空と虹と恋と

 大好きな写真のこと、そしてゲームやコミックスの話から歴史&時事問題まで、思いつくまま雑多に語ってみたいと思っております。さらに筆者の度重なるイタい失恋話についても、どうぞ憫笑しつつお読み下さいまし。

お受験(16)・正義や愛国心を語りたがるヒトはキケンです

 あのさ、違う立場の人の考えや異論も聞いて、その結果「そういう見方もあるのか」って認めて意見を変えるのって、そんなにダメなことなの?
 人の意見を聞かず、ひたすら自分の考えを押し通して突っ走る政治家こそ「ブレない立派なカリスマ指導者」ってことでホントにOK?

 例えば少し前のNHK大河ドラマ『龍馬伝』で脚光を浴びた、幕末の土佐藩でも。己の正義だけを信じて反対派を殺しまくった武市半平太より、彼に殺された吉田東洋の方が黒沢にはずっと立派に思えるよ。
アカイイト』のヒロイン羽籐桂ちゃんではないけれど、「ストップ、独善」って黒沢もホントそう思うよ。
 けど東京都民も大阪府民も“独善”の政治家を選んできたし、日本人自体もそういう指導者を信じてついて行くのが好きだよね。

「信じる」って、黒沢から見ればただの思考停止状態にしか見えないんだけど。
 でも多くの日本人は信じるのが好きだし、と言うより「信じることは美徳」って感覚だよね。だって子供向けのアニメから大人が見るドラマまで、信じることの強さと素晴らしさを訴えてばかりでしょ。まるでもう何かの宗教の洗脳みたいに、「信じなさい、信じるキモチが一番大事なの」って繰り返してさ。
 アニメにもなってる少年ジャンプの某超人気マンガもさ、結局ただ「ナカマが大事、ナカマの絆を信じろ!」って繰り返してるだけでしょ。そして子供よりいい大人の方がそれにカンドーしてハマっちゃってるんだから、この国の大人たちってもう……。
 けど昔の人気アニメって、そんなに気安く「信じろ!」って訴えたかなあ?

 アニメを子供向けから大人が鑑賞できるものに引き上げたのは、知る人ぞ知る初代『ガンダム』だけど。その初代ガンダムは今のアニメと違って、「ナカマを信じろ!」とか「正義の為に戦え!」とか強く訴えたりしてないから。
 その少し前の『宇宙戦艦ヤマト』だって、敵の侵略者にもそれなりの事情があり、正義の為に戦ってるつもりが、実は自分達も異星人たちから見れば侵略者と大差ないものだった」ってメッセージも込められていたりしたんだよ。
 けど、今のアニメって「信じる気持ちの素晴らしさと大切さ」を、洗脳するみたいに繰り返すようなのばかりだよね。

<劇場版>美少女戦士セーラームーンS [DVD]<劇場版>美少女戦士セーラームーンS [DVD]
(2005/04/21)
三石琴乃、藩恵子 他

商品詳細を見る

 恥ずかしながら『セーラームーン』、黒沢も時々見てマシタ。元祖美少女戦士のヴィーナス、それに巫女さんのマーズがちょっとお気に入りで……。ファンの方々には申し訳ないけれど、大きなお友達の方々に大の人気だった亜美ちゃんの良さは、実は黒沢にはちょっとわかりませんデシタ。
 ま、『ドレミ』や『プリキュア』と同じでキホンは低年齢の女児が対象だから、ストーリーがヌルくても当然だし、初代の『ガンダム』みたいな深い中身を求めること自体が間違ってるんだけど。うん、それは黒沢もよくわかってる。
 でも美少女戦士たちのバトルをニヤケながら見ていられたのは『セーラームーンR』までだったよ。次の『セーラームーンS』の途中から、見ていて何か腹が立ってきて、話の続きを見るのがいつの間にか苦痛になってしまってた。

 その原因は、『セーラームーンS』でストーリーのキーになる土萌ほたる。絵に描いたような(って言うか、そもそもアニメは“絵”なんだけれど)可憐な病弱美少女で、だから大きなお友達のファンも少なからずいて、マニア向けのショップでは、彼女のフィギュアもいろいろ売ってたくらい。
 でも黒沢はこの土萌ほたるで熱が一気に冷めて、セーラームーンを見るのを止めちゃいマシタ。

