空と虹と恋と

 大好きな写真のこと、そしてゲームやコミックスの話から歴史&時事問題まで、思いつくまま雑多に語ってみたいと思っております。さらに筆者の度重なるイタい失恋話についても、どうぞ憫笑しつつお読み下さいまし。

お受験(18)・相手を思いやるよりまず自分の感情優先なゲーム

 さて、「KIDのゲームは好きだけれど『モノクローム』その他、幾つかの作品はキライ」というあたりから、話がメチャ逸れまくっちゃったけど。
 黒沢が『モノクローム』を好きになれなかった理由って、ズバリ「主人公がガキ」ってこと。
 その主人公って高校を卒業しても進学も就職もせずにいて、姉が理事長をしている学園の寮に住んで、姉の仕事の手伝いなどをしているのだけど。ま、ぶっちゃけ言えばただのニートだね。
 ただ一見クールな美男子なんで、周囲の女の子達にはモテモテ……と。

 いや、別に「クズニートがモテモテだから気に入らない」とかじゃないって。やるコトがガキと言うか、言い換えれば「選択肢で自己チューな言動ばかり選んで行かないと、グッドエンドに辿り着けない」ものだから、死ぬほど感情移入しにくかったんだ。
 設定ではその学園の卒業生だから、殆どのヒロインより年上で、しかもクールで達観しているみたいなキャラなんだよ。でもいざとなると、相手の立場や気持ちより自分の感情を優先しちゃう。
 この話の主人公がさ、『この青空に約束を』の主人公のように「ヒロイン達と同じ高校生で、おバカでケーハクな熱血漢」と言うのだったらね、好きにはなれなかっただろうけど、少なくとも違和感は無かったと思う。けど『モノクローム』の主人公は、その真逆のクールなイケメンOBだからね。
 で、日頃は上から目線で醒めた言動をとりながら、いざとなると自分のキモチ最優先で、お子ちゃまみたいな行動をしちゃう

 できればネタバレを避けたいから、設定をちょいと変えてその例を話すね。
『モノクローム』のヒロインの一人のA子さんも主人公の後輩で、ある方面で才能があって人気者なのだけれど、実は最近スランプで悩んでいると思ってね。ただA子さん自身は負けず嫌いだから、それを表に出さずに明るく振る舞ってる。
 で、そのA子さんの才能を生かすべきイベント、まあ仮に“大会のようなモノ”が近々あると思って下サイ。
 実はこの主人公は、「主人公を幸せにする為に天から降りてきた」見習い天使wと同居しているのだけれど、その巻き舌で喋る見習い天使wが「友達みんな誘って、A子ちゃんの応援に行こうよ!」とか言い出して聞かないワケ。

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 この『モノクローム』ってマジで変なゲームでさ、プレイ中に“視点”が何度も変わるんだよ。最初は「オレは……」とごく普通に主人公の視点で物語が進むのだけど、それが何の前置きもなしに、いきなりヒロインの視点に飛んじゃうの。そして「カレにはああ言ったけど、あたしはホントはこう思ってて……」って調子で、主人公は知り得ない筈のヒロインの心情をいろいろ語り出しちゃうんだよ。
 で、また唐突に「オレは……」と主人公の視点に戻って、さらにまた「あたしは……」とヒロインの心情に飛ぶという、小説では普通あり得ない反則技の繰り返しだよ。

 何しろストーリーの語り手が、いきなり主人公の男になったり相手のヒロインになったりしちゃうんだから、主人公の“オレ”に感情移入しようにも困っちゃいマスよ、って。
 そしてまたそーゆー構成だから、ヒロインの手の内と言うか、「主人公の“オレ”は知らない筈のヒロインの本心」を、プレイヤーは全部知っちゃってるんだよね。
 でさ、その語り手が幽体離脱みたいに主人公からA子さんにチェンジしたパートで、「最近スランプでダメダメで、こんな姿を主人公にだけは絶対見られたくない」と思っていることを、ヒロイン自身がハッキリ語ってるんだよね。
 そういう状態で、A子さんが出る“大会”に「みんなで応援に行こうよ!」って誘われたら、どうするのがA子さんへの思いやりだと思う?
 少なくとも黒沢だったら、「応援には行かないで、その代わり後でそれとなく余分に優しくして見守る」よ。どうしても気になって見に行っちゃうとしても、それならそれでバレないように一人で行って、陰からそっと見守るよ。

