空と虹と恋と

 大好きな写真のこと、そしてゲームやコミックスの話から歴史&時事問題まで、思いつくまま雑多に語ってみたいと思っております。さらに筆者の度重なるイタい失恋話についても、どうぞ憫笑しつつお読み下さいまし。

ダルグナー ヴァイツェン

 筆者が時々行くあるホームセンターは、意外に酒類を豊富に揃えている。
 高級品というわけではなく、あまり知られていないお値打ち品を仕入れているから嬉しい。

 そのホームセンターで、ダルグナーというドイツのビールを見つけた。
 そこで扱っているダルグナーには、ラガーとヴァイツェンの二種類があった。
 筆者は実は日本で主流のラガービールは、あまり好きではない。
 そしてエールビールが好きで、中でもヴァイツェンビールは大好きである。
 だから迷わず、ヴァイツェンの方のダルグナーを買った。

ダルグナー・ヴァイツェンP1120539

 プルタブを開けた途端に、ヴァイツェンビールらしい柑橘系のフルーティーな香りが辺りに漂う。
 白い泡が、とても細かい。
 飲んでみると、小麦の穏やかな甘さとホップの控え目で上質な苦さがよく調和している。
 ホップの味わいもあるが、それより甘さの方が強い印象だ。
 だから「ビールは苦いから」と避けている人に、是非とも飲んでみてほしい。
 フルーティーで甘く、軽やかで苦味も上質で弱いから、日本の一般的なビールが苦手な人にも飲みやすい筈だ。

 このビールは麦芽とホップだけで造られていて、日本の多くのビールのように糖質副原料は使われていない。
 しかし決して重くなく、喉越しでもスッと飲める。
 なのに日本のラガービールより深いコクと味わいがある。
 よく冷えている間にゴクゴク飲めば、気持ち良く飲めるだろう。
 コクはあるが重くなく、嫌味も全く無い。

 だが筆者には、日本流に喉越しでゴクゴク一気に飲み干してしまうのは、少々勿体ないように思える。
 ラガービールは、よく冷やして飲むべきものだろう。
 しかしヴァイツェンも含めたエールビールは違う。
 ビールに限らず、飲み物は冷やし過ぎると香りと味を、特に甘味を感じにくくなるからだ。
 ヴァイツェンも含めたエールビールの適温は、11~13℃くらいだ。
 具体的に言えば、冷蔵庫から出して10分くらい室温で放置しておいたあたりが飲み頃だ。
 冷蔵庫から出した直後より、そのくらい置いておいた方が豊かな香りと、甘くほろ苦い繊細な味を楽しめる。
 だから個人的には、このダルグナー・ヴァイツェン、冷蔵庫から出して少し待ってから、ゆっくり、じっくり飲むことをお勧めしたい。
 しかし味わいが軽やかなので、喉越し派の人はよく冷やしてすぐにゴクゴク飲んでも、充分に楽しめるだろう。

 このダルグナー、例のホームセンターではヴァイツェンもラガーも188円で売っていた。
 近年注目されているクラフトビールより百円も安く、モルツやキリン一番搾りやスーパードライなどの普通の日本のビールと同じ値段だ。
 それを考えれば、充分過ぎるほど良いビールと言える。

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ブラックニッカ・クリアを再びじっくり飲んでみた

 ニッカとサントリーと言われたら、筆者は間違いなくニッカの方が好きだ。
 だがニッカの製品でもブラックニッカ・クリアについては厳しい評価を書いて、ウイスキーに詳しい方を含めた幾人もの方からお叱りを受けた。
 ただ罵倒されるというのではなく、「名ブレンダーの手によるものなのだ」と諭されたり、「初めて貰った給料で飲んだウイスキーだったのだが」と悲しがられたりして、読む人の気持ちも考えずに好き勝手に書き過ぎたと反省させられた。

 正直に言おう。
 筆者はブラックニッカ・クリア(以下クリアと略す)に、最初から偏見を持っていたのだ。
 今のクリアには書いてないが、クリアブレンドと呼ばれていたかつてのクリアには、裏のラベルにこう書いてあった。

 モルトウイスキーの代表的な香りのひとつ、ピート香(スモーキーフレーバー)は、ウイスキーの個性を特徴づける反面、「きつさ」や「苦さ」につながります。
 ブラックニッカ“クリアブレンド”は、ノンピートモルトを使うことでこのピート香を抑え、くせのないクリアな味わいを実現しました。


 そして筆者は、アイラ島のピーティーなスコッチが大好きである。
 スカイ島のタリスカーや、あの有名なジョニー・ウォーカーが好きなのも、ピート香が利いているからというのが大きな理由になっている。
 そんな「ウイスキーにピート香は欠かせない」と思っている筆者にとって、そのかつての“クリアブレンド”のピート香を敵視するようなラベルの言葉は、とても腹立たしかった。
 正直、「ああん? 俺にケンカ売ってる!?」と思ってしまうくらいカチンときた。

 しかもまた、裏面のラベルの下に書いてある、『おすすめの飲み方』というのも酷かった。
 レモン入りサイダー割り、ウーロン茶割り、紅茶割り、はちみつお湯割り、麦茶割り……。
「ピート香のカケラもも無い、変なモノで割って飲むべきレベルのウイスキーってことだ」と、最初から見下してしまったのだ。
 そしてニッカの創業者、竹鶴政孝氏がピート香のあるウイスキーにこだわっていた事をなまじ知っていたが為に、「アサヒビールの完全子会社になったから作られた、竹鶴政孝氏の時代にはあり得ないウイスキーもどき」という悪印象も抱いた。

 それらの偏見のせいで、評価が不当に厳しくなってしまったのかも。
 そう反省して、ニッカで最も売れているウイスキーであろうクリアを、改めて飲んでみることにした。

ニッカ・ブラックニッカ・クリア景品付きP1120544

 ノンピートということで、ずっと敵視してきたクリアだが。
 近年、カティーサークなどのピート香の弱いライトなウイスキーの味もわかるようになってきたことも、改めてクリアを飲んでみようと思わせた一因になった。

 さて、キャップを開けてグラスに注ぐと、穀物の甘い香りを確かに感じる。
 が、同時にアルコールのツンとする匂いもしっかりあるのが残念。
 飲んでみるとハニーな甘さと、ウイスキーらしいコクと味わいがあり、「あえてピートを使っていない」という事に対する偏見を除いて客観的に見れば、これも間違いなくちゃんとした“ウイスキー”だ。

