り上げた江井ヶ嶋酒造の、ホワイトオーク・レッドについて再び語ってみたい。

ホワイトオークレッドLUMIX FX9 237

 ホワイトオーク・レッドと言えば、原材料がモルトとスピリッツ(!)だけという、国際的なウイスキーの基準から言えばウイスキーとは呼べないまがい物である。
 だがこのホワイトオーク・レッドが、飲んでみると他社の同価格帯の安いウイスキーよりウイスキーらしさがあるのだから驚きである。

筆者の自宅近くのスーパーで、550ml入りの瓶で税抜き598円で売っているこのホワイトオーク・レッドは、100mlでの単価に直せば、サントリーのトリス・クラシックや、ニッカのブラックニッカ・クリアとほぼ同じになる。
 そしてトリス・クラシックやブラックニッカ・クリアは、少なくともモルトとグレーンで造られている。
 それを考えれば、モルトをスピリッツ(ぶっちゃけ言えば樽貯蔵を全くしていないただのアルコール)で希釈しただけのホワイトオーク・レッドは、割高な印象すらある。
 だが筆者は、トリス・クラシックやブラックニッカ・クリアはいくら安くとも自分でお金を出して買って飲む気にはなれないのだが、ホワイトオーク・レッドは本当に時折だが、つい買って飲んでしまうのである。

 この「いくら魅力的な販促品が付いていても、どうしても買って飲む気にはなれない」トリス・クラシックやブラックニッカ・クリアと、「販促品が付くことすら全くないのに、ついたまに買って飲んでしまう」ホワイトオーク・レッドの違いについて、少し述べてみよう。

 ホワイトオーク・レッドのキャップを開けると、まず甘い香りが漂い、木質系の樽の香りも感じる。
 しかし口に含んでみると、スピリッツのせいでトリス・クラシックやブラックニッカ・クリアより間違いなく舌がピリピリする。
 全く樽貯蔵されていないアルコールの刺激は、さすがにキツいよ。
 だが同時に甘くビターで、意外に深い味わいもある。
 アフターフレーバーは弱く、殆ど残らない。
 ただ、トリス・クラシックやブラックニッカ・クリアや、さらにサントリー・レッドは飲み干した後のグラスに殆ど香りが残らないが、ホワイトオーク・レッドはそのグラスにウイスキーの香りが残る。

 トワイスアップでなく、1:2の水割りにすると甘さは減って、よりビターな感じになる。そしてアルコールの刺激は殆ど無くなりとても飲みやすくはなるが、同時に薄く水っぽくなり、飲みごたえにやや欠けるようになる。
 ついでに言えば、トリス・クラシックやブラックニッカ・クリアやサントリー・レッドと違って、ホワイトオーク・レッドで作ってみたハイボールは、何故か美味くないように感じた。

 このホワイトオーク・レッドは、飲んでみるとトリス・クラシックやブラックニッカ・クリアやサントリー・レッドなどと真逆の印象を受ける。
 トリス・クラシックやブラックニッカ・クリアは飲みやすい反面、ウイスキーらしい味や香りに乏しく、「ウイスキーを飲んだ!」という実感や満足感に欠ける。ただひたすら、ハイボールなどにして割って飲む為のウイスキーという印象だ。
 それに対しホワイトオーク・レッドは、希釈用に使われているスピリッツによるアルコールの刺激をピリピリ感じるが、同時にウイスキーらしさもしっかり感じるのだ。
 スモーキーさこそ無いが、木質系の香りと甘くビターな味わいに、「ああ、ウイスキーを飲んでいるな」と確かに感じる。

 少なくともモルトとグレーンで作られているトリス・クラシックやブラックニッカ・クリアと、モルトをスピリッツで希釈しただけのこのホワイトオーク・レッドと、何故100mlあたりの単価が同じなのか。
 思うに、トリス・クラシックやブラックニッカ・クリアはグレーンを使ってはいるもののモルト原酒の使用割合がとても少なく、それに対しホワイトオーク・レッドの方は、単価の非常に安い廃糖蜜から作ったスピリッツを使って、その分モルト原酒を多く使っているのではないか。
 だからホワイトオーク・レッドは、アルコールの荒々しさはあるものの、同時にウイスキーらしさもしっかり感じるのだろう。
 ちなみに江井ヶ嶋酒造では、モルト原酒もちゃんと最低三年以上樽貯蔵したものを使っている。