 相手が一番イヤがってるってわかってるのに、あえて「皆で一緒に応援に行く」って行動の選択だけは、もうホントに絶対あり得ないって。その人が「絶対見られたくない!」って思ってる姿を、承知の上で「友達ご一同様と揃って応援に行く」って、いったい何の羞恥プレイの強要だよ……っての。
 彼女があえて内緒にしていて、見られたくないと思ってる部分にさ、「仲良しなんだから、ヒミツは持っちゃいけないぜ」みたいなノリでガンガン踏み込んで行っちゃう神経って、黒沢にはどうにも理解できないんだよ。
「親しい相手でも踏み込まれたくない部分」って絶対あると思うし、「秘密=悪」みたいな感覚で人の心に土足で入り込んでくる“善意の人”って、黒沢から見れば正直ウザいし大迷惑だよ。

 でも『モノクローム』の制作者はそうは思ってないようで、その場面での正しい行動の選択肢は「皆で応援に行く」なんだよね。
 で、A子さんの気持ちを優先して「行かない」を選ぶと、そのまま真っ直ぐバッドエンドだよ。A子さんの気持ちを傷つけてプライドをずたずたにしても、皆で応援に行かないと話は先に進まないワケ。
 つまり『モノクローム』の制作者ってさ、相手の気持ちや感情ではなく「心配だから応援しに行くという“自分のキモチ”がとにかく一番大事」って思ってるんだと思う。
 で、皆で派手に応援に行くと、案の定A子さんに激怒されてさ。でもスランプがバレたことで隠し事が無くなって、「結果として心の垣根が取れて、それまで以上に仲良くなれましたとさ」というオチ。

 そしてA子さんは前向きに頑張ってスランプを脱して、もっと大きな世界に羽ばたいて行こうとするのだけれど。
 で、最後の選択肢デス。卒業後もお姉さんの世話になって生きてるニートの主人公であるキミは、そんなA子さんにどう接するべきだと思う?
 選択肢は二つで、
「A子さんがその世界で活躍するのを応援する」
「オレの側にいてくれと言う」
 なのだけれど、黒沢は迷わなかったなー。

 当然「応援する」でしょ。だってA子さんはただの女の子じゃなくて、才能のある特別な子なんだよ? しかもその道での頑張りが実を結んで軌道に乗りかけていて、当人もやる気満々でさ。なのに「夢なんか捨ててオレの側に居ろ」だなんて、少なくとも相手のことを考えたらとても言えない、ってば。
 しかもこの話の主人公、相手と結婚して専業主婦としてラクに養って行けるどころか定職すらない、ヒロインより年上なのにただのクズニートだし。
 にもかかわらず、「応援する」を選ぶとバッドエンドなんだよ。そして相手に夢を捨てさせて“オレの彼女”でいさせるのが、このA子さんのルートのグッドエンドなんだ。
『モノクローム』の制作者って、ガチで「とにかく自分のキモチに正直に生きるのがイチバン!」って思ってるんだろうね。

 うん、まあそれもアリかも。もしもこの話の主人公が、『この青空に約束を』や『FESTA!』などの主人公みたいな、おバカな熱血漢の同級生だとしたらね。
 でも何度でも繰り返して言うけど、『モノクローム』の主人公のキャラ設定は、どのヒロインよりも年上で「クールな学園のOB」だから。「ありえねー!」って心から思ったし、もうウンザリと言うか、そのA子さんから先を続ける意欲が全く無くなってしまったよ。
 けどこの『モノクローム』がネットのレビューなどでも好評で、続編も作られるほどだった……ってコトは。黒沢をウンザリさせた「相手を思いやるより、まず感情優先で自分のキモチに正直に」って生き方が、現実には多くの人に肯定されていて共感を得てる……って事なんだろうね。

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