 ただそこはニッカで最も安いウイスキーだけに、若い原酒のピリピリした刺激を確かに感じる。
 その原酒の若い刺激さえ我慢すれば、ストレートでも美味しく飲める。
 とは言うものの、心して舐めるように少量ずつ飲まないと、アルコールの強い刺激にむせてしまう。
 それでもストレートで不味いと思わずにちゃんと飲むことができる。そこが、サントリーの安いウイスキーとの違いだ。
 サントリーの安いものはあらかじめ「割って飲むもの」という前提で造られており、トリスやレッドはもちろん、角瓶でさえストレートでは不味くて飲めない。
 しかしクリアは、気をつければ割らずにストレートでも飲める。

 試しにトワイスアップにしてみたが、すると若いアルコールのきつさがスッと消え、甘い香りがよりはっきりと広がる。
 味もアルコールの刺激が無くなり、甘さをより強く感じる。
 トワイスアップにすると薄く水っぽくなってしまうものが少なくないが、これは良い。
 クリアのトワイスアップは、薄くなる以上に「アルコールの刺激が消えて甘さが引き立つ」というメリットが大きい。

 何しろこのクリアは、元々が度数37%だから。
 トワイスアップにすると度数18.5%になり、日本酒より少しだけ濃い程度になり、日本人にも飲みやすくなるのだろう。
 但し1:2の日本で一般的な水割りにすると、飲みやすいがかなり薄く水っぽいように思えた。

 開栓して数日経つと、アルコールの刺激が減って、味も香りもより甘くマイルドになる。
 例の「ピートによるきつさや苦さ」が無いせいか、ハニーな甘さとメイプルシロップに似た甘さをしっかり感じる。
 だがストレートでは原酒の若さゆえ、やはり少しでも多く口に含むとアルコールの刺激でむせてしまう。
 やはりトワイスアップが一番飲みやすい、かも知れない。

 ハイボールも試してみた。
 クリアのハイボールはとにかくクセや嫌味が無く、とても飲みやすい。
 富士山麓のハイボールと飲み比べてみたが、炭酸で割っても持ち味(クセとも言う)の樽香や少し焦げたような甘い味をしっかり感じる富士山麓とは対照的だ。

 ただ一つ、クリアのハイボールはクセがなくていくらでも飲めるが、冷やされたせいで持ち味の甘さを感じられなくなってしまう。
 ハイボールだけでなく、水割りでもロックでも、ウイスキーと言うと氷を入れて冷やしたがる人が日本人には多いが。
 飲み物は冷やされると甘さを感じにくくなるのだという事も、忘れずにいてほしい。
 このクリアも含めて、ウイスキーの甘さを味わいたければ、是非とも常温で飲むべきだ。
 ウイスキーには必ず氷を入れるものという思い込みは、どうか捨てていただきたい。

 改めて、クリアをしっかり飲んでみて思ったのだが。
 正直に言って、悪くない。
 取り立てて「美味いっ!」と誉めるようなウイスキーではない。
 しかし値段を考えたら、充分過ぎるほど立派で美味しいウイスキーだと言える。
 トリスやレッドや角瓶は割らねば飲めないが、クリアならストレートや濃いめでちゃんと飲める。
 筆者はこの700mlの瓶を、税抜きで七百円を切る値段で買った。
 その値段を考えたら、間違いなく良く出来ている。同価格帯のトリスなどと飲み比べれば、ニッカのウイスキー造りに対する良心がわかる。
 ピーティーなウイスキーを愛するあまり、筆者はクリアの価値を今まで見抜けなかった。そのことを、深く反省する。

 ただそこは、安価なウイスキーだから。
 原酒に若さはあるし、じっくり味わって飲むというより、ハイボールなり濃いめの水割りなり、好きに割って気軽に飲むのに最適な、リーズナブルなウイスキーだと思った。

 繰り返すが、筆者はピート香の利いたスコッチが大好きである。
 だが現在、自然に出来るよりはるかに多くのピートが掘り出されて使われているという。
 この調子でピートを使い続けていたら、やがて掘り尽くしてしまうらしい。
 それを考えたらクリアのようなノンピートのウイスキーをもっと増やし、ピートを使ったウイスキーは一部のマニア向けに絞った方が良いのかも知れない。

 確かにスコッチには、ピート香は欠かせない。
 しかしピートの残量のことを聞かされると、スコットランド以外の地方のウイスキーはノンピートでも良いのではないかと考え直した。
 例えばバーボンのスモーキーさは、チャーと言う樽の内側を焦がす手法によって得ている。
 一方、スコッチのスモーキーさのもとであるピートは自然界で出来るのがゆっくりで、掘り尽くせば無くなってしまう。
 そのスコッチのピート香を保つ為にも、スコットランド以外ではピートの使用を抑えることも考えねばならないかも知れない。
 あえてノンピートにしたということで、クリアをずっと敵視してきた筆者だが。
 ピートのことを考えれば、クリアのような生産量の多いウイスキーこそ、ノンピートであるべきなのかも知れない。
 日本のウイスキー造りはスコッチを手本にしてきたから、日本のウイスキーにはピートを使っているものが少なくない。
 だがウイスキーにピート香は必須、というわけではないのだ。

 ピートの残量まで考えて、クリアをノンピートにしたとまでは思わないが。
 別にスコッチでもない日本のウイスキーがピートを使っていなくても何も構わないのだし、それでピートが残るならば、ノンピートも良いことなのかも知れない。
 ピーティーなスコッチが好きで、そんなスコッチがいつまでも残ってほしい筆者は、ふとそう思った。

 ブラックニッカ・クリアと言えば。
 去年の秋、北朝鮮のイカ釣り船が北海道沖の松前小島に漂着して、島の番屋の食べ物や飲み物を飲み食いし尽くし、家電製品からバイクまで金目の物も根こそぎ盗んでいった事件は、皆さんもまだ覚えているだろう。
 その際、島の番屋に置いてあって、北朝鮮の漁民に飲み尽くされてしまった酒が、韓国焼酎の鏡月、それにブラックニッカ・クリアだった。
 どちらもペットボトルの大瓶だった。
 あの北の国から漂着して、クリアをたくさん飲めて、かの漁民らはさぞ良い気分で酔っぱらえたことだろう。

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沢の鶴純米酒米だけの酒

 先週、福島県の白河銘醸の谷の越純米吟醸を飲んだ。
 それで今回は、沢の鶴純米酒米だけの酒を飲んでみた。
 灘の大手メーカーの、しかも紙パック入りで精米歩合も掛米で75パーセントという比較的安価な酒だけに、正直に言って味に期待は殆どしていなかった。
「やはり大メーカーの“名ばかり純米酒”だった」と、最初から書くくらいのつもりでいた。

