空と虹と恋と

 大好きな写真のこと、そしてゲームやコミックスの話から歴史&時事問題まで、思いつくまま雑多に語ってみたいと思っております。さらに筆者の度重なるイタい失恋話についても、どうぞ憫笑しつつお読み下さいまし。

濃姫の里隠し吟醸と清州桜酒造

 スーパーや量販店の酒コーナーに行くと、一合の紙パックで売られている安酒をよく見る。
 ある店で、その中に吟醸酒を見つけた。
 愛知県清須市の清洲桜酒造の、濃姫の里隠し吟醸というやつだ。

 アル添だが間違いなく精米歩合60%の吟醸酒で、なのに値段はワンカップより安い。
 安かったから、騙されたつもりで買って飲んでみたのだが、思ったより悪くなかった。
 で、今度は四合瓶のを買って、じっくり味わって飲んでみた。

清州桜隠し吟醸P1100965

 冷やで飲む日本酒は、筆者はいつもワイングラスで飲んでいるのだが。
 グラスに注ぐと、華やかで甘い吟醸香が心地良い。四合入りの瓶で買って値段は七百円もしなかったが、これは間違いなく吟醸酒だ。
 味も悪くはない。
「薄い」と言うか「スッキリした」と言うか微妙な部分はあるが、とても飲みやすくイヤ味が無い。
 口に含み、舌の上で転がしていると、適度な辛味と苦味、そして僅かな甘味を感じる。

 これは吟醸酒だがアル添だから、アルコールを加え水を足している分だけ薄まり、純米酒のようなふくらみや奥深さが味に欠ける点はある。
 しかしそれも「良質な純米酒と比べれば」という話であって、比べなければ気にせずスイスイ飲めてしまう。
 ちびちびゆっくり飲んでも美味しいが、純米でない分だけ軽さもあるのでグイグイたくさん飲めてしまいそうだ。
 値段は安いのに香り高くイヤ味なく美味しく、どんどん飲めるコストパフォーマンスの良い美酒だ。

 日本酒としての出来と味は、もちろん以前このブログに書いた会津の寫楽の方がずっと良い。
 しかし寫楽の値段は、この濃姫の里隠し吟醸の倍以上だ。
 それを考えれば、濃姫の里隠し吟醸は本当に良く出来た酒だと思う。

 ただ、プラス1.0という日本酒度にしては、辛さが少し気になる。
 数値的にはやや辛口という程度なのだが、甘さもあるのに舌に残るのは辛さだ。
 それはやはり、添加しているアルコールのせいではないだろうか。

 純米酒を飲み慣れた筆者からすると、アル添のこの濃姫の里隠し吟醸は、「スッキリした辛口」とも「ふくらみに欠け、アルコールの辛さのある」とも言える微妙なところがある。
 しかし香りは良いし、辛口で酸味も甘さもあり後口もキレも良く、値段を考えれば文句など言えない。

 人によっては、甘辛両方の味をしっかり感じる旨口の純米酒を「重い」と感じる方もいる。
 そういうスッキリした酒を好む方には、むしろ純米酒より美味しく飲みやすく思えるかも知れない。
 この濃姫の里隠し吟醸の売り文句は「フルーティーな香りと淡麗でスッキリとした上品な味わい」だが、その看板に偽りはない。

 この濃姫の里隠し吟醸を造っている清洲桜酒造は、一合入りの紙パックで百円前後の安い酒を主に造っている会社だが。値段の安さも大事だが、酒の造り手としてはせめてこのレベルの酒も売り出せねば、酒を造っていて楽しくなかろうと思う。
 濃姫の里隠し吟醸を知る人は、そう多くないだろうが。筆者としては、安くて良い酒だと自信を持って言える。
 特別に美味い酒ではない、しかし値段を考えれば充分過ぎるほど良い酒だ。

 で、つい調子に乗って、この清洲桜酒造の主力商品であろうと思われる、清洲城信長鬼ころしも飲んでみた。
 一合で百円前後、そして3リットルの紙パックでも千二百円を切る値段で売られている、文字通りの安酒だ。
 もちろんアル添だが、醸造用アルコールに加えて糖類と酸味料まで入れてある。
 筆者は以前にも、その種の酒を飲んでみた事があるのだが、あまりの不味さに一口で吐き出してしまった。
 その最低クラスの日本酒を、濃姫の里隠し吟醸を出した清洲桜酒造はどう造るだろうか。
 恐る恐る、試し飲みしてみた。

清州城信長鬼ころしP1100936

 例によってワイングラスに注いでみると、香りは(良くもないが)このクラスの糖類&酸味料入りの安酒としては悪くない。
 味も同様で、決して美味しいとは言えないのだが、これはとりあえず飲めてしまう。
 口に含むとまず苦味を、そして酸味と辛味を感じる。その辛さも添加されたアルコールによるもので、飲み下した後で舌がピリピリする。
 しかしそれでも、飲もうと思えば普通に飲めてしまうのだ。
 美味しいとは思わない。
 だが吐き出してしまいたくなるほど不味いとも思わない。

 アル添で、しかも糖類と酸味料も加えられているから、甘さも辛さも酸味も後から加えられたものの味が大きく影響している筈だ。
 なのに案外不味くなく、ベタつくこともなく、日本酒らしい味をとりあえずは保っている。
 美味いとは決して言えないが、安さを最優先した中で限界いっぱい良い酒を造るべく、メーカーはよく努力したと思う。
 他社の同クラス一合で百円の紙パックの酒は、筆者には不味すぎてどうしても飲めず、一口で吐き出してしまった。
 しかし清洲桜のコレは、一合を最後まで飲めた。
 美味いとは決して思わないが、味の点ではワンカップなど大手の他社のもっと高い普通酒と変わらないと思った。

 清洲城信長鬼ころしは、美味しい酒を少しずつ味わって飲みたい人には、もちろん全然向かない。
 しかし値段の安さを最優先して飲む人達に、少しでも気持ち良く飲んでもらえるように、メーカーは努力して造っていると思った。

 この清洲桜酒造は、ええなもという焼酎も一合の紙パックを百円前後で売り出している。
 安い焼酎と言えば、たいてい廃糖密から作ったアルコールを薄めた甲類焼酎だ。
 しかしええなもは、本格焼酎もブレンドした甲乙混和焼酎だ。
 ただこの“甲乙混和焼酎”というのがくせ者で、よく見ると乙類の本格焼酎は香り付け程度に、全体の10~20%程度しか加えられておらず、殆どがただのアルコールというまがい物が少なくない。
 しかし清洲桜酒造のええなもは、甲類と乙類を50%ずつ混ぜている。
 他の安い甲乙混和焼酎の中では、かなり良心的に造っている。

 もちろん、このええなもより、本物の本格焼酎の方がずっと美味い。
 しかし百円で買える焼酎としては、よく努力して造っているように思う。

 今回、筆者が取り上げた濃姫の里隠し吟醸を造ったこの清洲桜酒造は、「同じ質ならより安く、同じ値段ならより良いものを」というポリシーで頑張っているように思えた。
 何しろ第一に考えているのが安さだから、美酒の蔵元として有名になる事は無いだろうが。
 しかし安さを優先しつつ、その中で最大限に品質も保つべく努力している清洲桜酒造のような会社もある事も、酒好きの人達に知ってほしいと思う。

