空と虹と恋と

 大好きな写真のこと、そしてゲームやコミックスの話から歴史&時事問題まで、思いつくまま雑多に語ってみたいと思っております。さらに筆者の度重なるイタい失恋話についても、どうぞ憫笑しつつお読み下さいまし。

お受験(17)・ダマされたと平気で言える人達は…

 例えばさ、今キミが住んでる家がとても古くてボロで、しかも不便で土台も腐ってるとするよ。で、キミは「一日も早く、もっとマシな家に引っ越したい」と思ってる。
 だとしてもさ、ちゃんと新しい住処を見つける前に、まず今のボロ家をブッ潰しちゃうバカはいないよね。
 まあキミ自身はさ、「あー清々した、あんなボロ家にこれ以上住むくらいなら、公園のベンチで寝た方がマシだ」って思うかも知れないね。でもさ、キミのその“気分”の巻き添えになって、住処を無くしてしまったキミの家族はいい迷惑だってば。

 家だけでなく車でも家電製品でも何でも、「買い換えるのは、よく確かめて今のモノより間違いなく良いものを見つけてから」ってのが、理性と常識ってもんでしょ。ただ「気に入らないから」って、今あるモノをまずブチ壊して捨てちゃうバカが、どこにいますかって。
 政治もそれと同じでさ、一票を投じるなら「その政党や政治家が(三行以内の耳ざわりの良いキャッチコピーでなく)具体的にどんな国を作ろうとしていて」、そして「その政策は本当に国民の為になるもので、現実に実現可能なのか?」をよく見極めてからでないと、ヒトラーを指導者に選んだドイツ人達と同じように痛い目を見ることになるよ。
 よく「この国を一遍ガラガラポンして」って言う人達がいるけれど、国の政治ってそんなに気安く「ガラガラポン」して良いものなの? だって“政治”って、多くの人の命や生活がかかってるんだよ。

 あの小泉サンを信じてついて行って、この国はどうなった? 格差が広がり、派遣さんばかりになって福祉も切り捨てられただけでしょ。
「痛みに耐えて」と彼は口癖のように言ったけれど、その痛みは国民のみが引き受けて、投機筋や金融屋などの一部の金持ちや外資は肥え太ったよね。小泉サンの改革を支えたさる金融会社が、小泉改革を利用してどれだけ儲けたと思う?
 戦争でも政治改革(改悪?)でも原発でもそうだけれど、後になって「ダマされたー!」と後悔しても取り返しのつかないことって、ホントにいっぱいあるんだよ。
 だから多くの人々の暮らしと命を左右する政治家には、「この国を一遍ガラガラポンして」だなんて、マジで気安く言って欲しくないよ。実際、その種の政治家に、時代の空気や気分で気安く一票を入れちゃう人が多くいると、国がどんどん悪い方に転がってっちゃうんだよね。

夜明け前 全4冊 (岩波文庫)夜明け前 全4冊 (岩波文庫)
(2010/08)
島崎 藤村

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 島崎藤村の『夜明け前』にも描かれてるように、幕末の民衆って倒幕派の具体的な政策もろくに知らないまま、ただ「今より良くなるだろう」と信じて「ええじゃないか!」と暴れて薩長に手を貸してさ。そして出来た新政府に税を増やされたり兵隊に取られたりした後で、「ダマされたー!」と嘆いたり怒ったりしてるんだよね。
 もちろん悪政の一番の責任は政治家にあるんだけど、その「ダマされて信じてついて行った人達」は、何も悪くないし何の責任もないワケ?
 ヒトラーや日本の軍部にダマされないで戦争に反対していた人達だって、そして福島原発に「アレはヤバい」って警告していた人達だって、少数にしても間違いなくちゃんといたワケじゃん。
 後になってから「ダマされたー!」とか言って被害者のような顔をしている人達って、そのダマされなかった人達に何て言い訳つもりなのかな?

 中身もよくわからないまま気分で倒幕に走った『夜明け前』の主人公は、新政府に「裏切られて」不幸になったけれど、それは気の毒ではあるけれど自業自得だとも言えるよ。
 でもさ、尊皇攘夷の気分や薩長のウマい話にダマされなかった者から見れば、夜明け前』の主人公は犠牲者なんかじゃなくて、「世の中を悪い方に引っ張ってって、皆の暮らしを悪くさせた加害者の一味」でしかないんだよ。

 よく考えてみて。
 民衆の支持なしに、ヒトラーとナチスは政権を取れたかな?
 かの福島原発も、「地元の人達はみな反対してたのに、トーデンと悪徳政治家が悪代官と越後屋のように結託して、国家権力でゴリ押しで建設してしまった」の?
 あの無謀な太平洋戦争の時も、国民はホントは戦争反対だったけど、軍と特高警察に怯えて仕方なく従ってたの?

