空と虹と恋と

 大好きな写真のこと、そしてゲームやコミックスの話から歴史&時事問題まで、思いつくまま雑多に語ってみたいと思っております。さらに筆者の度重なるイタい失恋話についても、どうぞ憫笑しつつお読み下さいまし。

僕ビール、君ビール。

「それでも現代人かよ、オマエはどんな田舎に住んでるのだ」
 そう呆れられてしまうかも知れないが、筆者はコンビニには、ごくたまにしか行かない。
 食品ならスーパーに、それ以外のものならそれぞれの専門店に行った方が品数も豊富で、かつ値段も安いからだ。

 昔人間の筆者には、コンビニは一部の売れ筋商品しか無く、買えるものの選択肢が狭いような気がしてならない。
 しかしそのあたりの事は、コンビニ自身もわかっているのだろう。
 数はさして多くないが、コンビニはその系列のコンビニしか扱っていない限定商品も販売して集客につとめてもいる。

 で、当ブログを読んで下さった方から、ローソンがヤッホーブルーイングのビールを限定販売していると教えていただいて、久しぶりに近所のローソンに足を運んでみた。
 そして買ったビールが、今回紹介したい“僕ビール、君ビール。”だ。

僕ビールP1100655

 プルタブを開けてグラスに注ぐと、まずフルーティーな香りが広がる。
 フルーティーと言っても、どことなく柑橘系を思わせる感じだ。
 泡立ちも細かくなめらかでクリームのようだ。

 このビール、飲み方によって味の印象がかなり変わる。
 日本に多い、軽い味と香りでキンキンに冷やし喉越しで飲むタイプのビールのように、無造作にゴクゴク飲んでしまうと、重くコクの強いビールのように思えてしまうだろう。
 だがひんやりとするくらいに程々に冷やし、ゆっくり味わって飲むと、軽やかでスッキリ爽やかな味わいに感じる。

 このビール、程々に冷やしてゆっくり飲めば、フルーティーで済んだ味わいの中に良い具合のコクとうま味を存分に感じることが出来る。
 原材料は大麦麦芽と小麦麦芽とホップだけなのに、フルーティーな中に僅かなハーブ感もあるような気がする。
 缶には「キリリと効いたホップの苦み」と書いてあるが、ホップの苦みはあくまでも心地良い範囲内で、決して苦すぎる事はない。

 このビール、ゆっくり、じっくり味わって飲むと本当に美味いビールだ。
 筆者はヤッホーブルーイングのビールは何種類か飲んでいて、どれも美味いと思うが、その中でもこれはかなり上出来だ。

 ただ、幾人かの知人に飲ませてみたところ、このビールを「好きでない」と言う人もいた。
 それは皆ビールは喉越しで飲む種類の人だった。
「ビールは苦けりゃ良いんだよ、フルーティーさとかハーブ感とかのこじゃれた味は要らねえ」
 そういう種類のビール好きには、残念ながらこのビールは向かない。

 このビールは、最初の乾杯や風呂上がりの一杯として喉越しでゴクゴク飲むのには向かない。
 そうではなく、良い友と語らい、あるいは好きな音楽を聴くなど楽しい時を過ごしながら、ゆっくり味わって飲むのに適している。

 繰り返すが、このビールは「ゴクゴク、プハーッ!」と喉越しで一気に飲むのには適していない。
 ただビールをゆっくり味わって飲むことも知っている者にとっては、飲んでいるうちに心が幸せで満ちてくるような、本当に良いビールだ。

 飲んでいる最中はただ美味くて嫌味は全く感じず、飲んだ後に残るのは爽やかさだけだ。
 だからつい、ゆっくりいつまでも飲んでいたいと思ってしまう。
 品のない話だが、ビールを含めて炭酸ガスを含む飲料は飲んだ後でゲップが出やすい。
 実は筆者もこのビールを飲んだ後にゲップをしてしまったが、その喉の奥からこみ上げてきたゲップすらフルーティーで良い香りだった。

 日本では当たり前と思われているように、喉越しで一気に飲むのには向いていないが。
 ただビールをゆっくり味わって飲むことも知っている者にとっては、とても心地良く幸せな時を過ごさせてくれる逸品だ。

 このローソンでしか売っていない限定品のビール、筆者にとっては大好きな傑作ビールだが、筆者の家の近所のローソンではまだたくさん売れ残っていた。
 他の大メーカーの同価格帯の有名なビールの、倍くらいが冷蔵庫内に残っていた。
 少々奇抜な缶の絵柄と風変わりな名前で敬遠されたのだろうか、それとも味が従来の日本のビール好き達に受け入れられなかったのだろうか。
 どちらにしても、こんな美味しいビールが他のビールより多く売れ残っている事が、筆者にはとても悲しく思えた。

 ええ、ただ悲しく思っているだけでなく、もちろんこのビールの追加を買いに、またローソンに駆けつけましたとも。

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殆どお茶としても飲める、宝酒造のやわらかお茶割り

 かなり以前に読んだ、戦時中の旧制中学を舞台にした小説に、こんなシーンがあった。

 その頃は戦時中だから、お酒も含めたいろいろな物が統制品となって手に入れにくくなっていて。
 で、主人公たちが遠足に行く折に、主人公の親友で造り酒屋の息子が、担任の教師に近付いて水筒をそっと渡すのだ。
「先生、お茶です」
 先生はそれを、微妙な笑みを浮かべてありがとうと受け取る。
 そしてそれを見ていた生徒は、小声で囁き合うのだ。
「あれはお茶じゃねえよ、“おちゃけ”だ」
 そう、主人公の親友は、当時入手が難しくなっていたお酒を、お茶と称して担任の教師に贈ったのだ。

 つい先日、筆者はその“おちゃけ”ではない、本当のお茶で焼酎を割ったお酒を飲んだ。
 宝焼酎の、やわらかお茶割りである。

宝焼酎お茶割りP1100601

 アルコール分は4%とは言え宝酒造の製品で、使用しているお酒も焼酎である。
 一番緑茶使用と謳ってはいるものの、どうせアルコールがツンツンする焼酎くさい製品だろうと思っていたが。
 プルタブを開けてグラスに注ぐと、漂ってくるのは殆どお茶の香りである。
 鼻を近づけてしつこく子細に嗅ぐと、ほんの僅かにアルコールの匂いも感じるが。「焼酎を入れているのだ」と意識さえしなければ、ただのお茶としか思えないだろう。

 飲んでみてもアルコールのツンツンする感じは無く、お茶の甘みも感じるくらいだ。
 舌に神経を集中してよく味わって飲めば、ごく僅かにアルコールの味も感じる。
 しかし「焼酎入りのお酒だ」ということを意識せずに普通に飲めば、缶やペットボトル入りのお茶と殆ど区別ができないだろう。
 お酒としてでなく、本当にお茶としてそのままグイグイ飲める。
 グラスに入れて黙って出して飲ませれば、それがお酒だとすぐに気付く人は殆どいないだろうと思われる。
 お茶の味と香りがして、何の抵抗も無くお茶と全く同じように飲め、そして気付いたら酔っているという、何とも不思議なお酒だった。

 このアルコール分4%という度数は、メーカーとして試行錯誤した結果だろうと思う。
 やわらかお茶割りという名前の通り、このお酒は焼酎を意識せずに、お茶として気軽に飲める。
 しかし全部飲み切ると、舌にアルコールの刺激が残るのを感じる。
 もしこの4%より少しでもアルコール分を増やしたら、間違いなく焼酎の味と匂いと刺激が表面に出てきただろう。
 この度数はアルコールを意識させず、お茶の味と香りを生かして飲ませられる、ギリギリの度数なのだと思う。

 缶には「お食事に、またお風呂上がりに」と書かれているが、確かに食中酒としては悪くないかも知れない。
 ただ飲んでいる時の味と香りは殆どお茶と同じで、お酒を飲んでいるという感覚が少しも持てない。
 そして「お茶を飲んでいるうちに酔ってくる」という、本当に何とも不思議な感覚のお酒だ。

 お茶は、しばしば酔い醒ましにも飲まれる。
 それだけに、お茶を飲んで酔うというのが、何とも言えず異様な感覚だった。

 缶やペットボトル入りのお茶と味や香りは殆ど変わらず、お茶としてもそれなりに美味しく飲める。
 やわらかお茶割りという名の通り、想像以上にアルコールの刺激が感じられないので、グラスに注いで黙って出したら、大半の人は気付かずにお茶と信じて飲んでしまい、飲んだ後で酔って「あれっ?」と思うのではないだろうか。