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ザ・モルツとサントリーのビールについて

 ビールと発泡酒と新ジャンル酒に分かれていたビール類の税金が、将来的に統一されることになった。
 この事をアサヒとサッポロは歓迎し、新ジャンル酒などの売り上げが大きいサントリーとキリンは困惑していると聞いた。

 新ジャンル酒の売り上げに頼らねばならない程、サントリーのビールは不味いのだろうか。
 そんな疑問を持って、サントリーのビールの基本であろうザ・モルツを飲んでみた。

サントリー・ザ・P1100879

 プルタブを開けグラスに注ぐと、好ましい香りが漂うが、香り自体は比較的抑えめだ。
 味わいは軽いが、イヤ味は全く無い。程良い苦味だけでなく、よく味わえば麦の甘みもある。

 サントリーの二代目社長であった佐治敬三氏はすっきりしたビールを求め、そのため苦味とコクが求められた時代には、サントリーのビールは「水くさい」と言われたという。
 飲んでみて断言できるが、ザ・モルツは決して水くさくも水っぽくもない。
 香りは華やかではないものの、よく嗅げば甘い良い香りはするし、麦の甘さも程良い苦味もある。

 ただ気楽に喉越しでゴクゴク飲めてしまう軽さがあり、ビールにコクと飲みごたえを求める人は物足りなさを感じると思う。
 缶には「グッとくる‘うまみ’」とあるが、うまみとコクに関しては正直に言って物足りない。

 とは言うものの、ゆっくり、じっくり味わって飲んでも、やや薄く感じるものの‘うまみ’は間違いなくある。
 喉越しに飲んでも美味しいが、喉越しに一気に飲み干してしまうには勿体ない繊細で上質な味わいがこのビールにはある。

 じっくり味わうにはややもの足りず、一気飲みしてしまってはせっかくの‘うまみ’が充分に感じられない。
 じっくり味わうにも、喉越しで飲み干すにも、どちらにしてもやや中途半端に思える。
 ただこのビール、イヤ味というものが全く無いのだ。気持ち良くスイスイ飲めてしまうし、味わって飲めばそれなりに‘うまみ’も感じられる。
 このザ・モルツは「大好き!」と言う人と「嫌いだ」と言う人が分かれるタイプのビールではなく、ビールは喉越し派にも、じっくり味わいたい派にも嫌われない、万人向けの優等生的なビールに思える。
 実際、このビールを飲んで「不味い、嫌いだ!」と言う人は、まず居ないのではないかと思う。

 個人的に言えば、これより美味いビールは他にもっとあると思うし、数あるビールの中からあえて選んで買おうとするほどのものではないと思う。
 しかし宴席などで出されたら、喜んで飲みたいと思う。
 ザ・モルツとは、筆者にとってそんなビールだった。

 これが佐治敬三氏の求めた、すっきりしたビールなのだろうが。
 筆者個人の好みから言えば、ザ・モルツはやや薄味で、コクとうま味について物足りなく感じる。
 しかし同時に、驚くほど味に癖やイヤ味が無いのだ。
 これほど抵抗無くスイスイ飲めるビールは、そう多くない。

 ビールとしては、もちろんより高価なザ・プレミアム・モルツの方が、味も香りも強くて上等なのだと思う。
 しかし味わいが軽い分だけ、プレモルよりザ・モルツの方が飲みやすいという人もいるのではないかと思われる。

 また、同じビールでもアサヒのスーパードライなどの“日本人好みのビール”には、完全に「キンキンに冷やして喉越しで飲む専用」で、ぬるくなってきたり、ゆっくりじっくり飲んだりすると、途端に不味くなるものが少なくない。
 しかしこのザ・モルツは、少し薄味ではあるものの、ぬるくなっても、ゆっくりじっくり飲んでも嫌な味にならず‘うまみ’を感じられる。

 ビール類に関して、サントリーは新ジャンル酒の金麦に頼っている部分が大きいようだが。
 筆者も以前、金麦も飲んでみた。新ジャンル酒としては不味くは無かったが、非常に薄味な上に金属的な嫌な味もあり、決して好ましいものでは無かった。
 暑くて喉が渇いた時に、よく冷やして一気飲みするには良いが、とてもじっくり味わって飲めるようなシロモノではなかった。
 はっきり言うが、ザ・モルツと金麦の味(品質)の差は、値段の差よりも大きいと思った。

 だから筆者は、サントリーはもっと自信を持ってビールを造れば良いと思う。
 筆者はサントリーという会社に好意的でなく、このブログでもサントリーのウイスキーや赤玉ワイン等について批判ばかり書いてきたが。
 ただビールに関しては、サントリーの製品は決して悪くないと思う。
 今回取り上げたザ・モルツも、筆者の好みとは少し違うが良く出来た万人向けのビールだと思うし、ザ・プレミアム・モルツ香るエールは個人的にもかなり好きだ。

 麦芽とホップだけで造ったサントリーのビールは、製品については他の日本の大手メーカーに決して劣らない。
 だからサントリーのあの宣伝力を、金麦でなく本物のビールの方に向ければ、サントリーのビールはもっと売れるのではないかと思われる。
 少なくとも品質の点からみれば、数年後のビール類の税金の統一を、サントリーは決して不安に思うことは無いのではないかと筆者は考える。

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会津の銘酒“寫楽”を飲んでみた

 筆者は幼い頃から歴史、特に日本の歴史が好きで、それで大学も史学科に進学した。
 その事を知っている母の古い知人に、「歴史が好きなら、是非」と、寫楽というお酒を戴いた。
 会津若松の、純米酒である。

寫楽P1100969

 筆者は日本人だし、できる事なら日本酒を大好きになりたいのだが。
 ただ日本酒は美味いものと不味いものの差がかなりあり、当たり外れが甚だしい。

 無論、ウイスキーやビールやワインなどの他の酒でも、美味い不味いの差はある。
 しかし日本酒ほどその差が激しいものは、他に無いのではないかと思われる。

 何しろ日本酒には、戦時中の米不足により「三倍に薄め、アルコールや糖類や酸味料等を加えて増量したまがいものの酒を作ってきた」という歴史がある。
 そして酒を水増しし、アルコール等を加えて作れば儲かるという事を覚えた酒造会社が、戦争が終わり米が余るようになった今もなお、嵩増ししたまがいものの酒を作り続けている。

 例えばワインはどんな安物も葡萄のみで造られていて、水増ししてアルコール等で似せた味に作ったものなどあり得ない。
 と言うと、訳知り顔で「ポートワイン等の、発酵途中でアルコールを加えた一部のワインもある」と言う人が必ず出て来る。
 しかしその発酵途中で加えられるものはブランデーであって、日本のいわゆる“アル添酒”のようにただのアルコールを加えるのとは意味がまるで違う。

 残念ながらこの国では、水で嵩増ししアルコール等を加えたまがい物が日本酒として広く売られ、そして飲まれている。
 だから日本酒は、美味いものはとても美味しいが、不味いものはどうしようもなく酷い味だ。

 筆者が戴いた寫楽はとりあえず純米酒で、アルコールや糖類や酸味料を加えたその種のまがい物ではないが。
 しかし葡萄だけで造られたワインすべてが美味いとは限らないように、米と米麹だけで造られた日本酒も、純米だからといって美味いとは限らない。
 香りが良くなかったり、変に渋味が強かったりする、あまり美味しくない純米の日本酒も筆者は何度か飲んできた。