 ……そうじゃないでしょ。威勢だけ良い軍人さんやタチの悪い扇動政治家、そして口が巧く甘い餌をチラつかせる悪徳商人を、信じてついて行った大衆がいたからこそ、戦争もできたし原発もできちゃったんだよね?
 ヒトラーにも日本の軍部にも原発にも、反対してた人達は間違いなく居たんだよ。けどその人達を無視したり、場合によっては罵声を浴びせてイジメたりしてたのは、いったいどこの誰なの?

 あの太平洋戦争もさ、国民は嫌で嫌で仕方なかったワケじゃないんだよ。当時の大部分の人達は初戦の日本軍の勝利に大喜びして、「ボクも兵隊サンになって、鬼畜米英を倒してやるんだ!」って意気込んでたんだよね。
 あの戦争は、軍と警察と一部右翼が無理矢理始めたワケじゃないの。「交渉で譲るなんて出来るかい、こうなったらもう戦争だ!」って“気分”は、国民自身の間から盛り上がってたんだよ。
 戦争に少しでも疑問を持つ人に非国民のレッテルを貼って、吊し上げにしていろいろイジメてたのは、コワ~い特高警察より先にまず隣組の普通のオッチャンやオバチャン、つまり国民自身だったんだ。
 でさ、後になって都合が悪くなると必ず言うのがあの台詞、「ダマされたー!」ってやつね。

 その“ダマされた人達”って、ホントに何の責任も無いのかな。戦争に疑問を持つ人を「非国民!」ってイジメ抜いても、「それが時代の空気だったし、皆がダマされてたから仕方ないんだ」ってコトでホントにOK?
 うんそうだよね、だから福島原発を作るのに賛成した人達は何もワルくない、よね?(ハイ、この最後の一言はもちろん皮肉と嫌味ですとも、念のため)
 そうして後で「ダマされたー!」とか言う人達ってさ、自分達一人一人が世の中を主に悪い方向に動かしてきたことに気づこうともしないで、「自分達は何も悪くないし、むしろダマされた被害者」って思ってるんだよね。
 特に今の日本は民主主義で、バカでも既知外でも平等に一人一票だからさ、選挙の結果もたいていモノをよく考えないで気分や空気で動く、舟橋聖一が『花の生涯』の中で描いた「知性の薄い、コーフンしやすい熱血漢たち」によって決められちゃうんだよね。
 で、後になって「ダマされたー!」とワメいて、信じたおバカな自分の責任は棚に上げて、「悪いのはダマした指導者のせい」ってコトでチョン。

 あの戦争が終わって間もなく、映画監督の伊丹万作はこう書いているんだよ。

『だまされていた』といって平気でいられる国民なら、おそらく今後も何度でもだまされるだろう。いや、現在でもすでに別のうそによってだまされ始めているにちがいない。


 よく考えてみて、あの戦争が終わってからだけでも、あの伊丹万作氏が言うように我が日本人は何度「ダマされたー!」って言ってきたと思う?
 まずゲバ棒振り回して暴れてた全共闘世代が「ダマされたー!」って言って、社会科学とやらを信仰してたサヨクの人達も、共産主義の実態がバレて「ダマされたー!」って言って。
 そんな昔の事じゃなくて今世紀に入ってからだって、小泉改革に一票入れて「ダマされたー!」、そして民主党に一票入れて懲りずにまた「ダマされたー!」でしょ?

 で、我ら日本人は何でそんな簡単にダマされるのかと言うと、「よく考えもしないで、根拠もなく簡単に“信じて”ついて行くのが好きだから」だよ。だっていちいち考えるのはメンド臭いし、自分の頭で考えるより「信じた誰かについて行く」方がずっとラクだものね。
 で、子供向けのアニメから大人のドラマまで、「信じることの素晴らしさ」を、まるで洗脳みたいに繰り返してるし。ほら、あの「信じて頑張っていれば、いつか神風も吹くし奇跡も起きマス」ってやつね。
 でもさ、その「根拠もなくろくに考えもせずに“信じる”のが好きな人達」が選挙で政治を動かす度に、ちゃんと頭でものを考えてる人が多大な迷惑を被ってるんだよね。

 維新の時代に薩長に唆されて「ええじゃないか!」と暴れて、ワケもわからないまま幕府を倒して。その結果、国民は富国強兵策で江戸時代より税を増され、徴兵制度で兵隊にも取られて。そして八紘一宇だの大東亜共栄圏だのとの美名のもとに、無謀なアジア征服戦争に一直線でしょ。
 その同じ“維新”の名を持つ政党が、二十一世紀のこの日本にもあるよね。その政党が天皇賛歌でしかない君が代をダイスキで、法律で強制してまで皆に歌わせたいのは、ホントに単なる偶然なのかな?
 前にも引き合いに出した「日本を一遍ガラガラポンして」と言ったのは、かの『維新の会』の橋下氏だけれど。少なくとも黒沢は、自分の国の未来を「ガラガラポンと」なんか変えられたくないよ。

