空と虹と恋と

 大好きな写真のこと、そしてゲームやコミックスの話から歴史&時事問題まで、思いつくまま雑多に語ってみたいと思っております。さらに筆者の度重なるイタい失恋話についても、どうぞ憫笑しつつお読み下さいまし。

ぜひ上皇の地位の復活を!

 先日、天皇陛下が生前退位のご意向を発表された。
 賢明かつ尤もな事である。

 筆者は以前から不思議に思っていた。
 天皇は何故、崩御されるまで天皇として多忙なお仕事をなさらなければならないのだろうか、と。
 昭和天皇に対しても感じたが、ご高齢でしかもご病気もあって、それでも天皇としての務めを果たそうとなさるお姿は、下々の者である筆者が垣間見るだけでも痛々しかった。

 日本には古来から、上皇(太上天皇)という地位がある。
 それなりのお年になった天皇は皇太子に位を譲り、上皇として自由な立場でお過ごしになっていた。
 今、皇太子殿下も既に五十歳を越えておられる。
 なのに何故今もまだ皇太子のままでいて、ご高齢の天皇陛下が多忙な日々を過ごさなければならないでいるのか、筆者は不思議でならない。

 筆者は昭和天皇がご高齢で病気がちになられた頃から思っているのだが、天皇はある程度の年齢になり、そして皇太子が天皇としての任を充分に果たせるようになったら、位を譲って上皇となる制度を整えるべきではないだろうか。
 国事行為や天皇としてのお仕事は、体力と気力もある壮年の新しい天皇に委ね、後は上皇として会社の顧問のような立場で天皇の良き相談相手になりつつ、公務から離れて自由な日々をお過ごしになれるように制度を変える(日本古来の制度に戻す)事は、ご高齢になっても公務から離れる事の出来ない戦後の天皇陛下にとっても望ましい事なのではないだろうか。

 天皇として為すべき事は若い後継者に任せて自由な立場になれる上皇という地位を無くしてしまったのは、実は日本を天皇主権の国に戻した明治新政府だ。
 明治新政府は、日本を一刻も早く欧米列強に負けぬ近代国家にしたかった。
 だから新政府は、法律等の制度もどんどん欧米のものを取り入れた。
 で、皇室についてもヨーロッパの王のような、崩御するまで天皇であり続ける皇室典範が定められてしまった。

 明治新政府が上皇という地位をあえて置かなかったのには、理由がもう一つある。
 薩摩と長州の者らが武力で作り上げた明治新政府は、明治憲法でも天皇を神聖不可侵の統治権者と定めた。
 しかしそれは建前で、実際に実権を握っていたのは主に薩長出身の元老や閣僚や軍人である。
 薩長の自称“志士”らは神に祭り上げた天皇の威を借ることで、己らの権勢を保っていた。
 その主に薩長の明治の元勲らにとっては、天皇は飾りものでしかなく、天皇に加えて上皇という存在も出来てしまう事を望まなかった。

 上皇による院政については社会の歴史の授業でも習ったと思うが、天皇と上皇の関係はなかなか微妙なものがある。
 譲位したのだから実権は天皇にある筈なのだが、何しろ上皇はその天皇の父であり、天皇家の家長でもある。
 譲位した上皇にまだ政治的な野心があり、そして天皇としての職務から解放され自由な立場であったら、どうなるか。
 当然、実権は上皇のもののままで、天皇は形だけのものになってしまう。

 明治の元勲たちも、そうした上皇の出現を恐れた。己らが神に祭り上げた天皇と上皇に喧嘩でもされ、それが政争の元にでもなるのは全く望ましくない。
 明治政府を支配していた薩長の者らにとって、天皇は自分たちの権力の元となる飾りものに過ぎなかったから、老齢でも病気がちでも構わなかったのだ。
 と言うより、むしろその方が都合が良かったくらいだろう。

 と言うわけで、明治新政府は皇室典範から上皇を外し、ヨーロッパの王や皇帝と同じように天皇も崩御するまで天皇であり続ける事になった。
 それは戦後も引き継がれ、だから昭和天皇も今上天皇も高齢になられても多忙な日々を過ごさざるを得なくなっている。