 だから寫楽を戴いた時、嬉しいのと同時に「これは困った」と思った。
 自分で金を出して買ったものなら、不味ければ「不味い!」と遠慮なく言える。
 しかし親の古い知人が、「歴史が好きな息子さんに」と好意でわざわざ会津若松から買って来て下さったものに、「不味かった」とは言えないではないか。
 もし不味くても、作り笑顔で「美味しかったデス、本当に有り難うございマシタ」と嘘を言わねばならぬのは心苦しい。

 だから「もし美味しくなかったら、何と嘘の誉め言葉を言おう」と半ばビクビクしながら飲んでみることにした。
 が、そんな心配は、全くの杞憂だった。

 キャップを開けた瞬間に、青リンゴを思わせるフルーティーな香りが優しく鼻孔をくすぐった。
 分類上は純米酒だが、注いだグラスに鼻を近付けて嗅げば、柔らかな吟醸香が間違いなくある。
 と言っても「華やかに立ち上る」というほど強いものではなく、心地よく穏やかな香りなので、食事の妨げになる事は無い。

 味も、ありがちな水のような淡麗辛口ではなく、甘辛のバランスの取れた、優しい、そしてふくらみのある豊かな味だ。
 口に含んだ瞬間、「少し甘いか?」と思うのだが、適度な辛さがそれを上手く抑え、程良い酸味がキレの良さももたらしている。
 じっくり味わえばほのかな苦味もあるが、それも決して不快なものではなく、雑味やイヤ味を全く感じない。

 これは本当に美味しい。
 香りはフルーティーだが食事の妨げになるほど華やかでなく、味は甘さも辛さもありふっくらと豊かで、酸味や苦味も程良く、バランスの取れた文句の付け所が全く無い銘酒だ。
 これより美味い日本酒は、筆者は七賢大中屋(純米大吟醸)以外に飲んだ事がない。

 筆者は酒を飲むくせにかなりの下戸で、杯に一杯か二杯飲むだけで顔だけでなく掌も赤くなってしまう。
 そんな有り様だから、空腹時に酒を飲むと350mlの缶ビール一本で足元が怪しくなるくらい酔ってしまう。
 だから筆者は酒は食事とは別に、食後に飲む事が多い。
 日本酒も、食後にゆっくり酒だけで味わっている。
 しかしこのふっくらと豊かで優しい味の寫楽を飲んで、「食中酒として飲んだら、さぞ食事を美味しくするだろう」と思った。
 事実ネットで見てみると、この寫楽の純米酒は地酒の専門店では食中酒として勧めている。

 この頂き物の寫楽純米酒だが、本当に良い酒だった。
 贈って下さった方に、義理やお世辞でなく心から「美味しかった、ありがとうございました」と言える事が、筆者としてもとても嬉しい。
 こんな良い酒を飲んで年を越し新年を迎えられる筆者は幸せだと、心から思う。

 遅ればせながら、明けましておめでとうございます。
 新年という事で、当ブログも更新を暫くお休みさせていただきます。
 七日の土曜日よりまた駄文を書き連ねますので、今年もよろしくお願い致します。


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限定製造の、麦とホップ赤

 筆者はビール類なら、主に麦芽とホップだけで造られたビールを飲む。
 ただ風呂上がりや暑い時などに、喉の渇きを癒す為に飲むなら新ジャンル酒も悪くないと思う。
 その新ジャンル酒も様々で、どうも好みに合わず「まずい!」と思ってしまうものもあれば、値段の割には良く出来ていると思えるものもある。

 で、その新ジャンル酒の中で、筆者が最も良く出来ていると思っているのが、サッポロ麦とホップだが。
 先日、よく行く酒屋で見慣れない赤い缶の麦とホップを見かけ、迷わず買ってみた。

サッポロ・麦とホップ赤P1100889

 その麦とホップ赤だが、プルタブを開けた途端にホップの良い香りが漂ってくる。
 味も香りの良さに劣らず、本物のビールに近いコクと旨味を感じる。
 新ジャンル酒なのに、少しずつ、じっくり飲んでも悪くない。
 ただその分だけ、喉越しでグイグイ飲むと少し重い印象を受けるかも知れない。

 ドイツ産麦芽とバイエルン産ホップを一部使用し、ドイツのビール祭りで親しまれるスタイルを参考に作られたというが、本物のドイツ産ビールには及ばないものの、それにかなり近い味を低価格で実現している。
 これまでに飲んだ何種類かの新ジャンル酒の中で、個人的には一番美味いと思った。

 メーカーは「一口目の麦の甘み」「しっかりとしたコク」「美しい赤い色」を実現したと謳っているが、それはすべて真実だ。
 ゆっくり、じっくり飲んでも美味い。日本の一部のビール類にありがちな、金属的な嫌な味が全く無い、嫌味のない美味しい新ジャンル酒だ。
 筆者は好きだが、人によっては「苦いし、重い」とも言う。
 この麦とホップ赤は、ビールを味わって飲む人が安く気軽に楽しんで飲むもののように思える。一気にゴクゴク、プハーッとやりたがる、日本に多い喉越し派のビール飲みには、ちょっと合わないかも。

 もちろん、本物のドイツのビールにはとても及ばない。
 しかし本物のビールの約半分という値段を考えれば、充分過ぎるほどの味と香りだ。
 筆者ならば、国産の下手なビール(糖質副原料をゴチャゴチャ入れたヤツ)よりも、こちらの方を飲みたいくらいだ。
 安い値段で、ドイツのビール風の味と香りを出そうと頑張ったこの麦とホップ赤、限定製造だそうだから、興味のある方は酒屋にお急ぎを。

 と、麦とホップ赤を誉めて書きはしたものの。
 もしこれが、麦芽とホップのみで造られた本物のビールと同じ値段で売られていたら。
 その場合には、筆者も間違いなく本物のビールの方を選ぶ。
 良く出来てはいるが、これはやはり発泡酒をさらにスピリッツで割った新ジャンル酒で、麦芽とホップをたっぷり使った本当のビールには勝てない。
 ただ「値段を考えれば、本当に良く出来ている」ということだ。

 国は、近いうちにビールと発泡酒と新ジャンル酒の税金を一本化するという。
 もしそうなって、ビールと発泡酒と新ジャンル酒の価格差が縮まったとしたら。
 それでもなお、あえてビールでなく発泡酒や新ジャンル酒を選んで飲む人が、どれだけ残るだろうか。
 この麦とホップ赤も、「本物のビールの半額の新ジャンル酒としては」という前提で、特に良く出来ていると思うのであって。
 だから他の酒に比べて異常に高過ぎる日本のビールに対する税金が是正され、ビールと発泡酒と新ジャンル酒の値段に余り差が無くなれば、筆者はこの麦とホップ赤でなく、本物のビールを飲むと思う。

 ビール類に対する税が統一されたら、発泡酒や新ジャンル酒はやがて消え行くのだろうか。

 そんな事を考えながら、少し複雑な気持ちで麦とホップ赤を飲んだ。

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大関ワンカップは、本当に若者や外国人向けの“入門酒”になりうるか?