 さて、もし貴方がどうしても、千円を切る安いウイスキーを飲まなければならないとしたら。
 モルトとグレーンで作られているものの、モルト原酒の割合がかなり少なくて、なめらかだがウイスキーらしさに乏しいものと。
 モルト原酒を安いスピリッツのみで希釈していて、その分だけモルト原酒の割合も高く、アルコールの荒々しさと同時にウイスキーらしさも感じられるものと。
 何だか究極の選択のようだが、貴方ならどちらの製品を選ぶだろうか。

 ただ誤解しないでほしいが、このホワイトオーク・レッドはあくまでもモルト原酒をアルコールで希釈した、模造品のウイスキーだ。
 二千円クラスの良いウイスキーとは全く別物だし、千円ちょっとで買えるスタンダード・スコッチと飲み比べた時も、「ああ、本物のスコッチって、何て美味いんだろう」と改めて思わされてしまったゼ。
 個人的には「トリス・クラシックやブラックニッカ・クリアよりずっとウイスキーらしい」とは思うものの、「美味い」とは言い難い。
 ただトリス・クラシックやブラックニッカ・クリアについて「味も香りも薄くて、色の付いた甲類焼酎と同じようなものではないか!」とお腹立ちの方には、同じ価格帯でこんなウイスキーも存在することを、ぜひ知ってほしいと思う。

 以前にもこのブログでも書いたが、社員数が全部で僅か四十人ちょっとの酒造会社で、たった三人で造っている明石市の地ウイスキーの存在を、ウイスキーに興味のある方にはぜひ知ってほしい。
 今回紹介した、モルト原酒をスピリッツ(アルコール)で希釈しただけというホワイトオーク・レッドだけでなく、ちゃんとモルトとグレーンで造っている“あかし”というブレンデッド・ウイスキーや、限定品だがシングルモルトの“あかし”もありマス。

 それにしても。
 筆者はこのブログで繰り返し、「ウイスキーは最低三年以上樽貯蔵したモルトウイスキーとグレーンウイスキーのみで造るべきで、それ以外のものはまがい物として駆逐すべき」と申し上げてきた。
 しかし実際に飲んでみると、ちゃんとモルトとグレーンだけで作ったトリス・クラシックやブラックニッカ・クリアより、モルト原酒をアルコールで希釈した“まがい物”のホワイトオーク・レッドの方が間違いなくウイスキーらしい味わいがある現実を知ってしまうと、「本物とは何か」という事について改めて考えさせられてしまった。

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コメント


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本物。

本物。

ああ、個人的には至って簡単です。

「嘘がない物」です。

ゆえに「本物の極悪人」とか。

マイナス要素のものにも「本物」は
山ほどあるということです。(笑)

ogotch | URL | 2016-02-09(Tue)12:37 [編集]


Re: 本物。

> 本物。
>
> ああ、個人的には至って簡単です。
>
> 「嘘がない物」です。
>
> ゆえに「本物の極悪人」とか。
>
> マイナス要素のものにも「本物」は
> 山ほどあるということです。(笑)

 嘘がない、ですか。
 納得しました!
 そう考えれば、ホワイトオーク・レッドとトリス・クラシックやブラックニッカ・クリアと、どちらが本物かわかるような気がしました。
 と言っても、ホワイトオーク・レッドとトリス・クラシックなどでは、少しばかり低レベルな「本物」談義ですがね……。

黒沢一樹 | URL | 2016-02-11(Thu)16:07 [編集]


考える必要、ありません。(笑)

「ウイスキーは最低三年以上樽貯蔵したモルトウイスキーとグレーンウイスキーのみで造られたもの。」

コレは黒沢氏の考えであると同時に、
客観的ウイスキーの定義です。

コレだけ明確な基準があるのですから
考える必要、ありません。(笑)

この条件に合致しているものが
「ウイスキー」で、それ以外は
全部、偽物です。

このことを、分かりやすく例えるのなら
「コーヒー」と「コーヒー飲料」の違い。

「ウイスキー」と「ウイスキー飲料」を
客観的なウイスキー基準に照らして、
キッチリ仕分けしてしまえば良いと。

私は常々、感じていますよ。

「職人のラーメン」と「カップ麺」を
同列に扱うことが そもそもの間違いで。

だから私の中で、サントリー角瓶は
「ウイスキー飲料」の傑作です。(笑)

ogotch | URL | 2016-02-13(Sat)14:10 [編集]