 人生五十年だった昔とは違い、今の日本の平均寿命は八十歳を越えている。
 だから今の「崩御されるまで天皇」という制度を続けていれば、「かなりのご高齢になられ病身でも天皇として公務に追われ、皇太子殿下は還暦近くになっても皇太子のまま」という繰り返しになってしまうのは目に見えている。

 昔の実権ある天皇や、薩長の者らに政治的に利用されていた時代の天皇ならば、上皇の存在は政争のもとになるだろうが。
 象徴である今の天皇の場合、上皇という存在が出来ても政争のもとになる心配は無い。
 だから「公務を離れて隠退生活を送りつつ、必要に応じ天皇の相談に乗る」という形で、ある程度の年齢になるか病で公務を務めきれない天皇は、皇太子に譲位して上皇になるという制度を、皇室典範に新たに盛り込んだらどうであろうか。

 どれだけお年を召され病身となられても天皇として公務を果たさねばならぬ陛下だけでなく。
 皇太子殿下にしても、還暦近くかそれを過ぎてから天皇となり多忙な日々を過ごさざるを得なくなるのは、かなりお辛い事ではないだろうか。
 それを一挙に解決するのが、日本に古来からある上皇の地位の復活だ。
 病身となられたら、あるいはある年齢に達したら天皇の位を皇太子に譲り、上皇として悠々自適の余生を送りつつ新しい天皇に適宜にアドバイスもする。
 そんな天皇の生前譲位と上皇の地位の復活を、今上陛下と皇太子殿下、そして国民皆の為に心から望む。

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コメント


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単純に。

単純に。

生前退位が出来ないのは「法」で
規定しているから、だけです。

この場合、本質的な話をすると敬意、
礼儀関係なく「法」で規定して我々が
「天皇」という地位に関して。

生前退位されると不都合が生じるので
規定をしていないだけです。
(明確な政治的利用。)

面白いのは「〜してはいけない」と
縛るのは上から下への押し付けに
他ならないにも関わらず。

ほとんどの人が陛下を自分達が
押さえつけて、政治利用している
「事実」に理性的に向き合わない。

それは つまり感情的にしか動けない
「幼稚」な国家であることの証明だと
私個人は分析しています。

もう一度、言います。

「〜してはいけない」という言葉は
命令です。相手を下とする事実です。

「政治的発言をしてはいけない」
「生存中は退位してはいけない」
エトセトラ、エトセトラ。

その結果が、お年を召された陛下に。

齢八十を過ぎた 御老体に激務を強いて
それでもなお、激務を強いている事実。

コレは、人として おかしいと思います。

ogotch | URL | 2016-07-23(Sat)11:53 [編集]


Re: 単純に。

> 単純に。
>
> 生前退位が出来ないのは「法」で
> 規定しているから、だけです。

 私は大学で歴史を学んだせいか、上皇という地位や言葉に一般の方々より馴染みがありまして。
 だからつい、何故今の日本には上皇が無いのだろうと、すぐ考えてしまいます。
 上皇という制度があれば、陛下にこれほどご苦労をかけずにすむのに、と。
 まあ、上皇が存在すると、天皇との関係が難しくなるのでしょうが、それは法できちんと定めておけば良いだけの話ですし。
 結局、その法を新しく作るのが面倒なんでしょうね、日本の政府は。

黒沢一樹 | URL | 2016-07-27(Wed)16:02 [編集]


上皇に。

上皇に。

政治的な発言のシバリはありません。

自由に発言されて困るのは。

……すぐ、浮かびますよね?(笑)

ogotch | URL | 2016-07-29(Fri)10:28 [編集]


Re: 上皇に。

> 上皇に。
>
> 政治的な発言のシバリはありません。
>
> 自由に発言されて困るのは。
>
> ……すぐ、浮かびますよね?(笑)

 確かに上皇には発言や行動の制約はありませんよね。
 そう言えば、陛下の退位に日本会議が反対しているとか……。

黒沢一樹 | URL | 2016-08-03(Wed)14:56 [編集]