沢の鶴純米酒米だけの酒P1120860

 実際、ワイングラスに注いでみても香りは弱く、吟醸香のようなフルーティーな香りは全くと言ってよいほど無く、代わりにアルコールの匂いを感じる。
 そして谷の越純米吟醸と、酒の色が明らかに違う。
 谷の越純米吟醸は明らかに黄色味を帯びているが、この沢の鶴純米酒は殆ど無色透明に近い。
 精米歩合60パーセントの谷の越純米吟醸に比べ、麹米が65%で掛米が75%の沢の鶴純米は、精米歩合の低さによる雑味を活性炭を多く使用した濾過で補っているのだと思われる。
 で、この沢の鶴純米酒米だけの酒に対する筆者のイメージは、ますます悪くなった。
 ああ、やはり大メーカーの安酒だなあ……と。

 しかしだ、飲んでみるとこの沢の鶴純米酒米だけの酒、そう悪くないのだ。
 飲み比べてみれば沢の鶴純米酒米だけの酒には吟醸香は無いし、味もキリキリ辛くて、谷の越純米吟醸の方が香りが良くてマイルドだ。
 しかしその差は「飲み比べればわかる」というレベルのものであって、歴然とした差は感じない。

 大量の活性炭で濾過をしているのは、色を見ればわかる。
 しかしそれでも辛味や甘味、それに渋味や苦味や酸味などの味わいをしっかり感じる。
 メーカーは、『おいしい理由』の一つとして「伝統的な製法、生酛造りで仕込んだお酒をブレンドしました」とパックに書いてある。
 生酛造りはコクがあるが、癖も強いし好き嫌いも分かれる。
 だから生酛造りそのものでなく、ブレンドしたことによって、適度なコクと味わいが生まれたのだろう。
 この酒、さして美味い酒とは言えないし、精米歩合の高い良い酒とは比べようもない雑味と濁りを味に感じるが、価格を考えれば良く出来ている。
 より美味い酒を飲みたい人には勧めないが、安くて飲みやすい酒を求める人には向いている。

 おいしさの理由と言えば、メーカーはもう一つ「米と磨きのこだわり 日本産米100%・麹米65%」と書いてあったが。
 その日本産米も大した米を使っていないように思えるし、掛米65%で磨きにこだわったと言われても失笑するしかない。
 純米酒を名乗るが、上手に造った本醸造酒の方が美味しいくらいだ。

 だがそれでも、価格を考えればこの酒、悪くないと思う。
 特に誉めるような酒ではないし、雑味は感じるものの、嫌味もないし決して不味くはないのだ。
 そして活性炭を多く使っているだろうに不思議に味は薄くなく、ちゃんと酒らしい味を感じる。
 安い酒をたくさん飲みたいが、不味い酒も嫌で、ちゃんと酒らしい旨味もある酒を飲みたい。
 この沢の鶴純米酒米だけの酒は、そんな人に向いた酒だ。

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谷の越 純米吟醸

 日本酒では、筆者は純米吟醸酒が好きだ。
 実は純米大吟醸酒の方がもっと好きだが、普段気楽に飲むには純米大吟醸酒は少しお高い。
 日本酒で味と価格のバランスが一番良いと思えるのは、筆者にとっては純米吟醸酒だ。

 とは言うものの、その純米吟醸酒でも四合瓶で千数百円する。
 そんな中で、紙パック入りの割安な純米吟醸酒を見つけた。
 福島県西白河郡西郷村の、白河銘醸株式会社谷の越純米吟醸だ。
 900ml、つまり五合も入って六百円台である。

谷の越純米吟醸P1120637

 買って飲んでみたが、まずグラスに注いでみると吟醸酒にしては香りはやや控え目だ。
 しかしフルーティーな吟醸香は、間違いなくある。
 スッキリ飲みやすく、するりと飲めて安い酒にありがちな嫌味は殆ど無い。
 蔵元は「やや辛口」と言うが、適度な辛さの中に米の甘味もある。
 個人的には、辛口と言うより旨口と言いたいところだ。

 ただ、日本酒は一般的に度数15~16%だが、これは13~14%だ。
 僅かだが加水している量が多いせいか、蔵元は「やや淡麗」と言うが、少し薄味にも感じられる。
 しかし米の旨味は確かに感じる。
 あと、黄色味を帯びた色と味を考えると、大メーカーのように活性炭を大量に使って味をごまかしたりせずに、米の味をちゃんと生かしているように思える。

 蔵元は「じっくり味わいたいときはそのままで サラリと味わいたいときはキリリと冷やして」と言うが、この酒、冷蔵庫から出した直後とぬるくなってからでは印象が変わる。
 冷たい時には香りはやや弱いものの、サラサラと気持ち良く飲める。
 そしてぬるくなってくるとフルーティーで華やかな吟醸香が立ってきて味わい深くなり、当初に感じた香りと味に対する物足りなさが無くなる。
 だから水のような飲みやすい酒を良しとする人は冷蔵庫でキリリと冷やし、吟醸香や酒の味をゆるりと楽しみたい人は少しぬるくなってから、あるいはそのまま冷やさずに飲むと良いだろう。

 正直に言えば、この谷の越より美味い純米吟醸酒は他に幾つもある。
 が、その種の美味い純米吟醸酒の値段は、この谷の越の倍かそれ以上だ。
 値段を考えれば、これは本当に良い酒だ。
 同じ価格帯の紙パック入りの日本酒の中では、頭一つ抜けた美味さだ。
 パックに「飲めばわかる香り豊かな本格造り」と書いてあるが、その看板に偽り無しだ。

 良い酒にはお金を惜しまないという人には、お勧めしない。
 しかし安くて気軽に飲めてしかも美味しい、コストパフォーマンスに優れた日本酒を探している人には、是非お勧めしたい逸品だ。

 この谷の越純米吟醸、嫌味の無い良い酒だが、後味に苦味と渋味が僅かに残る。
 で、和菓子と合わせて飲んでみたところ、これがなかなか相性が良かった。
「日本酒に甘いものなんて」と思う人も多いだろう。
 実は筆者もそう思っていた。
 だが尊敬するogotchさんに教わって試してみて以来、それが大好きになってしまった。
 日本酒、それも渋味や苦味の残るものには、和菓子が意外に合う。

 あと、パックに「天然水仕込み」と誇らしげに書いてあったが。
 日本酒で、「水道水仕込み」のものなどあるのだろうか。
 筆者は日本酒と言えば、その土地の名水で仕込んでいるものとばかり思っていた。
 いや、谷の越など一部のお酒の容器に、わざわざそう書いてあるという事は、あるのだろうな、「水道水仕込み」の酒が。

 純米吟醸酒としては、特に四合で千数百円する定評ある銘酒たちと比べてしまうと、特に美味しいとまでは言えないが。
 五合で六百円台という値段を考えると、「かなり良い酒」と断言できる。