 毎日新聞には、ロングセラー商品の誕生からの歴史を紹介する『もとをたどれば』という連載記事がある。
 そこで先日、コップ入りの日本酒の代名詞のような、大関ワンカップが取り上げられていた。

ワンカップ大関P1100685

 記事によると、大関ワンカップは東京五輪開幕に合わせて1964年10月10日に発売され、今も年間五千万本を売り上げているそうだ。
 ちなみに“ワンカップ”は登録商標で、大関のみが使える名前だということだ。
 筆者も他社のコップ入りの日本酒をつい「○○のワンカップ」などと言ってしまうが、それは正式には許されない事らしい。

 話がそれたが、その大関ワンカップについての記事で、少し気になる事が書いてあった。
 大関ワンカップは、ラベルに“SAKE One CUP OZEKI”と英語で表記されているが、「若年層や東京五輪で訪日する外国人も意識して」のことだという。
 また、大関はワンカップについて、「清酒を手軽に飲める『入門酒』としてもアピールしたい」とも話しているそうだ。

 正直に言えば、筆者は大関ワンカップを軽く見ていた。
「どうせ、酒を飲まずにいられない飲み助の為の安酒だろう」と。
 だが、大関がワンカップを、日本酒をあまり飲まない若年層や外国人にもアピールしたい入門酒と位置づけているのであれば、メーカーも品質に自信を持っていて、味もそれなりに良いのであろうと思い、初めて買って飲んでみることにした。

 コップ入りの清酒だが、筆者はあえてワイングラスで味わってみた。
 香りは殆ど無いと言っても良いくらい穏やかだ。
 そして透明で殆ど色が無く、活性炭で濾過のし過ぎではないかと思われるくらいだ。

 醸造用アルコールで嵩増ししている、いわゆるアル添酒だけに、飲むとアルコールのピリピリする刺激を少し感じる。
 殆ど水に近いくらいの無色透明になるまで濾過されているだけに、個性や味わいは弱いが飲みやすいこともまた確かだ。

 活性炭による濾過は、酒の雑味を消す為に行われる。
 しかし活性炭は酒の雑味だけを取り去ってくれるような都合の良いものではなく、「雑味だけでなく旨味も消してしまう」というのが実態だ。
 この大関ワンカップには、その活性炭による濾過の影響がはっきり出ている。
 不味いとまでは言わないが、旨いとも決して言えない。

 日本酒の味は、「甘・酸・辛・苦・渋」の五つで表現される。
 大関ワンカップはその五つの味のどれも突出しておらず、あえて言えばまず“辛”と“酸”を感じ、次に“渋”を感じ、次第に何とも言えない“甘”を感じる。
 濾過のし過ぎで旨味が薄く、色も水に近いほぼ無色透明なのに後味がスッキリせず、飲んだ後に質の良くない安酒を飲んだ時のような不快感が残る。
 筆者の個人的な感想をハッキリ言ってしまうと、「我慢すれば最後まで飲めるが、美味しいとはとても言えない」というところだ。

 筆者は、同じくらいの価格帯の、同じアル添の地酒も飲んだことがある。
 静岡県の芝川の富士錦金印と、岩手県二戸市の南部美人だ。
 どちらも活性炭による濾過をあまりしておらず、ワイングラスに注ぐと酒の色がもっと黄色みを帯びていて、大関ワンカップより間違いなく味にふくらみと酒としての旨味があった。

 筆者はこの大関ワンカップを、税込みで227円で買った。
 それだけの金を出せば、キリン一番搾りやサントリーのモルツなどの本物のビールが買える。
 それを考えれば、大関ワンカップは割高だ。

 メーカーはこの大関ワンカップを、「若年層や訪日外国人の入門酒としてもアピールしたい」と言うが、日本酒を飲み慣れていない若い人や外国人が飲んで「日本酒って美味しいね!」と思うとは、少なくとも筆者にはとても考えられない。
 大関ワンカップを美味しく飲める人は、2リットルや3リットルの紙パック入りで千円前後の日本酒を普段から大量に飲んでいるような、本物の飲兵衛ではないかと筆者は推察する。
 そしてそのようにいつもお手頃価格の日本酒を飲み慣れている人が、ちょっと一杯ひっかけたい時に手軽に買うのが、この大関ワンカップだろう。

 繰り返すが、日本酒を飲み慣れていない若者や外国人に、濾過のし過ぎで香りも立たず旨味も少ない上に後味も良くないこの大関ワンカップを飲ませたら、むしろ日本酒は旨くないものという偏見や固定観念を植え付けてしまうのではないかと危惧する。
 この大関ワンカップは決して入門用の酒ではなく、日本酒を、それもお手頃価格の日本酒を飲み慣れている人の為の酒だ。

 しかしワンカップの180mlという容量は、ちょっと味見の入門の為には適していると思う。
 それで同じ大メーカーの180ml入りの日本酒を探してみたところ、月桂冠大吟醸と、日本盛純米吟醸cheers bottleを見つけた。
 値段はどちらも税込みで月桂冠の大吟醸が268円、日本盛の純米大吟醸cheers bottleが270円と、大関ワンカップと50円も変わらず、プレミアム系のビールを買うようなものだ。

月桂冠大吟醸P1100774

 さて月桂冠大吟醸だが、キャップを開けた瞬間に梨のようなフルーティーな香りが広がる。
 ワイングラスに注ぐと、色は大関ワンカップより黄色味を帯びているものの、かなり透明に近い。
 さすが精米歩合50%だけあって、税込み268円の酒とは思えないほど香り高い。
 味はスッキリしていて、酸味と苦みをまず感じる。
 よく「日本酒は甘くベチャベチャしているから嫌い」という人がいるが、一度この月桂冠の大吟醸を飲んでみてほしい。変に甘くなくサラサラしていて、昔の日本酒の厭なイメージを持っている人は、これを飲めば味の違いに驚くだろう。

 ただ残念ながら、大吟醸だがアル添なので、飲みやすいが味に深みとふくらみがやや足りないように思える。
 しかしその分だけ、軽くスイスイ飲めるという面もある。

 安酒の、嵩増しの為のアルコール添加は論外だが。
 ただ吟醸酒や大吟醸酒の場合、少量のアルコールを入れた方がよりフルーティーな香りを引き出せるとも言う。
 この月桂冠の大吟醸は、味の奥行きよりも香り高さを優先した酒と言えよう。

 筆者のようにある程度日本酒も飲んでいる者は、「香りは良いが、味が少し痩せている」と思ってしまう。飲んだ後に、舌に僅かに渋みと辛さが残るのもやや気になる。
 しかし税込みで268円という値段を考えれば、文句を言う方が贅沢というものだろう。
 それに若者など日本酒を飲み慣れていない者にとっては、その味の軽さを「飲みやすい」と感じるかも知れない。
 淡麗辛口がブームでもあるし、水のようにサラサラした酒を良しとする人には、きっと喜ばれるだろうと思う。
 フルーティーな香りが高く、サラリとして飲みやすく、これぞ日本酒の入門用として、若い人や外国人に勧めたい酒だ。

 ただ一言、瓶の上に付いている小さな杯だが、あれは可愛いが実際に使って飲んでは駄目だ。
 筆者も試しに付いている杯でも一杯飲んでみたが、杯の材質のせいか、プラスチックのような妙な臭いがして、せっかくの吟醸香を殺してしまう。
 こうした大吟醸酒は、ちゃんとした杯かワイングラスで飲むべきだ。
 もしどうしても付いている杯で飲むなら、そのまま飲まず、一度よく洗ってから飲んでみると良い。そうすれば、気になる臭いが取れる。

