空と虹と恋と

 大好きな写真のこと、そしてゲームやコミックスの話から歴史&時事問題まで、思いつくまま雑多に語ってみたいと思っております。さらに筆者の度重なるイタい失恋話についても、どうぞ憫笑しつつお読み下さいまし。

過度の飲酒は身を滅ぼす

 当ブログで酒についての話を度々書いている為、筆者について「きっと大酒飲みのアル中なのだろう」と誤解している方もおられるかも知れない。
 しかし実際には筆者は酒にはかなり弱い方だし、酔って乱れる人は生理的に嫌いなのだ。

 実は筆者の父は、酒に飲まれるタイプの酒飲みだった。
 平たく言えば、入院しても治る事の無かったアル中の患者であった。
 毎晩のように酒を飲み、そして飲めば必ずと言うほど人に絡み、怒鳴り、モノを投げて暴れる。
 そういう種類の、実にたちの悪い酔っ払いだった。

 ちなみに父は学生時代には武道をやり筋骨逞しく、若い頃には喧嘩もかなりしたという。
 その父は筆者が生まれる前から大酒飲みで、筆者が物心ついた頃には既に日常的に酔って怒鳴り、そして暴れていた。
 そうした環境で、子供がどのように育つか想像できるだろうか。
 常に父の顔色を窺い、いつキレて暴れ出すかと、杯を重ねる父を怯えの目で見ながら毎日を過ごすのだ。
 そして暴言と暴力の対象になる母を助ける事も出来ず(庇うと父は更にキレてより暴れる)、部屋の隅で縮こまってただ耐えているのだ。
 だから筆者は、大酒を飲んで乱れる人間は今も生理的に大嫌いだ。

 その父は、大酒と不摂生がたたってか五十代の半ばで亡くなった。
 実の父なのだから、亡くなった時にはもちろん悲しかった。葬儀の日は遺族の長男として何とか務めたものの、通夜の晩には涙を堪えるのに苦労した。
 しかし葬儀の後、悲しみは意外に早く薄れた。
 飲んでは怒鳴って暴れる人に怯えずに済む生活とは何とストレスの無い快適なものなのだろうと、気付いてしまったからだ。

 酒乱の夫となかなか離婚しない妻が、よく「酒さえ飲まなければ良い人なのよ」と庇ったりするが。
 亡くなった筆者の父も、その種の人だった。
 家計は決して楽ではなかったが、よく家族ドライブや旅行などにも連れて行ってくれたし、料理などもよく作ってくれた。
 子供の欲しがる物も、無理をしてでも買ってくれようともした。
 思い出してみれば、良い所もいろいろある父だった。
 しかし頻繁に飲む大酒と、飲めば必ず人に絡み、そして怒鳴って暴れる事の繰り返しで、その人としての美点がすべてかき消されてしまうのだ。

 筆者は大学では歴史を専攻したが、その他にも文化人類学や民族学もかなり興味があって好きだ。
 だから筆者は、お年寄りの昔話を聞くのが全く苦にならない。と言うより、昔の人の暮らしぶりを聞くのを、本音で「楽しい」と思う。
 しかし父の昔話だけは聞く気になれなかった。
 何故なら話せば、父は必ず酒を飲み出すに決まっていたからだ。
 だから父が何か話を始めながら酒を飲み出すと、筆者は機会を探し早めに父の居る部屋から抜け出すようにしていた。
 そして父の生い立ちや若い頃の思い出話などを当人から殆ど聞かぬうちに、父は酒の為に亡くなってしまった。

 こういう家庭環境で育ったものだから、筆者の心には飲んで乱れる者に対する生理的な嫌悪感が非常に強くある。
 そしてまた、筆者が社会に出た時期がまた悪かった。
 今はアルハラという言葉もあるし、職場での飲み会に出たがらない若者も増えてきた。
 しかし筆者が社会に出た頃には「飲み会は全員参加が常識」で、しかも「上司や先輩の酒は飲むもの」でもあった。
 イッキ飲みなどと言う言葉もその頃に生まれ、飲み会では酔って乱れるまで飲むのが当たり前だった。

 想像して貰いたい。
 毎晩のように酔って怒鳴って暴れる父に怯えて育ち、酔っ払いにトラウマと生理的な嫌悪感を持つ者が社会に出て、乱れるまで飲む飲み会に強制参加させられ、イッキ飲み等を強いられたら、どんな気持ちになるかを。
 だから筆者は、社会に出て日本の酒飲み達をますます嫌悪するようになった。
 筆者は「付き合いが悪い」と言われても、飲み会への参加は極力避け、その為に飲み会好きな上司に憎まれ、職場で散々いびられ続けた事もあった。
 おかげで「酒飲みはクズだ」という思いが、より深く確信に近いまでになった。