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社員を大切にするサントリーに、もう一つ大切にして貰いたいもの

 毎日新聞の報道によると、サントリーは癌にかかった社員に対し、健康保険が適用されない重粒子線治療などの先進医療の費用を支援すると決めたという。
 その原資は働き方改革で減らした残業代で、一人当たり5百万円を上限に補助するそうだ。

 何故サントリーが、社員の癌の治療費を補助するか。
 それについてサントリーは、「癌を完治させて働いてもらった方が、会社の資源になる。保険でカバーできない部分も支援することで、安心感につなげたい」と説明している。
 この説明は、実に理にかなっている。

 第二次世界大戦中のドイツ軍の戦死者は、1944~45年の大戦後期に特に多い。
 と言うのは、総統ヒトラーの戦争指導が劣拙だったからだ。
 独裁者であったヒトラーは、軍の作戦指揮だけでなく、部隊の編成にまで口を出した。
 大戦後期、兵力と物量で勝る連合軍に押され気味になったドイツ軍は、多くの師団が多数の死傷者を出して後退した。
 で、参謀本部の将軍たちや前線の指揮官らは、補充兵でそのダメージを受けた師団を立て直すことを求めた。
 しかしヒトラーは、それを拒否した。
 前線で損害を受け後退した師団を、ヒトラーは役に立たない“燃えカス”と決めつけて無視し、補充兵で新たな師団を作って前線に送り出した。
 実戦経験の無い新兵、それも主に少年や中年の兵で編成された新しい師団が、数や物量に加えて経験でも勝っている敵に立ち向かえるわけが無い。
 新兵でヒトラーが編成させた新たな師団は、前線でたちまち壊滅し、大損害を出した。
 ドイツ軍の戦死者が大戦後期に集中しているのは、ヒトラーの作戦指揮が劣拙であったせいだけでなく、ヒトラーが歴戦の部隊と古参兵を信じず、実戦経験の無い新兵で編成した多くの急造師団を前線に送り出したせいも大きい。

 社員が癌などの重い病気にかかると、その社員に退職するよう求める会社も少なくないという。
 そして病気になった社員も、「長く休むと会社に迷惑がかかるから」と、その退職要求を受け入れてしまう人も少なくない。
 しかし考えてもらいたい。
 一人の人材を育てるのに、どれだけの時間とコストがかかるかを。
 癌にかかった社員を退職させ、その代わりに未経験の新人を雇ったとして。
 その新人が“使える”ようになるまで、現場の上司や同僚たちがどれだけ手をかけなければならないか。
 それを考えれば、安易に新人に入れ替えるより、病気になった社員の回復と職場復帰を待つ方が、会社にとっても利益になるのは明らかだ。

 例えば四十代半ばの社員が、癌などの重い病気にかかったとしよう。
 それで何ヶ月も職場に穴があいてしまうのは、確かに痛手だ。
 しかしその四十代の社員には、入社以来二十年以上もの仕事の経験値がある。
 それだけのベテラン社員を切り捨て、未経験の新人に置き換えるのは、会社にとっても決して利益にならない筈だ。
 社員は酷使して使い捨てと割り切っているブラック企業ならともかく、まともな企業なら、病で休職せざるを得なくなったベテラン社員を安易に切り捨てて経験値ゼロの新人と入れ替えるのは、社にとっても損失だとわかる筈だ。
 それはまさに、大戦末期にドイツの敗北を早めたヒトラーと同じ愚行だ。

 サントリーは以前から「士気向上や優秀な人材の獲得につながる」と考え、社員の健康維持に取り組んできたという。
 そして働き方改革で残業を減らし、そこで浮いた残業代を社員の癌治療の補助に回すという方針も、その一環として決められた。
 何しろあの大サントリーだから、社員にサービス残業を強いるようなセコい真似はしないだろう。
 そして働き方改革で残業を減らし、浮いたお金を社の利益にするのではなく、社員の癌治療の補助に使ってくれるというのだ。
 勤める職場としては、サントリーは良い会社であろうと思われる。

 このブログでサントリーの、特にサントリーのウイスキーについて繰り返し非難してきた筆者だが。
 サントリーは決してブラック企業ではなく、少なくとも社員には良い会社であるだろうと思っている。
 と言うのは、実は筆者の遠縁の者が、サントリーに勤めていたからだ。

 筆者の親戚には山梨県に住んでいる者が多く、筆者の母の伯母の長男という縁の北杜市在住の人が、サントリーで働いていた。
 サントリーには山梨県の北杜市に白州蒸留所があり、その筆者の遠縁の人はそこで働いていた。
 筆者の母は、両親が四十代の時に生まれた五人きょうだいの末っ子で、だからその伯母の長男という方も今では高齢で、サントリーもすでに退職している。
 去年、その「母の伯母の長男さん」に、法事でお目にかかったが、その方は「英語を学ばされたり、大変なこともあったが、サントリーに勤めて良かった」と語っていた。
 既に退職していて、悪口も遠慮なく言える立場なのに「勤めて良かった」と言えるということは、職場としてサントリーは本当に良かったのであろう。
 アメリカのビーム社を買収して、ウイスキー部門はビーム・サントリーとなっている今では、社員に英語を学ばせていたのも「先見の明があった」と言えるだろう。
 もしかしたらかなり以前からそのつもりで、白州蒸留所に働いていた筆者の遠縁の者にも英語を学ばせていたのだろうか。

 外国人にとって、日本は「観光に行くには良いが、定住して働く気にはあまりなれない所」だと聞く。
 日本の企業が職場として魅力が無いのは、まず長時間労働と残業の多さだそうだ。
 事実、日本の職場は残業は「あって当たり前」で、長時間労働とサービス残業を強い、社員は使い捨てのブラック企業も少なくない。
 そんな中で、退職後にも「勤めて良かった」と言わせる、サントリーの社員を大切にする姿勢は“良し”と認めよう。

 ただ消費者でウイスキーを愛飲している(そしてあまり金の無い)筆者としては、サントリーのウイスキー、特に晩酌に気軽に飲むような価格帯のウイスキーに対する姿勢にだけは、今も大いに不満である。
 ロックにしようが、水割りにしようが、ハイボールにしようが、ウイスキーの飲み方は「その人の勝手」なのだが。
 しかし2~3回蒸留した度数60%前後の原酒にわざわざ加水して、40~46%にして出荷している以上、ウイスキーはストレートで飲むのが基本だと、筆者は考えている。

