空と虹と恋と

 大好きな写真のこと、そしてゲームやコミックスの話から歴史&時事問題まで、思いつくまま雑多に語ってみたいと思っております。さらに筆者の度重なるイタい失恋話についても、どうぞ憫笑しつつお読み下さいまし。

メダルを噛むのはやはり見苦しい

 約半月続いたリオデジャネイロオリンピックが終わり、日本は数多くのメダルを獲得した。
 で、日本のオリンピック関係者の上の方から「見苦しい」との声があったせいか、今回はメダルを噛む日本人の選手が減ったように思う。

 メダルを噛む行為については、賛否両論ある。
 大まかに言えば、「見苦しい」と思う人達と、「自分のメダルをどうしようが本人の勝手で、他人がとやかく言うべきものではない」と言う人達に分かれる。
 どちらにしろ、メダルを噛むのを「カッコイイ!」と思う人はかなり少ないようだ。

 そのメダルを噛む行為が何故始まったについては、諸説ある。
 筆者がまず聞いたのは、初めはメダルにキスしていたのだが、「メダルにキスするなどゲイのようだ」と考える男子選手達が、キスする代わりに噛むようになったという説だ。
 ただ日本にはキスという習慣があまり根付いて無いせいか、日本人は女性の選手も何故かメダルを噛んでいる。

 また、金メダルが本当に金かどうか、噛んで確かめているのだという説も聞いた。
 金は柔らかいから、金の純度が高ければ噛めば傷が残る。だから昔から金貨を噛んで本物かどうか確かめる習慣はあったし、金メダルも噛めば純度が確かめられる。
 という事は、裏を返せば「少なくとも金メダルは、報道関係者の要望に応えて噛む度に跡が残る」わけである。

 そう、メダルを噛む大きな理由の一つには、報道関係者の要望がある。
 報道関係者としては、選手と獲得したメダルを両方画面に収めたい。
 しかし首から下げた状態で撮ると、顔もメダルもどちらも小さくしか写らない。
 だから顔のアップとメダルを両方一緒に大きく撮る為に、「噛んで!」と選手に求めるのだという。

 それらを総合して考えると、おそらくこういう事だろう。
 まずメダルにキスした選手がいて、さらにキスではなく噛む選手も現れた。
 そしてそのシーンを写真やテレビでアップで撮ってみたら、顔とメダルの両方が大きく撮れてマスコミ関係者には“おいしい絵”になった。
 それでメダルを獲得した選手に報道関係者が「メダルを噛んで!」と求めるようになり、それが当たり前になるうち、いつの間にか選手達もメダルを噛む事に対する抵抗感が薄れてしまったのだろう。

 はっきり言うが、筆者は選手が歯を剥き出し大切なメダルに噛みつく姿は見苦しいと思うし、目をそむけたくなるほど不愉快になる。
 しかしメダルを噛む選手よりずっと、メダルを噛む事を求める報道関係者を軽蔑する。

 メダルを噛む事について、「自分のメダルをどうしようが本人の勝手で、他人がとやかく言うべきものではない」と言う人達がいるが。
 世の中に、血と汗と涙を流し長年苦労して手に入れた大切なものを噛む人がどれだけいるだろうか。
 オリンピックのメダルとはとても比較にはならないが、筆者にも苦労して手に入れた大切なものがいくつかる。しかし少なくとも筆者は、自分にとって大事なものを「噛みたい」などとは夢にも思わない。

 大切なものを噛みたくないのは筆者だけではないと思うが、どうだろうか。
 動物には愛情を示す“甘噛み”という行為があるが、少なくとも殆どの人間は大切なものを噛んだりしない
「噛むのは、愛しているからこそだ」などと言うのは、サディスティックな性癖を持つ方以外には考えられない。
 外国人にとってのキスは大切なものに対する愛情表現と言えるが、噛む行為はそれとは全く違う下卑た行為に他ならない。
 選手が想像を絶する努力と苦労をして得た大切なメダルを、ただ都合の良い映像を撮る為に「噛んで!」と求める報道関係者の神経と知性のほどを疑いたくなる。

 金は純度が高いほど傷がつきやすく、噛めば傷が残る。
 だとすれば金メダリストが報道関係者の要望に応えて噛めば、その回数だけメダルに歯形が残る事になる。
 金メダリストにメダルを「噛んで!」と求める報道関係者は、その事をわかっているのだろうか。
 金メダリストは、せっかく得たメダルに己の歯形を残したいのだろうか。

 メダルを噛む事について、「自分のメダルをどうしようが本人の勝手で、他人がとやかく言うべきものではない」と言う人達がいる。
 しかしメダルを得た選手達は、よく「これは自分の努力だけでなく、仲間や監督やコーチ、それに応援してくれた人達のおかげ」と言うではないか。
 だとしたら、その皆の助力や協力もあって手に入れたメダルを噛む行為は、その皆を侮辱するとまでは言わないが、軽んじていると言われても仕方がないのではないだろうか。
 キスは別だが、噛む事は愛情や敬意の表現では決してない。

 ノーベル賞を得た山中伸弥教授に、そのノーベル賞のメダルを噛むよう求めた日本の報道関係者がいたという。
 そして山中教授は、その愚かで失礼極まりない要求をきっぱり断った。
 全く当然のことである。

 得たそのメダルには、当人の想像を絶する苦労だけでなく、指導者や仲間達の助力や協力、それに日本国民の応援も込められている。
 報道関係者が「噛んで!」と求めるし、噛んだ先輩達もいる事だしと、サービスのつもりで軽い気持ちでメダルを噛む。
 そんな考え無しの軽率な行為は是非やめて欲しいものだ。

 今回のオリンピックでは、メダルを噛む選手が目立って減った。
 それが「協会の上の方の人にそう言われたから」ではなく、キスと噛む事の意味の違いをしっかり考えた上で、自分の意志でメダルを噛むことを拒むような選手になってほしいと強く願う。

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