日本盛純米吟醸P1100769

 最後に日本盛純米吟醸cheers bottleだが、「フルーティーな香り 豊かな米の旨み」と謳っているものの、吟醸香は程々だ。
 開封すればすぐに周囲に漂う……という程ではなく、「グラスに注ぎ、そのグラスの縁に顔を近づけると、爽やかなフルーティーな香りが鼻孔をくすぐる」という感じだ。

 香りは、月桂冠の大吟醸の方が間違いなく華やかだ。
 しかし味は、日本盛の純米吟醸cheers bottleの方がずっとふくらみがある。
 比べてしまうと、月桂冠の大吟醸が薄っぺらく感じてしまう。
 甘く、かつ辛い。
 しかもその辛さも、アル添のピリピリする辛さではなく、角のない自然な辛さ。
 口に含み、じっくり舌の上で転がしていたくなる良い味わい。
 月桂冠の大吟醸は、香りをより華やかにする為にアル添にしているのだろうが、日本盛の純米吟醸の方が酒として旨いと筆者は思う。

 グラスに注いでみた酒の色も、この日本盛の純米吟醸cheers bottleが3本のうちで一番濃い。
 活性炭の濾過が少ない分だけ、旨味も残っている。
 精米歩合も55%で、月桂冠の大吟醸と5%しか違わない。その精米歩合だからこそ、活性炭による濾過を過度に行わずとも雑味が無く、酒に旨味がしっかり残る。

 この味と香りで税込み270円と、プレミアム系のビールとほぼ同じというのは安い。
 これよりも美味しい純米吟醸酒は、もちろん他に幾つもある。しかしどれも、この日本盛の純米吟醸cheers bottleより間違いなく高い。

 税込みで268円の月桂冠の大吟醸と、270円の日本盛の純米吟醸cheers bottleは同じ店で買った。
 ほぼ同価格の2本の日本酒だが、日本酒を飲み慣れていない若者や外国人の入門用のお酒として、どちらも甲乙つけがたい。
 違いは、日本盛の純米吟醸cheers bottleに書いてある「フルーティーな香り 豊かな米の旨み」の一文だろう。

 月桂冠の大吟醸は淡麗辛口で、とにかく華やかな香りを立てることを第一に考えて造られている。
 味もスッキリしていて飲みやすいのだが、「フルーティーな香り最優先」という感じだ。
 それに対し日本盛の純米吟醸cheers bottleの方は、甘みも辛さもある旨口の豊潤な酒だ。吟醸香だけでなく、米の旨みも充分に引き出している。
 だから筆者は個人的に「日本盛の純米吟醸cheers bottleの方が、ずっと旨い」と思うが、その旨口で豊かな味を「重くて濃くてキツい」と感じる人がいるのもまた事実だ。

 で、大手メーカーのワンカップとそれに匹敵するような酒を飲んでみた結果だが。
 昔ながらの酒飲みで、お手頃価格のお酒をたくさん飲んでいる人には大関ワンカップ。
 香り高くフルーティーで、淡麗辛口のサラサラしたお酒が好きな人には、月桂冠の大吟醸。
 程々にフルーティーで、かつ豊かな旨みのあるお酒を飲みたい人には、日本盛の純米吟醸cheers bottleといったところだ。

 メーカーと大関ワンカップの愛飲者には申し訳ないが、日本酒を飲み慣れていない若者や外国人が大関ワンカップを飲んで「日本酒って、本当に美味いものなんだな!」と感動するとは、とても思えない。
 大関ワンカップを美味しく飲めるのは、多分いつも質より量でたくさん飲んでいるお酒好きだ。
 若者や外国人など日本酒の初心者に入門酒として勧められるのは、ほんの数十円しか値段の違わない日本盛の純米吟醸cheers bottleや月桂冠の大吟醸と思う。

 しかしスーパーのお酒コーナーや酒屋に多く並んでいるのは、大関ワンカップやそれ以下の安酒ばかりで、同じ180mlで本当に入門酒に向いていると思われる日本盛の純米吟醸cheers bottleや月桂冠の大吟醸は、一部のコンビニくらいにしか置いて無いのが残念である。
 日本盛の純米吟醸cheers bottleや月桂冠の大吟醸のような、良質で割安な日本酒の小瓶がもっと広く売られるようになれば、女性を含めた若者も、もっと日本酒を好きになるだろうに。
 大関もワンカップに、月桂冠や日本盛のような純米吟醸酒や大吟醸酒をラインナップに加えて広く売り出してほしいものだ。

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エビスとプレモルの黒ビールを、ギネスのエクストラ・スタウトと飲み比べてみた

 酒屋の店頭で、たまたまエビスプレミアム・ブラックとサントリーのザ・プレミアム・モルツ〈黒〉を見かけた。
 で、その国産大手メーカーの黒ビールを、世界の黒ビールの雄ギネスエクストラ・スタウトと飲み比べてみようと思い立った。

エビス・ブラックP1100703

 まずエビスプレミアム・ブラックだが、本当に色が濃い。グラスに注いでみるとコーヒーより濃い感じで、殆ど黒に近い色をしている。
 苦みは割とあるが、ローストした麦芽のそれと言うより、ホップが効いているという感じだ。
 しかしその苦さも決して不快なものではなく、「力強く、かつ美味しい」と言える範囲内だ。
 味も香りもあまり繊細なタイプではないが、コクがしっかりある。
 苦さの中に酸味もあるという感じだ。
 基本的にはあまり急がずじっくり飲むビールだと思うが、よく冷やしてゴクゴク飲んでも悪くない。

 ギネスのエクストラ・スタウトと比べると、ギネスの方がローストした麦芽の風味が強い。
 が、飲み比べるとエビスの方がコクがあり、ホップの苦みも強いのがよくわかる。その分だけ、ギネスの方がスイスイ飲みやすいと言えるかも知れない。
 逆に言えば、エビスのプレミアム・ブラックの方がより味わい深い印象もある。

 これは筆者の注ぎ方の問題かも知れないが、泡はギネスの方が細かくクリーミーだった。

サントリー・プレモル黒P1100762

 さて、続いてザ・プレミアム・モルツ〈黒〉だが、これはプルタブを開けグラスに注いだ時から爽やかな香りがする。僅かながら、フルーティーさも感じる。
 ただその分だけ、ローストされた麦芽の香ばしさやホップの苦みも、3種の黒ビールの中で最も弱い。

 しかし、だからこそ飲み比べた黒ビールの中で一番スムースに飲める。別に黒ビールが好きでない人でも、殆ど抵抗無く飲める筈。

 色はもちろん、コーヒーのような濃い色なのだが。
 しかし味と香りの点では、本格的な黒ビールと言うより「ちょっと苦めな良いビール」という感じ。
 黒ビールなのに、苦さだけでなく少しだがフルーティーさや甘さすら感じる。
 もちろん苦さは他のプレモルより強いのだが、後味は爽やかで、口の中に残る適度な苦みが心地良い。

 はっきり言うが、このプレモル〈黒〉は本格派の黒ビールと言うより、普通のビールが好きな人がちょっと趣向を変えて飲むのに良い感じだ。
 本格的な黒ビールが好きな人は「少し物足りない」と思うかも知れないし、普通のビール好きは「少し苦いかな」と思うかも知れない。
 しかしこれを飲んで「まずい」と言う人は殆どいないと思う。
 やや中途半端と言えなくもないが、黒ビールらしい味わいだけでなく、普通のビールとしての美味さもあるからだ。