 簡単に言うと、土萌ほたることセーラーサターンは実は敵の秘密兵器みたいな存在で、彼女が覚醒しちゃうと地球が滅びちゃうワケ。だからセーラームーン達より少し大人の(と言ってもJKだけど)セーラーウラヌスとセーラーネプチューンは、地球&人類全体のことを考えた末の苦渋の決断で、土萌ほたるの命を狙ってる。
 けれど主人公の月野うさぎ達は、「だって、トモダチだもん!」って純粋なキモチとコドモの論理で、地球を破滅の危機に追い込んでも土萌ほたるを守ろうとするんだよ。ほら、あの「ひと一人の命は、地球より重い!」ってやつを、うさぎちゃん達はマジで実践しちゃうのでアリマス。
 で、強大な敵と戦いながら、土萌ほたるを巡ってセーラー戦士同士で内輪もめ……と。

 ひと一人の命と地球とどちらが重いかなんて、「そんなの、考えるまでもないダロ」と黒沢は思うんだけど。それにその一人の命を守ったところで、肝心の地球そのものが滅んでしまえば、結局守ろうとした一人も一緒に死んじゃんだよ? それって何も意味ないじゃん、ねえ。
 でも何せ視聴者層は(表向きは)主に小学生の女児だからね、結局はうさぎ達の「信じるキモチと友情の力」で土萌ほたるは救われ、同時に地球も救われるのでアリマス。

 ……わかってたけどさ、どうせそういうオチになるだろう、って。けどそれでも「信じるキモチが一番、信じるキモチさえあればどんな敵にも勝てる!」って思想を大真面目に説かれちゃうと、ひねくれ者の黒沢は胸がムカついて気分が悪くなってしまう
 その「信じるキモチ」とやらに頼って国力差も無視し、資源も戦略も無いままアメリカに喧嘩を売って、結果多くの国民を死に追いやった過去の歴史をちょっとは反省しろよ、って。

 敵に勝つのに必要なのは、まずは戦えるだけの力、そして次が悪知恵に近い頭というか戦略。これはただ戦争だけじゃなくて、政治でも商売でも、社内や教室内の勢力争いでもみんなそうだから。
 信じるキモチとか精神力とか、そんなの現実には子供のケンカでも何の役にも立たねーんだよ。戦力も戦略もないくせに、ただ「信じて頑張れ!」とか叫ぶ正義のヒーローって、超ウゼエ。

水戸黄門DVD-BOX 第一部水戸黄門DVD-BOX 第一部
(2012/03/23)
東野英治郎、杉良太郎 他

商品詳細を見る

 黒沢って、ガキの頃によく“正論”を振りかざして「間違ってる、周りのみんな」と戦っては、何度もフルボッコされてきたからね。「いくら正しくても、力が無ければ勝てない」って現実が、骨の髄まで染み込んでるんだよ。
 勧善懲悪がウリみたいなあの『水戸黄門』だってさ、助さんと格さん(アーンド風車の弥七や柘植の飛猿)が強いからこそ、「娘さんにカラんでる昔のDQNども」に勝てるんじゃん。いくら正義の味方のつもりでも、腕っ節が八兵衛レベルだったら、逆に悪者に袋叩きにされて、娘さんは連れ去られてテゴメにされるのがオチだって。

 あの戦争も、現実には大和魂では“鬼畜の米英”に勝てなかったし、神風も吹かなかったよね?
 あの『宇宙戦艦ヤマト』や初代の『ガンダム』では、「信じて戦え!」なんて訴えたりしなかった
 例の『セーラームーンS』だって、少なくとも理想論と現実論の間の葛藤はあったんだよ。セーラームーン達の“信じるキモチ”によってキセキが起きちゃって、土萌ほたるを殺さなくても地球を救えた後の、ウラヌスとネプチューンの「自分達は、いったい何の為に戦ってきたのだろう」という苦悩には、何か身につまされるような共感すら覚えたし。

 でも多くのアニメやマンガって、「それだけの力が無ければ、悪には絶対に勝てない」という面はあえてスルーして、と言うより半ば確信犯で「考えるな信じるんだ、信じるキモチさえあればキセキは起きるし、どんな強大な敵にも勝てる!」みたいな洗脳を繰り返してるんだよねぇ……。
 その子供の頃から繰り返されている「信じるキモチが一番大事!」って刷り込みが、黒沢はマジで怖いんだよ。

 例えば正義なんてものはね、現実には「トークで味方を増やすのに使う武器」でしかなかったりするんだよ。だから戦争の時には、どっちの側も「セイギは我にあり!」みたいなコトを力説するワケで。
 政治的指導者にとって正義だの愛国心だのなんてのは、ぶっちゃけ「国民をダマして兵隊にして、戦場に送り出す為のもの」でしかないんだよ。
 だからバトル有りの少年向け熱血マンガやアニメで「正義の為に戦え!」とか洗脳みたいに繰り返すの、マジで止めてほしいと思うよ。