 はっきり言うが、酒としては特に美味しいとは思えない。
 しかしお茶としては、本当に普通にゴクゴク飲めてしまう。
 それだけに、お酒に弱い女性などに悪用するのは厳禁な、ちょっと危険なお酒だ。

 お酒なのにあまりにお茶に近い味わいなので、個人的には「お酒なら、もっとお酒らしいものを飲みたい」と言いたいところだ。
 しかし製品100mlあたりエネルギーは僅か24kcal、そして糖質と脂質も共に0gと、お酒の中ではかなり健康的と言えるかも知れない。
 だから健康にも気を使っていて、お茶感覚で飲める食中酒をお探しの方にはお勧めかも知れない。

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ジョエル・ロブション氏の名を槓したエビス二種

 食通では無い筆者はその名をまるで知らなかったが、ジョエル・ロブション氏と言えば三つ星を何度も獲得した、フランス料理の世界では超有名な巨匠らしい。
 そのジョエル・ロブション氏の名を冠したエビスが二種、限定醸造された。
 ジョエル・ロブション氏の名前を使っているからと言って、特に高いわけでもなかったので、早速購入して飲んでみた。

エビス華やぎの時間P1100331



 その二種のうち、まず“華やぎの時間”と名付けられた方だが、缶のプルタブを開けた途端に華やかな甘い香りが周囲に漂う。
 グラスに注いでみると、ビールは明るく綺麗な黄金色だ。
 飲んでみると全く嫌みなくスイスイ飲める。

 説明には、薫り高いネルソンソーヴィン種や、ドイツの伝統的なハラタウブラン種とハラタウトラディション種の「厳選された3種のホップの個性を引きだした」と書いてある。
 しかし決して苦すぎるという事は無く、ホップの苦味は爽やかで心地良い程度だ。
 そして苦味よりも、フルーティーな甘さの印象の方が強いくらいだ。
 だから「ビールは苦いから」と敬遠している人でも、充分に美味しく飲めると思う。

 冷蔵庫から出してまだ間もない冷たいうちは、スッキリした感じが際立つ。
 だが少し時間をおいてややぬるくなり、ひんやりとした程度になってくると、フルーティーな甘さや爽やかな酸味が程良く出てきてより美味しく味わい深くなる。

 メーカーはこのビールについて「乾杯や食前酒として、料理を華やかにひきたてる」と書いているが、軽やかで香り高く嫌味の全く無いこのビールは、確かに乾杯の一杯や食前酒として飲むのに良いだろう。
 しかし軽やかでスイスイ飲めると言っても、決して薄味というわけでなく、深い味わいやコクもしっかりある。
 そしてその味わいやコクは、少しぬるめになってからゆっくり飲むと、よりよくわかる。
 メーカーは乾杯してグッと一気に飲むことを想定しているようだが、筆者はこれを喉越しにゴクゴク飲み干してしまうのは少しもったいないように思う。
 軽く飲みやすいとは言え、厳選したホップを使用した麦芽100%の本物のビールだけあって、他の副原料入りのビールや、増してや新ジャンル酒などとは出来がまるで違う。

 筆者個人としては、もう少し重めで味の強いビールの方が好みなのだが。
 それでも軽めでありつつしっかりした味わいで、嫌味の全く無いこのビールは、とても良いビールだと思う。

エビス・余韻の時間P1100327

 さて、ジョエル・ロブション氏の名を冠したもう一つのエビス、“余韻の時間”も飲んでみよう。
 プルタブを開けると、爽やかで華やかな香りが広がる。
 グラスに注いでみると、こちらの方が“華やぎの時間”より明らかに濃い色。
 しかし飲んでみると、これもスッキリしていて飲みやすく、嫌味というものがまるで無く美味い。
 甘やかでフルーティーな香りもまた魅力的だ。

 熟した果実を想わせる薫りのホップ品種「モザイク」を使用、と缶の説明に書いてあるが、確かにこちらの方が“華やぎの時間”よりさらにフルーティーだ。
 で、ホップの苦味もこの“余韻の時間”の方が強い。
 しかし苦いと言っても決して苦すぎる事はなく、筆者には心地良い範囲内の苦味に感じられた。

 メーカーは「食事中や食後のくつろぎに、大人の時間を演出する」と書いているが、味やコクもしっかりしていて、“華やぎの時間”よりもやや重い感じだが、筆者は個人的にはこの“余韻の時間”の方が好きだ。

 また、この“余韻の時間”も“華やぎの時間”と同じで、冷たいうちはスッキリした味わいでスイスイ飲める。そしてぬるくなるにつれ、コクが感じられるようになり、味と香りが濃く深くなってくる。
 どちらも食事の邪魔にならないスッキリ感があるが、“華やぎの時間”の方がより軽やかで飲みやすく、“余韻の時間”の方がコクと飲みごたえがある。

 筆者は“余韻の時間”を、食後にゆっくり、時間をかけて飲むのが好きだ。
 フルーティーでかつコクがあり深い味わいで、「美味いなあ」と心から思う。
 しかしビールを喉越しで飲む多くの日本人の嗜好には、軽く嫌味なくスイスイ飲める“華やぎの時間”の方が、より合っているような気がする。

 ジョエル・ロブション氏の名を冠したこの二種のエビス、どちらにしても軽やかなのに香りも良く味わい深く、食事の妨げにならない上に単独でビールだけで味わって飲んでも美味い、とても上質なビールだった。
 限定醸造なので、ビール好きの方はお店にあるうちに是非買って飲んでみてほしいと思う。

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少し高いがとても美味しい、レフ・ブラウン

 ベルギー産の修道院ビール、レフ・ブラウンを飲んでみた。
 裏のラベルには、「ローストした麦芽を使用し、香ばしい香りとコクのある力強い味わいが特長です」と書いてある。

レフ・ブラウンP1100266

 グラスに注いでみると、確かにコーヒーのような黒に近い濃い色をしている。
 しかし飲んでみると、思ったほど苦くない。
 ローストされた麦芽の香ばしさはしっかり感じるが、苦味は程良いくらいだ。
 そして甘さと酸味もあり、黒ビールなのにフルーティーですらある。
 決して苦すぎず、甘さと爽やかな酸味があり、飲んだ後にはローストした麦芽の香ばしさが適度に残る。

 黒ビールは人によって好き嫌いがあるが、このレフ・ブラウンはただ苦く香ばしいだけでなく、甘味も酸味もありフルーティーで、とても味わい深く、黒ビールを敬遠している人にも勧めてみたい逸品だ。
 コクがありしっかりした味わいなので、キンキンに冷やして喉越しで一気に飲んではいけない。
 キンキンに冷やしたら香りも立たず、甘さやフルーティーさも感じられなくなり、ただ苦味だけが突出するだろう。
 そして喉越しでゴクゴク飲んだら、その豊かで複雑な味わいが、ただ「重い」と感じられるだけになるだろう。
 このビールはキンキンに冷やさず、冷蔵庫から出して10~15分ほど置いておき、冷たいのではなく「ひんやりとする」程度になってから、少しずつゆっくり味わって飲むべきビールだ。
 飲み方は当人の自由だが、キンキンに冷やして喉越しで飲んだりしたら、本来の美味さを理解する事は決して出来ないだろう。

 このレフ・ブラウンの輸入業者は、あのアサヒビールだ。
 アサヒビールと言えば、まず真っ先にスーパードライを連想するが、このレフ・ブラウンはスーパードライとは全く対照的なビールだ。
 スーパードライはキンキンに冷やして喉越しで味わってこその、日本の代表的なビールだ。
 そのスーパードライを製造しているアサヒビールが、ややぬるいくらいの温度でこそ香ばしい香りと複雑な味わいを楽しめる、少しずつゆっくり飲むべきビールを輸入している事が実に興味深かった。

 スーパードライも、飲み方によっては悪くない。
 しかし筆者はお酒をゴクゴク飲むのはあまり好きではなく、ビールも少しずつゆっくり味わって飲みたいと思ってしまう。
 そんな筆者にとっては、ただ苦いだけでなく、ローストされた麦芽の香ばしさの他に甘味も酸味ありフルーティーで、コクがあり奥深い味わいのこのレフ・ブラウンは、文句無しに美味しい最上級のビールだった。