 例えば日本酒だが、あれも度数19~20%の原酒に加水して、16%くらいにして出荷している。
 その日本酒に氷を入れたり、水で割ったり、増してやハイボールにして飲む者は殆どいない(発泡性の日本酒もあるが)。
 その日本酒のように「割らずにそのまま飲め」とまでは言わないが、ストレートで美味しく飲めてこそウイスキーだと、筆者は考える。
 ストレートでもハイボールでも、どちらでも美味しく飲めるウイスキーなら良い
 しかしストレートではアルコールの刺激がキツ過ぎ、ハイボールなどにして割らねば美味しく飲めないものは、ウイスキーとして失格だと筆者は思っている。
 そこで問う、例のサントリーの角瓶、さらにトリスやレッドをストレートで美味しく飲めている人が、どけだけいるだろうか。
 角瓶やトリスなどは、サントリーも最初から割って飲むのを前提に考えている。
「ウイスキー=ハイボール」という印象を日本中に根付かせ、ストレートではとても飲めないウイスキーを大量に売り捌いているサントリーの姿勢には、ウイスキー愛好者として腹立たしさを覚える。

 ハイボールのブームで、多くの人がウイスキーを飲むようになったことは認める。
 そしてハイボールが飲みやすいことも、認める。
 しかし筆者には、ストレートよりハイボールの方が美味しいとは、どうしても思えないのだ。
 ウイスキーの味とコクと香りはストレートで飲んでこそ一番よくわかり、割ったり氷を入れたりすれば、味もコクも香りも間違いなく薄まる。
 だから筆者は、割らねば美味しく飲めないウイスキーは、ウイスキーと認めない
 そしてサントリーは、その種のウイスキーをたくさん売り捌いている。
 社員を大切にしているサントリーだが、そんなところはどうしても嫌いだ。

 ティーチャーズという、歴史あるスタンダード・スコッチがある。
 こいつは値段は千円ちょっとだが、スタンダード・スコッチの中でも屈指の美味さだった
 スタンダード・スコッチというと、モルトとグレーンのうち、モルト原酒はたいてい三割程度しか使っていない。
 しかしティーチャーズは、モルト原酒を45%も使っていた
 ピーティーでかつマイルドで口当たりも良く、割らずにストレートでとても美味しく飲めた

 そのティーチャーズの味について、何故すべて過去形で褒めて書いているか、おわかりだろうか。
 このティーチャーズをサントリーが扱うようになってから、間違いなく不味くなったからだ。
 ピート香は感じるものの、若いアルコールの刺激が明らかにキツくなり、ストレートで飲むと口の中がピリピリして口蓋が焼ける。
 値段は量販店で税抜き898円と、間違いなく安くなった。
 そしてその分か、値段の差以上に不味くなった。
 サントリー扱いでなかった以前のティーチャーズにあったまろやかさと味わい深さが、全く無くなってしまった。

 このサントリー扱いのリニューアルされたティーチャーズだが、ストレートでは不味い。しかし水や炭酸で割ると、案外イケる。
 割っても本来のスモーキーさはしっかり残るし、ウイスキーらしい味わいもある。
 ストレートでは不味いが、割ればそれなりに飲めるのだ。
 と言うより、角瓶と同じように「最初から割って飲むことを前提に作られたモノ」という印象だ。

 ちなみにサントリーが扱う今のティーチャーズと違って、かつてのティーチャーズは割っても美味しく、ストレートではもっと美味しかった
「ウイスキーはハイボールなどにして割って飲むもの」と思っている人達は、ティーチャーズの味の変化など気にもしない、と言うか気付きもしないだろうが。
 ウイスキーはストレートで飲むのが基本だと思っている者には、この変化は辛い。

 宣伝の力で「ウイスキー=ハイボール」という印象を広めたサントリーは、確かに日本でのウイスキーの消費を高めただろう。
 しかし日本でのハイボールのブームを批判した筆者のブログに対し、ある方が「自分はウイスキーが好きなのではなく、ハイボールという飲み物が好きなのだ」とコメントして下さったように、“ウイスキーが好きな人”と“ハイボールが好きな人”はイコールではないように思える。
 ハイボールの流行は、ストレートとかロックとか、ウイスキーの他の様々な飲み方へつながっていないように思える。
 ウイスキーでなく「ハイボールが好き」という人の殆どは、ハイボール好きのままで留まっている。
 だからハイボールの流行はウイスキーの消費だけ高めたものの、そこからウイスキーへの深い関心や愛情を深める結果にはなっていないように、少なくとも筆者には思える。

 サントリーが扱うようになってリニューアルしたティーチャーズは、明らかに不味くなった。
 ウイスキーの味がわかる人、水や炭酸で薄く割らずにストレートで飲む人は、皆そう言う。
 その悪評に、サントリーも気付いているのだろう。
 つい先日、行きつけの酒屋に行ったところ、サントリー扱いの新しいティーチャーズの瓶に、炎(燃えるピート?)の写真に重ねたこんな宣伝文句が飾られていた。

150年こだわった、
スモーキー
スコッチ。


ティーチャーズ・ポップP1120475

 いや、リニューアルされた今のティーチャーズも、確かにスモーキーではあるけれど。
 しかしサントリー扱いの今のティーチャーズが、以前のものよりアルコールの刺激がキツく不味くなった事実は変わらない。
 サントリーお得意の宣伝の力で何とかするのではなく、味そのものを良くすること、少なくともリニューアル以前のアードモア等のモルト原酒を45%使用していたレベルに戻すことで、評判を取り戻して貰いたいものだと、心から思った。

 例えばサントリーのビールは、プレミアム・モルツだけでなく、ただのモルツや、新ジャンル酒の頂ですら案外悪くないと思う。
 同じサントリーの新ジャンル酒でも、金麦の方はどこかに金属的な嫌な味を感じるが、にはそれが無い。
 安い新ジャンル酒だけに、「旨い!」とまでは言い切れないものの、嫌味が無く、喉越しでゴクゴク飲めば結構イケる。
 本物の良いビールのような複雑な味は無いものの、コクはあるし、ビールに近い味を実現している。

サントリー・頂8P1120940

 頂は、最初は度数7%で発売されたが、それがいつの間にか8%にアップしていた。
 ビール類では、アルコール度数を上げると独特のクセが強くなるというが、筆者はそのクセを全く感じなかった。
 今は新ジャンル酒でもチューハイでも度数の高いストロング系がウケていると聞くが、頂は悪くないと思う。
 麦芽を多く使い、発酵の度合いを高めて課題を克服したと言うが、頂は新ジャンル酒としてただアルコール度数が高いだけでなく、同社の金麦より間違いなく美味い。

 ウイスキーについて言えば、サントリーは「高くて良いものと、普通の人が普通に飲めるリーズナブルな価格帯のものを、はっきり作り分けている」というイメージが強い。
 山崎や響など徹底的に良いものを造り、世界で賞を取ってブランドのイメージを高めて。
 一方、普通の人が普通に飲むリーズナブルな価格帯のものは、お値段通りの安物でしかない。