 コクやローストされた麦芽の香ばしさを求める人には、エビスのプレミアム・ブラックやギネスのエクストラ・スタウトの方が向いている。しかしどちらも、好き嫌いがあり飲む人を選ぶはずだ。
 それに対しプレモルの〈黒〉は、全てのビール好きに勧められる出来の良さがある。
 意地の悪い言い方をすれば、プレモルの〈黒〉は熱心なファンを持つというより、嫌う人は少ないだろうというビールだ。

 ギネスのエクストラ・スタウトやエビスのプレミアム・ブラックは、黒ビール好きの為の黒ビールという印象だ。
 それに対しプレモルの〈黒〉は、本当の黒ビール好きにはやや物足りなさがある。黒ビールとしては、もう少しコクや麦芽のローストした感じがほしい。
 しかしこの限定醸造のプレモルの〈黒〉が、「ビール」しては出来が良く美味しいものであることには間違いない。

 国産の黒ビールと言えば、以前キリン一番搾りスタウトも飲み、その感想をこのブログにも書いた。
 麦芽をローストした香ばしさでは、今回取り上げた3種の黒ビールのどれよりも、キリン一番搾りスタウトが強い。
 ただ濃い色とローストされた麦芽の香ばしさに似合わず、意外に軽めの味わいでスッキリ飲みやすかった。だからこれも、プレモルの〈黒〉とは違った意味で黒ビール好きにはやや物足りなさの残る印象だった。

 で、エビスのプレミアム・ブラックにプレモル〈黒〉とギネスのエクストラ・スタウト、それにキリン一番搾りスタウトも加えた印象だが。
 しっかりした飲みごたえのある黒ビールが好きな方には、コクとホップの苦みが美味しいエビスのプレミアム・ブラックか、ローストされた麦芽の風味が生きているギネスのエクストラ・スタウト。
 黒ビールという事にこだわらず、ただ美味しいビールを飲みたい方には、プレモル〈黒〉。
 重いのは苦手だが、飲みやすく、かつローストした麦芽の香ばしさを求める方にはキリン一番搾りスタウトという印象だ。

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僕ビール、君ビール。

「それでも現代人かよ、オマエはどんな田舎に住んでるのだ」
 そう呆れられてしまうかも知れないが、筆者はコンビニには、ごくたまにしか行かない。
 食品ならスーパーに、それ以外のものならそれぞれの専門店に行った方が品数も豊富で、かつ値段も安いからだ。

 昔人間の筆者には、コンビニは一部の売れ筋商品しか無く、買えるものの選択肢が狭いような気がしてならない。
 しかしそのあたりの事は、コンビニ自身もわかっているのだろう。
 数はさして多くないが、コンビニはその系列のコンビニしか扱っていない限定商品も販売して集客につとめてもいる。

 で、当ブログを読んで下さった方から、ローソンがヤッホーブルーイングのビールを限定販売していると教えていただいて、久しぶりに近所のローソンに足を運んでみた。
 そして買ったビールが、今回紹介したい“僕ビール、君ビール。”だ。

僕ビールP1100655

 プルタブを開けてグラスに注ぐと、まずフルーティーな香りが広がる。
 フルーティーと言っても、どことなく柑橘系を思わせる感じだ。
 泡立ちも細かくなめらかでクリームのようだ。

 このビール、飲み方によって味の印象がかなり変わる。
 日本に多い、軽い味と香りでキンキンに冷やし喉越しで飲むタイプのビールのように、無造作にゴクゴク飲んでしまうと、重くコクの強いビールのように思えてしまうだろう。
 だがひんやりとするくらいに程々に冷やし、ゆっくり味わって飲むと、軽やかでスッキリ爽やかな味わいに感じる。

 このビール、程々に冷やしてゆっくり飲めば、フルーティーで済んだ味わいの中に良い具合のコクとうま味を存分に感じることが出来る。
 原材料は大麦麦芽と小麦麦芽とホップだけなのに、フルーティーな中に僅かなハーブ感もあるような気がする。
 缶には「キリリと効いたホップの苦み」と書いてあるが、ホップの苦みはあくまでも心地良い範囲内で、決して苦すぎる事はない。

 このビール、ゆっくり、じっくり味わって飲むと本当に美味いビールだ。
 筆者はヤッホーブルーイングのビールは何種類か飲んでいて、どれも美味いと思うが、その中でもこれはかなり上出来だ。

 ただ、幾人かの知人に飲ませてみたところ、このビールを「好きでない」と言う人もいた。
 それは皆ビールは喉越しで飲む種類の人だった。
「ビールは苦けりゃ良いんだよ、フルーティーさとかハーブ感とかのこじゃれた味は要らねえ」
 そういう種類のビール好きには、残念ながらこのビールは向かない。

 このビールは、最初の乾杯や風呂上がりの一杯として喉越しでゴクゴク飲むのには向かない。
 そうではなく、良い友と語らい、あるいは好きな音楽を聴くなど楽しい時を過ごしながら、ゆっくり味わって飲むのに適している。

 繰り返すが、このビールは「ゴクゴク、プハーッ!」と喉越しで一気に飲むのには適していない。
 ただビールをゆっくり味わって飲むことも知っている者にとっては、飲んでいるうちに心が幸せで満ちてくるような、本当に良いビールだ。

 飲んでいる最中はただ美味くて嫌味は全く感じず、飲んだ後に残るのは爽やかさだけだ。
 だからつい、ゆっくりいつまでも飲んでいたいと思ってしまう。
 品のない話だが、ビールを含めて炭酸ガスを含む飲料は飲んだ後でゲップが出やすい。
 実は筆者もこのビールを飲んだ後にゲップをしてしまったが、その喉の奥からこみ上げてきたゲップすらフルーティーで良い香りだった。

 日本では当たり前と思われているように、喉越しで一気に飲むのには向いていないが。
 ただビールをゆっくり味わって飲むことも知っている者にとっては、とても心地良く幸せな時を過ごさせてくれる逸品だ。

 このローソンでしか売っていない限定品のビール、筆者にとっては大好きな傑作ビールだが、筆者の家の近所のローソンではまだたくさん売れ残っていた。
 他の大メーカーの同価格帯の有名なビールの、倍くらいが冷蔵庫内に残っていた。
 少々奇抜な缶の絵柄と風変わりな名前で敬遠されたのだろうか、それとも味が従来の日本のビール好き達に受け入れられなかったのだろうか。
 どちらにしても、こんな美味しいビールが他のビールより多く売れ残っている事が、筆者にはとても悲しく思えた。

 ええ、ただ悲しく思っているだけでなく、もちろんこのビールの追加を買いに、またローソンに駆けつけましたとも。

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殆どお茶としても飲める、宝酒造のやわらかお茶割り

 かなり以前に読んだ、戦時中の旧制中学を舞台にした小説に、こんなシーンがあった。

 その頃は戦時中だから、お酒も含めたいろいろな物が統制品となって手に入れにくくなっていて。
 で、主人公たちが遠足に行く折に、主人公の親友で造り酒屋の息子が、担任の教師に近付いて水筒をそっと渡すのだ。
「先生、お茶です」
 先生はそれを、微妙な笑みを浮かべてありがとうと受け取る。
 そしてそれを見ていた生徒は、小声で囁き合うのだ。
「あれはお茶じゃねえよ、“おちゃけ”だ」
 そう、主人公の親友は、当時入手が難しくなっていたお酒を、お茶と称して担任の教師に贈ったのだ。