 ただこのレフ・ブラウンは、330ml入りの瓶でお値段が四百円を越えている。
 味と品質を考えれば高過ぎるとは言えないのかも知れないが、国産のプレミアム系ビールよりも明らかに高い。
 とても「喉越しでゴクゴク一気に」飲んでしまえるような値段ではない。

 このレフ・ブラウンに限らず、欧州産の瓶ビールには330~350mlで350~500円くらいのものが多くある。
 しかし考えてみれば、ちょっと良い日本酒も300mlで同じ程度の値段で売られている。
 そうした純米吟醸系の小瓶の日本酒でも飲むつもりで、少しずつ味わいながらゆっくり飲めば、このレフ・ブラウンの四百円台という値段もそう高くはないのかも知れない。

 とは言うものの、もしレフ・ブラウンのようなビールが国産のプレミアム系のビールと同じくらいの値段で飲めれば、それにこした事はない。
 レフ・ブラウンなど、レフのビールを各種輸入しているのだから、アサヒビールはレフのビールの美味さも理解しているのだろう。
 ならばスーパードライのようなキンキンに冷やして喉越しで飲む種類のビールばかりでなく、いっそこのレフ・ブラウンのようにじっくり味わって飲むビールもアサヒビールで製造してみたらどうだろうか。

 サッポロビールはエビスに力を入れて各種出しているし、サントリーのモルツ・シリーズも好調だ。キリンビールも麦芽100%のビールを積極的に出している。
 そんな中、アサヒビールだけがプレミアムと名付けたビールにも副原料を入れ、喉越し重視にこだわっているように見える。
 ビール類はプレミアム系と新ジャンル酒に売れ行きがはっきり二分している今、アサヒビールこそじっくり味わって飲める美味しいビールにも力を入れるべきではないだろうか。

 アサヒビールはスーパードライで成長し、キリンビールを抜いて業界第一位のメーカーになった。
 それゆえアサヒビールには、「アサヒのビールはスーパードライのような喉越し系のものでなければ駄目だ」という呪縛と言うか思い込みのようなものがあるように思える。

 湿度が高く蒸し暑い日本では、確かに喉越し系のビールが好まれている。
 しかし世界的に見ても歴史的に見ても、ビールは決して日本で主流のピルスナータイプの喉越し系のものばかりでなく、もっといろいろな味わいのビールが存在するのだ。
 スーパードライで成長したアサヒビールも、それとは正反対の味わいのレフのビールを輸入販売しているのだ。それらの味の良さも、しっかり理解している筈ではないか。
 ならばスーパードライのような喉越し系のビールばかりにこだわらず、レフのようなじっくり味わって飲むプレミアム系のビールも製造してこそ、真にビールを理解している大メーカーと言えるのではないだろうか。

 ビールと言えば「ゴクゴク、プハーッ」と喉越しで飲むものと思い込んでいる者が多い日本で売れる、スーパードライのようなものばかりでなく、ゆっくりじっくり味わって飲めるビールも出してくれたら、少なくとも筆者は歓迎するし、アサヒビールに好感を持つ。
 国内でも最近は、若者を中心にクラフトビールの人気が高まっているという。
 ゆっくりじっくり味わって飲むプレミアム系ビールの需要は間違いなくあると思うのだが、どうだろうか。

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ストロング系のチューハイが人気と言うが…

 酒の量販店やスーパーの酒コーナーに行くと、缶チューハイがビール類を脅かすくらいたくさん売られている。
 その多彩にある缶チューハイのうちでも、アルコール度数7~9%のストロング系と、果汁たっぷり系が人気らしい。

 果汁たっぷり系が人気、という理由は筆者にもよくわかる。これまでの多くの缶チューハイと言うと、実際には果汁は数%程度で、ほぼ香料と糖類と酸味料で味と香りを作っているものが多かったからだ。
 そうした“まがいもの”の缶チューハイに比べて、本物の果汁をたっぷり入れたものは間違いなく美味しい。

 一方、アルコール度数の高いストロング系の缶チューハイの人気については、筆者は今ひとつ理由がわからないでいた。
 以前飲んだ大手スーパーの自社ブランドのレモン味のストロング系缶チューハイは、ただ安っぽいアルコール(甲類焼酎)のツンツンした辛い刺激が突出していて不味かった。

 だが今は、缶チューハイではストロング系が一番の人気だという。
 それで改めてストロング系缶チューハイの味見をしてみようと思い、サントリーSTRONG ZEROを飲んでみた。
 他の度数の缶チューハイには、桃だの葡萄だの様々の果物を使った物があるが、ストロング系と言うと何故かレモンとグレープフルーツと言った、甘くない系のものに限られているような気がする。
 そして以前に筆者が飲んだ某大手スーパーブランドのレモン味のソレも、変に苦くアルコールの刺激だけ強くて閉口したものである。
 で、今度飲んでみたSTRONG ZEROについては、その二つは避けてシークワーサーを選んでみた。

ストロングゼロP1100347

 プルタブを開けてみると、まずアルコール臭が漂う。
 グラスに注いで飲んでみても、シークワーサーの柑橘系の味よりもツンとしたアルコールの味を感じてしまう。

 断っておくが、筆者は決して強い度数のアルコールを飲めないわけではない。
 日本酒も普通に飲んでいるし、大好きなウイスキーはストレートで飲んでいる。
 しかしこのSTRONG ZEROも含めて、度数9%のストロング系缶チューハイには、アルコールの不快な刺激を感じてしまうものが少なくない。
 純米酒や長期熟成したウイスキーのアルコールは角が丸くなりまろやかに感じるのだが、廃糖密から作られたスピリッツや甲類焼酎などの安いアルコールを使ったチューハイは、アルコールの刺激がツンツンしてどうにも不快でならない。
 度数5%前後の普通の缶チューハイでも、果汁等を上手に加えないと安いアルコールの刺激が気になる。
 だからその倍近い量のアルコールを使った、度数9%のストロング系缶チューハイは、その安いアルコールの嫌な刺激がどうしても目立ってしまうわけだ。

 このSTRONG ZEROシークワーサーも、果実をマイナス196℃で瞬間凍結したものを粉砕してお酒に浸漬したり、割るお酒にウオッカと泡盛を使うなどの工夫を凝らしているのだが、シークワーサーの香りこそするものの、苦辛いアルコールの味の方が目立ってしまう。

 話は少しずれるが、今ハイボールがとても人気なのは、ビールほど苦くない上に、甘くないから食事にも合うからということだ。
 で、ハイボールはストレートやロックのようにきつくなく飲みやすいが、ビールよりは度数が高いから、ビールより早く酔えて良いとも聞く。
 それを考えれば、アルコールのツンとした刺激さえ気にしさえしなければ、甘くないストロング系の缶チューハイは食事にも合いビールより早く酔えてお手頃なのかも知れない。
 ちなみにこのシークワーサーも含め、STRONG ZEROのシリーズは甘味料(アセスルファムK、スクラロース)こそ使っているものの、糖類はゼロである。

 筆者はこの記事の初めの方で、ストロング系の缶チューハイはレモンやグレープフルーツのように僅かに苦みがあって甘さより酸味が目立つものが多いと書いた。
 実際、ストロング系の缶チューハイで酸っぱい柑橘以外のものは殆ど見ない。
 と思っていたら、サントリーがSTRONG ZEROに、桃ダブルを新しく発売した。

ストロングゼロP1100379

 桃の果汁と、例のマイナス196℃で瞬間凍結して粉砕しお酒に浸漬したものを合わせているから、桃ダブルと言うのだろうか。
 それはともかくとして、グラスに注いで飲んでみると、やはりまずアルコールの苦さを感じてしまう。甘味料こそ使っているものの、度数9%で、しかも糖類ゼロでは、やはりアルコールの刺激が表に出てしまうのだろう。
 が、桃の味と香りはしっかり感じるし、アルコールの刺激も慣れればそれほど気にならなくなってくる。

 このSTRONG ZEROの桃ダブル、個人的にはシークワーサーやレモンやグレープフルーツのストロング系缶チューハイよりも好きだ。
 しかし桃の味と甘さがあるから、食事をしながら飲むという人にはあまり合わないかも知れない。
 しかしそこはやはり度数9%のストロング系だ。
 桃の味につられてゴクゴク飲むと、胃が熱くなってきて早く酔う。
 だからお酒を飲み慣れていない若い女性などは、飲む時には気をつけた方が良い。