 ウイスキーでは「品質のニッカ、宣伝のサントリー」と言われるが、まさにその通りだと、筆者も思う。
 たとえ安いものでも自社の名前で出すものには、プライドを持って良い製品を出す。
 そのプライドが、サントリーのウイスキーには感じられない。
「カネの無い者が飲む安物は所詮この程度のもの、良いものを飲みたければ高いものをどーぞ」と。
 普通の人が普通に晩酌に飲める価格帯のものでも、コストの縛りの中で出来るだけ良いものを造る努力をするか。
 それがサントリーとニッカの、ウイスキーの違い
ではないかと筆者は考えている。

 しかし(金麦はともかく)頂を飲んでみれば、サントリーにも安くて良いものを造る力があることがわかる。
 そのサントリーの力を、是非「普通の人が普通に晩酌に飲める価格帯のウイスキー」にも注いで貰いたいものだと思う。
 社員を大切にし、そして頂も作れるサントリーなのだ。
「山崎は是非ストレートで飲んでほしいが、安いウイスキーは昔は水、今は炭酸で割って飲めばいい」と割り切るのではなく、普通の人が普通に晩酌に飲める価格帯のウイスキーの味の向上に、是非とも力を注いで貰いたい。

「山崎や響を買えないの? じゃあ角瓶をハイボールで飲めば?」という姿勢は、世のウイスキー好きに失礼ではないだろうか。
 いくらサントリーの社員でも、毎晩、山崎や響を飲めているわけではなかろう。
 サントリーが大切にしている自社の社員の晩酌の為にも、「普通の人が普通に晩酌に飲める価格帯のウイスキーの質の向上」を、是非お願いしたい。

 150年の伝統あるスコッチを安物のハイボール用にしてしまうという、悪い方向でのリニューアルwwwをして。
 そしてそれをお得意の宣伝POPで誤魔化すような、小手先のセコい真似をしてはダメですよ。
 大衆はそれで騙せるかも知れないが、味のわかる人達は宣伝では決して騙せない。
 サントリーというメーカー名は、自社の一番安い製品、角瓶だけでなくトリスやレッドにも付いているのだ。
 サントリーには社員と高い製品だけでなく、そうした自社の安い製品にも愛情を注いで貰いたいものだと、心から思う。

 新ジャンル酒でも頂は悪くないし、手頃な価格のウイスキーとしては白角も悪くない。
 その種の「普通の人が気軽に晩酌に楽しめる酒」の製造を、「社員を大切にするサントリー」に、是非お願いしたい。

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(株)アルプス 無添加信州コンコード

 最初に断っておくが、筆者はワインがあまり好きではない。
 ワインと日本酒と、同じ値段だったら間違いなく日本酒の方が美味しいと、筆者は基本的に思っている。
 白ワインならまだ飲めるが、赤ワインはどうにも好きになれない。

 その筆者が「これは美味しい!」と感心したワインがある。
 それも嫌いな筈の赤ワインなのだ。
 長野県塩尻市の株式会社アルプスの、無添加信州コンコードだ。

信州コンコードP1120033

 グラスに注ぐと、まずルビーのような美しい色にウットリさせられる。
 口に含むと、驚くほどのフルーティーさだ。
 渋味もあるものの控え目で程良く、とにかく葡萄のフルーティーさが前面に出てくる。

 メーカーの甘辛度の表示では中口だが、辛さはあまり感じなく、葡萄本来の甘さをほのかに感じる。
 甘口のワインは初めは飲みやすいものの、飲んでいるうちに甘ったるくなり味に飽きてくる。
 渋味の強いワインもまた、好きな人は好きなのだろうが、筆者などは飲んでいてツラくなる。
 しかしこのワインの甘さはほのかで上品で、決してしつこくない。
 しかも控え目な渋味も本当に適度で、後口をサッパリさせてくれてちょうど良い。
 このワイン、葡萄のフルーティーさと甘さが先に出て、そして後から追いかけてくる程良い渋味が後味を良くしてくれる。
 この甘さと渋味のバランスが本当に絶妙で、ワインは、特に赤ワインは苦手な筆者が気持ち良く何杯でもスイスイ飲めた。
 これは美味しい!
 香りもフルーティーで魅惑的。
 重さの表示は無いが、これはミディアムであろう。
 重たくなく気持ち良く杯を重ねられるが、決して軽くなく、コクと味わいもしっかり感じる。

 実はこんなブログを書きながら筆者はかなりの下戸で、日本酒なら一合、ウイスキーなら60ml、ビールなら一缶が限度である。
 しかしこの無添加信州コンコード、嫌味が全く無くフルーティーで美味しく、つい「もう一杯!」と杯を重ねるうちに、720mlの瓶の三分の二を飲んでしまった。
 限度の倍以上である。
 実は、危うく一本飲み干してしまうところだった。
 ただ「こんな良いワインを酔い潰れるまで飲んでしまっては勿体ない、充分味がわかり、美味しいと感じられるところで止めておこう」と思い、理性で我慢してそれ以上飲むのをセーブしたのだ。
 それくらい嫌味なく飲みやすく美味しい、良いワインだった。

 ラベルによれば、株式会社アルプスは信州桔梗ヶ原など長野県内約400軒の栽培農家と契約した良質な葡萄を使用して造っているという。
 この無添加信州コンコード、フルーティーで味わい深く、しかも飲みやすく嫌味なく、繊細な甘さと渋味と辛さのバランスが絶妙だ。
 無論、これより上等で美味しいワインはいろいろあるだろう。
 しかし千円で買えるワインでこれほど素晴らしい赤ワインは、多分他に無いと筆者は思う。
 ワイン、特に赤ワインは好きでない筆者を唸らせ、同様にワインを好かない知人にも「これだけは好き」と言わせた逸品だ。
 また買って飲みたいと、心から思った。

 フルーティーさを引き立て、かつ飲み飽きさせないほのかな甘味と、それを引き締める後味をサッパリさせる程良い渋味がある、後を引く美味しさのあるワインだ。
 下戸の筆者がボトルの三分の二まで立て続けに飲んでしまい、危うく一本飲み干して潰れてしまいかけるところだった。
 飲んでいて、とても幸せになれる。
 香りと味を心行くまで楽しみながら、何杯でも飲めてしまう。
 酒に弱くなければ、一本、楽に飲めてしまうのではないか。
 甘さ、渋味、辛さのバランスが絶妙過ぎる。
「華やかな香りとコクのある風味が楽しめる口当たりの良いワインです」というメーカーのコメント通りの、安くて美味しい、出来の良すぎるワインである。