 けど日本人の多くは、自分の国をガラガラポンしたいんだよね?
 ……っとにもうこの国の人達って、何度ダマされても懲りないと言うか、信じてはダマされるのが好きなんだよね。

 黒沢は大学の史学科では国史専攻コースをとったけれど、世界史もかなり好きだよ。特に古代ギリシアと古代ローマの歴史はとても面白くて、その時代に関する本は今でも読み続けているよ。
 中でもギリシャのアテネのアルキピアデスって政治家の生涯は、今の日本の政治を考える上でも特に興味深いよ。
 そのアルキピアデスは才能はあるのだけれどものすごい野心家で、自分の利益の為なら祖国を売って敵のスパルタに寝返っちゃうような大悪党でさ。でもアテネの民衆は、そんな悪党の売国奴をずっと支持し続けたんだよ。
 何故ならアルキピアデスはすごく口が巧い上に、かなりのイケメンだったから。

 古代ギリシアと古代ローマの歴史の何が面白いかって、アテネやローマの政治史を見れば、国の政治体制がどう移り変わるかがよくわかっちゃうんだよね。
 簡単に言うと、世の中は絶対王政から貴族の寡頭政治に変わって、それが民主政治に変わるの。けど民主政治も長く続くと堕落して衆愚政治になって、大混乱の後にカリスマ指導者(独裁者)が出てまた絶対王政に戻って……。
 世界の歴史を見る限り、政治ってそんな感じで絶対王政(独裁政治)→貴族(元老院議員とか政治委員とか)の寡頭政治→民主政治→衆愚政治→独裁政治と、無限ループを繰り返すのが必然なんだよね。

 せっかく政権を取った民主党は国民に愛想を尽かされかけているけれど、選挙で勝った自民党自体も完全に信頼を取り戻したワケじゃない。そんな中で国民に人気を保っているのは、小泉サンや石原閣下w、そして「独裁が必要」と公言する橋下氏や、この日本を昔の大日本帝国に戻したい安倍総理で。
 さて今の日本は、例の絶対王政が衆愚政治にまで落ちてまた振り出しの絶対王政に戻る無限ループの中の、いったい何処にあると思う?
 だから黒沢は、未だに小泉サンや石原閣下(w)に期待するだけでなく、独裁上等の橋下氏を歓迎し安倍総理を支持する今の時流が怖くて仕方ないんだよ。

 もしこれを見てくれた人の中に、マンガを描いたりアニメを作ったりしている人が一人でもいてくれたなら。頼むから貴方だけでも、「さあ信じなさい、信じるキモチがあれば奇跡も起きる!」と子供達を洗脳するのは止めてくれないかな
 あるいはもしも、ドラマの制作関係者や作家が一人でもいてくれたなら。「知性の薄い、亢奮しやすい頭脳の持ち主」を、カッコいい熱血漢のヒーローとして描くのを、頼むから止めてくれないかな
 考えるのがキライで信じたがりの興奮しやすい熱血漢たちに、この国がどんどんヤバい方向に押し流されそうで怖いんだよ。
 少なくとも初代の『ガンダム』と『宇宙戦艦ヤマト』は、子供達に「信じて戦え、奇跡は起きる!」とは訴えなかったよね?

 実は黒沢って、ただ中学生の頃にヒトラーの『我が闘争』を読んでただけでなく、筋金入りのドイツ軍マニアのミリオタなんだよ。もう戦争映画でドイツ兵をチラっと見ただけで、階級とか持ってる武器とか殆ど全部わかっちゃうくらいだし。出てくる戦車や軍用車の名前だって、ほぼすべて当てられるしね。
 ミリタリーグッズも雑納やらSS少佐の肩章やら幾つか持ってるけど、中でも大事にしているお宝は、錆びかけた空の弾倉が一個入った、ホンモノのシュマイザー短機関銃の弾倉ケースで。
 戦記モノの本もいろいろ読み漁ったし、マンシュタイン元帥やハインリーチ上級大将、それにビトリッヒSS大将やクルト・マイヤーSS准将など、武装親衛隊も含む幾人かのドイツ軍の指揮官達は本気で尊敬してるし。
 憲法は根っからの改正派で、自衛隊もさっさと日本国防軍にすべきだと思うしで、大学生の頃にはサヨクの学生達と何度も口論したよ。
 そんな黒沢だけれど、石原閣下wや橋下氏や安倍総理がもてはやされ、田母神氏に六〇万票以上入るような今の日本の状態は、どうにも我慢できないんだよ。
 今のこの国の人達に、『アカイイト』のヒロイン羽藤桂ちゃんの言葉を借りてもう一度言いたいね。
ストップ、独善

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