空と虹と恋と

 大好きな写真のこと、そしてゲームやコミックスの話から歴史&時事問題まで、思いつくまま雑多に語ってみたいと思っております。さらに筆者の度重なるイタい失恋話についても、どうぞ憫笑しつつお読み下さいまし。

少し高いがとても美味しい、レフ・ブラウン

 ベルギー産の修道院ビール、レフ・ブラウンを飲んでみた。
 裏のラベルには、「ローストした麦芽を使用し、香ばしい香りとコクのある力強い味わいが特長です」と書いてある。

レフ・ブラウンP1100266

 グラスに注いでみると、確かにコーヒーのような黒に近い濃い色をしている。
 しかし飲んでみると、思ったほど苦くない。
 ローストされた麦芽の香ばしさはしっかり感じるが、苦味は程良いくらいだ。
 そして甘さと酸味もあり、黒ビールなのにフルーティーですらある。
 決して苦すぎず、甘さと爽やかな酸味があり、飲んだ後にはローストした麦芽の香ばしさが適度に残る。

 黒ビールは人によって好き嫌いがあるが、このレフ・ブラウンはただ苦く香ばしいだけでなく、甘味も酸味もありフルーティーで、とても味わい深く、黒ビールを敬遠している人にも勧めてみたい逸品だ。
 コクがありしっかりした味わいなので、キンキンに冷やして喉越しで一気に飲んではいけない。
 キンキンに冷やしたら香りも立たず、甘さやフルーティーさも感じられなくなり、ただ苦味だけが突出するだろう。
 そして喉越しでゴクゴク飲んだら、その豊かで複雑な味わいが、ただ「重い」と感じられるだけになるだろう。
 このビールはキンキンに冷やさず、冷蔵庫から出して10~15分ほど置いておき、冷たいのではなく「ひんやりとする」程度になってから、少しずつゆっくり味わって飲むべきビールだ。
 飲み方は当人の自由だが、キンキンに冷やして喉越しで飲んだりしたら、本来の美味さを理解する事は決して出来ないだろう。

 このレフ・ブラウンの輸入業者は、あのアサヒビールだ。
 アサヒビールと言えば、まず真っ先にスーパードライを連想するが、このレフ・ブラウンはスーパードライとは全く対照的なビールだ。
 スーパードライはキンキンに冷やして喉越しで味わってこその、日本の代表的なビールだ。
 そのスーパードライを製造しているアサヒビールが、ややぬるいくらいの温度でこそ香ばしい香りと複雑な味わいを楽しめる、少しずつゆっくり飲むべきビールを輸入している事が実に興味深かった。

 スーパードライも、飲み方によっては悪くない。
 しかし筆者はお酒をゴクゴク飲むのはあまり好きではなく、ビールも少しずつゆっくり味わって飲みたいと思ってしまう。
 そんな筆者にとっては、ただ苦いだけでなく、ローストされた麦芽の香ばしさの他に甘味も酸味ありフルーティーで、コクがあり奥深い味わいのこのレフ・ブラウンは、文句無しに美味しい最上級のビールだった。

 ただこのレフ・ブラウンは、330ml入りの瓶でお値段が四百円を越えている。
 味と品質を考えれば高過ぎるとは言えないのかも知れないが、国産のプレミアム系ビールよりも明らかに高い。
 とても「喉越しでゴクゴク一気に」飲んでしまえるような値段ではない。

 このレフ・ブラウンに限らず、欧州産の瓶ビールには330~350mlで350~500円くらいのものが多くある。
 しかし考えてみれば、ちょっと良い日本酒も300mlで同じ程度の値段で売られている。
 そうした純米吟醸系の小瓶の日本酒でも飲むつもりで、少しずつ味わいながらゆっくり飲めば、このレフ・ブラウンの四百円台という値段もそう高くはないのかも知れない。

 とは言うものの、もしレフ・ブラウンのようなビールが国産のプレミアム系のビールと同じくらいの値段で飲めれば、それにこした事はない。
 レフ・ブラウンなど、レフのビールを各種輸入しているのだから、アサヒビールはレフのビールの美味さも理解しているのだろう。
 ならばスーパードライのようなキンキンに冷やして喉越しで飲む種類のビールばかりでなく、いっそこのレフ・ブラウンのようにじっくり味わって飲むビールもアサヒビールで製造してみたらどうだろうか。

 サッポロビールはエビスに力を入れて各種出しているし、サントリーのモルツ・シリーズも好調だ。キリンビールも麦芽100%のビールを積極的に出している。
 そんな中、アサヒビールだけがプレミアムと名付けたビールにも副原料を入れ、喉越し重視にこだわっているように見える。
 ビール類はプレミアム系と新ジャンル酒に売れ行きがはっきり二分している今、アサヒビールこそじっくり味わって飲める美味しいビールにも力を入れるべきではないだろうか。

 アサヒビールはスーパードライで成長し、キリンビールを抜いて業界第一位のメーカーになった。
 それゆえアサヒビールには、「アサヒのビールはスーパードライのような喉越し系のものでなければ駄目だ」という呪縛と言うか思い込みのようなものがあるように思える。

 湿度が高く蒸し暑い日本では、確かに喉越し系のビールが好まれている。
 しかし世界的に見ても歴史的に見ても、ビールは決して日本で主流のピルスナータイプの喉越し系のものばかりでなく、もっといろいろな味わいのビールが存在するのだ。
 スーパードライで成長したアサヒビールも、それとは正反対の味わいのレフのビールを輸入販売しているのだ。それらの味の良さも、しっかり理解している筈ではないか。
 ならばスーパードライのような喉越し系のビールばかりにこだわらず、レフのようなじっくり味わって飲むプレミアム系のビールも製造してこそ、真にビールを理解している大メーカーと言えるのではないだろうか。

 ビールと言えば「ゴクゴク、プハーッ」と喉越しで飲むものと思い込んでいる者が多い日本で売れる、スーパードライのようなものばかりでなく、ゆっくりじっくり味わって飲めるビールも出してくれたら、少なくとも筆者は歓迎するし、アサヒビールに好感を持つ。
 国内でも最近は、若者を中心にクラフトビールの人気が高まっているという。
 ゆっくりじっくり味わって飲むプレミアム系ビールの需要は間違いなくあると思うのだが、どうだろうか。

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