空と虹と恋と

 大好きな写真のこと、そしてゲームやコミックスの話から歴史&時事問題まで、思いつくまま雑多に語ってみたいと思っております。さらに筆者の度重なるイタい失恋話についても、どうぞ憫笑しつつお読み下さいまし。

旅人には小さな親切を!

 今、プロ野球ではカープが絶好調で、リーグ優勝も手中にした。
 実は筆者は、幼い頃はカープも広島も大嫌いだった。

 今のカープを応援しているカープ女子達のような、若い世代の人達は知るまいが。
 昔のカープのファンは実に凶悪で乱暴だった。
 昔のカープファンすべてがそうだとは言わないが、少なからぬカープファンが行き過ぎた「贔屓の引き倒し」の乱暴狼藉を働いていた。

 ホームの広島球場でカープが試合に負けると、ただ相手チームの選手に酷い罵声を飛ばすだけではない。時には大勢のカープファンが観客席から球場になだれ込み、引き上げて行く相手チームの選手達に集団で襲いかかるような真似もした。
 大勢の暴徒に襲われたのだから、たまらない。身の危険を感じた相手チームのある選手が、持っていたバットを振り回して自分とチームメイトを守った。
 すると集団で襲ったカープファンでなく、バットを振り回して身を守った相手チームの選手の方が暴行の容疑で警察(広島県警)の取り調べを受ける結果になった。
 その光景をテレビで見ていた筆者は、カープとそれを応援する広島県民が大嫌いになった。

 何しろ当時の筆者は、まだ小学生だった。
 負けると暴れて騒ぎ、時には相手チームの選手に襲いかかったりする広島球場のカープファン達の姿は、幼かった筆者の心に「広島の人=凶暴な野蛮人」という印象を焼き付けるのに充分だった。
 そしてそんな広島の人が住む広島県も、さぞかし人の心が荒れた嫌な土地だろうと思い込んでいた。

 話は少し逸れるが、筆者は高校生の頃からずっと写真を趣味にしている。
 で、若くまだ元気な頃には、カメラを持ってあちこちに旅に出かけていた。
 筆者が撮影旅行に行く時には、たいてい車で出かける。旅の荷物に加えて複数台の一眼レフカメラや交換レンズ等を持って公共交通機関で移動するのは、とても大変な事だからだ。
 そして筆者は車の運転を苦にしないというより、むしろ好きな方である。
 だから撮影旅行には車に好きなだけの撮影機材と荷物を積んで出かけ、気が向くままにあちこちを移動して回った。

 ただ写真というのは存外お金のかかる趣味で、カメラや交換レンズその他の機材にかなりの出費を強いられる。
 しかも筆者はクラシック・カメラという特にたちの悪いものにもとりつかれていて、冷静に見れば実用性の薄い古いカメラにもかなりのお金をつぎ込んでいた。
 そんな具合で、自由にできるお金の大半は写真に費やしている有り様だったから。車など「動けば充分」と、いつも古いポンコツの車にばかり乗っていた。

 中古車屋で安く売られている、古い車は財布に優しいですゾ。10~30万円くらいの車を最初にキャッシュで一括払いしてしまえば、後は毎月のローンを支払う必要がないのだから。
 で、廃車にするしかない状態になるまで、徹底的に乗り潰すというわけ。
 ただそうした古い車は、たまに故障する。
 そしてそれが旅行して遠出した最中だったりすると、かなり痛い目に遭う。

 実は電装系のトラブルで、撮影旅行に出掛けた中国山地の田舎で車の調子が悪くなってしまった事があった。
 しかもその場所は、凶悪なカープファンが跋扈するあの広島県内だった。
 それで恐る恐る現地(庄原市の町外れ)の自動車工場に行ったところ、その家族経営の自動車修理業の人達はとても親切だった。
 問題はヒューズのトラブルで、修理費など数百円にしかならなかったが。
 しかしその修理工場の人達は明るく親切で、車のナンバーを見て遠方から来た旅人だと見て取ると、いろいろ心配して道案内もしてくれた。
 それでずっと広島県に“鬼のようなカープファン”のイメージを重ねていた筆者は、コロッと印象を変えてしまった。
「広島の人って、良い人じゃん」

 旅を続けて次に出会った広島県の人も、少しおせっかいなまでに親切な良い人だった。
 だからそのせいで筆者の広島県に対する偏見はすっかり無くなり、今ではむしろ広島県に好感を持っているくらいだ。