 つい先日、筆者はその“おちゃけ”ではない、本当のお茶で焼酎を割ったお酒を飲んだ。
 宝焼酎の、やわらかお茶割りである。

宝焼酎お茶割りP1100601

 アルコール分は4%とは言え宝酒造の製品で、使用しているお酒も焼酎である。
 一番緑茶使用と謳ってはいるものの、どうせアルコールがツンツンする焼酎くさい製品だろうと思っていたが。
 プルタブを開けてグラスに注ぐと、漂ってくるのは殆どお茶の香りである。
 鼻を近づけてしつこく子細に嗅ぐと、ほんの僅かにアルコールの匂いも感じるが。「焼酎を入れているのだ」と意識さえしなければ、ただのお茶としか思えないだろう。

 飲んでみてもアルコールのツンツンする感じは無く、お茶の甘みも感じるくらいだ。
 舌に神経を集中してよく味わって飲めば、ごく僅かにアルコールの味も感じる。
 しかし「焼酎入りのお酒だ」ということを意識せずに普通に飲めば、缶やペットボトル入りのお茶と殆ど区別ができないだろう。
 お酒としてでなく、本当にお茶としてそのままグイグイ飲める。
 グラスに入れて黙って出して飲ませれば、それがお酒だとすぐに気付く人は殆どいないだろうと思われる。
 お茶の味と香りがして、何の抵抗も無くお茶と全く同じように飲め、そして気付いたら酔っているという、何とも不思議なお酒だった。

 このアルコール分4%という度数は、メーカーとして試行錯誤した結果だろうと思う。
 やわらかお茶割りという名前の通り、このお酒は焼酎を意識せずに、お茶として気軽に飲める。
 しかし全部飲み切ると、舌にアルコールの刺激が残るのを感じる。
 もしこの4%より少しでもアルコール分を増やしたら、間違いなく焼酎の味と匂いと刺激が表面に出てきただろう。
 この度数はアルコールを意識させず、お茶の味と香りを生かして飲ませられる、ギリギリの度数なのだと思う。

 缶には「お食事に、またお風呂上がりに」と書かれているが、確かに食中酒としては悪くないかも知れない。
 ただ飲んでいる時の味と香りは殆どお茶と同じで、お酒を飲んでいるという感覚が少しも持てない。
 そして「お茶を飲んでいるうちに酔ってくる」という、本当に何とも不思議な感覚のお酒だ。

 お茶は、しばしば酔い醒ましにも飲まれる。
 それだけに、お茶を飲んで酔うというのが、何とも言えず異様な感覚だった。

 缶やペットボトル入りのお茶と味や香りは殆ど変わらず、お茶としてもそれなりに美味しく飲める。
 やわらかお茶割りという名の通り、想像以上にアルコールの刺激が感じられないので、グラスに注いで黙って出したら、大半の人は気付かずにお茶と信じて飲んでしまい、飲んだ後で酔って「あれっ?」と思うのではないだろうか。

 はっきり言うが、酒としては特に美味しいとは思えない。
 しかしお茶としては、本当に普通にゴクゴク飲めてしまう。
 それだけに、お酒に弱い女性などに悪用するのは厳禁な、ちょっと危険なお酒だ。

 お酒なのにあまりにお茶に近い味わいなので、個人的には「お酒なら、もっとお酒らしいものを飲みたい」と言いたいところだ。
 しかし製品100mlあたりエネルギーは僅か24kcal、そして糖質と脂質も共に0gと、お酒の中ではかなり健康的と言えるかも知れない。
 だから健康にも気を使っていて、お茶感覚で飲める食中酒をお探しの方にはお勧めかも知れない。

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ジョエル・ロブション氏の名を槓したエビス二種

 食通では無い筆者はその名をまるで知らなかったが、ジョエル・ロブション氏と言えば三つ星を何度も獲得した、フランス料理の世界では超有名な巨匠らしい。
 そのジョエル・ロブション氏の名を冠したエビスが二種、限定醸造された。
 ジョエル・ロブション氏の名前を使っているからと言って、特に高いわけでもなかったので、早速購入して飲んでみた。

エビス華やぎの時間P1100331



 その二種のうち、まず“華やぎの時間”と名付けられた方だが、缶のプルタブを開けた途端に華やかな甘い香りが周囲に漂う。
 グラスに注いでみると、ビールは明るく綺麗な黄金色だ。
 飲んでみると全く嫌みなくスイスイ飲める。

 説明には、薫り高いネルソンソーヴィン種や、ドイツの伝統的なハラタウブラン種とハラタウトラディション種の「厳選された3種のホップの個性を引きだした」と書いてある。
 しかし決して苦すぎるという事は無く、ホップの苦味は爽やかで心地良い程度だ。
 そして苦味よりも、フルーティーな甘さの印象の方が強いくらいだ。
 だから「ビールは苦いから」と敬遠している人でも、充分に美味しく飲めると思う。

 冷蔵庫から出してまだ間もない冷たいうちは、スッキリした感じが際立つ。
 だが少し時間をおいてややぬるくなり、ひんやりとした程度になってくると、フルーティーな甘さや爽やかな酸味が程良く出てきてより美味しく味わい深くなる。

 メーカーはこのビールについて「乾杯や食前酒として、料理を華やかにひきたてる」と書いているが、軽やかで香り高く嫌味の全く無いこのビールは、確かに乾杯の一杯や食前酒として飲むのに良いだろう。
 しかし軽やかでスイスイ飲めると言っても、決して薄味というわけでなく、深い味わいやコクもしっかりある。
 そしてその味わいやコクは、少しぬるめになってからゆっくり飲むと、よりよくわかる。
 メーカーは乾杯してグッと一気に飲むことを想定しているようだが、筆者はこれを喉越しにゴクゴク飲み干してしまうのは少しもったいないように思う。
 軽く飲みやすいとは言え、厳選したホップを使用した麦芽100%の本物のビールだけあって、他の副原料入りのビールや、増してや新ジャンル酒などとは出来がまるで違う。

 筆者個人としては、もう少し重めで味の強いビールの方が好みなのだが。
 それでも軽めでありつつしっかりした味わいで、嫌味の全く無いこのビールは、とても良いビールだと思う。

エビス・余韻の時間P1100327

 さて、ジョエル・ロブション氏の名を冠したもう一つのエビス、“余韻の時間”も飲んでみよう。
 プルタブを開けると、爽やかで華やかな香りが広がる。
 グラスに注いでみると、こちらの方が“華やぎの時間”より明らかに濃い色。
 しかし飲んでみると、これもスッキリしていて飲みやすく、嫌味というものがまるで無く美味い。
 甘やかでフルーティーな香りもまた魅力的だ。

 熟した果実を想わせる薫りのホップ品種「モザイク」を使用、と缶の説明に書いてあるが、確かにこちらの方が“華やぎの時間”よりさらにフルーティーだ。
 で、ホップの苦味もこの“余韻の時間”の方が強い。
 しかし苦いと言っても決して苦すぎる事はなく、筆者には心地良い範囲内の苦味に感じられた。

