空と虹と恋と

 大好きな写真のこと、そしてゲームやコミックスの話から歴史&時事問題まで、思いつくまま雑多に語ってみたいと思っております。さらに筆者の度重なるイタい失恋話についても、どうぞ憫笑しつつお読み下さいまし。

参院の県境を越えた合区に反対する

 明日の7月10日は参院選挙だ。
 筆者は地方区でも比例区でもどの党の誰に投票するかを既に決めてはいるが、今回の参院選に関してはどうも気分がスッキリしない。
 ズバリそれは、今回の選挙から導入される事になった、地方区での合区の問題である。

 初めに断っておくが、筆者の住む県の地方区での議席は複数だ。
 だから今度の参院選で隣県と合区にされたわけではないし、今後も合区にされる心配はまず無いと言っても良いだろう。
 しかしそれでも、「都道府県の枠を越えた合区はすべきでない」と思っている。

 国政選挙の度に「一票の格差が……」と騒ぎ立てる人達がいるが。
 正直に言って、筆者にはその種の「建前のみに固執して、現実を見ようとしない人達」は大嫌いだ。

 今の日本は封建制度の昔でも無ければ、政府が人民の居住地を決める絶対主義の国でも無いから、人は住む所を自由に変えるし、地方自治体の人口は常に流動する。
 だから例の「一票の格差は許さない!」という人達の意志に従えば、選挙区の線引きは常に変えられ、参院選では「県境を越えた合区もアリ」という事になってしまう。

 衆院の地方区でも、筆者の住む市ではその人口比の問題で、隣の市の一部が筆者の住む市の選挙区に新たに加えられた。
 同じ市でありながら、住む所によって選挙区が違う。
 こんな妙な話があっても良いのだろうか。
 人口の増減によって、自治体の枠を無視して別の選挙区に組み入れられてしまうのは、有権者としては大変迷惑な話ではないだろうか。
 特に地方区では、有権者と議員の関係が深い。
 にもかかわらず「一票の格差はダメ」という原理原則の為に、有権者はそれまで長年培ってきた議員とのパイプを断ち切られ、「初対面で縁もゆかりも無い別の議員センセイを頼れ」と強いられる事になるのだ。

 幸い筆者が住む衆院の選挙区は、隣の市の一部を自区に吸収した方で、今までの選挙区から切り離されて他の選挙区に組み入れられてしまった方ではない。
 しかしその「自分の市と馴染みの議員から切り離されて、よその市の選挙区に放り込まれて見知らぬセンセイを頼らざるを得なくなってしまった人達」の気持ちを考えると、気の毒でならない。
 実際、「もし筆者の住む市の選挙区が一票の格差の是正の美名のもとに壊されて、違う市の選挙区に組み込まれ、知らない議員に投票しなければならなくなったら」と考えると、投票に行く意欲も低下してしまうと思う。

 自分の住む所の選挙区が壊される事には、同じ県内の隣の市の選挙区に組み込まれるだけでも抵抗があるのだ。
 だから「選挙区は隣の県と併せて一つ」という、今回の参院選の合区は、その県の人達にとってはかなりのショックだろうと想像する。
 隣の県と併せて一つの選挙区になり、隣の県出身の候補者に票を入れなければならない事態など、少なくとも筆者は想像するだけでも嫌だ。

 一票の格差は絶対ダメと、バカの一つ覚えのように主張し続ける人(主に人口の多い都会の住人)に言いたい。
 代議士というのはただ「人口ごとの代表」ではなく、「各地方の代表」という意味合いもあるのだ。

 例えば今回合区の対象になってしまった、一票の格差の問題では常に槍玉にあげられる鳥取県の人口は約58万人で、東京都の人口は約1330万人だが。
 その一票の格差の是正を金科玉条のごとく振りかざす人達の考えでは、「東京は鳥取より23倍偉くて、23倍の発言権があって当然」という事になる
 皆さんはこの理屈を、正論とお思いになるだろうか。

 首都圏には約三千万の人が住むが、これは日本の約四分の一の人口になる。
 大阪や名古屋などその他の都市部にも、多くの人が住んでいる。
 そして代議士をその人口比にきっちり従って配分すれば、「国政は都会の意向が優先され、地方はかえりみられない」という事になる。
 そんな政治が正しいと、皆さんはお思いになるだろうか。

 かつて東京を含む首都圏が水不足になった時、当時の東京都知事を中心とした関東の知事達が、日本海側に流れるある川の流れを人工的に変え、太平洋側に流して関東の水不足を解消しようと考えた。
 首都圏の水不足の解消に、日本海に流れていた川の水を工事して太平洋側に流す。
 このような自然環境を全く考えない暴挙に、関東の各知事が賛成し、反対したのはその川が元々流れていた新潟県の知事だけであった。
 幸いこの暴挙は実現しなかった。
 しかし完全なる「一票の格差の是正」が実現し、都市部の議員が大多数を占めるようになったら、例の「首都圏の水不足の解消に、日本海に流れる川の水を工事で太平洋側に変える」といったような、今よりさらに都市部優先で地方をかえりみない政治が行われるようになるだろう。

 イギリスの植民地だったアメリカが独立した時、議会をどうするかで建国13州の間でかなりもめた。
 人口の多い州は、もちろん人口比による議席の配分を要求した。
 そして人口の少ない州はそれでは不利になると、各州で同じ数の議員にするよう求めた。
 その結果、アメリカは「下院は人口比で議席を配分し、上院は人口にかかわらず各州で2人ずつ」という事になった。
 だからアメリカでは、下院では一票の格差が無いよう配慮され、そして上院は各地方の代表という役割も果たしているのだ。
 ちなみにアメリカの上院では、最も人口の少ないワイオミング州も、最も人口の多いカリフォルニア州と同じ2人の議員を出している。

 欧米の制度は何でも素晴らしい、などと言うつもりはない。
 しかしこの「下院の議席数は人口比で配分し、上院は地方代表として各州2人ずつ」というアメリカの制度は、一票の格差の問題にも地方の問題にも目を向けた、なかなか立派な制度であると筆者は思う。

 今の日本では、「参議院は要らない」などと言う人達もいるが。
 衆院では一票の格差をきっちり是正し、そして参院では「東京も鳥取も、人口に関係なく各都道府県2人ずつ」というようにすれば、参院の意義や独自性も立派に主張できるのではないだろうか。

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