 ただ難を言えば、翌日残しておいた三分の一瓶のこのワインを飲んだところ、前日(開栓したて)には感じなかった強い酸味を感じた。
 酸化防止剤無添加のせいか、冷蔵庫で保存しておいても、開栓した翌日には酸味が強くなってしまうようだ。
 それでも充分に美味しいが、開栓したらその日のうちに飲み切った方が良いと思う。

 このワイン、良いワインだが栓はコルクでなく、スクリューキャップだ。
 そして価格も千円程度で、気取らず気楽に飲むにはとても良いワインだ。
 親しい人と語らいながら楽しく飲みたい、美味しくて懐にも優しい、信州産の素敵なワインである。

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ヘリオス酒造 肉専用ペールエール

 今回もまた、沖縄のヘリオス酒造(ヘリオスブルワリー)の製品を飲んでみた。
 今回は、肉専用ペールエールだ。

ヘリオス肉専用ペールエールP1110821

 グラスに注ぐと濃い金色で、泡もベージュに近い茶色だ。
 香りはそれほど華やかではないが、口当たりはとても滑らかで爽やか。
 重くなくスッと飲めるが、飲んだ後に意外に苦さが口の中に残る。
 と言っても決して嫌な苦さではなく、インディア・ペールエールビールの苦さにも似た良質なホップの心地良い苦さだ。
 この苦味が、名前の通りに肉料理によく合う。
 肉料理だけでなく、揚げ物などの濃い味の料理をよく引き立てそうだ。

 このビール、味わい深くコクもあるのに決して重くなく、スイスイ飲める。
 これは筆者が飲んだヘリオスのビールに共通する特徴で、喉越しでゴクゴク飲んでも重くなく、ゆっくりじっくり飲んでも味わい深くコクがある。
 どう飲んでも美味しい、とても良いビールだ。
 喉越しで飲むのに向いたビールはじっくり味わって飲むと不味くなり、じっくり味わって飲むのに向いたビールは喉越しで飲むと重たい傾向があるが、この肉専用ペールエールを含めたヘリオスのビールは違う。
 あと、ゆっくり味わって飲むと、このビールには僅かにフルーティーな味わいがある。

 星空のポーター青い海と空のビール、それに肉専用のペールエールと、どれも甲乙つけ難い優れたビールだが、あえて言えばこの肉専用のペールエールが最も食事に合いそうで、かつ日本人の好みに合いそうな気がする。
 ただ「苦いから」とビールを敬遠して甘いチューハイなどを好んで飲んでいる人には、残念ながらこのビールは向かないだろう。

 実際、この肉専用ペールエールは、黒ビールである星空のポーターより苦いくらいだ。
 と言うより、肉専用ペールエールと星空のポーターは、苦さの質が違う。
 星空のポーターの苦さはローストした麦芽の香ばしい苦味で、肉専用ペールエールの苦さは上質なホップをふんだんに使った苦味だ。
 この上質な苦味ゆえに肉などの濃い味の料理に合うし、IPAなど良質なホップの苦味が好きな人にもとても好まれそうだ。
 個人的には、ヤッホー・ブルーイングインドの青鬼に匹敵する良いビールと思った。
 苦いが、後味がとても爽やかだ。
 ただ良質なホップの苦さでも「とにかく苦いのはイヤだ!」という人だけは、敬遠した方が良さそうだ。

 暑い地方のビールは、キンキンに冷やして喉越しで飲むのに向いた軽い味のものが多い。
 このヘリオスのビールはどれも良い意味での軽さがあり、かつ味に深みやコクもあり、飲みごたえもしっかりある、とても良いビールばかりだ。
 缶にSINSE 1996とあり、それほど歴史のあるブルワリーではないが。
 しかし良いビールを造る優れたブルワリーだと、心から思った。

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ヘリオス酒造 青い空と海のビール

 前回に続いて、今度もまた沖縄のヘリオス酒造のビール、青い空と海のビールを紹介したい。

ヘリオス・青い空と海のビールP1110437

 プルタブを開けた途端に、甘く心地良いフルーティーな香りが広がる。
 グラスに注ぐと明るい黄金色で、飲むと新ジャンル種のように薄いのではなく、良い意味で軽やかな味わいだ。
 喉越しも良くスッと飲めるのに、味わい深さやコクもしっかりある。
 苦味は少なく、良質なホップの味と香りをほのかに感じる。
 そしてそのほのかな苦味と、上品な甘味と酸味のバランスがとても良い。
「ビールは苦いから」と敬遠している人達に、是非とも飲んでみてほしい逸品だ。

 味わいはとても上品で繊細で、キレが良く後味もスッキリしている。
 飲んだ後に口に残るのはまず品の良いフルーティーな甘さと、僅かなホップの味わい。
 これはヴァイツェン・ビールだが、その中でも際立って繊細な、上品な甘さとホップの味わいが魅力的なビールだ。

 ビールは、南の暑い地方のものほど軽めに造られるというが。
 先週紹介した同じヘリオス酒造の星空のポーターも、黒ビールにしてはよくバランスが取れていて重くなかった。
 そしてこの青い空と海のビールもまた、味のバランスがよくバランスが取れていて、薄いのではなく繊細な味わいの、上品な軽やかさが魅力のビールだった。
 このヘリオス酒造のビール部門は、薄いのではなく品良く軽やかなビールを造る、優秀なブルワリーという印象を受けた。

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星空のポーター(ヘリオス酒造)

 沖縄のヘリオス酒造と言うと、蒸留酒が好きな筆者などつい泡盛を連想してしまうが。
 そのヘリオス酒造がビールも造っていることに、最近になって気付いた。
 それも安物ではなく、洒落たデザインの缶のちょっと良いビールばかりだ。
 で、何種類か出されているヘリオス酒造のビールのうち、まず星空のポーターという、麦芽100%でエールタイプの黒ビールを飲んでみた。

ヘリオス・星空のポーターP1110443

 黒ビールというと、苦いものを連想する人が多いだろう。
 しかしこの星空のポーターは、苦味については程々だ。
 黒ビールだが決して苦すぎることはなく、ローストされた麦芽の心地良い苦味が楽しめる。
 そしてただ苦いだけでなく、麦の甘さもあり、そして適度な酸味もある。
 まずほろ苦くて甘く、最後に酸味が後味を引き締める。
 この苦味と甘味と酸味のどれも突出せず、それぞれの味のバランスが絶妙だ!