 さて、STRONG ZEROに桃ダブルを投入したサントリーだが、期間限定で凍結ライチも発売した。
 ただこれは、他のSTRONG ZEROと違って度数は8%である。

ストロングゼロP1100390

 このSTRONG ZERO凍結ライチは、グラスに注ぐ前の、プルタブを開けた瞬間からライチの香りが周囲に漂う。
 が、飲むとアルコールの刺激と苦みは微妙に感じる。
 これも糖類ゼロで甘さは控え目だが、食事に合うかどうかと言うと、これも微妙なところだろう。
 しかしライチの味はしっかりとあり、ライチが好きな人には喜ばれそうな味だ。
 期間限定と言うから、ライチがお好きな人は、早めにお店で探してみてほしい。

 しかし何故この凍結ライチだけ、STRONG ZEROのシリーズの中で度数が8%なのだろうか。
 ライチのコストの問題なのだろうか、それともアルコール度数を他と同じに9%まで上げると、アルコールの刺激が強くなり過ぎて味のバランスを壊してしまうのだろうか。
 そのあたりのところは、ちょっと謎だ。

 結論だが、ストロング系の缶チューハイは、ビール類や他の缶チューハイより早く酔えることは間違いない。
 そしてあまり甘くないものが多いし食事にも合い、甲類焼酎を思わせる安っぽいアルコールの刺激さえ気にならなければ、お買い得なお酒だと思う。
 しかし筆者は食事をしながら飲む事があまり無く、甲類焼酎のようなツンツンしたアルコールの刺激は苦手なので、個人的には缶チューハイを飲むならストロング系より、果汁たっぷり系を選びたい。

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スーパードライを飲んで考えた

 アサヒスーパードライを、筆者はずっと「不味いビールの代表格だ」と思ってきたし、このブログでも嫌いだと何度も書いてきた。
 しかし日本人のビール好きには、そのスーパードライを好む人がとても多い。
 日本人だけではない。2015年のブリュッセルビアチャレンジでも、スーパードライは金賞を獲得している。
 つまりスーパードライは、日本だけでなく世界でも評価されているという事だ。

スーパードライP1100332

スーパードライP1100337

 で、筆者は頭を抱え込んでしまった。
 スーパードライを不味いと思う、筆者の味覚が狂っているのだろうか……と。

 それで思い切って、不味い不味いと思って避けてきたスーパードライをもう一度買い、本当に不味いのかどうか改めて試してみることにした。
 そしてその際には、家の冷蔵庫で最も冷えやすい場所に置いてよく冷やし、意識して喉越しでゴクゴク飲んでみた。

 よく冷やして喉越しで……って、日本のビール好きには「何を当たり前の事を言うのだ」と呆れられるだろうが。
 筆者は酒は何でもゆっくり、じっくり味わいたい人間で、ゴクゴク一気に飲むのは好まないのだ。
 だからビールも、エールビールやスタウトビールを11~13℃程度に、日本のビール好きにはややぬるく感じるくらいに冷やして、味と香りを楽しみながらゆっくり飲むのを愛している。
 だがスーパードライを好む人達は、ビールはキンキンに冷やして喉越しで飲むものだと堅く信じているように見える。
 で、筆者は思ったのだ。「スーパードライを、キンキンに冷やして喉越しで飲んでやろうじゃないか」と。

 そのよく冷やしたスーパードライのプルタブを開けると、香りは弱い。しかし香りそのものは爽やかで、存外に悪くない。
 開けたスーパードライをグラスに注ぎ、泡がフタ状になっているうちに、喉の奥に流し込むようにして出来るだけ一気に飲んでみる。
 正直に言って、意外なくらいに美味かった。
 爽やかで軽やかで、苦味も程良く心地良い。「ビールは苦いから」と敬遠している人でも、充分飲めるのではないかと思った。
 名前はスーパードライで、缶の上部にも“KARAKUTI”と書いてあるが、確かに甘味は無いものの、筆者は別に辛いとは感じなかった。

 が、一気に飲み切れずにグラスに残したものを、少しぬるくなってから少しずつ飲むと、一転して不味くなる。よく冷えていた時の爽やかさが嘘のように消え、代わりに金属的な味と酸味が出てきて、どうにも美味しくないものになってしまう。
 そしてこのぬるくなり泡のフタが消えたものを喉越しで一気に飲んでもやはり不味くて、嫌な味だけが口の中に残る。

 思うにこのスーパードライは、キンキンに冷やし泡がフタ状になっているうちに喉越しで一気に飲むよう特化したビールなのではないだろうか。
 日本などのように蒸し暑い国で、暑い時期に、その条件で飲むととても美味い。
 しかしキンキンに冷えているうちに喉越しで一気に飲まず、少しでもぬるくしてしまったり、舌でゆっくり味わって飲もうとしたりすると、途端に不味くなる。

 それがスーパードライが一部のビール好きに、「一杯目には美味いのだが、二杯、三杯と飲み進めて行くうちに不味くなる」と言われる所以だ。
 暑い時に、或いは喉の渇いている時に、よく冷やして喉越しで飲むととても美味い。
 しかし暑さが引き喉の渇きも癒え、お腹もビールと食事で満ちてから、ゆっくり、じっくり飲むと妙に不味くなる。
 スーパードライとは、そういうビールだ。

 日本のビール好きには、「キンキンに冷やして、ゴクゴク、プハーッ!」というのがビールの味わい方だと信じている人が多いから、特に取り立てて飲み方についての注意書きは必要ないのかも知れないが。
 しかし暑さが引き喉の渇きも癒え、喉越しで一気に飲めなくなると味が落ちるビールだという事も、一応知っておいた方が良いのではないだろうか。

 逆に、エールビールやスタウトビールなどは、キンキンに冷やして喉越しで一気に飲んでしまうと、その美味さがわかりにくい。11~13℃くらいのひんやりとする程度で、ゆっくり、じっくり味と香りを楽しんで飲むべきビールなのだ。
 だからまず一杯目にはよく冷やしたスーパードライを喉越しで飲み、暑さが引き喉の渇きが癒えたらザ・プレミアム・モルツ・香るエールよなよなエール、或いはギネス・エクストラスタウトなどを、ゆっくり、じっくり飲むようにすれば、ビールをもっと深く楽しめるのではないだろうか。

 それにしても、キンキンに冷やして喉越しで飲んでこそ美味しいビールもあれば、冷やし過ぎずにゆっくりじっくり飲んで美味しいビールもあるのだから、ビールの世界もなかなか奥深い。
 で、筆者が不満なのは、その最も美味しく味わえる飲み方を書いてあるビールが少ない事だ。

 例えば近年の日本酒などは、冷やと常温とぬる燗と熱燗とどれが良いか、飲み方をラベルに書いてあったりする。
 しかしよなよなエールなど一部のものを別として、ビールにはよく冷やして喉越しで飲むべきか、程々に冷やして味と香りをゆっくり楽しんで飲むべきかを書いてあるものがとても少ない。
 そして日本人は「ビールはキンキンに冷やして、喉越しでゴクゴク、プハーッとやるもの」と信じている人が大多数だから、あまり冷やしすぎずにじっくり味わって飲むべきエールビールやスタウトビールまで、キンキンに冷やして喉越しで飲んでしまう。
 逆に少数だが筆者のように酒をゴクゴク飲むのが苦手な者は、スーパードライを少しずつゆっくり飲んだあげくにぬるくして、「何と不味いビールだろう」と誤解してしまったりもする。

 ワインなどは、赤と白とで合わせる料理だけでなく冷やす温度まで変えるのが常識になっているが。
 しかしビールとなると、何故かふさわしい温度や美味しい飲み方を教えられる事が無く、何でも一緒くたにされているように感じる。
 ビールにもそれぞれ飲むのに適した温度や味わい方がある事を消費者に周知させるのもメーカーの義務と思うが、どうだろうか。

 ところで、大嫌いだったスーパードライも「キンキンに冷やして、喉越しで一気に飲めば美味い」という事を、ようやく知った筆者だが。
 どうせ喉越しで一気に飲んでしまうなら、新ジャンル酒でも良いのではないかという疑問が、スーパードライを飲んでふと湧いた。
 スーパードライは350ml入りの缶で二百円前後するが、新ジャンル酒なら百円くらいで買える。
 この差は、かなり大きい。

