空と虹と恋と

 大好きな写真のこと、そしてゲームやコミックスの話から歴史&時事問題まで、思いつくまま雑多に語ってみたいと思っております。さらに筆者の度重なるイタい失恋話についても、どうぞ憫笑しつつお読み下さいまし。

買い物で世の中を変えよう

 ほぼ毎日、とは言わないまでも。
 殆どの人は、頻繁に買い物をしている筈だ。
 その何気ない日々の買い物だが、その一つ一つに意味がある事を意識している方が、この世にどれだけいるだろうか。

 はっきり申し上げるが、買い物とは「消費者による、企業に対する投票行動」なのである。
 例えば貴方が一日の疲れを癒す為に晩酌に飲むビール類を、何か買うとする。
 選択肢は多々ある。キリン、アサヒ、サントリー、サッポロ。それだけでなく地ビールや輸入物のビールもいろいろある。
 また、麦芽とホップだけで造った本物のビールの他に、この日本には副原料入りのビールもどきや発泡酒、それに新ジャンル酒なども多々ある。
 そして貴方がたが何気なく、あるいはこだわって選んで買ったその一本一本の積み重ねによって、各メーカーの売上額と利益が決まるのである。
 つまり貴方が買う一本の缶ビールですら、「どのメーカーの、どの種類のビール類を支持している」という投票行動に異ならないのだ。
 その結果によりメーカーの利益が黒字になったり赤字になったり、シェアでライバル会社に買ったり負けたりするのだから、企業は必死なのだ。

 麦芽とホップ以外の、米やコーンやスターチなどの副原料なるモノを混ぜたまがいものをビールと称し主力商品として売り出しているメーカーに対しては、筆者個人としては軽蔑以外の感情を持てないのだが。
 しかしその副原料入りの“自称ビール”も、別に毒入りというわけでも無いし、そうした会社で「社員が過労自殺した」などと言った悪いニュースも聞かないからまあ良い。
 たとえそれがビールの本場の国の規定ではビールとは呼べないまがい物であったとしても、飲んで体に害があるわけでなく、当人が美味しいと思い満足して飲んでいるのなら問題は無いのだ。

 問題なのは、「それがブラック企業の商品と知りつつ、安いからと買ってしまう消費者の存在」である。
 日本人は、我らが祖国日本を「当然文明国で、先進国の一つ」と信じているだろうが。
 しかし労働環境においては、日本は後進国並みと言わざるを得ない。
 近年では、書店に行くと「日本はこんなに素晴らしい!」とか「世界で尊敬される日本」というような、気持ち悪くなるほどの“日本アゲ”の本や雑誌が目に付くが。
 その「日本は世界で尊敬されている素晴らしい国」と信じている人達に聞こう。
 サービス残業なる企業による従業員に対する搾取が横行し、過労死や過労自殺が発生するような奴隷労働しか言いようのない長時間労働が存在する“先進国”が、日本以外のどこに存在するだろうか

 キヤノンと言えば日本の誰もがその名を知っている大企業で、その社長の御手洗氏は経団連の会長にも就任したが。
 その関連企業であるキヤノン電子の社長であった酒巻氏は、2009年の入社式で新入社員たちに要約するとこのような言葉を述べた。
「生きる為に働くというのは甘えだ、皆さんはキヤノンで働く為に生きているのだ。倒れるまで働き、また起き上がれるだけの睡眠をとったらまた倒れるまで働け」
 このような生き方は、奴隷の生活以外の何物でも無かろう。
 文明化された先進国を名乗りつつ、その世界的に有名な大企業の関連企業にすら、社員に奴隷労働を強いて恥じない経営者が実在するのだ。
 その現実を、筆者は同じ日本人として恥ずかしく思う。

 例のそのキヤノン電子の酒巻社長の言葉を、やや長いがすべて引用して正しく書こう。

『生きるために仕事をしている』という言葉すら、私に言わせれば甘えています。
生活という逃げ場を 無意識で作ってしまっているからです。
これでは24時間100%の力など到底出せる訳がない。
どうか皆さん、『生きるために仕事をしている』という意識で仕事をしないでください。
『仕事をするために生きている』という意識でこれからは生きてください。
倒れるまで働いて起き上がれる分だけの睡眠をとって、また倒れるまで働いてください。本来、仕事というのはそうやって覚えていくものな のです。
もう一度だけ言います。
あなた達は生きる為にこのキヤノンで働いているのではないのです。
このキヤノンで働くために生きているのです。
どうかそれを忘れないでください。

 さて、貴方はこんな企業が文明国に、それも我が祖国日本に存在して良いと思うだろうか。
「そうでなければ企業は潰れてしまう」とお考えの方は、人としての感性が間違いなく狂っている。

 そのような従業員に奴隷労働を強いる企業は、例のキヤノン電子だけではないのが現実だ。
 ワタミドン・キホーテ松屋など、過酷な労働環境で知られたり、過労死や過労自殺を出したりする企業は日本には幾つも、当たり前に存在する。
 社員に「倒れるまで働け」と命じ、サービス残業などの搾取や、過労死の危険すら指摘される長時間労働を平然と行う。
 このような奴隷労働が横行する国は、非文明的な後進国の他は日本だけと思うが、違うか。