 ちなみにカープファンが凶悪で乱暴だったのは、まだカープが弱くていつも5位か最下位を低迷していた頃の話だ。
 一度優勝して普通に強いチームになってからは、ファンにも心のゆとりが出来てきたのか、カープファンもすっかり良識的になり大人しくなった。

 だが「贔屓の引き倒し」という言葉がある通り、好きなチームに過度の愛着を持って行き過ぎた応援をするのは自制した方がいい。
 例えば試合の結果に腹を立て、相手チームに罵声を浴びせかけたり、相手チームのファンや選手に暴力を振るったりすると、本当にそのチームとホームタウンのイメージが悪くなるから。
 筆者も幼い頃に凶暴な一部のカープファンの姿を見たばかりに、「広島県民=凶暴」というイメージを抱いてしまった。そして実際に広島を旅して現地の広島の人達と触れ合うまで、その偏見が消える事は無かった。
 特に本拠地の名をチーム名に付けている場合、一部のファンが粗暴でマナーの悪い行動に走ると、「あそこの人間は民度が低い」と思われかねない。そしてその偏見を解くのは、容易な事ではないのだ。

 旅先でのトラブルと言えば、筆者は金沢に撮影旅行に出掛けた時にも車の故障で痛い目に遭った。
 真夏に車がオーバーヒートしてしまって、路肩に車を停めてボンネットを開けてみると、冷却水が殆ど無くなってしまっていた。
 すると車を停めた近くの家のお兄さんが出て来て、一緒に原因を考え、わざわざ家のホースを伸ばしてラジエーターに水を入れてくれるなどして面倒を見てくれた。
 だが水を入れてもそのまま漏れるばかりで、結局JAFに救援を頼んだのだが。
 そのJAFの隊員も、ただ車を修理工場に運んでくれただけでなく、移動する足が必要な筆者をレンタカー会社まで連れて行ってくれた。
 そして修理工場の親父さんも、難しい顔をしつつ、筆者の旅のスケジュールに合わせてその日の夕方までに冷却水の水漏れを大急ぎで修理してくれた。

 その話を金沢在住の友人に話して、「金沢の人はみんな親切で良い人だった」と言ったところ、その金沢の友人は苦笑いしてこう答えた。
「金沢の人は見栄っ張りだから、よそから来た人には違うのよ」
 だとしても、他県から来た見ず知らずの旅行者に、金沢の人が親切だったのは確かだ。
 だから筆者の脳内では、「金沢の人=親切」という事になっている。

 これは車の故障には関係ないが。
 青森県に撮影旅行に行った際、ある日本料理店にフラリと立ち寄った。
 一人だったからカウンター席に座り、静かに待って出された料理を静かに食べたが、これがとても美味かった。
 それで翌日も立ち寄ってまたカウンター席で夕食をとったのだが、その際は店主が筆者の顔を覚えていて話しかけてくれた。で、八戸三社大祭の感想や青森市のねぶたとの違いから、いかに八戸市の三社大祭を日本全国に有名にさせるかまで、いろいろ楽しく語り合った。
 その店主は別れ際に、八戸から遠く離れた所まで帰る筆者の心配までしてくれたが。
 後に知ったことだが、その店主はただの店の親父ではなく、青森県日本料理技能士会の会長を務めている方だった。しかし少しも威張らず、気さくな話しやすい良い方だった。
 その日本料理店の店主だけでなく、朝市のおばさん達も商売っ気の無い人の良さを丸出しにした方ばかりで、朝早く起きて朝市を見て回るのもとても楽しかった。
 それで筆者の脳内では、「八戸の人も良い人」という事になっている。

 いや、現実の人間はそんな単純なものではない。
 どこの人も良い人と悪い人の両方がいて、筆者は広島と金沢と八戸で、ただたまたま良い人と出会っただけに過ぎない。
 その事はわかっている。
 しかし旅先で出会ったその土地の人が親切だと、「その土地の人=親切で良い人」と思い込み、その土地に好感を抱いてしまうのも人情だ。
 だからもし貴方に郷土愛(地元愛)があったら、たまたま訪れた旅人にはちょっと親切にしておいた方がいい。ただ少し愛想良く親切にしただけで、旅人は「この土地の人は親切で、この土地も良い所だ」と思い込んでくれマス。
 東京オリンピックが四年後に迫る今、「おもてなしの心」だの何だのと言われているけれど、おもてなしなどと大袈裟な事を考える必要はない。
 人として当たり前な、ただちょっとの親切。それだけで、遠くから来た旅人は充分感動してくれるものなのだ。

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