 で、新ジャンル酒の中で個人的に筆者が一番良く出来ていると思うサッポロの麦とホップと飲み比べてみた。
 うむ、やはりビールはビールで、新ジャンル酒は新ジャンル酒だった。
 スッキリしていて飲みやすい所は同じなのだが、泡の質や喉越しなど、細かい点がかなり違う。そして新ジャンル酒には、加えられているスピリッツによる何とも言えないアルコールの刺激がある。
 スーパードライと新ジャンル酒を比較するのは、スーパードライに失礼だった。

 それにしても、日本のビールは高すぎる。
 新ジャン酒が百円くらいで買えるのに、スーパードライを含めて日本ではビールが350mlで二百円前後かそれ以上する。
 実はこれは、ビールそのものではなく税が高いのだ。
 一缶あたり、発泡酒は47円で新ジャンル酒は28円なのに、ビールには77円もの税金がかけられているのだ。

 ビールに対する日本の課税は、アルコール度数を考えると異様に高い。
 1キロリットル当たりで、ワイン等の果実酒は80000円、日本酒は120000円、焼酎(25度)は250000円でウイスキー・ブランデー・スピリッツ(40度)は400000円となっている。
 それに対しビールは、222000円も課税されているのである。
 アルコール度数僅か5%前後のビールの税が、ワインや日本酒の倍近くかそれ以上で、焼酎とも大して変わらず、ウイスキーの半分以上もかけられているのだ。

 もし酒に課税するのなら、税額もアルコール度数に比例させるのがフェアではないだろうか。何故なら、度数の強いお酒は少量で酔えるのだから。
 しかし日本の酒税は、ビールが突出して高い。
 それはまさに、「取りやすい所から取る」という、日本の財務省のあくどい体質の象徴だろう。
 日本では宴会と言えば「まずはビール」というケースが多いから、それを狙ったのだろう。

 だからその不当に高いビールの税金を逃れる為に、発泡酒や新ジャンル酒といった“まがいものビール”が売られるようになった。
 値段を考えれば、新ジャンル酒もよく努力してビールに似た味を作り出しているとは思う。
 しかしそれでも、飲み比べてみれば新ジャンル酒は本物のビールに全くかなわない。
 そして日本の酒税がビールに対して公平公正であったなら、発泡酒や新ジャンル酒などは売られる事が無く、皆が安い値段で本物のビールを飲むことができていただろうと思うと、本物のビールを庶民の手から遠くした財務省が憎くてならない。

 財務省と言えば、ビールメーカーが新ジャンル酒を売り、消費者がそれを買うのを税逃れと見たようで、5~7年のうちにビールと発泡酒と新ジャンル酒の税を、一缶55円に統一しようと考えているらしい。
 それが実行されれば本物のビールは20円ほど安くなるが、発泡酒と新ジャンル酒は逆に高くなる。
 なるほど、「取る税の総額は下げずに、高い方に合わせる」というわけですな。

 筆者はビールも好きだが、それ以上に純米吟醸系の日本酒が好きで、最も好きなのはウイスキーだ。
 その筆者でも、今の日本の酒税はおかしいし、ビールに対する税が不当に高すぎると思っている。
 酒税を取るなら、皆が飲んでいる「取りやすいものから」ではなく、アルコール度数に応じて取るのが公平というものだろう。
 ドイツなどでは、ビールが一杯百円かそれ以下くらいで飲めるという。
 日本でも不公平な今の酒税を改めて、皆が美味しいビールを安く飲めるようにすべきではないかと考える。

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これは美味しい、Hello!ヴァイツェン

 筆者は先週、「キンキンに冷やして喉越しで飲むビールだけでなく、ゆっくり味わって飲める香り高くコクのあるビールも増えれば、夏の暑い時期だけでなく寒い時にも通年ビールを楽しめるのではないか」というような事を書いた。
 その直後に、日本に多いキンキンに冷やして喉越しで飲むタイプとは正反対の、ゆっくりじっくり味わって飲むべき美味しいビールに出会ってしまった。

 Hello!ヴァイツェンという名で、缶の正面にはCraft Labelと書いてあるものの、メーカー名は見当たらない。
 そして缶のサイドの原材料等を記す所にやっと「販売者:ジャパンプレミアムブリュー株式会社」とあり、その下に更に目立たない細い字で「製造者:サッポロビール株式会社」と書いてある。

ヴァイツェンP1090912

 プルタブを開けグラスに注ぐと、いかにもヴァイツェン・ビールらしい、甘くフルーティーな香りが広がる。
 味わいは軽やかで、口に含むとまず甘味を感じ、そして心地良い酸味も感じる。そして苦味は少し遅れて控えめにやって来るという印象だ。

 飲んでイヤミというものを全く感じない。大麦麦芽と小麦麦芽とホップだけで造っているせいか、米やコーンやスターチといった副原料を入れたビールにありがちな金属的な味がまるで無い。
 同じサッポロビールの、同じように麦芽とホップだけで造っているエビスよりずっと軽やかで爽やかな味わいだ。
 しかし「軽やか」と言っても決して薄味ではなく、重さをまるで感じないのに味に深みと奥行きをしっかり感じる。

 ビールなのに、初めに感じる味わいは甘味だ。
 が、飲み進めて行くうちに次第にホップの苦味もしっかり感じるようになってくる。
 と言っても「軽やかで心地良い苦味」の範囲内で、決して苦すぎる事は無い。

 このHello!ヴァイツェン、「ビールは苦いから」と敬遠している人達、特に女性にお勧めしたい。
 苦すぎずフルーティーで甘さもあり、日本のビールの大半を占めるキンキンに冷やして喉越しで飲む苦いビールしか知らずにいた人は、「こんなビールがあったのか!」と驚くと思う。

 筆者はこのサッポロビール製造のHello!ヴァイツェンを、サントリーのザ・プレミアム・モルツ・香るエール、それにヤッホーブルーイングの水曜日のネコと飲み比べてみた。

 まずプレモルの香るエールとの比較だが、Hello!ヴァイツェンの方が間違いなく香りが豊かで華やかだ。そしてより麦の甘味が感じられる。
 逆にプレモルの香るエールは僅かに甘味もあるものの、味の主体はキツ過ぎない苦味だ。そして味もどっしりしているように感じる。

 水曜日のネコはベルジャン・ホワイトエールらしくフルーティーで爽やかで軽やかで、Hello!ヴァイツェンに近いものも感じる。
 ただ水曜日のネコは、原材料にオレンジピールとコリアンダーシードが含まれている。そのほのかなハーブ感を好めるかどうかは、個人の好みの問題になってくるだろう。
 筆者自身は、フルーティーで爽やかで軽やかな、僅かなハーブの香りが漂う水曜日のネコは好きだ。しかし「こんなのビールじゃねえよ」と言う人も間違いなくいるだろうと思う。

 Hello!ヴァイツェンも水曜日のネコもプレモル香るエールも、どれもフルーティーで爽やかなのは間違いない。
 しかしフルーティーさでは、プレモル香るエールが最も控えめに思える。
 だがこの三つの中で最もビールらしい味わいなのはプレモル香るエールだ。
 イヤミは全く無くフルーティーで、苦味もしっかりありつつ適度で、苦すぎるという事も無い。味と香りのバランスがとても良く取れていて、本来のビール好きから「ビールは苦いからあまり好きじゃない」と言う人まで含めて、プレモル香るエールを飲んで不味いと思う人はまずいないのではないかと思う。

 その点、水曜日のネコのハーブ感を好きになれない人もいるだろうし、Hello!ヴァイツェンについては「苦くなく甘さが先に立つビールなんて!」と不満に思う人もいるだろう。
 要するにHello!ヴァイツェンと水曜日のネコは、好き嫌いのはっきり分かれるビールなのだ。
 好きな人は「大好き!」と言うだろうが、「こんなの、邪道なビールだ!」と言う人もいるだろう。

 そういう点で、プレモル香るエールはとても良く出来たビールだと思う。
 しかし筆者はHello!ヴァイツェンも水曜日のネコも大好きだし、こういう個性の強い、飲み手を選ぶビールがあっても良いと思う。
 少なくとも筆者は、プレモル香るエールよりHello!ヴァイツェンの方が好きなくらいだ。