Re: 考える必要、ありません。(笑)

 ogotchさまのおっしゃる通り、あの角瓶を「ハイボールにして飲む為のウイスキー飲料」と思えば、腹も立ちませんね。

 それにしても日本人は、どうしてこうウイスキーをハイボールにしてしか飲まないんでしょうかね。
 焼酎ならロックにも水割りにもお湯割りにするし、日本酒だって冷酒に燗酒と飲み分けているのに、ウイスキーと言うと角瓶どころか長期熟成のプレンデッドであろうがシングルモルトであろうが「ハイボール!」です。

 今の日本はウイスキーがブームと言いますが、ただサントリーの宣伝に乗せられてハイボールを飲む人だけが増えたような気がしてなりません。
 

黒沢一樹 | URL | 2016-02-18(Thu)15:51 [編集]


どうして日本人はハイボールなのか。

「どうして日本人はハイボールなのか。」

黒沢氏にボールを投げられた以上、私の
「個人的な考え」を話します。

それは今の日本人にウイスキーが根本的に
合わないからだと思います。

ウイスキーには3つの「高さ」がある。
そう私は考えています。

1、敷居の高さ。
そもそも殆ど食事に合わない。一人で
長時間味わう形式では乾杯に使えない。
呑みたいと思ってもキッカケが無い。
何を選べば良いかも分からない。

2、度数の高さ。
40度を超えるアルコール比率の高さは
ビール、焼酎、ワインと言った他の
ライバル商品に比べ高すぎる。
それは呑みにくさが発生することであり
広まりつつある健康志向にも合わない。

3、価格の高さ。
居酒屋、バルなど若い人達が呑む場所で
「本物」を求めるとワイン、ビールより
明らかに価格が高い。

この元からある性質上、ウイスキーは
若者達の「乾杯」の選択肢から外され、
普通の会社員の呑む選択肢から外され。

結果、30年近い冬の時代が続いたと。

そこで「商人」のサントリーは自分達の
商品を売るために考えたわけです。

1、敷居を低くするには?
→呑みやすく、乾杯に使えるスタイルに
持っていけばいい。乾杯の酒は今の所、
ビールと酎ハイ。しかも これらは食中酒。
この代替を目指す。

2、度数を低くするには?
→ビールと酎ハイの度数は5-8度。つまり
何かで割って この度数に合わせた上で、
顧客が評価する呑みやすい味を目指す。

3、価格を低くするには?
→元々の値段が低いものを材料として、
もし薄めた場合でも文句が出にくいような
呑み方を広めることを目指す。

この分析から、サントリーが叩き出した
「回答」こそが角ハイボール。

サントリーの商品を売るためのアイデア。

だからこそウイスキーのブームにならず
角ハイボールのブームになった、と。

分かりやすい例をあげると「ワカコ酒」の
ワカコさんのシチュエーションに対して。

そこに当てはまる酒は、ウイスキーでは
残念ながらハイボール以外無いと。

そのように思います。

正直に言うと、もしもサントリーが
商魂を発揮しなければ。

ワカコ酒、の中にウイスキーそのものが
存在しなかったのではないか。

つまり今の若年層の女性にとって
ウイスキーは 酒の選択肢として
完全に消えていたのではないか。

これが、私個人の結論です。

コレは残念ながらウイスキーを好きな
方々が、新しいファンを増やす努力を
怠ったことも あると思います。

私は角ハイボールが世間に広まったことで
逆にウイスキーを新規顧客に知らしめる
キッカケをサントリーが作ってくれたと。

サントリーの好き嫌いは別にして
ハイボール、という形ででも全国に
ウイスキーを広めた功績は評価を
すべきだと。
(個人的には最大級の評価。)

そのように解釈しています。

マッサンが無かったら。サントリーが
目ざとくビジネスチャンスと捉えて、
角ハイボールを広めなかったら。

冗談ではなく、日本人の酒に対する
認識としてウイスキーそのものが
欠落していた可能性があったと。

そう思うのは悲観的に過ぎるでしょうか。

ogotch | URL | 2016-02-19(Fri)21:22 [編集]