 だが筆者は嫌いだし飲んでも不味いと思うのに、世の中には酒が好きな人が大勢いる。
 だから酒好きで飲み会好きな人に対する反感を強く持つ一方で、「皆が好きな酒を嫌いで不味いと思う自分は、どこかおかしいのではないか」という気持ちも抱き続けた。
 で、時折試しに少しだけ飲んでみるのだが、その度に「やはり不味いや、こんなモノを好き好んで飲む人の気が知れない」と思う繰り返しだった。

 今になって考えてみれば、それも当然である。
 なぜなら当時の酒はビールと言えば副原料入り、日本酒はアル添酒、ウイスキーも原酒を樽熟成ナシのアルコールで希釈した、味わうのではなくただ酔っ払う為のまがい物の酒ばかりだったから。

 ところが青森県を旅した時、青森市のデパートの土産物コーナーで見事なねぶたの絵が描かれた化粧箱に入った、その名もねぶたと言う上北郡おいらせ町の桃川株式会社の純米酒を見つけて。
 そしてその箱絵に惹かれて、つい衝動買いしてしまったのだ。
 値段も四合瓶で千円ちょっとだったし、ラベルと箱絵が見事だったから、「まあ騙されてもいいや」くらいのつもりで、旅の記念のつもりで買ったのだ。
 いや、そしたらそれが、想像以上に美味かったのである。それまで飲み会で飲まされてきた、大手メーカーの酒とはまるで別物の味と香りに驚いた。
 そして筆者は酒を酔う為で無く、良いものを少しだけ味わって飲む美味さを知ったのだ。

 良いものを選んで味わって飲むと、酒は本当に美味い。
 そして適量の酒は、健康にも良い。
 酒は飲み過ぎるともちろん体に悪いが、酒を全く飲まない人より、少量飲む人の方が健康で長生きする事も医学的に実証されている。
 適量の酒は血流を良くする為、体の緊張が和らぎ疲れが取れる。同時に心のストレスも軽減される。

 だがこの“適量”というのは、特に酒飲みから見ればかなり少量だ。
 日本酒やワインなら一合。
 ビールなら大瓶か500ml缶一本。
 焼酎なら120ml。
 ウイスキーなら60ml。
 これを越える酒を常習的に飲むと、心身の健康を損ねる可能性が出て来る。
 そして筆者は、家で一人で飲む時にはこの適量をいつも守っている。

 筆者は酒に関して、このブログで当初は主にウイスキーの事に関して書いていた。
 だがビールや酎ハイなどに関する記事がここのところ増えているのは、筆者の酒を飲むペースが遅いせいだ。
 どうやら筆者は飲んだアルコールを分解しにくい体質らしく、飲むとすぐに酔いが回り、顔や手が赤くなってしまう。それだけに調子に乗って飲めるだけ飲んでいたら、たちまち酔って乱れるあの厭なアル中になりかねないと自覚している。
 だから気の合う良い友と会って飲む時を除いて、普段は例の体に良いと言われる適量を極力守るようにしている。
 あの700mlのウイスキーを一本飲み切るのに、実は筆者は二週間近くかけている。
 毎週違うウイスキー評を書くなど、筆者にはとても出来ない。
 それで一番好きなのはウイスキーだが、一本飲めば書けるビールや酎ハイ、それに小瓶で売られている日本酒などについても混ぜて書いている次第だ。

 良い酒だけを、心と体の緊張がほぐれる程度に適量を守って飲む。
 これが筆者の、毎晩の楽しみである。
 酒は飲むが、決して酒には飲まれない。
 これが幼い頃にアル中の父の姿にトラウマを持ち、社会に出てからはアルハラやイッキ飲みに苦しめられた“酒ギライ”の筆者のモットーである。

 筆者はこのブログで、喉越しで飲む副原料入りのビールやアル添酒やハイボールへの批判を度々書いてきた。
 その根底には、大量飲酒と乱れて騒ぐ酔っ払いへの嫌悪感と根深いトラウマがある。
 今では筆者も、「悪いのは酒ではなく、それを大量に飲む人間の方だ」とわかっている。
 だから酔っ払う為に酒をガブガブ飲んで乱れる者は大嫌いだし、その為の低品質の安酒の存在も腹立たしく思っている。

 昔は、筆者は本当に酒が嫌いだった。
 しかし良い酒もある事を知り、自分のペースで適量を守り美味しく飲むことを覚えた。
 その筆者から言わせて貰うが、「酔って正気を無くすまで飲まないと、飲む意味がない」と思っている貴方は、すぐに考えを改めてもらいたい。
 乱れるまで酔いたい人は、周囲の人に多大な迷惑をかけていて、それは回り回って貴方自身の大損に繋がるから。

 筆者の父は、筆者を愛情を持って育ててくれようとしていたと思う。
 思い出して見れば、出来る限りの事をして育てようとしてくれていた。
 しかし物心つく頃には既に始まっていた、ほぼ毎夜の大酒と怒鳴り暴れる事に対する恐怖と嫌悪で、良い思い出や感謝の気持ちが霞んで消えてしまうのだ。
 亡くなってもその悲しみより、「これでもう酔ってキレて暴れられたりしないんだ」という安堵の気持ちの方が先に立ってしまうなど、何とも虚しく情けない事ではないか。