 この筆者も大いに気に入ったHello!ヴァイツェンだが、飲む時にはキンキンに冷やし込まないように、そして喉越しでゴクゴク飲まないように気をつけていただきたい。
 ビールだけでなく他の酒もジュースも、冷やすほど香りと甘味を感じにくくなり、逆に苦味と渋味が際立ってくる
 だからHello!ヴァイツェンをキンキンに冷やすと、ただちょっと苦いだけの、香りも甘味も無いつまらないビールになってしまう。
 Hello!ヴァイツェンだけでなくプレモル香るエールも、キンキンに冷やし込んだら“香らないエール”になってしまうのだ
 水曜日のネコも冷やし込んだら、フルーティーさが薄れハーブ感も無くなってしまう。

 Hello!ヴァイツェンの缶の裏面に、こう書いてある。

 一口飲んでホッとして、
 二口飲んで思わずニコリ。


「喉越しでゴクゴク飲んで下さい」とは、どこにも書いてない。
 このHello!ヴァイツェンは間違いなく、ゆっくり味わって飲むべきビールなのだ。
 水曜日のネコやプレモル香るエールもまた、喉越しで飲むのではなく、ゆっくりじっくり飲むべきビールだと考える。
 キンキンに冷やして喉越しで飲みたい方は、米やコーンやスターチなどの副原料入れたピルスナータイプの物を選ぶべきだ。

 ビールにはキンキンに冷やして喉越しで飲むものと、あまり冷やし込まずにゆっくり味わって飲むものがある。
 なのに日本人の多くが、特にビール好きを自認する人達の多くが「ビールはキンキンに冷やして、喉越しと泡立ち勝負で飲むもの」と盲信しているのが悲しい。

 最初の一杯目ならともかく、続けて何杯も喉越しで「ゴクゴク、プハーッ!」と飲めるものだろうか。
 暑い時期に、暑さと喉の渇きを癒す為にキンキンに冷えたビールを喉越しで飲みたい気持ちもわかるが。
 だが最初の一杯を飲めば、暑さも喉の渇きもかなり癒えるのではないだろうか。
 最初の一杯はキンキンに冷やしたものを喉越しで飲んで、しかし二杯目以降はゆっくり味わって飲むべきビールに切り替えるとか。
 夏場はピルスナータイプのビールをキンキンに冷やして喉越しで飲んで、しかし涼しくなってきたらエールビールをゆっくり味わって飲むとか。
 そうした飲み分けが出来るようになったら、日本のビールも種類がもっと豊富になり、ビールの消費自体も増えるのではないだろうか。

 夏は確かにキンキンに冷やしたビールも美味しいけれど。
 涼しくなってから、キンキンにでなく「ひんやりとした」程度に冷やした香り高く味わい深いビールをゆっくりじっくり飲むのも、また別な味わいがあって良いものだ。
 キンキンでなく「ひんやりとした」程度とは、冷蔵庫から出して10分ほど経った頃と覚えていただきたい。
 Hello!ヴァイツェンだけでなく水曜日のネコやプレモル香るエールも、冷蔵庫から出したらすぐ飲みたい気持ちを堪えて、10分ほど待ってからグラスに注ぐと、豊かな香りと深い味わいが心行くまで楽しめマス。

 ビールはキンキンに冷やすべきというのは、ピルスナータイプの話だ。
 エール系のビールやスタウト系のビールが最も美味しく飲める適温は、10~13℃なのだ。冷蔵庫から出してすぐゴクゴク飲んでしまうと、本来の味の深みと香りが損なわれて「値段が高いだけの平凡なビール」としか感じられなくなってしまう。
 それは実に勿体ない話ではないか。
 だから上面発酵のビールの味と香りを楽しみたければ、冷蔵庫から出してもすぐには飲まず、少しだけ待っていただきたい。

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オリオン生といちばん桜

 ほぼ沖縄でしか売られていないオリオンビールだが、アサヒビールは毎年春になると、そのオリオンビール製で麦芽100%のいちばん桜という季節限定のビールを出してくれる。
 この沖縄のオリオンビールのいちばん桜だが、麦芽とホップだけのビールにありがちな重さが無く、スイスイ飲める上に香り高くコクもあってとても美味いのだ。
 だから筆者は、毎年春にこのいちばん桜を飲むのを楽しみにしている。

オリオンいちばん桜P1100143

 で、その春に数本まとめ買いしたうち、一本だけ飲まずに大切にとっておいたものを、賞味期限の9月になってしまう前に改めて飲んでみた。
 プルタブを開けグラスに注ぐと、フルーティーで華やかな香りが広がる。
 エビスのような重さが無く軽く飲めるが、同時に深い味わいもある。麦芽100%だけに麦の甘味もあり、そのせいかホップの苦みも程良いくらいに感じる。
 だから「ビールは苦いから好きじゃない」という人にも、自信を持って勧められる。

 重くなく、苦すぎず、香り高くてコクもあり味わい深い。
 味わって飲んで心から「美味しい!」と思う。
 ただ暑さをしのぎ喉の渇きを癒す為にゴクゴク一気飲みしてしまっては勿体ない、本当に良いビールだ。
 筆者は春が来てこのオリオンビールのいちばん桜を飲むのを、心から楽しみにしている。

 そんな筆者だが、最近ある店でオリオンビールを売っているのを見つけた。
 いちばん桜が好評なので、アサヒビールが「オリオンビールをもっと売ってやろう」と考えたのだろうか。
 ただこちらのオリオン生は、いちばん桜と違って麦芽100%ではなく、コーンやスターチといった糖質副原料も使用している。

オリオン沖縄P1100121

 そのオリオン生だが、プルタブを開けグラスに注いでも、いちばん桜のようなフルーティーな香りは殆ど立たない。
 軽くとても飲みやすい。
 コーンやスターチを使ったビールには、何となく金属的なイヤな味を感じる事があるが、このオリオン生にはそうしたイヤミが全く無く、スイスイ飲める。

 しかし同時に、いちばん桜にあった深みやコクが感じられない。
 いちばん桜に比べると明らかに痩せた味わいで、コクや甘味が無い分だけホップの苦みだけが際立つ印象だ。
 だから「ビールは苦いから好きじゃない」という人には勧められない。
 そして香りやコクや深みにも乏しいので、「香り高いビールを、味わってゆっくり飲みたい」という人にも勧められない。
 ただ軽やかで味にも嫌みが全く無いから、喉越しでゴクゴク飲みたい方や、和食と一緒に飲みたい方には最適のビールではないかと思う。
 良いビールなのは認めるが、個人的には筆者の好きな種類のビールではない。

 同じオリオンビールを飲んでみて、麦芽100%のいちばん桜は大好きで楽しみに飲んでいるが、副原料入りのオリオンビールは二度と飲みたいとは思わなかった。
 同じ会社のビールを飲んで、これほど印象が違うとは驚きだった。

 ところで暑い今、日本ではビールの消費が伸びていると思うが。
 ビールの飲み方は、暑い国とそうでない国とで違ってくる。
 例えばドイツでは、夏でも長袖の服を当たり前に着ている。そのように蒸し暑くない国では、ビールも喉越しでゴクゴク飲んだりせず、ゆっくり時間をかけて味わう人が多い。
 しかし日本を含めて蒸し暑い国では、ビールはキンキンに冷やし、暑さと喉の渇きを癒す為にゴクゴク、プハーッと飲むのを気持ち良いと感じる人が多い。
 だからビールの好みは、その国の気候によって異なってくる。

 で、日本を含めた暑い国では、本来は麦芽とホップだけで造るビールに、米やコーンやスターチなどの糖質副原料を混ぜる事が多い。
 そしてその副原料を混ぜると、香りやコクが薄く少なくなるのだが、それを「軽くスッキリしたものになる」と感じる人達もいる。

 麦芽とホップだけで造るビールは、前記の糖質副原料を入れたビールより間違いなく味も濃く香りも高い。
 だから日本を含めた蒸し暑い国で、暑さと喉の渇きを癒す為に喉越しでゴクゴク飲んだ場合、「重い」と感じる人達もいる。
 そしてそうした人達は、香り高くコクもある麦芽とホップだけで造られた本来のビールより、副原料入りの軽いビールの方を好ましく思う。
 さらに食事との相性でも、あっさりした和食には香りも控えめでスッキリ薄味の副原料入りビールの方が合うらしい。
 それで日本では、ビールと言えば糖質副原料入りのものが多く売られていて、そして多くのビール好きにも受け入れられている。