 正真正銘の黒ビールで、グラスに注ぐと色は真っ黒に近い。そして泡の色もコーヒー色だ。
 しかしその見た目と違い、苦さは心地良い程度で、決して苦すぎることはない。
 そして麦芽100%のエールタイプだが、ゴクゴク飲んでも重くなく、ゆっくり味わって飲めばもっと美味しい。
 日本人には、ビールと言うと喉越しでゴクゴク飲むものと信じている人が多く、筆者が好きな味わい深いビールは「重い」と敬遠する人が少なくない。
 しかしこの星空のポーターは、喉越しでゴクゴク飲んでも、ゆっくり味わって飲んでも美味しい。

 このヘリオス酒造の星空のポーター、とても良いビールだ!
 黒ビールだが苦さはほろ苦い程度で心地良く、酸味や甘味とのバランスもとても良く取れている。
 そして喉越しで飲んでも重くなく、ゆっくりじっくり飲めば味わい深い。
 好き嫌いが分かれるタイプではなく、多くの人に好かれる美味しいビールだ。

 筆者は沖縄のビールと言えば、本土では毎年春に発売される、オリオンいちばん桜が大好きだが。
 他にも沖縄にこんな良いビールがあったのかと、心から感動した。

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純米酒(奥飛騨)と特別本醸造酒(立山)を飲み比べてみた

 近年、日本酒は若い人や女性にも飲まれるようになってきた。
 だが日本酒には、種別がいろいろある。
 本醸造に純米、それに吟醸など、そのどちらがクラスが上なのか、迷う人も少なくなかろう。
 実は筆者も、時々迷う。

 行きつけの近所のスーパーのお酒コーナーに、ほぼ同じ価格の日本酒があった。
 一方は純米酒だが、精米歩合は70%で。
 そしてもう一方は醸造用アルコールを加えている特別本醸造酒だが、精米歩合は麹米が57%で掛米が59%だ。
 どちらが良い酒なのか、本当にわからない。
 それで試しに、両方買って飲み比べてみた。

奥飛騨純米P1110525

 さて、まずは下呂市の純米奥飛騨だ。
 良くも悪くも、香り(匂い)が殆ど無い。
 よく嗅ぐと、米の穏やかな香りは感じる。
 ただ吟醸酒と違って良い香りも殆ど無い代わりに、嫌な臭いも全く無い。

 味は、基本的に辛口だ。
 しかし飲んでいると甘味、そして渋味も感じる。
 精米歩合が70%でしかないだけに、酒質に僅かだがスッキリしない部分を感じる。
 筆者の好きな山梨銘醸の七賢という山梨県の日本酒は、本醸造酒ですらない、最も安い普通酒ですら精米歩合は68%だ。
 それを考えると、この精米歩合は少しいただけない。
 純米を名乗るならせめて60%、最低でも65%にしてもらいたいものだ。

 とは言うものの、色は比較的黄色味を帯びていて、大手メーカーの安価なカップ酒によくあるような、活性炭を多く使用した濾過で旨味と共に雑味を取ってごまかしているような駄目な酒とは違う。
 精米歩合は70%と控え目でも、ごまかしが無いので米の旨味がしっかり伝わってくる。
 雑味は少しあるが嫌な味では無く、大手メーカーのカップ酒よりずっと日本酒らしい味わいがある。
 これはこれで、丁寧に造られた良い酒だと思う。

 旨味がありつつ雑味の無い澄んだ味でさらにフルーティーな香りもある純米吟醸酒が好きな筆者の好みのタイプの酒ではない。
 しかし男性的で力強いしっかりした味わいで、昔ながらの日本酒という印象だ。
 こういう日本酒も好きな人もいるだろうと、間違いなく思う。

 14%という度数や70%という精米歩合は物足りないが、水っぽさは全く無く濃い味で、「酒を飲んだ」という満足感はある。
 ただ味に澄んだ感じは無く、舌に僅かな雑味を感じる。
 辛口だが、純米だけに後から加えられたアルコールのツンツンした刺激は全く無く、味は丸い。
 量販されている大手メーカーの酒と違い、安易に活性炭を多用せずに米の旨味を保った、これはこれで価格なりに良い飛騨の地酒だと思った。

立山P1110419

 続いて富山県の立山特別本醸造だが、飲んだ最初の瞬間には甘さを感じるものの、すぐに辛さが追いかけてくる。
 近年、妙にもてはやされている水のような酒ではなく、米の旨さを感じさせる旨口の酒だ。
 大手メーカーの日本酒と違い活性炭で濾過され過ぎていないのも、澄んだ淡い金に近い色を見ればわかる。

 活性炭は便利なもので、あまりコストをかけずに造った酒の雑味を取り去ってくれ、スッキリした味にしてくれる。
 で、あちこちの蔵(工場?)で造った大量の酒を同じ味にして、同じラベルを貼り同じ銘柄の酒として出荷することも出来る。
 ただ活性炭は雑味だけ選んで取り去ってくれるわけではなく、酒の旨味も同時に消してしまうのだ。
 だから大手メーカーの酒には無色透明に近い、一見スッキリしているように感じられるが旨味や味の奥行きが足りない酒が多いのだ。
 その点、この立山は活性炭で誤魔化さず、良心的に造った酒だと言える。

 ただ麹米57%・掛米59%と言えば吟醸酒と言っても良いレベルの筈だが、この立山は吟醸香を殆ど感じない。
 わかるのは、穏やかな米の香りだけだ。
 しかしだからこそ、食事と合わせ何かを食べながら飲むのに良い酒だと思った。
 今時のフルーティーでスッキリした酒ではなく、香りは穏やかでしっかりした味わいの酒だ。
 良くも悪くも、昔ながらの酒という印象。

 あと、立山特別本醸造は冷蔵庫で冷たくすると辛さを強く感じ硬い印象も受けるが、常温に近くなるにつれて甘く丸く滑らかな味になってくる。
 今は日本酒を冷やしてワイングラスで飲む人が増えているが、この酒は冷やし過ぎない方が良い。

 さて、この立山特別本醸造を、ほぼ同じ値段の精米歩合70%の純米酒(奥飛騨)と飲み比べてみた結論だが。
 どちらが良いかは、本当に微妙だ。
 あえて言えば立山特別本醸造の方が僅かに雑味が少なく澄んだ味で、奥飛騨純米の方が僅かに濃い味で腰が強いという印象か。

 一方は精米歩合70%だが純米で、もう一方は醸造用アルコールを加えてはいるものの精米歩合は60%未満で、造り方はかなり違う。
 それだけに、どちらもほぼ似通った味であったのが意外だった。
 純米とかアル添とか吟醸とか、さらに精米歩合とか、近年では製法を詳しく書いた酒が増えている。
 しかしそうして種別や数字だけではわからないものだなと、今回つくづくと思った。
 種別やデータも参考になるが、実際は「飲んでみなければわからない」というのが本当のところだった。

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