 日本のある経営者が夏休みを取って欧州に滞在したところ、物価に対するサービス料の高さに驚いたという。食料品などの日常生活に必要なものの値段は手頃なのだが、ホテルやレストランなどサービス業の料金が日本よりかなり高かったのだそうだ。
 日本に来た外国人は日本のホテルや飲食店や商店のサービスの良さを褒め、例の“日本アゲ”の本では、その事も「だから日本は素晴らしい!」という日本自慢の材料の一つにする。
 しかし、だ。日本のそのお客に対する過剰なまでのサービスの良さは、従業員に賃金に見合わぬ過重な労働とサービスを強いている結果ではあるまいか。
 従業員に一流の応対とサービスを求めるなら、企業もそれに見合った賃金と労働環境で報いるのが当然であろう。
 だから例の日本の経営者が訪れた欧州の一流のホテルやレストランでは、サービス料も高価だったのだ。
 それに対し、同業他社との競争やコスト削減を名目に、従業員には一流のサービスを求めつつ、労働環境は奴隷も同然というのが、「世界で尊敬される素晴らしい国」であるところの我が日本なのである。

 以前の日本の企業は、それでも賃金は年功序列で終身雇用が当たり前だったから。
 企業が定年退職までの暮らしを保証してくれていたから、多少のサービス残業やら長時間労働は辛抱もできた。
 しかし(筆者は一貫して不支持で大嫌いだったが)国民の大多数が強く支持した小泉政権のもとで、社会のセーフティーネットが整備される前に雇用が非正規に置き換えられ、競争原理とコストカットの名目でリストラが行われるようになった。
 国民の八割以上が喝采して受け入れた小泉政権以降、日本は下の弱い者にのみ痛みと辛抱を押しつける、非常に過酷で冷たい社会になってしまったのだ。
 実際、サービス残業や長時間労働や過労死や過労自殺が社会問題として取り上げられるようになったのは、あの小泉政権が誕生してからではあるまいか。

 無論、日本の企業すべてが「従業員に奴隷労働を強いる、悪徳ブラック企業だ」などと言うつもりは無い。社員の雇用を何とか守る為、血の滲むような努力をしている経営者達も間違いなく存在する。
 しかしサービス残業や長時間労働を強い、従業員を奴隷のように扱うブラック企業も存在する事もまた、確かな事実なのである。

 で、そうしたブラック企業を、我が愛する日本の国から排除するにはどうすれば良いか。
 答えは簡単である。
 冒頭でも申し上げたが、「買い物とは、消費者による企業に対する投票行動である」と常に意識することだ。
 ニュースやネットで「ブラックだ」と報じられ、その実態に腹が立つ企業のものは一切買わないし、利用しない。それだけで、その企業は社会から消え去る筈だ。

 例えば筆者の住む市にはドン・キホーテがあるが、筆者はドン・キホーテで買い物をした事はただの一度も無い。それはドン・キホーテが、多数の店舗で従業員に過労死ラインを越える、酷い長時間労働を強いている真っ黒々のブラック企業だからだ。
 無論、筆者一人が頑なにドン・キホーテを利用しなくても、ドン・キホーテは痛くも痒くもあるまい。
 しかし皆がドン・キホーテを「従業員に過労死ラインを超える長時間労働を強いるブラック企業だ」と認識し、多くの人が利用しなくなれば、ドン・キホーテは必ず潰れる。
 同じ理由で筆者はユニクロの服は買わないし、ワンオペで有名な牛丼屋は利用しないし、ワタミも利用しないし、例の酒巻社長のキヤノン電子の製品も買わない。

 筆者は少年の頃から写真を撮るのが好きで、そして初めて手に入れた自分のカメラはオリンパスだった。だから長いこと、オリンパスというメーカーとその製品には愛着を持っていた。
 写真愛好家の中にはニコン党とキヤノン党が多く、特にニコンを偏愛する人には他メーカーのカメラを使う者を上から目線で見て、「オリンパスなんかダメだよ、カメラはやっぱりニコンさ」と威張る者も多かった。しかし誰に何と言われても、筆者のオリンパスに対する愛は揺らがなかった。
 しかしオリンパスの社内で不正があって、それを正そうとして告発した社員がいたのだが、オリンパスはその告発を握り潰したばかりか、その勇気ある社員にイジメに近い差別的な扱いをした。
 その事実を知って、筆者はオリンパスに対する愛を捨て、すべてのオリンパス製品を買うのを止めた。

 筆者は自分の主義で、ユニクロの服も買わないしドン・キホーテにもすき屋やゼンショー系列の店にも行かないし、ワタミとその系列店も利用しないし、キヤノン電子やオリンパスの製品も買わない。
 従業員に過酷な労働を強いたのであれ、社会的に不正とされる行為を働いたのであれ、経営者の理念や企業体質に疑問があるのであれ。筆者はブラックと知ったすべての企業に、一円たりともお金を落とさないようにしている。
 しかしそれでも何も困らないし、財布も別に痛んでいない。

 貴方に問うが、そのブラックと知れている企業を利用しなければ、貴方は死ぬのだろうか
 その企業以外の店や製品を選べば、貴方の家計は破綻するのだろうか
 もしそうであればブラック企業を使わざるを得なくとも仕方が無いが、懐も大して痛まず少しの不便程度で済むのであれば、ブラック企業を利させるのは是非やめていただきたい。

 貴方がこの日本という国を愛していて、日本をより良い国にしたいとお思いならば。
「消費は投票行動」と意識してブラック企業にカネを落とすのを止め、是非この社会から排除していただきたい

 従業員を酷使し、あるいは倫理に反する行動をして利益を上げているブラック企業を潰さずに儲けさせるのは、他の従業員を大事にする真面目な企業に割を食わせて「正直者が馬鹿を見る」ような思いをさせているのも同じである。

 単純に「安いし、便利だから」とブラック企業を利用して栄えさせるのは、ただ愚かであるだけでなく、この日本を駄目にする亡国の行為と理解していただきたい。

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