 ただ筆者は、どんな酒もゆっくり味わって飲みたいのだ。
 だから香りも立たずコクが無くただホップの苦みが際立つ糖質副原料入りのビールは、どうしても好きになれない。
 それでオリオンビールについても、麦芽100%のいちばん桜と副原料入りのオリオン生とで、印象がとても違ってしまったのだろう。

 蒸し暑い夏には、ビールをキンキンに冷やして喉越しでゴクゴク飲みたいのも認める。
 しかし最初の一杯はともかく、それ以後も喉越しで一気に飲みたいだろうか。
 涼しいか寒いくらいの秋から春までの約半年間も、ビールはキンキンに冷やして喉越しで飲まなければ美味しくないだろうか。
 二杯め以降や涼しい(寒い)季節には、香り高い濃いめのビールをゆっくり味わいながら飲んでみたいとは思わないだろうか。

 日本の大メーカーのビールの多くが、副原料入りの喉越し重視の軽い香りの弱いビールを主に造っていて、日本の消費者もその種のビールを好む人が多いのが寂しい。
 ゆっくり味わって飲めるビールの存在を、日本の人にももっと知って欲しいし、メーカーにも力を入れて造ってほしいと願う。

 ビールは、決して暑い時にだけ飲む酒では無いのだ。
 日本人はビールと言うと「キンキンに冷やしてゴクゴク飲むもの」と信じている人が多いが、それでは暑い時期にしか美味しく飲めない。
 あまり冷やし込まずに10~13℃程度で、冷蔵庫から出して10~15分くらい経ったくらいでちょうど飲み頃になる香り高く味わい深いビールの存在を、もっと多くの人に知って貰いたいと願う。

 その種の味が濃く香りが高くて美味しいビールは、日本では主に地ビールのメーカーが出しているが。
 その点、大メーカーであるサントリーザ・プレミアム・モルツ・香るエールを出した事は、とても良い事だと思う。
 他の大メーカーも負けずに、キンキンに冷やして喉越しで飲むタイプ以外の、ゆっくり味わって美味しく飲めるものも出してほしいと願う。

 キンキンに冷やし込むのではなく、喉越しでグイグイ飲むのでもなく。
 ゆっくり味わって飲める香り高くコクのあるビールがもっと増えれば、日本人も寒い時期にだって喜んでビールを飲むだろうし、そうすれば日本のビールの消費ももっと増えるのではないだろうか。

 真夏は副原料入りの軽いビールを、キンキンに冷やして喉越しで飲むのも良いだろう。
 しかし季節に応じてビールの飲み方を変えれば、ビールをもっと楽しむ事ができる筈だ。

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本当に美味しかった宝酒造の「おいしいチューハイ・マスカット」

 缶酎ハイを作って売り出しているメーカーは、いろいろあるが。
 実は筆者は、宝酒造というメーカーには偏見を持っていた。
 日本酒その他の酒類を造っている事も、とりあえず知ってはいる。
 しかし宝酒造と言うと、筆者の頭の中では「甲類焼酎のメーカー」というイメージが強いのだ。
 だから宝酒造の缶酎ハイについても、「どうせ自社の工場で大量生産した安い“非本格焼酎”を売りさばく為に作っているのだろう」と思っていた。

 で、店頭でたまたま見つけたのが、その宝酒造のおいしいチューハイ・マスカットだ。
 期間限定商品で、しかも果汁は何と50%だ。
 5%の見間違いでなく、本当に果汁50%と書いてある。
 ただキリンの本搾りと違って原材料はお酒と果物だけではなく、糖類こそ入っていないものの、甘味料と酸味料と香料がしっかり入っている。
 それに何より、甲類焼酎メーカーの宝酒造の製品である。
 だから少し迷いはしたが、果汁50%と期間限定の文字につられて買ってみた。

おいしいチューハイP1100194

 それで飲む時も、味にはあまり期待していなかった。
 暑かった日に、「ジュース代わりに飲んでやろう」とごく軽い気持ちで飲んでみた。

 香料入りの酎ハイには、プルタブを開けるとすぐ果物の香りが広がるものがある。
 しかしこのおいしいチューハイ・マスカットは、プルタブを開けグラスに注いでも、香りはやや控えめなくらいである。
 そして一口飲んだ瞬間、「これは美味い!」と驚いた。
 さすがは果汁50%を謳うだけあって、マスカットの豊かな味が口の中いっぱいに広がる。
 香料等で作った味ではなく、果物そのものにかなり近い味なのだ。

 以前にこのブログで紹介したサントリーこくしぼり芳醇ぶどう豊潤ももは、どちらも果汁28%だが、香料等の作りモノっぽい味がどこかに残った。しかし宝酒造のこのおいしいチューハイ・マスカットにはその作りモノっぽさが感じられないのだ。
 それが果汁28%と50%の差ということか。

 話は少し逸れるが、かなり以前に読んだ料理対決の漫画にこんなものがあった。
 主人公はチャーハンで他の料理人と味比べをして、見事に勝利する。
 喜ぶ主人公に、審査員の一人がこう言うのだ。
「お前が作ったものを、一皿全部食べてみろ」
 不審に思いつつそれに従った主人公の顔色が、食べ進むにうちに変わって来る。
「……しょっぱい」
 そう呟いて愕然とする主人公を、例の審査員はこう諭す。
「大勢の料理人が作ったものを食べなければならないこうした審査では、審査員は少しずつしか食べぬ。だからお前は勝てたのだ」
 もし店で料理を出してお客に一皿全部食べさせたとしたら、お前の負けだった。
 例の審査員はそう言った後で、さらにこう付け加えた。
「味見をした時、少し物足りないかなと思う程度がちょうど良いのだ。一口食べてちょうど良いと思った味付けだと、一皿全部食べると濃すぎる」

 筆者はそれと同じ事を、果物系の缶酎ハイでよく実感する。
 お酒と果物だけで作ったのがウリのキリン本搾りは、実は最初の一口では薄く物足りなく感じる。そして飲み進めてゆくうちに、次第にちょうど良く感じるようになってくる。
 だが香料や糖類や酸味料で味を作った缶酎ハイの多くは、最初の一口はそれらしい味を感じるものの、飲み進めるうちに甘ったるさが重たく感じられるようになり、また香料等による作りモノっぽさもわかるようになってくる。

 しかし宝酒造のおいしいチューハイ・マスカットは、そのどちらでもないのだ。
 最初の一口からマスカットらしい美味しさがよくわかり、しかも飲み進めても甘ったるさや作りモノっぽさを感じないのだ。
 それは50パーセントと果汁の配合率が格段に高い上に、香料等を巧みに使っているからだと思う。

 よくある果汁数パーセントの缶チューハイは、最初から香料等で味を作っているが。
 このおいしいチューハイ・マスカットは、香料等で味を作るのではなく、お酒と果汁だけで作る缶酎ハイの飲み始めに感じる味の物足りなさを補う程度に、控えめに香料等を使っているのだろう。

 また、おいしいチューハイ・マスカットは、他の缶酎ハイで多く使われている糖類ではなく、甘味料を使っている。
 そのせいか甘さがしつこくなく、カロリーも100mlにつき42kcalと比較的低めだ。
 ちなみに新ジャンル酒のサッポロ麦とホップは同じ100mlあたり46kcalで、筆者が「これは良いビールだ!」と自信を持って勧めたいビールのザ・プレミアム・モルツ・香るエールもまた46kcalだ。

 香料等による派手な香りや作りモノっぽい味もなく、果物本来の味を充分に楽しめる。
 そして最初の一口から美味く、飲み進めても甘ったるくならない。
 これはキリンの本搾り以上に、本当に良く出来た缶酎ハイだと思う。この出来の良い、文字通り“おいしい”缶酎ハイが期間限定とは、とても残念に思う。

 ただアルコール度数が3パーセントと低めだから、お酒に強い人は不満に思うかも知れない。
 だがそれだけに、飲んでいてアルコールのツンツンするイヤな感じを受けることは殆ど無いと言っても良いだろう。お酒に強くない人には、とても良い飲み物だと思う。
 というわけで、酒豪ではなく美味しいお酒を適度に飲んでほろ酔い気分を味わいたい方に、この期間限定の宝酒造の“おいしいチューハイ・マスカット”をぜひお勧めしたい。