 メーカーは「食事中や食後のくつろぎに、大人の時間を演出する」と書いているが、味やコクもしっかりしていて、“華やぎの時間”よりもやや重い感じだが、筆者は個人的にはこの“余韻の時間”の方が好きだ。

 また、この“余韻の時間”も“華やぎの時間”と同じで、冷たいうちはスッキリした味わいでスイスイ飲める。そしてぬるくなるにつれ、コクが感じられるようになり、味と香りが濃く深くなってくる。
 どちらも食事の邪魔にならないスッキリ感があるが、“華やぎの時間”の方がより軽やかで飲みやすく、“余韻の時間”の方がコクと飲みごたえがある。

 筆者は“余韻の時間”を、食後にゆっくり、時間をかけて飲むのが好きだ。
 フルーティーでかつコクがあり深い味わいで、「美味いなあ」と心から思う。
 しかしビールを喉越しで飲む多くの日本人の嗜好には、軽く嫌味なくスイスイ飲める“華やぎの時間”の方が、より合っているような気がする。

 ジョエル・ロブション氏の名を冠したこの二種のエビス、どちらにしても軽やかなのに香りも良く味わい深く、食事の妨げにならない上に単独でビールだけで味わって飲んでも美味い、とても上質なビールだった。
 限定醸造なので、ビール好きの方はお店にあるうちに是非買って飲んでみてほしいと思う。

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少し高いがとても美味しい、レフ・ブラウン

 ベルギー産の修道院ビール、レフ・ブラウンを飲んでみた。
 裏のラベルには、「ローストした麦芽を使用し、香ばしい香りとコクのある力強い味わいが特長です」と書いてある。

レフ・ブラウンP1100266

 グラスに注いでみると、確かにコーヒーのような黒に近い濃い色をしている。
 しかし飲んでみると、思ったほど苦くない。
 ローストされた麦芽の香ばしさはしっかり感じるが、苦味は程良いくらいだ。
 そして甘さと酸味もあり、黒ビールなのにフルーティーですらある。
 決して苦すぎず、甘さと爽やかな酸味があり、飲んだ後にはローストした麦芽の香ばしさが適度に残る。

 黒ビールは人によって好き嫌いがあるが、このレフ・ブラウンはただ苦く香ばしいだけでなく、甘味も酸味もありフルーティーで、とても味わい深く、黒ビールを敬遠している人にも勧めてみたい逸品だ。
 コクがありしっかりした味わいなので、キンキンに冷やして喉越しで一気に飲んではいけない。
 キンキンに冷やしたら香りも立たず、甘さやフルーティーさも感じられなくなり、ただ苦味だけが突出するだろう。
 そして喉越しでゴクゴク飲んだら、その豊かで複雑な味わいが、ただ「重い」と感じられるだけになるだろう。
 このビールはキンキンに冷やさず、冷蔵庫から出して10~15分ほど置いておき、冷たいのではなく「ひんやりとする」程度になってから、少しずつゆっくり味わって飲むべきビールだ。
 飲み方は当人の自由だが、キンキンに冷やして喉越しで飲んだりしたら、本来の美味さを理解する事は決して出来ないだろう。

 このレフ・ブラウンの輸入業者は、あのアサヒビールだ。
 アサヒビールと言えば、まず真っ先にスーパードライを連想するが、このレフ・ブラウンはスーパードライとは全く対照的なビールだ。
 スーパードライはキンキンに冷やして喉越しで味わってこその、日本の代表的なビールだ。
 そのスーパードライを製造しているアサヒビールが、ややぬるいくらいの温度でこそ香ばしい香りと複雑な味わいを楽しめる、少しずつゆっくり飲むべきビールを輸入している事が実に興味深かった。

 スーパードライも、飲み方によっては悪くない。
 しかし筆者はお酒をゴクゴク飲むのはあまり好きではなく、ビールも少しずつゆっくり味わって飲みたいと思ってしまう。
 そんな筆者にとっては、ただ苦いだけでなく、ローストされた麦芽の香ばしさの他に甘味も酸味ありフルーティーで、コクがあり奥深い味わいのこのレフ・ブラウンは、文句無しに美味しい最上級のビールだった。

 ただこのレフ・ブラウンは、330ml入りの瓶でお値段が四百円を越えている。
 味と品質を考えれば高過ぎるとは言えないのかも知れないが、国産のプレミアム系ビールよりも明らかに高い。
 とても「喉越しでゴクゴク一気に」飲んでしまえるような値段ではない。

 このレフ・ブラウンに限らず、欧州産の瓶ビールには330~350mlで350~500円くらいのものが多くある。
 しかし考えてみれば、ちょっと良い日本酒も300mlで同じ程度の値段で売られている。
 そうした純米吟醸系の小瓶の日本酒でも飲むつもりで、少しずつ味わいながらゆっくり飲めば、このレフ・ブラウンの四百円台という値段もそう高くはないのかも知れない。

 とは言うものの、もしレフ・ブラウンのようなビールが国産のプレミアム系のビールと同じくらいの値段で飲めれば、それにこした事はない。
 レフ・ブラウンなど、レフのビールを各種輸入しているのだから、アサヒビールはレフのビールの美味さも理解しているのだろう。
 ならばスーパードライのようなキンキンに冷やして喉越しで飲む種類のビールばかりでなく、いっそこのレフ・ブラウンのようにじっくり味わって飲むビールもアサヒビールで製造してみたらどうだろうか。

 サッポロビールはエビスに力を入れて各種出しているし、サントリーのモルツ・シリーズも好調だ。キリンビールも麦芽100%のビールを積極的に出している。
 そんな中、アサヒビールだけがプレミアムと名付けたビールにも副原料を入れ、喉越し重視にこだわっているように見える。
 ビール類はプレミアム系と新ジャンル酒に売れ行きがはっきり二分している今、アサヒビールこそじっくり味わって飲める美味しいビールにも力を入れるべきではないだろうか。

 アサヒビールはスーパードライで成長し、キリンビールを抜いて業界第一位のメーカーになった。
 それゆえアサヒビールには、「アサヒのビールはスーパードライのような喉越し系のものでなければ駄目だ」という呪縛と言うか思い込みのようなものがあるように思える。

 湿度が高く蒸し暑い日本では、確かに喉越し系のビールが好まれている。
 しかし世界的に見ても歴史的に見ても、ビールは決して日本で主流のピルスナータイプの喉越し系のものばかりでなく、もっといろいろな味わいのビールが存在するのだ。
 スーパードライで成長したアサヒビールも、それとは正反対の味わいのレフのビールを輸入販売しているのだ。それらの味の良さも、しっかり理解している筈ではないか。
 ならばスーパードライのような喉越し系のビールばかりにこだわらず、レフのようなじっくり味わって飲むプレミアム系のビールも製造してこそ、真にビールを理解している大メーカーと言えるのではないだろうか。

 ビールと言えば「ゴクゴク、プハーッ」と喉越しで飲むものと思い込んでいる者が多い日本で売れる、スーパードライのようなものばかりでなく、ゆっくりじっくり味わって飲めるビールも出してくれたら、少なくとも筆者は歓迎するし、アサヒビールに好感を持つ。
 国内でも最近は、若者を中心にクラフトビールの人気が高まっているという。
 ゆっくりじっくり味わって飲むプレミアム系ビールの需要は間違いなくあると思うのだが、どうだろうか。

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