空と虹と恋と

 大好きな写真のこと、そしてゲームやコミックスの話から歴史&時事問題まで、思いつくまま雑多に語ってみたいと思っております。さらに筆者の度重なるイタい失恋話についても、どうぞ憫笑しつつお読み下さいまし。

お受験(20)・男と女では“嘘”の定義が違いマス

 さて、それでも何とか滑り止めのC大に受かって、念願の東京での一人暮らしを始めた黒沢だけど。
 同じ東京の空の下には、B大の入試の時にキセキの再会をしたリホさんもいる筈でさ。
 でも黒沢は、そのリホさんの居所を捜し出そうとは思わなかったよ。

 そりゃあ逢いたかったさ、もちろん!
 黒沢程度の頭じゃ、受験勉強の手助けもろくに出来ないけれど。それでも少なくとも側に居て、励ますくらいはできると思ってた。
 けど「浪人中は誰とも会わないで勉強に専念する」というのは、リホさん自身の強い意志だったから。事実リホさんは、一番の親友も含めてそれまでの友達すべてに、「連絡先も教えないし、受かるまでは絶対会わない」って宣言してたんだよ。

 そうだね、それでも「どうしても!」ってゴネ続けたら、もしかしたら最後には折れて連絡先くらいは教えてくれたかも知れない。「会うのは無理だけど、たまに手紙をくれるくらいなら」みたいな感じで。
 だってリホさんは気は強いけれど優しい子で、別々の高校に行った後も、こんなダメダメな黒沢をずっと見捨てずにいて、お願いすればちゃんと時間を都合して会ってくれていたし。

 でもリホさんは、それまでの友達全員と一時縁を切ってまで、あえて全寮制の予備校を選んだんだよ? その貴重なリホさんの一分一秒を、「オレの為にも使ってほしい」なんて言えると思う?
「ただ逢いたい」って自分のキモチより、黒沢はリホさんの意志と未来を大切にしたかったんだよ。
「受験なんかカンケーない。ホントに好きなら、どうしても逢いたいって気持ちを伝えるべきだ」という人とは、正直に言って黒沢は永遠にトモダチになれないと思う。
「受験よりもっと大切なものがあるだろ、オレとの愛を一緒に育てようぜ?」とか真顔で言える神経など、黒沢はとても持ち合わせてないよ。

 自分のキモチに正直に
 そう言えば聞こえは良いけどさ、それってただ「オレさまの感情を最優先で!」って言ってるだけじゃないのかな? そこに相手の気持ちや立場や将来などモロモロに対する配慮なんかまるで無いわけで、ズバリ「自己チューの美化」でしかないよ。

 高校の時ずっと好きだったマイコさんや幼なじみのマキちゃんとも離れて、自ら望んだこととは言え、黒沢は東京でたった一人だった。
 大学では新しい友達も出来たし、その中には同じ学科の女の子もいて、大学の近くの小洒落たパスタ屋に一緒にランチを食べに行ったりもしたよ。
 けど心を許して何でも話せる相手なんて、そう直ぐ出来る筈もないからね。大学では周囲の皆と楽しくやってたけれど、その誰とも上辺だけの付き合いでしかなかった。
 だからリホさんとはすごく逢いたかったし、とにかくいろいろ話をしたかった。
 けどリホさんは、「来年、行く大学が決まったら連絡するから」とも約束してくれていたから。だからその日が来るのを、黒沢はずっと待ち続けていたわけデス。
 その結果だけど、それはもう笑っちゃうくらいムザン(傍から見ればメシウマ?)な結末だったよ。

 一年後の春、ずっと待っていたリホさんからの連絡はまるで無いままでさ。
 ……もしたしたら今度もまたダメで、二浪ケテーイとか?
 ただ待つうちに三月も下旬になって、黒沢の頭の中にはそんなイヤな考えまでよぎったりしたよ。現に大学の同じ科には、小柄で童顔で見かけは高校生なのに実は二浪で既に成人式も済ませていた、ケーコさんという人もいてさ。
 それだけに約束の連絡がナイことに対する心配が、胸の中で大きく膨れ上がってきてさ。

 その春休みの間、黒沢はずっと地元に戻っていて、だからリホさんも合格が決まり次第地元に戻って、すぐに連絡をくれる筈と思ってたんだ。思ってたと言うより、「信じてた」って方がより正確かな。
 うん、黒沢はそのくらいリホさんのことを信頼してた。
 けど相変わらず連絡のないまま春休みも終わりかけ、そろそろまた東京に戻らなければならない時期が迫って来てしまって。それで黒沢は、たまりかねてリホさんの実家に電話してみたんだよ。
 くどいようだけど、この時代にはまだケータイなど夢の存在で、電話は家電しか無かったんだよね。

