空と虹と恋と

 大好きな写真のこと、そしてゲームやコミックスの話から歴史&時事問題まで、思いつくまま雑多に語ってみたいと思っております。さらに筆者の度重なるイタい失恋話についても、どうぞ憫笑しつつお読み下さいまし。

お受験(12)・大学に入って“ぼっち”になるのは…

 黒沢はC大はホントに滑り止めのつもりで受けていて、実際に通うことなどと想像もして無かったからさ。だから合格したとわかった後も、「いっそ浪人して、もう一度A大とB大を受け直そうか」なんて、ちょっとだけ思いかけたりもしたよ。
 けど「受かったのに行かないとしたら、ただ時間と受験料をムダにしただけになるじゃん」って思い直してさ。で、少し迷いはあったけれど、そのままC大に行くことにしたよ。

 マンモス大学だけに、まず入学式から武道館で。そしてキャンパスは都区内で、オリエンテーション期間に行けば、いろんなサークルが盛んに勧誘してて。
 ただ私大の中では授業料が三本の指に入るほど安いだけに、校舎は薄汚い上に劣化もヒドくて、特に学食など「どこの場末の飯場だよ?」って感じだったよ。だから学生サークル用のスペースなんか、マジで地下倉庫という感じでさ。

 都区内の狭い敷地内にギッシリ建てられたボロの校舎の群れの中でも、旧七号棟と呼ばれている校舎の朽ち果て具合なんか特にヒドくて、殆どもう廃墟、って感じだったよ。
 古~い木造の三階建てで、昼も薄暗い廊下の床板は所々腐りかけていて、天井から裸電球がぶら下がっていて……という感じ。
 だから通称、お化け屋敷
 老朽化が進み過ぎて危険なんで、もう教室としては使われてなくて、でも取り壊す予算もないんそのまま放置されていて。で、そこを一部のサークル(←殆ど体育会系)が半ば無断で占拠して使っててさ。
 廃墟ブームの今なら、ちょっとした観光スポットになったかも知れないけれど。でも当時はただ不気味がられるだけで、大部分の生徒は近寄ろうともしなかったな。
 実際、「何年か前の大学祭の晩、ある女子学生がその旧七号棟に拉致られて、そこでレイプされて殺されて……」という噂が囁かれていたくらいだから、「あの“お化け屋敷”にはユーレイが出る」という噂も、マジでシャレにならなかったデス。
 ま、旧七号館のその殺人事件やユーレイの話も、実際は都市伝説的なデマだろうと思うけどね。

 ネットでは「大学に行った途端にぼっちになった、高校時代は良かった」みたいな話も時々目にするけれど、少なくとも黒沢の周辺ではそんなコトは無かったなー。
 黒沢が行ったC大の史学科は、偏差値はともかく競争率だけは高かったからね。だから受かった生徒は、もうそれぞれ“各県代表”って感じだったよ。ホントに同じ市どころか、同じ県から来た人だって殆ど居なかったくらい。
 そんな感じで、皆が知り合いなど誰もいない中に一人でやって来て、同じ“ぼっち”の状態から少しずつ仲良しグループを作っていってさ。

 だから黒沢としては、中学から高校に進学した時の方がむしろキツかったな。だって地元の高校に進学するとさ、同じ中学から来たヤツらが最初から固まって楽しそーにして、割り込めない空気を作ってたりするじゃん。
 けど黒沢が行った学科では、入学した時点では皆が知らない者同士で、少なくともスタート地点では互角の条件で友達作りを始めたから。だからもし入学した後もずっとぼっちのままだったとしたら、原因はその本人にあるとしか言えないワケで。

 それに黒沢が進学したのは、経済学部とか英文学部とかじゃなく、何たって文学部史学科だよ? 仲間は歴史オタクみたいなダサいのばっかりで、リア充のイケメンなんて殆ど居なくてさ。
 おかげでそれまで女友達はいても、いろいろフラれてばかりだったこの黒沢がだよ、リア充のチャラ男扱いされかけて、何となく浮きかけちゃう有り様だよ。

 ただ大学はそれまでと違って、朝からずっと同じメンツで同じ教室にいるワケじゃないからね。同じ科でも取っている講義は人それぞれ違うし、そもそも登下校の時間からバラバラだし。
 だから大学では、それまで以上に自分から動かなければ、友達はなかなか出来ないんだよね。帰るまで毎日ずっと同じ教室の同じ席にいる高校までの時みたいに、自然に友達が出来るワケじゃないんだよ。
 んー、だから「高校までと違って、大学ではどうも周りに取り残された感じになっちゃって、気付いたらぼっち状態に……」って人は、きっと自分から動かなかったからだと思う。

 だってさー、高校までは周りの席は朝から帰るまでずっと同じ奴らだから、シカトやイジメでもされてない限り、自然に口をきくようになるじゃん。
 けど大学は、そうではないからね。教室でどこに座るかも基本的に自由だから、顔見知りの誰かが居たら「おい、一緒に座ろうぜ?」とか自分から言い出せないヤツは、ぼっちになりかねない割合が高いかも。
 でもそれって、逆に言えば「イヤなヤツとは顔を合わせないでも済む」とも言えるよね? 仮に気に食わないヤツが同じ講義を取ってても、気の合う別の誰かを捕まえて、さっさと離れた席についちゃえば良いワケでさ。

 高校までだと、イヤなヤツが近くの席にいても逃げられないし、「気の合うヤツだから」って隣の席にいられるワケでもない。でも大学では、イヤなヤツは避けて気の合うヤツとだけずっと一緒にいることが出来るんだよ。
 だから保育所の頃から通して考えてみて、学校生活の中では大学が黒沢には一番楽しかったし、性に合ってたと思う。ハイ、集団生活とか集団行動って、黒沢は生理的にダメなのでありマス。

 というワケで、大学生になった黒沢は、そこで出会った新しい友らと、それなりに楽しくやっていたけれど。
 まあ史学科っスからね、それなりに居た女子もジミ~な歴女さんばかりでさ。それでも(例の落ちてしまった弥生さんほどでは無いにしても)綺麗な子も数人いて、その数少ない一人のアスカさんとも気軽に喋れる仲になれたし、それ以外にも何人かの女子とも仲良くなれたし。

 でもマキちゃんやマイコさんのこととかも、決して忘れたワケじゃ無かった。特に同じ東京の空の下で頑張っている筈のリホさんの事は、「今頃どうしているんだろう」って繰り返し思ったよ。
 同じ東京のどこかにいる筈なのは、弥生さんだって同じだけれど。ただ弥生さんの場合は、何たって会ったのはB大とC大の合格発表の時の、たった二度だけだからね。
 けどリホさんは、中学二年の時からずっと厨二病でアホな黒沢なんかと仲良くしてくれていた人だから。新しい生活の中でも、忘れようにも忘れられなかったよ。
 ホント、「だったら何でもっと粘って、東京での連絡先を聞いておかなかっんだよ?」って言われてしまいそうだよね。


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