 自民党も民主党も、中でも維新の会は特に「正しいのは自分達で、悪いのは相手」みたいに言ってるし。同じように中国も韓国も北朝鮮も、「日本は悪で、正義は我が国にあり!」と思ってるし。ドクロの旗を掲げる“海のSS”ことシーシェパードだって、「自分達こそ正義の味方で、鯨やイルカを殺す日本人は野蛮人だ!」と思ってるし。
 そうそう、SSと言えばかのヒトラー配下の第三帝国の兵士達だって、ショッカーとかみたいに「俺たちゃ世界征服を目指す悪の軍団だぜ!」とか思ってたワケじゃないんだよ。祖国を救う為に悪(←共産主義とユダヤ人)と戦っている、正義の戦士のつもりだったワケでさ。
 ナチも北朝鮮もシーシェパードもさ、結局みんな「正しいのは自分達で、セイギの為に戦ってる」と信じてるんだよ、悲しいくらいマジで。

 だから黒沢はセイギなんか信じないし、と言うより何かにつけて正義を振りかざして「信じてオレについて来い!」みたいなスタイルの指導者(政治家でも宗教家でも)ほど、マジで胡散臭いヤバい奴にしか見えないんだよ。
 世の中を敵と味方に“わかりやすく”分けて、「諸悪の根元はオレの“改革”に反対する敵のヤツらで、抵抗勢力をブッ潰せば世の中すべて良くなる!」みたいに叫ぶ政治家ってのは、本質はヒトラーと同じだからね。
 そうそう、スターリンや毛沢東は違うけれど、ヒトラーはちゃんと選挙で国民に選ばれたワケで。だからこの国でも選挙で“ヒトラー”が指導者に選ばれてしまう可能性が、本当にあり得るのだよ。

「独裁者を選挙で選んじゃうって? 国民はそんなバカじゃないよ」と言う人、きっとかなり多いだろうね。
 でもこれまでの選挙の結果を見ても、黒沢は「我らが日本人は、民主的な選挙で独裁者を選びかねない」って本気で思ってる。
 ハッキリ言うとね、黒沢はセイギとかだけじゃなくて、日本人の理性や知性も信じてないんだよ。だって太平洋戦争の時の、あの集団ヒステリーみたいな熱狂ぶりを見れば……ねえ。

「欲シガリマセン、勝ツマデハ」で、日本が勝つと信じない者はみな非国民扱いでイジメ抜いて。そのくせ一度負けたら、掌返しで鬼畜の筈のアメリカさんにギブ・ミー・チョコレートでしょ。
 天皇陛下は神で「お国の為に喜んで死にます」が、あっと言う間に民主主義万歳で、何でも自由がイチバン。僅か数年で平気でこれだけ一八〇度変われるこの国民の、どこに知性や理性がありマスか?

 近年劣化(スイーツ化?)の度合いを増しつつあるNHK大河ドラマだけど、その第一作は井伊直弼と長野主膳の生涯を描いた『花の生涯』だったんだよね。その原作者の舟橋聖一は、本の中でこう書いているんだよ。

知性の薄い、亢奮しやすい頭脳が、この国では熱血漢として珍重されている

 日本人って、ホントに全くその通りなんだよね。
 尊皇攘夷の志士達がこの国を具体的にどう変えるつもりなのかも、その結果自分ら国民の暮らしがどうなるかもよくわからないまま、殆ど気分で「ええじゃないか!」と幕府をブッ倒しちゃったのが、かの明治維新ってやつでしょ。 今、維新、維新と叫ぶ政治家たちを好きな人も、同じその種の人達だよね。
 そう言えば『龍馬伝』でも、その種の熱い漢たちwwwが大勢出てきたよね、それも主に、龍馬の仲間や薩長の倒幕側に。
 小泉サンでも橋下氏でも石原閣下wでも、その種のいわゆるカリスマ政治家に一票入れちゃう「誰かについて行きたい信者たち」も、同じように頭でものを考えるのが苦手な“熱血漢”が多いよね。ほら、いつかテレビの街頭インタビューで、「橋下さんの改革に反対するヤツは、オレが行ってブン殴ってやる!」と息巻いてた、威勢の良い大阪の兄チャンみたいな……ね。
スポンサーサイト

PageTop

コメント


管理者にだけ表示を許可する