 するとリホさんは、とうに地元の家に帰ってたんデスよ。そしてちゃんと合格もしていて、MARCHクラスの大学に入学も決まっているとのことで。
「だったらさ、何で連絡くれなかったの?」
 自然と責めるような口調になる黒沢に、リホさんは実にサラっと、こう言ってくれマシタ。
だって向こうで彼氏が出来たから。同じ寮の人で、私が合格できたのも彼のおかげみたいなものだし」

 ……やられた、騙された。
 何かそんな気がしちゃったのは、黒沢のヒガイモーソーかなあ?
 だってリホさん、浪人中にも実は恋愛とかしてる余裕、ちゃんとあったんじゃん
 すごく会いたかったよ、黒沢だって少しはリホさんの支えになれたと思うよ。その気持ちを抑えて「リホさんのため」と思ってずっと我慢してた黒沢って、まるでバカみたいだよ。
 けどそれは、あくまでも男の側の理屈であってさ。いくら見かけは美少年風で男前な性格でも、リホさんも間違いなく女の子だったんだよね。

 まだ恋愛経験の浅い男子たちの為に、「嘘についての、男の女の意識と解釈の違い」を教えておくね。
 例の“三行で”端的に言うと、「男が思う嘘は結果についてで、女が思う嘘はその時点での気持ちについてなんだ」ってこと。

 例えばあるカップルが、互いに「浮気なんか絶対しない!」と固く“約束”し合ったとするよね。でも結果として数年後に浮気してしまったとしたら、理由はどうあれ「嘘をついたことになる」と思うよね、少なくとも男ならば。
 でも女の人の意識では違うんだよ。女の人達にとって問題なのは数年後の結果ではなくて、「浮気なんて絶対しない!」って約束した時の気持ちに嘘が無かったかどうかなんだよ。
 って、恋愛経験値の低い男子諸君には、まだよく解らないかもね? 少し長い文章になっちゃうけれど、そこんトコをじっくり解説しましょーか。

 女の人が思う“嘘”ってのはさ、ホントはそんな気持ちなど無いのに「あたしは一途だし浮気なんて絶対しないから」って誓っチャウみたいな、初めから騙すつもりでした約束なワケ。
 だから「浮気なんかしないから」と言った時点で、その時の気持ちに嘘がなく真実そう思っていたのでありさえすれば、後で結果として別の人を好きになっちゃったとしても、女の人の意識の中では嘘をついた事にはならないワケ。
 結婚前に「アタシは浮気なんか絶対しないから」と固く誓いながら、数年も経たないうちに「仕事ばかりでかまってくれなくて寂しかった」とか、「結婚前みたいなときめく気持ちがなくなっちゃったから」とかで浮気しちゃっても、女の人の心の中では嘘をついたわけではなくて、マジで全然矛盾してないんだよ。

 こんな黒沢なんかをすごく好いてくれた、ホントに奇特な女の子が居てさ、そのミツキちゃんって子は「もしワタシが死んだら、守護霊になって一樹クンを守ってあげる」とまで言ってくれて。
 ……と言っても、別にメンヘラやヤンデレ系のコワい子じゃないよ? むしろ自分でもかなり気が強い方と認めてるくらいの、男前な性格の子でさ。ルックスも雰囲気も、『カーネーション』のヒロインの尾身真千子に似てるかな。

 その頃の黒沢って、「彼女はできるんだけど、浮気されては乗り換えられる」ってパターンの繰り返しでさ。かなりな女性不信にかかって、野良猫みたいに荒んでなつきにくくなっててさ。「とりあえず餌は貰うんだけど、心はなかなか開かない」みたいな?
 だからそのミツキちゃんも、黒沢を手懐けるのにかなり手こずってさ。「キミをこんなにした、キミの昔の彼女たちを恨むよ」なんて嘆いてたよ。
 でもミツキちゃんはめげないで、「女の子がそんな悪い子ばかりじゃないって、ワタシがわからせてあげる」なんて言ってくれて。それで黒沢もついほだされて、心を許して信じてしまったワケ。

 ……ところがデスね、黒沢はやがてこのミツキちゃんにも浮気されちゃうんだよ。しかもその相手ってのは、何と単身赴任中の妻子持ちのオッサン。
 ハイそうです、某巨大掲示板の家庭版などで言う“プリンちゃん”ってやつだよ。
 黒沢が元カノのフタマタでいろいろ傷ついてたの、よく知ってながら結局コレだよ。

「結局ミツキちゃんもさ、悪く言ってた黒沢の元カノと同じコトするんだ?」
 そう言ったらミツキちゃんは鼻でフッと笑って、普段より低い居直った声でこう言い放ったさ。
「そーだね、そーゆーコトになるね」
 そして続けて小声で吐き捨てるようにこう呟いたのを、黒沢は聞き逃さなかったよ。
「ったく、そんな昔のことをさぁ……」
 まだ結婚願望のある男性諸君、手遅れになる前に言っておくよ。女ってさ、ガチでこういう性質の生き物なんだよ。このミツキちゃんが特に性悪なビッチってワケじゃなくて、女の子って殆どみんな「こんな」なんだよ。