 飲み会自体を否定するつもりは無い。
 ただイッキ飲みをさせたり、飲めぬ者にまで酒を無理強いしたり、乱れるまで飲む事を良しとするような一部の飲み会は、是非やめて欲しいと願う。
 その若い頃のイッキ飲みや、乱れるまで飲む事の繰り返しで大量飲酒が習慣となれば、やがてアル中になるのは目に見えている。
 そうなっても飲ませた方は知らん顔で、飲んだ本人の自己責任という事になってしまう。で、家族の心も離れてしまい、そして亡くなっても悲しむより安堵されてしまうのだ。
 だからこそ、過度の飲酒を強要するような飲み会には、職場や仲間内に波風や角を立てても「厭だ、行かない」と強く言って自己を守る事が必要だ。
 そして既にアル中になってしまっている方は、自ら断酒して家族にトラウマを与えるのを即刻止めてもらいたい

 筆者はアル中の父のいる家庭で育ち、飲酒を強要する職場でますます酒が嫌いになり、ようやく「良い酒を、適量だけ味わって飲む」という事を覚えたところだ。
 酔う為に酒をゴクゴク、ガブガブ飲む事を筆者が毛嫌いする理由を、少しはおわかりいただけだろうか。
 酒癖の悪い人は周囲の者にとって心から迷惑なだけでなく、その為に当人も辛い人生の終わりを迎える事になるのだと覚悟して貰いたい。

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コメント


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同じですね。(笑)

同じですね。(笑)

黒澤氏の酒のたしなみ方と私のたしなみ方が同じです。良い酒を少量パターン。

私の場合はウイスキーをハーフ(15ml)4種類を行きつけのBARで4ショット。

後は酔い覚ましでBARの まかない飯を
いただいて帰るパターンです。

関東、新橋あたりにお越しの際は良いウイスキーを4、5種類くらい呑りましょう。

それくらいにしないとウイスキーの味も
わかんなくなりますもんね。

ogotch | URL | 2016-06-12(Sun)10:11 [編集]


ほどほどに楽しめば、一生美味しいお酒が飲めますもんね。
無茶に走って、酒を止めらるほど、つまらない物はありません。
共々、美味しいお酒を飲んで行きましょう!

KAZ | URL | 2016-06-14(Tue)11:33 [編集]


Re: 同じですね。(笑)

> 黒澤氏の酒のたしなみ方と私のたしなみ方が同じです。良い酒を少量パターン。
> 私の場合はウイスキーをハーフ(15ml)4種類を行きつけのBARで4ショット。

 昔は、お酒は嫌いでした。
 けど、良い酒を味わって飲むと本当に美味しいんですよね。

 良いですね、ハーフを4種類って。
 何を飲もうか、想像しただけでも楽しくなります。

 ただ酔い潰れる為に安酒をがぶ飲みする人達の気持ちが、私には本当にわかりません。
 それと、綺麗な女の人は嫌いではありませんが、綺麗な女の人にお酌をしてもらう為に大金を使う人の気持ちも、私にはわからぬのです。
 良いお酒と綺麗な女の人は、あくまでも別に楽しむもの……という感じで(笑)。

 それにしても、ogotchさんとは良い酒と良い時間を楽しめそうな気がしてなりません。

黒沢一樹 | URL | 2016-06-16(Thu)15:15 [編集]


Re: タイトルなし

> ほどほどに楽しめば、一生美味しいお酒が飲めますもんね。
> 無茶に走って、酒を止めらるほど、つまらない物はありません。
> 共々、美味しいお酒を飲んで行きましょう!

 良いお酒を適量飲むことを覚えて、苦手だったお酒が本当に好きになりました。
 程々に飲むと、心と体の緊張がほぐれて一日の疲れとストレスがとれて、本当に良い気分になります。
 実際、適量のお酒を飲む人の方が、全く飲まない人よりも長生きだと言いますし、お互い良いお酒を楽しみましょう。

黒沢一樹 | URL | 2016-06-16(Thu)15:21 [編集]


お待ちしております。(笑)

黒澤氏のお越しを関東にて。

心より お待ちしております。(笑)

金銭的な ご心配、一切ご無用。

ハーフ数ショットでの「テーマ」を
ぜひ何点か携えて来てください。

私とプロと黒澤氏。

極上の ひとときを過ごしましょう。

ogotch | URL | 2016-09-29(Thu)20:18 [編集]


Re: お待ちしております。(笑)

> 黒澤氏のお越しを関東にて。
>
> 心より お待ちしております。(笑)

 ありがとうございます。
 ogotch様となら素晴らしい時が過ごせそうに思います。

 実は私、東京の古い街並みに少々興味がありまして。
 その古い家々が開発や地震等で壊されてしまう前に東京に行ってみたいものだと思っています。

黒沢一樹 | URL | 2016-10-05(Wed)17:13 [編集]