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ちょっと贅沢な酎ハイ、こくしぼり

 酒類メーカーにとって、酎ハイはいろんな製品を出しやすい、魅力的な市場だそうである。
 確かに酎ハイには甘いものやら甘くないのをウリにしたものや、百円未満のものから百五十円以上するものまでいろいろある。

 で、このブログでも以前にも酎ハイについて何度か書いたが、今回は果汁を多く使った、サントリーのややお値段高めな酎ハイ、こくしぼりについて述べてみようと思う。

サントリーこくしぼり葡萄P1100069

 まず、こくしぼり芳醇ぶどうを飲んでみた。
 普通の缶チューハイは、果汁を使っていてもせいぜい数%程度で、実は香料と糖類と酸味料でそれらしい味を作っているものが多い。
 しかしこの芳醇ぶどうは、果汁28%である。

 缶チューハイの中では、果汁の使用量は間違いなく多い方に属する。
 しかしこのこくしぼり芳醇ぶどうもまた、香料や糖類や酸味料を使っている。

 以前、キリン本搾りシリーズを飲んでみた。
 本搾りシリーズはお酒と果汁だけで造られていて、香料や糖類や酸味料などは一切使っていないのがウリである。
 で、値段も量販店で百円ちょっとと手頃で、それでいてかなりの率の果汁を使っていた。
 例えば本搾りオレンジなど、果汁45%だった。

 しかしその本搾りシリーズは、飲んでみるとどれもアッサリしている印象を受けた。
 飲み続けているうちに「これは旨いな」と思うようになるのだが。
 最初の一口の印象は、「薄いかな」と思ってしまうのである。
 一缶すべて飲み切ってしまうのなら良い。
 だが第一印象には、どこか物足りなさが残るのである。

 その点、こくしぼり芳醇ぶどうは最初から味も香りも濃くて、本絞りで感じた「最初の一口の物足りなさ」が無い。
 ただ香料や糖類や酸味料を加えている分だけ、どこか味に作りモノっぽさも僅かながら感じてしまう。
 果汁が数%で、味と香りを殆ど香料等で作っている安物の缶チューハイとは質が違うが、それでもやはりどこか「手を加えた味だな」と感じる不自然さが残る。

 このこくしぼりは、缶チューハイの中では少々お高めだ。
 大手のスーパーのお酒コーナーで買ったのだが、一缶で170円(税込み)だった。
 それだけにこのこくしぼり芳醇ぶどうは、ただ果汁を28%も使っているだけでなく、隠し味にワインやブランデーも加えている。ここが果汁は僅かで、ほぼ香料と糖類と酸味料で味を作った他の安物の缶チューハイと違うところだ。
 うん、ワインはわからなかったがブランデーの風味は間違いなく感じた。
 多めの果汁にブランデーの風味が重なってか、味に深みとコクを感じる。

 下手なジュースよりずっと果汁の味を感じるし、果汁を僅かしか使っていない他の安い缶チューハイより間違いなく旨い。
 メーカーがプレミアムと謳うだけのことはある。
 が、税込みで170円という実売価格ほど、他の缶チューハイより旨いとは言い切れない。

 こくしぼり芳醇ぶどうは旨い。
 それは間違いないのだが、香料や糖類を加えている分だけ甘さや味の作りモノっぽさが気になるし、筆者だったら百円ちょっとで買え、そしてお酒と果汁だけで作られたスッキリした味のキリン本搾りの方を選びたいと思ってしまう。

サントリーこくしぼり桃P1100054

 さて、続けてこくしぼり豊潤ももを飲んでみた。
 細かい事だが、同じこくしぼりホウジュンでも、葡萄の方は“芳醇”で、この桃の方は“豊潤”と字が違うのでご注意を。

 このこくしぼり豊潤ももは、缶を開けた途端に桃の豊かな香りが漂う。
 飲んでみても、桃の味を濃く感じる。ただ少し甘過ぎるかも。

 このこくしぼり豊潤ももも、こくしぼり芳醇ぶどうと同じで、果汁は28%だ。そして香料と糖類と酸味料も加えられている。
 ただ果汁の割合は同じでも、桃の方が葡萄より味も香りも強いようだ。
 そのせいか、こくしぼり芳醇ぶどうで感じた香料等の作りモノっぽさをあまり感じない。

 ただ、桃の味と香りが強過ぎるのか、これにも隠し味として使われているブランデーと桃のリキュールの味も殆どわからなかった。
 良く出来ているとは思うのだが、少々甘過ぎて、一缶すべて飲み切るとかなり重く感じる。加えている糖類をもう少し減らした方が、スッキリした良い味になると思うのだが、それは個人の好みの問題かも知れない。

 筆者の感想では、どちらも旨いが酒として飲むなら芳醇ぶどう、酔えるジュースとして飲むなら豊潤ももが良いと思う。

 実はこのこくしぼり芳醇ぶどうと豊潤ももを、女性にも試しに飲んでもらってみた。
 芳醇ぶどうについては、「ふーん」というだけで、特に美味しくも不味くも無いという感じだった。
 しかし豊潤ももについては、「これは美味しい!」と繰り返し言っていた。
 筆者には甘過ぎるように思えた豊潤ももの甘さも、女性に言わせればこのくらいの甘さがちょうど良いのだそうだ。

 筆者個人が缶チューハイを飲むとしたら、このこくしぼりより、キリンの本搾りを選ぶが。
 ただ女性に勧めるには、このこくしぼり豊潤ももは最適かも知れない。

サントリーのんある気分P1100090 サントリーのんある気分ジンライムP1100106

 余談だが、筆者はノンアルコール飲料を殆ど飲まない。「酔えないビールやカクテルなど意味ないし、そんなモノ飲むくらいならウーロン茶やミネラルウォーターでも飲んだ方がマシ」と思っていたのだ。
 が、先日大手のスーパーのお酒コーナーで、こくしぼりシリーズと同じサントリーのんある気分ソルティドッグテイストが、税込みで108円で売っていたので、安いジュースでも飲むつもりで買ってみた。
 実際、こののんある気分はお酒コーナーにありながら、炭酸飲料と書かれている。

 悪くなかった。
 こう言うと多くの人を敵に回してしまいそうだが、実は筆者はコーラは嫌いで全く飲まない。あのベタッとした濃い甘さが苦手なのだ。
 同じ理由で、筆者はサイダー類の多くも飲まない。
 筆者にとって市販されている炭酸飲料やジュースの大半が甘過ぎるのだ。

 そんな筆者にとって、のんある気分のスッキリして抑えた甘味はとても心地良かった。
 よく見ると、こののんある気分のシリーズは、カロリーも糖類もゼロだという。アセスルファムKとスクラロースとかいう甘味料だけで甘さが作られているようだが、ただ甘過ぎないだけでなく、飲んでも太る心配が無いのは有り難い事である。

 で、同じのんある気分の、ジンライムテイストも飲んでみたのだが。
 これも同じように程良い甘さで一気に飲め、なかなか悪くないと思った。

 こののんある気分は、地元系の小さなスーパーでも税込み122円で売っていて、いずれにしても自販機で買うジュースより安い。
 で、カロリーも糖類もゼロでそれなりに良い味で、暑い時にゴクゴク飲むには向いていると思う。
 お酒の代用品と言うより、純粋に炭酸飲料として飲んで美味しいと思った。

 実は筆者は、ソルティドッグはカクテルとして何度か飲んだ事がある。
 そのせいか、のんある気分ソルティドッグテイストを飲んだ後、何となくだが、ごく僅かに酔ったような気分になった。
 一方、ジンライムは飲んだ事が無く、そしてのんある気分ジンライムテイストを飲んだ時には、ただただ「甘過ぎない炭酸飲料」としか思えなかったし、酔ったような気分には全くならなかった。
 つまりノンアルコール飲料で、お酒を飲んだような感じを少しでも得られるかどうかは、以前にその種の本物のお酒を飲んだ事があるかどうかによるのだろう。

 それはともかくとして、のんある気分が甘過ぎない炭酸飲料として充分に美味しく飲める事がわかったのは、猛暑に向かいつつある今、一つの収穫だった。

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