 ミツキちゃんというか女の子の立場で見てみると、まあこういう感じかな。

 つき合ってそう間もない頃の「ワタシは絶対浮気なんかしないし、死んでも守護霊になって守ってあげる!」って言葉は、その時には本気だった。
     ↓
 けど後になって、奥さんも子供もいるオジサマを好きになってしまった気持ちにも嘘はないし、今はそのオジサマを本気でアイシテル。
     ↓
 だからどっちも本当の気持ちであって、結果はどうあれ嘘をついたつもりは全くアリマセン。

 黒沢が「男と女では、嘘の定義が違う」と言った意味、理解していただけたかな?

 例えば「必ず返すから」と固く誓う約束を信じて、友達にお金を借したとするじゃん。で、その友達が約束の日までにそのお金を返さなければ、どんな事情があろうと「嘘をつかれた」って思うよね?
 でも女の人の頭の中では違うんだよ。今月すごくピンチだったからとか、リストラされちゃったとかで事情が変われば、結果的にそのお金を返せなくても「嘘をついたわけじゃない」んだよ。
 問題はあくまでも「借りた時に本気で返すつもりがあったかどうか」であって、初めから騙すつもりでさえ無ければ、結果的に約束を守れなくても嘘ではないという意識でいる、ということ。
 だから断言しよう、女の子に「貴方しか考えられないし、浮気とか絶対しないから」とか言われても、決して本気で信じない方がイイよ。その女の子の言葉の意味を翻訳すれば、まあ「今は貴方のことしか考えてないから、浮気とか当分しないね」ってトコ
 って言うか、そもそも“永遠の恋”なんてあり得ないものだし、それを女の人に望む方が間違ってるんだよ。

 昔、北岡夢子というアイドルが、ある男の子向けの雑誌で恋愛相談をやっていて。その中で、ラブラブだった筈の彼女に突然フられて悩んでる男の子に、「女の子は基本的に“渡り鳥”だからねー」と答えてさ。
 女の人の恋愛って、まさにその通りだから。その時々で一番条件の良い男から男へと、感情のままに飛び回ってるんだよね。黒沢の経験でも間違いなく女の方が気が変わるのも早いし、浮気(と言うか本気のチェンジ?)も多いよ。

 うん、浮気も離婚もしないで死ぬまでずっと添い遂げている夫婦も確かに居るよね。でもそれはただ結果に過ぎなくて、「その相手以上に条件の良い男が、たまたま見つからなかった」だけのことでさ。
 女の子の言うことって、どれも「今のところは」っていう前置きをつけて理解しなきゃダメなんだよ。

 例えばラブラブの彼女に「貴方がいなくなったら、アタシもう生きていけない!」と言われたとしても。それは決して“嘘”ではないけれど、あくまでも「今はね」ってことだから。
 女の人の言うことってホント変わるものだし、気持ちもその時々で変わるものだから、男を乗り換えても心もそう痛まないんだよね。
 だって渡り鳥なんだよ? オトコからまた別のオトコへ、より条件の良い所に“渡り”をするのも、殆ど習性みたいなものなんだから。
 で、それを理解しないで他の男に乗り換えられたくらいでいちいち「裏切られたー、ダマされた!」とか怒るのは、女性の側から見れば例の“器の小さなオトコ”ってことになるんだよね。

 でさ、黒沢を切って妻子持ちのオッサンのところに走っちゃったミツキちゃんだけど。その不倫も相手の家族にバレちゃって、奥さんに「ダンナと別れてあげてもいよ。けどアンタ、私たちの息子(←中学生の男子w)の“母親”になる覚悟あんの?」とか詰め寄られてやんの。
 いくら恋に目が眩んでいても、大きな連れ子コミでの再婚とか言われれば、二十歳そこそこの女子大生としたらそりゃ引くわな。

 で、このミツキちゃん、結局このオッサンとも別れて、大学を卒業して就職して一年かそこらで勤め先の上司と同棲→デキ婚というルートを辿るんだけどね。その後幸せに暮らしてるかどうかは、興味もないし全然知らないや。
 でもミツキちゃんが結婚した相手の会社って、仕事が超忙しいらしいんだよね。しかも結婚した相手は管理職だから、忙しさはなおさら……ね。
 ミツキちゃんが寂しさからまた浮気とかしてないか、或いは今度はダンナを寝取られる立場になってないか、それも知らないよ。

 まあね、黒沢は「写真家になるんだ!」とか言い続けながら芽は全然出ないままだったし、そーゆー夢追い人は世間的にはロクデナシと同じなんだってことぐらい、自分でもわかってるさ。
 だから客観的に見れば、越冬地として見切りをつけられても仕方ないと思う。思うけど、乗り換えられた先がオッサンで不倫というのが、何かとてつもなく悲しかったよ。

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